(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記拡張可能なステント‐グラフトは、前記拡張可能なステント‐グラフトの壁を貫通して延びる開放通路が設けられていない無窓ステント‐グラフトである、請求項1記載のシステム。
前記第2のガイドワイヤの前記中間部分の一部分は、ループ状部分であり、前記ループ状部分は、前記摺動可能なコネクタに隣接して設けられている、請求項2記載のシステム。
前記第1の外側シースは、前記第2のガイドワイヤの前記ルーメンに沿って前記第2の外側シースを動かすよう前記シースカップリングに摺動可能に係合できる、請求項5記載のシステム。
前記シースカップリングに連結された遠位部分を有するロッドを更に含み、前記ロッドは、前記近位カテーテル部分に設けられた近位部分を有し、前記ロッドの前記近位部分の運動により前記第2の外側シースが前記第2のガイドワイヤの前記ルーメンに沿って動く、請求項5記載のシステム。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書において説明するグラフト、ステントまたはステント‐グラフト実施形態およびこれらのコンポーネントに関し、「近位」という用語は、患者の心臓寄りの場所を意味し、「遠位」という用語は、患者の心臓から離れた場所を意味している。本明細書において説明する運搬システム、カテーテルおよびこれらのコンポーネントに関し、「遠位」という用語は、運搬システムまたはカテーテルを用いているオペレータから遠ざかって位置する場所を意味し、「近位」という用語は、オペレータ寄りの場所を意味している。
【0011】
図1は、患者の血管系の一部分を示している。腹大動脈瘤(AAA)14が生じていれば、これは、患者の大動脈10内に存在する場合がある。かかる大動脈瘤は、典型的には、腎動脈12の下(すなわち、患者の足の方向に)位置している。大動脈瘤14のある患者の約40パーセントは、腸骨動脈瘤20も生じている。大動脈10は、腸骨動脈16,18に分岐している。腸骨動脈16,18を医学的にはそれぞれ、右および左総腸骨動脈として説明する場合があるが、本明細書で用いられる腸骨動脈16を同側腸骨動脈という場合があり、腸骨動脈18を対側腸骨動脈という場合がある。腸骨動脈16は、更に外腸骨動脈22および内腸骨動脈または下腹部動脈24に分岐している。同様に、腸骨動脈18もまた、外腸骨動脈28および内腸骨動脈または下腹部動脈26に分岐している。腸骨動脈16だけをこれに腸骨動脈瘤20があるものとして説明するが、かかる動脈瘤は、腸骨動脈16ではなく、腸骨動脈18内に存在している場合がある。
【0012】
図2は、本発明の運搬(デリバリ)システムまたはカテーテル100を示している。
図2に示されているように、運搬システムまたはカテーテル100は、遠位先端部またはノーズコーン102、外側シース104、引っ込め用ハンドル106、内側管状部材またはハイポチューブ116および近位ハンドル組立体109を含むのが良い。システムまたはカテーテル100は、運搬段階中、外側シース104をフラッシングするフラッシュポート108を含むのが良い。外側シース104は、医師が運搬システム100を所望の体内部位まで適正にナビゲートするのを助けるための放射線不透過性マーカーバンド(図示せず)を有するのが良い。外側シース104は、医師が外側シース104のための引っ込め用ノブまたはハンドル106を運搬システム100の近位ハンドル組立体109に向かって動かすことによって引っ込み可能である。内側管状部材またはハイポチューブ116は、近位ハンドル組立体109から運搬システム100の近位部分107に沿って運搬システム100の遠位部分105に向かって配置される。ハイポチューブ116のそれ以上の細部は、共通所有者の米国特許第9,066,828号明細書に開示されており、この米国特許を参照により引用し、この記載内容全体を本明細書の一部とする。血管内プロテーゼの配備のためのそれ以上の細部(方法、カテーテルおよびシステムを含むが、これらには限定されない)が共通所有者の米国特許第6,761,733号明細書および同第6,733,521号明細書ならびに共通所有者の米国特許出願公開第2006/0009833号明細書および同第2009/0099649号明細書に開示されており、これらの特許文献を参照により引用し、これらの記載内容全体を本明細書の一部とする。
【0013】
外側シース104は、生体適合性材料で作られるのが良い。幾つかの実施形態では、生体適合性材料は、生体適合性ポリマーであるのが良い。適当な生体適合性ポリマーの例としては、ポリオレフィン、例えばポリエチレン(PE)、高密度ポリエチレン(HDPE)およびポリプロピレン(PP)、ポリオレフィンコポリマーおよびターポリマー、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリウレタンウレア、ポリプロピレンおよびポリカーボネート、ポリビニルアセテート、ポリエーテル‐ポリエステルブロックコポリマーおよびポリアミド/ポリエーテル/ポリエステルエラストマーを含む熱可塑性エラストマー、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアクリルニトリル、ポリアクリルアミド、シリコーン樹脂、これらの組み合わせおよびコポリマーなどが挙げられるが、これらには限定されない。幾つかの実施形態では、生体適合性ポリマーとしては、ポリプロピレン(PP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、高密度ポリエチレン(HDPE)、これらの組み合わせおよびコポリマーなどが挙げられる。有用な被膜材料としては、任意適当な生体適合性被膜が挙げられる。適当な被膜の非限定的な例としては、ポリテトラフルオロエチレン、シリコーン、親水性材料、ヒドロゲルなどが挙げられる。有用な親水性被膜材料としては、アルキレングリコール、アルコキシポリアルキレングリコール、例えばメトキシポリエチレンオキシド、ポリオキシアルキレングリコール、例えばポリエチレンオキシド、ポリエチレンオキシド/ポリプロピレンオキシドコポリマー、ポリアルキレンオキシド‐改質ポリジメチルシロキサン、ポリホスファゼン、ポリ(2‐エチル‐2‐オキシゾリン)、(メト)アクリル酸、ポリ(アクリル酸)のホモポリマーおよびコポリマー、メチルビニルエーテルおよびマレイン酸のコポリマーを含む無水マレイン酸のコポリマー、ビニルピロリドンのポリ(ビニルピロリドン)ホモポリマーおよびコポリマーを含むピロリドン、ポリ(ビニルスルホン酸)、ポリ(N‐アルキルアクリルアミド)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(エチレンイミン)を含むアクリルアミド、ポリアミド、ポリ(カルボン酸)、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドリキシプロピルセルロース、ポリビニルスルフォン酸、水溶性ナイロン、ヘパリン、デキストラン、改質デキストラン、ヒドロキシル化キチン、コンドロイチンスルフェート、レシチン、ヒアルロン、これらの組み合わせおよびコポリマーなどが挙げられるが、これらには限定されない。適当なヒドロゲル被膜の非限定的な例としては、ポリエチレンオキシドおよびそのコポリマー、ポリビニルピロリドンおよびその誘導体、ヒドロキシエチルアクリレートまたはヒドロキシエチル(メト)アクリレート、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリエチレン無水マレイン酸、これらの組み合わせおよびコポリマーなどが挙げられる。幾つかの実施形態では、外側シース104は、ポリマー材料、例えば、ポリイミド、ポリエステルエラストマー(Hytrel(登録商標))、またはポリエーテルブロックアミド(Pebax(登録商標))、ポリテトラフルオロエチレン、および他の熱可塑性樹脂およびポリマーで作られるのが良い。外側シース104の外径は、約0.1インチ(2.54mm)から約0.4インチ(10.16mm)までの範囲にあるのが良い。外側シース104の壁厚は、約0.002インチ(0.0508mm)から約0.015インチ(0.381mm)までの範囲にあるのが良い。外側シース104は、外側親水性被膜を更に有するのが良い。さらに、外側シース104は、金属フィラメントかポリマーフィラメントかのいずれかの内側編組または違ったやり方の強化部分を有するのが良い。
