特許第6960467号(P6960467)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6960467液体光重合性樹脂からレリーフ画像を製作する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6960467
(24)【登録日】2021年10月13日
(45)【発行日】2021年11月5日
(54)【発明の名称】液体光重合性樹脂からレリーフ画像を製作する方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/26 20060101AFI20211025BHJP
   G03F 7/40 20060101ALI20211025BHJP
   G03F 7/11 20060101ALI20211025BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20211025BHJP
   G03F 7/00 20060101ALI20211025BHJP
【FI】
   G03F7/26
   G03F7/40 521
   G03F7/11 501
   G03F7/20 511
   G03F7/00 502
【請求項の数】13
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2019-555495(P2019-555495)
(86)(22)【出願日】2018年4月2日
(65)【公表番号】特表2020-517982(P2020-517982A)
(43)【公表日】2020年6月18日
(86)【国際出願番号】US2018025663
(87)【国際公開番号】WO2018191049
(87)【国際公開日】20181018
【審査請求日】2019年10月9日
(31)【優先権主張番号】15/484,314
(32)【優先日】2017年4月11日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506314391
【氏名又は名称】マクダーミッド グラフィックス ソリューションズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100107733
【弁理士】
【氏名又は名称】流 良広
(74)【代理人】
【識別番号】100115347
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 奈緒子
(72)【発明者】
【氏名】レッキア、デイビッド エー.
(72)【発明者】
【氏名】ヴェスト、ライアン ダブリュー.
【審査官】 川口 真隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭63−121849(JP,A)
【文献】 特公昭46−026524(JP,B1)
【文献】 特表2012−511186(JP,A)
【文献】 特開2011−053424(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0300398(US,A1)
【文献】 特開平08−314126(JP,A)
【文献】 特開昭61−253142(JP,A)
【文献】 特開2002−268230(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0107908(US,A1)
【文献】 中国特許出願公開第101393397(CN,A)
【文献】 特開2013−073179(JP,A)
【文献】 特開2009−229484(JP,A)
【文献】 特開2008−225464(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/26
G03F 7/40
G03F 7/11
G03F 7/20
G03F 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体感光性重合体樹脂からレリーフ画像又は鋳型を製作する方法であって、
a)画像フィルムを露光ユニットの露光ガラス上へ配置する工程と、
b)カバーフィルムを前記画像フィルム上へ配置し、前記カバーフィルムと前記露光ガラスとの間に真空を適用して、前記カバーフィルム及び前記画像フィルムを前記露光ガラス上へ密に引く工程と、
