(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6960852
(24)【登録日】2021年10月14日
(45)【発行日】2021年11月5日
(54)【発明の名称】組織を切断する装置および方法
(51)【国際特許分類】
A61B 17/3205 20060101AFI20211025BHJP
A61B 17/16 20060101ALI20211025BHJP
A61B 17/56 20060101ALI20211025BHJP
【FI】
A61B17/3205
A61B17/16
A61B17/56
【請求項の数】38
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-512639(P2017-512639)
(86)(22)【出願日】2015年5月7日
(65)【公表番号】特表2017-518853(P2017-518853A)
(43)【公表日】2017年7月13日
(86)【国際出願番号】US2015029576
(87)【国際公開番号】WO2015175292
(87)【国際公開日】20151119
【審査請求日】2018年4月12日
【審判番号】不服2020-8852(P2020-8852/J1)
【審判請求日】2020年6月25日
(31)【優先権主張番号】61/994,293
(32)【優先日】2014年5月16日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500498763
【氏名又は名称】ジャイラス エーシーエムアイ インク
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジョエル・エー・ウィルハイト
(72)【発明者】
【氏名】ケヴィン・シー・エドワーズ
【合議体】
【審判長】
佐々木 一浩
【審判官】
井上 哲男
【審判官】
栗山 卓也
(56)【参考文献】
【文献】
特表2012−509096(JP,A)
【文献】
特開平1−126957(JP,A)
【文献】
米国特許第4811734(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/32
A61B 17/3205
A61B 17/3207
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠位端および近位端を有する外管と、
前記外管内に回転可能に配設された内管であって、遠位端および近位端を有する内管と、を備え、
前記内管が遠位端側に配置された前縁および近位端側に配置された後縁を有する開口部を備え、
前記外管が遠位端側に配置された前縁および近位端側に配置された後縁を有する単一の窓を備え、
前記開口部の前記前縁および前記開口部の前記後縁の少なくとも1つが前記内管の長手方向軸線に対する傾斜縁部を備え、および前記窓の前記前縁および前記窓の前記後縁の少なくとも1つが前記外管の長手方向軸線に対する傾斜縁部を備え、
前記外管の前記窓が、前記外管内で前記内管が回転する段階の間、前記内管によって完全に遮断されるように適合され、
前記内管を前記外管内で一方向に回転させると、前記内管の前記前縁が前記外管の前記後縁を横切って掃引されることにより、前記内管の前記前縁と前記外管の前記後縁との境界面においてせん断作用が生じ、および、前記内管を前記外管内で他方向に回転させると前記内管の前記後縁が前記外管の前記前縁を横切って掃引されることにより、前記前記内管の前記後縁と前記外管の前記前縁との境界面においてせん断作用が生じる、切断器具。
【請求項2】
前記傾斜縁部が一定ピッチのらせんを含む、請求項1に記載の切断器具。
【請求項3】
前記傾斜縁部が非一定ピッチのらせんを含む、請求項1に記載の切断器具。
【請求項4】
前記窓の前記傾斜縁部が楕円のセグメントを含む、請求項1に記載の切断器具。
【請求項5】
前記内管が前記外管に対して回転する間、前記開口部の前記前縁および前記開口部の前記後縁の1つで切断効果が生じる、請求項1に記載の切断器具。
【請求項6】
前記内管が前記外管に対して回転する間、前記窓の前記前縁および前記窓の前記後縁の1つで切断効果が生じる、請求項1に記載の切断器具。
【請求項7】
前記外管の遠位端が閉じている、請求項1に記載の切断器具。
【請求項8】
前記開口部の前記前縁および前記開口部の前記後縁の少なくとも1つがらせんを含む、請求項1に記載の切断器具。
【請求項9】
前記開口部の前記前縁および前記開口部の前記後縁の両方がらせんを含む、請求項8に記載の切断器具。
【請求項10】
前記開口部の前記前縁および前記開口部の前記後縁が一定の距離に分離される、請求項9に記載の切断器具。
