特許第6960400号(P6960400)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6960400エッチング反応物質、およびそれを使用するプラズマフリーの酸化物エッチング方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6960400
(24)【登録日】2021年10月13日
(45)【発行日】2021年11月5日
(54)【発明の名称】エッチング反応物質、およびそれを使用するプラズマフリーの酸化物エッチング方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/302 20060101AFI20211025BHJP
   C23F 1/12 20060101ALI20211025BHJP
【FI】
   H01L21/302 201A
   C23F1/12
【請求項の数】12
【全頁数】33
(21)【出願番号】特願2018-519958(P2018-519958)
(86)(22)【出願日】2016年9月1日
(65)【公表番号】特表2019-502253(P2019-502253A)
(43)【公表日】2019年1月24日
(86)【国際出願番号】US2016049857
(87)【国際公開番号】WO2016172740
(87)【国際公開日】20161027
【審査請求日】2019年8月5日
(31)【優先権主張番号】62/253,507
(32)【優先日】2015年11月10日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591036572
【氏名又は名称】レール・リキード−ソシエテ・アノニム・プール・レテュード・エ・レクスプロワタシオン・デ・プロセデ・ジョルジュ・クロード
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【弁理士】
【氏名又は名称】布施 行夫
(72)【発明者】
【氏名】クレメント・ランサロット−マトラス
(72)【発明者】
【氏名】チュホ・リー
(72)【発明者】
【氏名】ジャン−マルク・ジラード
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス・ブラスコ
(72)【発明者】
【氏名】サトコ・ガティノー
【審査官】 加藤 芳健
(56)【参考文献】
【文献】 特開平03−093223(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0050807(US,A1)
【文献】 特表2007−500919(JP,A)
【文献】 特開2009−043973(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/302
C23F 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フッ素化反応物質を用いて基板から層を除去する方法であって、
(a)前記フッ素化反応物質の蒸気を、基板が中に配置された反応器中に導入するステップであって、前記基板がその上に層を有するステップと、
(b)前記基板から前記層の少なくとも一部をエッチングするステップとを含み、
前記フッ素化反応物質が、VF、NbF、NbF(SEt)およびNbF(SEtからなる群から選択される、方法。
【請求項2】
前記基板がシリコンウエハ、酸化ケイ素、ステンレス鋼、窒化アルミニウム、または酸化アルミニウムである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記層が金属層であり、前記フッ素化反応物質の前記蒸気を導入するステップ(a)の前に、(c)前記金属層を酸化または窒化させるステップをさらに含む、請求項1または2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
前記金属層が、タングステン層、モリブデン層、タンタル層、ニオブ層、バナジウム層、ハフニウム層、ジルコニウム層、チタン層、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
ステップ(c)、(a)、および(b)を繰り返すステップをさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記基板が、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、またはシリコンウエハであり、前記層が、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化モリブデン、酸化タングステン、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1または2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
フッ素化反応物質の蒸気を層と反応させて揮発性フッ素化種を形成するステップによる
、基板から層を選択的にエッチングするためのドライエッチング方法であって、前記フッ素化反応物質が、VF、NbF、NbF(SEt)およびNbF(SEtからなる群から選択される、方法。
【請求項8】
前記基板がステンレス鋼、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、シリコンウエハ、または窒化アルミニウムである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記層が金属層であり、前記フッ素化反応物質の前記蒸気を前記層と反応させるステップの前に、前記金属層を酸化または窒化させるステップをさらに含む、請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
前記金属層が、タングステン層、モリブデン層、タンタル層、ニオブ層、バナジウム層、ハフニウム層、ジルコニウム層、チタン層、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記酸化または窒化させるステップと、反応させるステップとを繰り返すステップをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記基板が、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、またはシリコンウエハであり、前記層が、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化モリブデン、酸化タングステン、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項7または8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、あらゆる目的でその全体が参照により本明細書に援用される2015年11月10日に出願された米国仮特許出願第62/253,507号明細書の利益を主張する。
【0002】
式MF(付加物)(式中、xは2〜6(両端の値を含む)の範囲であり;nは0〜5(両端の値を含む)の範囲であり;Mは、P、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Mo、およびWからなる群から選択される元素であり;付加物は、THF、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、グリム、ジグリム、トリグリム、ポリグリム(polyglyme)、ジメチルスルフィド、ジエチルスルフィド、またはメチルシアニドから選択される中性有機分子である)で表されるフッ素化反応物質を用いて基板から層を除去する熱的方法が開示される。本発明のフッ素化反応物質によって、プラズマを用いずに層のドライエッチングが行われる。
【背景技術】
【0003】
金属および高k材料などのCMOSゲートスタック中の新しい材料の導入に伴って、エッチングは新しい課題に対処する必要がある。いくつかの課題としては、シリコンのくぼみの形成を回避して低表面粗さを得るためのプロセス選択性、ゲートエッチング異方性、エッチング速度の原子層または多原子層スケールでの制御、残留物がないこと、およびプロセス後の反応器壁の洗浄が挙げられる。
【0004】
高度なゲートスタック中の限界寸法は、厳密に制御する必要がある。この制御は、ウエハ間の完全な再現性が要求される。しかし、エッチ速度、エッチングプロファイル、エッチング選択性、エッチング均一性、およびより一般的にはプロセス性能の変化を引き起こしうるプロセスドリフトが、フロントエンドエッチングプロセスにおいて頻繁に観察される。これらのプロセスドリフトは、反応器壁の条件の変化、たとえば反応器壁の化学組成の変化に起因することが多い。たとえば、金属ゲートスタック(Si/TiN/HfO)を基板上に堆積した後、酸化ハフニウムおよび酸化チタン残留物がチャンバー壁を被覆することもある。チャンバー壁上に堆積したあらゆるこのような被覆を除去するために、F、NF、および他のハロゲンが典型的には使用される。たとえば、膜形成装置からのSi含有膜を洗浄するためにFおよびNOを使用するKimuraらの米国特許出願公開第2005/082002号明細書を参照されたい。
【0005】
プラズマに基づく方法は、典型的には、金属または金属酸化物材料のエッチング、または望ましくないその堆積物の反応器からの除去に使用される方法である。たとえば以下を参照されたい。PFなどのフッ素含有エッチング流体、および不飽和水素含有ポリマー堆積流体を使用するサイクリックプラズマBosch法(L’Air Liquide,S.A.の国際公開第2015/194178号パンフレット);PFまたはFを使用するSiのプラズマエッチング(松下電器産業株式会社の特開2007−141918号公報);BCl系プラズマは、高k材料、特にHfOのエッチングのための有望なプラズマ化学的性質を示し、SiOおよびSi基板に対して高い選択性を有する(Sungauer et al.,J.Vac.Sci.Technol.B 25(2007)1640−1646);塩素プラズマによって、電子サイクロトロン共鳴反応器中でZrO薄膜の化学エッチングが行われることが分かった(Sha et al.,J.Vac.Sci.Technol.,A 20(2002)1525);ZrOのエッチング選択性を改善するために、BClをClプラズマに加えると、ZrOエッチ速度が向上し、同時にシリコンエッチ速度は抑制された(Sha et al.,J.Vac.Sci.Technol.,A 21(2003)1915);HBr/SF高密度プラズマ系中でのZrO薄膜のエッチング特性(エッチ速度、Siに対する選択性)の研究(Woo et al.,Thin Solid Films 517(2009)4246−4250)。
【0006】
ドライプラズマエッチング法は、装置のコスト、毒性または腐食性のガスの使用、および下にある基板を損傷する可能性などのいくつかの欠点を有する。
【0007】
H.Schafer(Z.Anorg.Allg.Chem.1960,305,341)およびW.A.Jenkins(J.Inorg.Nucl.Chem.1959,11,163)には、式Ta(s)+3TaCl(g)→5TaOCl(g)にしたがう200〜350℃の間の温度における酸化タンタル(Ta)の熱エッチング法を記載している。この反応は、吸熱性であり(約35kcal/mol)、温度とともにエッチング速度が増加することが観察された。にもかかわらず、エッチング速度が遅すぎるため(〜6×10−2Å/Cy)、既存のプラズマ系プロセスに取って代わるには適切ではなかった。Knapasら(Chem.Vap.Deposition 2009,15,pp.269−273)は、NbClによってNb膜がエッチングされて揮発性NbOClが生成することを見出した。Mercierらは、NbClが反応器のシリカの側壁とも反応することを報告している(Surface and Coatings Technology,260,2014,pp.126−132)。
【0008】
