特許第6960797号(P6960797)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6960797
(24)【登録日】2021年10月14日
(45)【発行日】2021年11月5日
(54)【発明の名称】顕微鏡
(51)【国際特許分類】
   G02B 21/06 20060101AFI20211025BHJP
【FI】
   G02B21/06
【請求項の数】9
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-152003(P2017-152003)
(22)【出願日】2017年8月4日
(65)【公開番号】特開2019-32380(P2019-32380A)
(43)【公開日】2019年2月28日
【審査請求日】2020年3月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】唐澤 雅善
(72)【発明者】
【氏名】小林 新太郎
【審査官】 堀井 康司
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−020186(JP,A)
【文献】 特開2012−173373(JP,A)
【文献】 特開平08−106051(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 19/00−21/00
G02B 21/06−21/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
標本を載置するステージと、
前記標本を照射する照明光を発生する光源、前記照明光を前記標本に照射するコンデンサレンズ、および前記標本に照射される照明光の範囲を調整する視野絞りを有する透過照明光学系と、
指標部材と、
を備え、
前記コンデンサレンズは、前記透過照明光学系の光軸に沿って移動可能であり、
前記視野絞りは、前記光源と前記コンデンサレンズとの間に配置され、
前記指標部材は、前記視野絞りの近傍であって、前記コンデンサレンズの移動によって前記標本と共役になりうる位置に配置され、更に前記視野絞りと前記コンデンサレンズとの間に配置され、前記視野絞りにおける前記ステージの側に設けられた窓レンズの上面に、着脱自在に取り付けられていることを特徴とする顕微鏡。
【請求項2】
前記指標部材は、前記視野絞りにおける前記ステージの側に設けられた窓レンズと一体的に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の顕微鏡。
【請求項3】
前記指標部材は、前記視野絞りの近傍において、前記光軸に沿って移動可能に構成されていることを特徴とする請求項1または請求項に記載の顕微鏡。
【請求項4】
前記光軸に挿入された対物レンズの倍率に応じて、前記指標部材における指標線の表示を制御する表示制御手段を備えることを特徴とする請求項1から請求項のいずれか一項に記載の顕微鏡。
【請求項5】
前記光軸の方向における前記コンデンサレンズの位置に応じて、前記光源の光量を制御する光量制御手段をさらに備えることを特徴とする請求項1から請求項のいずれか一項に記載の顕微鏡。
【請求項6】
前記指標部材は、外縁部に遮光領域を有することを特徴とする請求項1から請求項のいずれか一項に記載の顕微鏡。
【請求項7】
前記指標部材は、指標線を備えることを特徴とする請求項1に記載の顕微鏡。
【請求項8】
前記指標部材を着脱可能に配置するアダプタを備え、
前記指標部材は、前記窓レンズの上面に、前記アダプタを介して着脱自在に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の顕微鏡。
【請求項9】
標本を載置するステージと、
前記標本を照射する照明光を発生する光源、前記照明光を前記標本に照射するコンデンサレンズ、および前記標本に照射される照明光の範囲を調整する視野絞りを有する透過照明光学系と、
指標部材と、
を備え、
前記コンデンサレンズは、前記透過照明光学系の光軸に沿って移動可能であり、
前記指標部材は、前記視野絞りの近傍であって、前記コンデンサレンズの移動によって前記標本と共役になりうる位置に配置されており、
