特許第6961009号(P6961009)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許69610092−ヒドロキシ−4−(メチルチオ)酪酸の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6961009
(24)【登録日】2021年10月14日
(45)【発行日】2021年11月5日
(54)【発明の名称】2−ヒドロキシ−4−(メチルチオ)酪酸の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 319/28 20060101AFI20211025BHJP
   C07C 323/52 20060101ALI20211025BHJP
   C07C 319/20 20060101ALI20211025BHJP
【FI】
   C07C319/28
   C07C323/52
   C07C319/20
【請求項の数】14
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-550809(P2019-550809)
(86)(22)【出願日】2018年3月9日
(65)【公表番号】特表2020-510076(P2020-510076A)
(43)【公表日】2020年4月2日
(86)【国際出願番号】FR2018050550
(87)【国際公開番号】WO2018167405
(87)【国際公開日】20180920
【審査請求日】2021年1月29日
(31)【優先権主張番号】17/52163
(32)【優先日】2017年3月16日
(33)【優先権主張国】FR
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】507200961
【氏名又は名称】アディッソ・フランス・エス.エー.エス.
【氏名又は名称原語表記】ADISSEO FRANCE S.A.S.
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベリエール−バカ ビルジニー
(72)【発明者】
【氏名】モルヴァン ディディエ
【審査官】 奥谷 暢子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2002−520311(JP,A)
【文献】 特表2002−520310(JP,A)
【文献】 特開2007−238555(JP,A)
【文献】 特開昭60−156396(JP,A)
【文献】 米国特許第04912257(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 319/28
C07C 323/52
C07C 319/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2−ヒドロキシ−4−メチルチオ−ブチロニトリル(HMTBN)から2−ヒドロキシ−4−(メチルチオ)酪酸(HMTBA)を製造する方法であって、
水溶液中無機酸存在下でHMTBNを加水分解してHMTBAとする工程と、
前記水溶液に塩基を添加して中和する工程と、
少なくともHMTBA及び塩を含む第1相と、塩を含む第2相とを分離させる工程と、を含み、
前記方法は、前記第1相の前記塩からの前記HMTBAの分離が、前記第1相をクロマトグラフィに供することにより行われることを特徴とする、製造方法。
【請求項2】
前記クロマトグラフィは、HMTBAを含む前記第1相を樹脂で処理することにより行われることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記樹脂は、アニオン性樹脂又はカチオン性樹脂であることを特徴とする、請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記樹脂は、OH、Cl、SO2−から選択されたアニオンが担持されたアニオン性樹脂、又は、NH、H、Na及びCa2+から選択されたカチオンが担持されたカチオン性樹脂であることを特徴とする、請求項2に記載の製造方法。
【請求項5】
前記クロマトグラフィの溶出剤は、水系溶媒であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1つに記載の製造方法。
【請求項6】
前記水系溶媒は、水、並びに、1又は2以上の有機溶媒と水との混合物から選択されることを特徴とする、請求項5に記載の製造方法。
【請求項7】
前記水系溶媒は、水、酸性水溶液及び塩基性水溶液から選択されることを特徴とする、請求項5又は6に記載の製造方法。
【請求項8】
