(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係るコマ発射装置の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0017】
《コマ発射装置の全体構成》
図1は、本実施形態に係るコマ発射装置1及びコマ玩具50の斜視図であり、
図2は、コマ発射装置1の分解斜視図である。
図1に示すように、コマ発射装置1は、回転力を付与しつつコマ玩具50を発射させることで、コマ玩具50を回転させるものである。ユーザ(遊戯者)は、コマ玩具50の上面の弧状スリット51にフォーク343を上側から挿し込んでコマ玩具50を保持した状態で、ハンドル25を操作することにより、コマ玩具50を回転させながら発射させることができる。
【0018】
具体的には、
図2に示すように、コマ発射装置1は、回転力が入力される入力ユニット20と、コマ玩具50に回転力を出力する出力ユニット30と、入力ユニット20と出力ユニット30とを連結して回転力を伝達する連結ユニット40とを備えている。これら入力ユニット20、出力ユニット30及び連結ユニット40は、個別に着脱可能に構成されている。
なお、以下の説明において、上下、前後及び左右は、図中に示した方向をいう。
【0019】
《入力ユニットの構成》
図3は、入力ユニット20の斜視図であって、(a)が斜め上方から見たもの、(b)が斜め下方から見たものであり、
図4は、入力ユニット20の分解斜視図である。
図3及び
図4に示すように、入力ユニット20は、上部ケーシング21と下部ケーシング22を備えている。上部ケーシング21と下部ケーシング22は、互いに略上下反転形状(一方を上下反転させたときに互いに略同形状)に形成されるとともに、各々が略左右対称形状に形成されている。そのため、入力ユニット20は、上下反転させた場合でも、出力ユニット30及び連結ユニット40を装着可能となっている。
なお、以下では、特に断りのない限り、入力ユニット20が図中の上下の向きに配置されたものとしてその構成を説明するが、入力ユニット20は上下反転させた状態での使用も可能であるため、入力ユニット20についての以下の説明や各部名称における「上」「下」の記載は、入力ユニット20の使用状態における上下の位置等を限定するものではない。
【0020】
具体的に、上部ケーシング21は、その略前半部の平板部211と、略後半部のギヤケース部212とを有している。平板部211は、上下方向に沿った貫通孔211aを中央に有している。平板部211のうちの左右両側部には、上方に開口する円筒状の第1係止孔211bが形成されている。ギヤケース部212は、下方に開口する凹状に形成されるとともに、前側が開口して内部が平板部211の上面に露出している。また、ギヤケース部212の上面中央には「R」の文字が描かれている。この「R」の文字は、上部ケーシング21を上側に配した入力ユニット20の上下の向きでコマ玩具50を回したときに、コマ玩具50が時計回り(右回り)に回転することを表す。
下部ケーシング22は、上部ケーシング21を略上下反転させた形状に形成されている。すなわち、下部ケーシング22は、その略前半部の平板部221と、略後半部のギヤケース部222とを有している。平板部221は、上下方向に沿った貫通孔221aを中央に有している。平板部221のうちの左右両側部には、下方に開口する円筒状の第1係止孔221bが形成されている。ギヤケース部222は、上方に開口する凹状に形成されるとともに、前側が開口して内部が平板部221の下面に露出している。また、ギヤケース部222の上面中央には「L」の文字が描かれている。この「L」の文字は、下部ケーシング22を上側に配した入力ユニット20の上下の向きでコマ玩具50を回したときに、コマ玩具50が反時計回り(左回り)に回転することを表す。
上部ケーシング21と下部ケーシング22は、互いの周縁を合わせた状態で、複数のねじ28によって上下に固定されている。これにより、上部ケーシング21と下部ケーシング22とで、平板部211、221が一体的に構成され、貫通孔211a、221aが上下に連通し、ギヤケース部212、222が内部にギヤケース空間を画成している。
