(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、添付図面を参照して、本願の開示するセル、モジュールおよびモジュール収容装置の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0008】
また、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合があることに留意する必要がある。さらに、図面の相互間においても、互いの寸法の関係、比率などが異なる部分が含まれている場合がある。
【0009】
近年、次世代エネルギーとして、燃料電池セル及び燃料電池セルを複数有するセルスタック装置が種々提案されている。燃料電池セルは、水素含有ガス等の燃料ガスと空気等の酸素含有ガスとを用いて電力を得ることができるセルの1種である。
【0010】
かかる燃料電池セルでは、たとえば、燃料電池セル内の素子部において、固体電解質層と空気極との間に中間層が設けられる場合がある。
【0011】
しかしながら、上述の燃料電池セルでは、燃料電池セルの耐久性に改善の余地があった。
【0012】
そこで、燃料電池セルの耐久性を高めることができる技術の実現が期待されている。
【0013】
<セルの構成>
まず、
図1Aおよび
図1Bを参照しながら、実施形態に係るセルとして、固体酸化物形の燃料電池セルの例を用いて説明する。
【0014】
図1Aは、実施形態に係るセル1の一例を示す横断面図であり、
図1Bは、実施形態に係るセル1の一例をインターコネクタ4側からみた側面図である。なお、
図1Aおよび
図1Bは、セル1の各構成の一部を拡大して示している。また、セル1の一例を空気極8側からみた側面図については後述する。
【0015】
図1Aおよび
図1Bに示す例において、セル1は中空平板型で、細長い板状である。
図1Bに示すように、セル1の全体を側面から見た形状は、たとえば、長さ方向Lの辺の長さが5cm〜50cmで、この長さ方向Lに直交する幅方向Wの長さが1cm〜10cmの長方形である。このセル1の全体の厚み方向Tの厚さは1mm〜5mmである。
【0016】
図1Aに示すように、セル1は、導電性の支持基板2と、素子部3と、インターコネクタ4とを備えている。支持基板2は、一対の対向する平坦面n1、n2、およびかかる平坦面n1、n2を接続する一対の円弧状の側面mを有する柱状である。
【0017】
素子部3は、支持基板2の平坦面n1上に設けられている。かかる素子部3は、燃料極5と、固体電解質層6と、中間層7と、空気極8とを有している。また、
図1Aに示す例では、セル1の平坦面n2上にインターコネクタ4が設けられている。
【0018】
また、
図1Bに示すように、インターコネクタ4はセル1の上端及び下端まで延びていてもよい。セル1の下端部では、インターコネクタ4および固体電解質層6が表面に露出している。なお、
図1Aに示すように、セル1の一対の円弧状の側面mにおける表面では、固体電解質層6が露出している。インターコネクタ4は、セル1の下端まで延びていなくてもよい。セル1は、下端とインターコネクタ4との間の領域に、後述の補強層9を備えていてもよい。
【0019】
以下、セル1を構成する各構成部材について説明する。
【0020】
支持基板2は、ガスが流れるガス流路2aを内部に有している。
図1Aに示す支持基板2の例は、6つのガス流路2aを有している。支持基板2は、ガス透過性を有し、ガス流路2aに流れる燃料ガスを燃料極5まで透過させる。支持基板2は、導電性を有していてもよい。導電性を有する支持基板2は、素子部3で生じた電気をインターコネクタ4に集電する。
【0021】
支持基板2の材料は、たとえば、鉄族金属成分および無機酸化物を含む。たとえば、鉄族金属成分はNi(ニッケル)および/またはNiOであってもよい。無機酸化物は特定の希土類元素酸化物であってもよい。
【0022】
燃料極5の材料には、一般的に公知のものを使用することができる。燃料極5は、多孔質の導電性セラミックス、たとえば酸化カルシウム、酸化マグネシウム、または希土類元素酸化物が固溶しているZrO
2と、Niおよび/またはNiOとを含むセラミックスを用いてもよい。この希土類元素酸化物としては、たとえば、Y
2O
3などが用いられる。酸化カルシウム、酸化マグネシウム、または希土類元素酸化物が固溶しているZrO
2を安定化ジルコニアと称する場合もある。安定化ジルコニアは、部分安定化ジルコニアも含む。
【0023】
固体電解質層6は、電解質であり、燃料極5と空気極8との間のイオンの橋渡しをする。同時に、固体電解質層6は、ガス遮断性を有し、燃料ガスと酸素含有ガスとのリークを生じ難くする。
【0024】
固体電解質層6の材料は、たとえば、3〜15モル%の希土類元素酸化物が固溶したZrO
2であってもよい。この希土類元素酸化物としては、たとえば、Y
2O
3などが用いられる。なお、上記特性を有する限りにおいては、固体電解質層6の材料に他の材料などを用いてもよい。
【0025】
中間層7は、拡散抑制層としての機能を有する。後述する空気極8に含まれるSr(ストロンチウム)が固体電解質層6に拡散すると、かかる固体電解質層6にSrZrO
3の抵抗層が形成される。中間層7は、Srの拡散を抑制し、SrZrO
