(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記界面活性剤が、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレートおよびポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートから選択される、請求項11に記載の薬学的組成物。
【発明を実施するための形態】
【0007】
定義
本明細書中で用いる場合、「ナノ粒子」という用語は、約1〜1000nmの直径を有する粒子を指す。同様に、「ナノ粒子(複数)」は、約1〜1000nmの平均直径を有する複数の粒子を指す。
【0008】
ナノ粒子の「サイズ」への言及は、ナノ粒子の最大直線寸法の長さに対する言及である。例えば、完全に球形のナノ粒子のサイズは、その直径である。
【0009】
本明細書中で用いる場合、「官能基」という用語は、「機能性部分」および「機能性リガンド」と互換的に用いられ、化学基を保有する物品(例えばナノ粒子)に特定機能を付与する化学基を指す。例えば、官能基は、特定の分子と結合することが既知である抗体、オリゴヌクレオチド、ビオチンまたはストレプトアビジンのような物質;あるいはアミン、カルボキシレート等のような小化学基を含み得る。
【0010】
本明細書中で用いる場合、「被験体」または「個体」または「患者」は、その診断、予後または治療が所望される任意の対象を指し、一般的に、本発明により実行される診断方法、予後方法または治療方法のレシピエントを指す。被験体は、任意の哺乳動物、例えばヒト、非ヒト霊長類、家畜、実験室被験体(例えば、β−アミロイド沈着物および/またはNFTに関連した疾患に関する非ヒト動物モデル;例えばラットのような齧歯類)、またはペット動物であり得る。
【0011】
本明細書中で用いる場合、「治療」、「治療すること」等の用語は、所望の薬理学的および/または生理学的効果を得ることを指す。効果は、疾患またはその症候を完全にまたは部分的に防止するという点で予防的であり得るし、および/または疾患に対する部分的または完全な治癒および/または疾患に起因する悪作用の点で治療的であり得る。「治療」は、本明細書中で用いる場合、哺乳動物における、特にヒトにおける疾患の任意の治療を網羅し、そして(a)当該疾患(例えば原発性疾患に関連するかまたはそれにより引き起こされ得る疾患を含む)に罹り易いかもしれないが、しかし未だそれを有すると診断されていない被験体に疾患または疾患の症候が生じるのを防止すること;(b)当該疾患を抑制すること、すなわちその発症を止めること;そして(c)疾患を軽減すること、すなわち疾患の退行を生じることを包含する。
【0012】
本発明をさらに記述する前に、本発明は記載される特定の実施形態に限定されず、それ自体としてもちろん変更し得る、と理解されるべきである。本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるため、本明細書中で用いられる用語は、特定の実施形態を記述するだけの目的のためであって、限定されるよう意図されるものではない、ということも理解されるべきである。
【0013】
変数の範囲が提供される場合、その範囲の上限値および下限値の間にある各介在値(文脈が明らかにそうでないことを示さない限り、下限値の単位の小数第1位まで)、および規定範囲にある任意の他の規定値または介在値は、本発明に包含される、と理解される。これらのさらに狭い範囲の上限値および下限値は、規定範囲における任意の具体的に除外された限界値を仮定して、独立して、これらのさらに狭い範囲に含まれ得るし、さらにまた本発明に包含される。規定範囲が限界値の一方または両方を含む場合、含まれるそれらの限界値のいずれかまたは両方を除外した範囲も本発明に包含される。
【0014】
別記しない限り、本明細書中で用いられる技術用語および科学用語はすべて、本発明が属する当該技術分野の当業者により一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書中に記載されるものと類似のまたは等価の任意の方法および物質も本発明の実行または試験に用いられ得るが、しかし好ましい方法および物質をここに記載する。本明細書中で言及される出版物はすべて、当該方法および/または物質を開示し記述するために、参照により本明細書中で援用され、当該出版物は、当該方法および/または物質と結びつけて引用される。
【0015】
本明細書中および添付の特許請求の範囲で用いる場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、文脈が別の場合を明らかに示さない限り、複数指示物を包含する、ということに留意しなければならない。したがって、例えば「機能性磁性ナノ粒子」への言及は、複数の機能性磁性ナノ粒子を包含し、そして「HODDNP部分」への言及は、当業者に既知の1つ以上のHODDNP部分およびその等価物への言及を包含する、といった具合である。さらに、特許請求の範囲は、あらゆる任意の要素を除外するよう起草し得る、ということも留意される。このようなものとして、この記述は、特許請求の範囲要素の詳述と結びつけた「専ら」、「単に」等のような排他的用語の使用、あるいは「否定的」限定の使用に関する先行詞として役立つよう意図される。
【0016】
別個の実施形態の文脈において、分かり易くするために記載される本発明のある特徴も、単一実施形態において組合せて提供されてもよい、と理解される。逆に、単一実施形態の文脈において、簡単にするために記載される本発明の種々の特徴も、別個に、または任意の適切な部分的組合せで、提供され得る。本発明に関する実施形態の組合せはすべて、本発明により具体的に包含され、そして各々のおよびすべての組合せが、個々に、明示的に開示されるかのように、本明細書中で開示される。さらに、種々の実施形態およびその要素のすべての部分的組合せも、本発明により具体的に包含され、そして各々のおよびすべてのそのような部分的組合せが、個々に、明示的に開示されるかのように、本明細書中で開示される。
【0017】
本明細書中で考察される出版物は、本出願の出願日前に、専らそれらの開示に関して提供される。従来発明を理由に、そのような刊行物に先行するとは認められないということを承認するものとして、本明細書中のいかなるものも解釈されてはならない。さらに、提供される出版物の日付は、実際の出版日とは異なり得るので、個別に確認する必要がある。
【0018】
詳細な説明
本発明の開示は、β−アミロイド沈着物および/またはNFTを有するかまたは有する疑いのある生存個体における脳組織を画像処理するに際して用いるのに適している機能性磁性ナノ粒子(MNP)を提供する。本発明の機能性MNPは、アミロイド沈着物および/または神経原繊維濃縮体(NFT;対合らせん状フィラメント(PHF)としても既知)を有する神経学的組織と正常な神経学的組織との間を識別する。本発明の機能性MNPを用いて、例えばダウン症候群またはアルツハイマー病(AD)を含む疾患におけるアミロイド沈着物および/またはNFTを検出し、定量し得る。
【0019】
本発明の機能性MNPを用いて、生存哺乳動物、例えばヒト、非ヒト動物またはβ−アミロイド沈着物および/またはNFTの存在に関連するかまたはそれに起因する疾患の非ヒト動物モデルの脳におけるアミロイド沈着物および/またはNFTを検出し、定量し得る。本発明の機能性MNPを含む薬学的組成物は、生きている哺乳動物に投与される。脳中に存在する任意のβ−アミロイド沈着物(例えば、神経原繊維濃縮体と関連し得るような凝集β−アミロイド)は、磁気共鳴画像処理(MRI)または任意の他の適切な画像処理方法を用いて可視化され得る。
【0020】
機能性部分
磁性ナノ粒子に付着され得る官能基(部分)としては、β−アミロイドペプチドおよび/またはNFTの集合体との結合を提供する官能基が挙げられる。β−アミロイドペプチドおよび/またはNFTの集合体との結合を提供する、そして磁性ナノ粒子に付着され得る適切な官能基としては、2−(1−{6−[(2−ヒドロキシエチル)(メチル)アミノ]−2−ナフチル}エチリデン)マロノニトリル(HODDNP)、ならびにその類似体および誘導体が挙げられる。β−アミロイドペプチドの集合体との結合を提供する、そして磁性ナノ粒子に付着され得る適切な官能基としては、(4’−アミノフェニル)−6−ヒドロキシベンゾチアゾール(PIB−2)、ならびにその類似体および誘導体が挙げられる。
