(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6960498
(24)【登録日】2021年10月13日
(45)【発行日】2021年11月5日
(54)【発明の名称】計時器用バランス
(51)【国際特許分類】
G04B 17/06 20060101AFI20211025BHJP
G04B 18/00 20060101ALI20211025BHJP
【FI】
G04B17/06 A
G04B18/00 Z
【請求項の数】11
【外国語出願】
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2020-68141(P2020-68141)
(22)【出願日】2020年4月6日
(65)【公開番号】特開2020-183937(P2020-183937A)
(43)【公開日】2020年11月12日
【審査請求日】2020年4月6日
(31)【優先権主張番号】19173069.6
(32)【優先日】2019年5月7日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】599040492
【氏名又は名称】ニヴァロックス−ファー ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】イバン・ヘルナンデス
(72)【発明者】
【氏名】ピエール・キュザン
【審査官】
細見 斉子
(56)【参考文献】
【文献】
特開2016−045209(JP,A)
【文献】
特表2017−525967(JP,A)
【文献】
スイス国特許出願公開第00711766(CH,A3)
【文献】
独国実用新案第202016006869(DE,U1)
【文献】
スイス国特許出願公開第00705238(CH,A3)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04B 17/06
G04B 18/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
計時器用ムーブメントのためのバランス(1)であって、
当該バランス(1)の回転軸(D)を形成するハブ(2)と、
少なくとも1つの輪縁(3)の区画と、及び
前記少なくとも1つの輪縁(3)の区画を前記ハブ(2)に接続する少なくとも1つのアーム(4)を備え、
当該バランス(1)には、慣性ブロック(6)を受け適切な位置にて把持する少なくとも1つの収容スロット(7)によって定められる入口とこの入口よりも大きい寸法構成を有する奥部とをもつハウジング(10)があり、
前記少なくとも1つの収容スロット(7)は、前記奥部へと通じており、
前記ハウジング(10)の境界は、一方では当該バランス(1)の剛体部分(8)によって、他方では弾性アーム(5)によって定められており、
前記弾性アーム(5)には、当該バランス(1)の前記剛体部分(8)と一体化された第1の端部(5B)と、前記ハブ(2)、前記アーム(4)及び前記輪縁(3)の区画と比べて自由である第2の遠位端(5A)があり、
前記弾性アーム(5)には、断面が一定ではない本体(5C)が前記ハブ(2)との接続箇所から前記第2の遠位端(5A)に向けて延在し、前記本体(5C)の一部は、応力を受ける材料の体積が大きく最大の弾性エネルギーを蓄積するように前記本体(5C)の残りの部分よりも幅が大きい
ことを特徴とするバランス(1)。
【請求項2】
前記弾性アーム(5)は、前記収容スロット(7)の所定の位置に前記慣性ブロックのロッドを配置するためにこのロッドが前記収容スロット(7)内を摺動することで自身が変形して前記収容スロット(7)が拡張するときに、前記ハウジングの前記奥部において自身が塑性変形する割合が0.3%のしきい値よりも下を維持するような形を有する
ことを特徴とする請求項1に記載のバランス(1)。
【請求項3】
前記ハウジング(10)は、実質的に卵形の形状である
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のバランス(1)。
【請求項4】
前記弾性アームは、前記慣性ブロックが取り付けられているときに少なくとも0.7Nの保持力を与える
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のバランス(1)。