前記クロマトグラフィは、シミュレート移動床(SMB)モード、又は、逐次シミュレート移動床(SSMB)モードに従って実行されることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1つに記載の製造方法。
【請求項9】
分離前における、第1相中のHMTBAの濃度は、30〜90%(m/m)であることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1つに記載の製造方法。
【請求項10】
HMTBAの濃度は、水の添加により調整されることを特徴とする、請求項9に記載の製造方法。
【請求項11】
HMTBNの前記加水分解は、硫酸存在下で行われ、
前記中和は、アンモニア又は水酸化アンモニウムの添加により行われることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1つに記載の製造方法。
【請求項12】
HMTBNの前記加水分解後であって前記中和前に、80℃〜120℃の温度及び0.5bar〜1.5barの圧力下で蒸留が行われることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1つに記載の製造方法。
【請求項13】
少なくともHMTBA及び塩を含む第1相と、塩を含む第2相とは、デカンテーションによって分離されることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項14】
前記クロマトグラフィの末端で回収された、HMTBAが豊富な相及び/又は塩が豊富な相は、エバポレーションに供され、結果として得られた水系溶媒は前記方法の工程の少なくとも1つにおいて再利用されることを特徴とする、請求項1〜13のいずれか1つに記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2−ヒドロキシ−4−(メチルチオ)酪酸(HMTBA)及びそのセレニウム同族体である2−ヒドロキシ−4−(メチルセレノ)酪酸の改良された製造方法に関する。より詳細には、この方法は、2−ヒドロキシ−4−メチルチオ−ブチロニトリル(HMTBN)の酸加水分解により得られたHMTBAを精製する高性能工程を含む。
【背景技術】
【0002】
2−ヒドロキシ−4−(メチルチオ)酪酸(HMTBA)及びこれらの酸の塩、キレート、特に金属キレート(Zn、Ca、Mn、マグネシウム、Cu、Na、・・・のキレート)、及び、エステル、例えばHMTBAのイソプロピルエステルやターチオブチルエステルのような類似体は、動物栄養学において、広く使用されている。メチオニンのこれらのヒドロキシ類似体のセレニウム誘導体は、動物栄養学における主要な関心の一つでもある。
【0003】
HMTBAの製造は、種々の直接的又は間接的なHMTBN加水分解法により行われ得る。この加水分解は、従来、塩酸又は硫酸のような無機酸により行われる。また、それは酵素加水分解により行われ得る。
【0004】
従って、WO00/02852A1は、硫酸を用いた2つの工程によるHMTBNの加水分解によってHMTBAを製造する方法について記載している。以下の反応式で表されるように、第1の工程[1]において、2−ヒドロキシ−4−メチルチオ−ブチロニトリル(HMTBN)を2−ヒドロキシ−4−メチルチオ−ブチルアミド(HMTBM)とする水和反応が行われる。次いで、第2の工程[2]において、加水分解されて、2−ヒドロキシ−4(メチルチオ)酪酸(HMTBA)になる。
【0005】
【化1】
【0006】
そして、HMTBAを含む得られた混合物は、もの又は特許文献WO00/02853A1、US4524077A、US4912257A又はJP2007238555Aに記載されているような、1つ又はいくつかの精製工程に供され得る。
【0007】
すなわち、US4524077Aによれば、加水分解媒体の水非混和性溶媒による直接抽出が行われる。そして、水存在下において該溶媒を蒸発させ、得られた生成物の褐色化を抑制する。溶媒は、特にメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルtert−ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル及びジエチルカーボネートから選択される。そして、塩を含む水相の塩析が行われる。溶媒は、蒸発によって、有機相から除去される。そして、最終的なHMTBA溶液は、水の添加によって、工業用の濃度に調整される。
【0008】