【0021】
HODDNPは、HODDNP分子での多数の付着部位のうちのいずれかにより、MNPと共役され得る。HODDNPは、次式を有する:
【化1】
【0022】
例えば、HODDNPは、HODDNPのヒドロキシル部分を介してMNPと共役され得る。一非限定例として、HODDNP共役MNPは、適切なリンカーによりHODDNPのヒドロキシル部分を介してエポキシ−MNPにHODDNPを共有的に連結することにより、調製され得る。HODDNPは、直接的に、あるいは分子またはその修飾物、前駆体、誘導体または変異体の窒素または炭素部分のいずれかにより適切なリンカーを介して、MNPと共有的にまたは非共有的に結合され得る。
【0023】
PIB−2は、PIB−2分子での複数の付着部分のいずれかを介してMNPと共役され得る。PIB−2は、次式を有する:
【化2】
【0024】
例えば、PIB−2は、PIB−2のアミノ窒素を介してMNPと共役され得る。一非限定例として、PIB−2共役MNPは、適切なリンカーによりPIB−2のアミノ窒素を介してエポキシ−MNPにPIB−2を共有的に連結することにより、調製され得る。さらにまた、PIB−2は、PIB−2のフェノールの酸素を介してMNPと共役され得る。一非限定例として、PIB−2−共役MNPは、適切なリンカーによりPIB−2のフェノール性酸素を介してエポキシ−MNPにPIBを共有的に連結することにより調製され得る。
【0025】
PIB−2は、直接的に、あるいは分子またはその修飾物、前駆体、誘導体または変異体の窒素、酸素、イオウまたは炭素部分のいずれかにより適切なリンカーを介して、MNPと共有的にまたは非共有的に結合され得る。
【0026】
MNPに結合され得るその他の適切な機能性部分としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない:
1)W−372(7−メトキシ−2(6−フルオロピリジン−3−イル)イミダゾ[2,1−b]−8−ピリジノチアゾール);
【化3】
2)Bay−94−9172(ZK 6013443;{4−[2−(4−{2−2[2−(2−フルオロ−エトキシ)−エトキシル]−エトキシ}−フェニル)−ビニル]−フェニル}−メチル−アミン));
【化4】
3)BF−227(2−(2−[2−ジメチルアミノチアゾール−5−イル]エテニル)−6−(2−[フルオロ]エトキシ)ベンズオキサゾール);
【化5】
4)SB−13(4−N−メチルアミノ−4’−ヒドロキシスチルベン);
【化6】
5)AV−45((E)−4−(2−(6−(2−(2−(2−(フルオロエトキシ)エトキシ)エトキシ)ピリジン−3−イル)ビニル)−N−メチルベンゼンアミン);
【化7】
6)AZD−2184(2−[6−(メチルアミノ)ピリジン−3−イル]−1,3−ベンゾチアゾール−6−オール);
【化8】
7)PK11195(1−(2−クロルフェニル)−N−メチル−N−(1−メチルプロピル)−3−イソキノリン−カルボキサミド);
【化9】
8)DAA1106(N−(2−フェノキシ−5−フルオロフェニル)−N−(2,5−ジメトキシベンジル)アセトアミド);および
【化10】
9)DED(N,N−ジエチルジエチレントリアミン);
【化11】
またはその誘導体もしくは類似体。
【0027】
前記機能性部分のいずれかにおいて、フッ素基は、酸素と取り替えられ得る。例えば、適切な機能性部分は機能性部分のヒドロキシル部分を介してMNPと共役され得る。一非限定例として、機能性部分共役MNPは、機能性部分のヒドロキシル部分を介して直接的に、または適切なリンカーにより、機能性部分をエポキシ−MNPと共有的に連結することにより調製され得る。例えば、MNPと結合され得るその他の適切な機能性部分としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない:
1)W−372−2;
【化12】
2)Bay−94−9172−2;
【化13】
3)BF−227−2;
【化14】
4)AV−45−2;
【化15】
5)PK11195−2;および
【化16】
6)DAA1106−2;
【化17】
またはその誘導体もしくは類似体。
【0028】
前記機能性部分のいずれかにおいて、フッ素基は、アミノ基と取り替えられ得る。例えば、アミノ基を含む機能性部分は、直接的に、またはリンカーを介して、機能性部分のアミノ基を介してMNPと共役され得る。一非限定例として、機能性部分共役MNPは、適切なリンカーにより機能性部分のアミノ基を介して機能性部分をエポキシ−MNPと共有的に連結することにより調製され得る。例えば、MNPと結合され得るその他の適切な機能性部分としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない:
1)W−372−3;
【化18】
2)Bay−94−9172−3;
【化19】
3)BF−227−3;
【化20】
4)AV−45−3;
【化21】
5)PK11195−3;および
【化22】
6)DAA1106−3;
【化23】
またはその誘導体もしくは類似体。
【0029】
前記機能性部分のいずれかにおいて、フッ素基は、チオール基と取り替えられ得る。例えば、チオール基を含む機能性部分は、直接的に、またはリンカーを介して、機能性部分のチオール基を介してMNPと共役され得る。一非限定例として、機能性部分共役MNPは、適切なリンカーにより機能性部分のチオール基を介して機能性部分をエポキシ−MNPと共有的に連結することにより調製され得る。例えば、MNPと結合され得るその他の適切な機能性部分としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない:
1)W−372−4;
【化24】
2)Bay−94−9172−4;
【化25】
3)BF−227−4;
【化26】
4)AV−45−4;
【化27】
5)PK11195−4;および
【化28】
6)DAA1106−4;
【化29】
またはその誘導体もしくは類似体。
【0030】
前記機能性部分のいずれかにおいて、アルキル基は、ヒドロキシアルキルと取り替えられ得る。例えば、適切な機能性部分は、直接的に、またはリンカーを介して、適切な機能性部分のヒドロキシル部分を介してMNPと共役され得る。一非限定例として、機能性部分共役MNPは、適切なリンカーにより機能性部分のヒドロキシル部分を介して機能性部分をエポキシ−MNPと共有的に連結することにより調製され得る。例えば、MNPと結合され得るその他の適切な機能性部分としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない:
1)SB−13−5;
【化30】
2)AZD−2184−5;および
【化31】
3)DED−5;
【化32】
またはその誘導体もしくは類似体。
【0031】
前記機能性部分のいずれかにおいて、アルキル基は、チオアルキルと取り替えられ得る。例えば、適切な機能性部分は、適切な機能性部分のチオール部分を介してMNPと共役され得る。一非限定例として、機能性部分共役MNPは、適切なリンカーにより機能性部分のチオール部分を介して機能性部分をエポキシ−MNPと共有的に連結することにより調製され得る。例えば、MNPと結合され得るその他の適切な機能性部分としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない:
1)SB−13−6;
【化33】
2)AZD−2184−6;および
【化34】
3)DED−6;
【化35】
またはその誘導体もしくは類似体。
【0032】
本発明の機能性MNPの機能性部分は、β−アミロイドペプチド(例えば、凝集β−アミロイドペプチド)および/またはNFTに対する親和性を有し得る。例えば、機能性部分は、β−アミロイドペプチド(例えば、凝集β−アミロイドペプチド)および/またはNFTに対して約10
−6Mから、10
−7M、10
−8Mまたは10