3が形成され難くする。
【0026】
中間層7の材料は、一般的にSrの拡散抑制層に用いられるものであれば特に制限はない。中間層7の材料は、たとえば、Ce(セリウム)を除く希土類元素が固溶した酸化セリウム(CeO
2)を含む。かかる希土類元素としては、Gd(ガドリニウム)、Sm(サマリウム)などが用いられる。
【0027】
空気極8の材料は、一般的に空気極に用いられるものであれば特に制限はない。空気極8の材料は、たとえば、いわゆるABO
3型のペロブスカイト型酸化物など導電性セラミックスでもよい。
【0028】
空気極8の材料は、たとえば、AサイトにSrとLaが共存する複合酸化物であってもよい。このような複合酸化物の例としては、La
xSr
1−xCo
yFe
1−yO
3、La
xSr
1−xMnO
3、La
xSr
1−xFeO
3、La
xSr
1−xCoO
3などが挙げられる。なお、xは0<x<1、yは0<y<1である。
【0029】
また、空気極8は、ガス透過性を有している。空気極8の開気孔率は、たとえば20%以上、特に30%〜50%の範囲であってもよい。
【0030】
インターコネクタ4の材料には、ランタンクロマイト系のペロブスカイト型酸化物(LaCrO
3系酸化物)、もしくは、ランタンストロンチウムチタン系のペロブスカイト型酸化物(LaSrTiO
3系酸化物)を用いてもよい。これらの材料は、導電性を有し、かつ水素含有ガスなどの燃料ガス、および空気などの酸素含有ガスと接触しても還元も酸化もされない。
【0031】
また、インターコネクタ4は、緻密質であり、支持基板2の内部のガス流路2aを流通する燃料ガス、および支持基板2の外側を流通する酸素含有ガスのリークを生じ難くする。インターコネクタ4は、93%以上、特に95%以上の相対密度を有していてもよい。
【0032】
<セルスタック装置の構成>
次に、上述したセル1を用いた本実施形態に係るセルスタック装置10について、
図2A〜
図2Cを参照しながら説明する。
図2Aは、実施形態に係るセルスタック装置10の一例を示す斜視図であり、
図2Bは、
図2Aに示すA−A線の断面図であり、
図2Cは、実施形態に係るセルスタック装置10の一例を示す上面図である。
【0033】
図2Aに示すように、セルスタック装置10は、セル1の厚み方向T(
図1A参照)に配列(積層)された複数のセル1を有するセルスタック11と、固定部材12とを備える。
【0034】
固定部材12は、固定材13と、支持部材14とを有する。支持部材14は、セル1を支持する。固定材13は、セル1を支持部材14に固定する。また、支持部材14は、支持体15と、ガスタンク16とを有する。支持部材14である支持体15およびガスタンク16は、金属製であり導電性を有している。
【0035】
図2Bに示すように、支持体15は、複数のセル1の下端部が挿入される挿入孔15aを有している。複数のセル1の下端部と挿入孔15aの内壁とは、固定材13で接合されている。
【0036】
ガスタンク16は、挿入孔15aを介して複数のセル1に反応ガスを供給するための開口部を有しており、開口部の周囲に設けられた凹溝16aを有する。支持体15の一端部は、ガスタンク16の凹溝16aに充填された接合材21によって、ガスタンク16と接合されている。
【0037】
図2Aに示す例では、支持部材14である支持体15とガスタンク16とで形成される内部空間22に燃料ガスが貯留される。ガスタンク16にはガス流通管20が接続されている。燃料ガスは、このガス流通管20を通してガスタンク16に供給され、ガスタンク16からセル1の内部のガス流路2a(
図1A参照)に供給される。ガスタンク16に供給される燃料ガスは、後述する改質器102(
図10参照)で生成される。
【0038】
水素リッチな燃料ガスは、原燃料を水蒸気改質などすることによって生成することができる。水蒸気改質により燃料ガスを生成する場合には、燃料ガスは水蒸気を含む。
【0039】
図2Aに示す例では、複数のセル1を有するセルスタック11が2列設けられており、2列のセルスタック11が、それぞれ支持体15に固定されている。ガスタンク16の上面には2つの貫通孔が設けられている。2つの貫通孔には、挿入孔15aに合わせるように各支持体15が配置されている。内部空間22は、1つのガスタンク16と、2つの支持体15とで形成される。
【0040】
挿入孔15aの形状は、たとえば、上面視で長円形状である。挿入孔15aは、たとえば、セル1の配列方向すなわち厚み方向Tの長さが、セルスタック11の両端に位置する2つの端部集電部材17の間の距離よりも大きい。挿入孔15aの幅は、たとえば、セル1の幅方向W(
図1A参照)の長さよりも大きい。
【0041】
図2Bに示すように、挿入孔15aの内壁とセル1の下端部との接合部において、固化された固定材13が充填されている。これにより、挿入孔15aの内壁と複数個のセル1の下端部とがそれぞれ接合・固定され、また、セル1の下端部同士が接合・固定されている。各セル1のガス流路2aは、下端部で支持部材14の内部空間22と連通している。
【0042】
固定材13および接合材21は、ガラスなどの導電性が低いものを用いることができる。具体的な材料としては、非晶質ガラスなどでもよいが、結晶化ガラスとしてもよい。