【0014】
近位ハンドル組立体109は、引っ込め用ハンドル106、主ガイドワイヤポート114、補助ポート112および二次的ガイドワイヤポート110を含むのが良い。これらのポートのうちどれも、例えば引きワイヤまたは押しワイヤ、ロッドまたは糸へのアクセス部を有するフラッシングポート(図示せず)または追加の入れ子状ポート(図示せず)を更に含むのが良い。
【0015】
図2に示されている運搬システムまたはカテーテル100は、この完全にシースが施された段階にあり、すなわち、引っ込め用ハンドル106は、遠位側の位置にあり、外側シース104は、その遠位位置では完全に配備されている。
図3では、引っ込め用ハンドル106は、外側シース104を近位側に引っ込めるよう近位側に引っ込められている。
【0016】
図3に示されているように、運搬システムまたはカテーテル100は、主ガイドワイヤ118が摺動可能に収納されている主ガイドワイヤルーメン120を更に含むのが良い。主ガイドワイヤ118の遠位部分は、遠位先端部またはノーズコーン102から出るのが良く、主ガイドワイヤ118の近位部分は、主ガイドワイヤポート114を介してアクセス可能でありまたは操作可能である。主ガイドワイヤ118は、代表的には、大動脈12中に、そしてもしあれば大動脈瘤14を越えて配備されるのが良い。
【0017】
運搬またはカテーテルシステム100は、一体形の第2のまたは下腹部運搬システムまたはカテーテル111を含むのが良い。一体形下腹部運搬システム111は、遠位端124を備えた内腸骨動脈(下腹部)カニューレ挿入ワイヤ122、カニューレ挿入ワイヤを摺動可能に挿通状態で収納したカニューレ挿入ワイヤルーメン126、第2の外側シース128、第2のノーズコーン136およびオプションとして血管内プロテーゼまたはステント‐グラフト(図示せず)を固定するステント固定コンポーネント130を含むのが良く、これらは図示のように互いに関係づけられている。第2の外側シース128は、外側シース104のための上述の材料のうちの任意のもので構成できる。
図3では、第2の外側シース128は、ステント‐グラフト(図示せず)の配備のためのその近位側の位置にある。以下に説明するように、第2の外側シース128は、当初、ステント‐グラフトを覆うよう近位側に位置決めされている。ステント固定コンポーネント130は、第2の外側シース128を遠位側に前進させてステント‐グラフトを配備しているときにステント‐グラフトを一体形下腹部運搬システム111内に解除可能に固定するのに役立つ。換言すると、ステント固定コンポーネント130は、第2の外側シース128を引っ込めまたは近位側に動かしているときにステント‐グラフトをカニューレ挿入ワイヤルーメン126に嵌めた状態で比較的固定された位置に保つのに有用である。
【0018】
図4は、
図3の運搬システムの遠位部分であるカテーテルの分解組立て図である。カニューレ挿入ワイヤ122は、摺動可能なコネクタまたは連結具132を介して主ガイドワイヤ118に摺動可能に係合している。かかる摺動可能なコネクタ132を備えたシステム100の使用により、必要ならば内腸骨動脈または下腹部動脈24中へのカニューレ挿入ワイヤ122の遠位部分の容易な位置決めおよび回転が可能である。
【0019】
主ガイドワイヤ118およびカニューレ挿入ワイヤ122は、摺動可能なコネクタ132を通って摺動可能に設けられている。摺動可能なコネクタ132を越えて遠位側に配置されたカニューレ挿入ワイヤ122の一部分は、必要ならば、ループ134の形態をしているのが良い。しかしながら、本発明は、これには限定されず、他の構成を適当に使用することができる。例えば、運搬システムまたはカテーテル100は、カニューレ挿入ワイヤ122のループ134を摺動可能に固定するガイドワイヤに適合したルーメン134′を有するのが良い。摺動可能なコネクタ132は、内腸骨動脈または下腹部動脈24中へのアクセスを容易にするために主ガイドワイヤルーメン120または主ガイドワイヤ118に沿って動くことができる。ガイドワイヤシャフトまたはルーメンは、ポリマー製の部材であっても良く金属製の部材であっても良く、かかる部材としては、ハイポチューブが挙げられるが、これには限定されない。
【0020】
図5に示されているように、ステント固定コンポーネント130は、ステント固定コンポーネントカップリング138を介してカニューレ挿入ワイヤルーメン126に固定されるのが良い。カップリング138をルーメン126に固定する非限定的な一手段としては、接着剤の使用が挙げられる。
図6に示されているように、外側シース104は、本発明による運搬段階中、ハイポチューブ116上でこれに沿って引っ込み可能である。
【0021】
図7に示されているように、一体形下腹部運搬システム111は、シースカップリング140を含むのが良い。シースカップリング140は、第2の外側シース128の遠位部分に固定されるとともにカニューレ挿入ワイヤルーメン126上でこれに沿って摺動可能に設けられている。外側シース104を遠位側に前進させると、第2の外側シース128を遠位側に押してカニューレ挿入ワイヤルーメン126に嵌めた状態で設けられているステント‐グラフトを露出させることができる。
図9に示されているように、シースカップリング140は、シースカップリング140の制御された運動を容易にするよう外側シース104の端部分に係合可能な戻り止め141を有するのが良い。
【0022】
しかしながらシースカップリング140は、その運動を制御するための外側シース104の使用には限定されない。
図8に示されているように、シースカップリング140にはロッド148が固定されているのが良い。ロッド148の近位端(図示せず)は、近位ハンドル組立体109のところでアクセス可能であるのが良い。ロッド148は、シースカップリング140の近位側への運動または遠位側への運動をそれぞれ制御するよう近位ハンドル組立体109のところで引かれまたは押されるのが良い。ロッド148は、
図9のシースカップリングバットレス実施形態と関連して使用できまたは
図9のシースカップリングバットレス実施形態なしでも使用できる。
【0023】
以下に説明するように、一体形下腹部運搬システム111は、下腹部ステント‐グラフトの配備後に外側シース104内に戻される。
図10および
図11に示されているように、一体形下腹部運搬システム111の第2のノーズコーン136は、第2のノーズコーン136に取り付けられまたはこれと関連した糸150を有するのが良い。糸150は、糸ルーメン152内に設けられるのが良い。糸150および/または糸ルーメン152は、カニューレ挿入ワイヤルーメン126に沿って、例えばカニューレ挿入ワイヤルーメン126の外側に沿ってかつカニューレ挿入ワイヤルーメン126に嵌めて設けられているステント‐グラフトの下に設けられるのが良い。糸150の近位部分(図示せず)は、近位ハンドル組立体109のところでアクセス可能であるのが良い。糸150を近位ハンドル組立体109のところで近位側に引くと、必要ならば、第2のノーズコーン136を含む一体形下腹部運搬システム111に外側シース104内で再びシースを施すのを容易にすることができる。
【0024】
しかしながら、本発明は、一体形下腹部運搬システム111に再びシースを施すのを助けるための糸150の使用には限定されない。
図12および
図13に示されているような他の技術および器具を糸150と関連してまたはこれと関連しないで使用することができる。
【0025】