−8Mより大きい親和性を有し得る。
【0033】
本発明の機能性MNPは放射能標識を含んでいてもよいし、例えば機能性部分は放射能標識を含み得る。代りに、本発明の機能性MNPは、放射能標識を含まず、例えば機能性部分は放射能標識を含まず、機能性MNPの他の構成成分で放射能標識を含むものはない。
【0034】
本発明の機能性MNPは、血液脳関門を横断し得る。本発明の機能性MNPは、罹患組織(例えば、β−アミロイド沈着物および/またはNFTを有する脳組織)のT2、T2
*およびT1時間におけるコントラストを提供して、当該組織をMRIに対して可視化させる。本発明のMNPは、比較的長い半減期を有する(例えば、約2時間〜約14日;例えば、約2時間〜約4時間、約4時間〜約8時間、約8時間〜約16時間、約16時間〜約24時間、約24時間〜約2日、約2日〜約4日、約4日〜約7日、または約7日〜約2週間のt
1/2)。
【0035】
磁性ナノ粒子
本発明のナノ粒子は、一般的に、約1nm〜約1000nm、例えば、約1nm〜約10nm、約10nm〜約50nm、約50nm〜約100nm、約100nm〜約250nm、約250nm〜約500nm、約500nm〜約750nmまたは約750nm〜約1000nmの範囲の平均サイズを有する。平均直径は、いくつかの実施形態では、約10nm〜約1000nm、例えば約10nm〜約20nm、約20nm〜約40nm、約40nm〜約60nm、約60nm〜約80nm、約80nm〜約100nm、約100nm〜約200nm、約200nm〜約400nm、約400nm〜約600nm、約600nm〜約800nmまたは約800nm〜約1000nmの範囲である。
【0036】
ナノ粒子は、分子の単なる集合体であり得るし、あるいはそれらは異なる物質の2層以上の構造をとり得る。例えば、磁鉄鉱または磁赤鉄鉱からなる単純なナノ粒子は、使用に適している。例えば、Scientific and Clinical Applications of Magnetic Microspheres, U. Hafeli, W. Schutt, J. Teller, and M. Zborowski (eds.) Plenum Press, New York, 1997; and Tiefenauer et al., Bioconjugate Chem. 4:347, 1993を参照されたい。さらに複雑なナノ粒子は、ある物質から作られるコア、および別の物質(単数または複数)から作られる1つ以上の外殻で構成され得る。「磁性ナノ粒子」という用語は、常磁性ナノ粒子、反磁性ナノ粒子および強磁性ナノ粒子を包含する。
【0037】
本発明によるナノ粒子の例示的コア物質は、一般組成MeOxFe
2O
3(ここで、Meは二価金属、例えばCo、MnまたはFeである)のフェライトである。その他の適切な物質は、γ−Fe
2O
3、純金属Co、Fe、Ni、およびに金属化合物、例えば炭化物および窒化物である。コア物質は、一般的に、MRI可視剤である。コア物質は、典型的には、被覆される。適切なコーティングとしては、デキストラン、アルブミン、デンプン、ケイ素等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0038】
多数の異なる型の小粒子(ナノ粒子またはミクロンサイズの粒子)が、下記のようないくつかの異なるメーカーから市販されている:Bangs Laboratories (Fishers, Ind.); Promega (Madison, Wis.); Dynal Inc.(Lake Success, N.Y.); Advanced Magnetics Inc.(Surrey, U.K.); CPG Inc.(Lincoln Park, N.J.); Cortex Biochem (San Leandro, Calif.); European Institute of Science (Lund, Sweden); Ferrofluidics Corp. (Nashua, N.H.); FeRx Inc.; (San Diego, Calif.); Immunicon Corp.; (Huntingdon Valley, Pa.); Magnetically Delivered Therapeutics Inc. (San Diego, Calif.); Miltenyi Biotec GmbH (USA); Microcaps GmbH (Rostock, Germany); PolyMicrospheres Inc. (Indianapolis, Ind.); Scigen Ltd.(Kent, U.K.); Seradyn Inc.; (Indianapolis, Ind.); and Spherotech Inc. (Libertyville, Ill.)。これらの粒子のほとんどが、従来技法、例えば研磨および粉砕、乳化重合、ブロック共重合およびミクロ乳濁液を用いて製造される。
【0039】
シリカナノ粒子の製造方法も報告されている。当該工程は、クリスタリットコア凝集物(Philipse et al., Langmuir, 10:92, 1994);インターカレートされた(Intercalated)シリカによる超常磁性ポリマーナノ粒子の強化(Gruttner, C and J Teller, Journal of Magnetism and Magnetic Materials, 194:8, 1999);およびマイクロ波による自己集合体(Correa−Duarte et al., Langmuir, 14:6430, 1998)を包含する。
【0040】
本発明のナノ粒子コアは磁性体であり、磁鉄鉱、磁赤鉄鉱およびグレイジャイトからなる群から選択される金属を含み得る。磁性ナノ粒子は、磁性物質、例えば磁鉄鉱、磁赤鉄鉱およびグレイジャイトをコアの一部として用いて製造され得る。このような磁性コアの全体的サイズおよび形状を変えることにより、それらは超常磁性または安定単一磁区(磁場から取り出された後に安定な磁気モーメントを保持する粒子)にされ得る。コアサイズは、磁性ナノ粒子が超常磁性であるか単一磁区であるかに関連する。よって、比較的等しい寸法の超常磁性粒子は、一般的に、50〜80nm未満のサイズのコアを有する。この上方範囲を上回る粒子サイズでは、粒子の磁化は、内部磁気エネルギーを最低にするため、磁化ベクトルの異なる複数の磁区に分割される。
【0041】
いくつかの実施形態では、コアは、無機塩、例えば過マンガン酸カリウム、二クロム酸カリウム、硫酸ニッケル、塩化コバルト、塩化鉄(III)または硝酸銅であり得る色素を含む。同様に、コアは、染料、例えばRu/Bpy、Eu/Bpy等;または金属、例えばAgおよびCdを含み得る。
【0042】
いくつかの実施形態では、本発明の改良ナノ粒子は、コア、およびコアを包むシリカ外殻を含む。官能基は、例えば米国特許第6,548,264号に記載されているように、シリカ外殻と共役される。シリカに官能基を付着するための多数の既知の方法が、本発明で用いるために構成され得る。例えば、Ralph K. Iler, The Chemistry of Silica: Solubility, Polymerization, Colloid and Surface Properties, and Biochemistry, Wiley−Interscience, NY, 1979; VanDerVoort, P. and Vansant, E. F., Journal of Liquid Chromatography and Related Technologies, 19:2723−2752, 1996; and Immobilized Enzymes. Antigens, Antibodies, and Peptides: Preparation and Characterization, Howard H. Weetall (ed.), M. Dekker, NY, 1975を参照されたい。シリカ被覆ナノ粒子に官能基を付加するための典型的方法は、化学基と反応してナノ粒子のシリカ表面に化学基を結合するシリル化剤でナノ粒子を処理することを包含する。化学基は、それ自体、官能基であり得るし、あるいはそれは、官能基が結合され得る基質として役立ち得る。
