特許第6960902号(P6960902)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6960902排水管洗浄容器、排水管洗浄キット、及び排水管洗浄容器を用いた洗浄方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6960902
(24)【登録日】2021年10月14日
(45)【発行日】2021年11月5日
(54)【発明の名称】排水管洗浄容器、排水管洗浄キット、及び排水管洗浄容器を用いた洗浄方法
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/30 20060101AFI20211025BHJP
【FI】
   E03C1/30
【請求項の数】25
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2018-504849(P2018-504849)
(86)(22)【出願日】2016年7月29日
(65)【公表番号】特表2018-521249(P2018-521249A)
(43)【公表日】2018年8月2日
(86)【国際出願番号】KR2016008407
(87)【国際公開番号】WO2017023051
(87)【国際公開日】20170209
【審査請求日】2019年7月26日
(31)【優先権主張番号】10-2015-0108579
(32)【優先日】2015年7月31日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2016-0023334
(32)【優先日】2016年2月26日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2016-0023278
(32)【優先日】2016年2月26日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2016-0025287
(32)【優先日】2016年3月2日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2016-0029739
(32)【優先日】2016年3月11日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2016-0041660
(32)【優先日】2016年4月5日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2016-0086875
(32)【優先日】2016年7月8日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2016-0086883
(32)【優先日】2016年7月8日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2016-0089926
(32)【優先日】2016年7月15日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】514112488
【氏名又は名称】エルジー ハウスホールド アンド ヘルスケア リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】イン−キ・ユ
(72)【発明者】
【氏名】チ−ホイ・キム
(72)【発明者】
【氏名】サン−ウン・カク
(72)【発明者】
【氏名】サン−ミン・イ
(72)【発明者】
【氏名】スン−イル・シン
(72)【発明者】
【氏名】ヒョク−ス・クォン
(72)【発明者】
【氏名】ミン−キョン・ジョ
【審査官】 七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭59−114340(JP,A)
【文献】 特開2003−164472(JP,A)
【文献】 特開平10−081895(JP,A)
【文献】 特開2002−317198(JP,A)
【文献】 特開2002−356700(JP,A)
【文献】 特開2008−150461(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に形成された収容空間が備えられた容器本体と、
前記収容空間に発泡洗浄用の排水管洗浄剤を流入させる流入口と、
前記容器本体に備えられた前記収容空間と排水管とが連通するように前記容器本体に形成され、前記収容空間に収容された前記排水管洗浄剤を前記排水管へ吐き出す少なくとも一つの吐出口と、を含み、前記収容空間に収容された洗浄剤が前記吐出口を通過して前記排水管へ吐き出すことによって、前記排水管洗浄剤を排水管に直接処理する場合に比べて遅い速度で吐き出し、
前記吐出口の予め決められた直径が、0.5〜3mmであり、
前記吐出口の個数が、2〜5個である、発泡洗浄用の排水管洗浄容器。
【請求項2】
前記発泡洗浄用の排水管洗浄容器が、排水管と連結されるように設けられた排水口に設置されることを特徴とする請求項1に記載の発泡洗浄用の排水管洗浄容器。
【請求項3】
前記発泡洗浄用の排水管洗浄容器が、上端から下端へ進むほど直径が漸進的に小さくなることを特徴とする請求項1に記載の発泡洗浄用の排水管洗浄容器。
【請求項4】
前記発泡洗浄用の排水管洗浄容器は、流入部を通して排出された洗浄剤が外面に沿って流れるよう、凹凸溝が予め決められた間隔で設けられた凹凸構造を含むことを特徴とする請求項1に記載の発泡洗浄用の排水管洗浄容器。
【請求項5】
前記吐出口は、前記洗浄剤が前記吐出口を通して1〜100ml/minで排出されるように予め決められた直径を有することを特徴とする請求項1に記載の発泡洗浄用の排水管洗浄容器。
【請求項6】
前記吐出口は、前記洗浄剤が前記吐出口を通して10分〜180分間排出されるように予め決められた直径及び個数を有することを特徴とする請求項1に記載の発泡洗浄用の排水管洗浄容器。
【請求項7】
前記発泡洗浄用の排水管洗浄容器は、発泡洗浄用の排水管洗浄剤が通過するメッシュ部材を含むことを特徴とする請求項1に記載の発泡洗浄用の排水管洗浄容器。
【請求項8】
前記メッシュ部材が、前記流入口に形成されることを特徴とする請求項7に記載の発泡洗浄用の排水管洗浄容器。
【請求項9】
前記メッシュ部材が、網状であることを特徴とする請求項7に記載の発泡洗浄用の排水管洗浄容器。
【請求項10】
前記メッシュ部材の網目サイズが、100〜10,000μmであることを特徴とする請求項7に記載の発泡洗浄用の排水管洗浄容器。
【請求項11】
【請求項11】
次亜塩素酸塩を含む1剤及び過酸化水素を含む2剤を含む発泡洗浄用の排水管洗浄剤と

内部に形成された収容空間が備えられた容器本体と、前記収容空間に発泡洗浄用の排水
管洗浄剤を流入させる流入口と、前記容器本体に備えられた前記収容空間と排水管とが連
通するように前記容器本体に形成され、前記収容空間に収容された前記排水管洗浄剤を前
記排水管へ吐き出す少なくとも一つの吐出口と、を含む、発泡洗浄用の排水管洗浄容器と
、を含み、
前記収容空間に収容された洗浄剤が前記吐出口を通過して前記排水管へ吐き出すことに
