(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の第1の実施の形態の構成を、図面を参照して説明する。
【0014】
図7(a)及び
図8(a)において、10は回動体装置としての収納装置であるコンソールボックスを示す。このコンソールボックス10は、例えば自動車の車両の前席すなわち運転席と助手席との間に位置するセンタコンソールの一部を構成する。そして、このコンソールボックス10は、
図1、
図6(a)及び
図6(b)に示すように、自動車の車体側に取り付けられる本体としての収納体であるボックス本体12と、このボックス本体12に回動可能に取り付けられる回動体としての蓋体13と、この蓋体13をボックス本体12に対して回動可能に取り付けるヒンジユニット14とを備えている。以下、前後方向、両側方向及び上下方向などの方向は、コンソールボックス10を車体に取り付けた状態を基準として説明し、図中では矢印FR方向を前方向、矢印RR方向を後方向、矢印L方向を左方向、矢印Rを右方向、矢印Uを上方向、矢印Dを下方向とする。
【0015】
ボックス本体12は、例えば合成樹脂により箱状に形成されている。すなわち、このボックス本体12は、例えば開口部21、及び、この開口部21と連通する収容部22を備える有底筒状に形成されている。また、このボックス本体12には、一対の取付部23が設けられている。
【0016】
開口部21は、例えばボックス本体12の上端部に位置している。
【0017】
収容部22は、ボックス本体12の内部に区画され、開かれた開口部21から物品などを出し入れ可能となっている。
【0018】
取付部23は、開口部21の縁部にてボックス本体12の外方にそれぞれ突設されている。これら取付部23は、例えばボックス本体12の後部に位置している。これら取付部23は、前後方向に沿って面方向を有する壁状に形成されている。これら取付部23は、左右に離れて位置し、互いに略平行(平行も含む)に配置されている。また、各取付部23には、ヒンジユニット14をボックス本体12に対して着脱自在に係合するための一の係合部としての係合受部25がそれぞれ設けられている。
【0019】
これら一対の係合受部25は、開口部21の開口方向に沿う溝状に形成されている。本実施の形態において、これら係合受部25は、上下方向に沿う溝状に形成されている。また、これら係合受部25は、取付部23において、開口部21の開口方向と同方向に開口されている。すなわち、これら係合受部25は、取付部23の上端部に連通するように開口されている。また、これら係合受部25は、取付部23の内方側、すなわち一対の取付部23,23の互いに対向する位置に配置されている。換言すれば、これら係合受部25は、右側の取付部23の左側と、左側の取付部23の右側とに配置されている。このため、一対の係合受部25,25は、空間部を介して、互いに左右に対向して位置している。また、これら係合受部25は、ヒンジユニット14を呼び込むための呼込部26を備えている。そして、各係合受部25は、ヒンジユニット14を係止するための係止開口27を備えている。
【0020】
各呼込部26は、係合受部25における取付部23の外部との連通位置、すなわち係合受部25の入り口となる上端部に位置し、上方に向かって係合受部25を拡開させるように傾斜された面として形成されている。
【0021】
各係止開口27は、係合受部25の溝方向に対して交差(直交)する方向に開口されている。すなわち、これら係止開口27は、取付部23を左右方向に貫通して開口されている。また、これら係止開口27は、係合受部25の上端部よりも下方に位置している。本実施の形態において、各係止開口27は、呼込部26の下方に位置している。このため、各係合受部25におけるこれら係止開口27の上縁部が、ヒンジユニット14を係止するための爪部28となっている。これら爪部28は、呼込部26の下端部に隣接して形成されている。また、これら係止開口27は、ヒンジユニット14の係止を解除するための解除用開口の機能も備えている。
【0022】
図1、
図2、
図6(a)及び
図6(b)に示す蓋体13は、リッドなどとも呼ばれ、ボックス本体12の開口部21を回動により開閉するものである。この蓋体13は、回動体本体としての蓋体本体31と、この蓋体本体31に突設された保持部32とを備えている。