【0021】
上部ケーシング21及び下部ケーシング22のギヤケース部212、222内には、本発明に係る入力回転体の一例である入力ギヤ23が収容されている。
入力ギヤ23は、それぞれ外周面に歯231a、232aを有する上部ギヤ231と下部ギヤ232を一体的に連結して構成されている。上部ギヤ231と下部ギヤ232は、互いの歯231a、232aの歯数とピッチ円径が等しい平歯車であり、より径の小さい胴部233(
図9参照)を介して上下に並設された状態で同心状に連結されている。胴部233にはワイヤー(紐)24が巻回され、ワイヤー24の先端にはハンドル25が取り付けられている。
【0022】
入力ギヤ23は、上下方向に沿った中心軸Ax1回りに回転可能なように、上部ケーシング21及び下部ケーシング22に支持されている。より詳しくは、入力ギヤ23には、上部ギヤ231と下部ギヤ232を軸支する軸部234が中央に挿通されており、この軸部234の上下両端が、上部ケーシング21の軸支持部213と下部ケーシング22の軸支持部223とに支持されている(
図9参照)。
入力ギヤ23は、上部ケーシング21及び下部ケーシング22のギヤケース部212、222内に収容された状態で、上部ギヤ231の歯231aが、上部ケーシング21の平板部211よりも上側に位置しつつ、ギヤケース部212の開口から前方に露出している。また、下部ギヤ232の歯232aが、下部ケーシング22の平板部221よりも下側に位置しつつ、ギヤケース部222の開口から前方に露出している。
入力ギヤ23から引き出されたワイヤー24の先端側は、上部ケーシング21及び下部ケーシング22の平板部211、221内を前方に引き回されている。ワイヤー24の先端に取り付けられたハンドル25は、上部ケーシング21及び下部ケーシング22の前端から前方に露出している。
また、入力ギヤ23の内部にはゼンマイばね(図示省略)が収容されている。ゼンマイばねは、一端が軸部234に固定されており、後述するように、入力ギヤ23に巻戻り力を発生させる。
【0023】
入力ユニット20では、ユーザがハンドル25を引き操作すると、ワイヤー24が引っ張られることにより、入力ギヤ23が平面視で反時計回りに回転する。このとき、ゼンマイばねは入力ギヤ23とともに回転して巻き上げられ、ユーザがハンドル25の引き操作をやめると、入力ギヤ23はゼンマイばねの巻戻り力によって逆方向に付勢されて急激に停止する。その後、入力ギヤ23は、ゼンマイばねの巻戻り力によって平面視で時計回りに回転し、ハンドル25が上部ケーシング21及び下部ケーシング22の前端に当接するまでワイヤー24を巻き戻す。
【0024】
また、上部ケーシング21及び下部ケーシング22のギヤケース部212、222内には、入力ギヤ23の回転を規制する上側ロック部品26と下側ロック部品27が収容されている。
図5は、入力ギヤ23及び上側ロック部品26を上方から見た図であり、
図6は、入力ギヤ23及び下側ロック部品27を下方から見た図である。これら各図のうち、(a)が回転規制状態を示し、(b)が回転可能状態を示す。なお、
図5及び
図6では、入力ギヤ23、上側ロック部品26及び下側ロック部品27以外の部品等を省略又は簡略化している。
図4に示すように、上側ロック部品26は、長尺な棒状に形成されて左右方向に延在するように配置され、抑え板262及び固定ねじ263により、左右方向に移動可能なように上部ケーシング21の天面に取り付けられている。より詳しくは、
図5(a)に示すように、上側ロック部品26は、上下に貫通する長手方向に沿った孔部26aを有している。孔部26a内には、上部ケーシング21の軸支持部213が挿通されるとともに、この軸支持部213の右側に付勢ばね261が配置される。付勢ばね261は、孔部26a内において上部ケーシング21の軸支持部213と上側ロック部品26の先端側(右側)部分との間に配置され、上側ロック部品26を右方に付勢している。つまり、上側ロック部品26は、入力ギヤ23の中心軸Ax1に対して径方向に移動可能に支持されるとともに、付勢ばね261により先端が外径側(径方向外側)に付勢されている。
