(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6960387
(24)【登録日】2021年10月13日
(45)【発行日】2021年11月5日
(54)【発明の名称】移動通信ネットワーク、移動通信ネットワークによるデータ通信の制御方法、及び、制御装置
(51)【国際特許分類】
H04M 11/04 20060101AFI20211025BHJP
H04L 12/66 20060101ALI20211025BHJP
H04W 4/90 20180101ALI20211025BHJP
H04M 3/42 20060101ALI20211025BHJP
【FI】
H04M11/04
H04L12/66 C
H04W4/90
H04M3/42 Z
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2018-210482(P2018-210482)
(22)【出願日】2018年11月8日
(65)【公開番号】特開2020-77986(P2020-77986A)
(43)【公開日】2020年5月21日
【審査請求日】2020年11月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】特許業務法人大塚国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【弁理士】
【氏名又は名称】永川 行光
(74)【代理人】
【識別番号】100131886
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 隆志
(74)【代理人】
【識別番号】100170667
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 浩次
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 学
(72)【発明者】
【氏名】北辻 佳憲
【審査官】
山岸 登
(56)【参考文献】
【文献】
特開2017−022582(JP,A)
【文献】
特表2014−527334(JP,A)
【文献】
特開2017−103694(JP,A)
【文献】
特開2007−274073(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B7/24−7/26
H04L12/00−12/26
12/50−12/955
H04M3/00
3/16−3/20
3/38−3/58
7/00−7/16
11/00−11/10
H04W4/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動通信ネットワークであって、
ユーザ装置のユーザが、前記移動通信ネットワークを介するデータ通信を利用する契約を行っているかを示す契約情報を保持する保持手段と、
前記ユーザ装置から緊急機関への緊急通報のための通話回線の設定要求を受信すると、当該ユーザ装置と前記緊急機関との間に前記通話回線を設定する設定手段と、
前記データ通信を利用する契約を行っていない前記ユーザの前記ユーザ装置が前記緊急通報を行うと、前記保持手段が保持する当該ユーザ装置の当該ユーザの契約情報を、前記データ通信を利用する契約を行っている様に設定することで、当該ユーザ装置による前記移動通信ネットワークを介するデータ通信を許可する様にする制御する制御手段と、
を備えていることを特徴とする移動通信ネットワーク。
【請求項2】
移動通信ネットワークの制御装置であって、
前記移動通信ネットワークを介して緊急機関への緊急通報のための通話回線を設定しているユーザ装置を検出する検出手段と、
前記検出手段が前記緊急通報のための通話回線を設定しているユーザ装置を検出すると、前記移動通信ネットワークのユーザが前記移動通信ネットワークを介するデータ通信を利用する契約を行っているかを示す契約情報を保持する管理装置に、前記検出手段が検出したユーザ装置のユーザの契約情報を、前記データ通信を利用する契約を行っている様に設定することを要求する要求手段と、
を備えていることを特徴とする制御装置。
【請求項3】
前記制御装置は、IPマルチメディア・サブシステムの交換装置に含まれることを特徴とする請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
移動通信ネットワークによるデータ通信の制御方法であって、
ユーザ装置から緊急機関への緊急通報のための通話回線の設定要求を受信すると、当該ユーザ装置と前記緊急機関との間に前記通話回線を設定することと、