【0043】
例えば、例示的一方法では、シリカ被覆ナノ粒子は、上記のように調製され、粒子表面は、第一級アミン基をシリカ表面に付着するシリル化剤であるトリメチルシリルプロピル−ジエチレントリアミン(DETA)を用いてシリル化される。次に、臭化シアン(CNBR)法を用いて、官能基がシリル化表面に共有結合され得る。一例として、CNBRによる結合は、2M炭酸ナトリウム緩衝液中に、DETAで予めシリル化されたシリカ被覆ナノ粒子を懸濁し、そして混合物を音波処理して、粒子懸濁液を作製することにより達成され得る。CNBRの溶液(例えば、2gのCNBR/1mlのアセトニトリル)は、次に、粒子懸濁液に付加されて、ナノ粒子を活性化する。中性緩衝液(例えば、PBS、pH8)でナノ粒子を洗浄後、抗体溶液を活性化ナノ粒子懸濁液に付加すると、抗体がナノ粒子と結合するようになる。残存するあらゆる非反応部位を遮断するために、抗体被覆ナノ粒子にグリシン溶液も付加され得る。
【0044】
いくつかの実施形態では、磁性ナノ粒子は被覆されたデキストランである。磁性ナノ粒子は、任意の既知の方法を用いて製造される。例えば、磁性鉄−デキストラン粒子は、10mlの50%(w/w)水性デキストランT−40(Pharmacia)を、1.51gのFeCl
3−6H
2Oおよび0.64gのFeCl
2−4H
2Oを含有する等容量の水溶液と混合することにより調製される。撹拌しながら、水浴中で60〜65℃に加熱された7.5%(v/v)NH
4OHを15分間滴下することにより、混合物はpH10〜11に滴定される。次いで、600×gで5分間の低速臨床遠心分離機中での遠心分離を3サイクル実行して、凝集物を取り出す。Sephacryl−300上でのゲル濾過クロマトグラフィーにより、強磁性鉄−デキストラン粒子が非結合デキストランから分離される。次に、5mlの反応混合物が、2.5×3.3cmカラムに適用されて、0.1M酢酸ナトリウムおよび0.15MのNaCl(pH6.5)で溶離される。空隙容積中に収集される精製強磁性鉄−デキストラン粒子は、乾燥重量分析により確定した場合、7〜10mg/mlの濃度を有する(Molday and Mackenzie (1982) Journal of Immunological Methods 52:353−367)。Xianqiao (2003) China Particuology Vol.1, No.2, 76−79も参照されたい。その結果生じる磁性ナノ粒子は、適切な磁場強度を有する高勾配磁場分離により、サイズおよび/または磁気特性に基づいて分離され得る。
【0045】
いくつかの実施形態では、被覆ナノ粒子はエポキシド基を含み得る。
図7および8は、エポキシド基を含む被覆ナノ粒子の例を示す。例えば、エポキシシランが用いられ得る。デキストラン被覆ナノ粒子に関しては、デキストランコーティングはエポキシド基を含み得る。例えば、エポキシ修飾デキストランは、デキストランとエポキシド基を有する試薬との反応により生成され得る。例えば、デキストランのヒドロキシル基は、反応して、エポキシド基を含むシリル化デキストランを生じる。
【0046】
コーティングは、約1nm〜約500nm、例えば約1nm〜約5nm、約5nm〜約10nm、約10nm〜約15nm、約15nm〜約20nm、約20nm〜約25nm、約25nm〜約30nm、約30nm〜約40nm、約40nm〜約50nm、約50nm〜約60nm、約60nm〜約70nm、約70nm〜約80nm、約80nm〜約90nm、約90nm〜約100nm、約100nm〜約125nm、約125nm〜約150nm、約150nm〜約175nm、約175nm〜約200nm、約200nm〜約225nm、約225nm〜約250nm、約250nm〜約275nm、約275nm〜約300nmの厚み(例えば、コア磁性粒子の外表面からコーティングの外表面までの平均距離)を有し得る。
【0047】
コーティングの厚み対磁性コア粒子の直径の比は、約1:1〜約1:1000、例えば、約1:1〜約1:1.5、約1:1.5〜約1:2、約1:2〜約1:2.5、約1:2.5〜約1:5、約1:5〜約1:10、約1:10〜約1:25、約1:25〜約1:50、約1:50〜約1:100、約1:100〜約1:250、約1:250〜約1:500、約1:500〜約1:750、または約1:750〜約1:1000である。
【0048】
いくつかの実施形態では、本発明の機能性磁性ナノ粒子は、式:M−(L)−Zを有し、LおよびZ間の連結部位は官能基を共有結合している。式中、Mは磁性コア粒子を表し、Lは任意のリンカー基を表し、そしてZは官能基を表す。他の実施形態では、本発明の機能性磁性ナノ粒子は、式:M−S−(L)−Zを有し、SおよびLならびにLおよびZ間の連結部位は官能基を共有結合している。式中、Mは磁性コア粒子を表し、SはMに固定された生体適合性基質を現し、Mは磁性コア粒子を表し、Lは任意のリンカー基を表し、そしてZは官能基を表す。官能基は、β−アミロイドペプチド(例えば、凝集β−アミロイドペプチド)および/またはNFTとの結合を提供する部分;BBBを横断することを提供する部分;治療薬等を含む。
【0049】
いくつかの実施形態では、本発明の機能性磁性ナノ粒子は、同一コア粒子に付着される2つ以上の異なる官能基を含む。例えば、いくつかの実施形態では、本発明の機能性磁性ナノ粒子は、式:M−(L)−Z
1Z
2またはM−S−(L)−Z
1Z
2(式中、Z
1およびZ
2は異なる官能基である)を有する。いくつかの実施形態では、例えばZ
1は、結合部分β−アミロイドペプチド(例えば凝集β−アミロイドペプチド)および/またはNFTである;そしてZ
2は治療薬である。他の実施形態では、例えば、Z
1は、BBBを横断することを提供する部分である;そしてZ
2は、β−アミロイドペプチド(例えば凝集β−アミロイドペプチド)および/またはNFTとの結合を提供する結合部分である。Z
1およびZ
2部分は、独立に、直接的にまたはリンカーを介して、コア粒子またはポリマーに付着される。いくつかの実施形態では、本発明の機能性磁性ナノ粒子は、少なくとも第三の機能性部分Z
3を含む。
【0050】
磁性コア粒子は、上記のように、磁鉄鉱、磁赤鉄鉱、一般式MeOxFe2O3(ここで、Meは二価金属、例えばコバルト、マンガン、鉄である)のフェライトからなるか、あるいはコバルト、鉄、ニッケル、炭化鉄または窒化鉄からなる。存在する場合、基質Sは、多糖またはオリゴ糖、あるいはその誘導体、例えばデキストラン、カルボキシメチルデキストラン、デンプン、ジアルデヒドデンプン、キチン、アルジネート、セルロース、カルボキシメチルセルロース、タンパク質またはその誘導体、例えばアルブミン、ペプチド、合成ポリマー、例えばポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、ポリメタクリレート、二官能性カルボン酸およびその誘導体、例えばメルカプトコハク酸またはヒドロキシカルボン酸のような化合物から形成される。
【0051】
リンカー基Lは、例えば多価および二価カルボン酸、ポリヒドロキシカルボン酸、ジアミン、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、脂質、リポタンパク質、糖タンパク質、レクチン、オリゴ糖、多糖、オリゴヌクレオチドおよびそのアルキル化誘導体、ならびに核酸(DNA、RNA、PNA)およびそのアルキル化誘導体のような、一本鎖または二本鎖形態で存在し少なくとも2つの同一のまたは異なる官能基を含む化合物の反応により形成される。
【0052】