前記光軸に挿入された対物レンズの倍率に応じて、前記指標部材における指標線の表示を制御する表示制御手段を備えることを特徴とする顕微鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顕微鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、十字線等の指標線が刻印されたガラス板からなるレチクル(レチクル板)を接眼レンズに挿入した顕微鏡が知られている。ユーザは、このようなレチクルを用いることにより、例えばがん細胞の浸潤度合いを見るために、表皮から何mmにがん細胞が浸潤しているのかを測定したり、あるいはφ22mmの視野内にφ20mmの指標線を表示して、その中にある異常細胞をカウントして病気の進行度を決定したりすることが可能となる。
【0003】
一方、レチクルの指標線は、測定対象となる細胞を指示したり、カウント範囲を規定する時にだけ表示されていればよく、通常観察時は邪魔になる。そこで、例えば特許文献1では、レチクルの指標線を、印加電圧に応じて透明/不透明が切り替わる電気光学素子で構成したものが提案されている。このように指標線を電気光学素子で構成することにより、必要な場合にのみ視野内に指標線を表示させることができるため、指標線が標本の観察の妨げとなることがない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭57−68209号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1で提案されたレチクルを用いた場合、以下のような問題が発生する。まず、接眼レンズに挿入されたレチクルの指標線は、取り付け部に対する嵌合ガタや、指標線中心のバラつきにより、光軸垂直方向に対するエラーが生じやすい。また、接眼レンズとカメラとでは、観察する像の光路が異なるため、視野中心が異なる。このため、接眼レンズに挿入されたレチクルの指標線と、カメラで撮影した画像に対して重ねて表示した指標線とが一致しなくなる。従って、例えば教員現場において、教員がカメラで撮影した画像を介して標本を観察し、生徒が接眼レンズを介して標本を観察している場合において、教員が生徒に対して細胞の正確な位置等を指示することが困難となる。
【0006】
また、指標線は、透明なガラス板に刻印されており、このガラス板を像面と共役な位置に挿入する。そのため、ガラス板に少しでも埃等の異物が付着していると、その異物が視野内に見えてしまう。しかしながら、カメラではその異物を確認することができないため、例えばカメラで撮影した画像を介して標本を観察しているユーザと、接眼レンズを介して標本を観察しているユーザとの間に、認識のズレが生じる。さらに、レチクルはガラス板で構成されているため、接眼レンズに挿入する際に慎重な作業が必要となり、ユーザにストレスを与えるという問題もある。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、通常観察時にレチクルの指標線が標本の観察の妨げとなることがなく、かつカメラでの観察時と接眼レンズでの観察時とで違和感を生じさせることのない顕微鏡を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る顕微鏡は、標本を載置するステージと、前記標本を照射する照明光を発生する光源、前記照明光を前記標本に照射するコンデンサレンズ、および前記標本に照射される照明光の範囲を調整する視野絞りを有する透過照明光学系と、指標部材と、を備え、前記コンデンサレンズは、前記透過照明光学系の光軸に沿って移動可能であり、前記指標部材は、前記視野絞りの近傍であって、前記コンデンサレンズの移動によって前記標本と共役になりうる位置に配置されていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る顕微鏡は、上記発明において、前記視野絞りは、前記光源と前記コンデンサレンズとの間に配置され、前記指標部材は、前記視野絞りと前記コンデンサレンズとの間に配置されていることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る顕微鏡は、上記発明において、前記指標部材は、前記視野絞りにおける前記ステージ側に設けられた窓レンズの上面に、着脱自在に取り付けられていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る顕微鏡は、上記発明において、前記指標部材は、前記視野絞りにおける前記ステージ側に設けられた窓レンズと一体的に構成されていることを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る顕微鏡は、上記発明において、前記指標部材は、前記視野絞りの近傍において、前記光軸に沿って移動可能に構成されていることを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