(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記吐出口の開口縁が、基端側の底縁部、その底縁部からそれぞれ先端側に延びている左右の側縁部および両側縁部の先端同士を連結あるいは接近させている天縁部からなり、
前記底縁部および両側縁部の形状が、底縁部から先端側に向かって次第に拡がるテーパー形状にされている、請求項1記載の発泡性内容物の吐出部材。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来から発泡性内容物を吐出する吐出部材の吐出口の形状を工夫して、発泡吐出物の形状に装飾性を与えることは行われていた。しかし、複雑な立体形状を成形することはできなかった。
そこで本発明は、立体的な、とくに花のような発泡吐出物を形成する吐出部材およびそれを用いたエアゾール製品を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)本発明の発泡性内容物の吐出部材は、発泡性内容物が充填されたエアゾール容器から供給される内容物を基端から先端に向かって通す筒状部材を有し、その筒状部材に、その周壁を貫通し、軸方向に延びる吐出口が形成され、その吐出口の先端側の内縁を、泡を保持するための泡保持部としていることを特徴としている。
【0006】
(2)このような吐出部材は、前記吐出口の開口縁が、基端側の底縁部、その底縁部からそれぞれ先端側に延びている左右の側縁部および両側縁部の先端同士を連結あるいは接近させている天縁部とからなり、前記底縁部および両側縁部の形状が、底縁部から先端側に向かって次第に拡がるテーパー形状にされていることが好ましい。
【0007】
(3)また前記吐出口の開口縁が、基端側の底縁部、その底縁部からそれぞれ先端側に延びている左右の側縁部および両側縁部の先端同士を連結あるいは接近させている天縁部とからなり、前記天縁部の形状が、先端側に向かって次第に狭まるテーパー形状にされているものが好ましい。
【0008】
(4)また前記筒状部材の先端に、先端開口を閉じる蓋部が設けられているものが好ましい。
【0009】
(5)前記蓋部の中心から下方に伸びる棒状部を備えていても良い。
【0010】
(6)前記吐出口が螺旋状であっても良い。
【0011】
(7)本発明のエアゾール製品は、エアゾール容器と、そのエアゾール容器に充填される発泡性内容物と、そのエアゾール容器に設けられる上述の吐出部材とからなることを特徴とする。
【0012】
(8)本発明の発泡吐出物の成形方法は、上述の発泡性内容物の吐出部材を用いて装飾性を有する発泡吐出物を成形する方法であって、軸方向に延びた吐出口により発泡した内容物を軸方向の先端側に、かつ、半径方向外向きに吐出することにより、板状の泡を成形する工程と、その吐出した泡を前記吐出口の先端側の内縁にぶつけて、その吐出の勢いを抑制し、その勢いを抑制した先の泡に、後に続く泡を積み重ねることにより、板状の泡を積み重なったひだ状に成形する工程とからなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
(1)、(7)、(8)本発明の吐出部材およびエアゾール製品は、軸方向に延びている吐出口から平板状の泡を先端側に吐出し、その吐出の勢いを吐出口の先端の内縁で抑制している。このため、後から吐出された泡が前の泡と重なり合い、板状の泡がひだ状に連続する。
ひだ状の泡であるから表面積が大きい。このため、有効成分を効率よく拡散することができる。
そして、泡をひだ状に成形するから、例えば、花のような吐出物を成形でき、美観に優れている。
【0014】