c)基材材料のシートを前記露光ユニットの底部ガラス上へ配置し、前記基材材料を前記底部ガラスに一時的に付着させる工程であって、前記基材材料は、接着剤コーティングが前記底部ガラスから最も遠い前記基材材料の1つの面上に位置するように、前記基材材料の前記1つの面上に前記接着剤層でコーティングされる、工程と、
d)感光性重合体樹脂を前記基材材料上に配し、前記感光性重合体樹脂の上面上に可撓性ポリエステルシートを積層する工程であって、前記可撓性ポリエステルシートは、前記接着剤コーティングが前記感光性重合体樹脂に隣接する前記可撓性ポリエステルシートの1つの面上に位置するように、接着剤の層によって前記1つの面上にコーティングされる、工程と、
e)前記画像フィルムを通して前記感光性重合体樹脂を露光して、前記感光性重合体樹脂を選択的に架橋及び硬化させ、硬化レリーフ画像又は鋳型を形成する工程であって、前記硬化レリーフ画像又は鋳型の高さが、配された前記感光性重合体樹脂の高さ未満となるように前記感光性重合体樹脂を露光不足とする、工程と、を含み、
前記レリーフ画像が、隆起したレリーフパターンを有し、前記隆起したレリーフパターンが、前記隆起したレリーフパターンの頂面が前記隆起したレリーフパターンの側壁に接触する地点に丸みのある縁部を有する、方法。
【請求項2】
液体の感光性重合体樹脂層からの未硬化の液体の前記感光性重合体樹脂を再利用する工程と、硬化した感光性重合体樹脂層を現像する工程と、前記硬化した感光性重合体樹脂層を後露光する工程と、工程e)の後に、前記硬化した感光性重合体樹脂層を乾燥させる工程と、と含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記カバーフィルムが、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、及び二軸延伸ポリプロピレンからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記基材が、ポリエステルフィルム、標識材料、アクリルフィルム、ABS樹脂、フェノール樹脂、及びこれらのうちの1つ以上の組み合わせからなる群から選択される材料を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記工程e)の露光の際にコリメート光が使用される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
配された感光性重合体樹脂層の総厚さが、前記硬化レリーフ画像の高さよりも10〜50%高い、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記配された感光性重合体樹脂層の総厚さが、前記硬化レリーフ画像の高さよりも25%高い、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記配された感光性重合体樹脂層の総厚さが、100〜200ミルであり、前記硬化レリーフ画像の高さが、75〜175ミルである、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
鋳型が形成され、鋳物材料を所望のレリーフ画像に対応する前記鋳型に適用して、鋳造物品を形成する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記鋳物材料が、石膏、樹脂、及び低融解温度金属合金からなる群から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
a)鋳型作製材料を前記鋳型に充填して、相補的なレリーフパターンを複製する工程と、
b)前記鋳型を取り外す工程と、を含み、
雌鋳型が、金属製品を鋳造するために生じる、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