図12に示されているように、例えば、摺動可能なスネア142を用いて一体形下腹部運搬システム111に再びシースを施すのを助けることができる。摺動可能なスネア142は、第2の外側シース128に嵌めて設けられるのが良く、摺動可能なスネア142(図示せず)の近位部分を近位ハンドル組立体109のところで近位側に引くと、一体形下腹部運搬システム111は、主ガイドワイヤ118またはガイドワイヤルーメン120に関して当接しまたは隣接した位置関係に向かって動かされ、それにより外側シース104内で再びシースを施すのが容易になる。
【0026】
図13に示されているように、例えば、摺動可能なスリーブ144は、第2の外側シース128に嵌めて設けられるのが良い。摺動可能なスリーブ144のための引きワイヤ146を近位ハンドル組立体109のところで近位側に引くと、スリーブ144を第2の外側シース128上でこれに沿って近位側に摺動させることができ、それにより一体形下腹部運搬システム111は、主ガイドワイヤ118またはガイドワイヤルーメン120に関して当接しまたは隣接した位置関係に向かって動かされ、それにより外側シース104内で再びシースを施すのが容易になる。
【0027】
図14〜
図20は、一体形下腹部運搬システム111を有するカテーテル100の運搬システムの種々の配備段階を示している。
【0028】
図6〜
図11と関連して配備シーケンスおよび配備シーケンスを達成するための器具について更に説明する。本発明は、
図6〜
図11に示されている段階には限定されず、これら段階の改造例および変形例を適当に使用することができる。
【0029】
血管内方法に関し、患者の血管系へのアクセスは、患者の大腿動脈に対する動脈切開術またはカットダウン法を実施することによりまたは他の一般的な技術、例えば経皮セルディンガー法によって達成できる。かかる技術に関し、運搬シース(図示せず)を拡張器・ガイドワイヤ組立体の使用により、患者の血管、例えば大腿動脈と連絡関係をなして配置するのが良い。運搬シースをいったん位置決めすると、患者の血管系に対するアクセスは、運搬シースを介して達成でき、この運搬シースは、オプションとして、止血弁または他の適当な機構によって密封されるのが良い。幾つかの用途では、運搬シースが必要ではない場合があり、本発明の運搬カテーテル100を血管切開術か経皮穿刺かのいずれかによって患者のアクセス血管中に直接挿入することができる。
【0030】
図14に示されているように、運搬システムまたはカテーテル100は、主ガイドワイヤ118上でこれに沿って腸骨動脈瘤20に向かってまたはこれを越えて外腸骨動脈22を介して配備可能である。外側シース104は、例えば
図2に示されているその初期配備段階にある。運搬システムまたはカテーテル100のノーズコーン102または遠位部分は、下腹部動脈24を越えて配置されている。
【0031】
図15に示されているように、外側シース104を近位側に引き抜きまたは引いて一体形下腹部運搬システム111を露出させる。
図16に示されているように、次に、下腹部カニューレ挿入ワイヤ122を腸骨動脈16にカニューレ挿入する。
図15および
図16では、摺動可能なコネクタ132は、下腹部動脈24中への下腹部カニューレ挿入ワイヤ122のアクセスを可能にするよう遠位側に位置決めされている。
【0032】
図17では、摺動可能なコネクタ132は、第2の外側シース128の近位部分を下腹部動脈24中に前進させるために近位側に引っ込められている。
図18では、第2の外側シース128は、下腹部ステント‐グラフト154を露出させるために遠位側に引き抜かれまたは引っ込められている。一実施形態では、拡張可能なステント‐グラフト154は、拡張可能なステント‐グラフトの壁を貫通して延びる開放通路が設けられていない無窓ステント‐グラフトである。本明細書で用いられる無窓という用語は、ステント‐グラフトの壁に設けられていて、例えば補助運搬コンポーネント、例えば運搬カテーテルおよびガイドワイヤ(これらには限定されない)のためのアクセスを可能にする別々の開口部または通路が設けられていないことを意味している。しかしながら、かかる開口部または通路にはグラフトそれ自体の壁に存在する孔(もしあっても)が含まれない。下腹部ステント‐グラフト154の遠位部分は、下腹部動脈24内に配備されている。下腹部ステント‐グラフト154の配備または拡張時、ステント‐グラフト154の遠位部分158は、下腹部動脈24の管腔に未着することができる。ステント‐グラフト154の近位部分160は、代表的には、腸骨動脈瘤20内に配置されるが、所望ならば、腸骨動脈16内に配置できる。
【0033】
図19では、下腹部カニューレ挿入ワイヤ122は、第2の外側シース128内に引っ込められている。第2の外側シース128は、主ガイドワイヤルーメン120に隣接してまたはこの近くに近位側に動かされており、例えば、第2の外側シース128の近位部分が動かされる。第2のノーズコーン136を第2の外側シース128内で部分的にか全体的にかのいずれかで再び捕捉する。
【0034】
図20では、外側シース104は、一体形下腹部運搬システム111に再びシースを施すよう遠位側に送り進められている。
【0035】
図21では、腸骨動脈ステント‐グラフト156が代表的には主ガイドワイヤ118に嵌められた別のカテーテル(図示せず)により配備されている。ステント‐グラフト156の近位部分162は、代表的には、腸骨動脈瘤20内に配置されているが、所望ならば、腸骨動脈16内に配置されても良い。ステント‐グラフト154の近位部分160の近位端およびステント‐グラフト156の近位部分162の近位端は、実質的に並置関係をなすよう位置決めされているが、幾分かのオーバーラップが許容可能である。ステント‐グラフト156の遠位部分164は、外腸骨動脈22内に配備されている。
【0036】
図22は、腸骨動脈16または腸骨動脈瘤20内に位置した下腹部ステント‐グラフト154および腸骨動脈ステント‐グラフト156の断面図である。下腹部ステント‐グラフト154と腸骨動脈ステント‐グラフト156は、腸骨動脈16または腸骨動脈瘤20内またはそれどころか以下に説明する別のステント‐グラフト内に実質的な密封状態を提供するよう形状適合性があり、かくして適正な血流が保たれる。
【0037】
ステント‐グラフト154,156のグラフト部分は、任意の生体適合性および耐久性のある材料で作られた壁部分を有するのが良く、かかる材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ化エチレンプロピレン、フッ化エチレンプロピレン、ポリビニルアセテート、ポリスチレン、ポリ(エチレンテレフタレート)、ナフタレンジカルボキシレート誘導体、例えばポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリトリメチレンナフタレートおよびトリメチレンジオールナフタレート、ポリウレタン、ポリウレア、シリコーンゴム、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリアルデヒド、ポリエーテルエーテルケトン、天然ゴム、ポリエステルコポリマー、シリコーン、スチレン‐ブタジエンコポリマー、ポリエーテル、例えば完全または部分ハロゲン化ポリエーテル、これらのコポリマーおよび組み合わせが挙げられるが、これらには限定されない。望ましくは、グラフト材料は、テキスタイルグラフトと併用可能なノンテキスタイルグラフト材料、例えば織編されておらず、編組されておらず、フィラメント紡糸されていない等の材料である。かかる有用なグラフト材料は、押し出し材料であるのが良い。特に有用な材料としては、識別可能な節およびフィブリル微細構造がなく、しかも結晶粒界が隣接の高密度領域の結晶粒界に直接相互連結された高密度領域を有するとともに実質的に節およびフィブリル微細構造のない独立気泡微細構造を含む流体透過性が低いまたは実質的にゼロである(湿潤)延伸PTFE層のない多孔質ポリテトラフルオロエチレンおよび流体透過性がゼロでありまたは実質的にゼロである多孔質PTFEが挙げられる。ePTFEの隣接の節を相互に連結している明確な互いに平行なフィブリルを欠いているPTFE層は、20,000倍の走査型電子顕微鏡(SEM)で見て識別可能な節およびフィブリル微細構造を備えていない。流体透過性がゼロでありまたは実質的にゼロである多孔質PTFE層は、約12時間以上のガーレ数または本質的に無制限のまたは大きすぎて測定することができないガーレ数を有する場合があり、このことは、測定可能な流体透過性がゼロであることを示している。流体透過性が実質的にゼロであるPTFE層の中には、100ccの空気で約10
