特許第6960985号(P6960985)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6960985
(24)【登録日】2021年10月14日
(45)【発行日】2021年11月5日
(54)【発明の名称】手振れ補正機能付き撮像装置
(51)【国際特許分類】
   G03B 5/00 20210101AFI20211025BHJP
   G02B 7/04 20210101ALI20211025BHJP
   G03B 17/17 20210101ALI20211025BHJP
   G03B 30/00 20210101ALI20211025BHJP
【FI】
   G03B5/00 J
   G02B7/04 E
   G02B7/04 D
   G03B17/17
   G03B30/00
【請求項の数】13
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2019-239825(P2019-239825)
(22)【出願日】2019年12月27日
(65)【公開番号】特開2021-107891(P2021-107891A)
(43)【公開日】2021年7月29日
【審査請求日】2019年12月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】519312957
【氏名又は名称】エーエーシー オプティックス ソリューションズ ピーティーイー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100128347
【弁理士】
【氏名又は名称】西内 盛二
(72)【発明者】
【氏名】藤崎 義文
【審査官】 藏田 敦之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2019−138943(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/066499(WO,A1)
【文献】 特開2014−066770(JP,A)
【文献】 特開2007−128055(JP,A)
【文献】 特開2013−238658(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/02 − 7/16
G03B 5/00 − 5/06
H04N 5/222− 5/257
G03B 17/17
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光軸を屈曲させる反射面を有する反射部材を含む光学系であり、該光学系に加わる振れに応じて手振れ補正を行う撮像装置において、
撮像レンズ群ユニットは、一部のレンズ群の群間隔を変化させることにより撮影倍率を変化させるズーム光学系であり、
反射部材は撮像レンズ群よりも物体側に配置され、前記撮像レンズ群ユニットの光軸と前記反射部材で反射される物体側の光軸とにより作られる平面に対し垂直な軸である第1軸まわりの像振れは、前記反射部材の回動により補正され、反射される物体側の光軸と平行な軸である第2軸まわりの像振れは、前記ズーム光学系を含む前記撮像レンズ群ユニット全体を撮像レンズ群ユニットの光軸と垂直な方向へ移動させることにより補正され、
前記撮像レンズ群ユニットは、ひとつの保持枠に保持され、該保持枠は、電磁アクチュエータにより前記撮像レンズ群ユニットの光軸と垂直な方向へ移動可能であり、前記撮像レンズ群ユニットのうち、ズームを構成するレンズ群は、モータにより撮像レンズ群ユニットの光軸と平行に移動可能であり、
前記モータは、前記保持枠に固定されていな
前記モータは、ズームを構成する撮像レンズ群を光軸と平行に移動させるためのナット部材を有し、
前記ナット部材は、撮像レンズ群を保持する撮像レンズ群枠の当て付け部に、摩擦を軽減するためのローラ部材により当接していることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記モータは、ステッピングモータであることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記撮像レンズ群ユニットには、ズームレンズとして機能する第2レンズ群と第3レンズ群が含まれており、
前記モータは、前記第2レンズ群と第3レンズ群を光軸と平行に移動させるための前記ナット部材を有し、