米国特許第6,143,191号明細書には、エッチング共反応物質としてXeFを使用するイリジウム含有材料の熱エッチング方法が記載されている。米国特許第6,284,052号明細書には、加水分解したヘキサフルオロアセチルアセトネート(Hhfac)蒸気をチャンバー中に導入して、酸化した金属堆積副生成物を気化させることによって、化学蒸着(CVD)チャンバーの内面から金属堆積副生成物を洗浄する方法が記載されている。
【0009】
米国特許第6,077,451号明細書には、フッ化キセノン、たとえばXeF、XeF、OF、O、およびIFを使用することによる酸化ケイ素(SiO)のエッチング方法が記載されている。
【0010】
Lam Research Corp.に付与された米国特許第9,130,158号明細書および米国特許第9,391,267号明細書には、金属層の一部を金属酸化物、金属ハロゲン化物、または格子が損傷した金属部位に変換するステップと、有機溶媒蒸気および有機リガンド溶媒を供給して揮発性有機金属化合物を形成するステップとによる1つ以上のサイクルにおける、少なくとも1つの金属層を有するスタックのエッチング方法が開示されている。
【0011】
改善されたガス熱エッチングおよびチャンバー洗浄方法が依然として必要とされている。
【0012】
表記および用語
特定の略語、記号、および用語が以下の説明および請求項の全体にわたって使用され、そのようなものとしては以下のものが挙げられる:
本明細書において使用される場合、「除去する」、「除去」、「洗浄」、「エッチングする」、または「エッチング」という用語は、下にある基板から除去すべき層に非プラズマ蒸気を接触させることによって揮発性反応生成物を形成するプロセスを意味する(すなわち、ドライ非プラズマエッチングプロセス)。
【0013】
「選択性」という用語は、ある材料のエッチ速度と別の材料のエッチ速度との比を意味する。「選択的エッチング」または「選択的にエッチングする」という用語は、ある材料が別の材料よりも多くエッチングされることを意味し、言い換えると2つの材料の間で1:1を超えるもしくは下回るのエッチング選択性を有することを意味する。
【0014】
本明細書において使用される場合、不定冠詞「a」または「an」は、1つ以上を意味する。
【0015】
本明細書において使用される場合、「おおよそ」または「約」という用語は、記載の値の±10%を意味する。
【0016】
本明細書において使用される場合、「・・・(両端の値を含む)の範囲」または「・・・の両端を含む範囲」という用語は、その範囲が端点を含むことを意味する。言い換えると、「xは2〜6(両端の値を含む)の範囲である」は、xが2もしくは6、およびそれらの間のあらゆる点であってよいことを意味する。
【0017】
本明細書において使用される場合、略号のÅは、0.1nmに等しい長さの単位であるオングストロームを意味する。
【0018】
本明細書において使用される場合、1Torrは、133.3Paに等しい圧力の単位である。
【0019】
元素周期表の元素の標準的な略号が本明細書において使用される。元素がこれらの略号によって言及できることを理解すべきである(たとえば、Sは硫黄を意味し、Siはケイ素を意味し、Hは水素を意味する、など)。
【0020】
酸化バナジウムなどの堆積される膜または層は、それらの適切な化学量論(すなわち、VO、V、V)に言及することなく本明細書および請求項の全体にわたって列挙されることに留意されたい。層は、純粋(M)層、炭化物(M)層、窒化物(M)層、酸化物(M)層、またはそれらの混合物を含むことができ、式中、Mは元素であり、k、l、m、n、o、およびpは1〜6(両端の値を含む)の両端を含む範囲である。たとえば、酸化バナジウムはVであり、式中のkおよびlのそれぞれは0.5〜5(両端の値を含む)の範囲である。より好ましくは、酸化バナジウムはVO、V、またはVである。酸化物層は、異なる二元または三元酸化物層の混合物であってよい。たとえば、酸化物層は、SrTiO、BaTiO、HfZrO、HfTiO、HfYO、ZrYO、TiAlO、ZrErO、ZrLaO、ZrDyO、HfDyO、HfLaO、TiErO、TiYOであってよく、式中のxは1〜6(両端の値を含む)の範囲である。酸化物層は、たとえばHfO/Alナノ積層体などの異なる酸化物層のスタックであってよい。参照される任意の層は、酸化ケイ素層Si(式中、nは0.5〜1.5(両端の値を含む)の範囲であり、mは1.5〜3.5(両端の値を含む)の範囲である)も含むことができる。より好ましくは、酸化ケイ素層はSiOまたはSiOである。酸化ケイ素層は、酸化ケイ素系誘電体材料、たとえば有機系または酸化ケイ素系の低k誘電体材料、たとえばApplied Materials,Inc.のBlack Diamond IIまたはIII材料であってよい。あるいは、参照される任意のシリコン含有層は純シリコンであってよい。任意のシリコン含有層は、B、C、P、As、および/またはGeなどのドーパントを含むこともできる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0021】
フッ素化反応物質を用いて基板から層を除去するエッチング方法が開示される。フッ素化反応物質の蒸気を、基板上の層が収容される反応器中に導入し、その層の少なくとも一部と反応させて、揮発性フッ素化種を形成する。揮発性フッ素化種は反応器から除去される。本開示の方法は以下の態様の1つ以上を含むことができる:
・フッ素化反応物質が、式MF(付加物)(式中、Mは周期表の元素であり;xは2〜6(両端の値を含む)の範囲であり;nは0〜5(両端の値を含む)の範囲であり;付加物は、THF、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、グリム、ジグリム、トリグリム、ポリグリム、ジメチルスルフィド、ジエチルスルフィド、またはメチルシアニドから選択される中性有機分子である)で表されること;
・MがTi、Zr、Hf、V、Ta、Mo、およびWからなる群から選択される元素であること;
・MがTi、Zr、Hf、V、Mo、およびWからなる群から選択される元素であること;
・MがPであること;
・フッ素化反応物質が、式MF(式中、Mは周期表のIV族の元素(すなわち、Ti、Zr、またはHf)であり、xは2〜6(両端の値を含む)の範囲である)で表されること;
・フッ素化反応物質が、式MF(式中、Mは周期表のV族の元素(すなわち、V、Nb、またはTa)であり、xは2〜6(両端の値を含む)の範囲である)で表されること;
・フッ素化反応物質が式MF(式中、MはMoまたはWであり、xは2〜6(両端の値を含む)の範囲である)で表されること;
・フッ素化反応物質がTiFであること;
・フッ素化反応物質がZrFであること;
・フッ素化反応物質がHfFであること;
・フッ素化反応物質がVFであること;
・フッ素化反応物質がNbFであること;
・フッ素化反応物質がTaFであること;
・フッ素化反応物質がMoFであること;
・フッ素化反応物質がWFであること;
・フッ素化反応物質がPFであること;
・フッ素化反応物質がPFであること;
・フッ素化反応物質が、THF、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、グリム、ジグリム、トリグリム、ポリグリム、ジメチルスルフィド、ジエチルスルフィド、およびメチルシアニドからなる群から選択される溶媒をさらに含むこと;
・フッ素化反応物質が、式MF(付加物)(式中、Mは周期表の元素であり、xは2〜6(両端の値を含む)の範囲であり、nは1〜5(両端の値を含む)の範囲であり、付加物は、THF、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、グリム、ジグリム、トリグリム、ポリグリム、ジメチルスルフィド、ジエチルスルフィド、およびメチルシアニドからなる群から選択される中性有機分子である)で表されること;
・フッ素化反応物質が、式MF(付加物)(式中、Mは周期表のIV族の元素(すなわち、Ti、Zr、またはHf)であり、xは2〜6(両端の値を含む)の範囲であり、nは1〜5(両端の値を含む)の範囲であり、付加物は、THF、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、グリム、ジグリム、トリグリム、ポリグリム、ジメチルスルフィド、ジエチルスルフィド、およびメチルシアニドからなる群から選択される中性有機分子である)で表されること;
・フッ素化反応物質が、式MF(付加物)(式中、Mは周期表のV族の元素(すなわち、V、Nb、またはTa)であり、xは2〜6(両端の値を含む)の範囲であり、nは1〜5(両端の値を含む)の範囲であり、付加物は、THF、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、グリム、ジグリム、トリグリム、ポリグリム、ジメチルスルフィド、ジエチルスルフィド、およびメチルシアニドからなる群から選択される中性有機分子である)で表されること;
・フッ素化反応物質が、式MF(付加物)、(式中、MはMoまたはWであり、xは2〜6(両端の値を含む)の範囲であり、nは1〜5(両端の値を含む)の範囲であり、付加物は、THF、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、グリム、ジグリム、トリグリム、ポリグリム、ジメチルスルフィド、ジエチルスルフィド、およびメチルシアニドからなる群から選択される中性有機分子である)で表されること;
・フッ素化反応物質が、TiF(付加物)(式中、nは1〜5(両端の値を含む)の範囲であり、付加物は、THF、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、グリム、ジグリム、トリグリム、ポリグリム、ジメチルスルフィド、ジエチルスルフィド、およびメチルシアニドからなる群から選択される中性有機分子である)であること;
・フッ素化反応物質が、ZrF(付加物)(式中、nは1〜5(両端の値を含む)の範囲であり、付加物は、THF、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、グリム、ジグリム、トリグリム、ポリグリム、ジメチルスルフィド、ジエチルスルフィド、およびメチルシアニドからなる群から選択される中性有機分子である)であること;
・フッ素化反応物質が、NbF(付加物)(式中、nは1〜5(両端の値を含む)の範囲であり、付加物は、THF、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、グリム、ジグリム、トリグリム、ポリグリム、ジメチルスルフィド、ジエチルスルフィド、およびメチルシアニドからなる群から選択される中性有機分子である)であること;
・フッ素化反応物質がTaF(付加物)であり、nは1〜5(両端の値を含む)の範囲であり、付加物は、THF、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、グリム、ジグリム、トリグリム、ポリグリム、ジメチルスルフィド、ジエチルスルフィド、およびメチルシアニドからなる群から選択される中性有機分子であること;
・フッ素化反応物質がNbF(SEt)であること;
・フッ素化反応物質がNbF(SEt)であること;
・フッ素化反応物質がTaF(SEt)であること;
・フッ素化反応物質がTaF(SEtであること;
・基板が酸化ケイ素であること;
・基板がシリコンウエハであること;
・基板がステンレス鋼であること;
・基板が酸化アルミニウムであること;
・基板が窒化アルミニウムであること;
・層が窒化物層であること;
・窒化物層が、窒化チタン、窒化バナジウム、窒化クロム、窒化マンガン、窒化鉄、窒化コバルト、窒化ニッケル、窒化銅、窒化亜鉛、窒化ガリウム、窒化ゲルマニウム、窒化ストロンチウム、窒化イットリウム、窒化ジルコニウム、窒化ニオブ、窒化モリブデン、窒化ルテニウム、窒化ロジウム、窒化パラジウム、窒化銀、窒化カドミウム、窒化インジウム、窒化スズ、窒化アンチモン、窒化テルル、窒化セシウム、窒化ハフニウム、窒化タンタル、窒化タングステン、窒化レニウム、窒化オスミウム、窒化ランタン、窒化セリウム、窒化プラセオジム、窒化ネオジム、窒化ガドリニウム、窒化ジスプロシウム、窒化エルビウム、窒化イッテルビウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、窒化ハフニウムジルコニウム、チタン酸ハフニウム、窒化ハフニウムイットリウム、窒化ジルコニウムイットリウム、アルミン酸チタン、窒化ジルコニウムエルビウム、窒化ジルコニウムランタン、窒化ジルコニウムジスプロシウム、窒化ハフニウムジスプロシウム、窒化ハフニウムランタン、窒化チタンエルビウム、および窒化チタンイットリウムからなる群から選択されること;