よって、前記排水管洗浄剤を排水管に直接処理する場合に比べて遅い速度で吐き出し、
前記収容空間の体積が、前記発泡洗浄用の排水管洗浄剤の総体積よりも小さく、
前記吐出口の予め決められた直径が、0.5〜3mmであり、
前記吐出口の個数が、2〜5個であることを特徴とする発泡洗浄用の排水管洗浄キット


【請求項12】
前記収容空間の体積が、発泡した状態の前記排水管洗浄剤の次亜塩素酸塩を含む1剤と過酸化水素を含む2剤との混合物、及びこれから発生する気泡の体積よりも小さいことを特徴とする請求項11に記載の発泡洗浄用の排水管洗浄キット。
【請求項13】
前記収容空間と前記発泡した洗浄剤との体積比が、1:1.01〜5(収容空間の体積:発泡した洗浄剤の体積)であることを特徴とする請求項12に記載の発泡洗浄用の排水管洗浄キット。
【請求項14】
前記1剤と2剤との混合物またはこれから発生する気泡が、発泡洗浄用の排水管洗浄容器の流入口を通して満ち溢れることを特徴とする請求項12に記載の発泡洗浄用の排水管洗浄キット。
【請求項15】
請求項1の発泡洗浄用の排水管洗浄容器、及び発泡洗浄用の排水管洗浄剤を含む発泡洗浄用の排水管洗浄キット。
【請求項16】
前記排水管洗浄剤の組成物は、次亜塩素酸塩と過酸化水素とを、1:1〜10:1の当量比(次亜塩素酸塩:過酸化水素)で含む、請求項15に記載の発泡洗浄用の排水管洗浄キット。
【請求項17】
前記組成物が、次亜塩素酸塩を含む1剤と、過酸化水素を含む2剤との二液型であることを特徴とする、請求項16に記載の発泡洗浄用の排水管洗浄キット。
【請求項18】
前記発泡洗浄用の排水管洗浄剤が、塩素系洗浄剤成分を含む1剤、発泡剤を含む2剤及びpH調節剤を含むことを特徴とする請求項15に記載の発泡洗浄用の排水管洗浄キット。
【請求項19】
前記発泡洗浄用の排水管洗浄剤の組成物は、1剤と2剤との混合時におけるpHが9〜14であることを特徴とする請求項18に記載の発泡洗浄用の排水管洗浄キット。
【請求項20】
前記pH調節剤が、前記1剤に含まれることを特徴とする請求項18に記載の発泡洗浄用の排水管洗浄キット。
【請求項21】
前記1剤は、pHが12〜14であることを特徴とする請求項20に記載の発泡洗浄用の排水管洗浄キット。
【請求項22】
前記pH調節剤が、前記2剤に含まれた酸性物質の総水素イオンに対して1.1〜10:1の当量比(pH調節剤:2剤に含まれた酸性物質の総水素イオン当量)で含まれることを特徴とする請求項18に記載の発泡洗浄用の排水管洗浄キット。
【請求項23】
前記排水管洗浄剤の組成物は、1剤と2剤との混合時に発生する塩素ガスが293ppm未満であることを特徴とする請求項18に記載の発泡洗浄用の排水管洗浄キット。
【請求項24】
前記発泡洗浄用の排水管洗浄剤は、増粘剤をさらに含み、粘度が100〜10,000cPであることを特徴とする請求項15に記載の発泡洗浄用の排水管洗浄キット。
【請求項25】
請求項1の発泡洗浄用の排水管洗浄容器を用いてキッチンシンクのゴミ受け及び排水管を発泡洗浄する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡洗浄用の排水管洗浄剤、これを持続的に排水管に供給できる洗浄容器及びこれを用いた洗浄方法に関し、より詳しくは、発泡洗浄用の排水管洗浄剤を排水管に持続的に供給して洗浄効果を極大化させることができる洗浄容器、洗浄キット及びこれを用いた洗浄方法に関する。
【0002】
本出願は、2015年7月31日出願の韓国特許出願第10−2015−0108579号、2016年3月11日出願の韓国特許出願第10−2016−0029739号、2016年3月2日出願の韓国特許出願第10−2016−0025287号、2016年4月5日出願の韓国特許出願第10−2016−0041660号、2016年2月26日出願の韓国特許出願第10−2016−0023278号、2016年7月8日出願の韓国特許出願第10−2016−0086875号、2016年2月26日出願の韓国特許出願第10−2016−0023334号、2016年7月8日出願の韓国特許出願第10−2016−0086883号及び2016年7月15日出願の韓国特許出願第10−2016−0089926号に基づく優先権を主張し、該当出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に援用される。
【背景技術】
【0003】
キッチンシンクのゴミ受け及び排水管は、食物を調理するか、捨てる過程で食物が残留し、常に水に濡れていて微生物が繁殖しやすい環境にあるため、汚れやすく、悪臭を誘発する原因となる。ゴミ受けや排水管を清潔に維持するためにこれらを掃除することは、不便で、多くの時間及び手間がかかる。しかし、ゴミ受けや排水管を入れ替る方法の他に格別の代案がなく、問題となっている。
【0004】
これを解決するために、米国特許出願第14/529388号には、過酸化水素をアミラーゼなどの加水分解酵素で発泡させて配管を洗浄する二液型システムが開示されている。しかし、このようなシステムは、過酸化水素の殺菌漂白力が次亜塩素酸ナトリウムに比べて顕著に低く、殺菌漂白効果が充分に発揮できないという不具合がある。
【0005】
また、米国公開特許US2003/0171234 A1には、粘度のある次亜塩素酸ナトリウム組成物と発泡剤とを同時に注いで発泡させて配管を洗浄する方法が開示されている。しかし、このような洗浄方法において次亜塩素酸ナトリウムと発泡剤とが均一に混合されにくく、垂直に設置されたシンクの配管に泡が長時間留まらず、すぐ排出されてしまい、洗浄力を維持するのに限界がある。また、発泡効果を得るために次亜塩素酸ナトリウム組成物を、酸性である過酸化水素と混合する場合、人体に有害な多量の塩素ガスが発生するという問題点がある。
【0006】
そこで、発泡洗浄剤組成物の洗浄効果の持続時間を増やすことで、シンク排水管をより効果的に洗浄できる道具または方法の開発が必要な実情である。また、発泡洗浄剤組成物において、洗浄力の向上のために発泡反応を充分起こすように構成成分の配合割合を調節するとともに、塩素ガスの発生を抑制することが非常に重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、発泡洗浄用の排水管洗浄剤を用いて発生した泡でゴミ受けを洗浄し、前記洗浄剤を排水管に徐々に流すことで排水管の洗浄効果を持続的に発生させることができる洗浄容器を提供することを目的とする。
【0008】
また、本発明は、排水管の洗浄効果が極大化し、塩素ガスの発生が抑制された排水管洗浄剤組成物を提供することを他の目的とする。
【0009】
また、本発明は、発泡洗浄用の排水管洗浄剤及び発泡洗浄用の排水管洗浄容器を含むキットを提供することを他の目的とする。
【0010】
また、本発明は、前記洗浄容器を用いてキッチンシンクのゴミ受け及び排水管を同時に効果的に洗浄する方法を提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を達成するため、本発明は、発泡洗浄用の排水管洗浄剤を排水管に徐々に流すことができる洗浄容器及びこれを用いてキッチンシンクのゴミ受け及び排水管を効果的に発泡洗浄する方法を提供する。
【0012】