前記ナット部材は、前記第2レンズ群を保持する第2レンズ群枠と前記第3レンズ群を保持する第3レンズ群枠との当て付け部に、該ナット部材に回動可能に取り付けられた前記ローラ部材によりそれぞれ当接していることを特徴とする請求項に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記当て付け部は、当て付け面を有し、前記当て付け面は、前記ローラ部材に当接するためのものであることを特徴とする請求項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記ナット部材には、回転柱が設けられており、
前記ローラ部材は、前記回転柱に設けられていることを特徴とする請求項に記載の撮像装置。
【請求項6】
バネをさらに含み、
前記バネは、前記撮像レンズ群枠が安定してズームすることが可能となるように、前記保持枠と前記撮像レンズ群枠との間に設けられることを特徴とする請求項に記載撮像装置である。
【請求項7】
前記バネは、引張バネと圧縮バネとを含み、
前記引張バネは、前記第3レンズ群枠と前記保持枠との間に設けられ、
前記圧縮バネは、前記第2レンズ群枠と前記保持枠との間に設けられていることを特徴とする請求項に記載の撮像装置である。
【請求項8】
前記保持枠に保持される撮像レンズ群ユニットは、オートフォーカス機能を持つレンズ群を備えることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の撮像装置である。
【請求項9】
前記撮像レンズ群ユニット全体における撮像レンズ群ユニットの光軸に垂直な方向に沿った移動、および、前記反射部材の回動は、前記電磁アクチュエータによって駆動されることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の撮像装置である。
【請求項10】
前記電磁アクチュエータは、ボイスコイルモータであることを特徴とする請求項に記載の撮像装置である。
【請求項11】
前記反射部材は、プリズムであることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の撮像装置
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の撮像装置を備えることを特徴とするカメラ。
【請求項13】
請求項12に記載のカメラを備えることを特徴とする携帯電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は手振れ補正機能付き撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
撮影技術の急速な発展に伴い、レンズ駆動装置は、数多くの撮影装置で広く応用されて
いる。レンズ駆動装置を各種の携帯式電子機器、例えば携帯電話、タブレットコンピュー
タ等に応用したものは、特に消費者に受け入れられている。
【0003】
通常の携帯式電子機器に適応されたレンズ駆動装置の駆動機構は、一般的にコイルと磁石鋼とによって形成され、コイルがレンズキャリアの外周に固定されている。コイルへ電流を印加するとき、電磁力の作用によって、コイルは、レンズキャリアを動かしてレンズの光軸方向に沿って移動さることによって焦点を合わせることができる。また、ユーザが手で電子機器を持ちながら撮影する際に、手振れによるレンズ駆動装置の振れに対しては光軸に対して垂直方向へ駆動する事で振れを補正することが可能となる。しかしながら、例えば携帯式電子機器に搭載する小型の光学機器であって、光学全長の長いズーム光学系では携帯式電子機器にそのまま搭載することは難しく、屈曲などの構造を取る必要があった。
【0004】
この屈曲の構造を用いた光学系では、光線を屈曲するためのプリズムを2軸に回転させて振れ補正を行うことがあるが、プリズム入射面の光軸と平行な軸で回転する場合、周辺像が回転してしまい、防振効果が得られない場合があった。
【0005】
そのため、プリズム入射面の光軸および撮像レンズ群に光軸それぞれに垂直な軸方向のみプリズムを回動させ、他方の軸方向のブレ補正は撮像レンズ全体を移動させる構造にすることにより、補正効果をあげることが可能となる。
【0006】
しかし、ズーム光学系を有する撮像レンズでは、撮像レンズ全体を移動させるには、ズーム動作の駆動源として使用されるモータも含めた構造を動作させなければならず、大幅な重量増加となっていた。
【0007】
本発明では、大きな重量を持つモータは、手振れ補正動作の構造に組み込まず、ズーム光学系を含む撮像レンズ群全体を移動させることが可能な手振れ補正機構を提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2014-66770号公報