【0025】
また、上側ロック部品26は、少なくとも下側の一部が、上部ギヤ231の上面に形成された凹部231b内に配置されている。凹部231bは、上部ギヤ231の外周の歯面と同心円状に形成されている。凹部231bの内周面には、複数(
図5では6つ)の突起231cが周上等配で突設されている。突起231cは、隣り合うものとの距離(弦の長さ)が、上側ロック部品26の先端の幅よりも大きい。
また、上側ロック部品26の前側の側部には、前方に突出する腕部26bが設けられている。腕部26bの右側の面は、右側に位置するに連れて下方に傾斜するテーパ面となっている。上側ロック部品26は、付勢ばね261以外からの外力を受けていない状態(後述の「回転規制状態」)において、腕部26bのテーパ面を、上部ケーシング21のギヤケース部212に形成された貫通孔212aから上方に露出させている。
【0026】
このような構成により、上側ロック部品26は、
図5(a)に示すように、付勢ばね261以外からの外力を受けていない状態において、付勢ばね261に付勢されて先端を上部ギヤ231の凹部231bの内周面に当接(もしくは内周面近傍に位置)させる。これにより、入力ギヤ23(上部ギヤ231)は、隣り合う2つの突起231cが上側ロック部品26と当接する角度範囲に、回転が規制される。以下、この状態を「回転規制状態」という。
また、上側ロック部品26が回転規制状態にあるときに、後述する連結ユニット40の押圧突起423が上部ケーシング21の貫通孔212aに挿通されると、当該押圧突起423が上側ロック部品26の腕部26bのテーパ面に上方から当接する。これにより、上側ロック部品26は左方への押圧力を受け、
図5(b)に示すように、付勢ばね261の付勢力に抗して先端が内径側(径方向内側)に移動する。その結果、上側ロック部品26の先端が突起231cと接触しない距離にまで上部ギヤ231の凹部231bの内周面から離間し、入力ギヤ23(上部ギヤ231)は、回転規制状態が解除されて回転可能な状態となる。以下、この状態を「回転可能状態」という。
なお、後述するように、入力ユニット20を上下反転させて出力ユニット30に取り付けたときには、出力ユニット30の押圧突起315が上部ケーシング21の貫通孔212aに挿通される。この場合でも、押圧突起315が上側ロック部品26を移動させて、入力ギヤ23(上部ギヤ231)は回転可能状態となる。
【0027】
下側ロック部品27は、上側ロック部品26と略同様に構成されている。すなわち、
図4に示すように、下側ロック部品27は、長尺な棒状に形成されて左右方向に延在するように配置され、左右方向に移動可能なように下部ケーシング22の底面に保持されている。より詳しくは、
図6(a)に示すように、下側ロック部品27は、上下に貫通する長手方向に沿った孔部27aを有している。孔部27a内には、下部ケーシング22の軸支持部223が挿通されるとともに、この軸支持部223の左側に付勢ばね271が配置される。付勢ばね271は、孔部27a内において下部ケーシング22の軸支持部223と下側ロック部品27の先端側(左側)部分との間に配置され、下側ロック部品27を左方に付勢している。つまり、下側ロック部品27は、入力ギヤ23の中心軸Ax1に対して径方向に移動可能に支持されるとともに、付勢ばね271により先端が外径側に付勢されている。
【0028】
また、下側ロック部品27は、少なくとも上側の一部が、下部ギヤ232の下面に形成された凹部232b内に配置されている。凹部232bは、下部ギヤ232の外周の歯面と同心円状に形成されている。凹部232bの内周面には、複数(
図6では6つ)の突起232cが周上等配で突設されている。突起232cは、隣り合うものとの距離(弦の長さ)が、下側ロック部品27の先端の幅よりも大きい。