【請求項5】
前記剛体部分(8)には、前記慣性ブロックをポジショニングするためのノッチ(11)があり、
前記少なくとも1つの収容スロット(7)の開口幅は、前記慣性ブロックの前記ロッドの直径よりも小さい
ことを特徴とする請求項2および請求項2を引用する3〜4のいずれか一項に記載のバランス(1)。
【請求項6】
前記弾性アーム(5)は、前記ハブ(2)と一体化されている
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のバランス(1)。
【請求項7】
前記弾性アーム(5)の少なくとも1つは、当該バランス(1)と一体化されるように形成される
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のバランス(1)。
【請求項8】
複数の弾性アーム(5)を備え、
前記弾性アームは、当該バランスの中心を中心として点対称に配置される
ことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のバランス。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載のバランス(1)を少なくとも1つ備える
ことを特徴とする計時器用ムーブメント。
【請求項10】
請求項9に記載のムーブメントを少なくとも1つ備え、
携行型時計である
ことを特徴とする計時器。
【請求項11】
請求項1〜8のいずれか一項に記載のバランス(1)に慣性ブロック(6)を取り付ける方法であって、
(a)前記バランス(1)を支持体上に配置して適切な位置に保持するステップと、
(b)前記慣性ブロック(6)を前記ハウジング(10)に配置して、前記慣性ブロック(6)の足部(65)が前記ハウジング内に載置されるようにし、前記足部(65)が前記収容スロット(7)と整列するように配置されるようにするステップと、及び
(c)前記足部(65)が前記弾性アーム(5)を広げながら前記収容スロット(7)の方へと直進する方向へと前記慣性ブロック(6)を変位させて前記慣性ブロックをポジショニングするために前記剛体部分(8)に形成されたノッチ(11)内に前記足部(65)を収容するステップと
を備えることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バランスの回転軸を形成するハブによって構成している剛性部品、輪縁及び輪縁をハブに接続する少なくとも1つのアームを有し、慣性ブロックのロッドの位置で受け取り及び把持するための少なくとも1つの保持機構を有し、音響運動のためのバランスに関する。
【0002】
本発明は、計時器用発振器の分野に関し、より詳細には、慣性の設定及び/又はバランス化のための手段を備えるバランスの分野に関する。
【背景技術】
【0003】
慣性の設定及び/又はバランス化を行う手段を備えるバランスの多くの形態が知られている。具体的には、バランスの輪縁の埋め込み体にねじ込まれたり入れ込まれたりする慣性ブロックを備えるバランスが知られている。いくつかの形態は、把持によって慣性ブロックを保持することを試みている。慣性ブロックのロッドを受けて適切な位置に把持する少なくとも1つの収容スロットが形成されたバランスを開示しているスイス特許文献CH705238が知られている。この収容スロットの境界は、一方ではバランスの剛体部分と呼ばれる部分によって、他方では前記バランスの前記剛体部分のほうに恒久的に戻される弾性アームによって、定められる。この剛体部分は、慣性ブロックを保持するように前記収容スロットの境界を定める。
【0004】
慣性ブロックを挿入するときに、弾性アームは広がって著しい塑性変形をする。このような塑性変形は、ひび割れのような材料の欠陥を発生させることがある。このことによって、バランスの信頼性に影響を与えたり、悪化させたりし、慣性ブロックは、弾性アームによって正しく保持されなくなり、脱離するおそれもある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、特に、これらの既知の技術の様々な課題を解決することを目的とする。
【0006】
具体的には、本発明は、弾性限界を超えない応力レベル内に収まることができ、したがって、欠陥のリスクを最小にすることができる弾性アームを備える慣性ブロックを良好に保持することが可能になるバランスを提供することを目的とする。