【特許文献2】特開2015-141401号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は以上の問題点を鑑みてなされたものであり、屈曲光学系を有する撮像装置の手振れ補正において、重量増加をまねくことなく、省スペースな防振機構を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の目的は以下のように実現された。なお、以下の説明において、発明の理解を容易にするために図面中の符号等を括弧書きで付記するが、本発明の各構成要素はこれらの付記したものに限定されるものではなく、当業者が技術的に理解しうる範囲にまで広く解釈されるべきものである。
【0011】
本発明は、撮像光学系に加わる振れに応じて、撮像光学系を構成する光学要素に像振れ抑制動作を行わせる撮像装置において、以下の構成を有することを特徴とする。反射部材は撮像レンズ群よりも物体側に配置され、前記撮像レンズ群の光軸と前記反射部材で反射される物体側の光軸とにより作られる平面に対し垂直な軸まわりの像振れは、前記反射部材の回動により補正され、反射される物体側の光軸と平行な軸まわりの像振れは、前記ズーム光学系を含む前記撮像レンズ群全体を撮像レンズ群の光軸と垂直な方向へ移動させることにより補正される。
前記撮像レンズ群は、ひとつの保持枠に保持され、該保持枠は、電磁アクチュエータにより前記撮像レンズ群の光軸と垂直な方向へ移動可能であり、前記撮像レンズ群のうち、ズームを構成するレンズ群は、モータにより撮像レンズ群の光軸と平行に移動可能である。
前記モータは、前記保持枠に固定されていない。
前記モータは、ズームを構成する撮像レンズ群を光軸と平行に移動させるためのナット部材を有し、当該ナット部材は、撮像レンズ群を保持する撮像レンズ群枠の当て付け部に、摩擦を軽減するためのローラ部材により当接している。
【発明の効果】
【0012】
本発明の利点として、ズーム光学系を有する撮像レンズでは、撮像レンズ全体を移動させるには、ズーム動作の駆動源として使用されるモータも含めた構造を動作させなければならず、大幅な重量増加となっていたが、本発明では、大きな重量を持つモータは、手振れ補正動作の構造に組み込まず、ズーム光学系を含む撮像レンズ群全体を移動させることが可能であるため、装置の大型化を避けつつ、撮像画像の品位が高い撮像装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態の屈曲式撮像装置を下方から見た斜視図である。
図2】本発明の実施形態の屈曲式撮像装置を上方から見た斜視図である。
図3】本発明の実施形態の屈曲式撮像装置の前側カバー板と後側カバー板を除き、下方から見た斜視図である。
図4】本発明の実施形態の屈曲式撮像装置の前側カバー板と後側カバー板を除き、上方から見た斜視図である。
図5】本発明の実施形態の屈曲式撮像装置の前側カバー板と後側カバー板を除き、前方から見た図である。
図6】本発明の実施形態の屈曲式撮像装置の前側カバー板と後側カバー板を除き、前方から見た、ズームレンズが移動した状態の図である。
図7】上記図5に示すS1S1における断面図で、第2レンズ群ホルダとローラを下方から見た図である。
図8】上記図5に示すS2S2における断面図で、第3レンズ群ホルダとローラを下方から見た図である。
図9】本発明の実施形態の屈曲式撮像装置のプリズム防振ユニットを分解し、下方から見た斜視図である。
図10】本発明の実施形態の屈曲式撮像装置のプリズム防振ユニットを分解し、上方から見た斜視図である。
図11】本発明の実施形態の屈曲式撮像装置を分解し、下方から見た斜視図である。
図12】本発明の実施形態の屈曲式撮像装置を分解し、上方から見た斜視図である。
図13】本発明の実施形態の屈曲式撮像装置の撮像レンズ群ホルダユニットを下前方から見た斜視図である。
図14】本発明の実施形態の屈曲式撮像装置の撮像レンズ群ホルダユニットを下後方から見た斜視図である。
図15】本発明の実施形態の屈曲式撮像装置の撮像レンズ群ホルダユニットの第4レンズ群を分解し、下前方から見た斜視図である。
図16】本発明の実施形態の屈曲式撮像装置の撮像レンズ群ホルダユニットの第4レンズ群を分解し、下後方から見た斜視図である。
図17】本発明の実施形態の屈曲式撮像装置の撮像レンズ群ホルダユニットを第1光軸と第2光軸で成す平面で切った断面図である。
図18】本発明の実施形態の屈曲式撮像装置の撮像レンズ群ホルダユニットを、前方から見た図である。
図19】本発明の実施形態の屈曲式撮像装置の撮像レンズ群ハウジングユニットを下前方から見た斜視図である。
図20】本発明の実施形態の屈曲式撮像装置の撮像レンズ群ハウジングユニットを下後方から見た斜視図である。
図21】ローラ部材と当て付け部との当接状態を示す模式図である。
図22】本発明の実施形態の屈曲式撮像装置の撮像レンズ群ハウジングユニットを第1光軸と第2光軸で成す平面で切った断面図である。