・窒化物層が、窒化チタン、窒化ジルコニウム、窒化ハフニウム、窒化バナジウム、窒化ニオブ、窒化タンタル、窒化モリブデン、窒化タングステン、またはそれらの組合せであること;
・層が金属層であること;
・金属層がタングステンであること;
・金属層がモリブデンであること;
・金属層が4族の金属(Ti、Hf、Zr)であること;
・金属層が5族の金属(V、Nb、Ta)であること;
・層が酸化物層であること;
・酸化物層が、酸化スカンジウム(Sc)、酸化チタン(TiO)、酸化バナジウム(VO、V、V)、酸化クロム(CrO、CrO、CrO、CrO、Cr21)、酸化マンガン(MnO、Mn、Mn、MnO、Mn)、酸化鉄(FeO、Fe、Fe、Fe)、酸化コバルト(CoO、Co、Co)、酸化ニッケル(NiO、Ni)、酸化銅(CuO、CuO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ガリウム(Ga、GeO、GeO)、酸化ゲルマニウム(GeO)、酸化ストロンチウム(SrO)、酸化イットリウム(Y)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化ニオブ(Nb)、酸化モリブデン(MoO、MoO)、酸化ルテニウム(RuO)、酸化ロジウム(Rh)、酸化インジウム(In)、酸化スズ(SnO、SnO)、酸化アンチモン(Sb)、酸化テルル(TeO)、酸化セシウム(Cs11、CsO、CsO、CsO)、酸化バリウム(BaO)、酸化ルテチウム(Lu)、酸化ハフニウム(HfO)、酸化タンタル(Ta)、酸化タングステン(W、WO、WO、W)、酸化レニウム(Rh、RhO、RhO)、酸化オスミウム(OsO、OsO)、酸化イリジウム(IrO)、酸化白金(PtO)、酸化金(Au)、酸化ビスマス(Bi)、酸化ランタン(La)、酸化セリウム(Ce)、酸化プラセオジム(Pr)、酸化ネオジム(Nd)、酸化ガドリニウム(Gd)、酸化ジスプロシウム(Dy)、酸化エルビウム(Er)、酸化イッテルビウム(Yb)、またはそれらのあらゆる混合物であること;
・酸化物層が酸化チタン(TiO)であること;
・酸化物層が酸化ジルコニウム(ZrO)であること;
・酸化物層が酸化ハフニウム(HfO)であること;
・酸化物層が酸化ニオブ(Nb)であること;
・酸化物層が酸化モリブデン(MoO、MoO)であること;
・酸化物層が酸化タンタル(Ta)であること;
・酸化物層が酸化タングステン(W、WO、WO、W)であること;
・酸化物層をCVD、ALD、またはPVDによって堆積すること;
・金属層を酸化させて酸化物層を形成すること;
・金属層を1ステップで完全に酸化させること;
・金属層が約0.5nm〜約200nm(両端の値を含む)の範囲の厚さを有すること;
・金属層の表面のみが酸化されるように、金属層の上部を酸化させること;
・金属層の酸化した部分が、約0.2nm〜約200nm(両端の値を含む)の範囲の厚さを有すること;
・O、HO、O、H、NO、ジシロキサン、アルコール、カルボン酸、Oプラズマおよびそのラジカル、またはそれらの組合せから選択される酸化剤を使用して金属層を酸化させること;
・金属層を酸化させて金属酸化物層を形成し、続いて同じ処理装置中で金属酸化物層を除去すること;
・ある処理チャンバー中で金属層を酸化させて金属酸化物層を形成し、続いて異なる処理チャンバー中で金属酸化物層を除去すること;
・金属層を酸化させて金属酸化物層を形成するステップと、金属酸化物層を除去するステップとを2回以上繰り返して、目標金属層除去厚さを実現すること;
・金属窒化物層を酸化させて金属酸窒化物層を形成し、続いて同じ処理装置中で金属酸窒化物層を除去すること;
・ある処理チャンバー中で金属窒化物層を酸化させて金属酸窒化物層を形成し、続いて異なる処理装置中で金属酸窒化物層を除去すること;
・金属窒化物層を酸化させて金属酸窒化物層を形成するステップと、金属酸窒化物層を除去するステップとを2回以上繰り返して、目標金属層除去厚さを実現すること;
・金属基板から酸化物層を選択的にエッチングすること;
・Al基板からNb層を選択的にエッチングすること;
・Al基板からTa層を選択的にエッチングすること;
・Al基板からTiO層を選択的にエッチングすること;
・Al基板からZrO層を選択的にエッチングすること;
・Al基板からHfO層を選択的にエッチングすること;
・SiO基板からNb層を選択的にエッチングすること;
・SiO基板からTa層を選択的にエッチングすること;
・SiO基板からTiO層を選択的にエッチングすること;
・SiO基板からZrO層を選択的にエッチングすること;
・SiO基板からZrO層を選択的にエッチングすること;
・タングステン基板から酸化タングステン層を選択的にエッチングすること;
・モリブデン基板から酸化モリブデン層を選択的にエッチングすること;
・タンタル基板から酸化タンタル層を選択的にエッチングすること;
・ニオブ基板から酸化ニオブ層を選択的にエッチングすること;
・バナジウム基板から酸化バナジウム層を選択的にエッチングすること;
・ハフニウム基板から酸化ハフニウム層を選択的にエッチングすること;
・ジルコニウム基板から酸化ジルコニウム層を選択的にエッチングすること;
・チタン基板から酸化チタン層を選択的にエッチングすること;
・窒化物基板から酸化物層または酸窒化物層を選択的にエッチングすること;
・窒化タングステン基板から酸化タングステンまたは酸窒化タングステン層を選択的にエッチングすること;
・窒化モリブデン基板から酸化モリブデン層または酸窒化モリブデン層を選択的にエッチングすること;
・窒化タンタル基板から酸化タンタル層または酸窒化タンタル層を選択的にエッチングすること;
・窒化ニオブ基板から酸化ニオブまたは酸窒化ニオブ層を選択的にエッチングすること;
・窒化バナジウム基板から酸化バナジウム層または酸窒化バナジウム層を選択的にエッチングすること;
・窒化ハフニウム基板から酸化ハフニウム層または酸窒化ハフニウム層を選択的にエッチングすること;
・窒化ジルコニウム基板から酸化ジルコニウム層または酸窒化ジルコニウム層を選択的にエッチングすること;
・チタン基板から酸化チタン層を選択的にエッチングすること;
・基板から層の少なくとも一部を熱エッチングすること;
・プロセス中にプラズマを全く使用しないこと;
・反応器中に不活性ガスを導入すること;
・不活性ガスが、N、He、Ar、Xe、Kr、およびNeからなる群から選択されること;
・不活性ガスがArであること;
・反応器に導入する前に、フッ素化反応物質と不活性ガスとを混合して混合物を生成すること;
・不活性ガスとは別に、フッ素化反応物質を反応器中に導入すること;
・不活性ガスを反応器中に連続的に導入し、フッ素化反応物質を反応器中にパルスで導入すること;
・不活性ガスが、反応器中に導入されるフッ素化反応物質および不活性ガスの全体積の約25%v/v〜約95%v/vを含むこと;
・プロセス全体の間、フッ素化反応物質の蒸気を反応器中に連続的に導入すること;
・プロセス中にフッ素化反応物質の蒸気を反応器中にパルシングすること;
・反応器から除去された揮発性フッ素化種を分析すること;
・四重極質量分析計によって揮発性フッ素化種の排気を測定すること;
・チャンバーは約0Torr〜約500Torr(両端の値を含む)の範囲の圧力を有すること;
・チャンバーは、約50mtorr〜約20torr(両端の値を含む)の範囲の圧力を有すること;
・約0.1sccm〜約1slm(両端の値を含む)の範囲の流量でエッチガスをチャンバーに導入すること;
・約50℃〜約500℃(両端の値を含む)の範囲の温度に基板を維持すること;および
・約100℃〜約400℃(両端の値を含む)の範囲の温度に基板を維持すること。
【0022】
式MF(付加物)(式中、Mは周期表の元素であり;xは2〜6(両端の値を含む)の範囲であり;nは0〜5(両端の値を含む)の範囲であり;付加物は、THF、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、グリム、ジグリム、トリグリム、ポリグリム、ジメチルスルフィド、ジエチルスルフィド、またはメチルシアニドから選択される中性有機分子である)で表されるフッ素化反応物質を含むエッチング組成物も開示される。本開示の酸化物層エッチング組成物は、以下の態様の1つ以上を含むことができる:
・nが0であること;
・MがTi、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Mo、およびWからなる群から選択される元素であること;
・MがTi、Zr、Hf、V、Ta、Mo、およびWからなる群から選択される元素であること;
・MがTi、Zr、Hf、V、Mo、およびWからなる群から選択される元素であること;
・フッ素化反応物質が、式MF(式中、Mは周期表のIV族の元素(すなわち、Ti、Zr、またはHf)であり、xは4である)で表されること;
・フッ素化反応物質が式MF(式中、Mは周期表のV族の元素(すなわち、V、Nb、またはTa)であり、xは5である)で表されること;
・フッ素化反応物質が、式MF(式中、MはMoまたはWであり、xは6である)で表されること;
・フッ素化反応物質がTiFであること;
・フッ素化反応物質がZrFであること;
・フッ素化反応物質がHfFであること;
・フッ素化反応物質がVFであること;
・フッ素化反応物質がNbFであること;
・フッ素化反応物質がTaFであること;
・フッ素化反応物質がMoFであること;
・フッ素化反応物質がWFであること;
・エッチング組成物が、THF、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、グリム、ジグリム、トリグリム、ポリグリム、ジメチルスルフィド、ジエチルスルフィド、およびメチルシアニドからなる群から選択される溶媒をさらに含むこと;
・フッ素化反応物質が式MF(付加物)(式中、Mは周期表の元素であり、xは2〜6(両端の値を含む)の範囲であり、nは1〜5(両端の値を含む)の範囲であり、付加物は、THF、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、グリム、ジグリム、トリグリム、ポリグリム、ジメチルスルフィド、ジエチルスルフィド、およびメチルシアニドからなる群から選択される中性有機分子である)で表されること;
・フッ素化反応物質が式MF(付加物)(式中、Mは周期表のIV族の元素(すなわち、Ti、Zr、またはHf)であり、xは2〜6(両端の値を含む)の範囲であり、nは1〜5(両端の値を含む)の範囲であり、付加物は、THF、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、グリム、ジグリム、トリグリム、ポリグリム、ジメチルスルフィド、ジエチルスルフィド、およびメチルシアニドからなる群から選択される中性有機分子である)で表されること;
・フッ素化反応物質が式MF(付加物)(式中、Mは周期表のV族の元素(すなわち、V、Nb、またはTa)であり、xは2〜6(両端の値を含む)の範囲であり、nは1〜5(両端の値を含む)の範囲であり、付加物は、THF、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、グリム、ジグリム、トリグリム、ポリグリム、ジメチルスルフィド、ジエチルスルフィド、およびメチルシアニドからなる群から選択される中性有機分子である)で表されること;
・フッ素化反応物質が式MF(付加物)(式中、MはMoまたはWであり、xは2〜6(両端の値を含む)の範囲であり、nは1〜5(両端の値を含む)の範囲であり、付加物は、THF、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、グリム、ジグリム、トリグリム、ポリグリム、ジメチルスルフィド、ジエチルスルフィド、およびメチルシアニドからなる群から選択される中性有機分子である)で表されること;