本発明の機能性磁性ナノ粒子は、血液脳関門を通過し得る。例えば、本発明の機能性磁性ナノ粒子は、ナノ粒子に付着される、またはナノ粒子を伴う製剤中の、またはナノ粒子を被覆する1つ以上のポリマーを含み得る。血液脳関門の横断を助長する適切なポリマーとしては、界面活性剤、例えばポリソルベート(例えば、Tween(登録商標)20、40、60および80);ポロキサマー、例えばPluronic(登録商標)F68等が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、本発明の機能性磁性ナノ粒子は、ポリソルベート、例えばTween(登録商標)80(ポリオキシエチレン−80−ソルビタンモノオレエートである)、Tween(登録商標)40(ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテートである);Tween(登録商標)60(ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレートである);Tween(登録商標)20(ポリオキシエチレン−20−ソルビタンモノラウレートである);ポリオキシエチレン20ソルビタンモノパルミテート;ポリオキシエチレン20ソルビタンモノステアレート;ポリオキシエチレン20ソルビタンモノオレエート等で被覆される。さらにまた、使用に適しているのは、水溶性ポリマー、例えばポリエーテル、例えばポリエーテル、例えば、ポリアルキレンオキシド、例えばポリエチレングリコール(「PEG」)、ポリエチレンオキシド(「PEO」)、ポリエチレンオキシド−コ−ポリプロピレンオキシド(「PPO」)、コ−ポリエチレンオキシドブロックまたはランダムコポリマー、ならびにポリビニルアルコール(「PVA」);ポリ(ビニルピロリドン)(「PVP」);ポリ(アミノ酸);デキストラン、およびタンパク質、例えばアルブミンである。ブロックコポリマー、例えばポリエチレンオキシド−ポリプロピレンオキシド−ポリエチレンオキシド(PEO−PPO−PEO)トリブロックコポリマー(例えば、Pluronic(登録商標)F68)等は、使用に適している(例えば、米国特許第6,923,986号を参照されたい)。血液脳関門を横断するその他の方法は、種々の出版物、例えばChen et al. (2004) Curr. Drug Delivery 1:361−376で考察されている。
【0053】
いくつかの実施形態では、本発明の機能性MNPは、細網内皮系(RES)の回避を提供する1つ以上の作用物質を含む。RESの回避を提供する作用物質としては、ブロックコポリマー非イオン性界面活性剤、例えばポロキサミン、例えばポロキサミン508、ポロキサミン908、ポロキサミン1508等が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、本発明の機能性MNPは、約1%のポロキサミンを含む。
【0054】
ナノ粒子は、さらにまた、血液脳関門(BBB)に存在する特異的送達チャンネルを利用することにより、BBBを横断して送達され得る。非限定的一例として、ナノ粒子への2−デオキシグルコースの付着は、グルコースチャンネルがこれらの粒子を受容できるようにし、そしてBBBを横断する送達を助長する。その他の機序は、トランスサイトーシスおよび血管外漏出であって、BBBに存在するチャンネルの媒介を伴うことも伴わないこともある。
【0055】
本発明の機能性磁性ナノ粒子は、神経外科的技法を用いて中枢神経系(CNS)に送達され得る。重病患者、例えば事故犠牲者または種々の型の痴呆に罹患している者の場合、その付随する危険にもかかわらず、外科的介入が保証される。例えば、本発明の機能性磁性ナノ粒子は、CNS中への直接的物理的導入、例えば脳室内またはくも膜下腔内注入により送達され得る。脳室内注入は、例えばレザバー、例えばオマヤ・レザバーに接続された脳室内カテーテルにより、助長され得る。導入方法は、再充電可能な、または生分解性の装置によっても提供され得る。別のアプローチは、血液脳関門の透過性を増大する物質による血−脳関門の破壊である。例としては、貧拡散性作用物質、例えばマンニトール、脳血管透過性を増大する医薬品、例えばエトポシド、または血管作用薬、例えばロイコトリエンの動脈内注入が挙げられる(Neuwelt and Rappoport (1984) Fed. Proc. 43:214−219; Baba et al. (1991) J. Cereb. Blood Flow Metab. 11:638−643; and Gennuso et al. (1993) Cancer Invest. 11:638−643)。
【0056】
さらに、診断または治療を必要とする区域に局所的に、本発明の機能性磁性ナノ粒子を投与することが望ましい;これは、例えば、外科手術中の局所注入により、注射により、カテーテルにより、または埋込み物により達成され得るが、上記埋込み物は多孔性、非多孔性またはゼラチンゼリー状の物質、例えば膜、例えばシラスティック膜、または繊維である。
【0057】
本発明の機能性磁性ナノ粒子が血液脳関門を横断するよう、本発明の機能性磁性ナノ粒子は、化学的修飾を含めた薬理学的技法を用いても送達され得る。本発明の機能性磁性ナノ粒子は、ナノ粒子の疎水性を増大し、ナノ粒子の正味電荷または分子量を低減し、あるいはナノ粒子を改質するよう修飾され、したがってそれは、血液脳関門を横断して正常に運搬されるものに類似する(Levin (1980) J. Med. Chem. 23:682−684; Pardridge (1991) in: Peptide Drug Delivery to the Brain;およびKostis et al. (1994) J. Clin. Pharmacol. 34:989−996)。
【0058】
リポソームのような疎水性環境中に本発明の機能性磁性ナノ粒子を被包することも、CNSへの薬剤送達に有効である。例えば、国際公開第91/04014号は、血液脳関門を横断して正常に輸送される分子が付加されたリポソーム内に薬剤が被包されるリポソーム送達系を記載する。
【0059】
血液脳関門を通過するために本発明の機能性磁性ナノ粒子を処方する別の方法は、シクロデキストリン中に本発明の機能性磁性ナノ粒子を被包することである。血液脳関門を通過する任意の適切なシクロデキストリン、例えばα−シクロデキストリン、β−シクロデキストリンおよびその誘導体(これらに限定されない)が用いられ得る。一般的に米国特許第5,017,566号、第5,002,935号および第4,983,586号を参照されたい。このような組成物は、米国特許第5,153,179号で考察されているように、グリセロール誘導体も含み得る。
【0060】
いくつかの実施形態では、本発明の機能性磁性ナノ粒子は、脳の細胞に進入することが可能であり、例えば細胞膜を横断し、細胞の細胞質に進入し得る。脳の細胞に進入する機序としては、例えば経細胞輸送および血管外漏出が挙げられ、適切な膜チャンネルの媒介を伴う場合も伴わない場合もある。
【0061】
治療薬
本発明の機能性MNPは、β−アミロイド沈着物および/またはNFTのほかに、治療薬、例えばADを治療するのに適した治療薬を含み得る。適切な治療薬としては、ADを処置するための作用物質が挙げられるが、この場合、このような作用物質としては、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬、例えばアリセプト(ドネペジル)、エキセロン(リバスチグミン)、メトリフォネート、ラザダイン(ガランタミン)およびタクリン(コグネックス);非ステロイド系抗炎症薬、例えばイブプロフェンおよびインドメタシン;シクロオキシゲナーゼ−2(Cox2)阻害薬、例えばセレブレックス;モノアミンオキシダーゼ阻害薬、例えばセレギリン(エルデプリルまたはデプレニル);ならびにN−メチルD−アスパルテート(NMDA)アンタゴニスト、例えばナメンダ(メマンチン)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0062】
ADを処置するための別の適切な付加的治療薬は、アポE4ドメイン相互作用を低減するアポE4「構造修正物質」である。アポE4ドメイン相互作用を低減する作用物質としては、例えば米国特許公開番号2006/0073104号;およびYe et al. (2005) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 102:18700に記載されたような作用物質が挙げられる。
【0063】
