特許第6960981号(P6960981)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6960981
(24)【登録日】2021年10月14日
(45)【発行日】2021年11月5日
(54)【発明の名称】カテーテル挿入デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/142 20060101AFI20211025BHJP
【FI】
   A61M5/142 522
【請求項の数】12
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2019-230728(P2019-230728)
(22)【出願日】2019年12月20日
(62)【分割の表示】特願2016-562253(P2016-562253)の分割
【原出願日】2015年4月23日
(65)【公開番号】特開2020-39984(P2020-39984A)
(43)【公開日】2020年3月19日
【審査請求日】2020年1月20日
(31)【優先権主張番号】61/983,980
(32)【優先日】2014年4月24日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュウイチ アマノ
(72)【発明者】
【氏名】ラッセル コール
【審査官】 伊藤 孝佑
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−531692(JP,A)
【文献】 特表2006−525046(JP,A)
【文献】 特表2005−526560(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/142
A61M 37/00
A61M 25/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテーテル挿入デバイスであって、
ベースを有するハウジング、
前記ハウジング内に移動可能に配置された片持ち可撓性ビーム、
前記可撓性ビームに接続された挿入針、
前記ハウジング内に移動可能に配置されたホルダであって、前記挿入針に移動可能に接続されたホルダ、
前記ホルダに接続されてそれを一緒に移動させるカテーテルであって、前記挿入針の少なくとも一部分を取り囲むカテーテル、および、
前記ハウジングに移動可能に接続されており、および、作動時に前記可撓性ビームを曲げるように構成されている作動ボタンであって、それによって、前記挿入針および前記カテーテルのそれぞれの末端が前記ベースを通って前記ハウジングの外側へ延びる伸張位置へ、前記挿入針および前記カテーテルを移動させる作動ボタン
とを備え、
前記作動ボタンは、前記挿入針および前記カテーテルが前記伸張位置に到達したとたんに、移動を継続しおよび前記可撓性ビームをさらに撓ませるように構成されており、
前記可撓性ビームは、前記挿入針および前記カテーテルが前記伸張位置に到達し、および、さらに撓み、前記可撓性ビームの自由端は、前記作動ボタンの片持ち端を滑って通り過ぎ初期のビーム位置に戻るように構成され、それにより、前記挿入針を前記伸張位置から引き抜いて、および、前記挿入針の引き抜きに先立って前記カテーテルの十分な挿入を確実にするように構成されていることを特徴とするカテーテル挿入デバイス。
【請求項2】
薬剤を収容するリザーバをさらに含み、前記ビームが前記初期のビーム位置に戻るのに続いて、前記リザーバと前記カテーテルの末端の間の流体通路が前記挿入針を含む、請求項1に記載のカテーテル挿入デバイス。
【請求項3】
前記ホルダを、前記カテーテルが前記伸張位置に到達したとたんにロックするロック機構を備えている、請求項1に記載のカテーテル挿入デバイス。
【請求項4】
前記ビームに接続され前記挿入針を前記ビームに固定するカニューレキャリアを更に備え、
前記ロック機構は、前記ハウジング上に配置された戻り止めであって、前記ホルダが該戻り止めを単一の方向に通り過ぎて移動することを可能にする、戻り止めを含み、および、
前記カニューレキャリアは、該カニューレキャリアが前記戻り止めを複数の方向に通り過ぎて移動することを可能にする切り欠きを有している、請求項3に記載のカテーテル挿入デバイス。
【請求項5】
前記ロック機構は、前記ベース上に配置されおよび前記カテーテルが前記伸張位置に到達したとたんに前記ホルダのアームと解放可能でなく係合するように構成されたスナップを備えている、請求項3に記載のカテーテル挿入デバイス。
【請求項6】
前記カニューレキャリアおよび前記ハウジングの一方がガイドを含み、および、前記カニューレキャリアおよび前記ハウジングの残りの一方がガイドトラックを含み、並びに、前記ガイドと前記ガイドトラックの相互作用が、前記カテーテルの動きを制限する、請求項4に記載のカテーテル挿入デバイス。
【請求項7】
前記カテーテルの前記動きは、前記ベースに対して実質的に垂直に制限されている、請求項6に記載のカテーテル挿入デバイス。
【請求項8】
前記ベースは、開口部であってそれを通って前記カテーテルが延びる開口部の周りに外向きに延びる突出部を含む、請求項1に記載のカテーテル挿入デバイス。
【請求項9】
前記カニューレキャリア内に配置されたセプタムであって、前記挿入針がそれを通って移動可能に配置されているセプタムをさらに含む、請求項4に記載のカテーテル挿入デバイス。
【請求項10】