(2)このような吐出部材は、前記吐出口の開口縁が、基端側の底縁部、その底縁部からそれぞれ先端側に延びている左右の側縁部および両側縁部の先端同士を連結あるいは接近させている天縁部とからなり、前記底縁部および両側縁部の形状が、底縁部から先端側に向かって次第に拡がるテーパー形状にされている場合は、泡が軸方向に吐出されやすいので、平板状の泡が形成されやすい。
【0015】
(3)また前記吐出口の開口縁が、基端側の底縁部、その底縁部からそれぞれ先端側に延びている左右の側縁部および両側縁部の先端同士を連結あるいは接近させている天縁部とからなり、前記天縁部の形状が、先端側に向かって次第に狭まるテーパー形状にされている場合は、吐出された泡の勢いが次第に抑制されるので、後からくる泡が前の泡をつぶしにくく、泡が積み重なりやすい。
【0016】
(4)また前記筒状部材の先端に、先端開口を閉じる蓋部が設けられている場合は、筒状部材の周壁の吐出口から吐出されなかった泡が先端の開口から噴射されるのを防止できる。
【0017】
(5)前記蓋部の中心から下方に伸びる棒状部を備えていれば、吐出の勢いを横方向に向けることができ、横方向に大きく広がった吐出物を成形できる。棒状部の長さにより、吐出物の広がりを調整できる。
【0018】
(6)前記吐出口が螺旋状であれば、泡が旋回しながら吐出されることとなり、比較的規則正しい形状の吐出物を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
「1.概略説明」
<第1実施形態>
図1のエアゾール製品10は、エアゾール容器11と、そのエアゾール容器11に充填される発泡性内容物Aと、そのエアゾール容器に装着される吐出部材1とからなる。
前記エアゾール容器11は、例えば、容器本体12と、その開口部に取り付けられたエアゾールバルブ13とからなる従来公知のものである。ただし、エアゾール容器11としては、従来公知である他の形態のものを用いても良い。
そのエアゾールバルブ13のマウンティングカップ13aは、容器本体12の上端を覆うようにして固定されている。このマウンティングカップ13aと容器本体12とによって形成されるエアゾール容器11の環状の凸部11aは、スパウト部材14の係止部として働く。
【0021】
「2.吐出部材など」
吐出部材1はエアゾール容器に装着され、その先端近辺の吐出口から泡を吐出して所望の形状に成形し、保持するものである。前記吐出部材1はスパウト部材14と泡制御部材1aとからなる。
前記スパウト部材14は、例えば、エアゾール容器11に装着される筒状のカバー部材15と、そのカバー部材15にヒンジ部を介して連結され、揺動自在に配置される本体16とからなる。
その本体16は、エアゾール容器11のエアゾールバルブ13のステム13bに装着されている。その本体16の天面には筒状のノズル16aが上方に向けて突出している。
前記本体16の天面は、指で直接押し下げ操作する操作部16bを形成している。この操作部16bを押し下げることでステムを押し下げる、または揺動させることができ、エアゾール容器内の発泡性内容物Aを吐出部材に供給することができる。
【0022】
前記ノズル16aの先端には、泡制御部材1aが装着されている。その泡制御部材1aは本体となる筒状部材2と、その先端に設けられ筒内を塞ぐ蓋部3とからなる。その筒状部材2の基端側の部位は、ノズル16aに嵌められて、エアゾール容器11からの発泡性内容物Aが供給される装着部である。
前記筒状部材2の周壁には、軸方向に延びる吐出口4が形成されている。その吐出口4により形成される開口縁は、基端側の底縁部4aと、その底縁部4aからそれぞれ先端側に延びている左右の側縁部4b、4bと、両側縁部の先端同士を連結している天縁部4cとからなる。前記吐出口4は筒部の周方向に等間隔で4つ形成されている。