また、下側ロック部品27の前側の側部には、前方に突出する腕部27bが設けられている。腕部27bの左側の面は、左側に位置するに連れて下方に傾斜するテーパ面となっている。下側ロック部品27は、付勢ばね271以外からの外力を受けていない状態(後述の「回転規制状態」)において、腕部27bのテーパ面を、下部ケーシング22のギヤケース部222に形成された貫通孔222aから下方に露出させている。
【0029】
このような構成により、下側ロック部品27は、
図6(a)に示すように、付勢ばね271以外からの外力を受けていない状態において、付勢ばね271に付勢されて先端を下部ギヤ232の凹部232bの内周面に当接(もしくは内周面近傍に位置)させる。これにより、入力ギヤ23(下部ギヤ232)は、隣り合う2つの突起232cが下側ロック部品27と当接する角度範囲に、回転が規制される。以下、この状態を「回転規制状態」という。
また、下側ロック部品27が回転規制状態にあるときに、後述する出力ユニット30の押圧突起315が下部ケーシング22の貫通孔222aに挿通されると、当該押圧突起315が下側ロック部品27の腕部27bのテーパ面に下方から当接する。これにより、下側ロック部品27は右方への押圧力を受け、
図6(b)に示すように、付勢ばね271の付勢力に抗して先端が内径側に移動する。その結果、下側ロック部品27の先端が突起232cと接触しない距離にまで下部ギヤ232の凹部232bの内周面から離間し、入力ギヤ23(下部ギヤ232)は、回転規制状態が解除されて回転可能な状態となる。以下、この状態を「回転可能状態」という。
なお、後述するように、入力ユニット20を上下反転させて連結ユニット40に取り付けたときには、連結ユニット40の押圧突起423が下部ケーシング22の貫通孔222aに挿通される。この場合でも、押圧突起423が下側ロック部品27を移動させて、入力ギヤ23(下部ギヤ232)は回転可能状態となる。
【0030】
《出力ユニットの構成》
図7は、出力ユニット30の分解斜視図である。
この図に示すように、出力ユニット30は、ホルダー31と、シャフト32と、スライダー33と、アタッチメント34とを備えている。
【0031】
ホルダー31は、スライダー33及びアタッチメント34を保持するものであり、平板状のベース部311を有している。ベース部311の略中央には、上下方向に貫通する円形の孔部311aが形成されている。ベース部311の上面には、孔部311aと同心状であって前側半部の半円筒状に形成された壁部312が立設されている。
壁部312の左右両側部には、連結ユニット40と係合する係合部313が設けられている。各係合部313には、上方に開口する第2係止凹部313aが形成されている。また、各係合部313には、出力ユニット30と連結ユニット40とを固定するための固定部材314が取り付けられている。固定部材314は、前後方向に沿った下端部の軸回りに回転可能に係合部313取り付けられており、この回動に伴って、上下方向に略沿った起立状態と側方に倒れた傾倒状態とを取り得るように構成されている。固定部材314は、保持孔314aを有しており、連結ユニット40の係合部413が係合部313に係合されたときに、起立状態において係合部313と係合部413とを保持孔314a内で上下に挟持し、出力ユニット30と連結ユニット40を固定する(
図1参照)。
【0032】
また、ホルダー31は、ベース部311の上面の後端部に立設された押圧突起315を有している。押圧突起315は、出力ユニット30が入力ユニット20に取り付けられたときに、入力ユニット20の下部ケーシング22の貫通孔222aに下方から挿通され、下側ロック部品27を押圧する(
図6(b)参照)。また、入力ユニット20が上下反転された状態で出力ユニット30に取り付けられた場合には、押圧突起315は、入力ユニット20の上部ケーシング21の貫通孔212aに下方から挿通されて上側ロック部品26を押圧する(
