【実施例1】
【0015】
本発明の実施例1による放射性物質または放射性物質を収納した容器の保管容器と保管方法を、
図1〜
図4を用いて説明する。
【0016】
図1は、放射性物質または放射性物質を収納した容器を保管する保管施設の一例の概要を示す図である。保管施設3は、放射線を遮蔽するコンクリートなどの遮蔽部材で構成された建屋からなり、放射性物質1または放射性物質を収納した容器1を収納した保管容器2を保管する。保管施設3は、放射性物質1または放射性物質を収納した容器1の取扱いに必要な遮蔽厚さと耐震機能を備える。保管施設3は、保管容器2に放射性物質1または放射性物質を収納した容器1を収納し、保管容器2の蓋11を閉める作業を実施する仕立てエリア7と、複数の保管容器2を保管する保管エリア4を備える。保管容器2は、放射性物質1または放射性物質を収納した容器1を保管し、保管施設3内の自然対流による空気の流れで冷却される。
【0017】
原子力発電所で発生した使用済燃料などの放射性物質1または放射性物質を収納した容器1は、移送容器6に収納される。放射性物質1または放射性物質を収納した容器1を収納した移送容器6は、移送車やクレーン5などにより、保管施設3の仕立てエリア7に搬入される。仕立てエリア7では、クレーン5などの搬送設備が、移送容器6から放射性物質1または放射性物質を収納した容器1を取り出し、保管容器2に放射性物質1または放射性物質を収納した容器1を収納し、保管容器2に蓋11を装着する。保管容器2は、受入れ検査を受けた後に保管エリア4に搬入され、保管エリア4の床に固定されている架台8に設置される。
【0018】
保管容器2の内部では、より多くの放射性物質1または放射性物質を収納した容器1を保管するために、複数の放射性物質1または放射性物質を収納した複数の容器1が上下方向に積まれて収納される。保管容器2の内部で複数の放射性物質1または放射性物質を収納した複数の容器1が上下方向に積まれて収納されていると、放射性物質1または放射性物質を収納した容器1が上下方向に積まれて収納されていない場合と比較して、地震や保管容器2の転倒等によって保管容器2に加わる衝撃が大きい。保管容器2に衝撃が加わると、保管容器2の内部で、放射性物質1または放射性物質を収納した容器1と保管容器2とが衝突し、上下方向に積まれた放射性物質1または放射性物質を収納した容器1同士も衝突する。この衝突による放射性物質1または放射性物質を収納した容器1と保管容器2の破損を防ぐために、放射性物質1または放射性物質を収納した容器1と保管容器2が衝突することを抑制できる保管方法が必要である。
【0019】
図2は、本発明の実施例1による放射性物質1または放射性物質を収納した容器1の保管容器2の縦断面図である。保管容器2は、筒状部22と、蓋11と、緩衝部材9と、弾性部材10を備える。筒状部22は、上部に開口部を有し、下部に底面を有し、複数の放射性物質1または放射性物質を収納した複数の容器1を上下方向に積み重ねて収納可能である。蓋11は、筒状部22の開口部に設置される。保管容器2は、1つまたは複数の緩衝部材9を備えることができる。
【0020】
緩衝部材9は、上下方向に積まれた放射性物質1または放射性物質を収納した容器1同士の間に位置するように筒状部22の内部に設置され、水平方向の振動が加わったときに、放射性物質1または放射性物質を収納した容器1と保管容器2との衝突を抑制する。弾性部材10は、最上部の放射性物質1または放射性物質を収納した容器1に載置されて、最上部の放射性物質1または放射性物質を収納した容器1と蓋11との間に設置され、上下方向の振動が加わったときに、放射性物質1または放射性物質を収納した容器1と蓋11との衝突を抑制する。緩衝部材9と弾性部材10は、上下方向に積まれた放射性物質1または放射性物質を収納した容器1同士の衝突も抑制する。なお、弾性部材10は、最上部の放射性物質1または放射性物質を収納した容器1と蓋11に固定されても固定されなくてもよい。
【0021】
緩衝部材9は、後述するように、平板部材12、上部環状部材13、下部環状部材14、及び外側板バネ15を備える。筒状部22は、円筒形でも角筒形でもよい。以下では、筒状部22が円筒形であるとする。
