特許第6960875号(P6960875)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6960875
(24)【登録日】2021年10月14日
(45)【発行日】2021年11月5日
(54)【発明の名称】撮像装置および撮像システム
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/232 20060101AFI20211025BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20211025BHJP
   G03B 17/56 20210101ALI20211025BHJP
   G03B 17/00 20210101ALI20211025BHJP
   G01C 21/26 20060101ALI20211025BHJP
   G08G 1/0969 20060101ALI20211025BHJP
   G07C 5/00 20060101ALI20211025BHJP
【FI】
   H04N5/232 220
   G03B15/00 V
   G03B15/00 P
   G03B15/00 R
   G03B17/56 A
   G03B17/00 Q
   H04N5/232
   H04N5/232 300
   G01C21/26 A
   G08G1/0969
   G07C5/00 Z
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-54597(P2018-54597)
(22)【出願日】2018年3月22日
(65)【公開番号】特開2019-169787(P2019-169787A)
(43)【公開日】2019年10月3日
【審査請求日】2020年11月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【弁理士】
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100191134
【弁理士】
【氏名又は名称】千馬 隆之
(74)【代理人】
【識別番号】100149261
【弁理士】
【氏名又は名称】大内 秀治
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【弁理士】
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180448
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 亨祐
(72)【発明者】
【氏名】新谷 秀和
【審査官】 中嶋 樹理
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−198904(JP,A)
【文献】 特開2005−184610(JP,A)
【文献】 特開2016−220153(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0106434(US,A1)
【文献】 国際公開第2010/026695(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/232
G03B 15/00
G03B 17/56
G03B 17/00
G01C 21/26
G08G 1/0969
G07C 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に設けられる撮像装置であって、
前記移動体の走行位置を測定する測位部と、
画像が撮像された撮像位置を示す位置情報と、前記撮像位置で撮像された前記画像に対する評価を示す評価情報と、を含む画像関連情報を取得する情報取得部と、
前記走行位置を基準位置とする所定範囲内に前記撮像位置がある場合であり、かつ、前記撮像位置で撮像された前記画像の前記評価が所定値以上である場合に、撮像することを判断する撮像判断部と、
前記撮像判断部の判断結果に応じて前記移動体の内部または外部を撮像する撮像部と、を備える
ことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像装置において、
前記画像関連情報は、前記画像が撮像されたときの撮像条件を示す条件情報を更に含み、
前記撮像判断部は、更に前記走行位置における前記撮像条件と前記画像が前記撮像位置で撮像されたときの前記撮像条件との差が所定差以内である場合に、撮像することを判断する