本発明の発明者らは、前記従来技術の問題点を解消するための鋭意研究の結果、発泡洗浄用の洗浄剤をゴミ受け、排水口及び排水管に徐々に流すことができる流入部及び吐出口を含む洗浄容器を開発した。発泡洗浄用の洗浄剤を前記洗浄容器とともに使用すれば、泡が豊かに発生した洗浄剤が流入部を通して排出され、ゴミ受け及び排水口を効果的に洗浄でき、発泡洗浄剤を吐出口を通して徐々に排出させることで排水管を長時間で発泡洗浄することができるため、キッチンシンクのゴミ受け、排水口及び排水管の洗浄効果が著しく向上する驚くべき発見をし、本発明を完成するに至った。
【0013】
本発明は、内部に形成された収容空間が備えられた容器本体と、前記収容空間に発泡洗浄用の排水管洗浄剤を流入させる流入口と、前記容器本体に収容された前記収容空間と排水管とが連通するように前記容器本体に形成され、前記収容空間に収容された洗浄剤を前記排水管へ吐き出す少なくとも一つの吐出口と、を含み、洗浄剤を排水管に直接処理する場合に比べて遅い速度で吐き出す発泡洗浄用の排水管洗浄容器を提供する。前記洗浄剤を排水管に直接処理する場合とは、前記洗浄容器を用いることなく洗浄剤を排水口または排水管に直接処理することを意味する。前記洗浄容器は、排水管と連結されるように設けられた排水口に設置できる。
【0014】
前記発泡洗浄用の排水管洗浄容器は、発泡性洗浄剤組成物から発生した泡が流入部を通して排水口及びゴミ受けへ溢れて留まるようにすることで排水口またはゴミ受けを効果的に洗浄でき、小さい吐出口から洗浄剤を徐々に流すことで排水管に洗浄効果を持続的に維持して排水管の洗浄効果が著しく優秀である。望ましくは、前記発泡洗浄用の排水管洗浄容器は、発泡した泡で排水口またはゴミ受けを洗浄するとともに、小さい吐出口からの洗浄剤で排水管を洗浄することができる。
【0015】
一実施例で、前記発泡洗浄用の排水管洗浄容器は、発泡性洗浄剤から発生した泡で排水口及びゴミ受けを洗浄し、洗浄剤を排水管へ徐々に流すために吐出口を含むコップの形態であり得、図1に前記コップ形態の発泡洗浄用の排水管洗浄容器の一実施例を示した。
【0016】
一実施例で、前記発泡洗浄用の排水管洗浄容器は、上端から下端へ進むほど、直径が漸進的に小さくなる形態の容器が用いられ得る。図5に前記のような特徴を有する発泡洗浄用の排水管洗浄容器を示した。前記上端の直径は、排水口またはゴミ受けと同一であるか、或いは多少小さい直径であり得る。また、前記上端の直径は、排水口またはゴミ受けに挿入され、嵌合可能に予め決められた直径を有し得る。また、前記上端は、上端部の周りに沿って排水口に掛けられるつばをさらに含み得る。前記のように容器の形態が上端から下端へ進むほど直径が漸進的に小さくなることで、容器の上端は排水口またはゴミ受けに掛けられ、下端はゴミ受けの奥へ入られる。
【0017】
また、前記発泡洗浄用の排水管洗浄容器は、流入部を通して排出された洗浄剤が外面に沿って流れるように凹凸溝が予め決められた間隔で設けられた凹凸構造を含み得る。前記のような凹凸構造によって、容器がゴミ受けまたは排水口にタイトに挟まれても、排出された洗浄剤が凹凸構造に沿って流れることで、ゴミ受けまたは排水口の洗浄効果を向上させることができる。
【0018】
前記発泡洗浄用の排水管洗浄容器において、前記収容空間に収容された洗浄剤は、洗浄剤を排水管に直接処理する場合に比べて遅い速度で吐出可能であり、前記速度は特に制限されないが、収容空間に収容された洗浄剤が10〜180分、望ましくは20〜150分、より望ましくは30〜120分間吐き出される速度であり得る。このように洗浄剤が長時間に徐々に吐き出されるように吐出速度を調節することで、排水管に洗浄効果を持続的に発生させることができ、これによって、単に排水口に洗浄剤を注いで排水管を洗浄する方法に比べて洗浄効果を大幅向上させることができる。
【0019】
本発明において、前記洗浄容器の吐出口は、前記洗浄剤が前記吐出口を通して1〜100ml/min、望ましくは5〜50ml/min、より望ましくは7〜20ml/minで排出されるように予め決められた直径を有し得る。
【0020】
前記排水管洗浄容器において、前記吐出口の予め決められた直径は、0.1〜10mm、望ましくは0.3〜5mm、より望ましくは0.5〜3mmであり得る。前記吐出口の直径が0.1mm未満の場合、洗浄剤が余りにも徐々に流れ出てしまい、洗浄時間が無駄に長くなるという問題点があり、10mm超過の場合、余りにも速く流れ出てしまい、発明から期待される洗浄力の向上効果が僅かであり得る。
【0021】
また、本発明の望ましい一実施例によれば、前記洗浄容器は、洗浄剤が吐出口から10分〜180分、望ましくは20分〜150分、より望ましくは30分〜120分間排出されるように予め決められた直径及び個数の吐出口を有し得る。特に、発泡洗浄用の洗浄剤が30分以内に排出される場合、微生物の平均死滅率が低く、120分超過の場合、殺菌力の増加効果が僅かであり、30分〜120分にかけて排出されることが望ましい。
【0022】
前記排水管洗浄容器において、前記吐出口の予め決められた直径は、0.1〜10mm、望ましくは0.3〜5mm、より望ましくは0.5〜3mm、最も望ましくは1〜2.5mmである。また、前記吐出口の個数は1〜8個、望ましくは1〜6個、より望ましくは2〜5個である。望ましくは、本発明の排水管洗浄容器に、吐出口が1〜2.5mmの直径で2〜5個形成されている場合、吐出口から洗浄剤を30分〜120分間排出でき、排水管の洗浄効果が最も優秀に発揮される。より望ましくは、本発明の洗浄剤は、50分以上排水管を洗浄するようになれば、洗浄効果が十分発揮され、それ以上に洗浄しても効果にほとんど差がなく、使用時間のみが無駄に増加する。
【0023】
また、本発明の内部に形成された収容空間が備えられた容器本体と、前記収容空間に発泡洗浄用の排水管洗浄剤を流入させる流入口と、前記容器本体に収容された前記収容空間と排水管とが連通するように前記容器本体に形成され、前記収容空間に収容された洗浄剤を前記排水管へ吐き出す少なくとも一つの吐出口と、を含み、洗浄剤を排水管に直接処理する場合に比べて遅い速度で吐き出す発泡洗浄用の排水管洗浄容器を提供する。
【0024】
前記発泡洗浄用の排水管洗浄容器は、排水管洗浄剤が通過するメッシュ部材が前記流入口に形成され得る。これによって、流入口のメッシュ部材を通して流入した洗浄剤の1剤の及び2剤が洗浄容器内部で均等に広がって下がり、均一に混合できる。また、発泡した洗浄剤の泡が前記流入口に形成されたメッシュ部材を通して外部に排出されることで、より密な泡が形成され、洗浄効果が非常に向上できる。
【0025】
本発明において、前記メッシュ部材の形態は、網のものが使用できる。または、間隔が一定な網状のメッシュ部材の代わり、間隔が不均一な不織布材質からなる部材が使用できるが、これに限定されない。
【0026】
望ましくは、前記メッシュ部材の網目サイズは、100〜10,000μm、望ましくは、300〜4,000μm、より望ましくは400〜2,000μm、最も望ましくは、400〜900μmのものが使用できる。前記メッシュ部材が100μm未満の場合、洗浄剤組成物が通過しにくく不適であり、10,000μm超過の場合は、洗浄剤混合物の均一化及び排出された泡の稠密化効果が劣る。