る顕微鏡は、上記発明において、前記光軸に挿入された対物レンズの倍率に応じて、前記指標部材における指標線の表示を制御する表示制御手段を備えることを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る顕微鏡は、上記発明において、前記光軸方向における前記コンデンサレンズの位置に応じて、前記光源の光量を制御する光量制御手段をさらに備えることを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る顕微鏡は、上記発明において前記指標部材は、外縁部に遮光領域を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、コンデンサレンズの移動によって標本と共役になりうる位置に指標部材が配置されているため、通常観察時にレチクルの指標線が標本の観察の妨げとなることがなく、かつカメラでの観察時と接眼レンズでの観察時とでユーザに違和感を生じさせることがない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本発明の実施の形態1に係る顕微鏡の構成を示す図である。
図2図2は、本発明の実施の形態1に係る顕微鏡の透過照明光学系の構成を示す拡大部分断面図である。
図3A図3Aは、本発明の実施の形態1に係る顕微鏡に適用可能なレチクルの一例を示す図である。
図3B図3Bは、本発明の実施の形態1に係る顕微鏡に適用可能なレチクルのその他の一例を示す図である。
図3C図3Cは、本発明の実施の形態1に係る顕微鏡に適用可能なレチクルのその他の一例を示す図である。
図4A図4Aは、本発明の実施の形態1に係る顕微鏡のアダプタの構成を示す図である。
図4B図4Bは、本発明の実施の形態1に係る顕微鏡のアダプタの構成を示す図である。
図5図5は、本発明の実施の形態2に係る顕微鏡の透過照明光学系の構成を示す拡大部分断面図である。
図6図6は、本発明の実施の形態3に係る顕微鏡の透過照明光学系の構成を示す拡大部分断面図である。
図7図7は、本発明の実施の形態4に係る顕微鏡の透過照明光学系の構成を示す拡大部分断面図である。
図8図8は、本発明の実施の形態5に係る顕微鏡の透過照明光学系の構成を示す図である。
図9図9は、本発明の実施の形態6に係る顕微鏡の透過照明光学系の構成を示す拡大部分断面図である。
図10図10は、本発明の実施の形態に係る顕微鏡のレチクルの変形例の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る顕微鏡の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、以下の実施の形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものも含まれる。
【0019】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1に係る顕微鏡1の構成について、図1図4を参照しながら説明する。本実施の形態に係る顕微鏡1は、図1に示すように、顕微鏡本体10と、透過照明光学系20と、対物レンズ31と、レボルバ32と、鏡筒33と、接眼レンズ35と、カメラアダプタ36と、カメラ37と、を主に備えている。
【0020】
顕微鏡本体10は、ベース部11aと、ベース部11aの背面側に立設する柱部11bと、柱部11bに支持されて正面側に向かって延在するアーム部11cと、を有している。ベース部11aは、机上等の、顕微鏡1が設置される場所に直接載置される部分であり、内部に透過照明光学系20が配置されている。
【0021】
柱部11bは、下端部でベース部11aと一体化されており、ステージ保持部材12を介して、標本Sを載置するステージ21を保持する。ステージ保持部材12は、柱部11bにおいて、光軸方向に配置された図示しないガイドに沿って移動可能に構成されている。なお、前記した「光軸」とは、透過照明光学系20の光軸のことを示している。
【0022】
ステージ保持部材12に保持されるステージ21は、ステージ焦準ハンドル13の操作によって、光軸に沿って上下方向に移動する。これにより、ステージ21上の標本Sと対物レンズ31との間の相対距離が変化し、ピント調整が行われる。
【0023】
ステージ保持部材12は、コンデンサユニット22を光軸に沿って移動可能にするコンデンサガイド14を有している。コンデンサユニット22は、コンデンサ焦準ハンドル15の操作によって、上下方向に移動する。
【0024】