6秒以上のガーレ数を有するものがある。ガーレ秒数は、所与の量、代表的には25cc、100ccまたは300ccの空気が標準圧力、例えば水柱12.4cm下で材料またはフィルムの標準1平方インチを通って流れるのに必要な時間を測定することによって求められる。かかる試験は、ニューヨーク州トロイ所在のガーレ・プレシジョン・インストゥルメンツ(Gurley Precision Instruments)製のGurley Densometerを用いて実施できる。かかる有用なPTFE材料およびこれを製造する方法の詳細は、ハンフェリー等(Humphery et al)に付与された共通所有者の米国特許第8,728,372号明細書(発明の名称:PTFE Layers and Methods of Manufacturing)に見受けられ、この特許文献を参照により引用し、その記載内容全体を本明細書の一部とする。
【0038】
グラフト部分は、軟質グラフト材料、例えばPTFEまたはePTFEの1つまたは複数の内側層および1つまたは複数の外側層で作られるのが良い。一実施形態では、軟質グラフト材料は、実質的に多孔質であるが、識別可能な結節および原線維構造を含んでいないPTFEを含む。グラフト材料の内側および外側層は、1種類または複数種類のグラフト材料の多数の層の管状押し出し物、積層ラップなどで作られるのが良い。グラフト材料の内側または外側層は、幾つかの実施形態については透過性であっても良く、半透過性であっても良くまたは実質的に不透過性であっても良い。
【0039】
ステント‐グラフト154,156は、望ましくはステント‐グラフト器具である。第1の半径方向に拡張可能なステント300がステント‐グラフトのレッグについてグラフト材料の外側層(図示せず)と内側層(図示せず)の間に介在して設けられるのが良い。グラフト材料の外側層と内側層との間に介在して設けられたステントは、複数の長手方向に間隔を置いて設けられたターンを備えた状態で開放管状形態の状態に螺旋巻きされた細長い弾性要素で作られるのが良い。螺旋巻きステントは、自己拡張型ステントであるよう構成されても良く、あるいは、器具、例えば拡張可能なバルーンなどからの外部半径方向力によって作動された状態で非弾性的に半径方向に拡張可能であるよう構成されても良い。グラフト延長部118,120に使用できる幾つかの管状プロテーゼ実施形態がゴールド等に付与された米国特許第6,673,103号明細書(発明の名称:Mesh and Stent for Increased Flexibility)で説明されており、この米国特許を参照により引用し、その記載内容全体を本明細書の一部とする。
【0040】
ステント‐グラフト154,156のステントまたはワイヤ部分は、ステンレス鋼、ニッケルチタン合金(NiTi)例えばニチノール(NITINOL)または任意他の適当な材料で構成でき、かかる任意他の適当な材料としては、コバルト基合金、例えばエルジロイ(ELGILOY)、白金、金、チタン、タンタル、ニオブおよびこれらの組み合わせが挙げられるがこれらには限定されない。ステント‐グラフト154,156は、バルーン拡張型であっても良く自己拡張型であっても良い。ステント‐グラフト154がバルーン拡張型である場合、一体形下腹部運搬システム111は、かかるステント‐グラフトを拡張させるようカニューレ挿入ワイヤルーメン126に嵌められたバルーン(図示せず)を含むのが良い。バルーンは、運搬システムに設けられたバルーン流体ポートおよびルーメン(図示せず)を介してバルーンをインフレートさせたりデフレートさせたりすることができる。かかる場合、第2の外側シース128は、一体形下腹部運搬システム111から省かれるのが良い。
【0041】
図23、
図24、
図25、
図26A〜
図26E、
図27A、
図27Bおよび
図28に詳細に示されているように、全体として管状のステント300がステント‐グラフト154,156のために設けられるのが良い。管状ステント300は、一連の隣り合う螺旋巻き部302を形成する螺旋巻きの波状に起伏したワイヤを含み、かかるワイヤは、上述の材料(弾性金属、例えばニチノールを含む)で作られるのが良い。ステント300の端304,306は、別々の領域でステントの隣接のリング部分に固定されるのが良い。例えば、PTFEグラフト材料か場合によっては患者の皮膚かのいずれかへの要素の端の露出を回避するために図示のように第1の端が第1の固定箇所308を介して結合されるのが良く、そして第2の端が第2の固定箇所310のところで接合されるのが良い。好ましい実施形態では、固定箇所308,310は、それぞれ、第1の端304および第2の端306の近位側に配置されており、ステント300には他の固定箇所は設けられていない。すなわち、第1の端304(近位端304と称する場合がある)および第2の端306(遠位端306と称する場合がある)のそれぞれのところの螺旋巻き部302は別として、ステント300の隣り合う似通った円周方向巻き部302には相互連結固定箇所が存在しない場合がある。任意の固定手段を用いることができ、かかる固定手段としては、例えば、溶接、例えばストラットおよび溶接部が挙げられる。ステントの相対剛性は、有益な耐キンク性を提供するようPTFEグラフト材料の剛性よりも高いことが望ましい。
【0042】
波状に起伏したワイヤは、延長部の一端304から延長部の他端306まで延びる一連の螺旋巻き部302を形成する連続要素であるのが良い。かくして、管状ステント300は、第1の端304から第2の端306までこれを貫通して延びる内部ルーメン320を有する。細長い要素の端304,306は、任意適当な手段、例えば接着、溶接、例えばレーザ溶接、はんだ付けなどによって隣のリング部材に固定されるのが良い。幾つかの実施形態に関し、ステント要素は、約0.005インチ(0.127mm)〜約0.015インチ(0.381mm)の横方向寸法または直径を有するのが良い。
図24および
図25で理解できるように、ステント300は、テーパしているのが良くまたはラッパ状に広がっているのが良い。加うるに、所望ならば、隣り合う螺旋巻き部302は、隣り合う螺旋巻き部302が一端のところに(第1の端304か第2の端306かのいずれかのところに)ステント300の端の近位側に位置するステント300の一部分のところに鋭角形成部を有するような配列状態315をなしているのが良い。すなわち、所望ならば、端の最も近くに位置する螺旋巻き部(302′として示されている)は、長手方向軸線とほぼ180°の角度をなすのが良く、他方、この螺旋巻き部のすぐ隣に位置する螺旋巻き部(302″として示されている)は、180°未満の角度をなしている。これら2つの螺旋巻き部(302′,302″)は、固定箇所308,310のところに取り付けられるのが良い。
【0043】
図26A〜
図26Eは、ステント300を形成する際に波状に起伏したワイヤによって形成される螺旋巻き部302の種々の配列状態を示している。隣り合う螺旋巻き部が302A,302Bとして示されているが、理解されるように、
図26A〜
図26Eに示されている配列状態は、ステント300の各螺旋巻き部302に利用されるのが良い。変形例として、
図26A〜