ADを処置するための別の適切な付加的治療薬は、タウ凝集を抑制する作用物質、例えば米国特許第7,605,179号に記載されたようなタウ凝集を抑制するナプトキノン誘導体である。別の適切な付加的治療薬は、タウのリン酸化を抑制する作用物質、例えば米国特許第7,572,793号に記載されたようなタウプロテインキナーゼ1を抑制する3−置換−4−ピリミドン誘導体である。
【0064】
組成物
本発明の開示は、本発明の機能性MNPを含む組成物、例えば薬学的組成物をさらに提供する。本発明の機能性磁性ナノ粒子を含む組成物は、以下の:塩、緩衝液;pH調節剤;非イオン性洗剤;プロテアーゼ阻害薬;ヌクレアーゼ阻害薬等のうちの1つ以上を含む。
【0065】
本発明の機能性MNPを含む薬学的組成物は、1つ以上の製薬上許容可能な担体を含む。本明細書中で用いる場合、「製薬上許容可能な担体」は、組成物の活性成分と組み合わされると、当該成分に生物学的活性を保持させ、被験体の免疫系または他の生理学的機能と破壊的反応を引き起こさない任意の物質を包含する。例としては、標準薬学的担体、例えばリン酸塩緩衝生理食塩溶液、水、乳濁液、例えば油/水乳濁液、および種々の型の湿潤剤が挙げられるが、これらに限定されない。エアロゾルまたは非経口投与のための例示的希釈剤は、リン酸塩緩衝生理食塩水または通常(0.9%)生理食塩水である。このような担体を含む組成物は、周知の慣用的方法により処方される(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences, Chapter 43, 14th Ed., Mack Publishing Col, Easton PA 18042, USA参照を参照されたい)。製薬上許容可能な賦形剤は、種々の出版物、例えばA. Gennaro (2000) “Remington: The Science and Practice of Pharmacy,” 20th edition, Lippincott, Williams, & Wilkins; Remington’s Pharmaceutical Sciences, 14th Ed. or latest edition, Mack Publishing Col, Easton PA 18042, USA;Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems (1999) H.C. Ansel et al., eds., 7
th ed., Lippincott, Williams, & Wilkins;およびHandbook of Pharmaceutical Excipients (2000) A.H. Kibbe et al., eds., 3
rd ed. Amer. Pharmaceutical Assocに詳細に記載されている。
【0066】
本発明の機能性磁性ナノ粒子は、水性または非水性溶媒、例えば植物油またはその他の類似の油、合成脂肪酸グリセリド、高級脂肪酸またはプロピレングリコールのエステル中に;所望により、慣用的添加物、例えば可溶化剤、等張剤、懸濁剤、乳化剤、安定化剤および防腐剤とともに、溶解し、懸濁し、または乳濁することにより、注射用の製剤に処方され得る。
【0067】
画像処理方法
本発明の機能性MNPを用いて、β−アミロイド沈着物および/またはNFTに関連するかまたはそれに起因する疾患の、生存哺乳動物、例えばヒト、非ヒト動物、あるいは非ヒト動物モデルの脳におけるアミロイド沈着物および/またはNFTを検出し、定量し得る。本発明の機能性MNPを含む薬学的組成物は、生存哺乳動物に投与される。脳中に存在する任意のβ−アミロイド沈着物(例えば、神経原繊維濃縮体と関連し得るような凝集β−アミロイド)は、磁気共鳴画像処理(MRI)または任意の他の適切な画像処理方法を用いて可視化され得る。したがって、本発明の開示は、生存哺乳動物の脳におけるアミロイド沈着物および/またはNFTを検出し、定量する方法を提供する。当該方法は、一般的に、本発明の機能性MNPを含む診断的有効量の薬学的組成物を哺乳動物に投与すること;およびMRIにより脳組織を画像処理することを包含する。投与された機能性MNPは、脳組織中に分布され、そして凝集β−アミロイドペプチドおよび/またはNFTと結合される任意の機能性MNPがMRIを用いて画像処理され得る。結合の正常対照レベルと比較して、機能性MNPと脳組織との結合の増大は、当該哺乳動物がアルツハイマー病に罹患しているかまたは発症する危険性があることを示している。
【0068】
本発明の機能性MNPは、罹患組織(例えば、β−アミロイド沈着物を有する脳組織)のT2、T2
*およびT1時間におけるコントラストを提供して、当該組織をMRIに対して可視化させる。画像処理されるべき当該領域としては、例えば海馬、皮質および中脳が挙げられる。
【0069】
本発明の機能性MNPは、例えば研究目的のために、アルツハイマー病(AD)の非ヒト動物モデルの脳におけるβ−アミロイド沈着物(例えば凝集β−アミロイドタンパク質)および/またはNFTを画像処理するために用いられ得る。ADの適切な非ヒト動物モデルとしては、ヒトアミロイド前駆体タンパク質(hAPP)突然変異体導入遺伝子を含むトランスジェニックマウス;プレセニリン1またはプレセニリン2導入遺伝子を含むトランスジェニックマウス等が挙げられる(例えば、Gotz et al. (2004) Mol. Psychiatry 9:664; Gotz and Ittner (2008) Nature Reviews 9:532を参照されたい)。
【0070】
例えば、ADの治療のための実験薬は、ADの非ヒト動物モデルに投与され得る;そして本発明の機能性MNPを用いて、非ヒト動物モデルの脳におけるβ−アミロイド沈着物および/またはNFTの量に及ぼす実験薬の作用を確定し得る。
【0071】
本発明の画像処理方法を実行するに際して、本発明の機能性MNPは、種々の投与経路、例えば非経口および経腸経路のいずれかにより、個体に投与され得る。適切な投与経路としては、例えば静脈内、経口、直腸、膣、鼻、眼、くも膜下腔内、頭蓋内、筋肉内等が挙げられる。
【0072】
治療方法
上記のように、いくつかの実施形態では、本発明の機能性MNPは、β−アミロイド沈着物および/またはNFTを結合する機能性部分(基)のほかに、治療薬を包含し得る。このような機能性MNPは、画像処理および/またはADの治療に用いられ得る。
【0073】
適切な治療薬としては、ADを治療するための作用物質が挙げられるが、この場合、このような作用物質としては、アリセプト(ドネペジル)、エキセロン(リバスチグミン)、メトリフォネートおよびタクリン(コグネックス);非ステロイド系抗炎症薬、例えばイブプロフェンおよびインドメタシン;シクロオキシゲナーゼ−2(Cox2)阻害薬、例えばセレブレックス;ならびにモノアミンオキシダーゼ阻害薬、例えばセレギリン(エルデプリルまたはデプレニル)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0074】
ADを治療するための別の適切な付加的治療薬は、アポE4ドメイン相互作用を低減するアポE4「構造修正物質」である。アポE4ドメイン相互作用を低減する作用物質としては、例えば米国特許公開番号2006/0073104号;およびYe et al. (2005) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 102:18700に記載されたような作用物質が挙げられる。
【0075】
ADを治療するための別の適切な付加的治療薬は、タウ凝集を抑制する作用物質、例えば米国特許第7,605,179号に記載されたようなタウ凝集を抑制するナプトキノン誘導体である。別の適切な付加的治療薬は、タウのリン酸化を抑制する作用物質、例えば米国特許第7,572,793号に記載されたようなタウプロテインキナーゼ1を抑制する3−置換−4−ピリミドン誘導体である。
【0076】
本発明の処置方法を実行するに際して、本発明の機能性MNPは、種々の投与経路、例えば非経口および経腸経路のいずれかにより、投与され得る。適切な投与経路としては、例えば静脈内、経口、直腸、膣、鼻、眼、くも膜下腔内、頭蓋内、筋肉内等が挙げられる。
【実施例】
【0077】