ことを特徴とする撮像装置。
【請求項3】
請求項2に記載の撮像装置において、
前記撮像条件は、車両に搭載されたカメラで撮像されたか否かである
ことを特徴とする撮像装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載の撮像装置において、
前記撮像判断部は、前記移動体の予定経路を示す経路情報を取得し、前記予定経路に前記撮像位置が含まれる場合に、前記条件情報で示される前記撮像条件に前記撮像部の設定を合わせることを判断し、
前記撮像部は、前記撮像判断部の判断結果に応じて設定を前記撮像条件に合わせる
ことを特徴とする撮像装置。
【請求項5】
移動体に設けられる撮像装置と、前記移動体の外部に設けられるサーバとを備え、前記撮像装置と前記サーバは互いに情報を送受信する撮像システムであって、
前記サーバは、
画像が撮像された撮像位置を示す位置情報と、前記撮像位置で撮像された前記画像に対する評価を示す評価情報と、を含む画像関連情報を記憶するサーバ記憶部を備え、
前記撮像装置は、
前記サーバ記憶部から前記画像関連情報を取得する情報取得部と、
前記移動体の走行位置を測定する測位部と、
前記走行位置を基準位置とする所定範囲内に前記撮像位置がある場合であり、かつ、前記撮像位置で撮像された前記画像の前記評価が所定値以上である場合に、撮像することを判断する撮像判断部と、
前記撮像判断部の判断結果に応じて前記移動体の内部または外部を撮像する撮像部と、を備える
ことを特徴とする撮像システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体に設けられる撮像装置、および、撮像装置と移動体の外部に設けられるサーバとを備える撮像システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、所定のイベント、例えばステアリング操作等が発生したことをトリガとして、車載カメラで撮影される一定時間の映像を記憶部に記憶させる装置が開示される。特許文献1には開示されていないが、特許文献1の装置は、車載カメラで撮影した景色の画像を保存するために利用することが可能である。この場合、ユーザは、所望のタイミングでステアリング操作等を行うことにより、車載カメラで撮影された景色の画像を保存することができる。
【0003】
特許文献2には、ソーシャル・ネットワーキング・サービスを提供するサーバから、撮影場所に対応付けられた写真の情報と、その写真に対する第三者評価の情報とを受信し、第三者評価が高い写真を地図上の撮影場所に大きく表示する装置が開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−246503号公報
【特許文献2】特開2017−117082号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
良好な画像が得られるかどうかは撮像条件によって決まり、撮像者の撮像経験が大きく影響するため、経験の浅い撮像者は撮像に失敗したり、撮像機会を逃すことが多い。一方、偶然が重なって良好な画像が得られることもあり、経験の豊かな撮像者でも撮像機会を逃すことがある。
【0006】
本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、撮像者の撮像経験にかかわらず手間なく良好な画像を撮像することができる撮像装置および撮像システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1発明は、
移動体に設けられる撮像装置であって、
前記移動体の走行位置を測定する測位部と、
画像が撮像された撮像位置を示す位置情報と、前記撮像位置で撮像された前記画像に対する評価を示す評価情報と、を含む画像関連情報を取得する情報取得部と、
前記走行位置を基準位置とする所定範囲内に前記撮像位置がある場合であり、かつ、前記撮像位置で撮像された前記画像の前記評価が所定値以上である場合に、撮像することを判断する撮像判断部と、
前記撮像判断部の判断結果に応じて前記移動体の内部または外部を撮像する撮像部と、を備える
ことを特徴とする。
【0008】
上記構成によれば、評価が高い画像の撮像位置近傍に移動体が位置するときに、自動的に移動体の内部または外部を撮像するようにしているため、評価が高い画像に近い新規画像を撮像することができる。結果として、撮像者の撮像経験にかかわらず手間なく良好な新規画像を撮像することができるようになる。