【0022】
図3は、緩衝部材9の縦断面図である。
図4は、緩衝部材9の上面図である。緩衝部材9は、平板部材12、上部環状部材13、下部環状部材14、外側板バネ15、内側板バネ16、及び吊り部17を備える。
【0023】
平板部材12は、円形の平板である。筒状部22が角筒形であれば、平板部材12は、多角形の平板である。緩衝部材9は、平板部材12が筒状部22の底面に沿う向きで、筒状部22の内部に設置される。
【0024】
上部環状部材13は、平板部材12の上面に立設する円環状の部材である。下部環状部材14は、平板部材12の下面に立設する円環状の部材である。上部環状部材13と下部環状部材14は、保管容器2に収納された放射性物質1または放射性物質を収納した容器1の周囲を囲むことができる内径を持つ。すなわち、放射性物質1または放射性物質を収納した容器1は、上部環状部材13と下部環状部材14の少なくとも一方に嵌って保管容器2に収納される(
図2と後述する
図5を参照)。
【0025】
外側板バネ15は、平板部材12の外周部に、周方向に90°ごとに4個設置されている緩衝部である。外側板バネ15は、平板部材12から水平方向に突出し、保管容器2の内周面(筒状部22の内周面)と接触可能な板バネである。内側板バネ16は、上部環状部材13の内周面に、周方向に90°ごとに4個設置されているとともに、下部環状部材14の内周面に、周方向に90°ごとに4個設置されている。内側板バネ16は、放射性物質1または放射性物質を収納した容器1と接触可能な板バネである。
【0026】
吊り部17は、上部環状部材13の上端部に、周方向に90°ごとに4個設置されている。吊り部17は、緩衝部材9の全体を移動させるために、搬送設備(例えば、クレーン5のフック等)に吊り下げられる部材である。
【0027】
外側板バネ15、内側板バネ16、及び吊り部17の数は、4個でなくてもよく、耐衝撃強度と構造強度を満足する数であれば、任意に定めることができる。これらの数は、互いに異なってもよい。外側板バネ15と吊り部17の数は、保管容器2の筒状部22に緩衝部材9を収納するときの作業性を考慮して、それぞれ2個以上とするのが好ましい。内側板バネ16の数は、緩衝部材9に放射性物質1または放射性物質を収納した容器1を取り付ける(上部環状部材13と下部環状部材14に放射性物質1または放射性物質を収納した容器1を嵌める)ときの作業性を考慮して、2個以上とするのが好ましい。
【0028】
なお、外側板バネ15と内側板バネ16の周方向の位置は、
図3と
図4に示した例では互いに同じであるが、互いに異なってもよい。これらの周方向の位置は、任意に定めることができる。吊り部17の周方向の位置も、任意に定めることができる。
【0029】
外側板バネ15と内側板バネ16を緩衝部材9に用いるのは、筒状部22に緩衝部材9を収納するときの作業性と、筒状部22に放射性物質1または放射性物質を収納した容器1を収納するときの作業性を考慮したためである。緩衝部材9は、外側板バネ15と内側板バネ16に用いる板バネの代わりに、コイルバネや弾性体などの緩衝機能を有する部材を備えることができる。
【0030】
緩衝部材9は、耐熱性と耐腐食性を有する材料(例えば、ステンレス鋼)で構成することができる。弾性部材10は、金属や樹脂の弾性体で構成することができ、例えばバネで構成することができる。
【0031】
保管容器2は、保管容器2の内部に上下方向に積まれて収納された放射性物質1または放射性物質を収納した容器1同士の間に緩衝部材9を備え、放射性物質1または放射性物質を収納した容器1と保管容器2との水平方向の隙間には、緩衝部材9の外側板バネ15が存在する。外側板バネ15は、保管容器2に衝撃が加わったときに、保管容器2の内部で放射性物質1または放射性物質を収納した容器1と保管容器2とが水平方向に衝突するのを抑制する。
【0032】