図5(b)参照)。押圧突起315は、これらいずれの場合にも下側ロック部品27又は上側ロック部品26を好適に左右方向に押圧できるように、先端(上端)の左右両側がテーパ状に形成されている。
【0033】
シャフト32は、ホルダー31の孔部311a内に上側から挿通され、孔部311aの中心軸Ax2回りに回転可能なように当該孔部311aに保持されている。
シャフト32の上部には、後述する連結ユニット40の第1スプライン軸部432aが噛合する第1スプライン穴321が形成されている。
シャフト32の下部には、第2スプライン軸322が形成されている。
【0034】
スライダー33及びアタッチメント34は、ホルダー31の下側において上側からこの順に配置され、固定ねじ35によってシャフト32に共締めされている。
このうち、スライダー33は、略円板状に形成され、中央に第2スプライン穴331を有している。第2スプライン穴331には、シャフト32の第2スプライン軸322が噛合する。また、スライダー33には、中心軸Ax2を中心とする2つの弧状のスリット332が形成されている。
アタッチメント34は、本発明に係る出力回転体の一例であり、コマ玩具50に回転力を付与するものである。アタッチメント34は、円形状の底板341を有し、底板341の上面には中心軸Ax2を挟んで対向する2つの突起342が立設されている。2つの突起342は、スライダー33の2つのスリット332に嵌り、スライダー33から回転力が伝達される。また、底板341の下面周縁には、中心軸Ax2を挟んで対向する2つのフォーク343が立設されている。2つのフォーク343は、コマ玩具50の弧状スリット51に挿し込まれ、コマ玩具50に回転力を伝達する(
図1参照)。
【0035】
《連結ユニットの構成》
図8は、連結ユニット40の分解斜視図である。
この図に示すように、連結ユニット40は、ベース部材41と、上部カバー42と、連結ギヤ43とを備えている。
【0036】
ベース部材41は、略平板状に形成され、その略中央には、上下方向に貫通する円形の孔部411を有している。
ベース部材41の下面の左右両側部には、下方に突出した突設部412が設けられている。各突設部412の外側面には、出力ユニット30と係合する係合部413が設けられている。係合部413の下面には、出力ユニット30の第2係止凹部313aと嵌合する第2係止突起413aが形成されている。
また、ベース部材41の下面のうち、突設部412よりもやや内側の左右両側部には、第1係止突起414が立設されている。第1係止突起414は、連結ユニット40が入力ユニット20に取り付けられるときに、入力ユニット20の上部ケーシング21の第1係止孔211b(又は下部ケーシング22の第1係止孔221b)と嵌合して、入力ユニット20と連結ユニット40とを位置決めする。
【0037】
上部カバー42は、前半部がケース部421となっている。ケース部421は、ベース部材41との間で連結ギヤ43を収容した状態で、固定ねじ44によりベース部材41に固定されている。
上部カバー42の後半部は、円環状に形成されたリング部422となっている。リング部422は、連結ユニット40が入力ユニット20に取り付けられたときに、回転方向を表す上部ケーシング21の「R」(又は下部ケーシング22の「L」)の文字を囲うように配置される。
【0038】
また、上部カバー42は、ケース部421の下面の後端部に立設された押圧突起423を有している。押圧突起423は、連結ユニット40が入力ユニット20に取り付けられたときに、入力ユニット20の上部ケーシング21の貫通孔212aに上方から挿通され、上側ロック部品26を押圧する(
図5(b)参照)。また、入力ユニット20が上下反転された状態で連結ユニット40に取り付けられた場合には、押圧突起423は、入力ユニット20の下部ケーシング22の貫通孔222aに上方から挿通されて下側ロック部品27を押圧する(
図6(b)参照)。押圧突起423は、これらいずれの場合にも上側ロック部品26又は下側ロック部品27を好適に左右方向に押圧できるように、先端(上端)の左右両側がテーパ状に形成されている。
【0039】