【0027】
本発明において、前記メッシュ部材は、ステンレス、ガラス繊維及びポリエチレン(PE)などからなる群より選択されたいずれか一つ以上の材質を含むワイヤで構成され得る。また、前記メッシュ部材は、ワイヤの縦線及び横線が垂直に交差した正方形の網目を形成するものを用いることができる。本発明の目的上、前記のようなメッシュ部材を通して洗浄剤組成物が流入する場合、流入した洗浄剤の均一化効果及び流入口を通して排出された泡の稠密化効果が最も優秀である。
【0028】
一実施例で、前記発泡洗浄用の排水管洗浄容器は、発泡性洗浄剤から発生した泡で排水口及びゴミ受けを洗浄し、洗浄剤を排水管へ徐々に流すために吐出口を含み、流入口にメッシュ部材が形成されたコップ形態であってもよく、図12に、前記コップ形態の発泡洗浄用の排水管洗浄容器の一実施例を示した。
【0029】
本発明において、前記発泡洗浄用の排水管洗浄容器の材質としては、HDPE(high density polyethylene)、LDPE(low density polyethylene)、PET(polyethylene terephthalate)、PP(polypropylene)、PE(polyethylene)、PC(polycarbonate)、PS(polystyrene)またはABS(acrylonitrile butadiene styrene)などの通常使用されるプラスチック材質、紙、ガラスまたは金属などの材質を用い得る。
【0030】
本発明において、発泡洗浄用の排水管洗浄剤組成物は、ゴミ受け、排水口または排水管を洗浄するために通常使用される洗浄用組成物であれば、特に制限なく用いることができる。
【0031】
望ましくは、本発明は、塩素系洗浄剤成分、望ましくは、次亜塩素酸塩を含む1剤組成物及び発泡剤、望ましくは、過酸化水素を含む2剤組成物を分離して含む発泡洗浄用の排水管洗浄剤を提供する。より具体的に、前記発泡洗浄用の排水管洗浄剤は、塩素系洗浄剤成分を含む1剤組成物と、発泡剤を含む2剤組成物とを分離して含み得る。前記1剤組成物または2剤組成物は、陰イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤またはこれらの混合物などを含み得る。
【0032】
本発明において、前記1剤組成物及び2剤組成物は、使用時において、下記本発明の発泡洗浄用の排水管洗浄容器の収容空間で混合して使用できる。また、前記1剤組成物と2剤組成物とは、10:1〜1:10、望ましくは5:1〜1:5、より望ましくは3:1〜1:3(1剤組成物:2剤組成物)の重量比で使用でき、このような重量比の範囲内で発泡力及び洗浄力が最も優秀となる。
【0033】
本発明において、塩素系洗浄剤成分及び発泡剤、望ましくは、次亜塩素酸塩及び過酸化水素の反応は、下記の反応式1のように酸素を発生させて発泡を起こす反応を用いることができる。その他にも、発泡反応は、多様な方法で発生可能であり、例えば、炭酸ナトリウムまたは炭酸水素ナトリウムなどと有機酸(クエン酸または乳酸など)または無機酸(スルファミン酸など)の反応があり、界面活性剤または殺菌剤などを配合することで類似効果が得られる。しかし、本発明の主成分として次亜塩素酸塩と過酸化水素とを反応させて発泡洗浄効果を発生させることができ、この場合、他の発泡洗浄方法に比べて効果が最も優秀となる。
[反応式1]
NaOCl+H → NaCl+HO+1/2O
【0034】
本発明において、1剤は、主成分として塩素系洗浄剤成分、望ましくは、次亜塩素酸塩を含み得、これは殺菌及び漂白効果に優れており、希釈すれば、分解速度が速くなって残留が少なく、かつ経口毒性も低く、食品及び食器の殺菌消毒に効果的に使用できる。
【0035】
前記殺菌または消毒の有効成分として用いられる次亜塩素酸塩は、次亜塩素酸ナトリウム(sodiumhypochlorite ion,NaOCl)、次亜塩素酸カリウム、次亜塩素酸カルシウム及び次亜塩素酸マグネシウムなどからなる群より選択された一種またはそれ以上を用い得る。望ましくは、次亜塩素酸塩として次亜塩素酸ナトリウムが使用可能である。
【0036】
前記塩素系洗浄剤成分、望ましくは、次亜塩素酸塩は1剤組成物の総重量に対し、0.1〜30重量%、望ましくは5〜27重量%、より望ましくは15〜25重量%で用いられ得る。前記塩素系洗浄剤成分を0.1重量%未満に用いれば、殺菌または消毒剤としての機能が弱く、30重量%超過に用いれば、界面活性剤との相溶性が良くなくて、塩素酸イオン自体の安定性面においても不利となる。
【0037】
本発明において、洗浄剤組成物の発泡洗浄効果を向上させるために、前記次亜塩素酸塩と過酸化水素とを、1:1〜10:1、望ましくは1.25:1〜9:1、より望ましくは2:1〜7:1、最も望ましくは3:1〜5:1の当量比(次亜塩素酸塩:過酸化水素)で含まれ得る。このような当量比の範囲を含む洗浄剤組成物は、発泡力及び洗浄力が最も優秀となる。
【0038】
また、本発明は、塩素系洗浄剤成分を含む1剤、発泡剤を含む2剤及びpH 調節剤を含む排水管洗浄剤組成物、望ましくは、排水管洗浄用の二液型発泡洗浄剤組成物を提供する。望ましくは、前記塩素系洗浄剤には、次亜塩素酸塩などが使用でき、前記発泡剤は、過酸化水素などが使用できる。前記塩素系洗浄剤成分が発泡剤と混合されるとき、pHが9以上に維持されるようにpH調節剤がさらに含まれる場合、人体に有害な塩素ガスの発生が大幅抑制される。
【0039】
より具体的に、本発明の排水管洗浄剤組成物は、pH調節剤を含むことで1剤の塩素系洗浄剤成分、望ましくは、次亜塩素酸ナトリウムを含む組成物のpHを12以上に維持できる。また、本発明の2剤の酸性の発泡剤組成物を1剤と混合した後にも混合物のpHが9以上に維持できることから塩素ガスが多量生成されないため、人体に安全にキッチンシンクのゴミ受け及び排水管を発泡洗浄することができる。
【0040】
本発明において、次亜塩素酸ナトリウムが主成分である1剤と、酸性の過酸化水素が主成分である2剤とを混合する過程で、有害な塩素ガスが多量発生し得、これは人体に非常に危ないため、塩素ガスの発生が最小化するように1剤及び2剤の処方は愼重に設計しなくてはならない。特に、1剤と2剤との混合時にも塩素ガスの発生量を最小限に減少させることが望ましい。次亜塩素酸ナトリウムは、pH9未満の条件では塩素ガスを多量発生させて人体に非常に危険でなり得、1剤と2剤との混合時にも塩素ガスが一時に急激に発生し得、これを防止するために混合液のpHを調節することが非常に重要となる。
【0041】
本発明において、1剤と2剤とを混合する過程で、1剤に含まれた次亜塩素酸ナトリウムの一部は過酸化水素と反応し、塩化ナトリウム、水及び酸素に変換され得る。反応後に残っている次亜塩素酸ナトリウムが急速に分解されて塩素ガスが多量発生することを抑制するために、1剤と2剤との混合物のpHは9〜14であることが望ましく、より望ましくは、pHが11〜14であることがより安全である。
【0042】