緩衝部材9は、放射性物質1または放射性物質を収納した容器1同士の間に設置されて放射性物質1または放射性物質を収納した容器1同士を連結し、弾性部材10は、最上部の放射性物質1または放射性物質を収納した容器1と蓋11との間に設置される。この構成により、保管容器2に衝撃が加わったときに、保管容器2の内部で放射性物質1または放射性物質を収納した容器1同士が上下方向に衝突するのと、放射性物質1または放射性物質を収納した容器1と蓋11とが上下方向に衝突するのを抑制する。
【0033】
このように、本実施例による放射性物質1または放射性物質を収納した容器1の保管容器2は、保管容器2に水平方向と上下方向の振動が加わっても、保管容器2の内部での放射性物質1または放射性物質を収納した容器1と保管容器2との衝突、放射性物質1または放射性物質を収納した容器1同士の衝突、及び放射性物質1または放射性物質を収納した容器1と蓋11との衝突を抑制する。
【0034】
また、本実施例による放射性物質1または放射性物質を収納した容器1の保管容器2は、放射性物質1または放射性物質を収納した容器1と保管容器2との水平方向の隙間に外側板バネ15が存在するので、放射性物質1または放射性物質を収納した容器1と保管容器2との隙間が小さくなくてもよく、高精度な寸法で製造する必要がないので、低コストで容易に製造できる。さらに、放射性物質1または放射性物質を収納した容器1と保管容器2との隙間が小さい必要がないので、保管容器2に放射性物質1または放射性物質を収納した容器1を収納するのが容易である。
【0035】
内側板バネ16は、放射性物質1または放射性物質を収納した容器1と緩衝部材9との水平方向の隙間に位置し、保管容器2に衝撃が加わったときに、放射性物質1または放射性物質を収納した容器1と緩衝部材9とが水平方向に衝突するのを抑制する。
【0036】
以下では、本実施例による保管容器2に放射性物質1または放射性物質を収納した容器1を保管する方法の例を説明する。保管容器2に放射性物質1または放射性物質を収納した容器1を保管する方法は、仕立てエリア7(
図1)で実行される。放射性物質1または放射性物質を収納した容器1、緩衝部材9、及び弾性部材10は、筒状部22の開口部から保管容器2の内部に収納される。
【0037】
第1の工程では、搬送設備(例えば、クレーン5)は、放射性物質1または放射性物質を収納した容器1(例えば、保管容器2の最下部に位置すべき放射性物質1または放射性物質を収納した容器1)を保管容器2の筒状部22に収納する。
【0038】
第2の工程では、搬送設備は、緩衝部材9を保管容器2の筒状部22に収納する。搬送設備は、緩衝部材9を吊り部17で吊り下げて筒状部22の内部に移動させ、保管容器2に収納した放射性物質1または放射性物質を収納した容器1の上部に載置する。このとき、緩衝部材9は、外側板バネ15が保管容器2の内周面(筒状部22の内周面)と接触する。緩衝部材9は、下部環状部材14が放射性物質1または放射性物質を収納した容器1の上部の周囲を囲むように(放射性物質1または放射性物質を収納した容器1の上部が下部環状部材14に嵌るように)、放射性物質1または放射性物質を収納した容器1に載置される。緩衝部材9は、内側板バネ16が放射性物質1または放射性物質を収納した容器1の上部の周囲と接触する。
【0039】
第3の工程では、搬送設備は、既に保管容器2に収納した放射性物質1または放射性物質を収納した容器1に積み重ねるべき放射性物質1または放射性物質を収納した容器1(例えば、保管容器2の下から2番目に位置すべき放射性物質1または放射性物質を収納した容器1)を、保管容器2の筒状部22に収納する。このとき、放射性物質1または放射性物質を収納した容器1は、保管容器2内の緩衝部材9の平板部材12の上に載置され、緩衝部材9の上部環状部材13が放射性物質1または放射性物質を収納した容器1の下部の周囲を囲むように(放射性物質1または放射性物質を収納した容器1の下部が上部環状部材13に嵌るように)、保管容器2に収納される。緩衝部材9は、内側板バネ16が放射性物質1または放射性物質を収納した容器1の下部の周囲と接触する。
【0040】