金属物品が、前記雌鋳型に鋳物金属を鋳造することによって作製される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記鋳物金属が、溶融した青銅、銀、アルミニウム、金、プラチナ、銅、及びこれらのうちの1つ以上の組み合わせからなる群から選択される、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、液体光重合性樹脂からレリーフ画像を製作する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光重合性樹脂及び/又は光硬化性樹脂及び/又は放射線硬化性樹脂は、レリーフ画像印刷版(フレキソ印刷版を含む)の製作中に、選択的に架橋及び硬化させて、レリーフ画像を作成することができる。これらの画像はまた、記念銘板、表示パネル、装飾シールド、装飾板、点字ボードなどのような看板、並びにこれらのうちの1つ以上の組み合わせの製作を含む、他の用途においても望ましい。これらの樹脂はまた、鋳型を製作するためのマスターレリーフパターンを作製して、青銅及び他の金属鋳物を含む鋳物を製作するために使用することもできる。
【0003】
フレキソ印刷版を作製するために現在使用されている一般的な方法は、感光性、光画像形成性、感光性重合体、光硬化性(photohardenable)、又は光硬化性(photocurable)の樹脂組成物としても知られている、光重合性を利用する。多くの異なる光重合性樹脂組成物が知られているが、それらは、特定の波長の光への露光に応じて、樹脂がそれ自体と反応して、インク不溶性である構造を形成する特性を共有している。したがって、光重合性樹脂組成物を使用して、感光性ポリマー版のための硬質でインク不溶性の隆起した表面(すなわち、レリーフ画像)を形成することができる。
【0004】
光重合性樹脂は、鋳造した光重合性樹脂で作製した固体版として、又は液体光重合性樹脂の層を形成し、形成したレジン層を化学線に露光し、続いて、現像して、光重合性樹脂層の未硬化部分を除去することによってのいずれかで、処理することができる。液体光重合性樹脂は、後で再利用するために、非画像領域から未硬化樹脂を回収することができるので、固体シートポリマーに勝る利点を提供する。液体光重合性樹脂は、単に機械の設定を変えることによって広範囲にわたる様々な厚さの画像の製作を可能にするといった柔軟性に関して、シートポリマーと比較して、更なる利点を有する。
【0005】
印刷版又は他のレリーフ画像を調製するための典型的なプロセスでは、画像保持透明ポジ又はネガ、すなわち、印刷版に付与することを所望する画像の反転画像に対応する不透明領域を有する透明フィルムをガラスプラテン上に配置し、透明の重合カバーフィルムで被覆し、液体光重合性樹脂を樹脂リザーバから放出し、レベリングブレードを用いてカバーフィルム上へ鋳造する。画像保持透明ポジ及びカバーフィルムは、空気が排出され、かつ気泡が液光重合層内に作成されないように、真空によってプラテンに固定される。液体光重合性樹脂を鋳造することと実質的に同時に、ポリマーフィルムなどの基材を光重合性樹脂層上に配置する。第2の化学線源は、基材の上に位置付けられ得る。この事例では、基材と第2の化学線源との間にガラスプラテンを位置付けて、露光前にガラスプラテンを降ろして、シム上に静置し、基材と接触させることによって、光重合性樹脂の層の均一な厚さを制御するための手段を提供する。
【0006】
次いで、液体光重合性樹脂を化学線に露光して、光重合性樹脂を架橋及び硬化させて、レリーフ画像印刷版又は他のレリーフ画像製品を製作する。露光は、表面全体が化学線に露光される(すなわち、床層を作成するための)ブランケット露光とすることができ、又は光重合性床層がフィルムネガ若しくは他のフォトマスクを通して露光される像様露光であってもよい。
【0007】
光重合性樹脂は、鋳造した光重合性樹脂をフィルムネガ又は他のフォトマスクを通して化学線に露光して、光重合性樹脂を選択的に架橋及び硬化させることによって画像化される。画像は、典型的に、版の少なくとも1つの側面、好ましくは表側面から露光され、いくつかの事例では、上で考察されるように、頂部及び底部から画像化され得る。紫外線などの化学線は、フィルムネガ又は他のフォトマスクを通して光重合性樹脂層に方向付けられる。その結果、液体光重合性樹脂を選択的に架橋及び硬化させて、画像をネガ上に鏡像反転する印刷像面を形成する。化学線への露光に応じて、液体光重合性樹脂は、重合し、液体状態から固体状態に変化して、隆起したレリーフ画像を形成する。
【0008】
透明ポジの不透明領域によって化学線から保護された樹脂層の領域は、現像溶液を用いて洗い流される。硬化領域は、現像溶液に不溶性であるので、現像後に、硬化光重合性樹脂で形成されたレリーフ画像が得られる。硬化樹脂は、同様に特定のインクに不溶性であり、したがって、上で説明したようなフレキソ印刷において使用することができる。Plambeckに対する米国特許第2,760,863号は、光重合性樹脂を使用して印刷版を調製するための別の典型的なプロセスを説明している。上で説明したプロセスの変形例は、液体光重合性樹脂を樹脂層の両側面から化学線に露光することである。例えば、Yonekuraらに対する米国特許第3,848,998号を参照されたい。