本発明の排水管洗浄剤組成物は、pH調節剤を含むことで1剤と2剤との混合時における塩素ガスの発生を大幅抑制することができる。前記排水管洗浄剤組成物の使用時に発生する塩素ガスの量は、300ppm未満、望ましくは100ppm未満、より望ましくは50ppm未満であり得る。参考までに、韓国産業安全保健公団で提供する物質安全保健資料(MSDS)の基準によれば、塩素ガスの毒性濃度(LC50)は、293ppmである。本発明の排水管洗浄剤組成物は、使用時に塩素ガスの発生量を前記毒性濃度(LC50)に比べて著しく抑制することで、人体に対する安全性が非常に優れている。
【0043】
本発明において、前記排水管洗浄剤組成物は、1剤と2剤との混合後のpHが9以上に維持され、塩素ガスの発生を最小化するために、pH調節剤を使用し得る。前記pH調節剤としては、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)、ケイ酸ナトリウム(NaSiO,NaSiO)及び炭酸ナトリウム(NaCO)などからなる群より選択されたいずれか一種以上を用いることができ、望ましくは、水酸化ナトリウムが使用できる。
【0044】
本発明の排水管洗浄剤組成物は、pH調節剤を含むことで1剤と2剤との混合時におけるpHが9〜14に維持できる。望ましくは、前記pH調節剤は前記1剤に含まれ得、このような場合、前記1剤はpHが12〜14に維持される。
【0045】
本発明において、前記pH調節剤は、2剤に含まれた酸性物質の総水素イオンに対して1.1〜10:1、望ましくは1.1〜5:1、より望ましくは1.1〜3:1の当量比(pH調節剤:2剤に含まれた酸性物質の総水素イオン当量)で含まれ得る。前記pH調節剤が1.1:1の当量比(pH調節剤:2剤に含まれた酸性物質の総水素イオン当量)未満で含まれる場合は、混合後のpHが9未満になって塩素ガスの発生量が急激に増加し得る。前記pH調節剤が10:1の当量比(pH調節剤:2剤に含まれた酸性物質の総水素イオン当量)を超過して含まれる場合は、塩素系洗浄剤の成分と発泡剤との反応性が減少し得る。
【0046】
本発明において、前記1剤組成物は、次亜塩素酸イオンの殺菌または消毒力を増大させ、洗浄効果及び粘度の向上のために陰イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤またはこれらの混合物を含み得る。望ましくは、前記陰イオン界面活性剤は、下記の化学式1のアルキルエーテルサルフェート、望ましくはSLES(sodium lauryl ether sulfate)を含み得る。
[化学式1]
R(CHCHO)SO
(前記Rは、C10〜C16のアルキル基、nは1〜5の整数、Mはナトリウムまたはカリウムを表す。)
【0047】
望ましくは、前記陰イオン界面活性剤は、前記化学式1のアルキルエーテルサルフェートと下記の化学式2のアルキルアミン酸化物の混合物を含み得る。望ましくは、下記の化学式2のアルキルアミン酸化物は、ラウラミンオキシド(lauramine oxide)を用い得る。
[化学式2]
【化1】
(前記R’は、C10〜C16のアルキル基を表す。)
【0048】
本発明において、陰イオン界面活性剤として前記アルキルエーテルサルフェートとアルキルアミン酸化物との混合物を用いることで、界面活性剤相互間の相乗効果と、界面活性剤及び次亜塩素酸塩との相互作用によって各々を単独で用いる場合に比べて優れた洗浄力及び粘度を形成できる。
【0049】
望ましくは、前記アルキルエーテルサルフェートとアルキルアミン酸化物との重量比は、1:20〜20:1、望ましくは1:10〜10:1、より望ましくは1:1〜10:1、最も望ましくは3:1〜7:1(アルキルエーテルサルフェート:アルキルアミン酸化物)であり得る。前記アルキルエーテルサルフェート及びアルキルアミン酸化物が前記重量比範囲で用いられる場合、本発明の1剤組成物の粘度が最も優秀に形成される。
【0050】
本発明において、前記1剤組成物は、アルカリ性を維持させ、かつ界面活性剤と次亜塩素酸イオンとの相互作用による粘度形成を促進するために、無機アルカリ塩をさらに含み得る。前記無機アルカリ塩は、炭酸ナトリウム(NaCO)、重炭酸ナトリウム(NaHCO)、ケイ酸ナトリウム(NaSiO、NaSiO)及び水酸化ナトリウム(NaOH)などからなる群より選択されたいずれか一種以上を用い得、望ましくは、水酸化ナトリウムを用い得る。
【0051】
前記無機アルカリ塩は、1剤組成物の総重量に対して0.1〜10重量%、望ましくは0.5〜7重量%で用いられ得る。前記無機アルカリ塩が0.1重量%未満で用いられる場合、アルカリ性油脂及び粘度形成の促進効果が僅かであり、10重量%超過の場合は、次亜塩素酸塩と過酸化水素との反応性が減少し得る。
【0052】
前記無機アルカリ塩の種類及び使用量は、1剤組成物のpHを10〜14に維持できるように選択され、ここで、pHを10以上に維持することは、1剤組成物の化学的安定性を極大化するのに重要な要素であるのみならず、界面活性剤の汚染除去能力を向上させる要因となる。また、1剤組成物のpHを10〜14に維持することは、水溶液における次亜塩素酸塩化合物の化学的分解を最小化し、次亜塩素酸塩化合物と界面活性剤との化学的相互作用の最小化に助かる。
【0053】
本発明において、発泡洗浄用の排水管洗浄剤の使用時において、次亜塩素酸イオンの強い臭いを減らし、審美的な要求を満すために香料をさらに含み得る。前記香料は、次亜塩素酸イオンに安定したものが使用でき、1剤組成物の総重量に対して0.01〜2重量%使用可能である。
【0054】
また、前述のように、本発明による1剤組成物のpHは、10〜14に維持されることが望ましいため、製造された1剤組成物のpHが前記範囲内に存在しない場合、pH調節剤をさらに用いることでpH10〜14になるよう調節できる。前記pH調節剤としては、クエン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、またはトリエタノールアミンなどを用い得る。
【0055】
本発明において、前記発泡洗浄用の排水管洗浄剤は、泡を発生させるための目的から、酸素系発泡性組成物である2剤組成物を用いて、1剤組成物の次亜塩素酸塩と反応して酸素を発生させる過酸化水素を、2剤組成物の主成分として含み得る。また、前記2剤組成物は、100cps以上の粘度を維持するとともに洗浄効果を向上させるために、陰イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、またはこれらの混合物を含み得、過酸化水素を安定に流通させるために、ラジカル安定化剤を含み得る。
【0056】
前記過酸化水素は、2剤組成物の総重量に対して0.1〜30重量%、望ましくは5〜27重量%、より望ましくは15〜25重量%で含まれ得る。前記過酸化水素が0.1重量%未満の場合は、発泡効果及びこれによる洗浄効果の向上が僅かであり、30重量%を超過する場合は、2剤組成物の安定性が低下してしまい、流通しにくいという短所がある。
【0057】
本発明において、前記2剤組成物は、主成分である過酸化水素を安定化することが非常に重要となり、このために2剤組成物は、ラジカル安定化剤をさらに含み得る。前記ラジカル安定化剤は、下記の化学式3に表されるサリチル酸などを用い得るが、これに限定されない。
[化学式3]
【化2】
【0058】