前記作動ボタンは、前記ハウジングの側に回転可能に配置されている、請求項1に記載のカテーテル挿入デバイス。
【請求項11】
前記作動ボタンが、
把持部、および、
ボタン回転軸に隣接している凹部であって、該回転軸よりも前記把持部の近くにユーザの作動力を印加する凹部を含む、請求項1に記載のカテーテル挿入デバイス。
【請求項12】
前記作動ボタンと前記ハウジングの一方の上に配置された戻り止めをさらに備え、
前記戻り止めを乗り越えおよび前記作動ボタンを前記ハウジングに対して相対移動させるユーザ作動力は、前記ビームを曲げおよび前記カテーテルを前記伸張位置に移動させるために必要な力と実質的に等しいまたはよりも大きい、請求項1に記載のカテーテル挿入デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
この出願は、35 USC§119(e)に基づき、2014年4月24日に出願された米国仮特許出願第61/983980からの優先権を主張するものであり、その開示は、その全体が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
発明の分野
本発明は医療機器に関し、より詳細には、カテーテル挿入機構を有する医療機器に関する。
【背景技術】
【0003】
糖尿病は、必要なときにインスリン産生の適切なレベルを糖尿病患者が維持することができないことに起因する高レベルの血糖によって特徴づけられる疾患群である。糖尿病の人々は、彼らのグルコースレベルの抑制を維持するために、毎日のインスリン療法のいくつかの形態を必要としている。糖尿病は、それが治療されていない場合は病気に冒されている患者にとって危険である可能性があり、および、深刻な健康上の合併症および早死につながる場合がある。しかしながら、糖尿病を抑制しおよび合併症のリスクを軽減するのに役立つ、1つまたはより多くの治療オプションを利用することによって、そのような合併症を最小限にすることができる。
【0004】
糖尿病患者のための治療のオプションは、特殊な食事療法、経口薬および/またはインスリン療法を含む。糖尿病治療の主な目標は、糖尿病患者の血糖または糖のレベルを抑制することである。しかしながら、適切な糖尿病管理を維持することは、それが糖尿病患者の活動とバランスしていなければならないことから、複雑になる場合がある。
【0005】
I型糖尿病の治療については、毎日のインスリン療法の二つの主要な方法がある。第1の方法では、糖尿病患者は、必要なときに、注射器またはインスリンペンを使用してインスリンを自己注入する。この方法は注入の都度、針刺しを必要とし、および、糖尿病患者は1日に3〜4回の注入が必要な場合がある。インスリンを注入するために使用される注射器およびインスリンペンは、使用が比較的簡単であり、および、コスト面で有効である。
【0006】
インスリン療法および糖尿病管理のために有効な別の方法は、輸液療法、すなわち、インスリンポンプを用いる輸液ポンプ療法である。インスリンポンプは、必要なインスリンを産生している非糖尿病の人の正常に動作している膵臓の機能および動きとより密接に一致させるために、速度を変化させて、糖尿病患者へのインスリンの連続注入を提供することができ、および、インスリンポンプは、糖尿病患者が糖尿病患者の個々のニーズに基づいて彼/彼女のグルコースレベルを目標範囲内に維持するのに役立つことができる。
【0007】
輸液ポンプ療法は、典型的には、糖尿病患者の皮膚を穿刺し、それを通じてインスリンの注入が行われる、注入針または可撓性のカテーテルの形態の注入カニューレを必要とする。輸液ポンプ療法は、連続的なインスリンの注入、高精度の投与、および、プログラム可能な送達スケジュールという利点を提供する。
【0008】
輸液療法において、インスリンの投与量は、典型的には、基礎レートで且つボーラス用量で投与される。インスリンが基礎レートで投与される場合、糖尿病患者のグルコースレベルを食事や休憩の間に、典型的には夜間に、一貫した範囲内に維持するため、24時間以上にわたって連続的にインスリンが送達される。インスリンポンプはまた、インスリンの基礎レートを昼および夜の種々の時間に応じて可変するようにプログラミングすることを可能とすることでできる。対照的に、糖尿病患者が食事を消費し、そして、消費された炭水化物とバランスを取るために単一の追加のインスリン注入を一般に提供する場合、ボーラス用量が典型的には投与される。インスリンポンプは、ボーラス用量の容量を糖尿病患者が消費する食事の量および種類に応じて糖尿病患者がプログラムできるように構成することができる。加えて、インスリンポンプはまた、消費される特定の食事のためのボーラス用量を糖尿病患者が算出している時点での低グルコースレベルを補償するために、修正した、すなわち補足のインスリンのボーラス用量を糖尿病患者が注入できるように構成することができる。
【0009】
インスリンポンプは、有利には、一回一回の注射よりも時間をかけてインスリンを送達し、典型的には、推奨される血糖範囲内の、より少ない変動を生じる。加えて、インスリンポンプは、糖尿病患者が我慢しなければならない針刺しの回数を低減し、および、糖尿病患者の生活の質を向上させるように糖尿病管理を改善することができる。
【0010】
一般的に、糖尿病患者が複数の直接注入(MDI)またはポンプを使用しているかどうかにかかわらず、糖尿病患者は、睡眠からの覚醒時に空腹時血糖薬(FBGM)を摂り、そしてまた、各食事中や後の血液中のグルコースを検査して、修正した投与量が必要かどうかを判定する。加えて、糖尿病患者は、就寝前に血液中のグルコースを検査して、修正した投与量が、例えば就寝前に軽食を食べた後に必要であるかを判定することもできる。