連結ギヤ43は、本発明に係る連結回転体の一例であり、ギヤ部431と軸部432を有している。
ギヤ部431は、入力ユニット20の入力ギヤ23(上部ギヤ231、下部ギヤ232)よりも歯数とピッチ円径が小さい平歯車であり、当該入力ギヤ23の歯231a、232aと噛合する歯431aを外周面に有している。
軸部432は、ギヤ部431の下面に当該ギヤ部431と同心状に立設されている。軸部432の下端は、出力ユニット30の第1スプライン穴321と噛合する第1スプライン軸部432aとなっている。
連結ギヤ43は、ギヤ部431の上面中央に立設された上側軸部431bが上部カバー42の軸支持部424に支持され、軸部432がベース部材41の孔部411に挿通された状態で、上下方向に沿った中心軸Ax3回りに回転可能に支持されている(
図9参照)。
この連結ギヤ43は、連結ユニット40が入力ユニット20及び出力ユニット30に取り付けられたときに、ギヤ部431が入力ユニット20の入力ギヤ23(上部ギヤ231又は下部ギヤ232)と噛合し、軸部432が出力ユニット30のアタッチメント34に固定されたシャフト32と噛合する。これにより、連結ギヤ43は、入力ユニット20の入力ギヤ23と出力ユニット30のアタッチメント34とを連結して回転力を伝達する。
【0040】
《コマ発射装置の組立構造》
図9は、コマ発射装置1の断面図である。
図2及び
図9に示すように、コマ発射装置1は、入力ユニット20、出力ユニット30及び連結ユニット40を組み付けることで組み立てられる。
具体的には、まず、連結ユニット40のベース部材41を入力ユニット20の平板部211、221上に載置するようにして、連結ユニット40を入力ユニット20に組み付ける。このとき、連結ユニット40の2つの第1係止突起414(
図8参照)を入力ユニット20の2つの第1係止孔211bに嵌合させることにより、入力ユニット20と連結ユニット40とが位置決めされる。そして、連結ユニット40の連結ギヤ43の軸部432が入力ユニット20の貫通孔211a、221aに挿通されて下方に突出し、連結ユニット40の2つの突設部412が入力ユニット20の平板部211、221を左右に挟むように配置される。
【0041】
次に、入力ユニット20の平板部211、221に出力ユニット30を下方から組み付ける。このとき、連結ユニット40の連結ギヤ43の第1スプライン軸部432aを出力ユニット30のシャフト32の第1スプライン穴321に噛合させる。そして、出力ユニット30の各係合部313の第2係止凹部313aに連結ユニット40の係合部413の第2係止突起413aを嵌合させるようにして、出力ユニット30の2つの係合部313と連結ユニット40の2つの係合部413とを上下に係合させる。この状態で、各係合部313の固定部材314を傾倒状態から起立状態にして、固定部材314で係合部313と係合部413とを上下に挟持することにより、出力ユニット30と連結ユニット40とを固定する(
図1参照)。
こうして、入力ユニット20を出力ユニット30及び連結ユニット40で上下に挟持するようにして、コマ発射装置1が組み立てられる。このときには、入力ギヤ23が反時計回りに回転し、これと噛合する連結ギヤ43及びアタッチメント34が時計回りに回転する結果、コマ玩具50は時計回りに回転する。
なお、入力ユニット20に出力ユニット30を組み付けてから連結ユニット40を組み付けてもよい。
【0042】
このとき、入力ユニット20に連結ユニット40を組み付けることで、連結ユニット40の押圧突起423が、上部ケーシング21の貫通孔212aからギヤケース部212内に挿入され、上側ロック部品26を押圧して移動させる(
図5参照)。これにより、上側ロック部品26による入力ギヤ23(上部ギヤ231)の回転規制状態が解除される。
同様に、入力ユニット20に出力ユニット30を組み付けることで、出力ユニット30の押圧突起315が、下部ケーシング22の貫通孔222aからギヤケース部222内に挿入され、下側ロック部品27を押圧して移動させる(