前記ラジカル安定化剤は、2剤組成物の総重量に対して0.01〜15重量%、望ましくは0.1〜5重量%、より望ましくは0.5〜3重量%で含まれ得る。前記ラジカル安定化剤が0.01重量%未満の場合は、過酸化水素安定化の効果が十分でなく、15重量%超過の場合は、2剤組成物の安定性を低下させるという問題点がある。
【0059】
本発明において、前記2剤組成物は、前述の構成成分の外にも、洗浄剤組成物に通常使用する炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウムなどの無機塩、高分子または香料などをさらに含み得る。
【0060】
本発明において、次亜塩素酸イオンの殺菌または消毒力を増大させて洗浄効果及び粘度の向上のために、前記1剤組成物及び2剤組成物は、各々陰イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、またはこれらの混合物を含み得る。
【0061】
前記陰イオン界面活性剤は、1剤組成物または2剤組成物各々の総重量に対して0.1〜10重量%、望ましくは0.5〜7重量%で含まれ得る。前記非イオン界面活性剤は、1剤組成物または2剤組成物各々の総重量に対し、0.1〜10重量%、望ましくは0.5〜7重量%で含まれ得る。前記陰イオン界面活性剤または非イオン界面活性剤が0.1重量%未満の場合は、洗浄力が充分発揮されず、1剤または2剤組成物の粘度形成が困難となり、10重量%超過の場合は、次亜塩素酸イオンまたは過酸化水素の安定性を阻害し得る。
【0062】
望ましくは、前記1剤組成物及び2剤組成物は、陰イオン界面活性剤及び非イオン界面活性剤の混合物を各々含み得る。より望ましくは、前記混合物において、陰イオン界面活性剤と非イオン界面活性剤との重量比は1:10〜10:1、望ましくは1:5〜5:1、より望ましくは1:3〜3:1(陰イオン界面活性剤:非イオン界面活性剤)であり得、このような重量比の範囲内で粘度形成及び洗浄力の向上効果が最も優秀となる。
【0063】
本発明において、前記陰イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、またはこれらの混合物は、洗浄剤の総重量に対して1〜40重量%、望ましくは3〜30重量%、より望ましくは5〜20重量%で含まれ得る。前記界面活性剤の含量が1重量%未満の場合は、洗剤性能が僅かであり、40重量%を超過する場合は、洗浄剤の溶解性が低下するという問題点がある。
【0064】
前記陰イオン界面活性剤は、例えば、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩(R1−CH−SONa、ここで、R1は、C9〜C15のアルキル)、脂肪酸塩(R2−CH−COONa、ここで、Rは、C11〜C16のアルキル)、アルキルスルホン酸塩(R3=CH−SONa、ここで、R3はC11〜C18のアルキル)、及びアルファオレフィンスルホン酸塩(R4−CH=CH−CHSONa、ここで、R4は、C12〜C18のアルキル)などからなる群より選択されたいずれか一種以上が含まれ得るが、これらに限定されない。
【0065】
前記非イオン界面活性剤は、例えば、脂肪アルキルポリオキシエチレングリコール(R5−CH−(O−CH−CH)l−OH、ここで、R5はC11〜C18のアルキル、1は5〜25の整数)、脂肪酸ポリオキシエチレングリコール(R6−CO−(O−CH−CH)m−OH、ここで、R6は、C11〜C18のアルキル、mは、5〜25の整数)、アルキルフェニルオキシエチレングリコール(R7−Ar−O−(CH0CH−O)n−H、ここで、R7 は、C11〜C18のアルキル、Arは、ベンゼン環、nは5〜25の整数)、またはポリオキシエチレングリコール(H−(O−CH−CH)i−OH、ここで、iは、全体分子量が1,000〜30,000である整数)などからなる群より選択されたいずれか一種以上が含まれ得るが、これらに限定されない。
【0066】
本発明は、本発明の目的を害しない範囲で任意の成分をさらに含み得、洗浄剤組成物としての基本的な物性及び品質を維持するために、洗浄剤組成物に有用に通常使用される防腐剤、増粘剤及び粘度調整剤、香料または染料などをさらに含み得る。
【0067】
例えば、防腐剤は、パラオキシ安息香酸メチル、メチルクロロイソチアゾリノン及びメチルイソチアゾリノンの混合物(商品名:Kathon CG、製造社:米国ロームアンドハース)などを用い得る。増粘剤及び粘度調整剤としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、塩化ナトリウム、塩化アンモニウム、プロピレングリコール、またはヘキシレングリコールなどを用い得る。染料としては、水溶性タール色素などが用い得る。
【0068】
本発明において、前記発泡洗浄用の排水管洗浄剤は、放出速度を遅くするために増粘剤をさらに含み得る。前記増粘剤が含まれた洗浄剤組成物の粘度は、 100〜10,000cpsであり得る。前記増粘剤は、例えば、キサンタンガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、ペクチン及びゼラチンなどからなる群より選択された一種以上を用い得るが、これらに限定されない。
【0069】
また、本発明は、1剤組成物の総重量に対して次亜塩素酸塩0.1〜30重量%、陰イオン界面活性剤0.1〜10重量%、非イオン界面活性剤0.1〜10重量%及び無機アルカリ塩0.05〜10重量%を含む1剤組成物と、2剤組成物の総重量に対して過酸化水素0.1〜30重量%、陰イオン界面活性剤0.1〜10重量%、非イオン界面活性剤0.1〜10重量%及びラジカル安定化剤0.05〜10重量%を含む2剤組成物と、を分離して含む発泡洗浄用の排水管洗浄剤を提供する。前記発泡洗浄用の排水管洗浄剤は、キッチンシンクのゴミ受け及び排水管に対する殺菌及び消毒力に非常に優れており、100cps以上の優れた粘度を有する。
【0070】
また、前記発泡洗浄用の排水管洗浄剤は、1剤におけるpH調節剤を、前記2剤に含まれた酸性物質の総水素イオンに対して1.1〜10:1の当量比(pH調節剤:2剤に含まれた酸性物質の総水素イオン当量)で含み得る。または、前記発泡洗浄用の排水管洗浄剤は、1剤におけるpH調節剤を1剤組成物の総重量に対して0.3〜10重量%で含み得る。このような場合、発泡洗浄用の排水管洗浄剤の使用時における塩素ガスの発生が大幅抑制され、人体に安全である。
【0071】
また、前記発泡洗浄用の排水管洗浄剤は、前記次亜塩素酸塩と過酸化水素とを1:1〜10:1の当量比(次亜塩素酸塩:過酸化水素)で含み得る。このような場合、前記発泡洗浄用の排水管洗浄剤組成物は、泡発生量が大幅向上し、ゴミ受け、排水口及び排水管に対する殺菌及び消毒力が非常に優秀である。
【0072】
また、本発明は、前記発泡洗浄用の排水管洗浄容器及び前記発泡洗浄用の排水管洗浄剤を含む発泡洗浄用の排水管洗浄キットを提供する。前記キットは、一般人がキッチンシンクのゴミ受け、排水口及び排水管を容易かつ効果的に洗浄するために用いられる。
【0073】