【0023】
蓋体本体31は、ボックス本体12の上部に位置している。この蓋体本体31は、例えば開口部21を閉じた状態でアームレストの機能を有していてもよい。このため、この蓋体本体31の表面は、例えば皮革、あるいは布などによって覆われていてもよい。この蓋体本体31は、蓋体13を閉じた状態で開口部21を覆うことができれば、様々な形状とすることができるが、例えば前後方向に長手状に形成されている。
【0024】
保持部32は、ヒンジユニット14を保持するものである。この保持部32は、例えば蓋体本体31の下部、すなわちボックス本体12に対向する側に設けられている。また、この保持部32は、例えば蓋体本体31の後部に位置している。さらに、この保持部32は、ボックス本体12の一対の取付部23,23間に配置される。また、この保持部32は、内側取付部としての一対の取付壁部35を備えている。この保持部32は、取付連結部としての保持壁部36を備えている。さらに、この保持部32は、ユニット支持部としての下壁部37を備えている。そして、これら取付壁部35,35、保持壁部36、及び、下壁部37により、ヒンジユニット14が取り付けられて収納される収納空間部38が区画されている。
【0025】
取付壁部35は、収納空間部38の両側(左右両側)を区画するものである。これら取付壁部35は、蓋体本体31の端部にそれぞれ突設されている。これら取付壁部35は、前後方向に沿って面方向を有する壁状に形成されている。これら取付壁部35は、左右に離れて位置し、互いに略平行(平行も含む)に配置されている。これら取付壁部35,35間の距離は、取付部23,23間の距離よりも小さく設定されている。これら取付壁部35は、取付部23の内方の面、すなわち係合受部25に対向して位置する。さらに、これら取付壁部35には、ヒンジユニット14の一部が嵌着される取付開口部41がそれぞれ形成されている。
【0026】
取付開口部41は、例えば取付壁部35を厚み方向である左右方向に貫通して設けられている。また、これら取付開口部41は、保持部32に対するヒンジユニット14の取付方向に向かって、すなわち後方に向かって開口されている。換言すれば、これら取付開口部41は、取付壁部35の後方と連通するように形成されている。また、これら取付開口部41は、取付部23の係合受部25に対向して位置している。そして、これら取付開口部41は、収納空間部38と連通している。
【0027】
保持壁部36は、取付壁部35,35を連結し、収納空間部38の前部を区画するものである。この保持壁部36は、例えば取付壁部35,35の前部から下部に沿って位置し、蓋体本体31から下方へと壁状に突設されている。また、この保持壁部36には、ヒンジユニット14を蓋体本体31に対して上下左右方向に位置決めする位置決め部43が形成されている。この位置決め部43は、本実施の形態において、例えば保持壁部36を厚み方向である前後方向に貫通する開口として形成されている。
【0028】
下壁部37は、収納空間部38の下部を区画するものである。この下壁部37は、保持壁部36から取付壁部35,35間に突出し、かつ、両端部が取付壁部35,35と連結されている。すなわち、この下壁部37は、保持壁部36から後方に向かって突設されている。また、この下壁部37は、蓋体本体31に対して下方に離れて位置している。さらに、この下壁部37は、取付開口部41よりも下方に位置している。また、この下壁部37には、ヒンジユニット14を保持部32に対して係止するための係止受部45が形成されている。
【0029】
係止受部45は、本実施の形態において、下壁部37の収納空間部38側である上部に凹設、または、下壁部37を厚み方向である上下方向に貫通して設けられている。
【0030】
そして、
図1、
図3ないし
図5、
図6(a)及び
図6(b)に示すヒンジユニット14は、ユニット本体であるケース体51を備えている。また、このヒンジユニット14は、1本の軸部であるシャフト52を備えている。さらに、このヒンジユニット14は、回動部材としての保持部材であるスペーサ53を備えている。また、このヒンジユニット14は、圧接部材としての摺接部材であるブッシュ54を備えている。さらに、このヒンジユニット14は、反力付与手段としての付勢手段であるスプリング55を備えている。