【0011】
輸液療法を容易にするために、一般的に、インスリンポンプの2つのタイプ、すなわち、従来型のポンプおよびパッチポンプが存在する。従来型のポンプは、ポンプ内のリザーバからのインスリンをユーザの皮膚内へ搬送する、典型的には輸液セット、チューブセットまたはポンプセットと呼ばれる使い捨て構成要素の使用を必要とする。輸液セットは、ポンプコネクタ、チューブの長さ、および、ハブまたはベースから成り、そこから、カニューレが、中空の金属注入針または自由な形になる可撓性カテーテルの形態で延びている。ベースは、典型的には、使用の間に皮膚表面上に該ベースを保持する接着剤を有している。カニューレは、手動で、または、手動または自動挿入デバイスの助けで、皮膚の上に挿入することができる。挿入デバイスは、ユーザが必要とする別個のユニットであってよい。
【0012】
インスリンポンプの別のタイプはパッチポンプである。従来の輸液ポンプおよび輸液セットの組み合わせと異なり、パッチポンプは、流体リザーバ、ポンピング機構、および、自動的にカニューレを挿入するための機構を含む流体構成要素の大部分またはすべてを、患者の皮膚上の注入部位に接着剤で取り付けられている単一のハウジング内で組み合わせた統合型デバイスであり、別個の輸液セットまたはチューブセットの使用を必要としない。インスリンを収容するパッチポンプは、皮膚に付着し、および、一定の期間にわたり、統合型の皮下カニューレを介して、インスリンを提供する。いくつかのパッチポンプは、別個のコントローラデバイス(Insulet社がブランド名OmniPod(商標)で販売している一つのデバイスなど)とワイヤレスで通信することができ、一方で、他のものでは完全に内蔵されている。そのようなデバイスは、インスリンのリザーバの中が空になった、または、さもなければ、カニューレまたは注入部位における制限などの厄介な問題が発生した場合、3日ごとになど、頻繁に置き換えられる。
【0013】
パッチポンプは糖尿病患者が着用する自己内蔵型の装置として設計されることから、できるだけ小型で、ユーザの活動を妨害しないようにすることが好ましい。従って、ユーザへの不快感を最小限にするために、パッチポンプの全体の厚さを最小限にすることが好ましい。しかしながら、パッチポンプの厚さを最小化するためには、その構成部分を可能な限り低減すべきである。そのような一つの部分は、自動的にカニューレをユーザの皮膚内に挿入するための挿入機構である。
【0014】
挿入機構の高さを最小にするために、従来の挿入機構は、皮膚の表面から鋭角に、例えば30〜45度でカニューレを挿入するように一般に構成されている。しかしながら、一般的には、カニューレを皮膚の表面から垂直にまたは垂直に近く挿入することが、このことはカニューレ挿入の最小の長さを必要とすることから、好ましい。換言すれば、カニューレの最小の長さがユーザの皮膚内に挿入されていると、ユーザは、より大きな快適さと、カニューレの早計なよじれなどのより少ない厄介さを体験することになる。
【0015】
皮膚の表面に垂直にカニューレを挿入する挿入機構を構成する主要な問題は、これがおそらく挿入機構の全体の高さを、したがってパッチポンプ自体を増大させる可能性があるということである。例えば、特許文献1は、自動的にカニューレをユーザの皮膚内に垂直にまたは直角に挿入するために様々な結合、歯車やバネを利用する輸液セット用のスタンドアロン挿入デバイスを開示している。しかしながら、パッチポンプ内にこのようなデバイスを組み込むことは、嵩、複雑さ、および、コストをかなり増やすだけでなく、パッチポンプの高さを大幅に増加させることになる。
【0016】
したがって、パッチポンプ内などの限られたスペース環境における使用のための改良された挿入機構であって、該挿入機構が組み込まれるパッチポンプなどのデバイスの全体の高さを低減するように、その高さを最小化または低減しつつ、カニューレをユーザの皮膚の表面内に垂直にまたは直角にコスト効率よく挿入することができる改良された挿入機構の必要性が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】米国特許7、909791号明細書
【発明の概要】
【0018】
本発明の一態様は、ソフトカテーテルを挿入するため、および、導入針を後退させるための両方についてユーザが単一の操作を実行することだけが必要とされるパッチポンプを提供することがである。
【0019】
本発明の前述および/または他の態様は、ベースを有するハウジング、前記ハウジング内に移動可能に配置された可撓性ビーム、前記ビームに接続された挿入針、および、前記ハウジング内に移動可能に配置されたホルダであって、前記挿入針に移動可能に接続されたホルダを含むカテーテル挿入デバイスを提供することによって達成される。該デバイスはまた、前記ホルダに接続されてそれを一緒に移動させるカテーテルであって、前記挿入針の少なくとも一部分を取り囲むカテーテル、および、前記ハウジングに移動可能に接続されており、および、作動時に前記ビームを曲げるように構成されている作動ボタンであって、それによって、前記挿入針および前記カテーテルのそれぞれの末端が前記ベースを通って前記ハウジングの外側へ延びる伸張位置へ、前記挿入針および前記カテーテルをずらせる作動ボタンを含む。
【0020】