前記底縁部4aおよび両側縁部4b、4bは、吐出口4の開口縁の基端から先端側に向かって次第に拡がるテーパー形状である。そして前記筒状部材2は両側縁部4b、4bの近辺で基端側に向かって細くなる円錐状にされている。
一方、前記天縁部4cの形状は、先端側に向かって内向きに次第に狭まるテーパー形状にされている。そして筒状部材2は天縁部4cの近辺で両側壁部4b、4bの上端から先端側を頂点とする円錐状にされている。なお、テーパー形状は、途中で内向きあるいは外向き湾曲した形状でもよい。例えば、緩やかな傾斜から急に傾斜を大きくするようなテーパー形状にしたり、その反対に急な斜面から緩やかな斜面のテーパー形状にしたりすることができる。
この筒状部材2は、例えば、ストローのような合成樹脂製の部材の周壁に軸方向に延びたスリットを形成し、その部材を軸方向に加圧して座屈ないし湾曲させて得ることができる。なお、加熱して成形してもよい。
【0023】
前記天縁部4cおよびその天縁部より先端側の周壁である上部5により、吐出された泡をぶつけることにより、その泡の移動を抑制して、後から移動してくる泡を積み重ねて保持する泡保持部6が形成される。
前記筒状部材2の底縁部4aからノズル16aの基端までの部位は筒部7である。後述するが、この筒部7は茎に見せかけるための部分となる。
【0024】
前記蓋部3は、筒状部材2の先端開口を閉じる上板3aと、その上板3aの下面に設けられ、前記筒状部材2の筒内に嵌合される嵌合部3bとからなる。前記蓋部3により筒状部材2の先端開口は閉じられているから、吐出口4から吐出されなかった泡が噴射されるのが防止される。
【0025】
前記筒状部材2の下端および上端付近の直径は2〜20mmで、好ましくは3〜15mmである。さらに、中間付近の半径方向に膨らんでいる部位の直径は3〜30mmで、好ましくは5〜25mmである。
前記吐出口4の軸方向の長さは8〜60mmで、好ましくは10〜50mmである。その吐出口4が形成されている周壁の厚みは0.5〜5mmで、好ましくは0.8〜3mmである。
前記吐出口4の両側縁部4b、4bがテーパー状に拡がっている角度は、5〜60°で、好ましくは10〜45°である。
前記天縁部4cがテーパー状に狭まっている角度は、5〜60°で、好ましくは10〜45°である。
なお、前記両側縁部4b、4bの角度と天縁部4cの角度が同じ角度であってもよい。その場合、吐出口4の成形が容易である。
【0026】
発泡性内容物Aの具体例としては、たとえば、消臭剤、芳香剤、虫よけ、殺菌剤などの家庭用品、入浴剤、保湿剤、日焼け止め、クレンジング剤、化粧水、シェービング剤、脱毛剤、制汗剤、殺菌消毒剤、害虫忌避剤などのスキンケア剤、トリートメント剤、スタイリング剤、染毛剤などのヘアケア剤などの人体用品などがあげられる。
前記発泡性内容物Aは前記用途の有効成分を含む原液と、原液を発泡させる噴射剤とからなり、噴射剤としては、たとえば、プロパン、ブタン、ペンタンなどの炭素数が3〜5の脂肪族炭化水素、ハイドロフルオロオレフィン、ジメチルエーテルなどの液化ガス、炭酸ガス、窒素などの圧縮ガスなどがあげられる。
なかでも、泡の成形性、保形性に優れ、発泡吐出物を所望の形状にしやすい点から、脂肪酸石鹸などの界面活性剤や、高級アルコール、高級脂肪酸などの固形油分などを原液中に含有したものを用い、さらに噴射剤として液化ガスを用いることが好ましい。
【0027】
「3.板状の泡の成形方法など」
次に、
図2a、
図2bを用いて板状の泡を成形する工程の一例を示す。ここで挙げる成形方法は一例であり、泡が成形される詳細な工程は、泡の種類やエアゾール製品により異なる。なお上述の吐出部材1には、吐出口4が4つ形成されているが、
図2では吐出口4を1つだけ記載している。
【0028】
(S1)前記スパウト部材14の操作部16b(