この一連の工程(放射性物質1または放射性物質を収納した容器1を保管容器2に収納する工程と、緩衝部材9を保管容器2に収納する工程)を、保管容器2の最上部に位置すべき放射性物質1または放射性物質を収納した容器1を保管容器2に収納するまで繰り返して行い、保管容器2の筒状部22内で、放射性物質1または放射性物質を収納した容器1と緩衝部材9とを上下方向に交互に配置する。
【0041】
第4の工程では、保管容器2の最上部に位置すべき放射性物質1または放射性物質を収納した容器1を保管容器2に収納した後、弾性部材10を最上部に位置する放射性物質1または放射性物質を収納した容器1の上に載置する。弾性部材10は、例えばクレーン5などの搬送設備を用いるなど、任意の方法で設置することができる。
【0042】
第5の工程では、蓋11を筒状部22の開口部に取り付ける。蓋11は、例えばクレーン5などの搬送設備を用いるなど、任意の方法で設置することができる。
【0043】
なお、緩衝部材9は、上記の保管方法のように放射性物質1または放射性物質を収納した容器1と異なる工程にて保管容器2に収納してもよいが、放射性物質1または放射性物質を収納した容器1と同じ工程にて(放射性物質1または放射性物質を収納した容器1と同時に)保管容器2に収納することもできる。緩衝部材9を放射性物質1または放射性物質を収納した容器1と同じ工程にて保管容器2に収納する場合は、放射性物質1または放射性物質を収納した容器1を保管容器2に収納する前に、予め、仕立てエリア7で緩衝部材9を放射性物質1または放射性物質を収納した容器1の上部に載置する。放射性物質1または放射性物質を収納した容器1を保管容器2に収納する工程では、緩衝部材9が載置された放射性物質1または放射性物質を収納した容器1を保管容器2に収納する。
【実施例2】
【0044】
本発明の実施例2による放射性物質または放射性物質を収納した容器の保管容器と保管方法を、
図5〜
図8を用いて説明する。
図5〜
図8において、
図1〜
図4と同一の符号は、実施例1による放射性物質または放射性物質を収納した容器の保管容器と同一のまたは対応する構成要素を示し、これらの構成要素については説明を省略する。
【0045】
本実施例による放射性物質1または放射性物質を収納した容器1の保管容器2は、実施例1による放射性物質1または放射性物質を収納した容器1の保管容器2と、緩衝部材の構成が異なる。以下では、本実施例による放射性物質1または放射性物質を収納した容器1の保管容器2について、実施例1による放射性物質1または放射性物質を収納した容器1の保管容器2と異なる点を主に説明する。
【0046】
図5は、本発明の実施例2による放射性物質1または放射性物質を収納した容器1の保管容器2の縦断面図である。保管容器2は、筒状部22と、蓋11と、緩衝部材18と、弾性部材10を備える。緩衝部材18は、上下方向に積まれた放射性物質1または放射性物質を収納した容器1同士の間に位置するように、筒状部22の内部に設置される。緩衝部材18は、後述するように、平板部材12、下部環状部材14、及び可動板バネ19を備える。
【0047】
図6は、緩衝部材18の縦断面図である。
図8は、緩衝部材18の上面図である。緩衝部材18は、平板部材12、下部環状部材14、内側板バネ16、可動板バネ19、及び吊り部17を備える。緩衝部材18は、実施例1での緩衝部材9が備える上部環状部材13と外側板バネ15を備えず、可動板バネ19を備える。
【0048】
実施例1では、緩衝部材9の外側板バネ15が保管容器2の内周面(筒状部22の内周面)と接触するが、本実施例では、可動板バネ19が保管容器2の内周面と接触する。また、実施例1では、吊り部17が上部環状部材13に設置されているが、本実施例では、吊り部17は、平板部材12の外周部に設置されている。さらに、本実施例では、平板部材12は、上面の外周部に凹部12aを備える。
【0049】
可動板バネ19は、平板部材12の上面に、周方向に90°ごとに4個設置されている。可動板バネ19は、固定部材20により平板部材12の凹部12aに固定されている。固定部材20は、例えば、ピンで構成することができる。
【0050】