前述および/または本発明の他の態様は、キャリア上に配置されたカテーテルを、医療機器のハウジングの内部に配置されたビームに接続された挿入針の周りに挿入する方法によっても達成される。該方法は、前記カテーテルおよび前記挿入針が前記ハウジングの外側の伸張位置に到達するまでの間、作動ボタンを前記ハウジングに対し変位させることによって、前記ビームを撓ませることを含む。
【0021】
本発明の前述および/または他の態様は、ベースを有するハウジング、前記ハウジング内に移動可能に配置された可撓性ビーム、前記ビームに接続された挿入針、および、前記ハウジング内に移動可能に配置されたホルダであって、前記挿入針に移動可能に接続されたホルダを含むカテーテル挿入デバイスを提供することによってもまた達成される。該デバイスはまた、前記ホルダに接続されてそれを一緒に移動させるカテーテルであって、前記挿入針の少なくとも一部分を取り囲むカテーテル、および、前記ハウジングに移動可能に接続されており、および、作動時に前記ビームを曲げるように構成されている作動ボタンであって、それによって、前記挿入針および前記カテーテルのそれぞれの末端が前記ベースを通って前記ハウジングの外側へ延びる伸張位置へ、前記挿入針および前記カテーテルをずらせる作動ボタンを含む。前記作動ボタンは、前記挿入針および前記カテーテルが前記伸張位置に到達したとたんに、移動を継続しおよび前記ビームをさらに撓ませるように構成されている。前記ビームは、前記挿入針および前記カテーテルが前記伸張位置に到達し、および、さらに撓み、前記作動ボタンからから離脱して初期のビーム位置に戻り、それにより、前記挿入針を前記伸張位置から引き抜いて、および、前記挿入針の引き抜きに先立って前記カテーテルの十分な挿入を確実にするように構成されている。
【0022】
本発明の追加のおよび/または他の態様および利点は、以下の説明に記載され、または説明から明らかなように、本発明の実施形態によって知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
上記および/または本発明の実施形態の他の態様および利点がより容易に、以下の詳細な説明から添付図面と併せて、ここで理解される。
図1】明確さのために透明なカバーと共に図示された、薄型カニューレ挿入デバイスを組み込んだパッチポンプの斜視図である。
図2】カバーと共に図示された図1に示すパッチポンプの様々な構成要素の分解図である。
図3】カバーなしで図示された、可撓性リザーバを有するパッチポンプの代替設計の斜視図である。
図4図3のパッチポンプのパッチポンプ流体アーキテクチャおよび計量サブシステムのダイアグラムである。
図5】本発明の実施形態による、作動前状態のパッチポンプの斜視図である。
図6】本発明の実施形態による、作動状態のパッチポンプの斜視図である。
図7図5の作動前状態にある、図6のパッチポンプの作動ボタンの部分拡大斜視図である。
図8図5のパッチポンプの動作を示す断面図である。
図9図5のパッチポンプの動作を示す断面図である。
図10図5のパッチポンプの動作を示す断面図である。
図11図5のパッチポンプの動作を示す断面図である。
図12】いくつかの部分が除かれた状態で、明確さのために幾つかの部分が透明であるように図示された、図11のパッチポンプの斜視図である。
図13】本発明の別の実施形態による、作動前状態のパッチポンプの斜視図である。
図14】本発明の別の実施形態による、作動状態のパッチポンプの斜視図である。
図15図13のパッチポンプの側面図である。
図16図13のパッチポンプの断面斜視図である。
図17】明確さのために透明なカバーと共に図示された、図13のパッチポンプの斜視図である。
図18図13のパッチポンプのカニューレホルダの斜視図である。
図19】本発明の別の実施形態による、作動状態におけるパッチポンプの斜視図である。
図20】明確さのために幾つかの要素が省略された、図19のパッチポンプの断面図である。
図21】明確さのために幾つかの要素が除かれた、図20のパッチポンプの後方斜視図である。
図22】本発明の実施形態に使用するためのソフトカテーテルおよびくさびの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
ここで、添付図面に示される本発明の実施形態について詳細に説明するが、それら図面において、同様の参照番号は全体を通して同様の要素を指している。本明細書に記載の実施形態は例示しているが、図面を参照することで本発明を限定するものではない。
【0025】
当業者には、本開示が、以下の説明および図面中の表示において定められた構成および詳細および構成要素の配置に限定されないことを理解できよう。本明細書中の実施形態は、他の実施形態が可能であり、および、様々な方法で実施または実行されることが可能である。また、本明細書中で使用される表現および用語は説明のためであり、限定とみなすべきではないことも理解できよう。「含む」、「備える」、または「有する」、および、それらの変形の使用は、その後に列挙されるアイテムおよびその均等物、ならびに、追加アイテムを包含することを意味している。別に限定しない限り、用語「接続された」、「結合された」、および、「搭載された」、ならびに、それらの変形が本明細書中で広く使用され、直接的および間接的な接続、結合、および、搭載を包含している。加えて、用語「接続された」および「結合された」ならびにそれらの変形は、物理的または機械的な接続または結合に限定されない。さらに、上、下、底部、および、上部などの用語は相対的なものであり、例示図を補助するために使用されるが、限定するものではない。