図1参照)が押し下げられ、ステム13bが下げられ、または揺動されると、エアゾール容器11(
図1参照)は発泡させた内容物および/あるいは未だ発泡していない内容物(以下、単に泡という)Bを筒部2に供給する。
(S2)次いで、その泡Bを吐出部材2の周壁に形成された吐出口4から吐出する。
前記吐出口4は軸方向に延びており、その開口形状は両側縁部4b、4bが底縁部4aから先端側に向かって次第に外向きに拡がるテーパー形状に形成されているから(
図1参照)、吐出される泡は断面がテーパー形状の薄板状になり、基端側(図の下方)から半径方向外向きで先端側に向かう斜め上方に吐出される(矢印D参照)。このため、吐出される泡は、吐出部材1の半径方向から図の下方に放たれずに、吐出部材1に沿って、先端側(図の上方)へ移動する。このため、紙面に直交する方向の厚みが薄く、軸方向に延びる板状の泡C1が形成されやすい。
また筒状部材2は、両側縁部4b、4b近辺の周壁が先端側に向かって膨らんでいる。従って、吐出口4の両側縁部4b、4bも先端側に向かって半径方向の外向きに延びている。このため、吐出される板状の泡Cを半径方向の外側で保持することができるので、板状の泡Cが垂れにくい。
さらに、前記両側縁部4b、4bの上端から天縁部4cの付近の周壁は、先端が細くなる円錐状である。このため、ノズル14aを上方に向けた際に、その円錐の斜面に、板状の泡Cを乗せるようにして保持することができる。
なお、符号C1の添え字の[1]は、吐出開始から所定の時間Δt1の間に吐出された板状の泡Cを概略的に示すものである。
【0029】
(S3)その板状の泡C1は、吐出の勢いと共に、後に続く板状の泡C2に押されて、天縁部4cにぶつかる。なお板状の泡C2は、時間Δt1からΔt2の間に吐出された板状の泡Cである。
前記天縁部4cは両側縁部4b、4bからテーパーが狭まる形状であるから(
図1参照)、先発の泡C1の上方の部位は先端側に移動すると、その付け根付近が次第に天縁部4cの厚み部位(
図2aの4d参照)と接触する。そしてテーパー形状であるから次第に接触する部位が大きくなる。さらに上部5に乗り上げる板状の泡C1の部位も増加する。これらが板状の泡C1の勢いを抑制する摩擦力を含む抵抗力F(
図2a参照)となる。
(S4)次いで
図2bに示すように、勢いが失われた板状の泡C1を、天縁部4cあるいは上部5の付近の泡保持部6が保持する。このとき、板状の泡C1の下端の付け根付近は、例えば、いくらか重なり合ったり、つぶれたりして膨れているが、板状の泡C1の半径方向の外側の部位は湾曲して、ひだ状になっている。
【0030】
(S5)後に続く次発の板状の泡C2は、先発の板状の泡C1にその移動の邪魔をされ、あるいは、次発の板状の泡C2の上方の部位の付け根付近は、天縁部4cなどからの抵抗力を受ける。このため、吐出の勢いが残っている次発の板状の泡C2の上方かつ半径方向の外側の部位は、軸方向に直角な方向に移動しようとする。これにより、次発の板状の泡C2が波打ち、ひだ状になる。
(S6)さらに、吐出が続くと、次次発の板状の泡C3は、次発の板状の泡C2と反対の側に波打つ。ここで、次次発の板状の泡C3は時間Δt2からΔt3の間に吐出した板状の泡Cである。なお、どちらに波打つのか、どの程度の湾曲になるのかは不規則である。
このため、得られる板状の泡C1、C2、C3は、全体として予想し得ない形状である。
その板状の泡Cとしては、所定の時間、板状の形状を維持できるものが好ましい。例えば、次発の板状の泡C2(
図2b参照)に押されて先発の板状の泡C1に食い込んだり、先発の板状の泡C1がつぶれたりしないような定形性を備えていると、ひだを形成しやすい。
【0031】
「4.使用例」