可動板バネ19は、平面部19aと、板バネ部19bと、支点部19cを備える緩衝部である。平面部19aは、剛性を有し、バネとして作用しない板状部分である。板バネ部19bは、板バネで構成されている。支点部19cは、平面部19aと板バネ部19bを接続する部分であり、固定部材20を介して可動板バネ19を平板部材12に固定している部分である。
【0051】
可動板バネ19は、支点部19cで湾曲したような形状をしており、平面部19aが平板部材12の上方に位置し、板バネ部19bが平板部材12から水平方向に突出して平板部材12の側方に位置する。平面部19aは、緩衝部材18の上面部であり、保管容器2に収納された放射性物質1または放射性物質を収納した容器1は、平面部19aに載置される。板バネ部19bは、下部環状部材14の側方まで延在するような長さを有してもよい。可動板バネ19は、支点部19cを支点(中心)として(すなわち、固定部材20を回転軸として)、回動することができる。
【0052】
可動板バネ19は、放射性物質1または放射性物質を収納した容器1が平面部19aに載置されていないときは、上方からの荷重がかからないために板バネ部19bが下方を向いており(下方に延在しており)、保管容器2の内周面(筒状部22の内周面)と接触しない。
【0053】
図7は、放射性物質1または放射性物質を収納した容器1が緩衝部材18の上面部に載置された状態の緩衝部材18の縦断面図である。可動板バネ19は、放射性物質1または放射性物質を収納した容器1が平面部19aに載置されるときに、平面部19aが支点部19cを支点として下方に回動し、板バネ部19bが支点部19cを支点として上方に回動する。板バネ部19bは、上方に回動すると、平板部材12から筒状部22に向かって水平方向に延在して、筒状部22の内周面(保管容器2の内周面)と接触する。このようにして、緩衝部材18の可動板バネ19は、放射性物質1または放射性物質を収納した容器1が保管容器2に収納されたときに保管容器2の内周面と接触し、保管容器2に衝撃が加わったときに、保管容器2の内部で放射性物質1または放射性物質を収納した容器1と保管容器2とが水平方向に衝突するのを抑制する。
【0054】
可動板バネ19は、放射性物質1または放射性物質を収納した容器1が平面部19aから取り除かれ、上方からの荷重がかからなくなると、平面部19aが支点部19cを支点として上方に回動し、板バネ部19bが支点部19cを支点として下方に回動して下方を向くので、保管容器2の内周面と接触しない。
【0055】
平板部材12の凹部12aは、可動板バネ19を固定部材20で平板部材12に固定できるような大きさとする。凹部12aは、平板部材12の周方向の全体に設けてもよく、周方向の一部に設けてもよい。凹部12aは、放射性物質1または放射性物質を収納した容器1が緩衝部材18の上面部(可動板バネ19の平面部19a)に載置されたときに、放射性物質1または放射性物質を収納した容器1から受ける荷重により可動板バネ19と固定部材20が破損するのを防ぐ。
【0056】
実施例1による放射性物質1または放射性物質を収納した容器1の保管容器2では、保管容器2に収納した放射性物質1または放射性物質を収納した容器1に緩衝部材9を載置するときには、緩衝部材9の外側板バネ15と保管容器2の内周面との接触により、これらの間に摩擦力が生じる。このため、放射性物質1または放射性物質を収納した容器1に緩衝部材9をクレーン5などの搬送設備で載置するときには、この搬送設備で緩衝部材9を保管容器2(筒状部22)の内部に押し込む必要があるとともに、外側板バネ15と保管容器2には、この摩擦力を考慮した構造強度が必要である。
【0057】
本実施例による放射性物質1または放射性物質を収納した容器1の保管容器2では、保管容器2に収納した放射性物質1または放射性物質を収納した容器1に緩衝部材18を載置するときには、可動板バネ19に上方からの荷重がかかっていないので、緩衝部材18は、保管容器2の内周面と接触しない。このため、放射性物質1または放射性物質を収納した容器1に緩衝部材18を搬送設備で載置するときには、搬送設備で緩衝部材18を保管容器2(筒状部22)の内部に押し込む必要がなく、緩衝部材18の載置における作業性の向上や搬送設備の簡略化が可能である。さらに、緩衝部材18と保管容器2との間に摩擦力が生じないため、これらの構造強度には、この摩擦力を考慮する必要がないという利点もある。