以下の実施例は、本発明の製造および使用方法についての完全な開示および記述を当業者に提供するために述べられるものであって、当該発明人等が彼等の発明とみなすものの範囲を限定するよう意図されないし、以下の実験が実施されたすべてのまたは単なる実験であることを表すようにも意図されない。用いられる数字(例えば、量、温度等)に関して精度を保証するよう努力がなされてきたが、しかし何らかの実験的誤差および偏差が説明されるべきである。別記しない限り、部は重量部であり、分子量は重量平均分子量であり、温度は摂氏であり、そして圧力は大気圧またはほぼ大気圧である。標準的略号が用いられ得る:例えば、bp、塩基対(単数または複数);kb、キロ塩基(単数または複数);pl、ピコリットル(単数または複数);sまたはsec、秒(単数または複数);min、分(単数または複数);hまたはhr、時間(単数または複数);aa、アミノ酸(単数または複数);kb、キロ塩基(単数または複数);bp、塩基対(単数または複数);nt、ヌクレオチド(単数または複数);i.m.、筋肉内(筋肉内に);i.p.、腹腔内(腹腔内に);s.c.、皮下(皮下に);等。
【0078】
実施例1: 機能性MNPの調製
HODDNP共役MNP(「DNP−MNP」)
HODDNP共役MNPを、ナイーブ(無AD)ラットに、そしてADのラットモデルに投与した。データを、
図1〜6に示す。
図1Aおよび1B. ナイーブ(無AD)ラットのMR(磁気共鳴)画像(T2、TR6000ミリ秒(ms)、TE 10〜120ms、12エコー)を示す。
図1Aは、代表的切片の基線(プレコントラスト)MR画像を示す。
図1bは、同一切片のポストコントラストMR画像を示す。基線(
図1A)およびポストコントラスト(
図1B)スキャンにおける体積関心領域(ROI)(ここで、ROIは海馬、皮質、中脳を含む)の定量的T2値の比較は、DNP−MNP(「HODDNP−MNP」としても言及される)による注射後のこのナイーブ動物における有意の(p>0.05)コントラスト増強を示さなかった。
【0079】
表1は、基線スキャンにおける関心領域(ROI)(ここで、ROIは海馬、皮質、中脳を含む)の定量的T2値(「ベースT2(ms)」)を示す。表1は、HODDNP−MNPの静脈内(i.v.;尾静脈)注射の1.5時間後の同一ラットにおける当該同一領域の定量的T2値(「ポストT2」)を示す。
【表1】
【0080】
図2Aおよび2B. ADの遺伝子モデル(アミロイド−β(Aβ)プラークの三重遺伝子モデル)である1年齢ラットのMR画像(T2、TR6000ms、TE 10〜120ms、12エコー)を示す。
図2Aは、このラットにおける代表的切片の基線(プレコントラスト)MR画像を示す。
図2Bは、コントラスト注射の2.5時間後の同一切片のポストコントラストMR画像を示す。基線(
図2A)およびポストコントラスト(
図2B)スキャンにおける当該容積ROI(海馬、皮質および中脳)の定量的T2値の比較は、DNP−MNPによる注射後のすべてのROIにおける有意の(p<0.05)コントラスト増強を示した。コントラスト増強は、海馬において最も顕著で、次いで皮質であった。
【0081】
表2は、基線スキャンにおけるROI(海馬、皮質および中脳)の定量的T2値(「ベースT2(ms)」)を示す。表2は、HODDNP−MNPのi.v.(尾静脈)注射の2.5時間後の同一ラットにおける同一ROIの定量的T2値(「ポストT2」)を示す。
【表2】
【0082】
図3Aおよび3B. ADの遺伝子モデル(Aβプラークの三重遺伝子モデル)である第二の1年齢ラットのMR画像(T2、TR6000ms、TE 10〜120ms、12エコー)を示す。
図3Aは、このラットにおける代表的切片の基線(プレコントラスト)MR画像を示す。
図3Bは、コントラスト注射の2.5時間後の同一切片のポストコントラストMR画像を示す。基線(
図3A)およびポストコントラスト(
図3B)スキャンにおける当該容積ROI(海馬、皮質および中脳)のT2値の比較は、DNP−MNPによる注射後のすべてのROIにおける有意の(p<0.05)コントラスト増強を示した。コントラスト増強は、海馬において最も顕著で、次いで皮質であった。
【0083】
表3は、基線スキャンにおけるROI(海馬、皮質および中脳)の定量的T2値(「ベースT2(ms)」)を示す。表3は、HODDNP−MNPのi.v.(尾静脈)注射の2.5時間後の同一ラットにおける同一ROIの定量的T2値(「ポストT2」)を示す。
【表3】
【0084】
図4A〜4C. ADのトランスジェニックラットモデルの代表的MRI切片を、
図4Aに示す。対応する矩形域(海馬)は、
図4Bにおける染色組織切片で示されている。差込図は、海馬における顕著なプラークの存在を示す。より多くのび漫性プラークの存在(
図4C)が、すべての脳区域で観察された。これらの結果は、HODDNP−MNPによるコントラスト増強がβ−アミロイドプラークの存在下で生じ、これはADと関連する、ということを確証する。
【0085】
図5A〜5D. び漫性プラークの存在は、海馬において示される(
図5A)。隣接切片におけるペルルス鉄染色は、プラークを含有する区域におけるDNP−MNPの存在を示す(
図5B〜D)。
【0086】
図6Aおよび6B. トランスジェニックラット脳切片(DNP−MNP静脈内注射後(尾静脈による))のDAB増強ペルルス染色を、
図6Aに示す。DNP−MNPはBBBを横断し、細胞内(矢印)および細胞外脳組織中に存在する。ナイーブ対照動物(コントラスト注射なし)のDAB増強ペルルス染色(
図6B)は、
図6Aで示された同一脳区域(嗅内皮質)において存在する鉄染色を示さない。
【0087】
HODDNPは、HODDNPのヒドロキシル基を介して、エポキシ−MNPと共有的に共役され得る。共役方法の一例を、
図7に示す。
【0088】
PIB−2共役MNP
PIB−2は、PIB−2のアミノ窒素を介して、エポキシ−MNPと共有的に共役される。このような方法の一例を、
図8に示す。
【0089】
その特定の実施形態に関して本発明を記載してきたが、本発明の真の精神および範囲を逸脱しない限り、種々の変更がなされ得るし、等価物が置換され得る、と当業者に理解されるべきである。さらに、多くの修正がなされて、特定の状況、材料、物質の組成、工程、単数または複数の工程を、本発明の目的、精神および範囲に適合し得る。このような修正はすべて、本明細書に添付の特許請求の範囲内であるよう意図される。
【0090】
本発明は以下の態様を包含する。
(1):以下の:
a)磁性コア、ならびに凝集β−アミロイドタンパク質および/または神経原繊維濃縮体を結合する官能基を含む機能性磁性ナノ粒子(MNP)であって、ここで、前記官能基がリンカーを介して磁性コアと連結され、前記機能性磁性ナノ粒子が、哺乳類被験体の血流中に導入されると、哺乳類被験体の血液脳関門を横断し得るものである、機能性磁性ナノ粒子と、
b)製薬上許容可能な担体
とを含む薬学的組成物。
(2):前記官能基が、2−(1−{6−[(2−ヒドロキシエチル)(メチル)アミノ]−2−ナフチル}エチリデン)マロノニトリル(HODDNP)またはその誘導体もしくは類似体である(1)の薬学的組成物。
(3):前記官能基が、(4’−アミノフェニル)−6−ヒドロキシベンゾチアゾール(PIB−2)またはその誘導体もしくは類似体である(1)の薬学的組成物。
(4):前記官能基が、以下の:
W−372(7−メトキシ−2(6−フルオロピリジン−3−イル)イミダゾ[2,1−b]−8−ピリジノチアゾール)
【化36】
から選択される(1)の薬学的組成物。
(5):前記官能基が、以下の:
Bay−94−9172(ZK 6013443;{4−[2−(4−{2−2[2−(2−フルオロ−エトキシ)−エトキシル]−エトキシ}−フェニル)−ビニル]−フェニル}−メチル−アミン))
【化37】
から選択される(1)の薬学的組成物。
(6):前記官能基が、以下の:
BF−227(2−(2−[2−ジメチルアミノチアゾール−5−イル]エテニル)−6−(2−[フルオロ]エトキシ)ベンズオキサゾール)
【化38】
から選択される(1)の薬学的組成物。
(7):前記官能基が、以下の:
SB−13(4−N−メチルアミノ−4’−ヒドロキシスチルベン)