前記ユーザ装置が前記緊急通報を行うと、前記ユーザ装置のユーザが前記移動通信ネットワークを介するデータ通信を利用する契約を行っているかを示す契約情報を、前記データ通信を利用する契約を行っている様に設定することで、前記ユーザ装置による前記移動通信ネットワークを介するデータ通信を許可する様に制御することと、
を含むことを特徴とする制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緊急機関への緊急通報を行ったユーザ装置によるデータ通信の制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯端末から移動通信ネットワークを介して事件や事故等の発生を警察署、消防署の様な緊急機関に通報(緊急通報)する場合、当該事件や事故等の発生位置を緊急機関に知らせるため、携帯端末の凡その位置を判定できる情報を緊急機関に通知することが行われている。例えば、移動通信ネットワークは、携帯端末からの緊急通報を中継している基地局の位置を、当該携帯端末の凡その位置として緊急機関に通知することができる。
【0003】
非特許文献1は、緊急通報を行っている携帯端末のより正確な位置を緊急機関に通知するための構成を開示している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】"Transformative Technology to Revolutionize Emergency Communication",Leveraging Smartphone Capabilities with NG911,[online],2016年10月、[平成30年10月17日検索]、インターネット<URL:https://slideplayer.com/slide/12524855/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以下、
図1を使用して、非特許文献1の構成を説明する。
図1において、あるオペレータの移動通信ネットワークは、基地局1とコアネットワーク2と、を有する。基地局1は、パケット交換機であるS−GW21に接続され、S−GW21は、他のシステム又はネットワークとのゲートウェイ交換機(パケット交換機)であるP−GW22に接続される。
図1において、P−GW22は、音声通話回線を処理するIMS(IPマルチメディア・サブシステム)23のIMS交換装置(パケット交換機)231と、インターネット4に接続している。なお、
図1においては、同じP−GW22が、IMS交換装置231とインターネット4の両方に接続しているが、IMS交換装置231に接続するP−GWと、インターネット4に接続するP−GWとが異なるものであっても良い。
【0006】
また、コアネットワーク2は、管理装置24を有する。本実施形態において、管理装置24は、移動通信ネットワークのユーザ(加入者)の契約情報を保持する、所謂、HSS(ホーム加入者サーバ)の機能を含む。なお、管理装置24は、移動通信ネットワークが有する他の管理機能を含むこともできる。例えば、管理装置24は、移動通信ネットワークのユーザ装置の状態と、ユーザ装置の位置をトラッキングエリア単位で管理する、所謂、MME(モビリティ管理エンティティ)の機能を含み得る。
【0007】
また、インターネット4にはサーバ装置41が接続されている。サーバ装置41は、例えば、緊急機関が運用するサーバ装置、緊急機関と契約している第3者が運用するサーバ装置、或いは、図に示す移動通信ネットワークのオペレータが運用するサーバ装置であり得る。
【0008】
ユーザ装置(UE)3のユーザがUE3により緊急機関5に緊急通報を行うと、移動通信ネットワークは、UE3から、基地局1、S−GW21、P−GW22及びIMS交換装置231を介して緊急機関5の電話機51に至る、緊急通報のための音声通話回線を設定する。なお、UE3の電話番号は、移動通信ネットワークから緊急機関5の電話機51に通知される。また、UE3は、緊急通報を行うと、UE3が有する、例えば、GPS(グルーバルポジショニングシステム)を利用する測位機能によりUE3の位置を測定し、測定した位置を示す位置情報及びUE3の電話番号を、コアネットワーク2及びインターネット4を介して、サーバ装置41に送信する。
【0009】
なお、UE3は、サーバ装置41のアドレスを様々な方法で取得することができる。例えば、予め移動通信ネットワークの管理装置24にサーバ装置41のアドレスを格納しておき、移動通信ネットワークの管理装置24は、緊急通報を行ったUE3にサーバ装置41のアドレスを制御信号で通知する構成とすることができる。また、緊急通報時、緊急機関5の電話機51がサーバ装置41のアドレスを制御信号で移動通信ネットワークに通知し、移動通信ネットワークがこれを制御信号でUE3に通知する構成とすることができる。さらに、サーバ装置41のアドレスを、予めUE3に設定しておく構成とすることもできる。例えば、予め移動通信ネットワークの管理装置24にサーバ装置41のアドレスを格納しておき、任意のあるタイミングにおいて、サーバ装置41のアドレスをUE3に通知して記憶させる構成とすることができる。さらに、UE3の出荷前に、サーバ装置41のアドレスをUE3に格納しておく構成とすることもできる。サーバ装置41は、UE3の位置情報をUE3の電話番号に関連付けて保存する。