・フッ素化反応物質がTiF(付加物)(式中、nは1〜5(両端の値を含む)の範囲であり、付加物は、THF、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、グリム、ジグリム、トリグリム、ポリグリム、ジメチルスルフィド、ジエチルスルフィド、およびメチルシアニドからなる群から選択される中性有機分子である)であること;
・フッ素化反応物質がZrF(付加物)(式中、nは1〜5(両端の値を含む)の範囲であり、付加物は、THF、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、グリム、ジグリム、トリグリム、ポリグリム、ジメチルスルフィド、ジエチルスルフィド、およびメチルシアニドからなる群から選択される中性有機分子である)であること;
・フッ素化反応物質がNbF(付加物)(式中、nは1〜5(両端の値を含む)の範囲であり、付加物は、THF、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、グリム、ジグリム、トリグリム、ポリグリム、ジメチルスルフィド、ジエチルスルフィド、およびメチルシアニドからなる群から選択される中性有機分子である)であること;
・フッ素化反応物質がTaF(付加物)であり、nは1〜5(両端の値を含む)の範囲であり、付加物は、THF、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、グリム、ジグリム、トリグリム、ポリグリム、ジメチルスルフィド、ジエチルスルフィド、およびメチルシアニドからなる群から選択される中性有機分子であること;
・フッ素化反応物質がNbF(SEt)であること;
・フッ素化反応物質がNbF(SEtであること;
・フッ素化反応物質がTaF(SEt)であること;
・フッ素化反応物質がTaF(SEtであること;
・エッチング組成物が約95%w/w〜約100%w/wの間のフッ素化反応物質を含むこと;
・エッチング組成物が約5%w/w〜約50%w/wの間のフッ素化反応物質を含むこと;
・エッチング組成物が約0ppbw〜約500ppbwの間のAlを含むこと;
・エッチング組成物が約0ppbw〜約500ppbwの間のAsを含むこと;
・エッチング組成物が約0ppbw〜約500ppbwの間のBaを含むこと;
・エッチング組成物が約0ppbw〜約500ppbwの間のBeを含むこと;
・エッチング組成物が約0ppbw〜約500ppbwの間のBiを含むこと;
・エッチング組成物が約0ppbw〜約500ppbwの間のCdを含むこと;
・エッチング組成物が約0ppbw〜約500ppbwの間のCaを含むこと;
・エッチング組成物が約0ppbw〜約500ppbwの間のCrを含むこと;
・エッチング組成物が約0ppbw〜約500ppbwの間のCoを含むこと;
・エッチング組成物が約0ppbw〜約500ppbwの間のCuを含むこと;
・エッチング組成物が約0ppbw〜約500ppbwの間のGaを含むこと;
・エッチング組成物が約0ppbw〜約500ppbwの間のGeを含むこと;
・エッチング組成物が約0ppbw〜約500ppbwの間のHfを含むこと;
・エッチング組成物が約0ppbw〜約500ppbwの間のZrを含むこと;
・エッチング組成物が約0ppbw〜約500ppbwの間のInを含むこと;
・エッチング組成物が約0ppbw〜約500ppbwの間のFeを含むこと;
・エッチング組成物が約0ppbw〜約500ppbwの間のPbを含むこと;
・エッチング組成物が約0ppbw〜約500ppbwの間のLiを含むこと;
・エッチング組成物が約0ppbw〜約500ppbwの間のMgを含むこと;
・エッチング組成物が約0ppbw〜約500ppbwの間のMnを含むこと;
・エッチング組成物が約0ppbw〜約500ppbwの間のNiを含むこと;
・エッチング組成物が約0ppbw〜約500ppbwの間のKを含むこと;
・エッチング組成物が約0ppbw〜約500ppbwの間のNaを含むこと;
・エッチング組成物が約0ppbw〜約500ppbwの間のSrを含むこと;
・エッチング組成物が約0ppbw〜約500ppbwの間のThを含むこと;
・エッチング組成物が約0ppbw〜約500ppbwの間のSnを含むこと;
・エッチング組成物が約0ppbw〜約500ppbwの間のTiを含むこと;
・エッチング組成物が約0ppbw〜約500ppbwの間のUを含むこと;
・エッチング組成物が約0ppbw〜約500ppbwの間のZnを含むこと;
・エッチング組成物が約0ppmw〜約500ppmwの間のClを含むこと;
・エッチング組成物が約0ppmw〜約500ppmwの間のBrを含むこと;
・エッチング組成物が約0ppmw〜約500ppmwの間のIを含むこと;および
・エッチング組成物が約0.0%w/w〜0.1%w/wの間のClを含むこと。
【0023】
本発明の性質および目的のさらなる理解のために、同様の要素に同一または類似の参照番号が与えられている添付の図面とともに以下の詳細な説明を参照すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本明細書に開示されるフッ素化反応物質送出装置の一実施形態の側面図である。
図2】本明細書に開示されるフッ素化反応物質送出装置の第2の実施形態の側面図である。
図3】固体フッ素化反応物質を昇華させるための固体前駆体昇華器の例示的な一実施形態である。
図4】実施例1〜6に使用される装置の概略図である。
図5】5〜7Torrにおける熱反応器中のNbF導入時間の関数としての種々の酸化物層の厚さを示すグラフである。
図6】5〜7Torrにおける熱反応器中のVF導入時間の関数としての種々の酸化物層および窒化物層の厚さを示すグラフである。
図7】5〜7Torrにおける熱反応器中のMoF導入時間の関数としての種々の酸化物層および窒化物層の厚さを示すグラフである。
図8】逐次的な金属膜の酸化および膜の酸化部分の選択的除去による金属膜の逐次エッチングの順序を示すフローチャートである。
図9図9aは、Ti/TiN層上のタングステン層から形成された酸化タングステンの約120nmの厚さの層の走査型電子顕微鏡(SEM)画像である。図9bは、Ti/TiN層上のタングステン層から形成された酸化タングステンの同じ約120nmの厚さの層のエネルギー分散型X線(EDX)マップである。図9cは、タングステンの強度を示す図9bのEDXマップである。図9dは、酸素の強度を示す図9bのEDXマップである。
図10】300℃におけるNbFによる200秒のエッチング後に残存する図9aの約100nmの厚さの酸化タングステン層のSEM画像である。
図11図11aは、350℃におけるNbFによる5秒のエッチング後に残存する図9aの約52nmの厚さの酸化タングステン層のSEM画像である。図11bは、350℃におけるNbFによる10秒のエッチング後に残存する図9aの約45nmの厚さの酸化タングステン層のSEM画像である。図11cは、350℃におけるNbFによる15秒のエッチング後に残存する図9aの約25nmの厚さの酸化タングステン層のSEM画像である。
図12図12aは、400℃におけるNbFによる1秒のエッチング後に残存する図9aの酸化タングステン層のSEM画像である。図12bは、400℃におけるNbFによる2秒のエッチング後に残存する図9aの酸化タングステン層のSEM画像である。図12cは、400℃におけるNbFによる酸化タングステン層の3秒のエッチング後に残存するタングステン層のSEM画像であり、結果として酸化タングステン層は完全に除去された。
【発明を実施するための形態】
【0025】
プラズマを使用せずにフッ素化反応物質を使用して層を除去する方法が開示される。基板上に配置された層が収容された反応器中にフッ素化反応物質の蒸気が導入される。フッ素化反応物質の蒸気は層と反応して、揮発性フッ素化種を形成する。結果として、層の少なくとも一部が基板から除去される。
【0026】
本開示の方法は、プラズマを全く利用せずに層を除去することができる。たとえば、本開示の方法は、1つの層を異なる層から選択的にエッチングすることができる。特に、本開示の方法は、約1:1〜60:1の範囲のアスペクト比を有するDRAMトレンチ中のAl層からZrO層をドライエッチングするために有用となり得る。あるいは、本開示の方法は、Al、SiO、またはステンレス鋼などの堆積反応器表面から残留物を除去するための洗浄方法として使用することができる。別の代案の1つでは、本開示の方法は、トランジスタデバイスのゲートスタックから、SiOハードマスクキャップ層を下にあるドープされたポリシリコン層から選択的にエッチングすることができる。
【0027】
プラズマは、高アスペクト比を有する構造中の任意の層の除去中に、層が除去される基板、特に任意の側壁に損傷を生じさせることがある。この損傷によって、基板の汚染が生じることもある。プラズマによって、不均一性の問題が生じることもあり、その結果、特に、チャンバー洗浄用途および高アスペクト比構造のエッチングの場合に、プラズマが到達しない場所でデッドスペースが生じうる。結果として、プラズマエッチングプロセスでは、洗浄またはエッチングされる構造から層全体が首尾良く除去されない場合がある。したがってプラズマプロセスを使用せずに層を除去する能力によって、プラズマを使用するプロセスに対する顕著な利点が得られる。
【0028】
本発明のフッ素化反応物質は、式MF(付加物)(式中、Mは周期表の元素であり、xは2〜6(両端の値を含む)の範囲であり、nは0〜5(両端の値を含む)の範囲である)で表される。n=0である代表的なフッ素化反応物質としては、PF、PF、TiF、ZrF、HfF、VF、NbF、TaF、MoF、WF、またはそれらの組合せが挙げられる。MがIV族元素(すなわち、Ti、Zr、またはHf)である場合、得られるフッ素化反応物質(すなわち、TiF、ZrF、またはHfF)は、標準温度および圧力において固体である。MがV族元素(すなわち、V、Nb、またはTa)である場合、得られるフッ素化反応物質はVF、NbF、またはTaFである。VFは標準温度および圧力において液体であり、一方、NbFおよびTaFは固体である。Mは、周期表のVI族であるMoまたはWであってもよい。得られるフッ素化反応物質(すなわち、MoFおよびWF)は標準温度および圧力において液体である。液体反応物質の蒸気の送出は、固体反応物質の蒸気の送出よりも容易であり、VF、MoF、およびWFを用いたプロセスが本出願には興味深いことが、当業者には認識されよう。
【0029】
あるいは、フッ素化反応物質は、式MF(付加物)(式中、Mは周期表の元素であり、xは2〜6(両端の値を含む)の範囲であり、nは1〜5(両端の値を含む)の範囲であり、付加物は、THF、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、グリム、ジグリム、トリグリム、ポリグリム、ジメチルスルフィド、ジエチルスルフィド、またはメチルシアニドから選択される中性有機分子である)で表される。代表的なフッ素化反応物質としては、TiF(付加物)、ZrF(付加物)、NbF5−n(付加物)、またはTaF5−n(付加物)、たとえばNbF(SEt)、NbF(SEt、TaF(SEt)、およびTaF(SEtが挙げられる。固体フッ素化反応物質の場合、付加物の付加によって、標準温度および圧力における反応物質の相の固体から液体への変化を促進することができ、これは前述のように蒸気の送出に有益であり、付加物を有するフッ素化反応物質もチャンバー洗浄用途に適切となる。しかし、付加物を有する反応物質を使用すると、高アスペクト比構造のエッチングの場合に汚染の問題が判明する場合がある。
【0030】
式MF(式中、Mは周期表の元素であり、xは2〜6(両端の値を含む)の範囲である)で表される本開示のフッ素化反応物質は市販されている。たとえば、Sigma−Aldrichは、現在、TiF、ZrF、HfF、NbF、TaF、およびWFを販売しており、Advance Research Chemicals,Inc.は、現在、VFおよびMoFを販売している。本開示のフッ素化反応物質MF(付加物)は、Journal of the Less−Common Metals,61(1978)1−30に記載の手順により、対応するフッ素化反応物質MFを適切な付加物溶媒中で混合することによって調製することができる。フッ素化反応物質MFを溶媒中で混合することで、反応物質および溶媒によって決定されるが、付加物または溶液を生成できることを、当業者には認識されよう。
【0031】
