特許第6960809号(P6960809)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6960809
(24)【登録日】2021年10月14日
(45)【発行日】2021年11月5日
(54)【発明の名称】粉粒体搬送システム
(51)【国際特許分類】
   B28C 7/06 20060101AFI20211025BHJP
   B65G 53/16 20060101ALI20211025BHJP
   B65G 53/60 20060101ALI20211025BHJP
   B65G 65/40 20060101ALI20211025BHJP
   B65G 53/46 20060101ALI20211025BHJP
   B65G 53/48 20060101ALI20211025BHJP
   B65G 53/50 20060101ALI20211025BHJP
【FI】
   B28C7/06
   B65G53/16
   B65G53/60
   B65G65/40 C
   B65G53/46
   B65G53/48
   B65G53/50
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-169952(P2017-169952)
(22)【出願日】2017年9月5日
(65)【公開番号】特開2019-43071(P2019-43071A)
(43)【公開日】2019年3月22日
【審査請求日】2020年8月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000167233
【氏名又は名称】光洋機械産業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】森永 尚治
(72)【発明者】
【氏名】坂本 義宣
【審査官】 田中 永一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−086133(JP,A)
【文献】 特開2005−104696(JP,A)
【文献】 特開昭60−120017(JP,A)
【文献】 特開平09−272116(JP,A)
【文献】 特開2006−334838(JP,A)
【文献】 特公昭47−035390(JP,B1)
【文献】 実開平06−044800(JP,U)
【文献】 特開平08−025343(JP,A)
【文献】 特開2003−191225(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B28C 7/00 − 7/16
B28C 9/00 − 9/04
B65G 53/00 − 53/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種類の粉粒体をそれぞれ貯蔵する複数の粉粒体サイロと、
前記複数の粉粒体サイロに対応してそれぞれ設けられ、前記粉粒体サイロに貯留された粉粒体を、生コンクリートを製造する生コンクリート製造装置に搬送するための複数の搬送路と、
前記複数の搬送路のそれぞれに圧縮空気を送出する送風機と、
前記複数の搬送路に対応して前記生コンクリート製造装置内にそれぞれ設けられ、前記送風機によって送出された前記圧縮空気に含まれる粉粒体を前記圧縮空気と分離するための複数のサイクロンと、
前記複数のサイクロンに対応して前記生コンクリート製造装置内にそれぞれ設けられ、前記サイクロンによって分離された粉粒体をそれぞれ貯蔵する複数の貯蔵ビンと、
前記各サイクロンから放出される空気に含まれる、前記サイクロンで分離されなかった粉粒体をさらに捕集するためのフィルタを有する捕集手段と、
前記捕集手段によって捕集された粉粒体を、生コンクリートの生成材料を混練するためのコンクリートミキサに移動させる移動手段と、
を備えることを特徴とする、粉粒体搬送システム。
【請求項2】
前記移動手段は、
前記捕集手段によって捕集された粉粒体の移動方向を変化させることにより、前記生コンクリート製造装置の外部に移動させる、請求項に記載の粉粒体搬送システム。
【請求項3】
前記捕集手段によって捕集された粉粒体の蓄積量を検出するための検出手段と、
前記検出手段によって検出された蓄積量に基づいて、前記移動手段への接続路を開閉する開閉手段と、
をさらに備える、請求項またはに記載の粉粒体搬送システム。
【請求項4】
前記各サイクロンは、それらから放出される空気を移送する移送管によって前記捕集手段にそれぞれ接続されており、