図26Eに示されている配列状態は、ステント300の螺旋巻き部302のうちの幾つかにのみ利用されても良い。ステント300の波状に起伏したワイヤは、ワイヤが螺旋巻きされているときに一連の山部312および谷部314を有する。山部312と谷部314の配列状態は、様々であって良く、任意所望のやり方で配列できる。幾つかの実施形態では、例えば、
図26Aの実施形態では、1つの円周方向巻き部302Aの山部312は、その隣の円周方向巻き部302Bの山部312と実質的に整列するのが良い。
図26Bで理解できるように、隣り合う円周方向巻き部302A,302Bは、互いに間隔を置いて配置されるのが良い。
図26Cで理解できるように、隣り合う円周方向巻き部302A,302Bは、互いに近くに位置するのが良い。
図26Dに記載されている別の実施形態では、1つの円周方向巻き部302Bの1つの山部312は、その隣の巻き部302Aの2つの山部312をまたぐのが良い。
図26Eに記載されている別の実施形態では、1つの円周方向巻き部302Aの山部312は、その隣の円周方向巻き部302Bの谷部314と実質的に整列するのが良い。螺旋巻き部302の他の配列状態が想定され、これについては当業者によって容易に理解されよう。
【0044】
隣り合う巻き部302A,302B相互間の距離は、ステント300の長さに沿って様々であって良く、一端304のところの距離は、第2の端306のところの距離とは異なっている。各実施形態では、2つの距離が考慮されるべきである。第1の距離Xは、第1の巻き部(302A)の最も低い谷部(314)と第2の巻き部(302B)の最も高い山部(312)との間の距離である。第2の距離Yは、第1の巻き部(302A)の最も高い山部(312)と最も低い谷部(314)との間の距離である。
【0045】
X/Y(または均等表現としてX/Y)の少なくとも2つまたは3つ以上の互いに異なる比が器具に存在するのが良い。第1の比は、X/Yが比較的大きな正の数であるような比であり、すなわち、距離(X)とこれと比較する距離(Y)との間には比較的大きな離隔距離が存在する。第2の比は、X/Yが比較的な小さな正の数であるような比であり、すなわち、距離(X)とこれと比較する距離(Y)との間には比較的僅かな離隔距離が存在する。最後に、第3の比は、X/Yが負の数であるような比であり、すなわち、第1の巻き部(302A)の最も低い山部は、第2の巻き部(302B)の元も高い山部よりも低い箇所まで下降している。
【0046】
比X/Yは、局所領域のステント‐グラフトの所望の特性を得るよう操作されるのが良い。比較的大きなX/Yの比(好ましくは、約0.5を超える)は、ステント‐グラフトの可撓性の高い領域を生じさせる。小さいX/Yの比(好ましくは、約0.1〜約0.5)は、適度の可撓性および適度の半径方向力を持つステント‐グラフトの領域を生じさせる。僅かなまたは負のX/Yの比(好ましくは、約0.1以下)のステント‐グラフトの領域は、半径方向力が比較的高く、可撓性が比較的低い。上述のX/Yについての範囲は、ステントの高さYがステントの直径Dの約1/3からステントの直径Dにほぼ等しい寸法までの範囲にある場合に適当である。YがDと比較してこれよりも大きい場合、上述のX/Yの比に関する範囲は、縮小される。同様に、Yがステント直径Dよりも非常に小さい場合、上述の範囲に関する数値を増大させる。
【0047】
上述の原理を用いると、所望の特性を達成するために長さに沿うX/Yの様々な比を備えた状態でステント‐グラフトを構成することができる。例えば、ステント‐グラフトを腹大動脈瘤(AAA)のためのモジュール式血管内グラフトの腸骨動脈リムとして用いる場合、ステント‐グラフトの近位端が比較的高い半径方向力を有し、それによりモジュール式システムの大動脈本体コンポーネント中への固定具合を最大にすることが望ましい場合がある。この場合、腸骨動脈リムの近位端は、X/Yの比を小さくまたは負にした状態、例えば−0.5にした状態で設計される場合があり、Yは、例えば、ステント‐グラフト直径の約1/5〜1/2までとなるよう選択される場合がある。この範囲内においては、可撓性は、半径方向力よりも重要度が低く、したがって、負のX/Yの比は、所望の特性を生じさせる。ステント‐グラフトの中間部では、可撓性は、AAA患者に見受けられる場合の多い曲がりくねった総腸骨動脈に対応するのに重要になる。この場合、この可撓性を達成するには比較的大きなX/Yの比、例えば約0.55を提供することが望ましい場合がある。ステント‐グラフトの遠位端の近くでは、この場合もまた、患者の総腸骨動脈中への腸骨動脈リムの固着および密封状態を促進するよう大きな半径方向力を提供するが、近位端のところではそれほど大きな半径方向力を提供しないようにすることが望ましい場合がある。この場合、X/Yの比をほぼゼロに、例えば約−0.1〜約0.3にすることが望ましい場合がある。
【0048】
ステントは、ステント‐グラフトの長さに沿って螺旋状に形成されるので、この長さに沿って変化が滑らかであって急峻な変化がないステント‐グラフトの種々の領域に所望の特性を達成するようX/Yの比を連続的に変化させることが可能である。これら滑らかな変化は、血管系に対する形状適合性を促進し、ステント‐グラフトの長さに沿う機械的特性の急激な変化に起因して生じる場合がある応力および/またはひずみの集中および潜在的なキンクを回避する。
【0049】
ステント300は、長手方向軸線(一般的に内部ルーメン320に沿って定められる)およびこの長手方向軸線に垂直な半径方向軸線を有するのが良く、この場合、螺旋巻き部302は、半径方向軸線に対して約3°〜約15°の鋭角である巻き角で巻かれる。
図24および
図25で理解できるように、第1の端304の近位側に位置するステント300の一部分のところでの鋭角としての巻き角は、第2の端306の近位側に位置するステント300の一部分のところでの鋭角としての巻き角とは異なっている。幾つかの実施形態では、第1の端304のところの第1の螺旋巻き部302は、長手方向軸線に垂直であるのが良い。さらに、第2の端306のところの螺旋巻き部302は、長手方向軸線に垂直であることが望ましい場合がある。第1の端304および第2の端306のところの螺旋巻き部302は、両方とも、長手方向軸線に垂直にあっても良く、あるいは、一方だけが長手方向軸線に垂直であっても良い。螺旋巻き部302の隣接の山部312と隣接の谷部314は、この隣接の山部の頂からこの隣接の谷部の底までの山部高さを有する。ステント300の第1の端304の近位側に位置するステント300の一部分のところの山部高さは、ステント300の第2の端306の近位側に位置するステント300の一部分のところの山部高さとは異なっていることが望ましい場合がある。
【0050】
少なくとも1つのグラフト層がステント300に設けられるのが良い。グラフト層の配置状態は、
図27A、
図27Bおよび
図28で最も良く理解できる。幾つかの実施形態では、内側グラフト層318が螺旋巻きステント300の内面に被着されるのが良く、それにより内側ルーメン320が形成される。第2のグラフト層316が螺旋巻きステント300の外面に被着されるのが良く、それにより外面が形成される。グラフト材料の2つ以上または3つ以上の層が所望に応じて螺旋巻きステント300の内部または外部に被着できる。第1および/または第2のステント‐グラフト80,90の幾つかの実施形態に関し、互いに異なる特性を備えた材料の層を組み合わせて用いると、所望の臨床上の性能を達成することができる。例えば、ステント300を覆うPTFEの幾つかの層は、所望の性能および材料特性に応じて、透過性であっても良く、半透過性であっても良く、または実質的に不透過性であっても良い。層316,318は、様々な方法によって被着可能であり、様々な形態を有することができる。例えば、幾つかの実施形態としての層は、マンドレルまたは組立部品に嵌めて軸方向に設けられた押し出し管状構造体を有するのが良い。幾つかの層実施形態としてのグラフト層316,318は、層を円周方向に巻きあるいはテープまたはリボンを、オーバーラップ螺旋パターンをなして巻くことによって被着できる。幾つかの実施形態に関し、外側層316は、半透過性または実質的に不透過性のPTFE層で作られるのが良くまたはこれを含むのが良く、内側層318は、PTFEの透過性層で作られまたはこれを含むのが良い。