図23】本発明の実施形態の屈曲式撮像装置の撮像レンズ群ハウジングユニットを、前方から見た図である。
図24】本発明の実施形態の屈曲式撮像装置のステッピングモータの斜視図である。
図25】本発明の屈曲式撮像装置を備えた携帯電子機器(携帯情報端末)である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら、本発明について詳しく説明する。
【0015】
図1図24は、本発明の屈曲式撮像装置100を示す図面である。
【0016】
図1図24は、本発明の実施形態に係る撮像装置とその構成要素を示している。
図1図10に示すように、手振れ補正機能付き撮像装置100の撮像光学系は、該光学系に加わる振れに応じて手振れ補正を行うものであり、対物側より反射部材であるプリズム91、第1レンズ群40、第2レンズ群50、第3レンズ群60、第4レンズ群70、撮像素子81で構成され、プリズム91で光束を反射させる屈曲光学系となっている。
本発明の実施形態において、反射部材であるプリズム91は、撮像レンズ群よりも物体側に配置され、撮像レンズ群ユニット10の光軸O2と前記反射部材であるプリズム91で反射される物体側の光軸O1とにより作られる平面に対し垂直な軸である第1軸まわりの像振れは、前記反射部材であるプリズム91の回動により補正され、反射される物体側の光軸と平行な軸である第2軸まわりの像振れは、前記ズーム光学系を含む前記撮像レンズ群ユニット10全体を撮像レンズ群ユニット10の光軸O2と垂直な方向へ移動させることにより補正される。
前記撮像レンズ群ユニット10は、ひとつの保持枠に保持され、該保持枠は、電磁アクチュエータにより前記撮像レンズ群ユニットの光軸O2と垂直な方向へ移動可能であり、前記撮像レンズ群ユニット10のうち、ズームを構成するレンズ群は、モータにより撮像レンズ群ユニット10の光軸と平行に移動可能である。
第1レンズ群40、第2第2レンズ群50、第3レンズ群60および第4レンズ群70は、撮像レンズ群ユニット10を構成するものであり、それぞれの保持枠にそれぞれ固定されることが可能である。撮像レンズ群ユニット10の全体を移動させる場合に、ズーム機構があるため、モータも含めて動かさなければならないが、モータが非常に重いため、電磁アクチュエータが大型化してしまう問題が存在する。本発明の実施形態では、ズームモータが保持枠に固定されないようにすることによって、軽量化を実現することができる。
具体的な実施形態において、図11図12を参照すると、上記モータは、ステッピングモータ22である。
【0017】
第1光軸O1に沿ってプリズム91の入射面に入射した被写体からの光束は、プリズム91の反射面によって第2光軸O2に沿う方向に反射されて射出される。続いて光束は、第2光軸O2上に位置する第1レンズ群40、第2レンズ群50、第3レンズ群60、第4レンズ群70を通り、撮像素子81の撮像面上に結像される。
【0018】
第2レンズ群50および第3レンズ群60は、撮像光学系の光軸方向へ移動することにより、撮影倍率が変化するズームレンズとして機能する。
また、第4レンズ群70は、撮像光学系の光軸方向へ移動することにより、ピント調整を行うオートフォーカスレンズとして機能する。
【0019】
屈曲式撮像装置100は、図11図12に示すように、プリズム防振ユニット90、撮像レンズ群ユニット10、撮像素子ユニット80で構成されており、撮像レンズ群ユニット10は、さらに撮像レンズ群ハウジングユニット20と撮像レンズ群ホルダユニット30で構成される。撮像レンズ群ユニット10の上方にプリズム防振ユニット90、下方に撮像素子ユニット80が固定され、前方および後方を前側カバー板11、後側カバー板12で覆うことにより撮像装置100を構成している。
【0020】
図9図10に示すように、プリズム防振ユニット90は、撮像レンズ群の光軸とプリズム91で反射される物体側の光軸とにより作られる平面に対し垂直な軸まわりに回動可能に構成されている。
プリズム防振ベース93には、図示しないフレキシブル基板に接続された2つのプリズム防振用コイル95と1つのプリズム防振用ホールセンサ96が固定され、プリズムホルダ92に固着された2つのプリズム防振用永久磁石94とボイスコイルモータを構成している。
【0021】
また、プリズム防振ベース93とプリズムホルダ92の間の2つのプリズム防振用ボール97によって、プリズム91を固着したプリズムホルダ92が回動する軸となっている。
【0022】
撮像素子ユニット80は、撮像素子基板82に実装された撮像素子81が撮像素子ホルダ83に固定され、撮像レンズ群ユニット10の下方に固定される。
【0023】
撮像レンズ群ユニット10は、撮像レンズ群ハウジングユニット20と撮像レンズ群ホルダユニット30とに分けられる。