【0009】
第1発明において、
前記画像関連情報は、前記画像が撮像されたときの撮像条件を示す条件情報を更に含み、
前記撮像判断部は、更に前記走行位置における前記撮像条件と前記画像が前記撮像位置で撮像されたときの前記撮像条件との差が所定差以内である場合に、撮像することを判断するようにしてもよい。
【0010】
上記構成によれば、走行位置における撮像条件と画像が撮像位置で撮像されたときの撮像条件との差が所定差以内である場合に、自動的に移動体の内部または外部を撮像するようにしているため、評価が高い画像により近い新規画像を撮像することができる。
【0011】
第1発明において、
前記撮像条件は、車両に搭載されたカメラで撮像されたか否かであってもよい。
【0012】
上記構成によれば、車両に搭載されるカメラで撮像を行うことができるため、ユーザがカメラを用意する必要がない。
【0013】
第1発明において、
前記撮像判断部は、前記移動体の予定経路を示す経路情報を取得し、前記予定経路に前記撮像位置が含まれる場合に、前記条件情報で示される前記撮像条件に前記撮像部の設定を合わせることを判断し、
前記撮像部は、前記撮像判断部の判断結果に応じて設定を前記撮像条件に合わせるようにしてもよい。
【0014】
上記構成によれば、撮像位置近傍に移動体が到達する前に、撮像部の設定を予め撮像条件に合わせることができるため、設定に時間がかかり良好な撮像時期を逃すことを防止することができる。
【0015】
第2発明は、
移動体に設けられる撮像装置と、前記移動体の外部に設けられるサーバとを備え、前記撮像装置と前記サーバは互いに情報を送受信する撮像システムであって、
前記サーバは、
画像が撮像された撮像位置を示す位置情報と、前記撮像位置で撮像された前記画像に対する評価を示す評価情報と、を含む画像関連情報を記憶するサーバ記憶部を備え、
前記撮像装置は、
前記サーバ記憶部から前記画像関連情報を取得する情報取得部と、
前記移動体の走行位置を測定する測位部と、
前記走行位置を基準位置とする所定範囲内に前記撮像位置がある場合であり、かつ、前記撮像位置で撮像された前記画像の前記評価が所定値以上である場合に、撮像することを判断する撮像判断部と、
前記撮像判断部の判断結果に応じて前記移動体の内部または外部を撮像する撮像部と、を備える
ことを特徴とする。
【0016】
上記構成によれば、評価が高い画像の撮像位置近傍に移動体が位置するときに、自動的に移動体の内部または外部を撮像するようにしているため、評価が高い画像に近い新規画像を撮像することができる。結果として、撮像者の撮像経験にかかわらず手間なく良好な新規画像を撮像することができるようになる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、撮像者の撮像経験にかかわらず手間なく良好な新規画像を撮像することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は本実施形態に係る撮像システムの構成図である。
図2図2は画像関連情報の説明に供する図である。
図3図3は通信端末の画面を示す図である。
図4図4は撮像装置が行う撮像処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る撮像装置および撮像システムについて、好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0020】
[1.撮像システム10の構成]
図1を用いて本実施形態に係る撮像システム10の構成を説明する。本実施形態において、移動体12は車両14である。撮像システム10には、車両14に設けられる撮像装置20と、車両14の外部に設けられるサーバ60と、通信端末80と、が含まれる。
【0021】
[1.1.撮像装置20]
撮像装置20は、撮像部22と、外部通信部30と、ナビゲーション装置32と、制御部40と、表示部50と、操作部52と、を有する。
【0022】
撮像部22は、カメラ24と、調整機構26と、を有する。カメラ24は、車両14の室内に設けられ、レンズが車両14の外部または室内に向けられる車載カメラである。すなわち、カメラ24は車両14の外部または内部を撮像する。例えば、ドライブレコーダや運転支援車両または自動運転車両に使用される車載カメラもカメラ24に含まれる。車載カメラに代えて、乗員の通信端末80に搭載されるカメラを使用することもできる。調整機構26は、車両14の室内に取り付けられてカメラ24を支持すると共にカメラ24の姿勢を調整する。調整機構26は、1以上のアクチュエータを有し、カメラ24の水平方向および垂直方向の向きを調整する。