レボルバ32は、アーム部11cの下面に取り付けられている。レボルバ32には、倍率の異なる複数の対物レンズ31が着脱自在に取り付けられている。そして、レボルバ32が回転操作されることによって、選択した対物レンズ31が光軸上に配置される。
【0025】
鏡筒33は、アーム部11cの上面に着脱自在に取り付けられており、2つの接眼レンズ35と、カメラアダプタ36と、カメラ37と、が取り付けられている。また、鏡筒33には、接眼レンズ35とカメラ37との光路の切り替えを行う切り替えレバー34が取り付けられている。
【0026】
透過照明光学系20は、標本Sを照射する照明光を発生する光源24と、照明光を標本Sに照射するコンデンサユニット22と、標本Sに照射される照明光の範囲を調整する視野絞りユニット26と、を主に備えている。
【0027】
透過照明光学系20の光源24から照射された照明光は、コレクタレンズ25とコンデンサユニット22を介して標本Sに照射される。標本Sを透過した光は、対物レンズ31、鏡筒33内の図示しない結像レンズで観察像が形成され、ユーザは接眼レンズ35越し、またはカメラ37で撮影した画像を介して、標本Sの像を観察することが可能である。
【0028】
コンデンサユニット22は、光軸に沿って移動可能に構成されており、内部にコンデンサレンズ22aを備えている。視野絞りユニット26は、ベース部11a上に配置されており、図2に示すように、視野絞り261と、ユニット本体262と、視野絞りハンドル263と、窓レンズ264と、を備えている。なお、同図では、ユニット本体262の上部、窓レンズ264、後記するレチクル27およびアダプタ28を、断面で示している。
【0029】
視野絞り261は、光源24とコンデンサレンズ22aとの間に配置されている。視野絞り261は、視野絞りハンドル263を回転させることにより、その径が変化する。また、コンデンサレンズ22aの心出しつまみ23を操作することにより、コンデンサレンズ22aを、光軸に対して垂直方向に動かすことが可能となる。これにより、視野絞り261の中心を視野中心に合わせることができる。
【0030】
窓レンズ264は、視野絞り261の上側、すなわちステージ21の側に設けられており、埃等の異物が視野絞り261に入り込むことを防ぎ、かつユーザが視野絞り261に直接触れないようにしている。窓レンズ264の上面には、指標線が刻印されたガラス板からなるレチクル(指標部材)27が配置されている。
【0031】
レチクル27は、視野絞り261とコンデンサレンズ22aとの間に配置されており、具体的には、視野絞り261の近傍であって、コンデンサユニット22の移動によって標本Sと共役になりうる位置に配置されている。レチクル27は、アダプタ28を介して、窓レンズ264の上面に着脱自在に取り付けられている。
【0032】
レチクル27としては、例えば図3Aに示すように、十字線271に目盛272が設けられた指標線が刻印されているものを用いることができる。また、レチクル27に代えて、例えば図3Bに示すように、十字線271に複数の同心円273が設けられた指標線が刻印されたレチクル27Aを用いてもよい。また、レチクル27に代えて、十字線271が設けられ、かつ外縁部に遮光領域274を有するレチクル27Bを用いてもよい。このようなレチクル27Bを用いることにより、遮光領域274によって外乱光を遮断することができ、かつレチクル27Bを絞りとして機能させることができる。
【0033】
なお、図3Aの目盛272や図3Bの同心円273の間隔は、標本面で必要な間隔を考慮した値にする必要がある。例えば、指標線を標本面に投影した時の投影倍率が0.5倍であり、標本面で1mmの線間隔を表示したい場合は、レチクル27上の指標線の線間隔は、1mm/0.5=2mmに設定する。また、指標線の線幅についても線間隔と同様であり、例えば標本面で0.1mmの線幅を表示したい場合は、レチクル27上の指標線の線幅は、0.1mm/0.5=0.2mmに設定する。
【0034】
アダプタ28は、窓レンズ264の上面に着脱自在に取り付けられている。アダプタ28は、図4Aおよび図4Bに示すように、円環状に形成されたアダプタ本体281と、アダプタ本体281の内周から内側に延在したフランジ部282と、を有している。フランジ部282には、レチクル27が固定、または着脱自在に取り付けられている。
【0035】
ここで、視野絞り261と標本Sとが光学的に共役な位置関係である場合、透過照明光学系20が光学的な理想状態となる。従って、接眼レンズ35およびカメラ37で観察すると、標本Sのみが見える。
【0036】