US4912257Aには、硫酸存在下におけるHMTBNの加水分解及びアンモニアによる反応物の中和工程に続いて、HMTBA及び残留塩を含む有機相と、主に硫酸アンモニウムである塩及び僅かなHMTBAを含む水相とを分離させる工程を行い、その後、有機相は、濃縮後濾過されてHMTBAが回収される一方、水相は濃縮されて塩の析出物が得られることが記載されている。このようにして得られたHMTBAは、水添加により、最終的な滴定濃度に調整される。
【0009】
最後に、JP2007238555Aでは、加水分解工程後であり且つ中和工程の前に、硫酸やギ酸を含む低分子成分を除去するために蒸留を行うことが提案されている。この蒸留は、80℃から120℃の間の温度、0.5から1.5barの間の圧力で行われる。そして、有機相と水相の2相に分離することは、上記文献に記載の通り行われ、当該2相の処理も同様に行われる。
【0010】
2−ヒドロキシ−4−(メチルセレノ)酪酸の合成方法も、公知である。それは、特に、WO 2008/049927A1に記載されているように、2−ヒドロキシ−4−メチルセレノ−ブチロニトリルの酸加水分解により製造され得る。
【0011】
中和により生じる塩から上述の酸を分離する技術に関係なく、これらの塩、具体的には硫酸アンモニウムは、回収され、このまま、又は、1つ以上の補足的な精製処理を経て商品化され得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
にもかかわらず、上述のような公知の方法は、最終生成物であるHMTBAを単離する技術から生じる複数の短所を有する。
【0013】
それらは、以下に要約される:
a) 1〜2重量%の硫酸アンモニウムが必ず含まれることにより、HMTBAの品質に影響を及ぼすとともに、最終生成物において水と置換される。
【0014】
実際、水の含有量が低下することにより、平衡熱力学的法則によって、最終生成物においてHMTBAのオリゴマの濃度がより高まるようになる。
【0015】
これにより、最終生成物の粘性がより高まり、その酸性度が制限される;
b) 暗褐色及び不快な匂い;
c) 濾過工程の信頼性及び性能維持に起因する製造コストの高さ;
d) 溶媒抽出などの手段を使用することによる最終生成物のコストの高さ。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の方法は、従来の方法に代替し得るHMTBA単離工程を行うことにより、これら全ての課題を解決できる。この単離は、加水分解及び中和の反応物から生じるHMTBAフローのクロマトグラフィにより行われる。
【0017】
このように、本発明は、以下の工程からなる、HMTBNからHMTBAを製造する方法を提供する:
水溶液中無機酸存在下でHMTBNを加水分解してHMTBAとする工程と、
前記水溶液に塩基を添加して中和する工程と、
少なくともHMTBA及び塩を含む第1相と、塩を含む第2相とを分離させる工程と、を含み、
前記方法は、前記第1相の前記塩からの前記HMTBAの分離が、前記第1相をクロマトグラフィに供することにより行われること含む。
【0018】
本発明におけるクロマトグラフィは、少なくともHMTBA及び塩を含む相を、HMTBAを多く含む相と、塩を多く含む相との2相に分離し得るいかなる分離方法も意味する。このような方法は、固定相及び移動相を備える。例として、それは、例えばFR2889077又はSeparation Science and Technology 35(4):519−534,2000に記載された少なくとも2つのカラムを有するクロマトグラフィーシステム、又は、例えば(EP0342629及びUS5064539に記載された)iSMB技術、(US6,136,198,US6,375,839,US6,413,419及びUS6,712,973に記載された)SSMB、AMB、VARICOL(登録商標)、(US7,479,228に記載された)MODICON(登録商標)、(US5,102,553及びJournal of Chromatography A,1006:87−99,2003におけるZhangらの記事≪シミュレーションされた移動相ユニットのパワーフィード動作:切換インターバルにおける流速の変更(Power Feed operation of simulated moving bed units: changing flow−rates during the switching interval)≫に記載された)POWERFEED(登録商標)、もしくは、MCSGP(Multicolumn Countercurrent Solvent Gradient Purification)等の少なくとも3つのカラムを有するクロマトグラフィーシステムのような1つ又は複数のカラムにおける固定相又は移動相で行われ得る。
【0019】