【請求項11】
前記開口部の前記前縁および前記開口部の前記後縁が非一定の距離に分離される、請求項9に記載の切断器具。
【請求項12】
前記窓の前記前縁および前記窓の前記後縁の少なくとも1つがらせんを含む、請求項1に記載の切断器具。
【請求項13】
前記窓の前記前縁および前記窓の前記後縁の両方がらせんを含む、請求項12に記載の切断器具。
【請求項14】
前記窓の前記前縁および前記窓の前記後縁が一定の距離に分離される、請求項13に記載の切断器具。
【請求項15】
前記窓の前記前縁および前記窓の前記後縁が非一定の距離に分離される、請求項13に記載の切断器具。
【請求項16】
前記開口部の前記前縁、前記開口部の前記後縁、前記窓の前記前縁、および前記窓の前記後縁がすべてらせんを含む、請求項1に記載の切断器具。
【請求項17】
前記開口部の前記前縁および前記開口部の前記後縁の少なくとも1つが、前記窓の前記前縁および前記窓の前記後縁の少なくとも1つとは異なるピッチを含む、請求項16に記載の切断器具。
【請求項18】
前記開口部の少なくとも1つの縁部が傾斜し、前記窓の少なくとも1つの縁部が傾斜し、前記開口部の前記少なくとも1つの傾斜縁部および前記窓の前記少なくとも1つの傾斜縁部が同じ旋回方向に傾斜した、請求項1に記載の切断器具。
【請求項19】
遠位端および近位端を有する外管と、
前記外管内に回転可能に配設された内管であって、遠位端および近位端を有する内管と、を備え、
前記内管が遠位端側に配置された前縁および近位端側に配置された後縁を有する開口部を備え、
前記外管が遠位端側に配置された前縁および近位端側に配置された後縁を有する単一の窓を備え、
前記開口部の前記前縁および前記開口部の前記後縁の少なくとも1つが前記内管の長手方向軸線に対する傾斜縁部を備え、前記窓の前記前縁および前記窓の前記後縁の少なくとも1つが前記外管の長手方向軸線に対する傾斜縁部を備え、
前記開口部の前記少なくとも1つの傾斜縁部および前記窓の前記少なくとも1つの傾斜縁部が、同じ旋回方向に傾斜し、
前記内管を前記外管内で一方向に回転させると、前記内管の前記前縁が前記外管の前記後縁を横切って掃引されることにより、前記内管の前記前縁と前記外管の前記後縁との境界面においてせん断作用が生じ、および前記内管を前記外管内で他方向に回転させると前記内管の前記後縁が前記外管の前記前縁を横切って掃引されることにより、前記前記内管の前記後縁と前記外管の前記前縁との境界面においてせん断作用が生じる、切断器具。
【請求項20】
前記開口部の前記少なくとも1つの傾斜縁部が一定ピッチのらせんを含む、請求項19に記載の切断器具。
【請求項21】
前記開口部の前記少なくとも1つの傾斜縁部が非一定ピッチのらせんを含む、請求項19に記載の切断器具。
【請求項22】
前記窓の前記少なくとも1つの傾斜縁部が一定ピッチのらせんを含む、請求項19に記載の切断器具。
【請求項23】
前記窓の前記少なくとも1つの傾斜縁部が非一定ピッチのらせんを含む、請求項19に記載の切断器具。
【請求項24】
前記窓の前記少なくとも1つの傾斜縁部が楕円のセグメントを含む、請求項19に記載の切断器具。
【請求項25】
前記内管が前記外管に対して回転する間、前記開口部の前記前縁および前記開口部の前記後縁の1つで切断効果が生じる、請求項19に記載の切断器具。
【請求項26】
前記内管が前記外管に対して回転する間、前記窓の前記前縁および前記窓の前記後縁の1つで切断効果が生じる、請求項19に記載の切断器具。
【請求項27】
前記外管の遠位端が閉じている、請求項19に記載の切断器具。
【請求項28】
前記開口部の前記前縁および前記開口部の前記後縁の少なくとも1つがらせんを含む、請求項19に記載の切断器具。
【請求項29】
前記開口部の前記前縁および前記開口部の前記後縁の両方がらせんを含む、請求項28に記載の切断器具。
【請求項30】
前記開口部の前記前縁および前記開口部の前記後縁が一定の距離に分離される、請求項29に記載の切断器具。
【請求項31】
前記開口部の前記前縁および前記開口部の前記後縁が非一定の距離に分離される、請求項29に記載の切断器具。
【請求項32】
前記窓の前記前縁および前記窓の前記後縁の少なくとも1つがらせんを含む、請求項19に記載の切断器具。
【請求項33】
前記窓の前記前縁および前記窓の前記後縁の両方がらせんを含む、請求項32に記載の切断器具。
【請求項34】
前記窓の前記前縁および前記窓の前記後縁が一定の距離に分離される、請求項33に記載の切断器具。
【請求項35】
前記窓の前記前縁および前記窓の前記後縁が非一定の距離に分離される、請求項33に記載の切断器具。
【請求項36】