前記各移送管は、山型状に折り曲げられて形成されている、請求項ないしのいずれかに記載の粉粒体搬送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばセメントサイロに貯留されたセメント等の粉粒体を生コンクリート製造装置としてのバッチャプラントに搬送するための粉粒体搬送システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば生コンクリート製造装置としてのバッチャプラントは、砂利(粗骨材)、砂(細骨材)、セメント、水及び混和剤等の材料を混練することにより生コンクリートを製造している。
【0003】
バッチャプラントにおいては、セメント等の各材料がそれぞれの搬送設備によって搬送され、バッチャプラント本体内に設けられた各貯蔵ビンに一旦貯蔵される。例えば砂利や砂等の骨材は、骨材サイロからコンベヤを用いてバッチャプラントに搬送され、骨材貯蔵ビンに貯蔵される。また、セメントは、セメントサイロから搬送管を介してバッチャプラントに搬送され、セメント貯蔵ビンに貯蔵される(例えば特許文献1参照)。
【0004】
図6は、従来の粉粒体搬送システムを示す概要構成図である。粉粒体搬送システムは、セメントサイロに貯留されるセメントを、バッチャプラント内のセメント貯蔵ビンにブロア等の送風機から送出される搬送媒体としての圧縮空気を用いて搬送するものである。
【0005】
粉粒体搬送システムでは、複数種類のセメントが貯留された複数のセメントサイロ51が設けられている。各セメントサイロ51に貯留されたセメントは、各セメントサイロ51の下部に設けられたロータリフィーダ52によって搬送管53に排出される。搬送管53の基端には送風機54が接続され、搬送管53の至端はバッチャプラント55まで延び、バッチャプラント55内の各セメント貯蔵ビン56にそれぞれ接続されている。
【0006】
搬送管53内のセメントは、送風機54から送出される圧縮空気によって搬送管53を通じてバッチャプラント55に向けて搬送され、各セメント貯蔵ビン56内に供給される。各セメント貯蔵ビン56の上部には、セメントと圧縮空気とを分離するためのバグフィルタ57がそれぞれ設けられている。分離されたセメントは、バグフィルタ57によってセメント貯蔵ビン56に貯蔵される一方、分離された圧縮空気は大気(バッチャプラント55本体内)に放出される。
【0007】
バグフィルタ57は、図7に示すように、例えばろ布によって形成される複数の円筒状のフィルタ58を有する本体59と、図示しない払落し装置を有する蓋部材60とによって構成されている。払落し装置は、フィルタ58に間欠的にかつパルス状に圧縮空気を吹き付けることにより周表面に付着したセメントを払い落すための装置である。なお、図7(b)中、符号61は、分離された圧縮空気が排出される排出口を示す。
【0008】
上記のように、バグフィルタ57は、払落し装置を有しているが、払落し装置によってもフィルタ58の周表面に付着したセメントを完全に払い落すことができないことが多い。そこで、実際には、図7(b)の矢印Dに示すように、保守作業員によってフィルタ58を一つ一つ手作業によって本体59から取り出し、各フィルタ58に付着したセメントを取り除く作業が行なわれている。
【0009】
しかしながら、一つのバグフィルタ57には、約20〜30個のフィルタ58が備えられており、上記除去作業は、これらフィルタ58を一つ一つバグフィルタ57から取り出し、付着したセメントをフィルタ58の周表面から取り除くため、非常に面倒でありかつ長時間を要する作業となっていた。また、上記の除去作業は、バッチャプラント55の内部に設けられる例えば踊り場(フロア)等で行われ、フィルタ58に付着したセメントを取り除く際にセメントの粉塵が舞い上がり、環境的に過酷な状況での作業となっていた。
【0010】
さらに、バグフィルタ57は、払落し装置が付随されているため比較的高価であり、従来の粉粒体搬送システムは、セメント貯蔵ビン56ごとにバグフィルタ57がそれぞれ設けられているため、コスト高となっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2006−334838号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、メンテナンス作業が容易でかつ簡便な構成の粉粒体搬送システムを提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明によって提供される粉粒体搬送システムは、複数種類の粉粒体をそれぞれ貯蔵する複数の粉粒体サイロと、前記複数の粉粒体サイロに対応してそれぞれ設けられ、前記粉粒体サイロに貯留された粉粒体を、生コンクリートを製造する生コンクリート製造装置に搬送するための複数の搬送路と、前記複数の搬送路のそれぞれに圧縮空気を送出する送風機と、前記複数の搬送路に対応して前記生コンクリート製造装置内にそれぞれ設けられ、前記送風機によって送出された前記圧縮空気に含まれる粉粒体を前記圧縮空気と分離するための複数のサイクロンと、前記複数のサイクロンに対応して前記生コンクリート製造装置内にそれぞれ設けられ、前記サイクロンによって分離された粉粒体をそれぞれ貯蔵する複数の貯蔵ビンと、前記各サイクロンから放出される空気に含まれる、前記サイクロンで分離されなかった粉粒体をさらに捕集するためのフィルタを有する捕集手段と、前記捕集手段によって捕集された粉粒体を、生コンクリートの生成材料を混練するためのコンクリートミキサに移動させる移動手段と、を備えることを特徴としている。
【0016】
本発明の粉粒体搬送システムにおいて、前記移動手段は、前記捕集手段によって捕集された粉粒体の移動方向を変化させることにより、前記生コンクリート製造装置の外部に移動させるとよい。
【0017】
本発明の粉粒体搬送システムにおいて、前記捕集手段によって捕集された粉粒体の蓄積量を検出するための検出手段と、前記検出手段によって検出された蓄積量に基づいて、前記移動手段への接続路を開閉する開閉手段と、をさらに備えるとよい。
【0018】
本発明の粉粒体搬送システムにおいて、前記各サイクロンは、それらから放出される空気を移送する移送管によって前記捕集手段にそれぞれ接続されており、前記各移送管は、山型状に折り曲げられて形成されているとよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、搬送媒体としての圧縮空気によって搬送される粉粒体は、サイクロンによって圧縮空気と分離され、貯蔵ビンに貯蔵される。サイクロンは、構成が容易でかつ基本的にメンテナンスフリーであるため、従来の構成と比較してメンテナンス性が大幅に向上された粉粒体搬送システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明に係る粉粒体搬送システムを含むプラント設備の概略構成を示す図である。
図2】バッチャプラントの概略構成を示す図である。
図3】サイクロンの一例を示す斜視図である。
図4】サイクロンの作用を説明するための図である。
図5】サイクロンと捕集装置との接続状態を示す概略斜視図である。
図6】従来の粉粒体搬送システムの概略構成を示す図である。
図7】従来のバグフィルタを示し、(a)は外観斜視図、(b)は内部の構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
【0022】
図1は、本発明に係る粉粒体搬送システムを含むプラント設備の概略構成を示す図である。この粉粒体搬送システムは、例えばセメントサイロに貯留されたセメント等の粉粒体を、生コンクリート製造装置としてのバッチャプラントの内部に設けられたセメント貯蔵ビンに搬送媒体として圧縮空気を用いて搬送するものである。
【0023】
粉粒体搬送システムは、例えば複数種類のセメントを貯蔵する複数のセメントサイロ1を備えている。複数種類のセメントとしては、普通セメント、高炉セメント及び早強セメント等が挙げられる。なお、本実施形態においては、搬送される粉粒体としてはセメントに限らず、例えばフライアッシュや他の粉粒物であってもよい。
【0024】
各セメントサイロ1の上部には、サイロ用バグフィルタ2がそれぞれ設けられている。サイロ用バグフィルタ2は、例えば圧送車(図略)等によって圧送されたセメントを空気と分離するためのものである。サイロ用バグフィルタ2によって分離されたセメントは、セメントサイロ1に貯留される一方、分離された空気は大気に放出される。
【0025】
各セメントサイロ1の下部には、ロータリフィーダ3がそれぞれ設けられている。ロータリフィーダ3は、各セメントサイロ1内に貯留されたセメントを、後述する搬送管4に対して定量的に排出するものである。ロータリフィーダ3は、セメントの排出量を調整するための複数の羽根を有するロータ5と、ロータ5を回転駆動させるギヤードモータ6と、図略の排出ゲートを開閉するためのバタフライ弁7とによって概略構成されている。なお、ギヤードモータ6は、インバータ制御によりロータ5の回転速度を可変自在とされている。
【0026】