【0031】
ケース体51は、スペーサ53、ブッシュ54、及び、スプリング55を内部に保持するとともに、保持部32(収納空間部38)に嵌着保持されるものである。このケース体51は、例えば上側が円弧状、下側が四角形状で、かつ、長手状に形成された、いわゆる蒲鉾形となっており、内部が中空状となっている。また、このケース体51は、スペーサ53、ブッシュ54、及び、スプリング55を取り付ける取付穴61を備えている。さらに、このケース体51は、シャフト52が挿通される挿通穴62を両端部に備えている。また、このケース体51は、ヒンジユニット14(ケース体51)を保持部32に対して上下左右方向に位置決めするケース位置決め部63を備えている。さらに、このケース体51は、ヒンジユニット14(ケース体51)を保持部32に対して係止する係止部64を備えている。そして、このケース体51は、取付開口部41の縁部に嵌着される嵌着部65を備えている。また、このケース体51は、スペーサ53を保持する保持突起部66を備えている。なお、このケース体51は、保持部32に一体に設けられていてもよい。
【0032】
取付穴61は、ケース体51の側面を切り欠いて形成されている。本実施の形態において、この取付穴61は、ケース体51の後側の側面を切り欠いて形成されている。この取付穴61は、例えばケース体51の長手方向である左右方向に長い長穴として形成されている。
【0033】
挿通穴62は、それぞれシャフト52の外形よりも大きい形状を有している。本実施の形態において、これら挿通穴62は、例えば取付開口部41と略等しい(等しいも含む)内径寸法を有する円形状に形成されている。また、これら挿通穴62は、保持部32(収納空間部38)にヒンジユニット14(ケース体51)を取り付けた状態で、取付開口部41と同軸状に位置して取付壁部35に対向する。
【0034】
ケース位置決め部63は、ケース体51の側面において、取付穴61とは反対側に形成されている。すなわち、本実施の形態において、このケース位置決め部63は、ケース体51の前側に形成されている。換言すれば、このケース位置決め部63は、保持部32の保持壁部36に対向する位置に形成されている。このケース位置決め部63は、本実施の形態において、ケース体51から突出する突起として形成されており、保持部32の位置決め部43に挿入されることで、ヒンジユニット14(ケース体51)を保持部32に対して上下左右方向に位置決めするようになっている。なお、このケース位置決め部63と位置決め部43との凹凸は逆に設定することもできる。すなわち、ケース位置決め部63を凹状(穴状)とし、位置決め部43を凸状とすることもできる。
【0035】
係止部64は、保持部32の下壁部37に対向する位置に形成されている。すなわち、この係止部64は、ケース体51の下部に形成されている。この係止部64は、係止穴部64aと、この係止穴部64aに設けられた係止片部64bとを備えている。係止穴部64aは、ケース体51の下部を貫通している。また、係止片部64bは、この係止穴部64aに弾性変形可能に設けられている。この係止片部64bは、例えば係止穴部64aの前端部からこの係止穴部64a内で後方に向かって自由端状に突設されている。したがって、係止片部64bは上下方向、すなわちヒンジユニット14の保持部32に対する取付方向に対して交差(直交)する方向に弾性変形可能となっている。さらに、この係止片部64bの自由端状の先端部の外側部である下部には、先端側に向かって徐々に厚みが大きくなる爪状の係止爪部64cが形成されている。そして、この係止部64は、係止片部64b(係止爪部64c)が保持部32の係止受部45に挿入されることでヒンジユニット14(ケース体51)を保持部32に対して係止するようになっている。なお、この係止部64と係止受部45との凹凸は逆に設定することもできる。すなわち、係止受部45を弾性変形及び復帰変形可能とし、係止部64を凹状(穴状)とすることもできる。
【0036】