前記開口部の前記前縁、前記開口部の前記後縁、前記窓の前記前縁、および前記窓の前記後縁がすべてらせんを含む、請求項19に記載の切断器具。
【請求項37】
前記開口部の前記前縁および前記開口部の前記後縁の少なくとも1つが、前記窓の前記前縁および前記窓の前記後縁の少なくとも1つとは異なるピッチを含む、請求項36に記載の切断器具。
【請求項38】
前記外管の前記窓が、前記外管内で前記内管が回転する段階の間、前記内管によって完全に遮断されるように適合された、請求項19に記載の切断器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
係属中の先行特許出願の参照
本出願は、「組織を切断する装置および方法(APPARATUS AND METHOD FOR CUTTING TISSUE)」(代理人整理番号OLYMPUS-2 PROV)に対する2014年5月16日に出願されたGyrus ACMI, Inc. (d.b.a. Olympus Surgical Technologies America)およびJoel A. Willhite およびその他による係属中の先行米国仮特許出願第61/994,293号の利益を主張し、該特許出願を参照により本明細書に組み込む。
【0002】
本発明は、全体として外科用装置および方法に関し、より詳細には、組織を切断する外科用装置および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
多くの状況では、組織に遠隔手術部位においてアクセスし、隣接した解剖学的構造から組織を切除し、次に切除組織を遠隔手術部位から除去することが必要なことがある。例として、非限定的に、関節鏡視下手術、内視鏡手術、ENT手術などの間、比較的小さい可視化デバイス(例えば、「スコープ」)および比較的小さい手術器具(例えば、把持器、カッター、焼灼器(cauterizers)など)は、一般に、人体内の限定された空間(例えば、関節の内部、腹部の内部、鼻孔の内部など)に導入され、次にその位置で特定の外科処置(例えば、関節の半月板をトリミングする、腹部の組織塊を切除する、鼻孔の組織塊を切除するなど)に使用される。多くのかかる手術では、アクセスおよび/または視覚化をより良好にするために解剖学的構造を拡張するように(例えば、アクセスおよび/または視覚化をより良好にするために膝関節を拡張するように)、かつ/または視認性を改善するように(例えば、血液を洗い流すように)、かつ/またはデブリを除去するように(例えば、切断された組織を吸引によって除去するように)、流体が手術部位に導入され(その後、手術部位から除去され)る。
【0004】
かかる手術で頻繁に用いられる手術器具の1つは、いわゆる「電動シェーバ」である。電動シェーバは、一般的に、窓を有する外管と、外管内に回転可能に配設された、開口部を有する内管と、を備え、内管が外管内で回転することによって内管の開口部が外管の窓を横切って繰返し掃引し、それによって外管の窓内へと延在する組織を削ぎ取る。電動シェーバによって削ぎ取られた組織を除去するため、吸引が内管の内部に適用される。例えば、特許文献1(Bonnellおよびその他)および特許文献2(McGurk-Burleson およびその他)を参照されたい。
【0005】
しかしながら、現在の電動シェーバは、1つまたは複数の不利な点を備える傾向がある。例として、非限定的に、現在の電動シェーバは小さい窓を備える傾向があり、それは一般に、かなり大きいデブリを内管の内部を通して除去するために、適切な吸引を担保しようと試みた結果である。それに加えて、現在の電動シェーバは、不十分な切断作用を有する傾向があり、それは一般に、用いられるせん断幾何学形状の結果である。中でも特に、現在の電動シェーバでは、切断面の振動運動および位置は、側方移動で組織を「あちこちに動かす」傾向がある。さらに、現在の電動シェーバは、吸引が弱い傾向があり、それは一般に、外管の窓および内管の開口部で使用される幾何学形状の結果である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第4,203,444号明細書
【特許文献2】米国特許第4,867,157号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、従来技術の欠点を改善する新しい電動カッターを提供することが有利である。中でも特に、窓のサイズを拡大し、切断作用を改善し、吸引に優れた、新しい電動カッターを提供することが有利であろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、従来技術の欠点を改善する、新しい電動カッターを提供し使用することを含む。中でも特に、新しい電動カッターは、窓のサイズを拡大し、切断作用を改善し、吸引に優れている。