【0010】
緊急機関5の電話機51は、位置情報受信装置52に緊急通報を行ったUE3の電話番号を通知し、これにより、位置情報受信装置52は、インターネット4を介してサーバ装置41に、UE3の電話番号に関連付けられている位置情報を要求する。なお、位置情報受信装置52には、サーバ装置41のアドレスが予め格納されている。サーバ装置41は、当該要求の応答としてUE3の位置情報を位置情報受信装置52に送信する。これにより、緊急機関5は、緊急通報を行ったUE3の詳細な位置情報を取得することができる。
【0011】
しかしながら、UE3が、インターネット4に接続する装置とコアネットワーク2を介した通信を行えるか否かはUE3のユーザと移動通信ネットワークのオペレータとの契約に依存する。つまり、UE3のユーザがデータ通信契約を行っていない場合、UE3は、インターネット4に接続する装置と、コアネットワーク2を介した通信を行うことができない。具体的には、P−GW22は、UE3がデータ通信を行う際、管理装置24を使用してUE3のユーザがデータ通信契約を行っているかを判定し、UE3のユーザがデータ通信契約を行っていないと、例えば、UEが送信したデータを廃棄する等により、UE3によるデータ通信を拒絶する。この場合、UE3は、緊急通報を行っても、その位置情報をサーバ装置41に送信することができない。
【0012】
本発明は、緊急機関への緊急通報を行ったユーザ装置の位置情報を当該緊急機関に通知できる技術を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一態様によると、移動通信ネットワークは、
ユーザ装置のユーザが、前記移動通信ネットワークを介するデータ通信を利用する契約を行っているかを示す契約情報を保持する保持手段と、前記ユーザ装置から緊急機関への緊急通報のための通話回線の設定要求を受信すると、当該ユーザ装置と前記緊急機関との間に前記通話回線を設定する設定手段と、
前記データ通信を利用する契約を行っていない前記ユーザの前記ユーザ装置が前記緊急通報を行
うと、前記保持手段が保持する当該ユーザ装置の当該ユーザの契約情報を、前記データ通信を利用する契約を行っている様に設定することで、当該ユーザ装置による前記移動通信ネットワークを介するデータ通信を許可する様にする制御する制御手段と、を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、緊急機関への緊急通報を行ったユーザ装置の位置情報を当該緊急機関に通知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】移動通信ネットワークを介する緊急通報時の処理の説明図。
【
図2】一実施形態による緊急通報時の処理のシーケンス図。
【
図3】一実施形態による緊急通報時にP−GWが実行する処理のフローチャート。
【
図4】一実施形態による緊急通報時にP−GWが実行する処理のフローチャート。
【
図5】各実施形態による移動通信ネットワークの機能ブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の例示的な実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の実施形態は例示であり、本発明を実施形態の内容に限定するものではない。また、以下の各図においては、実施形態の説明に必要ではない構成要素については図から省略する。
【0017】
<第一実施形態>
図1は、緊急通報のためのシステム構成図を示している。なお、
図1の各装置については上述した通りである。
図2は、本実施形態による緊急通報時の処理のシーケンス図である。例えば、UE3が緊急機関5に対して緊急通報の発呼を行うと、S1で、移動通信ネットワークのP−GW22及びIMS交換装置231を含む、緊急通報用の回線設定に係る各装置は、UE3と緊急機関5との間に緊急通報用の通話回線を設定する。IMS交換装置231は、S2で、緊急通報を行ったUE3の電話番号を管理装置24に通知し、管理装置24に対してUE3のユーザの契約情報の一時的な(所定期間の)変更を要求する。より具体的には、UE3のユーザがデータ通信契約を行っていない場合、UE3のユーザがデータ通信契約を行っている様に、UE3のユーザの契約情報を一時的に変更することを、IMS交換装置231は、管理装置24に要求する。