搬送管4は、その基端に送風機8が接続されている。送風機8は、セメントをセメント貯蔵ビン15に搬送するための圧縮空気を搬送管4に対して送出するものである。送風機8は、例えばルーツタイプのブロワ等が用いられる。
【0027】
搬送管4は、途中3本に分岐されて各ロータリフィーダ3にそれぞれ接続されている。各ロータリフィーダ3の下流側に接続された各搬送管4は、バッチャプラント11まで延びている。また、搬送管4には、ロータリフィーダ3の手前で切替弁9がそれぞれ設けられている。切替弁9は、送風機8からの圧縮空気をいずれかのロータリフィーダ3に接続された搬送管4に与えるべく切り替えられるものである。
【0028】
各搬送管4は、バッチャプラント11の本体内において複数のサイクロン10にそれぞれ接続されている。サイクロン10は、遠心分離の原理を利用して、搬送管4によって搬送されたセメント及び圧縮空気を分離するためのものである。分離されたセメントは、後述するセメント貯蔵ビン15に供給され貯蔵される。なお、サイクロン10は、粒子径が例えば5μm以上の粉粒体を捕集することができるものである。
【0029】
ここで、図2を参照してバッチャプラント11について簡単に説明する。なお、図2には、図1と比較して貯蔵ビン15及びコンクリートミキサ18が重複されて記載されている。生コンクリート製造装置としてのバッチャプラント11は、例えば砂利(粗骨材)、砂(細骨材)、セメント、水及び混和剤等を混練することにより生コンクリートを製造するための装置である。
【0030】
バッチャプラント11は、砂や砂利等の骨材を貯蔵する貯蔵サイロ(図略)等から例えば骨材を運搬するためのベルトコンベヤ12を備えている。ベルトコンベヤ12によって運搬された骨材は、ターンヘッド13によって複数の骨材貯蔵ビン14に分配される。また、セメントは、図1に示したように、セメントサイロ1から粉粒体搬送システムによってセメント貯蔵ビン15に供給される。
【0031】
骨材貯蔵ビン14に貯蔵された砂及び砂利は、骨材計量器16によって計量され、骨材投入シュート17を介してコンクリートミキサ18に投入される。セメント貯蔵ビン15に貯蔵されたセメントは、セメント計量器19によって計量され、セメント投入シュート20を介してコンクリートミキサ18に投入される。
【0032】
また、水貯留ビン21に貯蔵された水は、水計量器22において混和剤と混合され、水及び混和剤の合計量が水計量器22によって計量され、水投入管23を介してコンクリートミキサ18に投入される。
【0033】
コンクリートミキサ18に投入された、砂利、砂、セメント、水及び混和剤等の材料は、コンクリートミキサ18において混練されることによって生コンクリートとなる。生コンクリートは、コンクリートミキサ8の下部に設けられたコンクリートホッパ24及び開閉自在なホッパゲート25を介して、アジテータ車(図略)等によって建設現場に運搬される。
【0034】
図3は、図1に示すサイクロン10の一例を示す斜視図である。サイクロン10は、下部が円錐状に狭まった略円筒状の本体31を有している。本体31は、その上部側面の周面に沿うような形で空気流入管32が形成されている。空気流入管32は、図示していないが、上述した搬送管4に連通されており、セメントを含む圧縮空気がこの空気流入管32に流入される。本体31の下端には、分離されたセメントが通過するセメント捕集口33が形成されている。セメント捕集口33には、接続管34が接続され、接続管34はセメント貯蔵ビン15に接続されている。
【0035】
サイクロン10の内部上方には、筒状の空気放出管35が形成され、セメントと分離された圧縮空気は、この空気放出管35を通じて外部に放出される。空気放出管35は、移送管36に接続され、移送管36は、後述する捕集装置37に接続されている。
【0036】
ここで、図4を参照してサイクロン10における作用を説明する。空気流入管32から流入されたセメントを含む圧縮空気は、本体31の内周面に沿って渦巻き状にかつ下降するように進行する(同図の矢印A参照)。そして、セメントを含む圧縮空気は、セメント捕集口33の近傍において分離され、セメントはセメント捕集口33から下方に落下する一方(同図の矢印B参照)、圧縮空気は上昇し空気放出管35及び移送管36を介して外部に放出される(同図の矢印C参照)。
【0037】
図1に戻り、各サイクロン10から延びる移送管36は、一つの移送管36に集約され、バッチャプラント11内に設けられた捕集装置37に接続されている。捕集装置37は、各サイクロン10で分離されなかったセメントを捕集するためのものである。捕集装置37は、[背景技術]の欄で示したバグフィルタ57と同様の原理でセメントを捕集する。すなわち、捕集装置37の内部には複数のフィルタ(図略)が設けられ、これら複数のフィルタによって、各サイクロン10で分離されなかったセメントが捕集される。