【0009】
本発明の1つの形態では、
外管と、
前記外管内に回転可能に配設された内管と、を備え、
前記内管が前縁および後縁を有する開口部を備え、
前記外管が前縁および後縁を有する窓を備え、
前記開口部の前記前縁、前記開口部の前記後縁、前記窓の前記前縁、および前記窓の前記後縁の少なくとも1つが傾斜縁部(canted edge)を備え、
前記外管の前記窓が、前記外管内で前記内管が回転する段階の間、前記内管によって完全に遮断されるように適合された、切断器具が提供される。
【0010】
本発明の別の形態では、
外管と、
前記外管内に回転可能に配設された内管と、を備え、
前記内管が前縁および後縁を有する開口部を備え、
前記外管が前縁および後縁を有する窓を備え、
前記開口部の前記前縁および前記開口部の前記後縁の少なくとも1つが傾斜縁部を備え、前記窓の前記前縁および前記窓の前記後縁の少なくとも1つが傾斜縁部を備え、
前記開口部の前記少なくとも1つの傾斜縁部および前記窓の前記少なくとも1つの傾斜縁部が、同じ旋回方向に傾斜した、切断器具が提供される。
【0011】
本発明の別の形態では、
切断器具を提供するステップであって、
外管と、
前記外管内で回転可能に配設された内管と、を備え、
前記内管が前縁および後縁を有する開口部を備え、
前記外管が前縁および後縁を有する窓を備え、
前記開口部の前記前縁、前記開口部の前記後縁、前記窓の前記前縁、および前記窓の前記後縁の少なくとも1つが傾斜縁部を備え、
前記外管の前記窓が、前記外管内で前記内管が回転する段階の間、前記内管によって完全に遮断されるように適合された、切断器具を提供するステップと、
対象を前記窓内に位置決めするステップと、
前記内管を前記外管内で回転させるステップと、を含む、対象を切断する方法が提供される。
【0012】
本発明の別の形態では、
切断器具を提供するステップであって、
外管と、
前記外管内に回転可能に配設された内管と、を備え、
前記内管が前縁および後縁を有する開口部を備え、
前記外管が前縁および後縁を有する窓を備え、
前記開口部の前記前縁および前記開口部の前記後縁の少なくとも1つが傾斜縁部を備え、前記窓の前記前縁および前記窓の前記後縁の少なくとも1つが傾斜縁部を備え、
前記開口部の前記少なくとも1つの傾斜縁部および前記窓の前記少なくとも1つの傾斜縁部が、同じ旋回方向で傾斜した、切断器具を提供するステップと、
対象を前記窓内に位置決めするステップと、
前記内管を前記外管内で回転させるステップと、を含む、対象を切断する方法が提供される。
【0013】
本発明のこれらおよび他の目的は、本発明の好ましい実施形態の以下の詳細な説明によってさらに十分に開示され、または明白になる。実施形態は添付図面と併せて考慮すべきものであり、図面中、同様の番号は同様の部分を指す。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明にしたがって形成された新規な電動カッターを示す概略図である。
【
図2】
図1に示される電動カッターのブレードアセンブリを示す概略図である。
【
図3】
図1に示される電動カッターのブレードアセンブリを示す概略図である。
【
図4】
図1に示される電動カッターのブレードアセンブリを示す概略図である。
【
図5】
図1に示される電動カッターのブレードアセンブリを示す概略図である。
【
図6】
図2〜
図5に示されるブレードアセンブリの外管を示す概略図である。
【
図7】
図2〜
図5に示されるブレードアセンブリの内管を示す概略図である。
【
図8】
図2〜
図5に示されるブレードアセンブリの内管を示す概略図である。
【
図9】
図2〜
図5に示されるブレードアセンブリの内管を示す概略図である。
【
図10A】異なる動作状態におけるブレードアセンブリを示す概略図である。
【
図10B】異なる動作状態におけるブレードアセンブリを示す概略図である。
【
図10C】異なる動作状態におけるブレードアセンブリを示す概略図である。
【
図11】ブレードアセンブリの外管の代替構造を示す概略図である。
【
図12】ブレードアセンブリの外管の代替構造を示す概略図である。
【
図13】ブレードアセンブリの外管の代替構造を示す概略図である。
【
図14】ブレードアセンブリの外管の代替構造を示す概略図である。
【
図15】ブレードアセンブリの内管の代替構造を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、従来技術の欠点を改善する新しい電動カッターを提供し使用することを含む。とりわけ、この新しい電動カッターは、窓のサイズを拡大し、切断作用を改善し、吸引に優れている。