好ましいフッ素化反応物質は弱いM−F結合を有し、それによって遊離のF基の解離がより容易になり、基板と容易に反応して、反応器から除去可能な揮発性フッ素化種を生成する。蒸気を送出するために高温(約30℃〜約150℃(両端の値を含む)の範囲)において、固体のNbF、TaF、TiF、ZrF、またはHfF反応物質を本開示の方法に使用することができる。液体のVF、MoF、およびWFは、より低い温度(反応物質の凝固点から約150℃(両端の値を含む)の範囲)で使用することができる。好ましくは、フッ素化反応物質は、VF、NbF、TaF、MoF、WF、NbF(SEt)、またはTaF(SEt)であり、より好ましくはNbFまたはTaFである。
【0032】
本開示のフッ素化反応物質の純度は、好ましくは90%w/wを超える。エッチング用途、特に高アスペクト比のエッチング用途の場合、本開示のフッ素化反応物質の純度は、汚染の問題を防止するために99.9%w/wを超えることができ、好ましくは99.99%w/wを超えることができる。本開示のエッチング用フッ素化反応物質は、塩素、臭化物、ヨウ素、水分(HO)、フッ化水素(HF)、塩化水素(HCl)、臭化水素(HBr)、ヨウ化水素(HI)、またはその他の有機および無機の不純物のいずれかを含有しうる。好ましくは、これらの不純物のそれぞれの総量は0.1%w/w未満である。このような不純物は、昇華、蒸留、もしくは適切な溶媒中の再結晶、またはあらゆる別の適切な精製方法によって除去することができる。再結晶に適した溶媒は、THF、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジクロロメタン、トリクロロメタン、テトラクロロメタン、グリム、ジグリム、トリグリム、ポリグリム、ジメチルスルフィド、ジエチルスルフィド、またはメチルシアニドから選択することができる。
【0033】
本開示のフッ素化反応物質は、ppbw(10億重量部当たりの部数)レベルの金属または半金属の不純物を含むこともできる。これらの金属または半金属の不純物としては、リチウム(Li)、ベリリウム(Be)、ナトリウム(Na)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、ケイ素(Si)、カリウム(K)、カルシウム(Ca)、スカンジウム(Sc)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、ヒ素(As)、ストロンチウム(Sr)、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、カドミウム(Cd)、インジウム(In)、スズ(Sn)、アンチモン(Sb)、テルル(Te)、セシウム(Cs)、バリウム(Ba)、ルテチウム(Lu)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、レニウム(Re)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、金(Au)、水銀(Hg)、タリウム(Tl)、鉛(Pb)、ビスマス(Bi)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、ジスプロシウム(Dy)、エルビウム(Er)、および/またはイッテルビウム(Yb)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0034】
本開示のフッ素化反応物質の蒸気は、プラズマプロセスを全く利用せずに基板から層を除去するために使用される。これらのプロセスは、半導体、光起電力、LCD−TFT、またはフラットパネルのデバイスの製造に有用となり得る。本開示のフッ素化反応物質は、当業者に周知のあらゆるドライエッチング方法を使用して層を除去するために使用することができる。たとえば、エッチング方法は、基板が中に配置された低圧熱反応器中で行うことができる。あるいは、本開示のフッ素化反応物質は、原子スケールでエッチ速度が制御される原子層エッチングプロセスに使用することができる(原子層堆積とは異なり、原子層エッチングは自己制御反応ではない)。いずれの代案でも、下にある基板は、反応器壁などの反応器材料、または1つ以上の層を上に有するウエハであってよい。
【0035】
基板は、一般に、プロセスが行われる材料として定義される。基板は、反応器壁などの反応器の内部部品であってよい。あるいは、基板は、シリコン、炭化ケイ素、シリカ、ガラス、GaAs、またはGaNのウエハなどのウエハであってよい。反応器は、25.4mm〜450mmの直径を有する1〜200枚のシリコンウエハを収容することができる。ウエハは、除去すべき層などの、前の製造ステップで上に堆積された異なる材料の1つ以上の層を有することができる。たとえば、ウエハは、シリコン層(結晶性、非晶質、多孔質など)、炭化ケイ素層、酸化ケイ素層、窒化ケイ素層、酸窒化ケイ素層、炭素ドープされた酸化ケイ素(SiCOH)層、またはそれらの組合せを含むことができる。さらに、ウエハは、GaN層、アルミニウム層、銅層、タングステン層、または貴金属層(たとえば、白金、パラジウム、ロジウム、または金)を含むことができる。ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)ポリ(スチレンスルホネート)[PEDOT:PSS]などのプラスチック層を使用することもできる。これらの層は、平坦の場合も、パターン化されている場合もある。本開示の方法によって、1つの層を直接エッチングすることができるし、ウエハ上の複数の層の2つ以上(基板からのパターン化された層の場合)をエッチングすることもできる。さらに、本明細書において使用される「膜」または「層」という用語は、表面上に配置されるまたは表面にわたって広がるある厚さのある材料を意味し、その表面は、ウエハまたは反応器表面の全体には及ばないトレンチまたはラインであってよいことが、当業者には理解されよう。本明細書および請求項の全体にわたって、反応器またはウエハおよびその上の任意の関連する層を基板と呼ぶ。たとえば、シリコンウエハ上のSiO層。
【0036】
層は、金属層、窒化物層、酸化物層、またはそれらの組合せであってよい。
【0037】
代表的な金属層は、スカンジウム(Sc)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、ヒ素(As)、セレン(Se)、ストロンチウム(Sr)、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、カドミウム(Cd)、インジウム(In)、スズ(Sn)、アンチモン(Sb)、テルル(Te)、セシウム(Cs)、バリウム(Ba)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、レニウム(Re)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、金(Au)、水銀(Hg)、タリウム(Tl)、鉛(Pb)、ビスマス(Bi)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、ジスプロシウム(Dy)、エルビウム(Er)、イッテルビウム(Yb)、および/またはルテチウム(Lu)を含む。
【0038】
代表的な酸化物層は、酸化スカンジウム(Sc)、酸化チタン(TiO)、酸化バナジウム(VO、V、V)、酸化クロム(CrO、CrO、CrO、CrO、Cr21)、酸化マンガン(MnO、Mn、Mn、MnO、Mn)、酸化鉄(FeO、Fe、Fe、Fe)、酸化コバルト(CoO、Co、Co)、酸化ニッケル(NiO、Ni)、酸化銅(CuO、CuO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ガリウム(Ga、GaO、GaO)、酸化ゲルマニウム(GeO)、酸化ストロンチウム(SrO)、酸化イットリウム(Y)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化ニオブ(Nb)、酸化モリブデン(MoO、MoO)、酸化ルテニウム(RuO)、酸化ロジウム(Rh)、酸化パラジウム(PdO)、酸化銀(AgO)、酸化カドミウム(CdO)、酸化インジウム(In)、酸化スズ(SnO、SnO)、酸化アンチモン(Sb)、酸化テルル(TeO)、酸化セシウム(Cs11、CsO、CsO、CsO)、酸化バリウム(BaO)、酸化ルテチウム(Lu)、酸化ハフニウム(HfO)、酸化タンタル(Ta)、酸化タングステン(W、WO、WO、W)、酸化レニウム(Rh、RhO、RhO)、酸化オスミウム(OsO、OsO)、酸化イリジウム(IrO)、酸化白金(PtO)、酸化金(Au)、酸化ビスマス(Bi)、酸化ランタン(La)、酸化セリウム(Ce)、酸化プラセオジム(Pr)、酸化ネオジム(Nd)、酸化ガドリニウム(Gd)、酸化ジスプロシウム(Dy)、酸化エルビウム(Er)、または酸化イッテルビウム(Yb)を含む。
【0039】
代表的な窒化物層は、窒化チタン(TiN)、窒化タンタル(TaN)、窒化ケイ素(SiN)、窒化バナジウム(VN)、タングステン窒化物(WN)、窒化モリブデン(MoN)、窒化クロム(CrN)、窒化ハフニウム(HfN)、窒化ジルコニウム(ZrN)、窒化ゲルマニウム(GeN)、窒化マンガン(MnN)、窒化ニッケル(NiN)を含む。当業者であれば、窒化物が式MC(式中、MはSi、Ge、または遷移金属元素であり、xおよびyは0〜12の間で構成される)の炭窒化物および式MSi(式中、MはGeまたは遷移金属であり、x、y、およびzは0〜12(両端の値を含む)の間で構成される)のケイ炭窒化物を含むことを理解されよう。
【0040】
酸化物層は、二元または三元酸化物層であってもよい。たとえば、酸化物層は、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、チタン酸バリウム(BaTiO)、酸化ハフニウムジルコニウム(HfZrO)、チタン酸ハフニウム(HfTiO)、酸化ハフニウムイットリウム(HfYO)、酸化ジルコニウムイットリウム(ZrYO)、アルミン酸チタン(TiAlO)、酸化ジルコニウムエルビウム(ZrErO)、酸化ジルコニウムランタン(ZrLaO)、酸化ジルコニウムジスプロシウム(ZrDyO)、酸化ハフニウムジスプロシウム(HfDyO)、酸化ハフニウムランタン(HfLaO)、酸化チタンエルビウム(TiErO)、または酸化チタンイットリウム(TiYO)であってよく、式中のxは前述の定義の通りである。
【0041】
層は、たとえばHfO/Alナノ積層体などの異なる層のスタックであってもよい。より好ましくは、酸化物層は、酸化チタン(TiO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化ハフニウム(HfO)、酸化ニオブ(Nb)、酸化モリブデン(MoO、MoO)、および酸化タンタル(Ta)からなる群から選択される。
【0042】
フッ素化反応物質の蒸気は、層を上に有する基板を収容する反応器中に導入される。約0Torr〜約500Torrの範囲の全圧を反応器中で得るために、フッ素化反応物質の蒸気を約0.1sccm〜約1slmの範囲の流量で反応器に導入することができる。蒸気はN、Ar、またはKrなどのキャリアガスによって希釈することができる。たとえば、200mmのウエハサイズの場合、フッ素化反応物質の蒸気は、約0.1sccm〜約200sccm(両端の値を含む)の範囲の流量でチャンバーに導入することができる。あるいは、450mmのウエハサイズの場合、フッ素化反応物質の蒸気は、約100sccm〜約600sccm(両端の値を含む)の範囲の流量でチャンバーに導入することができる。当業者であれば、流量が工具ごとに変動することを理解されよう。代案の1つでは、フッ素化反応物質の蒸気は、チャンバー中に連続的に導入することができる。別の代案の1つでは、フッ素化反応物質の蒸気は、チャンバー中に逐次導入され、すなわち、パージの順序によって交互にパルスによって導入される(これは場合により原子層エッチングと呼ばれる)。
【0043】