望ましくは、本発明の次亜塩素酸塩を含む1剤及び過酸化水素を含む2剤を含む発泡洗浄用の排水管洗浄剤と、内部に形成された収容空間が備えられた容器本体及び前記収容空間に発泡洗浄用の排水管洗浄剤を流入させる流入口を含む発泡洗浄用の排水管洗浄容器と、を含み、前記収容空間の体積は、前記発泡洗浄用の排水管洗浄剤の総体積よりも小さいことを特徴とする発泡洗浄用の排水管洗浄キットを提供する。
【0074】
前記洗浄キットは、これに含まれた洗浄容器を洗浄剤とともに用いるとき、洗浄容器の収容空間が洗浄剤の総体積よりも小さいため、泡が豊かに発生した洗浄剤が流入部を通して満ち溢れることでゴミ受け及び排水口を効果的に洗浄できる。
【0075】
より具体的に、前記収容空間の体積は、発泡した状態の排水管洗浄剤の1剤と2剤との混合物及びこれから発生する気泡の体積よりも小さい。これによって、発泡洗浄用の排水管洗浄剤の1剤及び2剤の混合物またはこの気泡が前記収容空間の流入口から満ち溢れ、ゴミ受け及び排水口に対する洗浄力が非常に優秀である。前記収容空間の体積が1剤と2剤との混合物及び気泡体積の和よりも大きい場合は、流入口から洗浄剤が満ち溢れないため、洗浄容器の上部に位置したゴミ受けに対して洗浄効果が充分発揮されない。
【0076】
本発明において、前記収容空間と前記発泡した洗浄剤との体積比は、1:1.01〜5、望ましくは1:1.05〜3、より望ましくは1:1.1〜2(収容空間の体積:発泡した洗浄剤の体積)の体積比であり得る。前記収容空間と発泡した洗浄剤との体積比が1:1.01(収容空間の体積:発泡した洗浄剤の体積)未満の場合は、発泡した洗浄剤が容器から満ち溢れないか、または少量満ち溢れるため、洗浄効果が僅かであり得る。前記収容空間と発泡した洗浄剤との体積比が1:5(収容空間の体積:発泡した洗浄剤の体積)を超過する場合は、発泡した洗浄剤が排水口周辺のシンクの底まで過度に満ち溢れるという問題点がある。
【0077】
また、本発明の前記発泡洗浄用の排水管洗浄容器を用いてキッチンシンクのゴミ受け及び排水管を発泡洗浄する方法を提供する。前記発泡洗浄用の排水管洗浄剤及び洗浄容器を用いる本発明の洗浄方法を図2に示した。
【0078】
前記洗浄方法は、(s1)前記発泡洗浄用の排水管洗浄容器を排水口に設置する段階;及び(s2)前記洗浄剤の1剤組成物及び2剤組成物を前記洗浄容器の収容空間に同時にまたは順次に注ぐ段階、を含む。前記(s2)段階において、1剤組成物及び2剤組成物を順次に注ぐ場合、注ぐ順序は関係ない。
【0079】
前記キッチンシンクのゴミ受け及び排水管を発泡洗浄する方法は、前記(s2)段階の後、1剤組成物と2剤組成物との混合で発泡が起こり、前記洗浄容器の流入口から満ち溢れた泡はゴミ受けを洗浄し、液状の発泡洗浄剤は吐出口通して徐々に流れ出て排水管に持続的な洗浄効果を発揮することで、本発明の洗浄方法はゴミ受けと排水管とを同時に効果的に洗浄できる。
【発明の効果】
【0080】
本発明の発泡洗浄用の排水管洗浄容器は、発泡性洗浄剤の泡をキッチンシンクのゴミ受け及び排水口に満ち溢れるようにすることでこれらを効果的に洗浄することができ、発泡洗浄用の排水管洗浄剤を排水管へ徐々に流して排水管に持続的に洗浄効果を発揮する。
【0081】
また、本発明の排水管洗浄剤組成物は、塩素系洗浄剤成分及び発泡剤を特定の重量比で含むときに泡が豊かに発生し、シンクのゴミ受け、排水口及び排水管に対する殺菌及び洗浄効果が顕著に優秀となる。
【0082】
また、本発明の排水管洗浄剤組成物は、pH調節剤をさらに含むとき、1剤と2剤との混合時におけるpHを9以上に維持して塩素系洗浄剤成分及び発泡剤の反応による塩素ガスの発生を顕著に抑制することで、安全かつ優秀な洗浄効果を発揮できる。
【0083】
また、本発明の発泡洗浄用の排水管洗浄キットは、発泡性洗浄剤の泡を洗浄容器から満ち溢れるようにすることで、キッチンシンクのゴミ受け及び排水口を効果的に洗浄することができる。
【図面の簡単な説明】
【0084】
図1】本発明の発泡洗浄用の排水管洗浄容器の一実施例を示す。
図2】本発明の発泡洗浄用の排水管洗浄剤及び洗浄容器を用いてキッチンシンクのゴミ受け及び排水管を発泡洗浄する方法を示す。
図3】本発明の発泡洗浄用の排水管洗浄剤及び洗浄容器を用いてゴミ受け及び排水管の洗浄前(左)及び洗浄後(右)の写真を示す。
図4】本発明の発泡洗浄用の排水管洗浄剤及び洗浄容器を用いてゴミ受け及び排水管の洗浄前(左)及び洗浄後(右)の写真を示す。
図5】本発明の反応コップの一実施例を示す図である。
図6】実験例2において、排水管への比較例の処理前を示した写真である。
図7】実験例2において、排水管への比較例の処理後を示した写真である。
図8】実験例2において、排水管への実施例の処理前を示した写真である。
図9】実験例2において、排水管への実施例の処理後を示した写真である。
図10】実験例4において、実施例13の1剤と2剤との混合後の塩素ガスの濃度についてのGC/MS分析結果を示したグラフである。
図11】実験例4において、比較例4の1剤と2剤との混合後の塩素ガス濃度についてのGC/MS分析結果を示したグラフである。
図12】メッシュ部材が含まれた発泡洗浄用の排水管洗浄容器の一実施例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0085】
以下、本発明を具体的な実施例を挙げて説明する。しかし、本発明による実施例は多くの他の形態に変形されることができ、本発明の範囲が後述する実施例に限定されると解釈されてはならない。本発明の実施例は当業界で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
【0086】
〔実施例:発泡洗浄用の排水管洗浄剤の製造〕
下記の表1及び表2のような組成割合で原料の成分を混合して撹拌することで、1剤組成物及び2剤組成物を製造した。
【0087】
【表1】
【表2】
【0088】
洗浄容器は、図5の一実施例のようなコップ形態の容器として製作した。前記1剤及び2剤組成物を洗浄容器とともに用いるとき、1剤及び2剤の発泡性混合物は、流入部を通して満ち溢れることでゴミ受けを洗浄でき、発泡性液状組成物は、コップにあいている吐出口から持続的に排出されることを確認した。
【0089】
〔実験例1:洗浄容器の使用による排水口殺菌力及び洗浄力の評価〕
6か所の家庭を訪問して、本発明の1剤と2剤及びコップ形態の洗浄容器を用いてシンク排水管を1.5時間の間洗浄処理した後、排水口に存在する微生物の個体数を評価した。下記の表3に示した実験結果を見れば、排水管で平均99.93%の微生物が死滅し、殺菌効果に優れたことが確認できた。
【0090】
【表3】
【0091】
また、図3及び図4に、洗浄前(左)及び洗浄後(右)の写真を示し、本発明発の泡性洗浄剤組成物及び洗浄容器を用いる場合、ゴミ受け及び排水口に対する洗浄効果に著しく優れていることが確認できた。
【0092】
〔実験例2:洗浄容器の使用による排水管殺菌力及び洗浄力の評価〕
7か所の家庭を訪問して本発明の1剤と2剤及びコップ形態の洗浄容器を用いてシンク排水管を1.5時間の間洗浄処理した後、排水管に存在する微生物の個体数を評価した。
【0093】
実施例は、シンクに反応コップを入れて1剤500mlを注いだ後、2剤250mlを注いで1.5時間放置した。比較例は、シンクに1剤500mlと2剤250mlとを同時に注いで1.5時間放置した。その後、シンク排水管のパイプ入口から約10cm地点の微生物試料を取って測定した。