【0007】
本発明は、十分に剛性が高い幾何学的形状を有し、十分な力で押すことができ、これによって、携行型時計(例、腕時計、懐中時計)が受ける衝撃のタイプにかかわらず慣性ブロックを適切な位置に保持することができるような、弾性アームを備えるバランスを提供することを別の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
これらの目的や以下において明確になる他の目的は、請求項1に記載の計時器用ムーブメントのためのバランスを用いて本発明にしたがって達成される。
【0009】
本発明の他の好ましい実施形態は、以下の特徴を有する。
− 前記弾性アームは、前記慣性ブロックのロッドを配置するために当該バランスの前記剛体部分に対して前記弾性アームが実質的に垂直方向に上昇しているときに、前記ハウジングの奥部において0.3%の塑性変形しきい値よりも下を維持するような形を有する。
− 前記ハウジングは、前記収容スロットによって定められる入口と、及び奥部とがある実質的に卵形の形状であり、前記ハウジングの前記奥部は、前記ハウジングの前記入口よりも大きい寸法構成を有する。
− 前記弾性アームは、前記慣性ブロックが取り付けられているときに少なくとも0.7Nの保持力を与える。
− 前記剛体部分には、前記慣性ブロックをポジショニングするためのノッチがあり、前記開口の幅は、前記慣性ブロックの前記ロッドの直径よりも小さい。
− 前記弾性アームは、前記輪縁と一体化されている。
− 前記弾性アームは、前記ハブと一体化されている。
− 少なくとも1つの弾性アームは、前記バランスと一体化されるように形成される。
− 前記バランスは、複数の弾性アームを備え、前記弾性アームは、当該バランスの中心を中心として点対称に配置される。
【0010】
本発明は、さらに、本発明に係るバランスばね発振器システムを備える計時器用ムーブメントに関する。
【0011】
本発明は、さらに、本発明に係る計時器用ムーブメントを備える計時器に関する。
【0012】
本発明は、さらに、本発明に係るバランスに慣性ブロックを取り付ける方法に関する。
【0013】
このようにして、本発明に係る物は、上述した様々な機能的及び構造的な特徴によって、特に、より良好な応力分布のおかげで、堅牢性が高いバランスを得ることを可能にする。また、前記弾性アームは、応力を受ける材料の体積を大きくし弾性エネルギーを多く蓄積することを可能にするような特定の形状のおかげで、慣性ブロックを良好に保持することを可能にする。
【0014】
単純な説明用の例(これに限定されない)として与えられる本発明の特定の実施形態についての以下の説明と図面を読むことによって、本発明の他の特徴及び利点を明確に理解することができるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係るバランスを上から見た図である。
【
図2】
図2aは、本発明の第1の実施形態に係るバランスを上から見た図である。
図2bは、本発明の第1の実施形態に係るバランスを下方から見た図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態に係るバランスをクランプするための弾性機構の詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、
図1a、2a、2b及び3をともに参照しながら、例示的な1つの実施形態に係るバランスについて説明する。
【0017】
本発明は、計時器用ムーブメントのためのバランス1に関する。このバランス1は、ハブ2によって構成している剛体部分を備え、このハブ2の中心は、バランス1と、輪縁3と、及びこの輪縁3をハブ2に接続する少なくとも1つのアーム4の回転軸Aを形成する。
【0018】
当業者の必要性に応じて、バランスは、銅、又はニッケル銀のような銅合金によって形成される。また、バランスは、アルミニウム、アルミニウム合金、チタン又はチタン合金、金又は金合金、白金又は白金合金で作ることもできる。
【0019】