フッ素化反応物質は、配管および/または流量計などの従来手段によって蒸気の形態で反応器中に導入される。反応物質の蒸気の形態は、従来の気化ステップ、たとえば直接気化、蒸留、直接液体注入により反応物質を気化させることによって、バブリングによって、またはXuらの国際公開第2009/087609号パンフレットに開示されるものなどの昇華器の使用によって導入することができる。反応物質は、反応器中に導入する前に気化が行われる蒸発器に液体状態で供給することができる。あるいは、反応物質は、反応物質を収容する容器中にキャリアガスを通すことによって、またはキャリアガスを反応物質中にバブリングすることによって、気化させることができる。キャリアガスとしてはAr、He、N、およびそれらの混合物を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。キャリアガスのバブリングによって、反応物質中に存在する溶存酸素を除去することもできる。キャリアガスおよび反応物質は、次に反応器中に蒸気として導入される。
【0044】
必要であれば、本開示のフッ素化反応物質の容器は、反応物質がその液相で存在できる、および/または十分な蒸気圧を有することができる温度まで加熱することができる。容器は、たとえば、約0℃〜約150℃(両端の値を含む)の範囲内の温度に維持することができる。当業者であれば、気化する反応物質の量を制御するために周知に方法で容器の温度を調節できることを理解されよう。
【0045】
フッ素化反応物質送出装置の3つの例示的な実施形態を示す図1〜3のフッ素化反応物質送出装置によって、フッ素化反応物質を反応器に送出することができる。
【0046】
図1は、フッ素化反応物質送出装置1の一実施形態の側面図である。図1中、本開示のフッ素化反応物質11は、入口導管3および出口導管4の2つの導管を有する容器2中に収容される。反応物質の技術分野の当業者であれば、容器2、入口導管3、および出口導管4は、高温および高圧でさえも気体の形態のフッ素化反応物質11が漏れるのを防止できるように製造されることを理解されよう。
【0047】
送出装置1は、反応器(図示せず)、またはガスキャビネットなどの送出装置と反応器との間の別の構成要素に、バルブ6および7によって流体的に接続される。好ましくは、容器2、入口導管3、バルブ6、出口導管4、およびバルブ7は、316L EPまたは304ステンレス鋼でできている。しかし、当業者であれば、別の非反応性材料を本明細書の教示において使用することもでき、任意の腐食性フッ素化反応物質11では、たとえばHaynes International,Inc.より商標のHastelloy(登録商標)またはHuntington Alloys Corporationより商標のInconel(登録商標)で販売されるニッケル系合金などのより耐食性の材料の使用が必要となりうることを理解されるであろう。あるいは、フッ素化反応物質11、および特にフッ素化反応物質11を収容する貯蔵容器に対して露出する部品は、限定するものではないが、ニッケル、ダイヤモンド状炭素、過フッ素化炭素、アルミナ、炭化ケイ素、および炭窒化物、金属炭化物など、ならびにそれらの多層などのフッ化物耐性のコーティングで被覆することができる。
【0048】
図1中、入口導管3の末端8は、フッ素化反応物質11の表面より上に位置し、一方、出口導管4の末端9はフッ素化反応物質11の表面より下に位置する。この実施形態では、フッ素化反応物質11は、好ましくは液体の形態である。限定するものではないが窒素、アルゴン、ヘリウム、およびそれらの混合物などの不活性ガスを入口導管3中に導入することができる。不活性ガスは送出装置2を加圧し、それによって液体フッ素化反応物質11が出口導管4を通って反応器(図示せず)まで押し出される。反応器は、酸化物膜を上に有する基板に蒸気を送出するために、ヘリウム、アルゴン、窒素、またはそれらの混合物などのキャリアガスを使用して、または使用せずに液体フッ素化反応物質11を蒸気に変換する蒸発器を含むことができる。
【0049】
図2は、フッ素化反応物質送出装置1の第2の実施形態の側面図である。図2中、入口導管3の末端8はフッ素化反応物質11の表面より下に位置し、一方、出口導管4の末端9はフッ素化反応物質11の表面より上に位置する。図2は、フッ素化反応物質11の温度を上昇させることができる任意選択の加熱要素14も含む。この実施形態では、フッ素化反応物質11は固体または液体の形態であってよい。限定するものではないが窒素、アルゴン、ヘリウム、およびそれらの混合物などの不活性ガスが入口導管3中に導入される。不活性ガスはフッ素化反応物質11を通過して気泡となり、不活性ガスと気化したフッ素化反応物質11との混合部を出口導管4および反応器まで運ぶ。
【0050】
図1および2は、バルブ6および7を含む。当業者であれば、それぞれ導管3および4を通って流れるように、バルブ6および7を開放位置または閉鎖位置に配置できることを理解されよう。フッ素化反応物質11が蒸気の形態である場合、または十分な蒸気圧が固相/液相の上に存在する場合は、図1および2中の送出装置1、または存在する任意の固体または液体の表面より上に末端が位置する1つの導管を有するより単純な送出装置のいずれかを使用することができる。この場合、図1中のバルブ6または図2中のバルブ7を単純に開放することによって、導管3または4から、フッ素化反応物質11が蒸気の形態で送出される。送出装置1は、たとえば任意選択の加熱要素14を使用することによって、蒸気の形態で送出されるフッ素化反応物質11の十分な蒸気圧を得るために適切な温度に維持することができる。
【0051】
図1および2はフッ素化反応物質送出装置1の2つの実施形態を開示しているが、当業者であれば、本明細書の開示から逸脱せずに、入口導管3および出口導管4の両方が、フッ素化反応物質11の表面の上または下に位置することもできることを理解されよう。さらに、入口導管3は充填口であってよい。たとえば、後述の固体NbFの研究開発例の場合、送出装置1は、フッ素化反応物質11の表面の上に位置する入口導管3および出口導管4の両方を含んだ。キャリアガスは、入口導管3を通って固体フッ素化反応物質11の表面上を流れ、フッ素化反応物質11の蒸気とキャリアガスとの混合物が出口導管4を通って送出装置1を出る。対照的に、液体のVFおよびMoFの蒸気は、真空を用いて生成し、液体フッ素化反応物質11の表面の上に1つの出口導管4を配置した。
【0052】
昇華器を用いて、固体の形態のフッ素化反応物質を反応器に送出することもできる。図3は、代表的な昇華器100の一実施形態を示している。昇華器100は容器33を含む。容器33は円筒形容器であってよいし、あるいは、限定されないあらゆる形状であってもよい。容器33は、限定するものではないが、ステンレス鋼、ニッケルおよびその合金、石英、ガラス、ならびに他の化学的に適合性の材料などの材料から構成される。ある場合では、容器33は、限定するものではないが、別の金属または金属合金から構成される。ある場合では、容器33は、約8センチメートル〜約55センチメートルの内径、あるいは約8センチメートル〜約30センチメートルの内径を有する。当業者によって理解されるように、別の構成は異なる寸法を有することができる。
【0053】
容器33は、密閉可能な上部15、密閉部材18、およびガスケット20を含む。密閉可能な上部15は、容器33を外部環境から密閉するように構成される。密閉可能な上部15は、容器33に到達できるように構成される。さらに、密閉可能な上部15は、容器33中への導管の通路のために構成される。あるいは、密閉可能な上部15は、容器33中に流体が流れるように構成される。密閉可能な上部15は、容器33との流体的接触を維持するための浸漬管92を含む導管が収容されて通過するように構成される。制御バルブ90および取付具95を有する浸漬管92は、キャリアガスを容器33に流すために構成される。ある場合では、浸漬管92は、容器33の中心軸の下に延在する。さらに、密閉可能な上部15は、排出管12を含む導管が収容されて通過するように構成される。キャリアガスおよびフッ素化反応物質の蒸気は、排出管12を通して容器33から除去される。排出管12は、制御バルブ10および取付具5を含む。ある場合では、排出管12は、昇華器100からのキャリアガスを反応器に送るためにガス送出マニホールドに流体的に連結される。
【0054】
容器33および密閉可能な上部15は、少なくとも2個の密閉部材18、あるいは少なくとも約4個の密閉部材によって密閉される。ある場合では、密閉可能な上部15は、少なくとも約8個の密閉部材18によって容器33に密閉される。当業者によって理解されるように、密閉部材18は、密閉可能な上部15を容器33に取り外し可能に連結して、ガスケット20とともに耐ガス性シールを形成する。密閉部材18は、容器33を密閉するための当業者に周知のあらゆる適切な手段を含むことができる。ある場合では、密閉部材18は蝶ねじを含む。
【0055】
図3中に示されるように、容器33は、内部に配置された少なくとも1つのディスクをさらに含む。ディスクは、固体材料のための棚、または水平支持体を含む。ある実施形態では、容器33の内側に環状に内側ディスク30が配置され、それによってディスク30は、容器33の内径または周囲よりも小さい外径または周囲を含み、開口部31を形成する。容器33内の周囲に外側ディスク86が配置され、それによってディスク86は、容器33の内径と同じ、ほぼ同じ、または概して一致する外径または周囲を含む。外側ディスク86によって、ディスク中央に配置された開口部87が形成される。複数のディスクが容器33内に配置される。ディスクは交互に積層され、内側ディスク30、34、36、44は、容器内で外側ディスク62、78、82、86と交互に垂直に積層される。実施形態では、内側ディスク30、34、36、44は環状に外側に延在し、外側ディスク62、78、82、86容器33の中央に向かって環状に延在する。図3の実施形態に示されるように、内側ディスク30、34、36、44は、外側ディスク62、78、82、86と物理的に接触していない。
【0056】
組み立てた昇華器100は、配列され連結された支持脚50と、内側通路51と、同心の壁40、41、42と、同心のスロット47、48、49とを含む内側ディスク30、34、36、44を含む。内側ディスク30、34、36、44は、垂直に積層され、浸漬管92のまわりに環状に配向する。さらに、昇華器は外側ディスク62、78、82、86を含む。図3中に示されるように、容器33からディスク62、78、82、86への熱伝導のための良好な接触のために、外側ディスク62、78、82、86は、容器33中にぴったりとはまるべきである。好ましくは、外側ディスク62、78、82、86は、容器33の内壁と連結するまたは物理的に接触する。
【0057】
図示されるように、外側ディスク62、78、82、86および内側ディスク30、34、36、44は、容器33の内側に積層される。容器33内で組み立てられて昇華器100を形成すると、内側ディスク30、34、36、44は、組み立てられた外側ディスク62、78、82、86の間に外側ガス通路31、35、37、45を形成する。さらに、外側ディスク62、78、82、86は、内側ディスク30、34、36、44の支持脚と内側ガス通路56、79、83、87を形成する。内側ディスク30、34、36、44の壁40、41、42は、固体前駆体を保持するための溝付きスロットを形成する。外側ディスク62、78、82、86は、固体前駆体を保持するための壁68、69、70を含む。組立中に、固体前駆体が内側ディスク30、34、36、44の環状スロット47、48、49、および外側ディスク62、78、82、86の環状スロット64、65、66の中に装入される。
【0058】
図3は、任意の固体フッ素化反応物質の蒸気を反応器に送出することができる昇華器の一実施形態を開示しているが、当業者であれば、本明細書の教示から逸脱しない別の昇華器の設計も適切となりうることを理解されよう。最後に、当業者であれば、本明細書の教示から逸脱せずに、Jurcikらの国際公開第2006/059187号パンフレットに開示されるアンプルなどの別の送出装置を使用して、本開示のフッ素化反応物質を半導体処理ツールに送出できることを理解されよう。
【0059】
反応器は、限定するものではないが、炉、平行板型反応器、コールドウォール型反応器、ホットウォール型反応器、シングルウエハ反応器、マルチウエハ反応器(すなわち、炉)、または別の種類の堆積システムなどの、反応物質が酸化物層と反応して揮発性のフッ素化種を形成するのに適切な条件下で堆積方法が行われる装置中の任意の筐体またはチャンバーであってよい。
【0060】