【0058】
以下では、本実施例による保管容器2に放射性物質1または放射性物質を収納した容器1を保管する方法の例を説明する。本実施例による放射性物質1または放射性物質を収納した容器1の保管方法は、実施例1による放射性物質1または放射性物質を収納した容器1の保管方法と、第1、第4、及び第5の工程が同じであるが、第2、及び第3の工程が異なる。以下では、第2、及び第3の工程のみを説明する。
【0059】
第2の工程では、搬送設備は、緩衝部材18を保管容器2の筒状部22に収納する。搬送設備は、緩衝部材18を吊り部17で吊り下げて筒状部22の内部に移動させ、保管容器2に収納した放射性物質1または放射性物質を収納した容器1の上部に載置する。このとき、緩衝部材18は、下部環状部材14が放射性物質1または放射性物質を収納した容器1の上部の周囲を囲むように(放射性物質1または放射性物質を収納した容器1の上部が下部環状部材14に嵌るように)、放射性物質1または放射性物質を収納した容器1に載置される。緩衝部材18は、内側板バネ16が放射性物質1または放射性物質を収納した容器1の上部の周囲と接触する。この工程では、可動板バネ19の板バネ部19bは、下方を向いており、保管容器2の内周面(筒状部22の内周面)と接触しない。すなわち、緩衝部材18は、保管容器2の内周面と接触していない。
【0060】
第3の工程では、搬送設備は、既に保管容器2に収納した放射性物質1または放射性物質を収納した容器1に積み重ねるべき放射性物質1または放射性物質を収納した容器1を、保管容器2の筒状部22に収納する。このとき、放射性物質1または放射性物質を収納した容器1は、保管容器2内の緩衝部材18の可動板バネ19の平面部19aに載置される。放射性物質1または放射性物質を収納した容器1が平面部19aに載置されるとき、可動板バネ19は、平面部19aが下方に回動し、板バネ部19bが上方に回動する。板バネ部19bは、上方に回動すると、保管容器2の内周面(筒状部22の内周面)と接触する。このようにして、緩衝部材18は、保管容器2の筒状部22の内周面と接触可能である。
【0061】
実施例1と同様に、放射性物質1または放射性物質を収納した容器1を保管容器2に収納する工程と、緩衝部材18を保管容器2に収納する工程を、保管容器2の最上部に位置すべき放射性物質1または放射性物質を収納した容器1を保管容器2に収納するまで繰り返して行い、保管容器2の筒状部22内で、放射性物質1または放射性物質を収納した容器1と緩衝部材18とを上下方向に交互に配置する。
【0062】
本実施例でも、実施例1と同様に、緩衝部材18は、放射性物質1または放射性物質を収納した容器1と同じ工程にて(放射性物質1または放射性物質を収納した容器1と同時に)保管容器2に収納することもできる。緩衝部材18を放射性物質1または放射性物質を収納した容器1と同じ工程にて保管容器2に収納する場合は、放射性物質1または放射性物質を収納した容器1を保管容器2に収納する前に、予め、仕立てエリア7で緩衝部材18を放射性物質1または放射性物質を収納した容器1の上部に載置する。放射性物質1または放射性物質を収納した容器1を保管容器2に収納する工程では、緩衝部材18が載置された放射性物質1または放射性物質を収納した容器1を保管容器2に収納する。
【0063】
なお、本発明は、上記の実施例に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。例えば、上記の実施例は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、本発明は、必ずしも説明した全ての構成を備える態様に限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能である。また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、削除したり、他の構成を追加・置換したりすることが可能である。