また、バランス1は、少なくとも1つの弾性アーム5を備え、この弾性アーム5には、このバランス1の剛体部分と一体化された第1の端部5Bと、ハブ2、アーム4及び前記輪縁3の区画と比べて自由である第2の遠位端5Aがあり、この自由端5Aは、輪縁3の平面内にて変形し輪縁の平面内において変形することができ、バランスに慣性ブロック6をクランプすることができる。また、バランス1には、慣性ブロック6を受けるように構成している収容スロット7があり、この収容スロット7の境界は、一方では弾性アームの自由端5Aによって、他方では輪縁とハブと一体化された剛体の壁8によって、定められている。収容スロット7には開口9があり、この開口9によって、弾性アームの端部5Aを、剛体の壁8に対して垂直方向に変位させ、また、慣性ブロック6と接触させてこの慣性ブロックが収容スロット内に配置されたときに前記剛体の壁の方へとクランプすることが可能になる。
【0020】
好ましいことに、収容スロット7は、ハウジング10内へと通じており、収容スロット7には、慣性ブロック6を正確にポジショニングし慣性ブロック6を適切な位置に保持するためのノッチ11がある。開口9の幅は、慣性ブロック又は慣性ブロックのロッドの直径よりも小さくされており、これによって、慣性ブロックを適切な位置に保持する。
【0021】
慣性ブロック6には、工具と連係するように構成しているセッティング用輪郭63を有する頭部61がある。慣性ブロック6は、この頭部61から延びるロッド62を備えることができ、頭部61の直径はロッド7の直径よりも大きい。
【0022】
図示している実施形態において、慣性ブロック6には足部65があり、ロッド62は頭部61につながっており、頭部61と足部65は両方ともロッド62の直径よりも大きい直径を有し、これによって、回転軸Dと平行な方向における弾性アーム5における慣性ブロック6の移動距離を制限し、あるいはさらに、この方向において固定する。
【0023】
ロッド62は、慣性ブロック6の中心を通り抜ける軸に沿って延び、クランプ機構5に把持されると、慣性ブロック6は、セッティング用輪郭63に作用する工具を用いてこの軸のまわりに角度的に向きを調整することができる。慣性ブロック6には、この軸のまわりに非平衡があり、この非平衡は、例えば、
図2aに示しているように、頭部61に形成される平坦な部分64によって発生する。
【0024】
慣性ブロック6が開口9のノッチ11内に配置されると、弾性アーム5の自由端5Aは、剛体の壁8に対するハブと輪縁への剛体のアームのアタッチメントを接続するスポークの主要な方向に対して、実質的に垂直に変位する。
【0025】
本発明によれば、弾性アーム5は、壁5Bによって境界が定められたハウジング10を形成し、弾性アームの本体5Cは、バランスに慣性ブロック6を組み付けるときに弾性変形するように構成しており、弾性アーム5の自由端5Aは、輪縁の平面内において剛体の壁8に対して実質的に垂直に変位することができる。この場合においては、弾性アームの本体5Cは、曲がったときに応力を受ける断面が一定ではない埋め込みビームであると考えることができ、したがって、本体5Cは塑性変形を非常にわずかしかせず、壁5Bの下部は塑性変形をほとんどしない。
【0026】
本発明の発明者らが実施した試験によれば、従来技術で用いられる手法が2%の塑性変形を発生させるのに対して、弾性アーム5は0.3%の塑性変形しか発生させない。したがって、本発明が用いる手法によって、慣性ブロック6を配置するときに弾性アーム5が受ける応力を低減させることが可能になる。
【0027】
弾性アーム5の寸法構成と形状は、慣性ブロックの最小の所望の保持力を得るように決められ、弾性アームによって得られる保持力は、少なくとも0.7Nである。
【0028】
好ましいことに、弾性アームの本体の断面は位置によって変わる。この断面は、応力を受ける材料の部分の断面が大きく、そこに最大の可能な弾性エネルギーを蓄積するように変わる。
図3に示しているように、本体5Cの断面は一定ではなく、本体の一部の幅は、本体の残りと比べて局所的に大きくなっている。このような構成によって、応力を受ける箇所の材料を多くして、多くのエネルギーを蓄積することが可能になり、したがって、慣性ブロック6に対する良好な保持力を維持させることができる。例えば、本体5Cの幅は、その自由端からハブにおけるその接続箇所まで移るにしたがって大きくなるようにすることができる。
【0029】