【0018】
管理装置24は、S2での要求に応じて、S3で、UE3のユーザのデータ通信契約を"無し"から"有り"に一時的に変更する。なお、UE3のユーザが、元々、データ通信契約を行っている場合、S3において、管理装置24は、UE3のユーザの契約情報の変更を行わない。
【0019】
その後、P−GW22は、S4で、UE3から、宛先をサーバ装置41とし、UE3の位置を示す位置情報及びUE3の電話番号を含むパケットを受信する。S4でのパケットの受信により、P−GW22は、S5で、UE3のユーザが、データ通信契約を行っているか否かを管理装置24に問い合わせる。本実施形態では、たとえ、UE3のユーザがデータ通信契約を行っていなくても、S3での処理により、データ通信契約"有り"となっているため、管理装置24は、S6で、データ通信契約"有り"をP−GW22に通知する。したがって、P−GW22は、S4で受信したパケットをインターネット4に送信する。これにより、サーバ装置41は、UE3から位置情報を取得でき、その後、緊急機関5に通知することができる。
【0020】
<第二実施形態>
第一実施形態では、管理装置24が有するUE3のユーザの契約情報を一時的に変更していた。本実施形態では、管理装置24が有するUE3のユーザの契約情報を変更しない。
図3は、本実施形態においてP−GW22が行う処理のフローチャートである。S10で、移動通信ネットワークのP−GW22を含む、緊急通報用の回線設定に係る各装置は、UE3と緊急機関5との間に緊急通報用の通話回線を設定する。P−GW22は、S11で、緊急通報を行っているUE3からパケット(データ)を受信しても、一定期間の間、管理装置24に契約情報の確認を行わず、総てのパケットをインターネット4に送信する様に設定を行う。したがって、P−GW22は、UE3から受信する位置情報及び電話番号を含むパケットをインターネット4に送信する。これにより、サーバ装置41は、UE3から位置情報を取得でき、その後、緊急機関5に通知することができる。
【0021】
なお、
図4に示す様に、P−GW22は、管理装置24に契約情報の確認を行うが、その内容に拘わらず、一定期間の間、緊急通報を行っているUE3から受信するパケットをインターネット4に送信する様に設定を行う構成とすることもできる。
図4のS20の処理は、
図3のS10と同様である。P−GW22は、S21で、緊急通報を行っているUE3からパケットを受信すると、管理装置24から取得するUE3のユーザの契約情報の内容に拘わらず、UE3から受信する総てのパケットをインターネット4に送信する様に設定を行う。これにより、サーバ装置41は、UE3から位置情報を取得でき、その後、緊急機関5に通知することができる。
【0022】
なお、例えば、緊急通報用の回線設定に係るP−GWと、インターネット4に接続するP−GWと、が異なる場合であっても、P−GW間で情報を共有することにより本実施形態で説明した様にコアネトワーク2を動作させることが可能である。より具体的には、緊急通報用の回線設定に係るP−GWが、直接、或いは、他の装置を介して間接的に、UE3によるインターネット4へのアクセス時に使用されるP−GWに、UE3が緊急通報を行ったことを通知することで、UE3がサーバ装置41に位置情報及び電話番号を送信することが可能になる。言い換えると、インターネット4へのアクセス時に使用されるP−GWは、緊急通報を行っているUEを検出する検出部を有し、検出部が緊急通報を行っていると検出したUEが行うデータ通信については、当該UEのユーザのデータ通信契約の内容に拘わらず許可する。なお、本発明において、"検出部が検出する"とは、検出部が能動的に検出処理を実行して検出する場合のみならず、例えば、他の装置からの通知を受信することにより検出するといった、受動的な検出処理により検出する場合も含む。
【0023】
<その他の実施形態>
なお、上記実施形態においては、UE3及びUE3のユーザを識別する情報として電話番号を使用していたが、UE3を識別できる任意の情報、例えば、UE3のIMSI(国際移動体加入者識別番号)や、UE3に割り当てられたIPアドレス等を電話番号に代えて使用することができる。また、
図1の構成において、サーバ装置41は、インターネット4に接続されているものとしたが、例えば、移動通信ネットワークのコアネットワーク2内に設けることもできる。
【0024】
<移動通信ネットワーク>
