【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の少なくとも1つの実施形態に係る加振装置は、
加振対象物を所定振動数で振動させるための指令信号を生成する信号生成部と、
前記指令信号に基づいて前記加振対象物に加振力を付与する加振部と、
前記加振対象物の振動の応答信号を取得する応答信号取得部と、
前記応答信号及び前記指令信号の位相差を検出する位相差検出部と
を備え、
前記加振部は、前記加振対象物に付与する前記加振力を減少させるときに、前記位相差検出部で検出された前記位相差に応じて、前記加振対象物に付与する前記加振力を減少させるタイミングを調整するように構成される。
【0007】
上記(1)の構成によると、加振対象物に付与する加振力を減少させるときに、加振対象物を所定振動数で振動させるための指令信号と加振対象物の振動の応答信号との位相差に応じて、加振対象物に付与する加振力を減少させるタイミングが調整されるので、加振力を低下中の弱い加振力が加振対象物に付与されることや、振動速度が大きいときに加振力を低下することに起因する衝撃荷重が加振対象物に加えられることを低減することができる。
【0008】
(2)いくつかの実施形態では、上記(1)の構成において、
前記タイミングは、前記応答信号において前記加振対象物の振動の速度がゼロになるときの位相から前記位相差だけずらした位相である。
【0009】
上記(2)の構成によると、加振対象物の振動の速度がゼロになるタイミングで加振対象物に付与する加振力を減少することができるので、加振対象物に加えられる衝撃荷重を低減することができる。
【0010】
(3)いくつかの実施形態では、上記(1)または(2)の構成において、
前記所定振動数は前記加振対象物の固有振動数である。
【0011】
上記(3)の構成によると、加振対象物が共振するので、小さな加振力でも加振対象物の振幅を大きくすることができる。
【0012】
(4)いくつかの実施形態では、上記(1)〜(3)のいずれかの構成において、
前記加振部は、慣性マスが振動する反力で前記加振力を発生する。
【0013】
上記(4)の構成によると、加振対象物に対して加振部を設置しやすくすることができる。また、振動試験装置用の加振装置として用いることができる。
【0014】
(5)本発明の少なくとも1つの実施形態に係る振動試験装置は、
上記(1)〜(4)のいずれかの加振装置と、
前記加振部が前記加振対象物の振動を停止させた後からの前記応答信号に基づいて前記加振対象物の減衰振動特性を決定する解析部と
を備える。
【0015】
上記(5)の構成によると、加振対象物に付与する加振力を減少させるときに、加振力を低下中の弱い加振力が加振対象物に付与されることや、振動速度が大きいときに加振力を低下することに起因する衝撃荷重が加振対象物に加えられることを低減できるので、加振対象物の減衰振動特性を正確に決定することができる。
【0016】
(6)いくつかの実施形態では、上記(5)の構成において、
前記応答信号において、前記加振部が前記加振対象物の振動を停止させた直後に前記加振対象物の振動の速度がゼロになるときの位相よりも後の位相範囲に基づいて、前記解析部は前記減衰振動特性を決定する。
【0017】
停止信号を入れた場合、加振装置の残圧や加振対象物の慣性が残存していて、加振力が完全にゼロにはならない場合がある。しかし、上記(6)の構成によると、加振部が加振対象物の振動を停止させた直後に加振対象物の振動の速度がゼロになるときの位相よりも後の位相範囲に基づいて解析部が減衰振動特性を決定することにより、残存する加振力の影響をできる限り排除して減衰振動特性を決定することができる。