【0009】
紫外線照射に露光されない全ての領域において、光重合性樹脂は、露光後に液体のままであり、次いで、回収し、再利用することができる。典型的なプロセスにおいて、未硬化の光重合性樹脂は、更に版を作製するために再使用することができるように、更なるプロセス工程において版から物理的に除去される。次いで、洗浄溶液を使用してノズル洗浄又はブラシ洗浄することによって、残っている液体光重合性樹脂のいかなる残留跡も除去して、洗浄済みの版が得られ、硬化レリーフ画像が残る。この再利用技術は、光重合性樹脂の材料コストの節約になるだけでなく、現像用化学物質の使用及びコストも低減させ、また、より安全でかつ取り扱いがより容易である、より軽量なレリーフ画像版を作製する。
【0010】
次いで、画像又はフィルムネガの不透明領域によって化学線から保護された光重合性樹脂の領域内に残っている液体光重合性樹脂の残留跡を、現像溶液を使用して、又は当技術分野で知られているような他の現像手段によって洗い流すことができる。硬化領域は、現像溶液に不溶性である。その後に、硬化印刷版に様々な露光後の工程を受けさせることができる。例えば、版を水中に完全に浸漬し、光源から放射される紫外線などの化学線に露光して、版全体の完全な硬化を行い、版の強度を増加させることができる。現像後に、硬化光重合性樹脂で形成されたレリーフ画像が得られる。
【0011】
液体製版プロセスはまた、例えば、Kojimaらに対する米国特許第5,213,949号、Strongらに対する米国特許第5,813,342号、及びLongらに対する米国特許出願公開第2008/0107908号でも説明されており、これらの各々の内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0012】
Gybinらに対する米国特許出願公開第2003/0111771号は、鋳造物体を作製するための鋳型作製プロセスを説明しており、その内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。Gybinは、カスタマイズされた成型物体を作製するために、又は低容量の成型構成要素を作製するために使用することができる鋳型を形成する方法を説明している。感光性材料の少なくとも1つの層を含む感光性フィルム積層体が選択的に化学線に露光され、感光材料の露光部分又は非露光部分のいずれかに対応する部分が除去される。この部分を除去することで、積層フィルム内にレリーフ表面を形成し、次いで、鋳物材料をレリーフ表面に適用して、鋳造物品を形成することができる。好適な鋳物材料としては、石膏、樹脂、及び低融解温度の金属合金が挙げられるが、これらに限定されない。
【0013】
Wojcikに対する米国特許第4,668,607号は、種型を形成し、次いで、種型から雌型を形成することを含む、特に青銅を含む鋳造金属と共に使用する、鋳造鋳型の製作において感光性樹脂を使用するための別のプロセスを説明しており、その内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。例えば装飾物又は記念銘板などを含む、青銅鋳物の製造では、通常、青銅又は他の金属が注入される雌型が調製される。
【0014】
液体光重合性樹脂を像様に露光し、現像する典型的な方法は、レリーフが硬化感光性重合体の隆起したパターンを備えるレリーフ画像を製作し、隆起したパターンは、隆起したパターンの本質的に平坦な頂面と、隆起したパターンの頂面が隆起したパターンの側壁に接触する地点の鋭い縁部と、を備える。これは、液体光硬化で行われているような、平坦面に対する硬化又は平坦面による印象下での硬化に典型的であり、また、特に、良好な結果を生じさせるために実質的に平面な印刷面が必要である場合に、望ましい結果を生じさせる。
【0015】
しかしながら、他の用途では、隆起したパターンの頂面が隆起したパターンの側壁に接触する地点に鋭い縁部が存在しないように、丸みのある/滑らかな画像エッジが好ましく、かつ望ましい。丸みのある/滑らかな画像縁部は、しばしば、例えば、標識用途、青銅の鋳物及び成型用途、並びに点字ドットの形成を含む用途において所望される。