サイズ排除及びイオン排除の2つの排除効果を含むクロマトグラフィにより、HMTBAを含むフローから塩類を極めて効果的に除去することが可能であることが分かっている。例えば、このクロマトグラフィ工程を使用することにより、そのように処理された第1相に含まれる硫酸アンモニウムの95%を分離できる。
【0020】
好ましくは、クロマトグラフィは、HMTBAを含む第1相を樹脂で処理することにより行われる。樹脂は、アニオン性樹脂又はカチオン性樹脂であり得る。
【0021】
樹脂がアニオン性の場合、それは、OH、Cl、SO2−から選択されたアニオンが担持されていることが好ましい。
【0022】
樹脂がカチオン性の場合、それは、NH、H、Na、K+及びCa2+から選択されたカチオンが担持されていることが好ましい。
【0023】
好ましくは、クロマトグラフィは、逐次シミュレート移動床(SSMB)モードに従って実行される。HMTBA水溶液からなる液相及びカラム固体間の親和性の違いにより、この技術を用いて、例えば主にHMTBAのような有機物から例えば硫酸アンモニウムのような無機塩を分離できる。効率性に加え、当該分離法は、他の試薬を加える必要がないため、いかなる追加の塩も生じない。当該技術のさらなる効果は、操作性の良さ及びカラムの優れた耐久性にある。
【0024】
従って、本発明の方法により処理されるHMTBAのフローは、中和媒体から生じる。1つの変形例によれば、中和工程前に、特開2007−238555を参照して、特に80℃〜120℃の温度及び0.5〜1.5barの圧力条件下で、上述の蒸留工程が行われ得る。処理されたHMTBAフローは、主にHMTBAを含む。それは、水、塩類、不純物及び副生成物、特に例えば修飾ヒドロキシブチロラクトン及びメチルチオプロピオンアルデヒド(MMP)等の有機物を含む。好ましくは、クロマトグラフィで処理されるフロー中のHMTBA濃度は、30〜90%(m/m)、さらには50〜80%(m/m)である。必要に応じて、それは、水の添加により調整される。
【0025】
好ましい態様において、クロマトグラフィの溶出剤は、水系溶媒である。好ましくは、水系溶媒は、水、すなわち純水又はリサイクル水、及び、これらと1又は2以上の有機溶媒との混合物である。後者は、好ましくは、メタノール及びエタノールなどのアルコール、テトラヒドロフランなどのフラン、及び、アセトニトリルから選ばれる。
【0026】
本発明の1つの変形例によれば、水系溶媒は、水、酸性水溶液及び塩基性水溶液から選択される。HMTBAフローに応じて、酸又は塩基をその濃度とともに選択することは、当業者の通常の能力及び知識の範囲内であり、産業スケールで実施する場合には、最も経済的な解決策が保持され得ることに留意する。
【0027】
好ましくは、クロマトグラフィは、当業者が自身の一般知識を考慮して決定し得る溶出速度の条件下で、実行される。
【0028】
分離工程の特定の実施態様において、クロマトグラフィは、シミュレート移動床(SMB)モード、又は、逐次シミュレート移動床(SSMB)モードに従って実行される
上記の分離工程は、HMTBAのいかなるフローにも好適であるが、好ましい実施形態では、それは、硫酸存在下でのHMTBAの加水分解及び次いでアンモニア又は水酸化アンモニウムの添加による中和から生じる硫酸アンモニウム塩、NHHSO又は(NHHSO及びそれらの混合物から分離される。
【0029】
HMTBAの精製を目的とするいかなる追加工程が、本方法のいずれの段階にも組み込まれ得る。すなわち、上述のごとく、中和工程前に、小分子を取り除くための加水分解溶液の蒸留工程が設けられ得る。また、本発明の方法の極めて好ましい実施形態によれば、上述したクロマトグラフィによる分離工程は、少なくともHMTBA及び塩を含む第1相と塩を含む第2相との、デカンテーションによる分離工程の結果生じるHMTBAフローについて実行される。これらの条件下では、分離効率は非常に高く、クロマトグラフィカラムの耐用年数はかなり延びる。例えば遠心分離又は液体/液体分離等のこれらの2つの相を分離する他のいかなる技術も、それが溶媒を用いた抽出を含まない限り、用いられ得る。これにより、次の精製工程が非常に容易になるとともに、一方ではHMTBAの完全な回収、他方では高収率及び高効率で硫酸アンモニウムを得ることが容易になる。従って、このように、水と混ざらない溶媒を含む抽出タイプの分離技術は、必要でないか、逆効果である;そのような技術は、実質的に品質又は収率を改善せず、方法の高コスト化及び装置の複雑化を招く。
【0030】
クロマトグラフィによる分離工程終了時点で、HMTBAが豊富な相及び/又は塩が豊富な相が回収される。一方又は両者は、エバポレーションに供され、結果として得られた水系溶媒は前記方法の工程の少なくとも1つにおいて再利用される。
