特許第6960476号(P6960476)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ クンシャン ゴー−ビシオノクス オプト−エレクトロニクス カンパニー リミテッドの特許一覧

<>
  • 特許6960476-表示部品 図000002
  • 特許6960476-表示部品 図000003
  • 特許6960476-表示部品 図000004
  • 特許6960476-表示部品 図000005
  • 特許6960476-表示部品 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6960476
(24)【登録日】2021年10月13日
(45)【発行日】2021年11月5日
(54)【発明の名称】表示部品
(51)【国際特許分類】
   H05B 33/04 20060101AFI20211025BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20211025BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20211025BHJP
   H05B 33/14 20060101ALI20211025BHJP
   H05B 33/22 20060101ALI20211025BHJP
   H01L 27/32 20060101ALI20211025BHJP
【FI】
   H05B33/04
   G09F9/30 365
   G09F9/30 309
   H05B33/14 A
   H05B33/14 Z
   H05B33/22 Z
   H01L27/32
【請求項の数】8
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2019-567681(P2019-567681)
(86)(22)【出願日】2018年4月28日
(65)【公表番号】特表2020-522863(P2020-522863A)
(43)【公表日】2020年7月30日
(86)【国際出願番号】CN2018085177
(87)【国際公開番号】WO2019100661
(87)【国際公開日】20190531
【審査請求日】2019年12月6日
(31)【優先権主張番号】201721592396.9
(32)【優先日】2017年11月24日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】516189213
【氏名又は名称】クンシャン ゴー−ビシオノクス オプト−エレクトロニクス カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Kunshan Go−Visionox Opto−Electronics Co., Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ソン ヤンイン
(72)【発明者】
【氏名】ザン ルー
【審査官】 岩井 好子
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2017/0117502(US,A1)
【文献】 特開2009−164107(JP,A)
【文献】 特開2011−008969(JP,A)
【文献】 特開2017−091693(JP,A)
【文献】 特開2017−123217(JP,A)
【文献】 特開2009−266922(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0260928(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2017/0288004(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 33/04
G09F 9/30
H01L 51/50
H05B 33/14
H05B 33/22
H01L 27/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平坦層と、前記平坦層に積層された発光表示層と、前記発光表示層に積層された封止層と、を含み、
前記平坦層に前記平坦層の厚さ方向に延びる少なくとも一周に囲まれた密閉溝が設置され、前記溝部により形成される密閉環の前記発光表示層の平面における投影は完全に前記発光表示層外に位置して前記発光表示層を囲み、前記溝部は前記平坦層を完全に貫通せず、前記平坦層に前記封止層に向かう開口を形成し、前記溝部と前記溝部を覆う封止層とは、前記封止層と前記平坦層との間の接触面から侵入する水気又は酸素の滞在スペースを形成する
ことを特徴とする表示部品。
【請求項2】
前記封止層は無機層を含み、前記平坦層の境界の前記発光表示層の平面における投影が、前記無機層の境界の前記発光表示層の平面における投影に比べて内部に位置するとともに、前記無機層の境界の前記発光表示層の平面における投影とは重ならない
ことを特徴とする請求項1に記載の表示部品。
【請求項3】
前記溝部の前記発光表示層の平面における投影と、前記無機層の境界の発光表示層の平面における投影との間の距離は1ミクロン〜3000ミクロンである
ことを特徴とする請求項2に記載の表示部品。
【請求項4】
前記表示部品は、さらに前記無機層の縁部に接続する絶縁層を含み、
前記絶縁層は、前記平坦層と前記表示部品の駆動素子とを分離する