【0016】
したがって、丸みのある及び/又は滑らかな縁部を有するレリーフ画像を製作するように液体光重合性樹脂を硬化させる方法を提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0017】
本発明の目的は、液体光重合性樹脂を処理して、その中にレリーフ画像を製作する方法を提供することである。
【0018】
本発明の別の目的は、そのような液体光重合性樹脂を硬化させて、望ましい特性を有するレリーフ画像を製作する、改善された方法を提供することである。
【0019】
本発明の別の目的は、そのような液体光重合性樹脂を硬化させて、丸みのある及び/又は滑らかな縁部を有するレリーフ画像を製作する、改善された方法を提供することである。
【0020】
本発明の更に別の目的は、鋳造鋳型の製作における液体光重合性樹脂の改善された処理方法を提供することである。
【0021】
そのために、本発明は、液体感光性重合体樹脂からレリーフ画像又は鋳型を製作する方法に関し、当該方法は、
a)画像フィルムを露光ユニットの露光ガラス上へ配置する工程と、
b)カバーフィルムを画像フィルム上へ配置し、カバーフィルムと露光ガラスとの間に真空を適用して、カバーフィルム及び画像フィルムを露光ガラス上へ密に引く工程と、
c)基材材料のシートを露光ユニットの底部ガラス上へ配置し、基材材料を底部ガラスに一時的に付着させる工程であって、好ましくは、基材材料は、接着剤コーティングが底部ガラスから最も遠い基材材料の1つの側面上に位置するように、基材材料の側面上に接着剤層でコーティングされる、工程と、
d)感光性重合体樹脂を基材材料上へ鋳造し、感光性重合体樹脂の頂部上に可撓性ポリエステルシートを積層する工程であって、好ましくは、可撓性ポリエステルシートは、接着剤コーティングが感光性重合体樹脂に隣接する可撓性ポリエステルシートの1つの側面上に位置するように、後の接着剤によって側面上にコーティングされる、工程と、
e)画像フィルムを通して感光性重合体樹脂を露光して、感光性重合体樹脂を選択的に架橋及び硬化させ、硬化レリーフ画像又は鋳型を形成する工程であって、硬化レリーフ画像又は鋳型の深さは、鋳造感光性重合体樹脂の高さ未満である、工程と、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0022】
本発明は、以下の図面と併せて読むと、より完全に理解されるであろう。
図1】本発明による印刷版の製造プロセスを表す図である。
図2】本発明のプロセスによって製作される印刷版の部分的な断面概略図である。
【0023】
様々な図における同じ番号の要素は、同じ要素を示すことを意図する。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明は、概して、光重合性樹脂を備える光硬化レリーフ画像要素を製作する方法に関し、レリーフ画像要素は、フレキソ印刷版に、特に青銅と共に使用する鋳造鋳型に、及び表示パネル、装飾シールド、表札、点字ボードなどのような看板に使用することができる。
【0025】
特に、図1に示されるように、本発明は、液体感光性重合体樹脂からレリーフ画像又は鋳型を製作する方法に関し、当該方法は、
a)画像フィルム50を露光ユニットの露光ガラス60上へ配置する工程と、
b)カバーフィルム20を画像フィルム50上へ配置し、カバーフィルム20と露光ガラス60との間に真空を適用して、カバーフィルム20及び画像フィルム50を露光ガラス60上へ密に引く工程と、
c)基材材料40のシートを露光ユニットの底部ガラス10上へ配置し、基材材料40を底部ガラス10に一時的に付着させる工程であって、好ましくは、基材材料40は、接着剤コーティングが底部ガラスから最も遠い基材材料40の1つの側面上に位置するように、基材材料40の側面上に接着剤層(図示せず)でコーティングされる、工程と、
d)感光性重合体樹脂を基材材料40上へ鋳造し、感光性重合体樹脂30の頂部上に可撓性ポリエステルシート70を積層する工程であって、好ましくは、可撓性ポリエステルシート70は、接着剤コーティングが感光性重合体樹脂に隣接する可撓性ポリエステルシート70の1つの側面上に位置するように、接着剤層(図示せず)によって側面上にコーティングされる、工程と、
e)画像フィルム50を通して感光性重合体樹脂30を露光して、感光性重合体樹脂30を選択的に架橋及び硬化させ、硬化レリーフ画像又は鋳型を形成する工程であって、硬化レリーフ画像又は鋳型の深さは、鋳造感光性重合体樹脂30の高さ未満である、工程と、を含む。