図5は、上記各実施形態による移動通信ネットワークの機能ブロック図である。保持部81は、例えば、管理装置24に対応し、UE3のユーザが、移動通信ネットワークのオペレータとデータ通信を利用する契約を行っているかを示す契約情報を保持している。緊急回線設定部83は、例えば、基地局1、S−GW21、P−GW22、IMS231に対応し、UE3から緊急機関5への緊急通報のための通話回線の設定要求を受信すると、UE3と緊急機関5との間に緊急通報用の通話回線を設定する。そして、制御部82は、UE3が、契約により、移動通信ネットワークを介するデータ通信が許可されない装置であっても、UE3が緊急通報を行うと、所定の期間、UE3による移動通信ネットワークを介するデータ通信を許可する様にする移動通信ネットワークを制御する。
【0025】
例えば、一実施形態において、制御部82は、IMS23を含み、UE3が緊急通報を行うと、所定の期間、保持部81が保持するUE3のユーザの契約情報を、データ通信を利用する契約を行っている様に設定する。これにより、UE3は、データ通信によりUE3の位置情報を緊急機関5に知らせることができる。
【0026】
また、一実施形態において、制御部82は、ゲートウェイ交換機であるP−GW22を含み、UE3が緊急通報を行うと、所定の期間、保持部81が保持するUE3のユーザの契約情報に拘わらず、UE3から受信するデータをその宛先に転送する。例えば、UE3が緊急通報を行うと、所定の期間、保持部81にUE3のユーザの契約情報を問い合わせることなく、UE3から受信するデータをその宛先に転送する様にP−GW22を構成することができる。また、例えば、UE3が緊急通報を行うと、所定の期間、保持部81にUE3のユーザの契約情報を問い合わせるが、当該契約情報の内容に拘わらず、UE3から受信するデータをその宛先に転送する様にP−GW22を構成することができる。これにより、UE3は、データ通信によりUE3の位置情報を緊急機関5に知らせることができる。
【0027】
<制御装置>
なお、第一実施形態においては、IMS23のIMS交換装置23が、管理装置24に契約情報の一時的な変更を要求・通知していた。しかしながら、管理装置24に契約情報の一時的な変更を要求・通知するのは、コアネットワーク2内の任意の制御装置とすることができる。この制御装置は、移動通信ネットワークを介して緊急機関への緊急通報のための通話回線を設定しているユーザ装置を検出する検出部を有する。また、制御装置は、検出部が緊急通報のための通話回線を設定しているユーザ装置を検出すると、管理装置24に対して、検出部が検出したユーザ装置のユーザの契約情報を、データ通信を利用する契約を行っている様に設定することを要求する要求部を有する。なお、検出部による緊急通報のための通話回線を設定しているユーザ装置の検出とは、単に、他の装置からの通知により検出する場合も含む。また、検出部による緊急通報のための通話回線を設定しているユーザ装置の検出とは、設定されている緊急通報のための通話回線と、その発信側のUEと、着信側の緊急機関とを示すデータベースを設け、当該データベースを参照することにより検出する場合も含む。制御装置は、第一実施形態の様に、IMS交換装置23といった、回線を設定する装置(通話信号が通過する装置)内に設けることも、回線を設定する装置を制御する装置(通話信号が通過しない装置)内に設けることもできる。なお、回線を設定する装置に設ける場合、IMS交換装置23以外の他の装置、例えば、P−GW22や、S−GW21や、基地局1に設けることもできる。
【0028】
なお、第二実施形態において、P−GW22は、緊急通報を行っているUEについては、そのユーザの契約情報の内容に拘わらずデータ通信を許可していた。しかしながら、データ通信の許可・不許可を判定するのは、コアネットワーク2内の任意の制御装置とすることができる。この制御装置は、管理装置24が保持する契約情報に基づき、UEによるデータ通信を許可するか否かを判定する判定部を有する。また、制御装置は、移動通信ネットワークを介して緊急機関への緊急通報のための通話回線を設定しているUEを検出する検出部を有する。なお、検出部による緊急通報のための通話回線を設定しているユーザ装置の検出とは上述した通りである。そして、判定部は、検出部が緊急通報のための通話回線を設定していると検出したUEについては、当該UEのユーザの契約情報に拘わらずデータ通信を許可すると判定する。例えば、制御装置が、データ(パケット)を処理するパケット交換機に含まれる場合、当該パケット交換機は、当該UEから受信したデータをその宛先に中継する。一方、制御装置が、パケット交換機ではなく、パケット交換機を制御する装置に含まれる場合、判定結果をパケット交換機に通知する。なお、制御装置をパケット交換機に設ける場合、P−GW22のみならず、S−GW21に設けることもできる。
【0029】
さらに、本発明は、
図2から
図4のいずれかに示す様にUEによるデータ通信を制御す制御方法として実現することもできる。
【符号の説明】
【0030】
81:保持部、82:制御部、83:緊急回線設定部