【0026】
図1は、本発明の例示的な一実施形態によるパッチポンプ1の例示的な実施形態の斜視図である。パッチポンプ1は、明確のためにシースルーカバーで示されており、組み立てられてパッチポンプ1を形成する様々な構成要素を示している。図2は、図1のパッチポンプの様々な構成要素の分解図であり、ソリッドなカバー2で示されている。パッチポンプ1の様々な構成要素は、インスリンを貯蔵するためのリザーバ4、リザーバ4からインスリンを排出するためのポンプ3、1つまたはより多くのバッテリの形態の電源5、挿入針をカテーテルと一緒にユーザの皮膚内への挿入するための挿入機構7、スマートフォンを含む、リモートコントローラおよびコンピュータなどの外部デバイスとのオプションの通信機能を備えた回路基板の形態の制御エレクトロニクス8、ボーラス投与を含むインスリン投与を作動させるためのボタンであって、カバー2上の投与ボタン6、および、ベース9であって、上述の種々の構成要素を固定具91によって取り付けることができるベース9を含むことができる。パッチポンプ1はまた、リザーバ4から排出されたインスリンを注入部位へ転送する様々な流体コネクタラインを含む。
【0027】
挿入機構を様々に構成できることを理解すべきである。いくつかの実施形態では、挿入機構はソフトカテーテルを皮膚内に挿入する。これらの実施形態では、ソフトカテーテルは通常、剛性の挿入針上に支持されている。挿入針は、ソフトカテーテルと共に皮膚内に挿入され、次いで皮膚から退避され、ソフトカテーテルが皮膚内に残る。他の実施形態では、ソフトカテーテルは備えられておらず、挿入針が皮膚名に残り、注入が完了するまでの間、インスリンを送達するためのインスリン流路の一部を形成する。挿入針は典型的には中空であり、それらがインスリン流路の部分を形成する場合には中空である必要がある。しかしながら、ソフトカテーテルを支持し、次いで退避する挿入針は、ソリッドまたは中空であってよい。挿入針がソフトカテーテルを展開し、および、退避してもインスリン流路の部分が残る場合、そのときは挿入針はソリッドであるべきである。しかしながら、挿入針がソフトカテーテルを展開し、および、次いで退避してもインスリン流路の部分を形成しない場合、そのときはソリッドまたは中空であってよい。いずれの場合にも、挿入針は皮膚を確実に貫通するのに十分なほど剛性であることが好ましく、しかしながら、そうでなく、快適さをユーザに提供するのに十分なほど可撓性に作成してもよい。
【0028】
図3は、可撓性リザーバ4Aを有するパッチポンプ1Aの代替設計の斜視図であり、カバーなしで図示している。このような構成は、可撓性リザーバ4Aがパッチポンプ1A内を空っぽにしていると、パッチポンプ1Aの外形寸法をさらに低減することができる。パッチポンプ1Aは、典型的には90度未満の鋭角でカニューレをユーザの皮膚の表面に挿入する従来のカニューレ挿入デバイス7Aと一緒に示されている。パッチポンプ1はさらに、バッテリの形態の電源5A、インスリンの量をモニタする計量サブシステム41であって低容量検出能力を含む計量サブシステム41、デバイスの構成要素を制御するための制御エレクトロニクス8A、および、詰め替えシリンジ45を受けてリザーバ4Aを充填するためのリザーバ充填ポート43を備える。
【0029】
図4は、図3のパッチポンプ1Aのパッチポンプ流体アーキテクチャおよび計量サブシステムのダイアグラムである。パッチポンプ1A用の電力ストレージサブシステムはバッテリ5Aを含む。パッチポンプ1Aの制御エレクトロニクス8Aは、マイクロコントローラ81、センスエレクトロニクス82、ポンプおよびバルブコントローラ83、センスエレクトロニクス85、および、展開エレクトロニクス87を含むことができ、パッチポンプ1Aの作動を制御する。パッチポンプ1Aは、リザーバ4A、リザーバ4A用の容量センサ48、詰め替えシリンジ45を受けてリザーバ4Aを充填するためのリザーバ充填ポート43を含むことができる流体工学サブシステムを含む。流体工学サブシステムは、ポンプおよびバルブアクチュエータ411、および、統合型ポンプおよびバルブ機構413を備えた計量システムを含むことができる。流体工学サブシステムは、ユーザの皮膚上の注入部位に挿入するためのカニューレ47はもとより、閉塞センサ、展開アクチュエータをさらに含むことができる。図1および図2のパッチポンプのためのアーキテクチャは、図4に示されたものと同一または類似である。
【0030】
本発明の実施形態によれば、図5は、作動前状態におけるパッチポンプ500の斜視図であり、および、図6は、作動状態におけるパッチポンプ500の斜視図である。パッチポンプ500は、サイド作動され、手動で電源が供給される、カテーテルの挿入および退避機構を含む。簡潔には、この機構は、カテーテルおよび導入針を患者の体内に挿入するために使用される。薬剤受容者(例えば、ヘルスケア専門家)以外のユーザは、患者がヒトまたは動物であり得ることから、デバイス500を使用することができる。簡潔にするために、用語「ユーザ」は、患者または他のユーザを指すために使用される。
【0031】
導入針は、手動で挿入され、自動的に退避され、そして、カテーテルは体内に残る。挿入および退避機構を作動させるために、ユーザは、デバイスの側面上のボタンを内側に押す。導入針は、挿入段階の間に圧縮される、自由な形になる可撓性ビームの広がりによって退避される。導入針は、カテーテルの内側に部分的に残り、遮られない流体経路を提供する。