図6参照)。これにより、下側ロック部品27による入力ギヤ23(下部ギヤ232)の回転規制状態が解除される。
これにより、入力ユニット20単体の状態では上側ロック部品26及び下側ロック部品27によって回転規制状態であった入力ギヤ23が、回転可能状態となる。
【0043】
このように、本実施形態のコマ発射装置1では、入力ユニット20、出力ユニット30及び連結ユニット40が個別に着脱可能に構成されている。すなわち、入力ギヤ23を有する入力ユニット20と、アタッチメント34を有する出力ユニット30と、これらを連結して回転力を伝達する連結ユニット40とが、個別に着脱可能となっている。
そのため、入力ユニット20、出力ユニット30及び連結ユニット40を、個別にその状態を変化させたり、異なる特性(回転に係る特性)のものと交換したりすることができる。これにより、入力ユニット20、出力ユニット30及び連結ユニット40の各々が担う機能を、個別にカスタマイズすることができる。
【0044】
例えば、本実施形態のコマ発射装置1では、
図10に示すように、入力ユニット20だけを上下反転させた状態で、出力ユニット30及び連結ユニット40と組み付けることができる。つまり、入力ユニット20は、入力ギヤ23の回転方向を反転させた状態でも、出力ユニット30及び連結ユニット40と組み付けることができ、これにより、コマ玩具50の回転方向を反転させることができる。
具体的に、この場合には、入力ギヤ23が時計回りに回転し、これと噛合する連結ギヤ43及びアタッチメント34が反時計回りに回転する。そのため、コマ玩具50は、上述した組立状態のコマ発射装置1による回転方向から反転し、反時計回りに回転する。
【0045】
また、出力ユニット30を異なる特性のものと交換してもよい。
例えば、アタッチメント34に連結されたシャフト32がベアリングによって滑らかに軸支されたものと交換するなどしてもよい。これにより、回転力の伝達効率を向上させることができる。
あるいは、フォーク343の形状が異なるものと交換してもよい。これにより、出力ユニット30を交換するだけで、コマ玩具50の様々なバリエーションに対応できる。
【0046】
また、連結ユニット40を異なる特性のものと交換してもよい。
例えば、歯数の異なる連結ギヤ43(ギヤ部431)を備えるものと交換するなどしてもよい。これにより、入力ギヤ23から伝達される回転の変速比を変化させることができる。
【0047】
《本実施形態の技術的効果》
以上のように、本実施形態のコマ発射装置1によれば、回転力が入力される入力ギヤ23を有する入力ユニット20と、コマ玩具50に回転力を付与するアタッチメント34を有する出力ユニット30と、入力ギヤ23とアタッチメント34とを連結して回転力を伝達する連結ギヤ43を有する連結ユニット40とが、個別に着脱可能に構成されている。
そのため、これらのユニットを、個別にその状態を変えたり、異なる特性のものと交換したりできる。したがって、コマ発射装置1の回転に係る特性を、好適に調整・変更することができる。
【0048】
また、本実施形態のコマ発射装置1によれば、入力ユニット20が、入力ギヤ23の回転方向を反転させた状態で出力ユニット30及び連結ユニット40に装着可能であるので、簡便にコマ玩具50の回転方向を反転させることができる。
【0049】
また、本実施形態のコマ発射装置1によれば、出力ユニット30及び連結ユニット40が、入力ギヤ23の軸方向(上下方向)に沿って入力ユニット20を挟持するように構成されている。
これにより、出力ユニット30及び連結ユニット40と入力ユニット20とをより強固に固定することができる。すなわち、歯車のように互いに連結した2つの回転体には互いに離れる方向の力が作用するため、出力ユニット30及び連結ユニット40が入力ギヤ23の側方(前方や左右側方)から入力ユニット20に着脱される構成では、各ユニットに各々が離脱する方向の力が加わる。その結果、使用していくうちに各ユニットのケーシングが破損したり、ユニットが分解したりするおそれがある。この点、出力ユニット30及び連結ユニット40が、入力ギヤ23の軸方向に沿って入力ユニット20を挟持する構成とすることで、回転に伴う力の作用方向と着脱方向とを異ならせて、これらをより強固に固定することができる。