【0094】
下記の表4に示した実験結果を見れば、反応コップを用いていない比較例1〜3の場合57.10%の平均殺菌力を示すことに比べ、反応コップを用いた実施例1〜4の場合、99.95%の平均殺菌力を示した。したがって、本発明の反応コップを用いる場合において殺菌効果に著しく優れたことを確認することができた。
【0095】
【表4】
【0096】
また、図6及び図7に比較例の洗浄前(図6)及び洗浄後(図7)の写真を示し、図8及び図9に実施例の洗浄前(図8)及び洗浄後(図9)の写真を示した。このような結果によれば、本発明の発泡性洗浄剤組成物及び排水管洗浄容器を使う場合、排水管に対する洗浄効果に著しく優れたことを確認した。
【0097】
〔実験例3:吐出口の直径及び個数による排出時間及び殺菌力の評価〕
吐出口のサイズ及び個数による発泡洗浄剤の排出時間及び殺菌力を評価するために、前記表1及び表2の組成比で1剤及び2剤を製造した。その後、下記の表5に示した各々の吐出口サイズ及び個数を有するコップ形態の洗浄容器に、前記1剤500ml及び2剤250mlを注いで内容物が排出し切る時間を測定した。
【0098】
【表5】
【0099】
前記表5に示した結果を見れば、1〜2.5mmの直径及び2〜5の個数で構成された吐出口の条件で(実施例10〜12)発泡洗浄剤が約30分〜2時間にかけて排出されることを確認した。また、前記発泡組成物の吐出時間が30分以上の場合99.9%以上の微生物の死滅率を示し、2時間を超過すれば、これ以上の殺菌力増加の効果は期待しにくいことが分かった。
【0100】
〔実験例4:pH調節剤が含まれた洗浄剤組成物の混合後の塩素ガスの濃度〕
下記の表6のような組成割合で原料の成分を混合して攪拌することで、本発明の比較例及び実施例の1剤組成物及び2剤組成物を製造した。
【0101】
1剤のNaOH含量を異にして製造した比較例及び実施例の1剤と2剤の組成物を1:1の割合で混合してpH及び塩素ガスの発生量をガスクロマトグラフィーを用いて分析した。
【0102】
【表6】
【0103】
前記表6に示した実験結果を見れば、比較例4及び比較例5において、1剤のNaOH含量が0.2%以下の場合は、混合後のpHが9未満であって低く、塩素ガスが著しく多量発生したことを確認することができた。
【0104】
一方、図10及び図11に示した実施例13の塩素ガスの発生量についての分析結果を見れば、実施例13は、塩素ガスの濃度が15.3ppmであって比較例に比べて塩素ガスの発生量が大幅低いことを確認することができた。参考までに、実施例13の塩素ガスの濃度は、毒性濃度(LC50)293ppmに著しく未達する数値である。
【0105】
〔実験例5:pH調節剤が含まれた洗浄剤組成物の殺菌力の評価〕
6か所の家庭を訪問して本発明の実施例13の組成物である1剤500mL、2剤500mL、及び下端に直径1mmの穴が4つ開いたコップ形態の反応容器を用いてシンク排水管を1.5時間の間洗浄処理した後、排水口に存在する微生物の個体数を評価した。
【0106】
【表7】
【0107】
前記表7に示した実験結果を見れば、排水管で平均99.93%の微生物が死滅して殺菌効果に優れたことを確認することができた。
【0108】
〔実験例6:次亜塩素酸塩及び過酸化水素の当量比による洗浄剤の泡発生量の評価〕
【表8】
【0109】
前記表8及び表2に示した組成で1剤及び2剤を製造した後、下記の表9に示した当量比で各々の比較例及び実施例を製造した。
【0110】
【表9】
【0111】
3500mLのビーカーに1剤500mlを注いだ後、2剤250mlを注ぎ、発生する泡の量及び破泡時間を測定した結果を下記の表10に示した。
【0112】
【表10】
【0113】
前記表10に示した結果を見れば、次亜塩素酸ナトリウムが当量比10:1(次亜塩素酸塩:過酸化水素)を超過する比較例7は、初期に発生する泡の量が比較的少なかった。また、比較例7は、破泡時間も短く、洗浄剤組成物が排水管に長い間留まり十分な洗浄力を発揮するには適切でなかった。
【0114】
〔実験例7:混合溶液の排水管殺菌力及び洗浄力の評価〕
実験例6の比較例及び実施例の1剤500mlと2剤250mlとを混合した溶液に対して、殺菌力及び洗浄力を評価した。5か所の家庭を訪問して前記 1剤及び2剤の洗浄剤組成物及び本発明の洗浄容器を用いて、シンク排水管を1.5時間の間洗浄処理した。その後、排水口に存在する微生物の個体数を評価し、汚染除去の程度を確認した。
【0115】
【表11】
【0116】
前記表11に示した実験結果を見れば、1剤の次亜塩素酸ナトリウムの含量が低い場合、即ち、比較例6のように2剤の過酸化水素当量に対して1剤の次亜塩素酸ナトリウムの当量が0.79倍である場合は、1剤と2剤とが反応した後に残っている次亜塩素酸ナトリウムの量が少なくて殺菌力が弱く発揮されたことを確認することができた。また、比較例7のように、過酸化水素に対して次亜塩素酸ナトリウムの当量が10.59倍であって多い場合にも、排水管に充分に泡が残らず殺菌力が最大限に発揮されなかった。
【0117】
また、訪問した家庭のシンク排水口に1剤と2剤とを混合した溶液を1.5時間の間洗浄処理した後、ゴミ受けと排水管の汚染除去の程度を目視で確認して洗浄力を評価した結果を下記の表12に示した。
【0118】
【表12】
【0119】
前記表12のように、1剤の次亜塩素酸ナトリウムの含量が低い場合、即ち、過酸化水素に対する次亜塩素酸ナトリウムの当量が0.79倍である比較例6の場合に洗浄力が弱く発揮されることを確認することができた。また、比較例7の場合は、過酸化水素に対する次亜塩素酸ナトリウムの当量が10.59倍であって高いにも拘わらず、洗浄泡が排水管の内壁に充分に留まらず、洗浄力がまともに発揮できない結果を示した。
【0120】
〔実験例8:洗浄容器のメッシュ部材による排水口殺菌力及び洗浄力の評価〕
8か所の家庭を訪問して2か所にはメッシュ部材のない洗浄容器、6か所にはメッシュ部材付きの洗浄容器をシンク排水口に設置して洗浄剤1剤及び2剤を処理した。シンク排水管を1.5時間の間洗浄処理した後、排水口に存在する微生物の個体数及び洗浄力を評価した。
【0121】
下記の表13に示した実験結果を見れば、メッシュ部材付きの洗浄容器を用いて洗浄剤を処理した排水管では、平均99.87%の微生物が死滅したことを確認することができた。このような結果から、メッシュ部材付きの洗浄容器で処理した実施例は、メッシュ部材のない洗浄容器で処理した比較例に比べて殺菌力が遥かに高いことを確認することができた。
【0122】
【表13】
【0123】
また、汚染が除去された程度を目視で判定して洗浄力を評価した結果を下記の表14に示した。下記の表14に示した結果を見れば、実施例は、比較例に比べて全般的に優れた洗浄力を示すことを確認することができた。このような結果から、洗浄容器に処理された1剤と2剤との混合液がメッシュ部材を通しながら稠密な泡が形成され、この洗浄泡が排水管の壁面に密着しながら汚染をより効果的に除去したことを確認することができた。
【0124】
【表14】
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12