撮像レンズ群ハウジングユニット20には、2つのステッピングモータ22がそれぞれネジ28で固定されている。
【0024】
図19に示すように、ステッピングモータ22は、その出力軸がリードスクリュ23になっており、リードスクリュ23と平行に1本のナットガイド軸24がフランジに一体に固定されている。
前記モータは、ズームを構成する撮像レンズ群を光軸と平行に移動させるためのナット部材25を有し、該ナット部材25は、撮像レンズ群を保持する撮像レンズ群枠の当て付け部52に、摩擦を軽減するためのローラ部材26により当接している。
ナット部材25は、リードスクリュ23とネジ螺合する雌ネジとナットガイド軸24を直進案内とする穴で構成されることにより、ステッピングモータ22の回転によって、リードスクリュ23の軸と平行に移動可能である。
また、ナット部材25にはリードスクリュ23の軸と垂直な方向の回転柱29が一体成形されおり、当該回転柱29を回転軸として回転可能にローラ部材26が設置される。
第2撮像レンズ群50を例に挙げると、図3図7図19及び図21に示すように、ステッピングモータ22がナットガイド軸24を駆動して動かせることで、ナット部材25が光軸に沿って動くことによって、ローラ部材26は、撮像レンズ群枠の当て付け部52に当接しながら動くことが可能となり、第2撮像レンズ群50を動かしてズームを実現させる。無論、同じような構成は、第3撮像レンズ群60に対して実施されてもよい。
好ましくは、前記当て付け部52は、前記ローラ部材26に当接するための当て付け面を有することである。
図8を参照すると、第3撮像レンズ群60は、当て付け部62を有し、この当て付け部62は、第3撮像レンズ群60に対応するローラ部材26に合わせて当接することができる。
【0025】
撮像レンズ群ホルダ31は、第1レンズ群40、第2レンズ群50、第3レンズ群60、第4レンズ群70を保持している。
撮像レンズ群ホルダ31は、撮像レンズ群の光軸と平行に2本のシャフト32が固定さており、そのシャフト32を基準にして、第1レンズ群枠41が固定されている。また、ズームレンズとして機能する第2レンズ群50、第3レンズ群60は、それぞれ第2レンズ群枠51、第3レンズ群枠61に保持され、シャフト32を基準に撮像レンズ群の光軸方向へ移動可能に保持されている。
【0026】
具体的な実施形態において、撮像装置は、バネをさらに含み、前記バネは、前記撮像レンズ群枠が安定してズームすることが可能となるように、前記保持枠と前記撮像レンズ群枠との間に設けられる。
第2撮像レンズ群50を例に挙げると、バネを利用して押し力または引き力を実現させ、ローラ部材26の当接力と協働することによって、レンズ群の光軸に沿った異なる方向へのズームを実現することができる。バネは、図5および図6に示すような圧縮バネ33と、図8に示すような引張バネ34とを含むことができる。
また、第2レンズ群枠51はシャフト32の支持部に、圧縮バネ33がその内径にシャフト32を通す構成で配置され、第3レンズ群枠61は、シャフト32の支持部近傍に、引張りバネ34が第3レンズ群枠61の爪部63と撮像レンズ群ホルダ爪部39に掛けられて配置され、それぞれのレンズ群枠を像面側へ付勢している。
【0027】
これは、後述するステッピングモータ22のリードスクリュ23に取り付けられたナット部材25に配置されたローラ部材26へ当て付ける方向の付勢力となり、姿勢によりそれぞれのズームレンズ群枠がローラ部材26から離れることを防止するものである。
【0028】
第4レンズ群70は、オートフォーカスの機能を有しており、第4レンズ群70を保持する第4レンズ群枠71を、撮像レンズ群の光軸方向へ移動させることのよって、ピント調節を行うことができる。
【0029】
第4レンズ群枠ホルダ72には、第4レンズ群枠71と2つの第4レンズ群オートフォーカス用永久磁石73が固着されており、撮像レンズ群ホルダ31には、図示しないフレキシブル基板に接続された2つの第4レンズ群オートフォーカス用コイル74と第4レンズ群オートフォーカス用ホールセンサ75が固着され、ボイスコイルモータを構成している。
【0030】
また、3つの第4レンズ群オートフォーカス用ボール76が、3箇所の第4レンズ群枠ホルダV溝77と3箇所の撮像レンズ群ホルダオートフォーカス用V溝38Bへ配置されることによって、光軸と平行に移動可能に構成されている。
【0031】
撮像レンズ群ホルダユニット30は撮像レンズ群ハウジングユニット20に対し、前部から組み込まれるが、3つの撮像レンズ群防振用ボール37が、3箇所の撮像レンズ群ハウジングV溝27と、3箇所の撮像レンズ群ホルダV溝38Aへ配置されることによって、左右方向のみへの低摩擦な移動を可能にしている。
【0032】