【0038】
なお、各移送管36は、図1において各サイクロン10の上方から立ち上がり途中で水平に延びるように記載されているが、各移送管36は、図5に示すように、山型状に折り曲げられて形成され、捕集装置37の手前で各移送管36同士が接続されるようにしてもよい。各移送管36が水平に延びていると、例えば送風機8からの送風が弱まったり停止したりした場合に、セメントが移送管36に滞留して移送管36内で固まってしまいセメントの移送を阻害することがあるが、各移送管36が山型状に形成されると、そのような移送を阻害する可能性を少なくすることができる。
【0039】
ここで、捕集装置37に捕集されるセメントは、各サイクロン10から放出されたものであるため、捕集装置37において種類の異なる複数のセメントが混合されることになる。混合されたセメントは、製品仕様の生コンクリートを生成する場合に用いることができないため、例えば貧配合のコンクリートを生成する場合に用いられる。あるいは、バッチャプラント11の外部に廃棄物として排出される。
【0040】
捕集装置37は、その下端に接続管38が接続されており、接続管38には、ホッパ39が接続されている。ホッパ39は、混合されたセメントを一時的に蓄積するものであり、ホッパ39の下部には開閉自在な開閉弁40が接続されている。開閉弁40の下流側には、正逆回転自在のスクリューコンベア41が接続されている。スクリューコンベア41の一方出口には、接続管42を介してコンクリートミキサ18が接続されている。また、スクリューコンベア41の他方出口には、バッチャプラント11の外部に延びる接続管43が接続されている。
【0041】
上記の構成により、開閉弁40が開状態となるとともにスクリューコンベア41が例えば正転方向に回転すると、ホッパ39に一時的に蓄積されたセメントは、スクリューコンベア41によってコンクリートミキサ18側(図1において右方向)に送出される。一方、スクリューコンベア41が例えば逆転方向に回転すると、セメントは、スクリューコンベア41によってバッチャプラント11の外部側(図1において左方向)に送出される。
【0042】
次に、この粉粒体搬送システムにおける作用を説明する。
【0043】
いずれかのセメントサイロ1に貯留されたセメントがバッチャプラント11に搬送される場合、まず、当該セメントサイロ1に対応する搬送管4に設けられた切替弁9が開状態となり、送風機8が駆動されることにより、送風機8から圧縮空気が当該搬送管4に送出される。また、当該セメントサイロ1に接続されたロータリフィーダ3のロータ5がギヤードモータ6により回転駆動されるとともに、バタフライ弁7が開状態とされることにより、当該セメントサイロ1に貯留されているセメントが当該搬送管4に排出される。
【0044】
この場合、セメントサイロ1からのセメントが定量的に搬送管4に排出されるように、ロータリフィーダ3のインバータ制御によってロータ5の回転速度が調整される。これにより、セメントは、その排出量が調整され、送風機5から圧縮空気が送出されることより、搬送管4を通じてバッチャプラント11に向けて搬送される。
【0045】
搬送管4を通じてバッチャプラント11に向けて搬送されるセメントを含む圧縮空気が、バッチャプラント11のサイクロン10に到達すると、サイクロン10では、図4に示したように、セメントと圧縮空気とが分離され、分離されたセメントは、接続管34を介してセメント貯蔵ビン15に供給される。
【0046】
一方、サイクロン10によって分離された圧縮空気は、移送管36を介して捕集装置37に送られる。捕集装置37では、サイクロン10によって分離されなかったセメントが圧縮空気と分離される。捕集装置37の下流側の開閉弁40は、通常状態では閉状態とされているので、セメントはホッパ39に一旦蓄積される。
【0047】
なお、ホッパ39には、上述したように、各サイクロン10で分離された種類の異なるセメントが混ざりながら蓄積される。これらのセメントを用いて貧配合のコンクリートが生成されるときには、開閉弁40が開状態になるとともにスクリューコンベア41が正転方向に回転される。これにより、貧配合用のセメントは、スクリューコンベア41の一方端であるコンクリートミキサ18側に送り出され、接続管42を介してコンクリートミキサ18に送られる。
【0048】