嵌着部65は、ケース体51の取付穴61の縁部に沿って、このケース体51の例えば両端部からそれぞれ延出している。これら嵌着部65は、例えば取付穴61の後部に配置されている。また、これら嵌着部65は、ヒンジユニット14を保持部32に取り付けた状態で、取付開口部41の後部に嵌着されてこの取付開口部41の後部を閉塞する。
【0037】
保持突起部66は、ケース体51に対するスペーサ53の空転を抑制するものである。この保持突起部66は、ケース体51の内部にて、挿通穴62の近傍に配置されている。すなわち、本実施の形態において、この保持突起部66は、ケース体51内の両端部の位置に配置されている。この保持突起部66は、シャフト52の軸回り方向に沿って形成されたリブ状となっている。
【0038】
シャフト52は、ボックス本体12に対する蓋体13の回動軸となるものである。また、このシャフト52は、ヒンジユニット14を一対の取付部23に対して取り付けるものである。このシャフト52は、例えば合成樹脂により細長い角柱状に形成されている。このシャフト52の両端部には、他の係合部としての係合片68がそれぞれ形成されている。また、このシャフト52には、フランジ部69が形成されている。そして、このシャフト52は、ケース体51、スペーサ53、ブッシュ54、及び、スプリング55を貫通して配置され、両端部(係合片68)がそれぞれケース体51の外部に突出している。なお、このシャフト52は、本実施の形態において、一体に形成された1本としたが、複数の部品を組み合わせて1本とすることもできるし、複数本用いることもできる。
【0039】
各係合片68は、各取付部23の係合受部25(係止開口27(爪部28))と係合されることで、ヒンジユニット14を取付部23(ボックス本体12)に対して固定するものである。これら係合片68は、例えばシャフト52の下部から上方に向かって突出する舌片状に形成されている。すなわち、これら係合片68は、上端部が自由端状の弾性片となっており、シャフト52の軸方向に弾性変形可能である。また、これら係合片68の先端部である上端部には、外側部が、先端側(上端側)に向かって徐々に厚みが大きくなる爪状のユニット爪部68aが形成されている。
【0040】
フランジ部69は、シャフト52をケース体51、スペーサ53及びブッシュ54に対して位置決めするためのものである。このフランジ部69は、シャフト52と同軸に鍔状に形成され、スペーサ53に対して軸方向から接触する。このフランジ部69は、シャフト52の一端部(例えば左端部)寄りに配置されている。
【0041】
スペーサ53は、ケース体51に対して固定され、シャフト52を中心としてケース体51とともに回動するようになっている。したがって、このスペーサ53は、ケース体51を介して、保持部32に固定される。このスペーサ53は、例えば滑り性及び耐磨耗性に優れたポリアセタール(POM)などの合成樹脂により、扁平な円筒状(円環状)に形成されている。このスペーサ53は、ブッシュ54を受ける受け部71を内周側に備えている。また、このスペーサ53は、シャフト52が挿通される挿通開口72を中央部に備えている。そして、このスペーサ53は、例えば一対設けられ、スプリング55を挟んで左右に位置している。さらに、これらスペーサ53は、それぞれ保持突起部66の位置でケース体51の内部に保持されている。なお、このスペーサ53は、ケース体51に一体に設けられていてもよい。
【0042】
受け部71は、例えばブッシュ54に向かって拡径するすり鉢状に形成されている。
【0043】
挿通開口72は、シャフト52の外形よりも大きく形成されている。例えば、この挿通開口72は、ケース体51の挿通穴62と内径寸法が略等しい(等しいも含む)円形状に形成されている。また、この挿通開口72には、ブッシュ54の端部が挿入される。
【0044】
ブッシュ54は、シャフト52に固定され、このシャフト52に対してスペーサ53(ケース体51)が回動可能となるようにする軸受部材である。このブッシュ54は、例えば円筒状(円環状)に形成されている。また、このブッシュ54は、例えばスペーサ53に向かって縮径し受け部71と嵌合する截頭円錐状(円錐台状)に形成されている。さらに、このブッシュ54は、シャフト52が挿入されて嵌着される取付開口74を中央部に備えている。このブッシュ54は、例えば一対設けられ、スプリング55を挟んで左右に位置している。これらブッシュ54,54は、スプリング55の両端部とスペーサ53,53との間に配置されている。そして、これらブッシュ54,54は、圧縮されたスプリング55の反力により、スペーサ53,53(受け部71,71)に対して押し付けられている。