同様に、変形可能な部分5Cの長さと幅は、塑性変形を避けるように、特定の応力レベルよりも下に保持するように決める。弾性アーム5の寸法構成によって、アームの変形に起因する大きな弾性エネルギーを蓄積することができ、この変形エネルギーは、弾性アーム5によってクランプされる慣性ブロックのロッドに対する保持力の形態で維持され、このことによって、慣性ブロックをノッチ11内において力とトルクによって確実に保持する。
【0030】
なお、弾性アーム5によって形成されるハウジング10は、曲がりの奥部において比較的大きな半径を有し、この特定の形状は、慣性ブロック6の組み付け時の応力分布を良好にするように決められる。この応力は、従来技術と比べてはるかに大きな表面積にわたって分布しており、このことによって、曲がりの奥部における構造の脆化を避けることができる。実際に、従来技術においては保持機構の曲がりの奥部における半径が非常に小さく、このことは、応力が非常に局所的に分布して、この箇所に微小亀裂が形成され、したがって、時間が経過するにしたがって保持力が徐々に小さくなることを意味している。
【0031】
図示しているように、ハウジング10は、収容スロット7によって形成される入口と、奥部とがある実質的に卵形の形状であり、このハウジング10の奥部は、ハウジングの入口よりも大きい寸法構成を有する。
【0032】
本発明によって、弾性アーム5の特定の幾何学的形状によって、アームを変位させて慣性ブロック6を配置するときに、満足するような慣性ブロックの保持力を得て、また、脆化領域が形成されることを排除することが可能になる。応力を受ける材料の量は、満足するような保持力を慣性ブロックに与えるために決定的に重要であると思われる(クラペイロンの式によれば、材料本体に蓄積される弾性エネルギーは、与えられる力すべての仕事量と等しい)。
【0034】
したがって、理想的な手法は、弾性アームがより大きな保持力を維持するように、応力を受ける材料の量を可能なかぎり増加させることである。しかし、このような選択肢は、弾性アームのかさばり量が大きくなることを意味しており、このことによって、バランスの慣性がかなり変わり、バランスの取り付け、特に、スタッドへのピン止め、を複雑にする。
【0035】
第1の好ましい実施形態において、
図1、2a、2b及び3に示しているように、前記少なくとも1つの弾性アーム5の本体5Cは、ハブ2と一体化されている。この第1の実施形態は好ましい。なぜなら、慣性ブロック6を収容スロット7内においてノッチ11の方へと横方向に変位させる前に慣性ブロック6をハウジング10内に予め配置することができ、したがって、アームを機械的に広げて慣性ブロック6をアーム内に配置する必要がなくなり、これによって、ロッドを摺動させるのに十分な最小限の広がりだけで弾性アーム5に与えられる応力を減少させることができるからである。
【0036】
本発明は、さらに、上述したように慣性ブロックをバランスに取り付ける方法に関する。この本発明に係る組み付け方法は、
(a)バランス1を支持体上に配置して、バランス1を適切な位置に保持するステップと、
(b)慣性ブロック6をハウジング10に配置して、足部65がハウジング内に載置されるようにし、足部65が収容スロット7と整列するように配置されるようにするステップと、及び
(c)ノッチ11内に足部65を収容するように収容スロット7の方へと直進する方向へと慣性ブロック6を変位させるステップと
を備える。
【0037】
この方法は、ステップ(c)の後に、慣性ブロック6の頭部がアーム5の上面及び剛体の壁8の上面と接触するように慣性ブロック6を正確にポジショニングするステップを随意的に備えることができる。
【0038】
本発明は、さらに、複数の保持機構5を備え、各保持機構5が少なくとも1つの慣性ブロック6を受けるように構成しているようなバランス1に関する。
【0039】
本発明は、さらに、上述したような少なくとも1つのこのようなバランス1を備える計時器用ムーブメントに関する。
【0040】
本発明は、さらに、少なくとも1つのこのようなムーブメントを備え、好ましくは、携行型時計である、計時器に関する。
【符号の説明】
【0041】
1 バランス
2 ハブ
3 輪縁
4 アーム
5 弾性アーム
6 慣性ブロック
7 収容スロット
8 剛体部分
10 ハウジング
11 ノッチ
61 頭部
62 ロッド
63 セッティング用輪郭
64 平坦な部分
65 足部