いずれのフッ素化反応物質がチャンバー材料と反応して、短期または長期の使用でその性能を低下させるかどうかを調べるために、材料適合性試験が重要である。チャンバー、バルブなどの部品中に含まれる重要な材料は、ステンレス鋼、アルミニウム、ニッケル、PCTFE、PVDF、PTFE、ならびのその他の金属およびポリマーを含む。時には、これらの材料は、より高い温度および圧力に曝露され、それによって劣化が促進されることがある。計測方法としては、目視検査、重量測定、SEMにおけるナノメートルスケールの変化の測定、引張強度、硬度などを挙げることができる。以下の実施例に示されるように、NbFは、AlおよびSiOなどの典型的なチャンバー材料のエッチングを引き起こさなかった。これは驚くべきことであり、その理由は、背景技術で議論したように、NbClは反応器のシリカ側壁と反応することが知られているからである(Surface and Coatings Technology,260,2014,pp.126−132)。
【0061】
反応器中の温度および圧力は、熱エッチングに適切な条件で維持される。言い換えると、フッ素化反応物質の蒸気をチャンバー中に導入した後、チャンバー中の条件は、層の少なくとも一部がエッチングされるような条件となる。「層の少なくとも一部がエッチングされる」とは、層の一部または全てがフッ素化反応物質と反応して揮発性フッ素化種を形成することを意味することを、当業者は理解されよう。たとえば、反応器中の圧力は、エッチングパラメータにより必要であれば、約1Pa〜約10Paの間、より好ましくは約25Pa〜約10Paの間に維持することができる。同様に、反応器中の温度は、約50℃〜約500℃の間、好ましくは約100℃〜約400℃の間に維持することができる。「層の少なくとも一部がエッチングされる」とは、層の一部または全てが除去されることを意味することを、当業者は理解されよう。
【0062】
反応器の温度は、基板ホルダーの温度の制御、または反応器壁の温度の制御のいずれかによって制御することができる。基板の加熱に使用される装置は当技術分野において周知である。反応器壁は、十分なエッチング速度および所望の選択性でエッチングするのに十分な温度まで加熱される。反応器壁を加熱することができる非限定的で例示的な温度範囲としては約100℃〜約500℃が挙げられる。熱処理が行われる場合、エッチング温度は約100℃〜約500℃の範囲であってよい。
【0063】
反応器中に不活性ガスを導入することもできる。不活性ガスはHe、Ar、Xe、Kr、Ne、またはそれらの組合せであってよい。反応器に導入する前に、フッ素化反応物質の蒸気および不活性ガスを混合することができ、不活性ガスは得られる混合物の約50%v/v〜約95%v/vの間を構成する。あるいは、不活性ガスは反応器に連続的に導入することができ、同時にフッ素化反応物質の蒸気がパルスで反応器に導入される。
【0064】
反応器内のエッチング条件によって、本開示のフッ素化反応物質と層とが反応して揮発性フッ素化種を形成することができる。本出願人らは、フッ素化種は反応器から排気されるのに十分揮発性であると考えている。たとえば、3NbF(気体)+Nb(固体)→Nb(=O)F(気体)の式に従って、フッ化ニオブ(NbF)は酸化ニオブ(Nb)と反応して、揮発性のオキシフッ化ニオブ(Nb(=O)F)を形成することができる。別の一例では、2NbF(気体)+ZrO(固体)→ZrF(気体)+2Nb(=O)F(気体)の式に従って、フッ化ニオブ(NbF)は酸化ジルコニウム(ZrO)と反応して揮発性のフッ化ジルコニウム(ZrF)を形成することができる。フッ化ニオブは酸化ジルコニウム(ZrO)と反応して揮発性のオキシフッ化ジルコニウム(ZrO、式中、x=0〜2(両端の値を含む)およびy=0〜4(両端の値を含む))を形成することもできる。本出願人らは、他のフッ素化前駆体が同一または類似の方法で反応すると考えている。
【0065】
層が完全にエッチングされたときに、本開示のエッチング方法が終了することを、当業者は理解されよう。これは、エッチングされる層の下にエッチストップ層を配置することによって、またはエッチングプロセスの時間調整によって決定することができる。これとは別に、またはこれに加えて、四重極質量分析(QMS)を用いて、排気の揮発性フッ素化種の量を監視することもできる。QMS分析における揮発性フッ素化種の数値の減少は、フッ素化反応物質と層との間の反応が遅くなり、プロセスの終了に近づいていることを示している。
【0066】
除去される層によるが、追加のフッ素化反応物質の蒸気を反応器中に導入することができる。追加の反応物質は、選択的エッチングなどのさらなる特定のエッチング特性を得るために使用することができる。追加のフッ素化反応物質は、本開示の反応物質の組合せ、またはXeFなどの別の周知のフッ素化エッチガスの添加を含むことができる。
【0067】
フッ素化反応物質は、反応器中に周期的に導入することができる。特に、フッ素化反応物質の蒸気のパルスの送出を、不活性ガスの導入と同時、または不活性ガスの導入の前に行うことができ、結果として反応物質−不活性ガスの2ステップサイクルが得られる。この種類の導入によって、エッチングされる層のサイクル当たりのエッチング厚さを制御することができ、これは場合により原子層エッチングと呼ばれる。
【0068】
あるいは、異なるフッ素化反応物質の蒸気を逐次導入することができる。たとえば、第1のステップではNbFの蒸気を導入して層と反応させる。第2のステップでは、NまたはArなどの不活性ガスを用いて、あらゆる過剰のNbFおよび反応した種をパージする。第3のステップでは、ZrFなどの別のフッ素化反応物質のパルスを導入する。第4のステップでは、NまたはArなどのキャリアガスを用いて、あらゆる過剰のZrFおよび反応した種をパージする。次に、ステップ1〜4を繰り返すことで、エッチングされる厚さを正確に制御することができる。
【0069】
本開示の方法は、論理回路、フラッシュデバイス、およびDRAMデバイスの中の犠牲金属酸化物のハードマスク;論理回路中のゲート酸化物;フラッシュデバイス中のブロッキング酸化物;リソグラフィマスク;論理回路中のMIMキャパシタ構造;ならびにチャンバー壁上の酸化物堆積物の除去に使用することができる。
【0070】
タングステン、モリブデン、タンタル、ニオブ、バナジウム、ハフニウム、ジルコニウム、チタン、またはそれらの組合せなどの金属層の場合、本開示のエッチング方法は、酸化ステップを先に行うことができる。図8は、金属膜の逐次酸化/窒化、および膜の酸化/窒化した部分の選択的除去による、金属膜の逐次エッチングの順序を示すフローチャートである。特に、図8中に示されるように、基板上の金属の層または金属層は、酸化または窒化を行って、金属層の上に金属酸化物または金属窒化物の層を形成することができる。酸化または窒化プロセスをそれぞれ行うために、酸素含有または窒素含有反応物質が必要なことは、当業者は理解されよう。たとえば、O、CO、CO、NO、NO、NO、それらのラジカル種、またはそれらの混合物を使用して金属層を酸化させることができる。あるいは、NH、N、N(SiH、N(CH)H、N(C)H、N(CHH、N(CH、N(CH、N(C、(SiMeNH、(CH)HNNH、(CHNNH、それらの窒素含有ラジカル種、およびそれらの混合物を使用して金属層を窒化させることができる。酸化または窒化ステップは、特に金属層が約0.2nm〜約200nm(両端の値を含む)の範囲の厚さを有する場合に、金属層全体が酸化または窒化されうる。あるいは、酸化または窒化ステップは、金属層の上面のみを酸化または窒化させることができる。金属酸化物または金属窒化物の層は、次に、本開示のフッ素化反応物質を用いて除去することができる。酸化/窒化ステップおよびエッチングプロセスは、金属層全体が除去されるまで繰り返すことができる。
【実施例】
【0071】
以下の非限定的な例は、本発明の実施形態をさらに説明するために提供される。しかし、これらの例は、包括的であることを意図するものではなく、本明細書に記載の本発明の範囲の限定を意図するものでもない。
【0072】
図4は、実施例1〜6の試験のために使用される装置の概略図である。この装置は、ウエハステージ101を含む反応器400を含む。反応器400の壁は120℃まで加熱した。ウエハステージ101は、以下の実施例で指定される温度まで加熱した。ポンプ108に接続されるロードロックチャンバー102によって、ウエハがウエハステージ101まで移される。反応器400の上にはシャワーヘッド103が配置され、RF発生器106によってプラズマを発生させることができる。しかし、実施例1〜6ではプラズマを使用しなかった。反応器400の内容物は乾燥ポンプ105によって除去される。
【0073】
送出装置200からライン201を介してフッ素化反応物質が反応器400に導入される。当業者であれば、送出装置200が図1〜3の装置のいずれかまたはそれらの変形形態であってよいことを理解されよう。必要であれば、フッ素化反応物質を蒸気の形態に維持するために、ライン201を加熱することができる。ライン301を介して、Arなどの不活性ガス300を送出装置200に送出することができる。不活性ガス300はライン302を介して反応器400に送出することもできる。
【0074】
ライン201、301、および302は多数の圧力計、チェックバルブ、バルブ、および圧力調整器を含むことができ、圧力調節またはバイパス流のためのさらなるラインは図面を簡略化するために含まれていないことは、当業者は理解されよう。
【0075】
実施例1:NbFによる酸化物層のエッチングの試験
それぞれ336Å、288Å、364Å、344Å、337Å、および253Åの厚さのNb、Ta、ZrO、HfO、TiO、およびAlの層を、原子層堆積によってシリコン基板上に堆積した。層の厚さは、偏光解析法を用いて測定した。エッチング前後の層の厚さを測定するために、走査型電子顕微鏡法(SEM)、透過型電子顕微鏡法(TEM)、X線光電子分光法(XPS)、二次イオン化質量分析(SIMS)、またはオージェ電子分光法(AES)も使用できることを当業者は理解されよう。
【0076】
Nb、Ta、ZrO、HfO、TiO、およびAlの基板、ならびに1974Åの厚さのSiO基板を、図4の熱反応器400中にロードロックチャンバー102を介して導入し、200℃、300℃、350℃、または400℃に加熱したウエハステージ101の上に配置した。反応器400の圧力は5〜6Torrに維持した。74℃に加熱した昇華器の容器200中にNbFを入れ、その蒸気を255sccmのArキャリアガス300とともに反応器400中に連続的に導入した。酸化物層の厚さを、30秒後および60秒後(200℃および300℃における実験);5秒後、10秒後、20秒後、30秒後、および60秒後(350℃における実験);ならびに1秒後、3秒後、5秒後、10秒後、20秒後、30秒後、および60秒後(400℃における実験)に測定した。200℃において、30秒後および60秒後に酸化物層は全く減少しなかった。
【0077】
300℃において、Nbは30秒後に123Åまで、60秒後に33Åまで減少し、Taは30秒後に106Åまで、60秒後に14Åまで減少し、TiOは30秒後に261Åまで、60秒後に216Åまで減少した。
【0078】
350℃において、Nbは5秒後に218Åまで、10秒後に31Åまで減少し;Taは5秒後に174Åまで、10秒後に55Åまで減少し;ZrOは10秒後に344Åまで、20秒後に337Åまで、30秒後に329Åまで、60秒後に305Åまで減少し;HfOは10秒後に340Åまで、20秒後に339Åまで、30秒後に337Åまで、60秒後に334Åまで減少し;TiOは5秒後に276Åまで、10秒後に257Åまで、20秒後に96Åまで、30秒後に57Åまで減少した。
【0079】
本出願人は、Nb、Ta、およびTiOの層が350℃および400℃で完全にエッチングされた後、ならびにZrO層が400℃で完全にエッチングされた後に、フッ素含有層の堆積を確認した。堆積物が形成される場合、堆積速度は時間とともに低下した。言い換えると、エッチングプロセスの開始時のエッチング速度は、エッチングプロセスが終了に近づく時よりも速かった。この効果は、エッチャント導入時間を制御することによって制御可能となりうる。
【0080】