【0023】
外部通信部30は、無線で通信を行う通信インターフェースである。外部通信部30は、例えば電話回線を含む通信ネットワークを介してサーバ60および通信端末80との間で情報を送受信する。本実施形態では、外部通信部30は、サーバ60から画像関連情報64を取得する情報取得部28として機能する。また、外部通信部30は、サーバ60に画像関連情報64を転送することもできる。画像関連情報64については下記[2]で説明する。
【0024】
ナビゲーション装置32は、CPU等のプロセッサがプログラムを実行することにより測位部34および経路設定部36として機能する。測位部34は、衛星航法または自立航法で車両14の走行位置Pt(図2)を計測する。なお、走行位置Ptは車両14の停止位置を含む。経路設定部36は、車両14の走行位置Ptから目的地までの予定経路を設定する。更に、ナビゲーション装置32は、地図情報を記憶するナビ記憶部38を有する。
【0025】
制御部40は、演算部42と車両記憶部48とが一体化された電子制御ユニット(ECU)である。演算部42は、CPU等を備えるプロセッサ等である。演算部42は、車両記憶部48に記憶されるプログラムを実行することにより各種機能を実現する。本実施形態では、演算部42は、撮像判断部44と表示制御部46として機能する。演算部42は、撮像部22と外部通信部30とナビゲーション装置32と操作部52から情報を入力し、撮像部22と外部通信部30と表示部50に情報を出力する。車両記憶部48は、RAMとROM等により構成される。
【0026】
表示部50は、画面を有し、撮像部22により撮像される新規画像を表示する。操作部52は、ヒューマン・マシン・インターフェース(例えばタッチパネル)である。操作部52は、乗員が行う操作に応じた情報を演算部42に出力する。
【0027】
[1.2.サーバ60]
サーバ60は、画像68(図2)の提供サービスを行うサービス提供者により管理される。 サーバ60は、画像関連情報64を記憶するサーバ記憶部62の他に、図示しないCPU等のプロセッサと、外部との通信を行う通信インターフェースと、を有する。サーバ記憶部62は、RAMとROM等により構成される。サーバ記憶部62にはデータベースが構築され、画像関連情報64が記憶される。
【0028】
[1.3.通信端末80]
通信端末80は、例えば電話回線を含む通信ネットワークを介してサーバ60との間で情報を送受信することが可能であり、かつ、撮像または画像表示が可能な機器、例えば、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等である。また、通信機能を備えたカメラでもよい。
【0029】
[2.画像関連情報]
撮像装置20および通信端末80は、画像関連情報64をサーバ60に登録する。サーバ60は、登録された画像関連情報64を撮像装置20または通信端末80に提供する。図2を用いて画像関連情報64について説明する。
【0030】
画像関連情報64は、画像情報66と、位置情報70と、評価情報72と、条件情報74と、を含む。画像情報66は、撮像部22のカメラ24や通信端末80等で撮像された画像68を示すデータである。位置情報70は、画像68が撮像された撮像位置Pi(経度Lo、緯度La)を示すデータである。評価情報72は、画像68に対する評価(評価値)SCを示すデータである。評価SCは、通信端末80のユーザによって決められる。例えば、図3に示されるように、画像提供サービスを受ける通信端末80の画面82には、サーバ記憶部62に記憶される画像情報66が示す画像68が表示されると共に、支持ボタン84が表示される。ユーザが支持ボタン84を押すと、評価情報72の評価SCが高くなる。
【0031】
条件情報74は、画像68が撮像されたときの撮像条件を示すデータである。撮像条件には、画像68を撮像したカメラ24(または通信端末80のカメラ)の焦点距離F(画角)、カメラ24の光軸が向く方角Di、カメラ24の垂直方向の角度θ、撮像日時Da、Ti、撮像時の天候W、撮像時の気温Te、車載カメラか否か、等の条件が含まれる。
【0032】
[3.撮像システム10の動作]
図4を用いて本実施形態に係る撮像システム10および撮像装置20の動作を説明する。図4に示される処理は、車両14の電気システムが動作している間に所定時間間隔で繰り返し実行される。