【0043】
結晶化ガラスとしては、たとえば、SiO
2−CaO系、MgO−B
2O
3系、La
2O
3−B
2O
3−MgO系、La
2O
3−B
2O
3−ZnO系、SiO
2−CaO−ZnO系が採用され得るが、SiO
2−MgO系のうちいずれかの材料を用いてもよい。
【0044】
また、
図2Bに示すように、複数のセル1のうち隣接するセル1の間には、導電部材18が介在している。導電部材18は、隣接した一方のセル1の燃料極5と他方のセル1の空気極8を電気的に直列に接続する。なお、隣接するセル1に接続された導電部材18の詳細については、後述する。
【0045】
また、
図2Bに示すように、複数のセル1の配列方向における最も外側に位置するセル1に、端部集電部材17が接続されている。端部集電部材17は、セルスタック11の外側に突出する導電部19に接続されている。導電部19は、セル1の発電により生じた電気を集電して外部に引き出す。なお、
図2Aでは、端部集電部材17の図示を省略している。
【0046】
また、
図2Cに示すように、セルスタック装置10は、セル1がそれぞれ一列に並んで形成される2つのセルスタック11A、11Bが直列に接続され、一つの電池として機能する。そのため、セルスタック装置10の導電部19は、正極端子19Aと、負極端子19Bと、接続端子19Cとに区別される。
【0047】
正極端子19Aは、セルスタック11が発電した電力を外部に出力する場合の正極であり、セルスタック11Aにおける正極側の端部集電部材17に電気的に接続される。負極端子19Bは、セルスタック11が発電した電力を外部に出力する場合の負極であり、セルスタック11Bにおける負極側の端部集電部材17に電気的に接続される。
【0048】
接続端子19Cは、セルスタック11Aにおける負極側の端部集電部材17と、セルスタック11Bにおける正極側の端部集電部材17とを電気的に接続する。
【0049】
<素子部の詳細>
つづいて、実施形態に係る素子部3の詳細について、
図3〜
図9を参照しながら説明する。
図3は、実施形態に係るセル1の一例を空気極8側からみた側面図である。
【0050】
図3に示すように、中間層7は、セル1の上端部および下端部を除き、固体電解質層6における空気極8側からみた面の全体に形成される。換言すると、空気極8側からみたセル1の上端部および下端部には、固体電解質層6の表面に中間層7が位置していない第3部位30が設けられる。
【0051】
かかる第3部位30は、セル1の少なくとも2辺に沿って設けられ、それぞれの辺から所定の幅、たとえば、5mm程度を有して形成される。実施形態では、第3部位30がセル1の2辺である上辺および下辺に沿って、略均等な幅を有して形成される。
【0052】
また、セル1の下端部における第3部位30よりも上方には、固体電解質層6と中間層7との間に、補強層9が設けられる。セル1の下端部が固定部材12(
図2A参照)で固定される際に、固定部材12からの応力でセル1が破損する場合がある。かかる補強層9は、セル1が固定される際にセル1を破損し難くする。
【0053】
インターコネクタ4がセル1の下端まで延びていない場合、支持基板2の平坦面2n上の、セル1の下端部とインターコネクタ4との間の領域に補強層9が設けられていてもよい。
【0054】
補強層9は、たとえば、3〜15モル%の希土類元素酸化物が固溶したZrO
2から形成される。この希土類元素酸化物としては、たとえば、Y
2O
3などが用いられる。なお、上記特性を有する限りにおいては、他の材料などを用いて補強層9を形成してもよい。
【0055】
また、中間層7の表面には、セル1における上辺の第3部位30と補強層9との間の領域に、空気極8が設けられる。
【0056】
さらに、実施形態に係るセル1の素子部3は、外周部1aと中央部1bとを有する。外周部1aは、セル1を空気極8側からみた場合に、各辺の近傍に位置する領域であり、中央部1bは、セル1を空気極8側からみた場合に、外周部1aに囲まれる中央の領域である。
【0057】
外周部1aは、セル1を空気極8側からみた場合に、素子部3の輪郭の近傍、または空気極8の輪郭の近傍に位置する領域としてもよい。その場合、外周部1aは、素子部3または空気極8の輪郭を含む。外周部1aは、セル1における素子部3の輪郭の内側を含んでもよいし、素子部3の輪郭の外側を含んでもよい。
【0058】
図4に示すように、外周部1aは、素子部3において、長さ方向Lに沿った長辺からの距離が所定の距離X1以下であるとともに、幅方向Wに沿った短辺からの距離が所定の距離X2以下の領域である。
図4は、実施形態に係る素子部3の外周部1aおよび中央部1bを説明するための図である。
【0059】
実施形態において、距離X1は、たとえば、素子部3の短辺の長さW1の25%である。また、距離X2は、たとえば、素子部3の長辺の長さL1の15%である。
【0060】
図5は、実施形態に係る素子部3の一例を示す拡大断面図であり、中間層7およびその近傍を拡大した断面図である。
図5に示すように、素子部3では、燃料極5(
図1A参照)上に固体電解質層6が積層され、固体電解質層6上に中間層7が積層され、中間層7上に空気極8が積層されている。
【0061】