【0050】
また、本実施形態のコマ発射装置1によれば、入力ユニット20は、入力ギヤ23と接離して当該入力ギヤ23の回転を規制可能な下側ロック部品27と、下側ロック部品27を入力ギヤ23と当接する方向に付勢する付勢ばね271とを有し、出力ユニット30は、入力ユニット20に装着されたときに、付勢ばね271の付勢力に抗して下側ロック部品27を入力ギヤ23から離間させる押圧突起315を有する。
これにより、入力ユニット20に出力ユニット30が装着されていないときに、入力ギヤ23の回転を規制することができる。したがって、入力ユニット20に出力ユニット30が装着されていないときに入力ギヤ23が露出していても、入力ギヤ23が回転することによる危険を防ぐことができる。
【0051】
また、本実施形態のコマ発射装置1によれば、入力ユニット20は、入力ギヤ23と接離して当該入力ギヤ23の回転を規制可能な上側ロック部品26と、上側ロック部品26を入力ギヤ23と当接する方向に付勢する付勢ばね261とを有し、連結ユニット40は、入力ユニット20に装着されたときに、付勢ばね261の付勢力に抗して上側ロック部品26を入力ギヤ23から離間させる押圧突起423を有する。
これにより、入力ユニット20に連結ユニット40が装着されていないときに、入力ギヤ23の回転を規制することができる。したがって、入力ユニット20に出力ユニット30が装着されていないときに入力ギヤ23が露出していても、入力ギヤ23が回転することによる危険を防ぐことができる。
【0052】
《変形例》
なお、本発明を適用可能な実施形態は、上述した実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0053】
例えば、上記実施形態では、出力ユニット30と連結ユニット40で入力ユニット20を上下に挟む構造としたが、これら入力ユニット20、出力ユニット30及び連結ユニット40は、個別に着脱可能に構成されていれば、その具体構成は特に限定されない。例えば、出力ユニット30と連結ユニット40が、入力ユニット20に対して前方や側方から取り付けられる構造であってもよい。あるいは、出力ユニット30と連結ユニット40を先に固定し、これを入力ユニット20の下部などに取り付ける構造であってよい。
【0054】
また、上記実施形態では、連結ユニット40が1つの連結ギヤ43(ギヤ部431)を備えるものとした。しかし、連結ユニットは、複数段のギヤ部を備え、その最終段に出力ユニットと連結される軸部を有するものであってもよい。この場合、連結ユニットは、例えばギヤ部ごとに複数に分割されていてもよい。
【0055】
また、上記実施形態では、入力ギヤ23の回転を規制する上側ロック部品26及び下側ロック部品27が設けられることとしたが、これら上側ロック部品26及び下側ロック部品27は、少なくともいずれか一方が設けられていればよい。ただし、上側ロック部品26及び下側ロック部品27の両方が設けられていた方が、出力ユニット30及び連結ユニット40の両方を入力ユニット20に装着するまで入力ギヤ23の回転を確実に規制できるため、安全性の点でより好ましい。
【0056】
また、上記実施形態では、ワイヤー24によって入力ギヤ23に回転力が入力されることとしたが、入力ギヤ23に回転力を入力するものはワイヤー24に限定されず、例えばラックベルトであってもよい。
【解決手段】コマ発射装置1は、ハンドル25の操作により回転力が入力される入力ギヤ23を有する入力ユニット20と、コマ玩具50に回転力を付与するアタッチメント34を有する出力ユニット30と、入力ギヤ23とアタッチメント34とを連結して回転力を伝達する連結ギヤ43を有する連結ユニット40とを備える。入力ユニット20、出力ユニット30及び連結ユニット40は、個別に着脱可能に構成されている。