【0031】
クロマトグラフィカラムから排出されると、HMTBAは、当該カラムによる分離の間に供給された過剰な水を蒸発させることによって、最初の滴定濃度に戻される。HMTBA製造方法のこの改良により、動作が容易になるだけでなく、最終生成物の品質も向上する。
【0032】
得られた生成物は、希釈されたHMTBAであり、エバポレーション工程の間に最高95%の滴定濃度に戻され得る。好ましくは、HMTBAから除去された水は、本方法におけるクロマトグラフィ分離工程又はその他の工程に再び導入される。硫酸アンモニウムを含む相は、中和工程又はその他の工程に再導入され得る。
【0033】
本方法の残りの部分は同一のままである。
【0034】
好ましくは、この分離は、最終生成物の品質を向上させる目的で、都合よくHMTBA以外の硫黄種を分離するために用いられ得る。HMTBA及び硫酸アンモニウムを含む相は上記と同様にして処理され、その後、硫黄生成物を含む新しい相は、分離され、適切に処理される。
【0035】
本発明はまた、従来の方法により得られたHMTBAと比べて、オリゴマ濃度が低減され、塩の割合が最大0.8%(重量比)、又はさらに最大0.5%及びさらに最大0.3%、及びさらにトレース量である、上記の方法により得られた2−ヒドロキシ−4−(メチルチオ)酪酸に関する。
【0036】
添付の図1図4により支持される、産業的なスケールでの本発明の方法によるHMTBAの製造を示す実施例から、本発明はより完全に記載され、最高水準の技術に関するその効果が明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1図1は、HMTBAを製造する公知の産業的な方法の図である。
図2図2は、産業スケールでの本発明によるHMTBAを製造する方法の図である。
図3図3は、硫酸アンモニウム及びHMTBAの分離のグラフである、
図4図4は、修飾ヒドロキシブチロラクトンの分離のグラフである。
【実施例】
【0038】
当然ながら、この実施例は、実施の条件に関しても、得られる化合物に関しても、制限するものではない。すなわち、本発明により得られる化合物は、2−ヒドロキシ−4−(メチルセレノ)酪酸であってもよい。
【0039】
実施例:本発明に係る、HMTBNからHMTBAの製造
以下の方法は、図2に記載されている。それは、HMTBAを合成するための従来の方法に対応する図1と比較され得る。
【0040】
1) HMTBNの合成
HMTBNは、アミノ酸DL−メチオニンの合成に関して記載されたEP0739870A1に開示された方法の変形例の方法に従って合成される。異なるのは、ニトリル合成試薬のみであり、上記文献では当該試薬はアンモニア水溶液であるのに対し、本実施例ではアンモニアを含まない水を使用している。この製造は、当業者にとって周知である。
【0041】
2) HMTBAの合成
2.1)HMTBNの加水分解
上記の合成工程から得られる生成物を、酸性化ループにおいて、濃硫酸、好ましくは98%の濃硫酸と接触させる。酸性化ループでは、生成物と酸とが互いに混ざり合う。ニトリルの劣化をもたらす局所加熱及び着色の増加を引き起こす副反応の進行を回避するために、濃硫酸を、好ましくは酸の20〜50重量%の濃度を有するニトリルの酸性化溶液に加えることにより、大きく再循環させて、酸性化は連続的に行われる。
【0042】
硫酸の希釈熱を除去する必要があるので、酸性化ループは1又はいくつかの熱交換器を備えており、反応温度が65℃を超えないようにする。
【0043】
硫酸/HMTBNモル比は、0.8〜1.5である。水の割合は、酸性化溶液が単相により構成され、加水分解反応の間、及び、以下の水酸化アンモニウムを用いた中和の間において、硫酸アンモニウムが溶液中に維持されるように、調整される。
【0044】
30〜60分の接触時間の後、水を添加し、加水分解工程終了時点において20%の濃度とする。得られた反応媒体は、110〜130℃の温度まで加熱され、2時間〜4時間の保持時間で、HMTBAが得られる。
【0045】
HMTBNの合成において使用するわずかに過剰なHCN、及び、反応中に形成され最終生成物の不快な匂いの元となり得る揮発性の不純物を除去するために、加水分解のコースの全体に亘り(約20〜200mmの)わずかな真空を反応器に適用する必要がある。
【0046】
2.2)加水分解媒体の中和
加水分解反応混合物は50〜70℃まで冷却され、過剰な酸は20〜35重量%のアンモニア溶液により中和される。このアンモニア溶液は、アンモニアガスをバブリングすることによりインサイチュ(in situ)で形成され得る。当該中和は、温度が90℃超えないように、冷却する必要があるかもしれない。