【0016】
より詳細には、またここで
図1を見ると、本発明にしたがって形成された新規な電動カッター5が示されている。新規な電動カッター5は、一般に、ブレードアセンブリ10およびハンドルアセンブリ15を備える。以下でさらに詳細に考察するように、ブレードアセンブリ10は、使用時にはハンドルアセンブリ15(または別のハンドルアセンブリ)に結合され、使用後には(例えば、洗浄および殺菌、修理もしくは交換などのために)ハンドルアセンブリ15(または別のハンドルアセンブリ)から分離されるように意図される。あるいは、ブレードアセンブリ10は、例えば一個片の使い捨てシステムの場合など、製造時にハンドルアセンブリ15(または別のハンドルアセンブリ)に結合されてもよい。
【0017】
ブレードアセンブリ10が
図1〜
図5にさらに詳細に示されている。ブレードアセンブリ10は、一般に、外管20と、外管20内で回転可能に配設された内管25と、を備える。
【0018】
外管20が
図1〜
図6にさらに詳細に示されている。外管20は、一般に、遠位端35と、近位端40と、遠位端35から近位端40まで延在する管腔45と、を備える。本発明の1つの好ましい形態では、外管20は、好ましくは閉鎖遠位端48を備える。
【0019】
外管20は、前縁55および後縁60を備える窓50を備える。本発明の1つの好ましい形態では、前縁55および後縁60は、外管20の長手方向軸線61に対して傾斜している。本発明の1つの好ましい形態では、前縁55および後縁60は(一定ピッチまたは非一定ピッチとし得る)らせん構成を有する。本発明の別の好ましい形態では、前縁55および後縁60は楕円のセグメントである構成を有する。本発明の1つの好ましい形態では、外管20はまた、前縁55を後縁60に接続する第1の縁部65と、前縁55を後縁60に接続する第2の縁部70と、を備える。本発明の1つの好ましい形態では、前縁55、後縁60、第1の縁部65、および第2の縁部70は、平行四辺形の柱状区画を形成する。
【0020】
内管25が
図1〜
図5および
図7〜
図9にさらに詳細に示されている。内管25は、一般に、遠位端75と、近位端80と、遠位端75から近位端80まで延在する管腔83と、を備える。本発明の1つの好ましい形態では、内管25は、好ましくは閉鎖遠位端84を備える。
【0021】
内管25は、前縁90および後縁95を備える開口部85を備える。本発明の1つの好ましい形態では、前縁90および後縁95は、内管25の長手方向軸線96に対して傾斜している。本発明の1つの好ましい形態では、前縁90および後縁95は(一定ピッチまたは非一定ピッチとし得る)らせん構成を有する。本発明の別の好ましい形態では、前縁90および後縁95は楕円のセグメントである構成を有する。
【0022】
内管25の前縁90は、外管20の後縁60に対してある角度で延在し、かつ/または内管25の後縁95は、外管20の前縁55に対してある角度で延在し、そのため、以下に考察するように、内管25を管20に対して回転させると、かかる表面(即ち、縁部)間でせん断作用が生じることが認識されるべきである。
【0023】
内管25は外管20内に回転可能に配設されるので、内管25が外管20内で回転することによって内管25の開口部85が外管20の窓50を横切って繰返し掃引し、それによって外管20の窓50内へと延在する組織を削ぎ取る。より詳細には、本発明によれば、内管25を外管20内で回転させるにつれて、内管25の前縁90が外管20の後縁60を横切って掃引され、あるいは外管20に対する内管25の回転方向に応じて、内管25の後縁95が外管20の前縁55を横切って掃引され、そのため、内管25の前縁90と外管20の後縁60との境界面において、または内管25の後縁95と外管20の前縁55との境界面において、せん断作用が生じる。このせん断作用は、外管20の窓50内へと延在する組織を切り取ることに寄与する。このせん断作用は、せん断(「切取り」)面(即ち、縁部)の移動する点接触により、従来の電動カッターの切断作用よりも優れていることが認識されるべきである。それに加えて、新規な電動カッター5の切断力が、(窓の側縁部が切断に使用される場合のように)横方向ではなく、全体的に近位または遠位方向に方向付けられているために、このせん断作用は従来の電動カッターの切断作用よりも優れている。切断力を横方向ではなく近位または遠位方向に方向付けることは、外科医が電動カッターを所望の位置で保持するのを助け、また、切断中に組織が側方移動で「あちこちに動く」ことを防ぐ助けとすることができる。内管25の管腔83に適用される吸引によって、切除された組織がブレードアセンブリ10から除去される。