【0032】
より詳細には、デバイス500は、作動ボタンすなわちボタン502を含む。一実施形態によれば、ボタン502は、ベース504(例えば、図8により良く示されている)を有するハウジングにヒンジ接続されている。図5に示された作動前状態において、ボタン502はカバー506の側面から突出している。図7に示すように、十分な力でボタンが内側に押圧されることを確実にするために(後により詳述するように)、ボタン502は、好ましくは、ユーザがボタン502に対して所望の量の力を加えるまでの間、ボタン502を作動前位置に保持するための戻り止め508のセットを含む。所望の量の力がいったん加えられると、戻り止め508は変形し、または、ずれて(すなわち、近傍の壁を変形させ、または、ずらせる)、ユーザがボタン502を内側に押すことを可能にする。この機能はまた、本発明の他の実施形態において使用でき、および、他の開示された特徴と組み合わせ得ることを理解できよう。ボタン502上に配置されたものとして示されているが、代替的に、戻り止めを、ボタン502に隣接するカバー506上に配置することができる。ボタン502、ベース504、および、カバー506は、好ましくは、ポリプロピレン、ポリエチレン、アクリロニトリルブタジエンスチレンポリマー、ポリエチレンテレフタレートまたは類似材料などのポリエステル、および/または、ポリラクチド、デンプン充填ポリプロピレン、またはポリヒドロキシアルカノエートなどの生体系樹脂、などのプラスチックで作られている。
【0033】
図8は、作動前状態におけるパッチポンプ500の断面図である。図8に示すように、デバイス500は可撓性ビーム510を含み、チューブ512がチューブ512の第1の端部においてリザーバ(リザーバ4など)に接続され、および、チューブ512の第2の端部において挿入針514に接続されている。挿入針514は、好ましくは、ステンレス鋼などの金属からなり、および、中空である。可撓性ビーム510は、続いてより詳細に説明するようにビームの寸法が所望の撓みまたは屈曲を可能にする限り、金属またはプラスチックなどの任意の適切な材料で作ることができる。
【0034】
一実施形態によれば、カニューレキャリア516は、挿入針514をビーム510に、それと一緒に移動するように固定し、および、ホルダまたはセプタムホルダまたはセプタムおよびカテーテルホルダ518が、例えば締まりばめによって、カニューレキャリア516の末端部に一時的に固定される。一実施形態によれば、キャリア516は、挿入針514をビーム510と一緒にしっかりと固定する。セプタムホルダ518は、その中に配置されたセプタム520を有しており、フレキシリブルまたはソフトカテーテル522が、セプタムホルダの末端部に固定されている。一実施形態によれば、セプタム520は、セプタムホルダ518内に固定して配置され、および、可撓性カテーテル522は、セプタムホルダの末端部にしっかりと固定される。デバイス500の作動前状態において、挿入針514は、セプタム520を通り、および、ソフトカテーテル522の末端部を通って延びる。
【0035】
図8に示すように、ビーム510は、その初期の弛緩した状態で示されている。ビーム510の第2の端部526がベース504に回転可能に固定されており、および、デバイス500の作動前状態において、ビーム510の第1の端部524がボタン502の端部528に係合または接触している。
【0036】
図9は中間状態を示しており、この中間状態では、戻り止め508に打ち克つために十分な力をユーザがボタン502に加えており、ボタン502はその全行程を通じた途中にずれており、および、挿入針514およびソフトカテーテル522は、ユーザの皮膚に挿入するために、ベース504内の開口部530を通ってパッチポンプ500の外側に延びている。この中間状態において、ボタンに加えらた力はビーム510を屈曲させまたはずらし、および、それによって挿入針514およびソフトカテーテル522を(カニューレキャリア516およびセプタムホルダ518を介して)末端方向にずらす。続いてより詳細に説明されるように、一実施形態によれば、セプタムホルダ518は、実質的に直線的に移動するように制約される。
【0037】
一実施形態によると、図10に示す状態のように、ビームは完全に屈曲されており、および、挿入針514およびソフトカテーテル522は、戻り止め508に打ち克つためにボタン502に加えられたユーザの力が原因で、完全伸張位置に到達している。したがって、当業者は、戻り止め508に打ち克つために必要とされる力が、ビーム510の選択された材料および寸法を完全に曲げおよびソフトカテーテル522および挿入針514を完全に挿入するために必要とされる力と実質的に等しいまたはよりも大きいように、ボタン502、戻り止め508、および、カバー506の材料および寸法を選択することができることを理解できよう。
【0038】