【0051】
第1および/または第2のステント‐グラフト154,156は、材料の層316,318をマンドレル、例えば円筒形マンドレル(図示せず)に嵌めた螺旋巻きステント300と一緒に形成することによって構成できる。第1および/または第2のステント‐グラフト80,90の最も内側の層316を造形されたマンドレルの周りにいったん巻くと、螺旋ニチノールステント、例えば螺旋ステント300が最も内側の層上PTFE層316および下に位置するマンドレルに嵌めて配置されるのが良い。所望ならば、グラフト材料の1つまたは2つ以上の追加の層318がステント300の外部上に巻かれまたは違ったやり方で追加されるのが良い。所望ならば、外側層318は、低い透過性のPTFE膜または伝統的な結節・原線維微細構造を備えていない実質的に透過性のないPTFE膜を有するのが良い。この場合、マンドレルは、可撓性管で覆われるのが良く、したがって、層316,318およびステント300が圧力下でサンドイッチされ、そして焼結されてPTFE材料が溶融変態(melt transformation)を生じる温度を上げ、その目的は、その幾何学的形状および強度を固定することにある。可撓性管(製造上の補助手段は図示されていない)は、器具上から取り去られており、その結果生じる第1および第2のステント‐グラフト154,156がマンドレルから取り出される。
【0052】
第1および/または第2のステント‐グラフト154,156のグラフト部分は、少なくとも部分的にポリテトラフルオロエチレン(PTFE)で作られるのが良く、かかるポリテトラフルオロエチレンは、発泡ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)を含むのが良い。特に、主グラフト10およびグラフトレッグ118,120は、支持または補助構造体、例えば高強度ステント、コネクタリングなどが設けられていない状態で1種類または複数種類の柔軟なグラフト材料についてだけ約0.003インチ(0.076mm)〜約0.015インチ(0.381mm)の非圧縮状態の層状厚さを有するPTFEおよび/またはePTFEの任意数の層(約2〜約15個の層を含む)を有するのが良い。かかるグラフト本体区分は、グラフト用途に適した任意の別の高い強度の柔軟な生体適合性材料、例えばダクロン(DACRON)を更に含むのが良い。グラフト本体区分ならびに本明細書において説明する実施形態の任意のものに関して任意適当な組み合わせ状態で使用できるグラフト組立体の他のコンポーネントについての種々の構成についての説明がチョボトフ等に付与された米国特許第7,125,464号明細書(発明の名称:Method and Apparatus for Manufacturing an Endovascular Graft Section)、チョボトフ等に付与された米国特許第7,090,693号明細書(発明の名称:Endovascular Graft joint and Method of Manufacture)、チョボトフ等に付与された米国特許第7,147,661号明細書(発明の名称:Method and Apparatus for Shape Forming Endovascular Graft Material)、チョボトフ等に付与された米国特許第7,147,660号明細書(発明の名称:Advanced Endovascular Graft)およびハンフリー等に付与された米国特許第8,728,372号明細書(発明の名称:PTFE Layers and Methods of Manufacturing)に見受けられ、これら米国特許の各々を参照により引用し、その記載内容全体を本明細書の一部とする。
【0053】
モジュール式コンポーネントを含む上述のグラフト組立体の追加の細部がヤング等名義の米国特許出願公開第2013/0261734号明細書(発明の名称:Advanced Kink Resistant Stent Graft)に見受けられ、この米国特許出願公開を参照により引用し、その記載内容全体を本明細書の一部とする。
【0054】
運搬システムおよび患者の体内への器具の運搬の種々の方法がチョボトフ等名義の米国特許出願公開第2009/0099649号明細書(発明の名称:Modular Vascular Graft for Low Profile Percutaneous Delivery)に記載された方法を含み、この米国特許出願公開を参照により引用し、その記載内容全体を本明細書の一部とする。血管内方法に関し、患者の血管系へのアクセスは、患者の大腿動脈に対する動脈切開術またはカットダウン法を実施することによりまたは他の一般的な技術、例えば経皮セルディンガー法によって達成できる。かかる技術に関し、運搬シース(図示せず)を拡張器・ガイドワイヤ組立体の使用により、患者の血管、例えば大腿動脈と連絡関係をなして配置するのが良い。運搬シースをいったん位置決めすると、患者の血管系に対するアクセスは、運搬シースを介して達成でき、この運搬シースは、オプションとして、止血弁または他の適当な機構によって密封されるのが良い。幾つかの手技に関し、運搬シースが患者の大動脈に向かって上流側に差し向けられた状態で運搬シースまたは他の適当な手段による患者の両方の大腿動脈へのアクセスを得ることが必要な場合がある。幾つかの用途では、運搬シースが必要ではない場合があり、運搬カテーテルを血管切開術か経皮穿刺かのいずれかによって患者のアクセス血管中に直接挿入することができる。
【0055】
本発明のシステム、器具、方法および技術を腹大動脈瘤の治療のためのシステム、器具、方法および技術とともに使用できる。腹大動脈瘤を治療するのに有用な血管内プロテーゼおよび/またはグラフト延長部の詳細が共通所有者の米国特許第6,395,019号明細書、同第7,081,129号明細書、同第7,147,660号明細書、同第7,147,661号明細書、同第7,150,758号明細書、同第7,651,071号明細書、同第7,766,954号明細書および同第8.167,927号明細書ならびに共通所有者の米国特許出願公開第2009/0099649号明細書に見受けられ、これら特許文献の全てを参照により引用し、これらの記載内容全体を本明細書の一部とする。かかる血管内プロテーゼの製造に関する詳細が共通所有者の米国特許第6,776,604号明細書、同第7,090,693号明細書、同第7,125,646号明細書、同第7,147,455号明細書、同第7,678,217号明細書および同第7,682,475号明細書に見受けられ、これら米国特許の全てを参照により引用し、これらの記載内容全体を本明細書の一部とする。インフレート可能なグラフトのための有用なインフレーション材料が共通所有者の米国特許出願公開第2005/0158272号明細書および同第2006/0222596号明細書に見受けられ、これら米国特許出願公開の全てを参照により引用し、これらの記載内容全体を本明細書の一部とする。腹大動脈瘤のための適当な血管内運搬システムの追加の細部が米国特許出願公開第2013/0338752号明細書、同第2013/0338753号明細書および同第2013/0338760号明細書(これらには限定されない)に見受けられ、これら米国特許出願公開を参照により引用し、これらの記載内容全体を本明細書の一部とする。
【0056】
上述したように、本発明の内腸骨動脈保存器具および方法は、本体としてのAAA器具と関連して使用できる。有用であるが非限定的なAAA器具が
図29に示されており、これについて以下において説明する。
【0057】