【0033】
ステップS1において、測位部34は、車両14の走行位置Pt(経度Lo、緯度La)を計測する。測位部34は、走行位置Ptを示す情報を演算部42に出力する。
【0034】
ステップS2において、外部通信部30は、サーバ記憶部62から画像関連情報64を取得する。このとき、外部通信部30は、サーバ記憶部62に記憶される全ての画像関連情報64を取得してもよいし、一部領域、例えば車両14の走行位置Pt周辺の画像関連情報64を取得してもよい。全ての画像関連情報64を取得する場合、以後の処理でステップS2を行う必要はない。画像関連情報64は、一時的に車両記憶部48に記憶される。
【0035】
ステップS3において、撮像判断部44は、走行位置Ptを基準位置とする所定範囲78内に撮像位置Piが含まれる画像関連情報64を検索する。このとき、撮像判断部44は、車両14の走行位置Ptを中心とする所定距離X内の範囲を所定範囲78として設定する。そして、撮像判断部44は、車両記憶部48に記憶される画像関連情報64の中から、所定範囲78内に撮像位置Piが含まれる画像関連情報64を検索する。
【0036】
所定範囲78内に撮像位置Piが含まれる画像関連情報64がある場合(ステップS4:YES)、処理はステップS5に移行する。一方、所定範囲78内に撮像位置Piが含まれる画像関連情報64がない場合(ステップS4:NO)、処理は一旦終了する。
【0037】
ステップS4からステップS5に移行すると、撮像判断部44は、所定範囲78内で撮像された画像68の評価SCが高いか否かを判断する。例えば、図2に示される走行位置Pt1において、撮像判断部44は、検索した画像関連情報64に含まれる評価情報72が示す評価SC1の高低を判断する。車両記憶部48には評価SC1の高低を判断するための閾値としての所定値SCthが予め記憶されている。撮像判断部44は、評価SC1が所定値SCthよりも大きい場合に画像68の評価SCが高いと判断する(ステップS5:YES)。この場合、処理はステップS6に移行する。一方、撮像判断部44は、評価SC1が所定値SCth以下である場合に画像68の評価SCが低いと判断する(ステップS5:NO)。この場合、処理は一旦終了する。
【0038】
ステップS5からステップS6に移行すると、撮像判断部44は、所定範囲78内で撮像された画像68の撮像条件と、最新(現在)の撮像条件との差が所定差以内か否かを判断する。このとき、撮像判断部44は、検索した画像関連情報64に含まれる撮像条件と、最新の撮像条件とを比較する。上記[2]で説明したように、撮像条件には、焦点距離F、カメラ24の光軸が向く方角Di、カメラ24の垂直方向の角度θ、撮像日時Da、Ti、撮像時の天候W、撮像時の気温Te、車載カメラか否か、等の条件が含まれる。
【0039】
撮像判断部44は、焦点距離Fを示す情報を、車両記憶部48から取得する。例えば、図2に示される走行位置Pt1において、撮像判断部44は、画像関連情報64に含まれる焦点距離F1と最新の焦点距離Fとの差が、車両記憶部48に記憶される所定差以内であるか否かを判断する。
【0040】
撮像判断部44は、方角Diを示す情報を、車両記憶部48に予め記憶される光軸の向き(初期設定値)と、調整機構26の調整量と、測位部34により計測される車両14の向きと、に基づいて算出する。例えば、図2に示される走行位置Pt1において、撮像判断部44は、画像関連情報64に含まれる方角Di1と最新の方角Diとの差が、車両記憶部48に記憶される所定差以内であるか否かを判断する。
【0041】
撮像判断部44は、角度θを示す情報を、車両記憶部48に予め記憶される光軸の角度(初期設定値)と、調整機構26の調整量と、図示しない傾斜センサの検出値と、に基づいて算出する。例えば、図2に示される走行位置Pt1において、撮像判断部44は、画像関連情報64に含まれる角度θ1と最新の角度θとの差が、車両記憶部48に記憶される所定差以内であるか否かを判断する。
【0042】
撮像判断部44は、撮像日時Da、Tiを示す情報を、システム日付およびシステム時間から取得する。例えば、図2に示される走行位置Pt1において、撮像判断部44は、画像関連情報64に含まれる撮像日時Da1、Ti1と最新の撮像日時Da、Tiとの差が、車両記憶部48に記憶される所定差以内であるか否かを判断する。
【0043】