図3には、吐出部材1を用いて、4つの吐出口4から泡を吐出した様子を示す。4つの吐出口4から泡を吐出させることにより、4本のひだ状の泡を形成することができる。それら4本の泡は、部分的に一体となって、全体として花の形状の装飾性を有する泡E(以下、単に花状の泡)を形成する。それらの泡が一塊となることにより、筒状部材2の上部5および蓋部3を隠すことができる。その花の形状としては、カーネーション、ケイトウなどである。
前述したように、ひだ状の泡は、不規則に形成されているから、その不規則さが人工的な要素をいくらか排除し、自然な花としての風合いを一層引き立てる。
また、筒状部材2の筒部7は、前記泡により成形された花の茎となる部分である。
本発明のエアゾール製品10は吐出部材1に泡C、Eを保持させた状態で玄関や部屋などに置き、泡から室内に有効成分を蒸散させて使用してもよく、吐出部材1に保持されている泡C、Eを手ですくいとり、身体などの目的箇所に塗布して使用してもよい。
【0032】
「5.他の実施形態」
<変形例>
図4に
図1のエアゾール製品10の変形例を示す。
図4に示すエアゾール製品17は、ノズル16aの先端に分岐部材18が設けられている。その分岐部材18はノズル16aから吐出される泡を3方に分離する。その分岐部材18には3つの吐出部材1、1、1が設けられている。
なお、分岐部材18の分岐数は、2つ、あるいは4つ以上でもよい。図では、隣接する分岐方向を同一平面状で45°の角度で分岐しているが、他の角度でもよいし、例えば前後左右に分岐するなど、全ての分岐路が同じ平面状に配置されていなくてもよい。
【0033】
<使用例>
図5に
図4のエアゾール製品17を使用した例を示す。図に示すように、3つの吐出部材1、1、1からひだ状の泡が形成され、3つの花E、E、Eが成形されている。
【0034】
<その他の変形例>
図1、
図4に示す吐出部材1では、「(a)吐出口4の基端側がテーパー形状にされていること」、「(b)吐出口4の天縁部4cがテーパー形状にされていること」、「(c)筒状部材2の先端開口を閉じる蓋部3を備えていること」の3つの構成(a、b、c)を全て備えている。
しかし、吐出部材の他の変形例としては、これらの(a、b、c)の構成を全て備えずともよい。さらに、(a)、(b)あるいは(c)のいずれかを備えたもの、さらには(a、b)、(a、c)あるいは(c、b)のいずれかを備えた吐出部材であってもよい。
【0035】
<第2実施形態>
図6aに吐出部材の他の実施形態を示す。
図6aに示す吐出部材8は、
図1の吐出部材1と共通する部分が多いので、共通する部分には同じ符号を付してその説明を省略する。
図6aの吐出部材8は、スパウト部材8aと、スパウト部材のノズル16a(筒状部材)に装着される蓋部材8bとからなる。この吐出部材8では、前記スパウト部材8aのノズル16aと蓋部材8bとで泡の制御部材1aに相当する部位が形成されている。
スパウト部材8aのノズルの周壁には先端の開口まで達している切り欠き4eが形成されている。切り欠き4eの基端が底縁部4aであり、切り欠きの側面が側縁部4bである。その切り欠き4eの上方の部位は、前記蓋部材8bの周壁に覆われる。その周壁8bの下縁が天縁部4cとなる。そして、底縁部4a、側縁部4b、天縁部4cで吐出口4を構成する。
【0036】
<変形例>
図6bには蓋部材の他の例を示す。その蓋部材8cは、その周壁に逆V字状の切れ込み8dが形成されており、テーパー状の天縁部4cを形成している。そして、その蓋部材8cは
図6aの切り欠き4eを有するノズル16aに被せられる。
さらに、蓋部材8cをノズル16aに被せる量を変更して、吐出口4の軸方向の長さを変更できるようにしてもよい。
さらに、前記蓋部材8cにおいて、上端を開口させてもよい。
【0037】
<さらに他の変形例>
さらに