有用な本体としてのAAA器具は、インフレート可能なグラフト214を含むのが良い。インフレート可能なグラフト214は、主グラフト本体224、同側グラフトレッグ226および対側グラフトレッグ228を有する二股状グラフトであるのが良い。インフレート可能なグラフト214は、インフレーション用媒体(図示せず)のための充填ポート(図示せず)を更に有するのが良い。ステント208の遠位部分230は、コネクタリング242を介して主グラフト本体224に連結された状態で設けられるのが良い。ステント208および/またはコネクタリング242は、任意の生体適合性材料で構成できまたはかかる任意の生体適合性材料を含むことができ、かかる生体適合性材料としては、金属材料、例えばニチノール(ニッケルチタン)、コバルト基合金、例えばエルジロイ(Elgiloy)、白金、金、ステンレス鋼、チタン、タンタル、ニオブ、およびこれらの組み合わせ(これらには限定されない)が挙げられる。しかしながら、本発明は、かかるコネクタリング242の使用には限定されず、ステント208の遠位部分230を主グラフト本体224の端のところまたはこの近くに固定する他の異形コネクタを適切に使用することができる。ステント208の近位部分232は、ステント208の近位部分232に設けられた組織係合刺部(図示せず)を有するのが良い。近位ステント208をいったん部分的にまたは完全に配備すると、次に近位インフレート可能カフ234にインフレーション材料、望ましくは硬化可能または固化可能な材料を充填するのが良く、かかる硬化可能または固化可能な材料は、インフレート可能カフ234の外面を血管または大動脈10の内面に密着させるのに役立ちうる。インフレート可能チャネル236の残りのネットワークにも、加圧インフレーション材料を充填するのが良く、それによりインフレート可能なグラフト214により剛性のフレーム状構造を提供することができる。この器具は、
図20に示されているように対側グラフト延長部238を更に有するのが良い。対側グラフト延長部238は、グラフト214の対側レッグ228とオーバーラップする軸方向位置にある。グラフト延長部238と対側レッグ228の所望のオーバーラップ量は、血管の形態学的特徴、血管疾患度、患者の状態などを含む種々の要因に応じて様々であって良い。しかしながら、幾つかの実施形態に関し、対側グラフト延長部238と対側レッグ228との軸方向オーバーラップ量は、約1cm〜約5cmであるのが良く、より具体的に言えば、約2cm〜約4cmであるのが良い。対側グラフト延長部238をいったん配備すると、同側グラフト延長部240を同様に同側グラフトレッグ226内に配備するのが良い。幾つかの実施形態に関しては互換性があるのが良いグラフト延長部238,240、または任意他の適当な延長器具または主グラフト区分224の幾つかの部分が、様々な適当な形態を有することができる。幾つかの実施形態に関し、グラフト延長部238,240は、螺旋ニチノールステント244を備えたポリテトラフルオロエチレン(PTFE)グラフト242を含むのが良い。
【0058】
上述のステント‐グラフト154,156は、所望ならば、同側グラフト延長部240内に配備可能であるのが良い。上述のステントおよび/またはグラフト材料のうちの任意のものをインフレート可能なグラフト214、ステント208、コネクタリング242、対側グラフト延長部238および同側グラフト延長部240に用いることができる。
【0059】
本発明の種々の実施形態を具体的に図示するとともに/あるいは本明細書において説明したが、当業者であれば、本発明の精神および意図した範囲から逸脱することなく本発明の改造例および変形例を想到することができることは理解されよう。さらに、特許請求の範囲および明細書に説明している本発明の実施形態または観点のうちの任意のものを1つおよび別の実施形態と共に用いることができ、これは本発明を限定するものではない。
【0060】
本発明の以下の実施態様項または観点を任意の仕方でかつ組み合わせ状態に組み合わせることができ、これらは本発明の範囲に含まれ、かかる実施態様項または観点は、次の通りである。
【0061】
〔実施態様項1〕
ステント−グラフトを分岐動脈のところに配備するシステム(100)であって、
遠位カテーテル部分(105)および近位カテーテル部分(107)を備えたカテーテル(100)を含み、
上記遠位カテーテル部分(105)のところに設けられた遠位先端部(102)を含み、
上記近位カテーテル部分(107)から延びる近位部分、上記遠位先端部(102)を通って伸長可能な遠位部分および上記近位部分と上記遠位部分との間に設けられた中間部分を備えた第1のガイドワイヤ(118)を含み、
上記遠位カテーテル部分(105)に摺動可能に嵌められた第1の外側シース(104)を含み、
上記遠位カテーテル部分(105)のところで上記第1の外側シース(104)内に設けられた一体形運搬システム(111)を含み、上記一体形運搬システム(111)は、
上記近位カテーテル部分(107)から延びる近位部分、遠位端部分(124)を備えた遠位部分および上記近位部分と上記遠位部分との間に設けられた中間部分を備えた第2のガイドワイヤ(122)を含み、上記中間部分は、上記第1のガイドワイヤ(118)に摺動可能に係合し、
上記第2のガイドワイヤ(122)のルーメン(126)に嵌められた拡張可能なステント‐グラフト(154)を含み、上記第2のガイドワイヤ(122)のルーメン(126)は、上記第2のガイドワイヤ(122)の上記遠位部分と関連した遠位部分および反対側の近位部分を有し、
上記拡張可能なステント‐グラフト(154)に嵌められるとともに上記第2のガイドワイヤ(122)の上記ルーメン(126)に嵌められた第2の外側シース(128)を含み、
上記第1のガイドワイヤ(118)の上記中間部分に摺動可能に嵌められた摺動可能なコネクタ(132)を含み、
上記第2のガイドワイヤ(122)は、上記第1の外側シース(104)が上記遠位カテーテル部分(105)から引っ込められると、上記第1のガイドワイヤ(118)に沿う上記一体形の第2の運搬システム(111)の運動を許容するよう上記摺動可能なコネクタ(132)に摺動可能に係合する、システム(100)。
【0062】
〔実施態様項2〕
上記拡張可能なステント‐グラフト(154)は、上記拡張可能なステント‐グラフトの壁を貫通して延びる開放通路が設けられていない無窓ステント‐グラフトである、実施態様項1記載のシステム(100)。
【0063】
〔実施態様項3〕
上記摺動可能なコネクタ(132)は、上記第1のガイドワイヤ(118)を摺動可能に通す中空部分を有する、実施態様項1記載のシステム(100)。
【0064】
〔実施態様項4〕
上記第2のガイドワイヤ(122)の上記中間部分の一部分は、ループ状部分であり、上記ループ状部分は、上記摺動可能なコネクタ(132)に隣接して設けられている、実施態様項2記載のシステム(100)。
【0065】
〔実施態様項5〕
上記第2の外側シース(128)の近位部分に固定された状態で上記第1のガイドワイヤ(118)に摺動可能に嵌められているシースカップリング(140)を更に含む、実施態様項1記載のシステム(100)。
【0066】
〔実施態様項6〕
上記第1の外側シース(104)は、上記第2のガイドワイヤ(122)の上記ルーメン(126)に沿って上記第2の外側シース(128)を動かすよう上記シースカップリング(140)に摺動可能に係合できる、実施態様項5記載のシステム(100)。
【0067】
〔実施態様項7〕
上記シースカップリング(140)に連結された遠位部分を有するロッド(148)を更に含み、上記ロッドは、上記近位カテーテル部分(107)のところに設けられた近位部分を有し、上記ロッド(148)の上記近位部分の運動により上記第2の外側シース(128)が上記第2のガイドワイヤ(122)の上記ルーメン(126)に沿って動く、実施態様項5記載のシステム(100)。
【0068】
〔実施態様項8〕
上記第2のガイドワイヤ(122)の上記ルーメン(126)の上記遠位部分のところに設けられた第2の遠位先端部(136)と、
上記第2の遠位先端部(136)と関連した遠位部分を備える糸(150)とを更に含み、上記糸(150)は、上記近位カテーテル部分(107)のところでアクセス可能な近位部分を有し、