400℃において、Nbは1秒後に254Åまで、3秒後に142Åまで、5秒後に43Åまで減少し;Taは1秒後に217Åまで、3秒後に89Åまで、5秒後に73Åまで、10秒後に53Åまで減少し;ZrOは5秒後に217Åまで、10秒後に120Åまで減少し;HfOは10秒後に336Åまで、20秒後に298Åまで、30秒後に292Åまで、60秒後に291Åまで減少し;TiOは5秒後に270Åまで、10秒後に157Åまで減少した。
【0081】
図5は、NbFの導入時間および温度の関数としてのこれらのエッチング速度(Å/秒)を示している。
【0082】
表1は、温度の関数としての膜エッチング速度(Å/秒)を示している。
【0083】
【表1】
【0084】
実施例2:NbFによる窒化物層のエッチングの試験
TiN(200Å)、TaN(280Å)、およびSiN(500Å)の層を作製した。窒化物層を含む基板を、図4の熱反応器400中にロードロックチャンバー102を介して導入し、350℃、400℃、または425℃に加熱したウエハステージ101の上に配置した。反応器400の圧力は5〜6Torrに固定した。74℃に加熱した容器200中にNbFを入れ、その蒸気を255sccmのArキャリアガス300とともに反応器400中に連続的に導入した。TiN層およびTaN層の厚さは、5秒後、10秒後、15秒後、30秒後に走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて測定した。SiN層の厚さは、30秒後および90秒後に偏光解析装置を用いて測定した。膜の厚さは窒化物膜の場合も変化せず、あらゆる温度でエッチングは確認されなかった。表2は、NbF導入時間および温度の関数としての膜エッチング速度(Å/秒)のまとめを示している。
【0085】
【表2】
【0086】
実施例3:VFによる酸化物層および窒化物層のエッチングの試験
Nb、Ta、ZrO、HfO、TiO、Al、SiO、TiN、およびTaNの基板を、図4の熱反応器400中にロードロックチャンバー102を介して導入し、150℃、200℃、300℃、350℃、または400℃に加熱したウエハステージ101の上に配置した。
【0087】
反応器400の圧力は5〜6Torrに維持した。室温の容器200中にVFを入れた。その蒸気を、キャリアガスは使用せずに、反応器400中に連続的に導入した。
【0088】
図6は、VF導入時間および温度の関数としての異なる酸化物層の厚さを示している。酸化物層の厚さは、150℃において全VFの導入から30秒後および90秒後;200℃において10秒後および30秒後;300℃において3秒後、5秒後、6秒後、8秒後、および30秒後;350℃において2秒後、3秒後、5秒後、10秒後、および30秒後;ならびに400℃において1秒後、2秒後、3秒後、5秒後、10秒後、および30秒後に、偏光解析装置によって測定した。
【0089】
表3は、VF導入時間および温度の関数としての膜エッチング速度(Å/秒)のまとめを示している。酸化物層およびSiNは、偏光解析装置によって測定し、TiNおよびTaNはSEMによって観察した。
【0090】
【表3】
【0091】
実施例4:MoFによる酸化物層および窒化物層のエッチングの試験
Nb、Ta、ZrO、HfO、TiO、Al、SiO、TiN、TaN、およびSiNの基板を、図4の熱反応器400中にロードロックチャンバー102を介して導入し、150℃、200℃、300℃、350℃、400℃、または425℃に加熱したウエハステージ101の上に配置した。
【0092】
反応器400の圧力は5〜6Torrに維持した。室温の容器200中にMoFを入れた。MoFの蒸気を、キャリアガスは使用せずに、反応器400中に連続的に導入した。
【0093】
図7は、MoF導入時間および温度の関数としての異なる酸化物層の厚さを示している。酸化物層およびSiNは、150℃において全MoFの導入から10秒後、20秒後、および30秒後;200℃において1秒後、3秒後、10秒後、および30秒後;300℃において1秒後、3秒後、10秒後、20秒後、および30秒後;350℃において1秒後、3秒後、5秒後、10秒後、20秒後、および30秒後;ならびに400℃において1秒後、2秒後、10秒後、および30秒後に、偏光解析装置によって測定した。TiNおよびTaNをSEMによって測定した。表4は、MoF導入時間および温度の関数としての膜エッチング速度(Å/秒)のまとめを示している。
【0094】
【表4】
【0095】
実施例5:パルスモードでのVFによる酸化物層のエッチングの試験
ZrO、Nb、Ta、HfO、およびTiOの基板を、図4の熱反応器100中にロードロックチャンバー102を介して導入し、300℃、350℃、または400℃に加熱したウエハステージ101の上に配置した。
【0096】
反応器100の圧力は1Torrに維持した。74℃の温度の容器200中にVFを入れた。その蒸気をパルスモード(1サイクルとして1秒の導入/5秒のパージ)によって反応器100中に導入した。膜の厚さを5サイクル後、10サイクル後、20サイクル後、30サイクル後、および60サイクル後に偏光解析装置によって測定し、エッチング速度を推定した。温度(℃)に対するエッチング速度(Å/サイクル)を表5にまとめている。
【0097】
【表5】
【0098】
実施例1〜5のまとめ
以上のように、150℃〜425℃の範囲の温度においてNbF、VF、およびMoFのエッチャントでは、Al(○)およびSiO(+)の層は、全くエッチングされないか、それに近かった。結果として、NbF、VF、およびMoFがエッチャントとして使用される場合、AlおよびSiOはエッチストップまたは基板として使用することができる。
【0099】
対照的に、Nb(◆)、Ta(□)、およびTiO(Ж)の層は、300℃を超える温度においてNbFによってエッチングされ、エッチングの量は温度上昇とともに増加した。結果として、NbFエッチングプロセスの温度は、必要な制御に応じて調節することができる。言い換えると、高精度が要求されるプロセスの場合、より遅いエッチング速度(約5Å/秒)を有するより低温のプロセス(すなわち、300℃未満)を行うことができる。チャンバー壁からの酸化物の除去などのあまり精度が要求されないプロセスの場合は、温度を上昇させることができる。
【0100】
300℃においてはZrO(▲)、HfO(x)、およびTiO(ж)のエッチングは全く起こらないか、それに近かった。350℃において、ZrOは最小限でエッチングされ、HfOは5Å/秒未満でエッチングされた。対照的に、TiOは350℃においてせいぜい20Å/秒で付着した。したがって、350℃は、HfOおよび/またはZrOの基板からTiOを選択的にエッチングするための良好な温度となる。HfOのエッチングは400℃において依然として5Å/秒未満であった。しかし、TiOおよびZrOの両方は400℃において約20Å/秒でエッチングされた。したがって、400℃は、HfO基板からTiOおよび/またはZrOを選択的にエッチングするための良好な温度となる。
【0101】
対照的に、VFを使用することによって、より低温(<200℃)でTiNおよびTaNがエッチングされた。MoFを使用することによって、300℃からSiNがエッチングされた。
【0102】
当業者であれば、温度およびエッチ速度が反応器ごとに変動しうることを理解されよう。同様に、別のフッ素化反応物質の反応性は、NbF、VF、およびMoFのエッチャントの場合とは異なる場合がある。にもかかわらず、上記結果は、本開示の反応物質を、酸化物層および窒化物層を種々の基板から種々のエッチ速度で選択的にエッチングするために使用できることを示しており、本開示の反応物質はCMOSゲートスタックなどの将来の酸化物および窒化物除去プロセスの非常に優れた候補となる。
【0103】
実施例6:酸化の後にエッチングを行うことによる金属層のエッチング
(金属酸化物の形成)W金属基板を、図4の熱反応器400中にロードロックチャンバー102を介して導入し、350℃に加熱したウエハステージ101の上に配置した。300sccmのオゾンガスを反応器に10分間導入して、Wウエハの表面を酸化させて、約120nmの厚さの酸化タングステン(WO、x=1〜4)層を形成した。酸化タングステンの形成は、図9aに示されるような走査型電子顕微鏡法、ならびに、図9b、図9c、および図9dに示されるようなエネルギー分散型X線(EDX)マッピングによって確認した。図9bは、図9cおよび9dの元素マッピングに使用したEDXのベース画像である。図9cはWの強度を示しており、下にあるTiN/SiO層中にWは示されず、上のWO層中により低濃度のWが示される。TiN/Ti層とSiO層との間の区別は、Wシグナルに基づく図9c中では不可能である。図9dは、Oの強度を示しており、WO層およびSiO層中に示され、W層およびTiN/Tiの層中には酸素が示されない。W層およびTiN/Ti層との間の区別は、Oシグナルに基づく図9d中では不可能である。
【0104】
(金属酸化物のエッチング)酸化タングステンの厚さの測定後、WO基板を、図4の熱反応器400中にロードロックチャンバー102を介して再度導入し、300℃、350℃、または400℃に加熱したウエハステージ101の上に配置した。基板を測定の目的で取り出したが、通常の処理中は熱反応器400から基板を取り出す必要がないことは、当業者は理解されよう。言い換えると、酸化物層は、金属基板から形成することができ、チャンバーから取り出さずにエッチングすることができる。
【0105】
反応器400の圧力は5〜7Torrに維持した。74℃に加熱した昇華器の容器200中に固体の形態のNbFを入れた。その蒸気を反応器400中に導入した。300℃において200秒後;350℃において5秒後、10秒後、および15秒後;ならびに400℃において1秒後、2秒後、および3秒後に、SEM測定を行った。
【0106】
図10〜12は、異なる温度において酸化物除去プロセスを行った金属層の厚さの変化を示している。特に、図10は、300℃におけるNbFによる200秒のエッチング後に残存する約100nmの厚さの酸化タングステン層のSEM画像である。図11aは、350℃におけるNbFによる5秒のエッチング後に残存する約52nmの厚さの酸化タングステン層のSEM画像である。図11bは、350℃におけるNbFによる10秒のエッチング後に残存する約45nmの厚さの酸化タングステン層のSEM画像である。図11cは、350℃におけるNbFによる15秒のエッチング後に残存する約25nmの厚さの酸化タングステン層のSEM画像である。図12aは、400℃におけるNbFによる1秒のエッチング後に残存する酸化タングステン層のSEM画像である。図12bは、400℃におけるNbFによる2秒のエッチング後に残存する酸化タングステン層のSEM画像である。図12cは、400℃におけるNbFによる酸化タングステン層の3秒のエッチング後に残存するタングステン層のSEM画像であり、結果として酸化タングステン層は完全に除去された。この場合も、エッチング速度は温度上昇とともに増加した。結果として、NbFエッチングプロセスの温度は、必要な制御に応じて調節することができる。言い換えると、高精度が要求されるプロセスの場合、より遅いエッチング速度を有するより低温のプロセス(すなわち、300℃未満)を行うことができる。チャンバー壁からの酸化物の除去などのあまり精度が要求されないプロセスの場合は、温度を上昇させることができる。
【0107】
2ステッププロセスとして研究開発施設中で行うと、上記試験結果から、より厚い金属層(たとえば、200nmを超える厚さを有する金属層)を除去するために、周期的な金属酸化および金属酸化物エッチングプロセスを行うことができる。本出願人らは、約0.2nm〜約200nm(両端の値を含む)の範囲の厚さを有する金属酸化物層は、当然ながら金属および酸化/窒化条件によっては、1ステップで酸化または窒化できると考えている。
【0108】
本発明の実施形態を示し記載してきたが、本発明の意図または教示から逸脱することなくそれらの修正を当業者によって行うことができる。本明細書に記載の実施形態は単に例示的なものであり、限定的なものではない。本発明の組成物および方法の多くの変形および修正が可能であり、それらは本発明の範囲内となる。したがって、保護の範囲は、本明細書に記載の実施形態に限定されるものではなく、以下の請求項によってのみ限定され、その範囲は、請求項の主題のあらゆる同等物を含むものとする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9a
図9b
図9c
図9d
図10
図11
図12