一方、ホッパ39に蓄積されたセメントを廃却する場合には、開閉弁40が開状態になるとともにスクリューコンベア41が逆転方向に回転される。これにより、廃却用のセメントは、スクリューコンベア41の他方端であるコンクリートミキサ18の反対側に送り出され、接続管43を介してバッチャプラント11の外部に送られ、例えばダンプ車等で運搬されて廃却される。
【0049】
このように、本実施形態によれば、搬送媒体としての圧縮空気によって搬送されるセメントは、サイクロン10によって圧縮空気と分離され、セメント貯蔵ビン15に貯蔵される。サイクロン10は、上記したように、構成が容易でかつ基本的にメンテナンスフリーであるため、従来の構成と比較してメンテナンス性が大幅に向上された粉粒体搬送システムを提供することができる。
【0050】
すなわち、従来の構成において圧縮空気とセメントの分離に用いられていたバグフィルタ57は、[背景技術]の欄で説明したように、フィルタ58を一つ一つ手作業によってバグフィルタ57から取り出し、各フィルタ58に付着したセメントを取り除く面倒な作業が必要でありかつ清掃に長時間を要するものであった。また、バグフィルタ57の清掃作業は、バッチャプラント11内の例えば踊り場等で行われ、粉塵が舞う等の劣悪な環境での作業となっていた。
【0051】
しかしながら、本実施形態では、上記バグフィルタ57に代えてサイクロン10が用いられるので、清掃作業自体を行う必要がない。よって、バグフィルタ57を清掃するための面倒でかつ長時間を要していた作業を行う必要はなく、劣悪な環境での清掃作業も行わなくてよい。
【0052】
また、従来のバグフィルタ57は払落し装置が設けられているため比較的高価であったが、構成が容易な安価なサイクロン10が採用されることにより、大幅にコストを低減化することができる。
【0053】
また、従来のバグフィルタ57は、それ相応の大きさを有し、貯蔵ビン15ごとに設けられているため、広大な設置スペースが必要であったが、本実施形態のサイクロン10を採用すれば、設置スペースを大幅に縮小することができる。
【0054】
なお、上記実施形態では、各サイクロン10の下流側に捕集装置37が設けられているが、この捕集装置37は、サイクロン10で分離されなかったセメントを捕集するものであるので、フィルタに付着するセメントの量は大幅に少なくなっている。また、付着するセメントも、本来はあまり製造されない例えば捨てコンクリート等に使用されるものである。したがって、その清掃作業も頻繁に行う必要もなく、保守作業員の負担を軽減することができる。
【0055】
また、本実施形態の粉粒体搬送システムによれば、各サイクロン10からの供給により貧配合用のセメントを生成することができるので、当初から貧配合のコンクリートをあえて作成する際の無駄な材料を削減することができる。
【0056】
なお、上記実施形態では、貧配合用のセメントあるいは廃却用のセメントを生成する際、ホッパ39に混合されたセメントが一旦蓄積されるが、その蓄積量を自動で検出するようにしてもよい。すなわち、ホッパ39には、混合されたセメントが一定の蓄積量に達するか否かの検出部(図略)が設けられ、混合されたセメントが検出部によって上記蓄積量に達したことが検出された場合、開閉弁40を自動で閉状態から開状態に移行するようにしてもよい。
【0057】
これにより、例えばホッパ39に混合されたセメントが一定量に達したことを検出することができ、例えばスクリューコンベア41を逆転方向に回転させることにより、混合されたセメントを自動で廃却することができる。
【0058】
本発明の範囲は上述した実施の形態に限定されるものではなく、発明の範囲を逸脱しない範囲で種々の変更を行うことができる。例えば上記実施形態における各部材の形態、大きさ、数量及び構造等は、上記実施形態に限るものではなく適宜設計変更可能である。例えば、上記実施形態においては、サイクロン10は粒子径が例えば5μm以上の粉粒体を捕集することができるので、そのような粉粒体を捕集する目的で上記粉粒体搬送システムを用いる場合には、サイクロン10の下流側に捕集装置37が設けられていない構成としてもよい。
【符号の説明】
【0059】
1 セメントサイロ
3 ロータリフィーダ
4 搬送管
8 送風機
9 切替弁
10 サイクロン
11 バッチャプラント
15 セメント貯蔵ビン
18 コンクリートミキサ
36 移送管
37 捕集装置
39 ホッパ
40 開閉弁
41 スクリューコンベア
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7