また、中間層7は、断面視において、固体電解質層6との界面近傍に第1領域7aを有し、空気極8との界面近傍に第2領域7bを有する。かかる第1領域7aは、固体電解質層6と中間層7との界面からの距離が所定の距離X3以下の領域である。
【0062】
また、第2領域7bは、中間層7と空気極8との界面からの距離が所定の距離X4以下の領域である。実施形態において、かかる距離X3および距離X4は、たとえば、中間層7の厚みT1の1/3であってもよい。
【0063】
また、固体電解質層6は、断面視において、中間層7との界面近傍に第3領域6aを有する。かかる第3領域6aは、固体電解質層6と中間層7との界面からの距離が所定の距離X5以下の領域である。実施形態において、かかる距離X5は、たとえば、中間層7の厚みT1の1/3であってもよい。
【0064】
ここで、実施形態では、セル1の耐久性を高めるため、上述した第1領域7a、第2領域7bおよび第3領域6aの空隙率を制御している。
図6は、素子部3の外周部1aおよび中央部1bにおける各領域の空隙率を示す図である。
【0065】
図6に示すように、実施形態では、固体電解質層6との界面近傍である第1領域7aにおける中間層7の空隙率が、空気極8との界面近傍である第2領域7bにおける中間層7の空隙率よりも大きい。
【0066】
固体電解質層6との界面近傍である第1領域7aにおける中間層7は、第1部位の一例であり、空気極8との界面近傍である第2領域7bにおける中間層7は、第2部位の一例である。
【0067】
なお、実施形態では、素子部3の外周部1aおよび中央部1bのいずれにおいても、第1領域7aの空隙率が第2領域7bの空隙率よりも大きくなっている。
【0068】
このように、中間層7における第1領域7aの空隙率を大きくすることにより、中間層7の第1領域7aを応力緩和層として機能させることができることから、固体電解質層6から中間層7が剥離し難くすることができる。
【0069】
また、中間層7における第2領域7bの空隙率を小さくすることにより、Srの拡散抑制層としての機能を維持することができる。
【0070】
すなわち、実施形態では、中間層7がSrの拡散抑制層としての機能を維持することができるとともに、中間層7が固体電解質層6から剥離し難くすることができる。したがって、実施形態によれば、セル1の耐久性を高めることができる。
【0071】
また、実施形態では、素子部3の外周部1aにおける中間層7の空隙率が、素子部3の中央部1bにおける中間層7の空隙率よりも大きい。素子部3の外周部1aにおける中間層7は、第1部位の別の一例であり、素子部3の中央部1bにおける中間層7は、第2部位の別の一例である。
【0072】
なお、実施形態では、中間層7の第1領域7aおよび第2領域7bのいずれにおいても、外周部1aの空隙率が中央部1bの空隙率よりも大きくなっている。
【0073】
このように、素子部3の外周部1aにおける中間層7の空隙率を大きくすることにより、中央部1bと比較して発電への寄与が小さい外周部1aの中間層7を、拡散抑制効果よりも応力緩和効果を重視して機能させることができる。
【0074】
すなわち、実施形態では、外周部1aの空隙率を大きくすることにより、素子部3の外周部1aを起点として中間層7が剥離し難くすることができる。したがって、実施形態によれば、セル1の耐久性を高めることができる。
【0075】
また、実施形態では、中間層7の空隙率が5(%)〜30(%)の範囲であってもよい。中間層7の空隙率を5(%)以上とすることで、空隙による応力の緩和効果が十分得られ、セル1に温度サイクルがかかって中間層7に熱応力が加わっても、中間層7が剥離し難くなる。
【0076】
一方で、中間層7の空隙率が30(%)以下とすることで、中間層7が剥離しない程度の強度を有する中間層7とすることができる。
【0077】
このように、実施形態では、中間層7の空隙率を5(%)〜30(%)の範囲にしているため、中間層7を剥離し難くすることができる。したがって、実施形態によれば、セル1の耐久性を高めることができる。
【0078】
中間層7の空隙率は、特に10(%)〜30(%)の範囲であってもよく、さらに13(%)〜25(%)の範囲であってもよい。第1領域7aの空隙率は、15(%)〜30(%)の範囲であってもよく、特に16(%)〜27(%)の範囲であってもよい。第2領域7bの空隙率は、10(%)〜25(%)の範囲であってもよく、特に12(%)〜22(%)の範囲であってもよい。
【0079】
また、実施形態では、中間層7に形成される空隙の平均径が、0.1μm〜1.0μm、特に0.2μm〜0.8μmの範囲であってもよい。これにより、中間層7が固体電解質層6から剥離し難くするとともに、Srの拡散を抑制することができる。
【0080】
また、実施形態では、素子部3の外周部1aにおける固体電解質層6の第3領域6aの空隙率が、素子部3の中央部1bにおける固体電解質層6の第3領域6aの空隙率よりも大きい。すなわち、実施形態では、素子部3の外周部1aにおける固体電解質層6の第3領域6aが、素子部3の中央部1bにおける固体電解質層6の第3領域6aよりも緻密である。
【0081】