図10に示された状態においてもまた、ボタン502はその全行程に到達しており、および、ボタン502上に配置されたボタンフック532とボタンベース504上に配置されたボタンラッチ534の相互作用によって、この位置に保持される。ボタンフック532とボタンラッチ534の少なくとも一方は、ボタンがこの相互作用を達成している間、変形する。加えて、この状態において、セプタムホルダ518はその全行程に到達しており、および、ホルダ518上に配置されたホルダフック536とベース上に配置されたホルダラッチ(またはスナップタブ)538の間の相互作用は、セプタムホルダ518(および、したがってソフトカテーテル522)を、この位置において保持する。これらの特徴はまた、本発明の他の実施形態において使用し、そして、他の開示された特徴と組み合わせることができることを理解できよう。一実施形態によれば、ホルダフック536とホルダラッチ538の少なくとも一方が、セプタムホルダが進んでこの相互作用を達成している間に変形して、このことにより、ソフトカテーテル522を完全伸張位置に維持する。
【0039】
さらに、図10に示された状態において、ビーム510の第1の端部524は、滑ってボタン502の端部528を通り過ぎ、該端部との接触から脱する。言い換えれば、ビーム510の第1の端部524は、ボタン502の端部528で滑り、すなわち該端部から離脱する。ボタンの端部528はビーム510をもはや拘束せず屈曲させないことから、ビーム510は図11に示すようにその初期状態に戻り、カニューレキャリア516(および、したがって挿入針514)を、セプタムホルダ518、セプタム520、および、ソフトカテーテル522に対して基端方向にずらせる。ビームの初期状態へ復帰すると、挿入針514の末端部分はセプタム520と接触したままであり、および、挿入針514の末端の先端部はソフトカテーテル522の基端内に配置されたままであり、それにより、リザーバとソフトカテーテル522の末端との間に、流体経路の一部が残る。換言すれば、挿入針514は、ソフトカテーテル522内に残り、および、セプタム520によってシールされて、漏れのない流体経路を提供する。これらの特徴は、本発明の他の実施形態において使用でき、他の開示された特徴と組み合わせ得ることを理解できよう。
【0040】
一実施形態によれば、ビーム510の第1の端部524は、ソフトカテーテル522および挿入針514が完全に伸長された位置に到達する(および、ホルダフック536とホルダラッチ538の間の相互作用によってセプタムホルダ518が維持される)のと実質的に同時に、滑ってボタン502の端部528を通り過ぎ、すなわち、ボタン502の端部528から離脱する。しかしながら、これらのイベントのタイミングは変更することができる。例えば、一実施形態によれば、ソフトカテーテル522および挿入針514が完全に伸長された位置に到達した後で、ボタン502が進み続け、そして、ビーム510をさらに屈曲させる。本実施形態において、ビーム510の第1の端部524が滑ってボタン502の端部528を通り過ぎ、それにより挿入針514を完全に伸長された位置から引き抜くことができるようにするのは、このさらなる屈曲である。この実施形態の利点は、ソフトカテーテル522の完全な挿入が、挿入針514の引き抜きより前に確保されることである。この機能もまた、本発明の他の実施形態において使用でき、他の開示された特徴と組み合わせ得ることを理解できよう。
【0041】
図12は、明確にするために、いくつかの部分が除かれ、いくつかの部分が透明に示されたパッチポンプ500の斜視図である。当業者は、パッチポンプ構成要素の不透明度は、本発明の範囲から逸脱しない範囲で変更し得ることを理解できよう。図12に示すように、ベース504は密閉構造540を含み、そこには、ビーム510が移動可能に配置されている。先述し、しかし図12に最良に示すように、ビーム510の第2の端部526は、密閉構造540において、ベース504に回転自在に固定されている。密閉構造540はまたガイドスロット542を含み、該スロットは、セプタムホルダ(および、したがって、挿入針514とソフトカテーテル522)の移動が実質的に直線状であること、および、ベース504の末端面(患者接触面)に対し実質的に垂直であることを確実にするように、セプタムホルダ518から延びているタブ544と係合して、該タブを案内する。
【0042】
図5および図6に示すように、一実施形態において、ボタン502は、パッチポンプ500の略中央に配置されている。図13および図14に示すような他の実施形態によれば、ボタン602は(ビーム、挿入針等と共に)、パッチポンプ600の端部に配置することができる。この特徴は、本発明の他の実施形態において使用でき、他の開示された特徴と組み合わせ得ることを理解できよう。カテーテル挿入機構をデバイスの一端へ移動させることにより、デバイス内の空間の残りを使用して、デバイスの構成要素の残りの部分(エレクトロニクス、ポンプ、バッテリ、リザーバ、回路等)を効率的に収容することができる。
【0043】
加えて、図15に示すように、ベース604は小さい突出部606を含み、このことで、デバイス600の内部に、カテーテル挿入機構を収容するためのより多くのスペースを提供する。この特徴もまたは、本発明の他の実施形態において使用でき、他の開示された特徴と組み合わせ得ることを理解できよう。好ましくは、突出部606は、ユーザがその存在を検知できることを防止するように十分に小さい。さらに、突出部606は、ユーザの皮膚を伸ばして挿入針の貫通を改善し、および、ベース604内の開口部であってそこを通ってソフトカテーテル622が延びている開口部において皮膚が張る可能性を減少させる。
【0044】
図16はパッチポンプ600の断面斜視図であり、および、図17は、明確にするために透明なカバーで示したパッチポンプ600の斜視図である。
【0045】