【0024】
所望であれば、洗浄を手術部位に提供できるようにするために、内管25と外管20との間に空間を設けることができる。
【0025】
本発明の1つの好ましい形態では、内管25は、外管20内で内管25が回転する段階の間、外管20の窓50を完全に遮断するように構成される。結果として、ブレードアセンブリの優れた吸引を依然として提供しながら、より大きいサイズの窓を使用することができる。
【0026】
本発明の1つの好ましい形態では、またここで
図10A、
図10B、および
図10Cを見ると、ブレードアセンブリ10は、内管25が外管20内で回転する場合に、3つの異なる「状態」、即ち、組織係合を容易にするために吸引が使用される、「窓全開」状態(
図10A)と、内管25および外管20の表面(即ち、縁部)が協働して、外管20の窓50内へと延在する組織を切るように切取り作用を提供する、「切除」状態(
図10B)と、内管25が外管20の窓50を実質的に完全に閉止し、それによって、組織および流体の切断範囲を取り除くための最大内腔吸引を可能にする、「窓全閉」状態(
図10C)と、をとるものと見なすことができる。
【0027】
図1に示されるように、ブレードアセンブリ10は、使用時にはハンドルアセンブリ15(または別のハンドルアセンブリ)に結合され、使用後には(例えば、洗浄および殺菌、修理もしくは交換などのために)ハンドルアセンブリ15(または別のハンドルアセンブリ)から分離されるように意図される。あるいは、ブレードアセンブリ10は、例えば一個片の使い捨てシステムの場合など、製造時にハンドルアセンブリ15(または別のハンドルアセンブリ)に結合されてもよい。ハンドルアセンブリ15には、外管20の遠位端40を堅固に装着するためのハウジング100と、駆動軸105を内管25に連結するための手段、例えば駆動軸105および内管25に固定されたコネクタ115と、が設けられる。好ましくは、コネクタ115には適切なポートが設けられて、内管25の内部が吸引ポート120と流体連通し、それによってブレードアセンブリ10に対して吸引をもたらす。
【0028】
図1に示されるハンドルアセンブリ15は、限定ではなく例として提供されているものであり、他のハンドルアセンブリがブレードアセンブリ10と併せて使用されてもよいことが認識されるべきである。
【0029】
図11〜
図14は、外管20およびその窓50の代替構成を示している。
【0030】
より詳細には、
図11では、窓50は、その前縁55が外管25の長手方向軸線に対して垂直に延在し、その後縁60が外管25の長手方向軸線61に対して傾斜し、第1の縁部65および第2の縁部70が前縁55と後縁60との間に延在するように構築される。
【0031】
図12では、窓50は、その前縁55ならびにその第1の縁部65および第2の縁部70が組み合わされて弓状面(即ち、縁部)を形成し、その後縁60が外管25の長手方向軸線61に対して傾斜するように構築される。
【0032】
図13では、窓50は、その前縁55およびその第1の縁部65が組み合わされて弓状面(即ち、縁部)を形成し、その後縁60が外管25の長手方向軸線61に対して傾斜し、その第2の縁部70が前縁55と後縁60との間に延在するように構築される。
【0033】
図14では、窓50は、その前縁55およびその後縁60が外管25の長手方向軸線に対して反対方向に傾斜し、第1の縁部65および第2の縁部70が前縁55と後縁60との間に延在するように構築される。
【0034】
図15は、内管25およびその開口部85の代替構成を示し、前縁90は内管25の長手方向軸線に垂直に延在し、後縁95はらせん構成を有する。
【0035】
本発明の電動シェーバは、従来技術の欠点を改善する。中でも特に、新しい電動カッターは、窓のサイズを拡大し、切断作用を改善し、吸引に優れている。
【0036】
好ましい実施形態の改良
本発明の性質を説明するために本明細書に記載し例証してきた詳細、材料、ステップ、および部品の配置において、本発明の原理および範囲内にあるままで、当業者によって多くのさらなる変更が行われてもよいことが理解されるべきである。
【符号の説明】
【0037】
5 電動カッター
10 ブレードアセンブリ
15 ハンドルアセンブリ
20 外管
25 内管
35 遠位端
40 近位端
45 管腔
48 閉鎖遠位端
50 窓
55 前縁
60 後縁
61 長手方向軸線
65 第1の縁部
70 第2の縁部
75 遠位端
80 近位端
83 管腔
84 閉鎖遠位端
85 開口部
90 前縁
95 後縁
96 長手方向軸線
100 ハウジング
105 駆動軸
115 コネクタ
120 吸引ポート