【0045】
取付開口74は、シャフト52の外形と略同一寸法の四角形状に形成されており、シャフト52の外面と干渉するようになっている。このため、この取付開口74に挿入されたシャフト52がブッシュ54に対して相対的に空回りしないようになっている。
【0046】
スプリング55は、ブッシュ54,54をスペーサ53,53に対して押し付ける反力を生じさせることで、この反力とスペーサ53,53とブッシュ54,54との間での摩擦抵抗とによって、ブッシュ54,54に対してスペーサ53,53の回動位置を任意位置で止めること(フリーストップ)を可能とするものである。すなわち、このスプリング55は、スペーサ53,53とブッシュ54,54との摺動トルクを設定するトルク設定手段である。このスプリング55は、圧縮された状態でブッシュ54,54間に配置されている。本実施の形態において、このスプリング55の両端部は、ブッシュ54,54と直接接触している。なお、スプリング55以外であっても、スペーサ53とブッシュ54との間の摺動トルクを発生させるものであれば任意のものを用いることができるが、摺動トルクの管理のしやすさや熱などの影響の受けにくさを考慮すると、スプリング55が最適である。
【0047】
そして、コンソールボックス10を組み立てる際には、概略として、予め組み立てたヒンジユニット14を蓋体13の保持部32に取り付けた後、このヒンジユニット14を取り付けた蓋体13をボックス本体12に組み付ける。
【0048】
ヒンジユニット14の組み立ての際には、予め成形されたケース体51の取付穴61から、このケース体51の内部へと、スペーサ53,53、ブッシュ54,54、及び、スプリング55を挿入する。このとき、スプリング55は、例えば万力などにより圧縮させながら押し込むことが好ましい。この状態で、ブッシュ54,54は、スペーサ53,53の受け部71,71に嵌合し、挿通開口72,72に端部が挿入される。次いで、シャフト52の他端側(右端側)を、ケース体51の一端側の挿通穴62から、ブッシュ54の取付開口74、スプリング55、ブッシュ54の取付開口74、及び、ケース体51の他端側の挿通穴62と、フランジ部69がスペーサ53の挿通開口72か露出するブッシュ54と当接する位置まで圧入し、ヒンジユニット14を完成する。この状態で、ヒンジユニット14は、シャフト52の両端部(係合片68,68)がケース体51から外部に突出した状態となっており、かつ、シャフト52に対して、スペーサ53,53がケース体51とともに軸回り方向に回動可能となっている。また、シャフト52は、圧入によって主としてブッシュ54の取付開口74と干渉することにより、ケース体51などから容易に脱落しない。
【0049】
また、この完成したヒンジユニット14の保持部32への取り付けの際には、ヒンジユニット14を、ケース体51を保持部32の下壁部37上に載置し、ケース位置決め部63を保持部32の位置決め部43と位置合わせしつつ収納空間部38内へと押し込むことで、係止部64の係止爪部64cが下壁部37と接触して係止片部64bが上方に弾性変形し、この係止部64の係止片部64bが係止受部45の位置となるまでヒンジユニット14が押し込まれると、係止片部64bが復帰変形して係止受部45に係止され、ケース位置決め部63が位置決め部43に挿入されて、ヒンジユニット14が保持部32に取り付けられる。この状態で、ヒンジユニット14の嵌着部65,65が取付壁部35,35の取付開口部41,41に後部に嵌着されて取付開口部41,41の後部を閉塞するとともに、シャフト52の両端部(係合片68,68)が取付開口部41,41から外方へと突出した位置となる。なお、シャフト52は、図示しない脱落防止構造によって保持部32に対してケース体51への圧入方向とは反対方向への脱落が防止されてもよい。
【0050】