一方、コンデンサ焦準ハンドル15を操作し、コンデンサユニット22を、透過照明光学系20が光学的な理想状態である場合の位置よりも下げると、レチクル27の指標線と標本Sとが光学的に共役な位置関係となる。従って、接眼レンズ35およびカメラ37で観察すると、標本Sに加えて、レチクル27の指標線も見えるようになる。
【0037】
以上のような構成を備える顕微鏡1によれば、コンデンサレンズ22aの移動によって標本Sと共役になりうる位置にレチクル27が配置されているため、通常観察時にレチクル27の指標線が標本Sの観察の妨げとなることがなく、かつカメラ37での観察時と接眼レンズ35での観察時とでユーザに違和感を生じさせることがない。
【0038】
すなわち、顕微鏡1では、透過照明光学系20が光学的な理想状態となるようにコンデンサユニット22が配置されている場合、レチクル27の指標線にはピントが合わず、指標線は見えない。一方、コンデンサユニット22をレチクル27に向かって光軸方向に下げると、共役な位置関係となったときにレチクル27の指標線にピントが合い、指標線が見えるようになる。これにより、通常観察時はレチクル27の指標線を表示させず、例えば測定対象となる細胞を指示したり、カウント範囲を規定したりする時にだけ、レチクル27の指標線を表示させることができる。
【0039】
また、顕微鏡1では、従来のようにカメラでソフト的に指標線を表示させるのではなく、カメラ37と接眼レンズ35とで同じレチクル27を観察するため、カメラ37で観察するレチクル27の指標線と、接眼レンズ35で観察するレチクル27の指標線との位置関係が一致する。従って、例えば教員現場において、教員がカメラ37で撮影した画像を介して標本Sを観察し、生徒が接眼レンズ35を介して標本Sを観察している場合において、教員が生徒に対して細胞の正確な位置等を指示することが可能となる。
【0040】
また、顕微鏡1では、窓レンズ264の上面にアダプタ28を介してレチクル27を配置するため、従来のような取り付け部に対する嵌合ガタや、光軸垂直方向に対するエラーも生じにくい。また、顕微鏡1では、窓レンズ264の上面にレチクル27が配置されているため、仮にレチクル27に埃等の異物が付着したとしても、容易に清掃することができる。
【0041】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2に係る顕微鏡1Aの構成について、図5を参照しながら説明する。なお、以下では、実施の形態1と同様の構成は説明および図示を省略し、当該実施の形態1と異なる構成についてのみ説明する。
【0042】
顕微鏡1Aは、図5に示すように、実施の形態1と比較して、視野絞りユニット26Aの構成が異なる。すなわち、視野絞りユニット26Aは、実施の形態1とは異なり、レチクル27Cが窓レンズと一体的に構成されている。すなわち、レチクル27Cは、視野絞りユニット26Aのユニット本体262の上部に固定されており、窓レンズの機能も兼ね備えている。
【0043】
以上のような構成を備える顕微鏡1Aによれば、前記した実施の形態1と同様に、通常観察時にレチクル27Cの指標線が標本Sの観察の妨げとなることがなく、かつカメラ37での観察時と接眼レンズ35での観察時とでユーザに違和感を生じさせることがない。また、顕微鏡1Aによれば、実施の形態1と比較して部品点数を減らすことができるため、コストを削減することができる。
【0044】
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3に係る顕微鏡1Bの構成について、図6を参照しながら説明する。なお、以下では、実施の形態1と同様の構成は説明および図示を省略し、当該実施の形態1と異なる構成についてのみ説明する。
【0045】
顕微鏡1Bのレチクル27は、図6に示すように、視野絞り261の近傍において、光軸に沿って移動可能に構成されている。すなわち、顕微鏡1Bでは、レチクル27が窓レンズ264の上面ではなく、レチクルホルダ41によって保持されている。
【0046】
レチクルホルダ41は、光軸方向に配置されたレチクルガイド42に沿って移動可能に構成されている。レチクルガイド42は、柱部11bに設けられたレチクルガイド保持部43に取り付けられている。また、レチクルホルダ41に保持されたレチクル27は、レチクル焦準ハンドル44の操作により、光軸に沿って上下方向に移動する。
【0047】
以上のような構成を備える顕微鏡1Bによれば、光軸方向におけるレチクル27の位置によって、レチクル27を標本面に投影した時の投影倍率を変化させることができる。これにより、接眼レンズ35やカメラ37で観察した際に、例えばレチクル27の指標線の目盛272(図3A参照)の間隔を任意に変化させることができる。従って、顕微鏡1Bによれば、一枚のレチクル27を用いて、様々な縮尺で標本Sを観察することが可能となる。