【化39】
から選択される(1)の薬学的組成物。
(8):前記官能基が、以下の:
AV−45((E)−4−(2−(6−(2−(2−(2−(フルオロエトキシ)エトキシ)エトキシ)ピリジン−3−イル)ビニル)−N−メチルベンゼンアミン)
【化40】
から選択される(1)の薬学的組成物。
(9)前記官能基が、以下の:
AZD−2184(2−[6−(メチルアミノ)ピリジン−3−イル]−1,3−ベンゾチアゾール−6−オール)
【化41】
から選択される(1)の薬学的組成物。
(10):前記官能基が、以下の:
PK11195(1−(2−クロルフェニル)−N−メチル−N−(1−メチルプロピル)−3−イソキノリン−カルボキサミド)
【化42】
から選択される(1)の薬学的組成物。
(11):前記官能基が、以下の:
DAA1106(N−(2−フェノキシ−5−フルオロフェニル)−N−(2,5−ジメトキシベンジル)アセトアミド)
【化43】
から選択される(1)の薬学的組成物。
(12):前記官能基が、以下の:
DED(N,N−ジエチルジエチレントリアミン)
【化44】
から選択される(1)の薬学的組成物。
(13):前記機能性磁性ナノ粒子(MNP)が、次式を有し、
M−S−(L)−Z
式中、Mは磁性コアであり、Sはポリマーであり、Lは任意のリンカーであり、そしてZは官能基である、(1)の薬学的組成物。
(14):前記官能基が、直接またはリンカーを介してポリマーに付着される(13)の薬学的組成物。
(15):前記官能基が、エポキシ基を介して磁性コアに結合される(1)の薬学的組成物。
(16):HODDNP官能基が、HODDNPのヒドロキシル基を介して磁性コアに結合される(2)の薬学的組成物。
(17):前記PIB−2官能基が、PIB−2のアミノ窒素基を介して磁性コアに連結される(3)の薬学的組成物。
(18):前記機能性MNPがさらに治療薬を含む(1)の薬学的組成物。
(19):前記機能性MNPがアルブミンマトリックス中に被包される(1)の薬学的組成物。
(20):前記機能性MNPがアポリポタンパク質を含む(1)の薬学的組成物。
(21):前記MNPがポリ(ブチルシアノアクリレート)(PBCA)を含む(1)の薬学的組成物。
(22):前記機能性MNPがPBCA粒子の表面に付着される(21)の薬学的組成物。
(23):前記機能性MNPが界面活性剤を含む(1)の薬学的組成物。
(24):前記界面活性剤が、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレートおよびポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートから選択される(23)の薬学的組成物。
(25):前記界面活性剤が、ポリエチレンオキシドおよびポリプロピレンオキシドのブロックコポリマーである(23)の薬学的組成物。
(26):前記機能性MNPがポロキサミンを含む(23)の薬学的組成物。
(27):前記ポリマーがデキストランである(2)の薬学的組成物。
(28):生存哺乳動物の脳においてアルツハイマー病またはその疾病素質を検出するための方法であり、以下の:
a)診断的有効量の(1)の薬学的組成物を哺乳動物に投与すること;
b)機能性MNPを脳組織中に分布させること;および
c)磁気共鳴画像処理により脳組織を画像処理することを包含する方法であって、
正常対照レベルの結合と比較して前記機能性MNPと脳組織との結合の増大が、哺乳動物がアルツハイマー病に罹患しているかまたは発症する危険性があるということを示す方法。
(29):前記組成物が静脈内注射により投与される(28)の方法。
(30):前記生存哺乳動物がヒトである(28)の方法。
(31):生存哺乳動物の脳においてβ−アミロイド沈着物および/または神経原繊維濃縮体を検出するための方法であり、以下の:
a)診断的有効量の(1)の薬学的組成物を哺乳動物に投与すること;
b)機能性MNPを脳組織中に分布させること;および
c)磁気共鳴画像処理により脳組織を画像処理することを包含する方法であって、
正常対照レベルの結合と比較して前記機能性MNPと脳組織との結合の増大が、脳におけるβ−アミロイド沈着物および/または神経原繊維濃縮体の存在を示す方法。
(32):前記組成物が静脈内注射により投与される(31)の方法。
(33):前記生存哺乳動物がヒトである(31)の方法。
(34):前記生存哺乳動物が、β−アミロイド沈着物および/または神経原繊維濃縮体に関連した疾患の非ヒト動物モデルである(31)の方法。
【0091】
本発明は更に以下の態様を包含する。
(A1):以下の:
a)磁性コア、及び凝集β−アミロイドタンパク質および/または神経原繊維濃縮体と結合する官能基を含む機能性磁性ナノ粒子(MNP)であって、
前記官能基が、
【化45】
【化46】
【化47】
及び
【化48】
から選択され、
前記官能基が前記磁性コアと直接あるいはリンカーを介して連結され、前記機能性磁性ナノ粒子が、哺乳類被験体の血流中に導入されると、哺乳類被験体の血液脳関門を横断し得るものである、機能性磁性ナノ粒子と、
b)製薬上許容可能な担体、
とを含む薬学的組成物。
(A2):前記官能基が、前記磁性コアとリンカーを介して連結される、(A1)に記載の薬学的組成物。
(A3):前記機能性MNPがさらに治療薬を含む、(A1)に記載の薬学的組成物。
(A4):前記機能性MNPがアルブミンマトリックス中に被包される、(A1)に記載の薬学的組成物。
(A5):前記機能性MNPがアポリポタンパク質を含む、(A1)に記載の薬学的組成物。
(A6):前記機能性MNPがポリ(ブチルシアノアクリレート)(PBCA)を含む、(A1)に記載の薬学的組成物。
(A7):前記機能性MNPがPBCA粒子の表面に付着される、(A6)に記載の薬学的組成物。
(A8):前記機能性MNPが界面活性剤を含む、(A1)に記載の薬学的組成物。
(A9):前記界面活性剤が、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレートおよびポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートから選択される、(A8)に記載の薬学的組成物。
(A10):前記界面活性剤が、ポリエチレンオキシドおよびポリプロピレンオキシドのブロックコポリマーである、(A8)に記載の薬学的組成物。
(A11):前記機能性MNPがポロキサミンを含む、(A8)に記載の薬学的組成物。
(A12):前記官能基がポリマーを介して磁性コアに連結され、当該ポリマーがデキストランである、(A1)に記載の薬学的組成物。
(A13):生存哺乳動物の脳においてアルツハイマー病またはその疾病素質を検出するための、(A1)から(A12)のいずれか一項に記載の薬学的組成物であって、
前記組成物の診断的有効量を哺乳動物に投与して機能性MNPを脳組織中に分布させ、磁気共鳴画像処理により脳組織を画像処理したとき、前記機能性MNPと脳組織との結合が正常対照レベルの結合と比較して増大したことが、当該哺乳動物がアルツハイマー病に罹患しているかまたは発症する危険性があるということを示す、薬学的組成物。
(A14):静脈内注射により投与するための、(A13)に記載の薬学的組成物。
(A15):前記生存哺乳動物がヒトである、(A13)に記載の薬学的組成物。
(A16):生存哺乳動物の脳においてβ−アミロイド沈着物および/または神経原繊維濃縮体を検出するための、(A1)から(A12)のいずれか一項に記載の薬学的組成物であって、
前記組成物の診断的有効量を哺乳動物に投与して機能性MNPを脳組織中に分布させ、磁気共鳴画像処理により脳組織を画像処理したとき、前記機能性MNPと脳組織との結合が正常対照レベルの結合と比較して増大したことが、脳におけるβ−アミロイド沈着物および/または神経原繊維濃縮体の存在を示す、薬学的組成物。
(A17):静脈内注射により投与するための、(A16)に記載の薬学的組成物。
(A18):前記生存哺乳動物がヒトである、(A16)に記載の薬学的組成物。
(A19):前記生存哺乳動物が、β−アミロイド沈着物および/または神経原繊維濃縮体に関連した疾患の非ヒト動物モデルである、(A16)に記載の薬学的組成物。