これにより、固体電解質層6の剥離が生じやすい素子部3の外周部1aにおいて、第3領域6aを緻密にすることにより、固体電解質層6の強度を高めることができる。すなわち、実施形態では、外周部1aの固体電解質層6を緻密にすることにより、素子部3の外周部1aを起点として固体電解質層6が剥離し難くすることができる。
【0082】
したがって、実施形態によれば、セル1の耐久性を高めることができる。
【0083】
なお、実施形態では、素子部3の外周部1aにおける固体電解質層6の第3領域6aが、素子部3の中央部1bにおける固体電解質層6の第3領域6aよりも緻密である場合について示したが、素子部3の外周部1aにおける固体電解質層6の厚さ方向の全体が、素子部3の中央部1bにおける固体電解質層6の厚さ方向の全体よりも緻密であってもよい。素子部3の外周部1aにおける固体電解質層6は、第1部位の別の一例であり、素子部3の中央部1bにおける固体電解質層6は、第2部位の別の一例である。
【0084】
これにより、素子部3の外周部1aにおける固体電解質層6全体の強度を高めることができることから、素子部3の外周部1aを起点として固体電解質層6が剥離し難くすることができる。
【0085】
また、実施形態に係るセル1において緻密な、すなわち、空隙率が小さい固体電解質層6が配置される箇所は、外周部1aに限られない。
図7は、実施形態に係るセル1の一例を示す拡大横断面図である。
【0086】
図7に示すように、セル1は、外周部1aに隣接する湾曲部1cを有する。この湾曲部1cは、円弧状の側面mのうち、空気極8の近くに位置する部分である。湾曲部1cは、言い換えると、側面mのうちインターコネクタ4との距離よりも空気極8との距離が小さい部分である。そして、実施形態では、中央部1b(
図4参照)よりも緻密な固体電解質層6が、かかる湾曲部1cにも配置されてもよい。
【0087】
これにより、セル1の湾曲部1cにおける固体電解質層6の強度を高めることができることから、セル1の湾曲部1cを起点として固体電解質層6が剥離し難くすることができる。
【0088】
なお、第1領域7a、第2領域7bおよび第3領域6aの空隙率および空隙の平均径は、たとえば、以下の手法により求めることができる。まず、第1領域7a、第2領域7bおよび第3領域6aの断面を得られるようにセル1を切断する。
【0089】
次に、第1領域7a、第2領域7bおよび第3領域6aの断面をSEM(走査型電子顕微鏡)で観察して、たとえば3000倍の写真を撮る。この写真に対して、画像処理を施して画像全体の面積に対する空隙箇所の合計面積を算出することで空隙率を求めることができる。
【0090】
また、この写真に対して画像処理を施すことにより、空隙の平均径を求めることができる。画像処理により求める空隙の平均径とは、断面写真における空隙の面積を円換算した径の平均値である。画像処理には、たとえば、解析ソフト(ソフト名:ImageJ、開発元:Wayne Rasband)を用いて2値化による解析を用いることができる。
【0091】
また、実施形態では、
図3に示したように、セル1が、空気極8側からみた場合に、固体電解質層6の表面に中間層7が位置しない第3部位30を少なくとも2辺の近傍に有してもよい。
【0092】
中間層7は、固体電解質層6との界面に、第1領域7aよりも小さい厚さの緻密な膜を有していてもよい。この時、もし仮に、第3部位30がセル1に形成されず、中間層7の緻密な膜がセル1の各辺に達するように形成されていた場合、セル1に外部から衝撃が加わると、衝撃が加わった辺に達している中間層7の緻密な膜に直接衝撃が加わる。これにより、薄く緻密なためクラックが生じやすい中間層7の緻密な膜にクラックが生じ、そのクラックが素子部3まで進展してしまう恐れがある。
【0093】
一方で、実施形態では、セル1が第3部位30を有していることから、かかる第3部位30が形成された辺に外部から衝撃が加わったとしても、中間層7の緻密な膜にクラックを生じにくくすることができる。
【0094】
すなわち、実施形態では、中間層7にクラックが生じ難くすることができる。したがって、実施形態によれば、セル1の耐久性を高めることができる。
【0095】
なお、実施形態に係るセル1における第3部位30の配置は、
図3の例に限られない。
図8および
図9は、実施形態に係る素子部3の別の一例を示す側面図である。なお、
図8および
図9では、理解を容易にするため、空気極8および補強層9の図示を省略している。
【0096】
図8に示すように、第3部位30は、空気極8側からみたセル1における4つの角部が切り欠かれるように設けられてもよい。また、
図9に示すように、第3部位30は、空気極8側からみたセル1における上端部の一部および下端部の一部に矩形状に設けられてもよい。
【0097】
また、実施形態では、
図3に示したように、空気極8が形成されないため拡散抑制層が必要ではない補強層9の表面にも、中間層7が形成されてもよい。
【0098】
また、実施形態に係る中間層7は、Fe(鉄)、Si(シリコン)、Na(ナトリウム)、Cl(塩素)、Cu(銅)、Ti(チタン)およびAl(アルミニウム)のうち少なくとも1つの元素を不純物として含んでいてもよい。
【0099】
これにより、中間層7を形成する際に、中間層7内の結晶粒の成長を抑制することができることから、中間層7にクラックが生じ難くすることができる。したがって、実施形態によれば、セル1の耐久性を高めることができる。