撮像判断部44は、天候Wおよび気温Teを示す情報を、図示しない天気センサ(日射センサ、雨滴センサ)と温度センサの検出値、または、図示しない受信機により受信する天候情報および気温情報に基づいて判断する。例えば、図2に示される走行位置Pt1において、撮像判断部44は、画像関連情報64に含まれる天候W1、気温Te1と最新の天候W、気温Teとの差が、車両記憶部48に記憶される所定差以内であるか否かを判断する。
【0044】
撮像判断部44は、車載カメラか否かを示す情報を、車両記憶部48から取得する。例えば、図2に示される走行位置Pt1において、撮像判断部44は、画像関連情報64に車載カメラであることを示す情報が含まれる場合に撮像条件が所定差以内であると判断し、車載カメラであることを示す情報が含まれない場合に撮像条件が所定差を超えると判断する。
【0045】
ステップS6で撮像判断部44は、前述した複数の撮像条件のうち予め定められた条件を比較する。比較する撮像条件は1つでもよいし複数でもよい。撮像条件の差が所定差以内である場合(ステップS6:YES)、処理はステップS7に移行する。一方、撮像条件の差が所定差を超える場合(ステップS6:NO)、処理は一旦終了する。
【0046】
ステップS6からステップS7に移行すると、撮像判断部44は撮像を行うことを判断する。このとき、撮像判断部44は撮像部22に対して撮像指示を示す信号を出力する。更に、例えば図2の走行位置Pt1では、焦点距離F、方角Di、角度θを焦点距離F1、方角Di1、角度θ1に調整するために調整指示を示す信号を出力してもよい。調整指示が出力される場合、カメラ24は焦点距離Fを調整する。また、調整機構26は、カメラ24の方角Diおよび角度θを調整する。そして、調整後にカメラ24は撮像を行う。
【0047】
撮像により取得される新規画像は制御部40に送られる。表示制御部46は、新規画像を表示部50に表示させる。更に、表示制御部46は、新規画像を示す画像情報66と、新規画像を撮像したときの走行位置Ptを示す位置情報70と、各撮像条件を示す条件情報74と、を紐付けて画像関連情報64を作成する。画像関連情報64は車両記憶部48に記憶される。そして、表示制御部46は、操作部52から出力される送信指示に応じて、外部通信部30に対して転送指示をする。外部通信部30は、転送指示に応じて画像関連情報64をサーバ60に転送する。サーバ60は、画像関連情報64をサーバ記憶部62に登録する。このとき、乗員が所有する通信端末80に新規画像を示す画像情報66を転送するようにしてもよい。
【0048】
[4.変形例および応用例]
(1) 例1
撮像条件、ここではカメラ24の焦点距離F、方角Di、角度θの調整を事前に行うことも可能である。撮像判断部44は、ナビゲーション装置32から車両14の予定経路を示す経路情報を取得し、予定経路の幅方向の両側に所定距離Xを付加した経路領域を生成する。そして、撮像判断部44は、車両記憶部48に記憶される画像関連情報64の中から、経路領域内の位置を撮像位置Piとする画像関連情報64があるか否かを判断する。画像関連情報64がある場合、その撮像位置Piに対応する条件情報74で示される撮像条件、すなわち焦点距離F、方角Di、角度θに撮像部22の設定を合わせるように指示する調整信号を出力する。
【0049】
(2) 例2
図4に示されるステップS6の処理を行わなくてもよい。つまり、走行位置Ptと撮像位置Piとの比較と評価SCの高低の判断のみを撮像の判断材料としてもよい。
【0050】
(3) 例3
カメラ24の光軸を調整する調整機構26がなくてもよい。この場合、図4に示されるステップS7の処理では、焦点距離Fの調整後に撮像が行われる。
【0051】
(4) 例4
撮像条件に他の条件が含まれていてもよい。例えば、カメラ24の移動速度、加速度、すなわち車両14の走行速度、加速度等が含まれていてもよい。
【0052】
(5) 例5
車両14が撮像位置Piに接近した場合に撮像条件を乗員に報知するようにしてもよい。このとき、表示制御部46が表示部50に報知指示を出力してもよいし、図示しない音響装置に報知指示を出力してもよい。また、乗員が所有する通信端末80をカメラ24として使用する場合、通信端末80に報知指示を出力してもよい。
【0053】
(6) 例6
前述した実施形態では移動体12を車両14とした。しかし、移動体12は車両14以外、例えば鉄道等でもよい。
【0054】
[5.本実施形態の要点]
[5.1.撮像装置20の要点]