図7には吐出部材の変形例を示す。この吐出部材9では、蓋部材8bをさらに押し込んで、ノズル16aの上方の周壁を撓ませて、その中ほどを半径方向の外向きに膨らませている。その径は、吐出口4の先端(側縁部4bの先端)で最大となっている。
なお、
図7の吐出部材9の蓋部材8bの代わりに、テーパー状の天縁部4cが形成されている蓋部材8c(
図6b参照)を用いてもよい。その際には、ノズル16aの撓んだ後の形状を考慮して、V字の開く角度を大きくしたものを用いるのがよい。
吐出部材9では、その吐出口4の先端側が外向きに膨み、その内部空間が大きい。これにより、内容物Bが先端側に前進しやすく、その上で発泡が一層促進されやすくされている。このため、泡Cが軸方向に吐出されやすいので、平板状の泡Cが形成されやすい。
さらに、吐出口4の両側縁部4b、4bが先端側に向かって半径方向の外向きに延びている。このため、吐出される板状の泡Cを半径方向の外側で保持することができるので、板状の泡Cが垂れにくい。
【0038】
<さらに別の変形例>
図8には吐出部材の別の変形例を示す。この吐出部材20では、蓋部材(蓋部)8bの中心から下方に伸びる棒状部8eが設けられている。
棒状部8eの下端8fは、吐出口4の軸方向の長さのおよそ半分の高さに位置している。ただ、吐出口4の底縁部4aから天縁部4cの間に位置していれば良い。下端8fの形状は、単なる平面や球面でも良いし、円錐など下方に向かって尖っていたり、凹んでいたりしても良い。
棒状部8eの外径は、外向きに膨らんだノズル16aの上方の内径よりも小とされており、棒状部8eの外面とノズル16aの内面との間には隙間Sが形成されている。棒状部8eの水平断面形状は円形である。ただ、これに限らず多角形や星型などでも良い。
このような棒状部8eを設けていると、ノズル16a内を下から上に向かって流れる発泡性内容物が棒状部8eの下端8fに当たって横方向に流れの向きを変えることになる(
図8の矢印参照)。そのため、吐出口4から吐出される泡が横方向に広がりやすくなり、大きく広がった泡が形成される。広がりの程度は、棒状部の下端8fから吐出口の底縁部4aまでの距離Lを変えることで調整することができる。例えば、棒状部の下端8fの位置を吐出口の底縁部4aに近づける(距離Lを短くする)ほど、吐出口から横方向に大きく広がった吐出物を成形することができる。距離Lを変える方法としては、蓋部材8bのノズル16aに被せる量を変更したり、棒状部8eの長さが異なる複数の蓋部材を用意しておき、状況に応じて交換することが考えられる。また、棒状部8eとノズル16aの間に隙間Sを設けているため、発泡性内容物の全てが横方向に流れていくといったことはなく、上方向にも流れていくこととなり、板状の泡が重なってひだ状になり、大きな花のような吐出物に成形できる。また、泡を蓋部材8bやその付近にも付着させることができ、泡の垂れ落ちを抑制できる。
【0039】
<第3実施形態>
図9aに吐出部材のさらに他の実施形態を示す。
図9aに示す吐出部材21は、
図1と共通する部分が多いので、共通する部分には同じ符号を付してその説明を省略する。
図9aの吐出部材21では、吐出口4が螺旋状となっている。具体的には、複数(4つ)の吐出口4が、筒状部材2(筒部7)の軸心を中心に捩れている。
このように、吐出口4が螺旋状になっていると、斜めに傾いた側縁部4bに沿うようにして、吐出口4から吐出される泡が旋回しながら吐出されることとなり(
図9bの矢印参照)、上記他の吐出部材とは異なる趣の形状を得られる。
この筒状部材2では、筒部7が別体とされている。ただ、一体とされていても良い。また、この筒状部材2は先端が閉じられている。換言すれば、蓋部と一体とされている。ただ、別体の蓋部を設けても良い。
【0040】
「6.さらに他の実施形態」