【0100】
実施形態に係る中間層7は、上述の不純物となる元素を例えば合計で、1000ppm(0.1質量%)以下含んでいてもよい。例えば、Fe、Si、NaおよびClの含有量は、それぞれ200ppm(0.02質量%)以下であってもよい。例えば、Cu、TiおよびAlの含有量は、それぞれ50ppm(0.005質量%)以下であってもよい。
【0101】
中間層7は、上述のGd、Sm以外の希土類元素、例えば、La(ランタン)、Pr(プラセオジム)、Nd(ネオジム)、Y(イットリウム)などを含んでいてもよい。例えば中間層7の材料が、Gdが固溶した酸化セリウム(CeO
2)の場合、中間層7は、La、Pr、Nd、SmおよびYのうち少なくともいずれか1種を、合計で20ppm(0.002質量%)程度含んでいてもよい。
【0102】
中間層7は、Zr(ジルコニウム)、Ca(カルシウム)、Sr(ストロンチウム)、Mg(マグネシウム)、Co(コバルト)、Mn(マンガン)およびNi(ニッケル)などを含んでいてもよい。これらの元素は、中間層7の周辺に配置された部材から中間層7に拡散する場合がある。
【0103】
また、実施形態では、中間層7の第1領域7aにおいて、扁平状の結晶粒を含んでいてもよい。さらに、中間層7の第1領域7aにおいて、扁平状の結晶粒の長径が10nm〜100μmの範囲であってもよく、この長径の平均値が100nm〜10μmの範囲であってもよい。かかる扁平状の結晶粒が、上述した中間層7の緻密膜を形成していてもよい。
【0104】
また、中間層7の第1領域7aと固体電解質層6との境界部において、境界部の単位長さあたりの、中間層7の結晶粒と固体電解質層6の結晶粒との接触長さは、中間層7の第2領域7bと空気極8との境界部において、境界部の単位長さ当たりの中間層7の結晶粒と空気極8の結晶粒との接触長さより大きくてもよい。
【0105】
<モジュール>
次に、上述したセルスタック装置10を用いた本開示の実施形態に係るモジュール100について、
図10を用いて説明する。
図10は、実施形態に係るモジュール100を示す外観斜視図である。
図10は、収納容器101の一部である前面および後面を取り外し、内部に収納される燃料電池のセルスタック装置10を後方に取り出した状態を示している。
【0106】
図10に示すように、モジュール100は、収納容器101、及び収納容器101内に収納されたセルスタック装置10を備えている。セルスタック装置10の上方には、改質器102が配置されている。
【0107】
かかる改質器102は、天然ガス、灯油などの原燃料を改質して燃料ガスを生成し、セル1に供給する。原燃料は、原燃料供給管103を通じて改質器102に供給される。なお、改質器102は、水を気化させる気化部102aと、改質部102bとを備えていてもよい。改質部102bは、図示しない改質触媒を備えており、原燃料を燃料ガスに改質する。このような改質器102は、効率の高い改質反応である水蒸気改質を行うことができる。
【0108】
そして、改質器102で生成された燃料ガスは、ガス流通管20、ガスタンク16、および支持部材14を通じて、セル1のガス流路2a(
図1A参照)に供給される。
【0109】
また、上述の構成のモジュール100では、ガスの燃焼およびセル1の発電に伴い、通常発電時におけるモジュール100内の温度が500〜1000℃程度となる。
【0110】
このようなモジュール100においては、上述したように、耐久性が高いセルスタック装置10を収納して構成されることにより、耐久性が高いモジュール100とすることができる。
【0111】
<モジュール収容装置>
図11は、実施形態に係るモジュール収容装置110の一例を示す分解斜視図である。実施形態に係るモジュール収容装置110は、外装ケース111と、
図10で示したモジュール100と、図示しない補機と、を備えている。補器は、モジュール100の運転を行う。モジュール100及び補器は、外装ケース111内に収容されている。なお、
図11においては一部構成を省略して示している。
【0112】
図11に示すモジュール収容装置110の外装ケース111は、支柱112と外装板113とを有する。仕切板114は、外装ケース111内を上下に区画している。外装ケース111内の仕切板114より上側の空間は、モジュール100を収容するモジュール収容室115であり、外装ケース111内の仕切板114より下側の空間は、モジュール100を運転する補機を収容する補機収容室116である。なお、
図11では、補機収容室116に収容する補機を省略して示している。
【0113】
また、仕切板114は、補機収容室116の空気をモジュール収容室115側に流すための空気流通口117を有している。モジュール収容室115を構成する外装板113は、モジュール収容室115内の空気を排気するための排気口118を有している。
【0114】
このようなモジュール収容装置110においては、上述したように、耐久性が高いモジュール100をモジュール収容室115に備えていることにより、耐久性が高いモジュール収容装置110とすることができる。
【0115】
<各種変形例>
つづいて、実施形態の各種変形例に係る素子部について、
図12〜
図18を参照しながら説明する。