【0026】
本明細書で説明されるプロセスは、レリーフパターンが丸みのある/滑らかな画像エッジを備えるレリーフ画像パターンを製作する。換言すれば、図2に示されるように、製作されたレリーフパターン80は、隆起したレリーフパターンの頂面90が隆起したレリーフパターンの側壁92に接触するが、代わりに、レリーフパターン80の縁部94が滑らかであるか、又は丸みのある地点に鋭い縁部を有しない。
【0027】
液体感光性重合体樹脂30は、基材材料40で被覆された底部ガラス10の頂部上に鋳造される。感光性重合体樹脂30は、未硬化のときに流体であり、かつ、選択的な波長の化学線に露光したときに硬化する、任意の材料とすることができる。そのような感光性重合体樹脂は、感光性重合体印刷版作製業界において非常に一般的に使用されており、したがって、当業者によく知られている。1つ以上の異なる感光性重合体樹脂又は樹脂組成物を使用することができる。
【0028】
本発明の実践に際して、未硬化のときに流体であり、かつ選択的な波長の化学線に露光したときに硬化する、任意の液体感光性重合体樹脂を使用することができる。液体硬化性感光性重合体樹脂の例としては、上で説明したもの、並びにKaiらに対する米国特許第3,794,494号、Ibataらに対する米国特許第3,960,572号、及びPohlに対する米国特許第4,442,302号で説明されるものが挙げられ、これらの各々の内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0029】
好ましくは、画像フィルム50及び露光ガラス60の上に配置されるカバーフィルム20は、二軸延伸ポリプロピレン(BOPP)フィルム、ポリエステルフィルム、又はポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムのいずれかであり、好ましくは、化学線を透過する。取り外しを支援するために、カバーフィルム20を、シリコーン離型剤又は当技術分野で知られていれる他の離型剤などの離型剤で処理することができる。また、カバーフィルム20は、しわを除去し、露光ガラス60上の適所に保持するために、真空で引く。
【0030】
感光性重合体樹脂層30を、底部ガラス10に付着させた基材材料40上へ鋳造することと実質的に同時に、可撓性ポリエステルシート70を感光性重合体樹脂層30上に積層する。基材材料40は、好ましくは、限定するのではなく一例として与えられる、ポリエステルフィルム、アクリルフィルム、ABS樹脂、フェノール樹脂、及びこれらのうちの1つ以上の組み合わせからなる群から選択される材料を含むことができる。この基材材料40は、化学線を透過又は半透過しなければならない。基材材料が、画像の分解能を付与するように露光放射線を回折させる場合は、コリメート光を使用して、回折を解決することができる。基材材料40は、好ましくは、感光性重合体層30に最も近い(すなわち、底部ガラス10から最も遠い)側面上に接着剤層でコーティングされる。
【0031】
可撓性ポリエステルシート70は、化学線を透過又は半透過しなければならないポリエステルシートである。可撓性ポリエステルシートは、好ましくは、感光性重合体樹脂30に最も近い側面上に接着剤層でコーティングされる。
【0032】
その後に、次いで、露光ガラス60、画像フィルム50、カバーフィルム20、及び可撓性ポリエステルシート70を通して化学線に露光して、液体光重合性樹脂層を選択的に架橋及び硬化させる。
【0033】
好ましい実施形態において、露光は、液体光重合性樹脂の全高さ未満が硬化するように制限される。鋳造光重合性樹脂層30の総厚さは、硬化レリーフ画像80の高さよりも約10〜50%高い。より好ましくは、鋳造光重合性樹脂層30の総厚さは、硬化レリーフ画像80の高さよりも約25%高い。
【0034】
加えて、鋳造光重合性樹脂層30の総厚さは、通常、約100〜約200ミルであり、より好ましくは、約125〜約175ミルである。結果として生じる硬化レリーフ画像80の高さは、通常、約75〜約175ミルであり、より好ましくは、約100〜約150ミルである。例えば、好適なレリーフ画像80は、厚さ約150〜約200ミルの樹脂の層として鋳造され、かつ結果として生じる硬化レリーフ画像80が厚さ約125ミルであるように「未硬化」である樹脂から製作することができる。
【0035】