<吐出部材のその他>
図1の吐出部材1は、スパウト部材14のノズル16aの先端に泡制御部材1aを装着しているが、ノズル16aの先端付近に泡制御部材1aに相当する部位を設けてもよい。この場合、ノズル16aが筒状部材2となる。
なお、筒状部材2の各部位の寸法として、段落0025に例示されている寸法範囲外の値を採用してもよい。
前記吐出部材1、8、9、20、21は、それぞれ
図1、
図6、
図7、
図8、
図9では先端を鉛直上方に向け、
図4では斜め上方に向けているが、水平方向や、鉛直下方に向けるなど、どのような方向に向けてもよい。なお、水平方向や鉛直下方に向ける場合には、泡に定形性を与えるのが好ましく、ひだが重力により垂れるなどの不具合を防止できる。
上述した実施形態では、筒状部材2は真っ直ぐに延びていたが、湾曲させたり、途中で渦巻状や、螺旋状にしてもよい。特に筒状部材2のうち筒部7を湾曲させたり、途中で渦巻状や、螺旋状にしてもよい。
前記吐出口4の形状としては、底縁部4aの下底を湾曲部としたU字状、2つの底縁部を有するW字状、さらには底縁部4aが直線形状にされた矩形状としてもよい。
前記天縁部4cにより吐出口4の先端側を閉じず、左右の側縁部4bを接近させることにより、泡の先端側への移動を抑制させるようにしてもよい。
天縁部4cによって移動が抑制された泡が、天縁部4cの板厚を乗り越えやすいように、吐出口4から移動する泡が天縁部4cにスムーズに乗り上がるための傾斜を形成してもよい。これにより泡Cが受ける抵抗力を減らすことができる。一方、反対に板厚を厚くしたり、上部2aの表面を粗くして、泡Cが受ける抵抗力を増やすこともできる。抵抗力を増減することにより、先発の泡が保持される程度を調節し、後発の泡のひだの成形の具合、例えばひだの数や湾曲の程度をいくらかコントロールすることができる。
前記吐出部材1、8、9、20、21では、吐出口4は等間隔で4つ設けられているが、1、2、3あるいは5つ以上であってもよい。複数設ける場合は、全ての吐出口4が同じ形状でなくてもよい。さらに吐出口4が設けられる位置が高さ方向にずれていてもよい。
前記蓋部3の代わりに、吐出部材1の上端を圧着により閉じて蓋部としてもよい。
前記泡制御部材1aの材質は、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ナイロン(NY)あるいはポリアセタール(POM)などの合成樹脂や、アルミニウムなどの薄肉の金属パイプを用いることができる。なお、金属を用いる場合は、泡制御部材1aを金属とし、残りの部位を合成樹脂で成形してもよい。
なおスパウト部材14としては、従来公知の物を用いることができる。例えば、発泡性内容物が充填された容器にネジ機構を用いて取り付けられるものでもよい。
【0041】
前記吐出部材1、8、9、20、21やその他のエアゾール製品の各部位の色は、植物の茎の色や、表皮の色などを着色させてもよい。例えば、吐出部材のノズルの先端付近を透明にしたり、筒部を茎の色にしたり、カバー部材15、本体16を木などの表皮の色としたり、エアゾール容器を土の色にしたりするなど、植物を模して各部を配色してもよい。
前記吐出部材により花の形状を成形したが、葉、つぼみ、たけのこ、などを成形してもよい。なお、複数枚のひだ状の泡を積み重ねて形成できるものであれば、幾重にも重なった着物、ドレスなどの衣服などの形状を成形してもよい。
【0042】
エアゾール容器11としては、その大きさが目立たないように、1回あるいは数回しか噴射できない小さなものを用いてもよい。
前記エアゾールバルブ13としては、従来公知の物を用いることができる。例えば、バルブに電磁弁を用いて、遠隔操作やタイマーで所定のタイミングで吐出信号を受信できるようにし、自動的に泡を吐出してもよい。