【0116】
上述の実施形態では、支持基板の表面に燃料極、固体電解質層および空気極を含む素子部が1つのみ設けられたいわゆる「縦縞型」を例示したが、支持基板の表面の互いに離れた複数個所にて素子部がそれぞれ設けられ、隣り合う素子部の間が電気的に接続されたいわゆる「横縞型」のセルを配列した横縞型セルスタック装置に適用することができる。
【0117】
また、本実施形態では、中空平板型の支持基板を用いた場合を例示したが、円筒型の支持基板を用いたセルスタック装置に適用することもできる。また、後述するように、いわゆる「平板型」のセルを厚み方向に積層した平板型セルスタック装置に適用することもできる。
【0118】
また、上記実施形態では、支持基板上に燃料極が設けられ、空気極がセルの表面に配置された例を示したが、これとは逆の配置、すなわち支持基板上に空気極が設けられ、燃料極がセルの表面に配置されたセルスタック装置に適用することもできる。
【0119】
また、上記実施形態では、「セル」、「セルスタック装置」、「モジュール」および「モジュール収容装置」の一例として燃料電池セル、燃料電池セルスタック装置、燃料電池モジュールおよび燃料電池装置を示したが、他の例としてはそれぞれ、電解セル、電解セルスタック装置、電解モジュールおよび電解装置であってもよい。
【0120】
図12は、実施形態の変形例1に係るセルを示す断面図である。
図12に示すように、セルスタック装置10Aは、燃料ガスを流通させる配管73から複数のセル1Aが長さ方向Lに延びている。セル1Aは、支持基板71上に複数の素子部3Aを有している。支持基板71の内部には、配管73からのガスが流れるガス流路74が設けられている。支持基板71上の各素子部3Aは、図示しない接続部により電気的に接続されている。複数のセル1Aは、導電部材78を介して互いに電気的に接続されている。導電部材78は、各セル1Aがそれぞれ有する素子部3Aの間に位置しており、隣り合うセル1Aを接続している。
【0121】
そして、変形例1でも、固体電解質層との界面近傍である第1領域における中間層の空隙率が、空気極との界面近傍である第2領域における中間層の空隙率よりも大きい。これにより、セル1Aの耐久性を高めることができる。
【0122】
また、変形例1でも、素子部3Aの外周部における中間層の空隙率が、素子部3Aの中央部における中間層の空隙率よりも大きい。これにより、セル1Aの耐久性を高めることができる。
【0123】
また、変形例1でも、素子部3Aの外周部における固体電解質層の第3領域が、素子部3Aの中央部における固体電解質層の第3領域よりも緻密である。これにより、セル1Aの耐久性を高めることができる。
【0124】
図13は、実施形態の変形例2に係る平板型セルを示す斜視図であり、
図14は、実施形態の変形例2に係る素子部90における外周部1Baおよび中央部1Bbを説明するための図である。
【0125】
図13に示すように、セル1Bは、燃料極5、固体電解質層6、中間層7および空気極8が積層された素子部90を有している。複数の平板型セルを積層させたセルスタック装置は、たとえば複数のセル1Bが、互いに隣り合う金属層である導電部材91、92により電気的に接続されている。導電部材91、92は、隣接するセル1B同士を電気的に接続するとともに、燃料極5または空気極8にガスを供給するガス流路を有している。
【0126】
また、
図14に示すように、セル1Bの素子部90は、外周部1Baと中央部1Bbとを有する。外周部1Baは、セル1Bを平面視した場合に、素子部90の各辺の近傍に位置する領域であり、中央部1Bbは、セル1Bを平面視した場合に、外周部1Baに囲まれる中央の領域である。なお、
図13、
図14においてセルを平面視した場合、セル1Bの外形と素子部90の外形は一致している。セル1Bの外形は素子部90の外形より大きくてもよく、セル1Bの輪郭が素子部90の輪郭を囲むように配置されてもよい。
【0127】
図14に示すように、かかる外周部1Baは、素子部90において、一方の辺S1からの距離が所定の距離X6以下であるとともに、他方の辺S2からの距離が所定の距離X7以下の領域である。
【0128】
変形例2において、距離X6は、たとえば、素子部90の他方の辺S2の長さL3の25%である。また、距離X7は、たとえば、素子部90の一方の辺S1の長さL4の25%である。
【0129】
そして、変形例2でも、第1領域(すなわち、固体電解質層6との界面近傍)における中間層7の空隙率が、第2領域(すなわち、空気極8との界面近傍)における中間層7の空隙率よりも大きい。これにより、セル1Bの耐久性を高めることができる。
【0130】
また、変形例2でも、素子部90の外周部1Baにおける中間層7の空隙率が、素子部90の中央部1Bbにおける中間層7の空隙率よりも大きい。これにより、セル1Bの耐久性を高めることができる。
【0131】
また、変形例2でも、素子部90の外周部1Baにおける固体電解質層6の第3領域が、素子部90の中央部1Bbにおける固体電解質層6の第3領域よりも緻密である。これにより、セル1Bの耐久性を高めることができる。
【0132】
図15は、実施形態の変形例2に係る素子部90の一例を示す下面図であり、セル1Bにおける中間層7および第3部位30の配置を説明するための図である。