【0048】
(実施の形態4)
本発明の実施の形態4に係る顕微鏡1Cの構成について、図7を参照しながら説明する。なお、以下では、実施の形態1と同様の構成は説明および図示を省略し、当該実施の形態1と異なる構成についてのみ説明する。
【0049】
顕微鏡1Cのレチクル27は、図7に示すように、実施の形態3とは異なる方法により、視野絞り261の近傍において、光軸に沿って移動可能に構成されている。すなわち、顕微鏡1Cでは、視野絞りユニット26がベース部11a上ではなく、視野絞りユニットホルダ45に保持されている。
【0050】
視野絞りユニットホルダ45は、光軸方向に配置された視野絞りユニットガイド46に沿って移動可能に構成されている。視野絞りユニットガイド46は、柱部11bに設けられた視野絞りユニットガイド保持部47に取り付けられている。また、視野絞りユニットホルダ45に保持された視野絞りユニット26およびレチクル27は、視野絞り焦準ハンドル48の操作により、光軸に沿って上下方向に移動する。
【0051】
コンデンサユニット22は、最上限位置で、光学的な理想位置に配置されるように調整されている。なお、視野絞りユニット26を設けず、視野絞りユニットホルダ45にレチクル27を直に配置する構成でよい。
【0052】
以上のような構成を備える顕微鏡1Cによれば、前記した実施の形態3と同様に、光軸方向におけるレチクル27の位置によって、レチクル27を標本面に投影した時の投影倍率を変化させることができるため、一枚のレチクル27を用いて、様々な縮尺で標本Sを観察することが可能となる。
【0053】
(実施の形態5)
本発明の実施の形態5に係る顕微鏡1Dの構成について、図8を参照しながら説明する。なお、以下では、実施の形態1と同様の構成は説明および図示を省略し、当該実施の形態1と異なる構成についてのみ説明する。
【0054】
顕微鏡1Dは、図8に示すように、対物レンズ31の倍率に応じて、レチクル27Dにおける指標線の表示を制御する表示制御手段を備えている。レチクル27Dは、液晶ディスプレイによって構成されている。顕微鏡1Dは、実施の形態1の構成に加えて、アドレスセンサ49と、レボルバ位置検出回路50と、CPU(Central Processing Unit)51と、表示制御手段として機能するグラフィックコントローラ(Graphics Controller)52と、をさらに備えている。なお、グラフィックコントローラ52は、CPUやGPU(Graphics Processing Unit)等の集積回路によって構成される。
【0055】
アドレスセンサ49は、光軸に挿入された対物レンズ31の位置を検出するためのホール素子等からなり、レボルバ32に内蔵されている。アドレスセンサ49からの情報は、レボルバ位置検出回路50およびCPU51を介して、グラフィックコントローラ52に入力される。これを受けて、グラフィックコントローラ52は、液晶ディスプレイからなるレチクル27Dの表示内容を変更する。
【0056】
以上のような構成を備える顕微鏡1Dによれば、対物レンズ31の倍率に応じて、レチクル27Dの指標線の線幅や線間隔を最適なものに変更することができる。
【0057】
(実施の形態6)
本発明の実施の形態6に係る顕微鏡1Eの構成について、図9を参照しながら説明する。なお、以下では、実施の形態1と同様の構成は説明および図示を省略し、当該実施の形態1と異なる構成についてのみ説明する。
【0058】
顕微鏡1Eは、図9に示すように、光軸方向におけるコンデンサレンズ22aの位置に応じて、光源24の光量を制御する光量制御手段を備えている。顕微鏡1Eは、実施の形態1の構成に加えて、フォトインタラプタ53と、板部材54と、センサon/off検出回路55と、CPU56と、D/Aコンバータ57と、光量制御手段として機能するドライブ回路58と、をさらに備えている。
【0059】
フォトインタラプタ53は、ステージ保持部材12に取り付けられている。板部材54は、コンデンサユニット22に取り付けられている。コンデンサユニット22が光学的な理想位置に配置されている場合、板部材54がフォトインタラプタ53を遮ってセンサonとなる。一方、コンデンサユニット22が光学的な理想位置から下がった位置に配置されていると、板部材54がフォトインタラプタ53から外れてセンサoffとなる。センサonとセンサoffの状態は、フォトインタラプタ53に接続されたセンサon/off検出回路55によって検出される。