そして、ヒンジユニット14及び蓋体13のボックス本体12への組み付けの際には、ヒンジユニット14のシャフト52の両端部の係合片68,68を、取付部23,23の係合受部25,25の上部(呼込部26)に宛がう。そして、ヒンジユニット14及び蓋体13を係合受部25,25の内部すなわち下方へと押し込むと、この押し込みにしたがい、係合片68,68が係合受部25,25との接触によりシャフト52の軸方向中央側へと弾性変形され(
図6(a))、これら係合片68,68が係止開口27,27の位置となると復帰変形して、係合片68,68が係止開口27,27に挿入されて爪部28,28にユニット爪部68a,68aが係合され(
図6(b))、ヒンジユニット14及び蓋体13がボックス本体12へワンタッチで組み付けられる。このとき、係合片68,68は、シャフト52の両端部にあることから、係合受部25,25に対する挿入角度が常に互いに一致(略一致も含む)することで、係合片68,68の角度不一致による組み付け不具合などが生じない。
【0051】
このように完成されたコンソールボックス10は、車両の車室内にて、例えば前席間などに組み付けられる。そして、蓋体13を閉じた状態では、蓋体本体31がボックス本体12の上部に位置し、アームレストなどとして機能することができる(
図7(a)及び
図7(b))。このとき、蓋体13は、ヒンジユニット14の各ブッシュ54が各スペーサ53の受け部71に対してスプリング55の反力により押し付けられていることによって、ボックス本体12の開口部21を閉じた状態を維持する。
【0052】
また、蓋体13を回動させると、ヒンジユニット14のシャフト52(
図6(b))に対して、ヒンジユニット14のケース体51及びスペーサ53が蓋体13とともに軸回り方向に回動することで蓋体13が上下に回動する(
図8(a)及び
図8(b))。このとき、各ブッシュ54が各スペーサ53の受け部71に対してスプリング55の反力により押し付けられ、各ブッシュ54の外周面が受け部71に摺接しながら回動する。このため、各スペーサ53と各ブッシュ54との摩擦抵抗によって、蓋体13はボックス本体12に対して、蓋体13の自重に抗して、任意の回動位置で止めることができる。
【0053】
なお、蓋体13をボックス本体12から取り外す際には、ドライバなどの解除ツールを係止開口27の少なくともいずれかの外方から差し込み、内部に位置する係合片68を押し込んでこの係合片68をシャフト52の軸方向に弾性変形させることで、この係合片68の係合が外れ、蓋体13をヒンジユニット14とともにボックス本体12に対して取り外し可能となる。
【0054】
上述したように、上記第1の実施の形態では、ボックス本体12と蓋体13とのいずれか一方、本実施の形態ではボックス本体12に設けられた一対の取付部23,23の係合受部25,25と、ボックス本体12と蓋体13との他方、本実施の形態では蓋体13に設けられ取付部23,23間に位置する保持部32側にスペーサ53を設けたヒンジユニット14のシャフト52の両端部に位置する係合片68,68とのいずれか一方、本実施の形態では係合片68,68を、他方である係合受部25,25に対して押し込むことで弾性変形および復帰変形させて、これら係合受部25,25と係合片68,68とを互いに係合させる。このため、係合片68,68どうしの角度が一致しているか否かを確認するなどの作業が不要で、ヒンジユニット14を介してボックス本体12に対して蓋体13を押し込みによってワンタッチで容易に組み付けできる。したがって、作業工数を削減し、ボックス本体12に対する蓋体13の組み付けの作業性が向上する。
【0055】
また、ヒンジユニット14のシャフト52の両端部に位置する他の係合部をシャフト52の軸方向に弾性変形可能な係合片68,68とし、取付部23,23に設けた一の係合部を復帰変形した係合片68,68が係合される係合受部25,25とすることで、簡単な構成で係合受部25,25と係合片68,68とを互いに係合させることができる。しかも、係合受部25,25に設けた係止開口27,27に係合片68,68を係合させることにより、ツールなどによって係合片68,68をシャフト52の軸方向に押し込むことで係合受部25,25に対する係合を容易に外すことができる。
【0056】