また撮像レンズ群ホルダ31には4つの撮像レンズ群防振用永久磁石35が固着される。
撮像レンズ群ハウジング21には、図示しないフレキシブル基板に接続された4つの撮像レンズ群防振用コイル36が固定され、撮像レンズ群ホルダ31に固着された4つの撮像レンズ群防振用永久磁石35とボイスコイルモータを構成し、左右方向への防振駆動を行う電磁アクチュエータとなっている。
【0033】
ステッピングモータ22のリードスクリュ23に取り付けられたナット部材25に配置されたローラ部材26と、第2レンズ群枠51と第3レンズ群枠61はそれぞれ圧縮バネ33、引張りバネ34の付勢力により、常にナット部材25に追従して可動することが可能となっている。ズーム動作の時、モータの駆動力とバネの弾性力とが共に作用することによって、ズーム動作を安定して行うことが可能となる。
【0034】
また、撮像レンズ群ホルダユニット30が手振れ補正動作により左右方向へ移動したとしても、ローラ部材26が回転柱29のまわりに回転することにより、第2レンズ群枠21の当て付け部52がローラ部材26に対して相対的な転がりを発生することになる。これによって、摩擦が軽減される。撮像レンズ群ホルダユニット30の位置の係らず、安定して第2レンズ群枠51、第3レンズ群枠61を手振れ補正動作させることが可能である。
上記のローラ部材26は、当て付け部52(又は当て付け部62)と合わせて、当接力によってレンズ群のズームを実現することに単独で用いられることができる。上記のローラ部材26は、手振れ補正の場合、ローラ部材26と当て付け部52(又は当て付け部62)との間の相対的な転がりによって、レンズ群が手振れを発生しないようにすることに単独で用いられることもできる。
ズームと手振れ補正は、別々に動作することが可能であり、動画撮影時に同時に動作することも可能である。
【0035】
本実施形態において、前記プリズム91はミラー(図示しない)であってもよい。
【0036】
上述した撮像装置100は、たとえば図25に示すいわゆるスマートフォン、いわゆるフィーチャーフォン、またはタブレット機器などの携帯情報機器200用の撮像装置100に用いられてもよい。
【0037】
以上は、ただ本発明の好ましい実施形態に過ぎなく、本発明の保護範囲は、上記実施形
態に限定されたものではなく、本領域の技術者が本発明に開示された内容に基づき作られ
た同等の修正または変形は、すべて本願の特許請求の範囲に記載された本発明に含まれて
いる。
【符号の説明】
【0038】
10 … 撮像レンズ群ユニット
11 … 前側カバー板
12 … 後側カバー板
20 … 撮像レンズ群ハウジングユニット
21 … 撮像レンズ群ハウジング
22 … ステッピングモータ
23 … リードスクリュ
24 … ナットガイド軸
25 … ナット部材
26 … ローラ部材
27 … 撮像レンズ群ハウジングV溝
28 … ネジ
29 … 回転柱
30 … 撮像レンズ群ホルダユニット
31 … 撮像レンズ群ホルダ
32 … シャフト
33 … 圧縮バネ
34 … 引張りバネ
35 … 撮像レンズ群防振用永久磁石
36 … 撮像レンズ群防振用コイル
37 … 撮像レンズ群防振用ボール
38A … 撮像レンズ群ホルダ防振用V溝
38B … 撮像レンズ群ホルダオートフォーカス用V溝
39 … 撮像レンズ群ホルダ爪部
40 … 第1レンズ群
41 … 第1レンズ群枠
50 … 第2レンズ群
51 … 第2レンズ群枠
52 … 第2レンズ群枠ローラ部材当接部
60 … 第3レンズ群
61 … 第3レンズ群枠
62 … 第3レンズ群枠ローラ部材当接部
63 … 第3レンズ群枠爪部
70 … 第4レンズ群
71 … 第4レンズ群枠
72 … 第4レンズ群枠ホルダ
73 … 第4レンズ群オートフォーカス用永久磁石
74 … 第4レンズ群オートフォーカス用コイル
75 … 第4レンズ群オートフォーカス用ホールセンサ
76 … 第4レンズ群オートフォーカス用ボール
77 … 第4レンズ群枠ホルダV溝
80 … 撮像素子ユニット
81 … 撮像素子
82 … 撮像素子基板
83 … 撮像素子ホルダ
90 … プリズム防振ユニット
91 … プリズム
92 … プリズムホルダ
93 … プリズム防振ベース
94 … プリズム防振用永久磁石
95 … プリズム防振用コイル
96 … プリズム防振用ホールセンサ
97 … プリズム防振用ボール
100 … 撮像装置
200 … 携帯情報機器
O1 … 第1光軸
O2 … 第2光軸。
図1
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図3
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