上記近位カテーテル部分(107)のところでの上記糸(150)の引っ込みにより、上記第2の遠位先端部(136)は、上記第2の外側シース(128)に向かう方向に動く、実施態様項1記載のシステム(100)。
【0069】
〔実施態様項9〕
上記第1のガイドワイヤ(118)に配備可能に嵌められた第2の拡張可能なステント‐グラフト(156)を更に含む、実施態様項1記載のシステム(100)。
【0070】
〔実施態様項10〕
上記拡張可能なステント‐グラフト(154)は、自己拡張型ステントを含む、実施態様項1記載のシステム(100)。
【0071】
〔実施態様項11〕
上記第2の拡張可能なステント‐グラフト(156)および上記拡張可能なステント‐グラフト(154)は、自己拡張型ステントを含む、実施態様項9記載のシステム(100)。
【0072】
〔実施態様項12〕
分岐動脈のところにステント‐グラフトを配備する方法であって、
カテーテルシステム(100)を用意するステップを含み、上記カテーテルシステムは、
遠位カテーテル部分(105)および近位カテーテル部分(107)を備えたカテーテル(100)を含み、
上記遠位カテーテル部分(105)のところに設けられた遠位先端部(102)を含み、
上記近位カテーテル部分(107)から延びる近位部分、上記遠位先端部(102)を通って伸長可能な遠位部分および上記近位部分と上記遠位部分との間に設けられた中間部分を備えた第1のガイドワイヤ(118)を含み、
上記遠位カテーテル部分(105)に摺動可能に嵌められた第1の外側シース(104)を含み、
上記遠位カテーテル部分(107)のところで上記第1の外側シース(104)内に設けられた一体形運搬システム(111)を含み、上記一体形運搬システム(111)は、
上記近位カテーテル部分(107)から延びる近位部分、遠位端部分(124)を備えた遠位部分および上記近位部分と上記遠位部分との間に設けられた中間部分を備えた第2のガイドワイヤ(122)を含み、上記中間部分は、上記第1のガイドワイヤ(118)に摺動可能に係合し、
上記第2のガイドワイヤ(122)のルーメン(126)に嵌められた拡張可能なステント‐グラフト(154)を含み、上記第2のガイドワイヤ(122)のルーメン(126)は、上記第2のガイドワイヤ(122)の上記遠位部分と関連した遠位部分および反対側の近位部分を有し、
上記拡張可能なステント‐グラフト(154)に嵌められるとともに上記第2のガイドワイヤ(122)の上記ルーメン(126)に嵌められた第2の外側シース(128)を含み、
上記第1のガイドワイヤ(118)の上記中間部分に摺動可能に嵌められた摺動可能なコネクタ(132)を含み、
上記第2のガイドワイヤ(122)は、上記摺動可能なコネクタ(132)に摺動可能に係合し、
上記第1のガイドワイヤ(118)を、分岐体内管腔(24)を有する第1の体内管腔(16,22)に通して前進させ、ついには上記遠位部分が上記分岐体内管腔(24)を越えて位置するようにするステップを含み、
上記第1の外側シース(104)を引っ込めて上記一体形の第2の運搬システム(111)を露出させるステップを含み、
上記摺動可能なコネクタ(132)を前進させ、ついには上記第2の外側シース(128)および上記第2のガイドワイヤ(122)のための上記ルーメン(126)が上記分岐体内管腔(24)を越えて配置されるようにするステップを含み、
上記分岐動脈(24)に上記第2のガイドワイヤ(122)をカニューレ挿入するステップを含み、
上記摺動可能なコネクタ(132)を引っ込めて上記第2の外側シース(128)および上記第2のガイドワイヤ(122)のための上記ルーメン(126)を上記分岐管腔(24)中に少なくとも部分的に前進させるステップを含み、
上記第2の外側シース(128)を引っ込めるステップを含み、
上記拡張可能なステント‐グラフト(154)を上記分岐動脈(24)内に少なくとも部分的に配備するステップを含み、上記拡張可能なステント‐グラフト(154)の遠位部分(158)は、上記分岐動脈(24)内に位置決めされ、
上記第2のガイドワイヤ(122)を引っ込めるステップを含み、
上記摺動可能なコネクタ(132)を前進させ、ついには上記第2の外側シース(128)および上記第2のガイドワイヤ(122)のための上記ルーメン(126)が上記第1の体内管腔(16,22)内に配置されるようにするステップを含み、
上記第1の外側シース(104)内の上記一体形の第2の運搬システム(111)に再びシースを施すステップを含む、方法。
【0073】
〔実施態様項13〕
上記拡張可能なステント‐グラフト(154)の上記近位部分(160)の少なくとも一部分は、上記分岐体内管腔(24)の前に第1の体内管腔(16,22)内に配置される、実施態様項12記載の方法。
【0074】
〔実施態様項14〕
上記再びシースを施すステップに先立って、前記第2の外側シース(128)および前記第2のガイドワイヤ(122)の前記ルーメン(126)を上記第1のガイドワイヤ(118)の近くの隣接したところに動かすステップを更に含む、実施態様項12記載の方法。
【0075】
〔実施態様項15〕
上記第2の外側シース(128)および上記第1のガイドワイヤ(118)に摺動可能に嵌められたスネア(142)を用意するステップと、
上記スネア(142)を近位側に引くステップとを更に含む、実施態様項14記載の方法。
【0076】
〔実施態様項16〕
上記第2の外側シース(126)に摺動可能に嵌められた摺動可能なスリーブ(144)および上記摺動可能なスリーブ(144)のための引きワイヤ(146)を用意するステップと、
上記摺動可能なスリーブ(144)を近位側に引くステップとを更に含む、実施態様項14記載の方法。
【0077】
〔実施態様項17〕
上記一体形の第2の運搬システム(111)を上記第1の体内管腔(16,22)から引き抜く一方で、上記第1の体内管腔(16,22)内に上記第1のガイドワイヤ(118)を残すステップと、
第2の拡張可能なステント(156)を上記第1の体内管腔(16,22)内に配備して上記第1および上記第2の拡張可能なステント(154,156)が上記第1の体内管腔(16,22)の上記壁に密着するようにするステップとを更に含む、実施態様項12記載の方法。
【0078】
〔実施態様項18〕
ステント−グラフトを配備するシステム(100)であって、
遠位カテーテル部分(105)および近位カテーテル部分(107)を備えたカテーテル(100)を含み、
上記遠位カテーテル部分(105)のところに設けられた遠位先端部(102)を含み、
上記近位カテーテル部分(107)から延びる近位部分、上記遠位先端部(102)を通って伸長可能な遠位部分および上記近位部分と上記遠位部分との間に設けられた中間部分を備えた第1のガイドワイヤ(118)を含み、
上記近位カテーテル部分(107)から延びる近位部分、遠位端部分(124)を備えた遠位部分および上記近位部分と上記遠位部分との間に設けられた中間部分を有する第2のガイドワイヤ(122)を含み、
上記第2のガイドワイヤ(122)のルーメン(126)に嵌められた拡張可能なステント‐グラフト(154)を含み、上記第2のガイドワイヤ(122)の上記ルーメン(126)は、上記第2のガイドワイヤ(122)の上記遠位部分と関連した遠位部分および反対側の近位部分を有し、
上記遠位カテーテル部分(105)に摺動可能に嵌められた外側シース(104)を含む、システム(100)。
【0079】
〔実施態様項19〕
上記拡張可能なステント‐グラフト(154)に嵌められるとともに上記第2のガイドワイヤ(122)の上記ルーメン(126)に嵌められた第2の外側シース(128)を更に含む、実施態様項18記載のシステム(100)。
【0080】
〔実施態様項20〕
上記拡張可能なステント‐グラフト(154)は、自己拡張型ステントまたはバルーン拡張型ステントを含む、実施態様項18記載のシステム(100)。