さらに、蓋体13は、ヒンジユニット14のシャフト52の両端部の係合片68,68の係合受部25,25への弾性変形による係合のみでボックス本体12に対して組み付けできるので、固定用の別部品(例えばタッピングや別途の軸部品)などが不要で、部品点数を削減できる。
【0057】
同様に、ヒンジユニット14は、保持部32に対して、固定用の別部材(タッピングなど)を用いることなく、ケース位置決め部63や、係止部64の弾性変形及び復帰変形により容易にワンタッチで取り付けでき、部品点数を削減して製造コストを低減できる。
【0058】
そして、収容部22と連通する開口部21を回動により開閉する蓋体13をボックス本体12に対してヒンジユニット14により容易に取り付けでき、製造性が良好なコンソールボックス10を提供できる。
【0059】
次に、第2の実施の形態を、
図9を参照して説明する。なお、上記の第1の実施の形態と同一の構成及び作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0060】
この第2の実施の形態は、上記の第1の実施の形態の各取付部23の係合受部25,25が、係合片部76,76を備え、シャフト52の両端部の係合片68,68が、壁部78,78と、係止開口部79,79とを備えるものである。
【0061】
各係合片部76は、各係合片68の係止開口部79と係合されることで、ヒンジユニット14を取付部23(ボックス本体12)に対して固定するものである。これら係合片部76は、例えば係合受部25に対する係合片68の挿入方向である上下方向に沿って、係止開口27に対して上部から下方に向かって突出する舌片状に形成されている。すなわち、これら係合片部76は、下端部が自由端状の弾性片となっており、シャフト52の軸方向である左右方向に弾性変形可能である。また、これら係合片部76の先端部である下端部には、シャフト52に対向する内側部が、先端側(上端側)に向かって徐々に厚みが大きくなる爪状の係合爪76aが形成されている。
【0062】
各壁部78は、シャフト52の両端部にて、例えばシャフト52の下部から上方に向かって突出する舌片状に形成されている。すなわち、これら壁部78は、上端部が自由端状となっている。
【0063】
各係止開口部79は、各壁部78を厚み方向、すなわちシャフト52の軸方向に沿って貫通している。
【0064】
そして、ヒンジユニット14及び蓋体13のボックス本体12への組み付けの際には、ヒンジユニット14のシャフト52の両端部の係合片68,68を、取付部23,23の係合受部25,25の上部(呼込部26)に宛がう。そして、ヒンジユニット14及び蓋体13を係合受部25,25の内部すなわち下方へと押し込むと、この押し込みにしたがい、係合片68,68の壁部78,78に対して係合片部76,76の係合爪76a,76aが接触し、この接触によって係合片部76,76がシャフト52の軸方向外方へと弾性変形され、これら係合片部76,76の係合爪76a,76aの位置まで係止開口部79,79が押し込まれると係合片部76,76が復帰変形して係止開口部79,79に挿入されて係合され、ヒンジユニット14及び蓋体13がボックス本体12へワンタッチで組み付けられる。
【0065】
このように、係合受部25,25側と係合片68,68側との係合の凹凸を上記の第1の実施の形態と逆の配置としても、上記の第1の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0066】
なお、上記の各実施の形態において、保持部32をボックス本体12に備え、一対の取付部23,23を蓋体13に備える構成でも、同様の作用効果を奏することができる。
【0067】
さらに、車両の車室に備えられるコンソールボックス10について説明したが、この構成に限られず、車両の他の位置に配置される例えば小物入れ(トレイ)やカップホルダなどの任意の車両用収納ボックスなどに適用できる。また、車両用に限られず、種々の場所に取り付けられる収納装置に適用することもできる。そして、収納装置に限られず、すなわち、回動体は収納ボックスの開口部を開閉する蓋体に限られず、操作部などの部分を覆う回動体を備えた回動体装置として適用することもできる。