パッチポンプ500と対照的に、カテーテル622を完全に伸長された位置に維持するためにホルダフックおよびホルダラッチを使用する代わりに、図16および図17に示すように、一連の小さなバンプすなわち戻り止め636が密閉構造640の内部に配置されている。これらのバンプすなわち戻り止め636は、ホルダまたはセプタムを作動前位置に、および、カテーテルホルダ618を完全に伸長された位置に維持する。図18に最も良く示されたカニューレホルダ616は、挿入針614の挿入および退避の間にカニューレホルダ616がバンプ636のそばを通過できるように、可撓性ビーム610と接続されており、および、ノッチ642を含んでいる。この特徴は、本発明の他の実施形態において使用でき、他の開示された特徴と組み合わせ得ることを理解できよう。
【0046】
さらに、パッチポンプ600において、挿入針の退避の間にセプタムおよびカテーテルホルダ618からセプタム620が引き抜けるのを防止するように、セプタムおよびカテーテルホルダ618の上部に小さなキャップ644が固定されている。一実施形態によれば、キャップ644がセプタムおよびカテーテルホルダ618に接着されている。
【0047】
図19は、本発明の別の実施形態による作動状態におけるパッチポンプ700の斜視図である。図20はデバイス700の断面図であり、および、図21はデバイス700の後方斜視図である。図20および図21において、可撓性ビーム610と実質的に同一である可撓性ビーム710などのいくつかの要素が、明確さのために省略されている。図19に示すように、カバー706の上部の角は、前述した実施形態よりも丸みを帯びている。この特徴により、パッチポンプ700が使用時にユーザの衣服に引っ掛かる可能性をより低くしている。
【0048】
図19〜20に示すように、ボタン702は、前述の実施形態とは異なる外部輪郭を有している。より具体的には、ボタン702の側面760は凹状に湾曲し、ボタン702の下側部分におけるこの「えぐり出し(scoop out)」は、ボタンのピボット点のより近くに配置されている。「えぐり出し」をこの場所に位置決めすることは、ピボット点(グリップすなわちリッジ762を持った部分)から最も遠い、ボタンの部分を押すようにユーザを強制する。これにより、一貫した完全な作動を確実にする、作動の間のボタン上のトルクを増大させる。換言すれば、この形状は、戻り止めに打ち克つために必要な力をより簡単に加えるために、ユーザがボタン702をグリップ762においてまたは前述の実施形態よりも少なくともグリップ762のより近くを押すように促す。この特徴は、本発明の他の実施形態において使用でき、他の開示された特徴と組み合わせ得ることを理解できよう。
【0049】
さらに、図20および図21に示すように、密閉構造740の、ボタン702と反対側の側面は湾曲している。この形状は、パッチポンプ700の他のシステムのために、より使用可能な容積をカバーの内側に提供する。別の言い方をすれば、変更された密閉構造740は、他の内部構成要素のための場所を作る。例えば、追加の構成要素は、曲面の下に、および、曲面に隣接して配置することができる。
【0050】
図20および22に示すように、ソフトカテーテル722は、ホルダまたはセプタムおよびカテーテルホルダ718にウェッジ764を使用して固定され、セプタム720は、ウェッジ764の内側に固定される。より具体的には、ソフトカテーテル722の基端がウェッジ764の末端の周りに嵌り、そのサブアセンブリは、セプタムおよびカテーテルホルダ718内の開口部を通って固定されて、ソフトカテーテル722をセプタムおよびカテーテルホルダ718にしっかりと接続する。パッチポンプ700に関してのみ説明してきたが、ウェッジは、いずれの実施の形態においてもカテーテルを固定するために使用することができ、説明した他の特徴と同様に、本発明の範囲から逸脱することなく他の実施形態の特徴と組み合わせることができる。
【0051】
本発明の実施形態は、ソフトカテーテルを挿入すること、および、導入針を退避させることの両方のために、ユーザが単一の操作(ボタンを押すこと)を実行することだけを必要とする。一実施形態において、カテーテルの展開および薬剤送達の開始のために、デバイスとの他の相互作用は必要とされない。別の実施形態において、患者の皮膚上へのパッチポンプの配置、および、例えばリモートデバイスによる投与量設定に続いて、ソフトカテーテルを挿入し、導入針を退避させ、および、薬剤送達を開始するために唯一ユーザに要求されることは、ボタンを押下することである。
【0052】
本発明のいくつかの実施形態のみを図示し説明したが、本発明は、説明した実施形態に限定されるものではない。代わりに、本発明の原理および精神から逸脱することなく、変更がこれらの実施形態になされ得ることは、当業者によって理解されるであろう。特に留意されたいことは、多くの他の方法であって、それらすべてが特許請求の範囲およびその均等物によって定義される本発明の範囲内にあると考えられる多くの他の方法において上述した、様々な例示的な実施形態の様々な要素の様々な技術的態様を当業者が容易に組み合わせ得ることである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図13
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図17
図18
図19
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図22