【0060】
センサon/off検出回路55で検知された信号は、CPU56およびD/Aコンバータ57を介してドライブ回路58に入力される。これを受けてドライブ回路58は、光源24の照明光の明るさを制御する。光源24は、ドライブ回路58の制御に基づいて、センサon時の明るさを基準として、センサoff時に予め設定された割合だけ照明光の明るさを大きくする。
【0061】
ここで、光源24の明るさが不変である場合、コンデンサユニット22が光学的な理想位置から下がると、接眼レンズ35やカメラ37で観察した際の明るさが小さくなる。一方、前記したような構成を備える顕微鏡1Eによれば、コンデンサユニット22の位置に応じて、照明光を最適な明るさに調整することができるため、接眼レンズ35やカメラ37で観察した際の明るさを一定にすることができる。
【0062】
以上、本発明に係る顕微鏡について、発明を実施するための形態により具体的に説明したが、本発明の趣旨はこれらの記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて広く解釈されなければならない。また、これらの記載に基づいて種々変更、改変等したものも本発明の趣旨に含まれることはいうまでもない。
【0063】
例えば、前記した実施の形態1,3,4,6では、レチクル27(またはレチクル27A,27B)に代えて、図10に示すようなレチクル27Eを用いることができる。レチクル27Eは、円筒状のワイヤ枠275と、ワイヤ枠275に十字状に張られたワイヤ276と、を有している。
【0064】
このような構成からなるレチクル27Eを、例えばアダプタ28(図2図7および図9参照)や、レチクルホルダ41(図6参照)に固定、または着脱可能に取り付けて用いることができる。このように、レチクル27Eの指標線をワイヤ276で構成することにより、埃等の異物が溜まりにくくなるため、当該異物が視野内に見えてしまうリスクを低減することができる。なお、標本Sを観察する際の倍率によって、レチクル27Eのワイヤ276の太さを変えてもよい。すなわち、標本Sを高倍率で観察する場合はワイヤ276の細いレチクル27Eを用い、標本Sを低倍率で観察する場合はワイヤ276の太いレチクル27Eを用いてもよい。
【0065】
また、前記した実施の形態1では、レチクル27は、アダプタ28を介して、窓レンズ264の上面に取り付けられているが、アダプタ28を用いることなくレチクル27のみを窓レンズ264の上面に配置してもよい。この場合、レチクル27の中心を光軸に合わせる位置合わせが必要となる。
【0066】
また、前記した実施の形態1では、例えばレチクル27と窓レンズ264との間に、透明なスペーサを設置して高さを調整してもよい。これにより、光軸方向におけるレチクル27の位置を変更することができるため、前記した実施の形態3,4と同様に、レチクル27を標本面に投影した時の投影倍率を変化させることができるため、一枚のレチクル27を用いて、様々な縮尺で標本Sを観察することが可能となる。
【符号の説明】
【0067】
1,1A,1B,1C,1D,1E 顕微鏡
10 顕微鏡本体
11a ベース部
11b 柱部
11c アーム部
12 ステージ保持部材
13 ステージ焦準ハンドル
14 コンデンサガイド
15 コンデンサ焦準ハンドル
20 透過照明光学系
21 ステージ
22 コンデンサユニット
23 心出しつまみ
24 光源
25 コレクタレンズ
26 視野絞りユニット
261 視野絞り
262 ユニット本体
263 視野絞りハンドル
264 窓レンズ
27,27A,27B,27C,27D,27E レチクル(指標部材)
271 十字線
272 目盛
273 同心円
274 遮光領域
275 ワイヤ枠
276 ワイヤ
28 アダプタ
281 アダプタ本体
282 フランジ部
31 対物レンズ
32 レボルバ
33 鏡筒
34 切り替えレバー
35 接眼レンズ
36 カメラアダプタ
37 カメラ
41 レチクルホルダ
42 レチクルガイド
43 レチクルガイド保持部
44 レチクル焦準ハンドル
45 視野絞りユニットホルダ
46 視野絞りユニットガイド
47 視野絞りユニットガイド保持部
48 視野絞り焦準ハンドル
49 アドレスセンサ
50 レボルバ位置検出回路
51,56 CPU
52 グラフィックコントローラ(表示制御手段)
53 フォトインタラプタ
54 板部材
55 センサon/off検出回路
57 D/Aコンバータ
58 ドライブ回路(光量制御手段)
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10