撮像装置20は、移動体12の走行位置Ptを測定する測位部34と、画像68が撮像された撮像位置Piを示す位置情報70と、撮像位置Piで撮像された画像68に対する評価SCを示す評価情報72と、を含む画像関連情報64を取得する情報取得部28(外部通信部30)と、走行位置Ptを基準位置とする所定範囲78内に撮像位置Piがある場合であり、かつ、撮像位置Piで撮像された画像68の評価SCが所定値SCth以上である場合に、撮像することを判断する撮像判断部44と、撮像判断部44の判断結果に応じて移動体12の内部または外部を撮像する撮像部22と、を備える。
【0055】
上記構成によれば、評価SCが高い画像68の撮像位置Pi近傍に移動体12が位置するときに、自動的に移動体12の内部または外部を撮像するようにしているため、評価SCが高い画像68に近い新規画像を取得することができる。結果として、撮像者の撮像経験にかかわらず手間なく良好な新規画像を撮像することができるようになる。
【0056】
画像関連情報64は、画像68が撮像されたときの撮像条件を示す条件情報74を更に含む。撮像判断部44は、更に走行位置Ptにおける撮像条件と画像68が撮像位置Piで撮像されたときの撮像条件との差が所定差以内である場合に、撮像することを判断する。
【0057】
上記構成によれば、走行位置Ptにおける撮像条件と画像68が撮像位置Piで撮像されたときの撮像条件との差が所定差以内である場合に、自動的に移動体12の内部または外部を撮像するようにしているため、評価SCが高い画像68により近い新規画像を撮像することができる。
【0058】
撮像条件は、車両14に搭載されたカメラ24で撮像されたか否かである。
【0059】
上記構成によれば、車両14に搭載されるカメラ24で撮像を行うことができるため、ユーザがカメラ24を用意する必要がない。
【0060】
撮像判断部44は、移動体12の予定経路を示す経路情報を取得し、予定経路に撮像位置Piが含まれる場合に、条件情報74で示される撮像条件に撮像部22の設定を合わせることを判断する。撮像部22は、撮像判断部44の判断結果に応じて設定を撮像条件に合わせる。
【0061】
上記構成によれば、撮像位置Pi近傍に移動体12が到達する前に、撮像部22の設定を予め撮像条件に合わせることができるため、設定に時間がかかり良好な撮像時期を逃すことを防止することができる。
【0062】
また、本実施形態によれば、カメラ24で撮像された新規画像を示す画像情報66と、新規画像の撮像位置Piを示す位置情報70と、新規画像を撮像したときの撮像条件を示す条件情報74と、を紐付けた画像関連情報64を作成し、車両記憶部48に保存する。このため、車両14のユーザは容易に過去の撮像条件を再現することができ、タイムプラス撮影を行うことができる。
【0063】
なお、外部通信部30が取得する画像関連情報64の母数が多くなれば、より手間なく良好な条件情報74を収集することができる。このため、経験豊富な撮像者も見逃していた撮像条件を収集することができる可能性がある。
【0064】
[5.2.撮像システム10の要点]
撮像システム10は、移動体12に設けられる撮像装置20と、移動体12の外部に設けられるサーバ60とを備える。撮像装置20とサーバ60は互いに情報を送受信する。サーバ60は、画像68が撮像された撮像位置Piを示す位置情報70と、撮像位置Piで撮像された画像68に対する評価SCを示す評価情報72と、を含む画像関連情報64を記憶するサーバ記憶部62を備える。撮像装置20は、サーバ記憶部62から画像関連情報64を取得する情報取得部28と、移動体12の走行位置Ptを測定する測位部34と、走行位置Ptを基準位置とする所定範囲78内に撮像位置Piがある場合であり、かつ、撮像位置Piで撮像された画像68の評価SCが所定値SCth以上である場合に、撮像することを判断する撮像判断部44と、撮像判断部44の判断結果に応じて移動体12の内部または外部を撮像する撮像部22と、を備える。
【0065】
上記構成によれば、評価SCが高い画像68の撮像位置Pi近傍に移動体12が位置するときに、自動的に移動体12の内部または外部を撮像するようにしているため、評価SCが高い画像68に近い新規画像を取得することができる。結果として、撮像者の撮像経験にかかわらず手間なく良好な新規画像を撮像することができるようになる。
【0066】
なお、本発明に係る撮像装置および撮像システムは、上述の実施形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【符号の説明】
【0067】
12…移動体 20…撮像装置
22…撮像部 28…情報取得部
30…外部通信部 34…測位部
44…撮像判断部 64…画像関連情報
68…画像 70…位置情報
図1
図2
図3
図4