結果として生じるレリーフ画像80は、図2で分かるように、隆起したパターンの頂面90が隆起したパターンの側壁92に接触する地点に丸みのある/滑らかな縁部94を有する。このプロセスは、像様露光が、鋳造液光重合層30の厚さ全体を通して感光性重合体樹脂を硬化させるのに十分な強度で、鋳造液光重合層の全厚さを通って透過しないことが必要である。驚くべきことに、本明細書で説明される光重合性樹脂層30の意図的な露光不足は、硬化樹脂が、液体感光性重合体樹脂層の全高が硬化したときに存在する平坦な及び/又は鋭い縁部を示すことを妨げることが分かった。このように硬化させることによって、画像に曲線が組み込まれる。
【0036】
露光工程が完了すると、概して当業者によく知られているような追加のプロセス工程を行うことができる。これらの追加の工程は、一例として、限定するものではなく、当技術分野でよく知られているように、光重合性要素の表面からの未硬化の液体感光性重合体を再利用することと、レリーフ画像を現像することと、レリーフ画像を後露光することと、レリーフ画像を取り外すことと、レリーフ画像を乾燥させ、光仕上げすることと、を含むことができる。
【0037】
様々な方法を使用して、レリーフ層を現像することができる。例えば、未硬化光重合性樹脂は、洗い流すことができ、エアナイフを使用して吹き飛ばすことができ、又は吸い取る若しくは拭き取ることができる。上で述べた方法のうちの2つ以上のみ合わせを使用することができる。好ましくは、未硬化光重合性樹脂は、入手可能な市販の現像ユニットのうちの1つを使用して洗浄、乳化、又は溶解される。
【0038】
使用される特定の現像溶液は、使用される光重合性樹脂の特定の組成物に依存し、概して、当業者によく知られている。概して、アルカリ性溶液が使用される。加えて、現像溶液中に少量の洗剤又は表面活性剤を使用することが望ましい場合もある。
【0039】
現像に続いて、光重合性樹脂層を、化学線に「後露光する」こと、すなわち、第1の化学線露光と同じ又は異なる特性及び量であり得る第2の化学線露光を受けさせることができる。版に第2の化学線露光を受けさせることは、本発明の光重合層のより完全な硬化を提供し、したがって、より耐久性のあるレリーフ画像を提供することができる。
【0040】
最後に、所望に応じて、例えば、画像上に熱風を吹き込むことによって、又は赤外線ヒータを使用することによって、画像を乾燥させることができる。
【0041】
本明細書で説明される方法を使用して、文字、記号、点字ドット、線、他の画像、及びこれらのうちの1つ以上の組み合わせからなる群から選択される特徴を備える、光硬化レリーフ画像を製作することができる。別の実施形態では、本明細書で説明される方法を使用して、表示パネル、装飾シールド、表札、点字ボードなどとして使用することができる、光硬化看板を製作することができる。
【0042】
本明細書で説明される同じプロセスを使用して、鋳型を形成することができる。硬化レリーフ画像が形成されると、鋳物材料を所望のレリーフ画像に対応する鋳型に適用して、鋳造物品を形成することができる。上で考察されるように、鋳物材料は、典型的に、石膏、樹脂、及び低融解温度金属合金からなる群から選択される。
【0043】
より高温の金属合金又は他のより高温の成型材料を、上で考察されるように製作した鋳型に鋳造する場合、上で考察されるように砂及びワックスを含み得る鋳型作製材料を鋳型の中へ充填して、相補的なレリーフパターンを複製すること、及び鋳型を取り外すことによって、中間の「雌」鋳型を作り出すことが必要な場合があり、結果として生じる雌鋳型は、次いで、金属又は他の高温成型物品を鋳造するために使用することができる。その後に、鋳物金属又は他の高温成型材料を雌鋳型に鋳造することによって、金属製品又は他の高温物品を作製することができる。鋳物金属は、溶融した青銅、銀、アルミニウム、金、プラチナ、銅、及びこれらのうちの1つ以上の組み合わせからなる群から選択される。一実施形態において、鋳造金属は、溶融青銅である。
【0044】
本発明を、その特定の実施形態を参照して上で説明してきたが、本明細書で開示される本発明の概念を逸脱することなく、数多くの変更、修正、及び変形が行われ得ることは明らかである。故に、添付の特許請求の範囲の趣旨及び広い範囲内に含まれる全てのそのような変更、修正、及び変形を包含することを意図する。本明細書に引用される全ての特許出願、特許、及び他の刊行物は、参照によりそれらの全体が組み込まれる。
図1
図2