図15に示すように、変形例2では、第3部位30がセル1Bにおいて対向する2辺のそれぞれに沿って設けられてもよい。
【0133】
これにより、かかる第3部位30が形成された2辺に外部から衝撃が加わったとしても、中間層7にクラックが生じ難くすることができる。したがって、変形例2によれば、セル1Bの耐久性を高めることができる。
【0134】
なお、変形例2に係るセル1Bにおける第3部位30の配置は、
図15の例に限られない。
図16〜
図18は、実施形態の変形例2に係る素子部90の別の一例を示す下面図である。
【0135】
図16に示すように、第3部位30は、空気極8(
図13参照)側からみたセル1Bにおける4つの角部が切り欠かれるように設けられてもよい。また、
図17に示すように、第3部位30は、空気極8側からみたセル1Bにおいて対向する2辺の一部に矩形状に設けられてもよい。また、
図18に示すように、第3部位30は、空気極8側からみたセル1Bの4辺すべてに沿って設けられてもよい。
【0136】
以上のように、実施形態に係るセル1(1A、1B)は、燃料極5と、固体電解質層6と、空気極8と、固体電解質層6と空気極8との間に位置する中間層7と、を有する素子部3(3A、90)を備える。そして、固体電解質層6または中間層7は、第1部位と、第1部位よりも空気極8の近くまたは素子部3(3A、90)の中央部1bの近くに位置し、第1部位よりも小さい空隙率または第1部位よりも低い緻密性を有する第2部位と、を有する。これにより、セル1(1A、1B)の耐久性を高めることができる。
【0137】
また、実施形態に係るセル1(1A、1B)において、固体電解質層6との界面近傍における中間層7の空隙率は、空気極8との界面近傍における中間層7の空隙率よりも大きい。これにより、セル1(1A、1B)の耐久性を高めることができる。
【0138】
また、実施形態に係るセル1(1A、1B)において、素子部3(3A、90)の外周部1aにおける中間層7の空隙率は、中央部1bにおける中間層7の空隙率よりも大きい。これにより、セル1(1A、1B)の耐久性を高めることができる。
【0139】
また、実施形態に係るセル1(1A、1B)において、中間層7の空隙率は、5(%)〜30(%)の範囲である。これにより、中間層7の剥離を抑制することができる。
【0140】
また、実施形態に係るセル1(1A、1B)において、中間層7は、Ceを除く希土類元素が固溶した酸化セリウムを含んでいる。これにより、固体電解質層6にSrZrO
3の抵抗層が形成されることを抑制する拡散抑制層としての機能を中間層7に付与することができる。
【0141】
また、実施形態に係るセル1(1A、1B)において、中間層7は、Fe、Si、Na、Cl、Cu、TiおよびAlのうち少なくとも1つの元素を不純物として含んでいる。これにより、セル1(1A、1B)の耐久性を高めることができる。
【0142】
また、実施形態に係るセル1(1A、1B)は、空気極8側からみた場合に、固体電解質層6は、表面に中間層7が位置しない第3部位30を少なくとも2辺の近傍に有する。これにより、中間層7にクラックが生じることを抑制することができる。
【0143】
また、実施形態に係るセル1(1A、1B)において、素子部3(3A、90)の外周部1aに位置する固体電解質層6は、中央部1bに位置する固体電解質層6よりも緻密である。これにより、素子部3(3A、90)の外周部1aを起点として固体電解質層6が剥離し難くすることができる。
【0144】
また、実施形態に係るセル1(1A、1B)において、固体電解質層6は、中間層7との界面近傍において、素子部3(3A、90)の外周部1aのほうが中央部1bよりも緻密である。これにより、素子部3(3A、90)の外周部1aを起点として固体電解質層6が剥離し難くすることができる。
【0145】
また、実施形態に係るモジュール100は、上記に記載のセル1(1A、1B)を複数備えるセルスタック装置10と、セルスタック装置10を収納する収納容器101とを備える。これにより、耐久性が高いモジュール100とすることができる。
【0146】
また、実施形態に係るモジュール収容装置110は、上記に記載のモジュール100と、モジュール100の運転を行うための補機と、モジュール100および補機を収容する外装ケース111とを備える。これにより、耐久性が高いモジュール収容装置110とすることができる。
【0147】
今回開示された実施形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。実に、上記した実施形態は多様な形態で具現され得る。また、上記の実施形態は、添付の請求の範囲及びその趣旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
セル(1)は、燃料極(5)と、固体電解質層(6)と、空気極(8)と、固体電解質層(6)と空気極(8)との間に位置する中間層(7)と、を有する素子部(3)を備える。そして、固体電解質層(6)または中間層(7)は、第1部位と、第1部位よりも空気極(8)の近くまたは素子部(3)の中央部(1b)の近くに位置し、第1部位よりも小さい空隙率または第1部位よりも低い緻密性を有する第2部位と、を有する。