ことを特徴とする請求項2に記載の表示部品。
【請求項5】
前記封止層は、有機層を含み、前記有機層の前記発光表示層の平面における投影は前記発光表示層を完全にカバーするとともに、前記溝部により形成される密閉環の前記発光表示層の平面における投影の内部に位置する
ことを特徴とする請求項1に記載の表示部品。
【請求項6】
前記溝部の前記発光表示層の平面における投影と、前記有機層の境界の前記発光表示層の平面における投影との間の距離は1ミクロン〜1000ミクロンである
ことを特徴とする請求項5に記載の表示部品。
【請求項7】
前記封止層は、有機層と交替に積層される複数の無機層をさらに含み、前記有機層の縁部は前記無機層の縁部からはみ出さない
ことを特徴とする請求項5に記載の表示部品。
【請求項8】
前記溝部の深さは前記平坦層の厚さの30%以上であり、
前記溝部の幅は1ミクロン〜100ミクロンである
ことを特徴とする請求項1に記載の表示部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光電部品に関し、特に表示部品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の表示部品において、特にフレキシブル表示部品が将来性を持つ。一方、消費者は表示部品に対する希望もますます高くなる。部品の可撓性を保証するために、従来のガラスではなく、フィルムで封止する必要がある。
【0003】
従来のフィルム封止において、無機層と有機層を共に封止して、表示部品に良好な水気遮断性を与える。
【0004】
しかしながら、表示部品を封止する際に、平坦層の材料は一般的に水酸素遮断性が低い有機材料であり、表示部品の発光表示層が封止層内に封止されると、発光表示層の下方にいる平坦層が表示部品全体の封止効果に影響しやすく、よって表示部品の耐用年数に影響を与えてしまう。したがって、全体的に封止効果が優れた表示部品を提供することは非常に意味がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これに鑑みて、上記課題に対して、全体的に封止効果が優れた表示部品を提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
表示部品であって、順番に積層された発光表示層、平坦層及び封止層を含む。前記平坦層に少なくとも一周に囲まれた密閉溝が設置され、前記溝部により形成される密閉環の前記発光表示層の平面における投影は完全に前記発光表示層外に位置して前記発光表示層を囲む。
【0007】
一実施例において、前記封止層は無機層を含み、前記平坦層の境界の前記発光表示層の平面における投影が、前記無機層の境界の前記発光表示層の平面における投影に比べて内部に位置するとともに、前記無機層の境界の前記発光表示層の平面における投影とは重ならない。
【0008】
一実施例において、前記溝部の前記発光表示層の平面における投影と前記無機層の境界の発光表示層の平面における投影との間の距離は1ミクロン〜3000ミクロンである。
【0009】
一実施例において、前記表示部品は、さらに前記無機層の縁部に接続する絶縁層を含む。
【0010】
一実施例において、前記絶縁層は前記平坦層と前記表示部品の駆動素子とを分離する。
【0011】
一実施例において、前記封止層は有機層を含み、前記有機層の前記発光表示層の平面における投影は前記発光表示層を完全にカバーするとともに、前記溝部により形成される密閉環の前記発光表示層の平面における投影の内部に位置する。
【0012】
一実施例において、前記溝部の前記発光表示層の平面における投影と、前記有機層の境界の前記発光表示層の平面における投影との間の距離は1ミクロン〜1000ミクロンである。
【0013】
一実施例において、前記封止層は、有機層と交替に積層される複数の無機層をさらに含み、前記有機層の縁部は前記無機層の縁部からはみ出さない。
【0014】
一実施例において、前記溝部は前記平坦層の厚さ方向に前記平坦層を貫通する。
【0015】
一実施例において、前記溝部は前記平坦層を完全に貫通せず、前記平坦層に前記封止層に向かう開口を形成する。
【0016】
一実施例において、前記溝部の深さは前記平坦層の厚さの30%以上である。
【0017】
一実施例において、前記溝部の幅は1ミクロン〜100ミクロンである。
【0018】
上記表示部品によれば、前記平坦層に前記発光表示層を少なくとも一周に囲まれる密閉溝を設置することにより、平坦層が封止層の境界から発光表示層に延伸することを回避できる。したがって、水酸素が平坦層を通って封止層の内部へ侵入することを回避でき、表示部品の封止効果を向上させ、耐用年数を延長できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の第一の実施例における表示部品の断面図である。
図2】本発明の第一の実施例における表示部品の平面図である。
図3】本発明の第二の実施例における表示部品の断面図である。
図4】本発明の第三の実施例における表示部品の断面図である。
図5】本発明の第四の実施例における表示部品の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1及び図2に示すように、本発明の一実施例は表示部品を提供する。表示部品は、発光表示層10、平坦層20及び封止層30を含む。平坦層20に少なくとも一周の密閉溝40が設置され、発光表示層10の平面における溝部40により形成される密閉環の投影は完全に発光表示層10の外に位置しかつ発光表示層10を囲む。
【0021】
上記表示部品では、密閉溝40は外部の水気又は酸素ガスが封止層30と平坦層20との接触面から侵入して発光表示層10に接触することを効果的に回避でき、部品の水酸素遮断性能を向上させ、表示部品の封止効果を効果的に向上させ、それにより表示部品の耐用年数を向上させる。実験により、本技術的解決手段に係る表示部品は、高温高湿下で1230時間点灯することができ、溝部40を備えない表示部品の場合の480時間を大幅に超えることが証明された。
【0022】
好ましくは、封止層30は無機層301を含み、発光表示層10の平面における平坦層20の境界の投影が、発光表示層10の平面における無機層301の境界の投影内に位置し、かつ発光表示層10の平面における無機層301の境界の投影と重ならない。無機層301は良好な水気遮断性を有し、外部の水気又は酸素ガスと発光表示層10との接触を遮断し、発光表示層10を保護する。無機層301により平坦層20が完全に覆われるため、水酸素が平坦層20を通って封止層30の内部に侵入することがより効果的に抑制される。好ましくは、発光表示層10の平面における溝部40の投影と発光表示層10の平面における無機層301の境界の投影との間の距離Dは1ミクロン〜3000ミクロンであり、無機層301により平坦層20が完全に覆われることを保障すると同時に、表示部品の非表示領域をできるだけ減少させ、表示部品の有効表示面積をできるだけ拡大する。
【0023】
好ましくは、図3に示すように、表示部品は無機層301の縁部に接続する絶縁層50をさらに含む。絶縁層50は平坦層20と表示部品の駆動素子とを分離し、駆動素子に対する保護を実現する。前記無機層301の縁部が前記絶縁層50に接続することにより、平坦層20をより完全に封止することができるとともに、無機層301と絶縁層50の結合性能がより高くなり、より確実な封止効果を実現しやすい。
【0024】
好ましくは、封止層30はさらに無機層301と積層して接続する有機層302を含む。有機層302は良好な可撓性を有し、無機層301が折り曲げ過程で割れることを防止する。より好ましくは、発光表示層10の平面における有機層302の投影により発光表示層10が完全に覆われることができ、かつ発光表示層10の平面における溝部40により形成される密閉環の投影内に位置する。発光表示層10の平面における溝部40の投影と発光表示層10の平面における有機層302の境界の投影との間の距離dは1ミクロン〜1000ミクロンである。この構成によれば、有機層が溝部の内部に設けられるため、有機層と無機層が溝部の存在により沈み込むことがなく、有機層302と無機層301の厚みの均一性がより一層確保される。
【0025】
好ましくは、溝部40は平坦層20の厚さ方向に平坦層20を貫通する。このような構造により、平坦層20内の水酸素の経路が完全に遮断される。
【0026】
図4に示すように、他の実施例において、溝部40は前記平坦層20を完全に貫通せず、平坦層20に前記封止層30に向かう開口を形成してもよい。実際の生産において、平坦層20が完全に貫通されるように平坦層20を加工すると、平坦層20の下方の膜層構造の完全性を保証しにくく、部品の性能が影響を受けにくい。一方、前記平坦層20が完全に貫通されないように溝部40を加工する場合、低い加工精度による平坦層20の下方の膜層構造の損傷が回避でき、平坦層20の加工プロセスに対する希望が低く、実現しやすい。
【0027】
好ましくは、溝部40の深さは平坦層20の厚さの30%以上である。この場合、溝部40の深さは実際加工において最も制御されやすい。
【0028】
好ましくは、溝部40の幅は1ミクロン〜100ミクロンである。深さが変化しない場合、溝部40の幅が大きいほど、溝部40の容積が大きくなり、水気または酸素ガスが部品の内部へと拡散、侵入する時の滞在スペースが大きくなり、部品の水酸素遮断性能がより優れた。しかし、溝部40の幅が大きいほど、溝部40の上方から溝部40を覆う封止層30は沈み込みやすくなり、部品の平坦度に影響してしまう。したがって、上記した溝部の幅は部品の水酸素遮断性能を保証するとともに、表示部品の全体的な平坦度に影響を与えない。
【0029】
図1図3の実施例において、封止層30は発光表示層10及び平坦層20と積層して設置され、封止層30は二つの無機層301及び一つの有機層302を含み、有機層302は二つの無機層301の間に設置され、有機層302の縁部は無機層301の縁部からはみ出さない。
【0030】
図5に示すように、他の実施例において、封止層20は交替に積層される三つの無機層301及び二つの有機層302を含み、水気又は有害ガスの封止層20内の拡散と侵入をより効果的に阻止し、それにより、フレキシブルデバイスの水気遮断性能をさらに向上させ、フレキシブルデバイスの折り曲げ寿命を延長させる。
【0031】
上述した実施例は、本発明のいくつかの実施形態を示したものにすぎず、その記述が具体的かつ詳細であるが、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。なお、当業者にとって、本発明の趣旨から逸脱しないかぎり、若干の変形および改良を行うことができ、これら変形や改良もすべて本発明の保護範囲内に含まれる。本発明の保護範囲は、特許請求の範囲に準ずるものとする。
【符号の説明】
【0032】
10 発光表示層、20 平坦層、30 封止層、301 無機層、302 有機層、40 溝部、50 絶縁層。
図1
図2
図3
図4
図5