【0047】
3) HMTBAの精製
3.1)前分離工程
得られた中和物は、明確に異なる密度を有し、容易にデカンテーションで分離可能な2つの相からなる。2つの相は、形成されたHMTBAの93〜95%を含む第1相と、残りを含む第2相とよりなる。加水分解反応及び過度に使用された酸の中和により形成された硫酸アンモニウムは、2つの相に含まれるが、第2相の方が多く、70〜75重量%含まれる。
【0048】
第2相から、硫酸アンモニウムは、常圧又は減圧下で水を蒸発させることにより、沈殿する。得られた固体は、ろ過及び/又は遠心分離のようなあらゆる一般的な固液分離法により分離される。また、得られた液体は、沈殿しなかった分の硫酸アンモニウム及びHMTBAを含むため、中和容器に再投入される。この方法により、乾燥後には高純度且つHMTBAを実質的に含まない硫酸アンモニウムが得られる。後者は、分離工程の最初でリサイクルされることにより、完全に回収され、第1相に組み込まれる。
【0049】
3.2)本発明に係るクロマトグラフィ分離工程
(中和及びリサイクルの)両方の流れのHMTBAを含む、デカンテーションにより得られた第1相は、調整タンクに導かれ、クロマトグラフカラムによる精製前に希釈される。通常操作では、1日800tの第1相が処理され、本発明の方法では、この相は、クロマトグラフカラムによる精製後のエバポレーションにより生じた1日240tのリサイクル水で希釈される。この第1相は、特に希釈前に、HMTBAを65重量%、主に(NHSOの形の硫酸アンモニウムを14重量%含む。
【0050】
その後、希釈された第1相は、精製のためシミュレート移動床技術のクロマトグラフィカラムに導入される。使用された溶出剤は、精製後のエバポレーションにより生じたリサイクル水である。従って、1日3700tの水、すなわち希釈工程後では1日1040tの水が、第1相の精製のために使われる。分離は、カラム内において、液相及びカラムの固相との間でサイズ排除及びイオン排除によって実行される。硫酸アンモニウム及びHMTBAの分離は、図3に示されており、HMTBAは、「有機」の名称で、硫酸アンモニウムは「塩」の名称で示されている。略語ADS及びNVSは、結果の確認のために2つの異なる場所で行われた液体クロマトグラフィ分析を示している。
【0051】
硫酸アンモニウム及びHMTBAの分離は、最高95%である。換言すれば、第1相に含まれる硫酸アンモニウムの95%は、シミュレート移動床技術により分離される。
【0052】
また、クロマトグラフカラム上におけるこの分離により、第1相に含まれる主な有機不純物を分離することができる。この不純物は、MW236と称されるが、修飾ヒドロキシブチロラクトンである。この分離のグラフは、図4に示される。
【0053】
この不純物の80重量%が、この分離技術によって、第1相から除去され得る。
【0054】
図1及び2の比較により明らかなように、クロマトグラフィによる精製工程は、従来行われる分離工程の少なくとも1つ又は全てに置き換えることができ、それにより、ほとんど塩を含まず、オリゴマ及び不純物、特に修飾ヒドロキシブチロラクトン及びMMPのような有機不純物が少ないHMTBAを得られることが、この実施例から判る。
【0055】
種の分離は、これらの実施例に限られない。
【0056】
以下の実施例は、上述の実施例とは別の、HMTBAフローについて行われる本発明の方法の精製工程を示す。
【0057】
クロマトグラフィカラムの出口において、2つの主なフローが得られる。第1のフローは、1日1140tであり、硫酸アンモニウムの95%を含む第1の最初の相であり、第2のフローは、1日3600tであり、HMTBAを多く含む相である。硫酸アンモニウムを多く含む相は、ラフィネートと呼ばれる。その後、両方の相は、リサイクル用の水の回収及び濃縮のためのエバポレータへ搬送される。
【0058】
ラフィネートと呼ばれる、硫酸アンモニウムが多く含まれる相は、本方法において、再循環用の水の回収及び濃縮のためのエバポレータへ搬送される。機械式圧縮エバポレータが用いられるが、当業者に公知のいかなるエバポレータ技術も本方法の当該工程において好適に用いられ得る。
【0059】
この工程で回収された水は、そのプロセスにおける2つの位置で再分配される。1日655tの水を意味する第1のフローが、溶出剤としてクロマトグラフィに再利用され、1日240tの水を意味する第2のフローが、第1相の希釈工程で使用される。
【0060】
硫酸アンモニウムの濃縮相は、1日125tを意味するが、本方法の中和工程に再利用される。
【0061】
過剰な濃縮物は、1日105tを意味するが、本工程でシステムから除去される。
【0062】
クロマトグラフィ工程で得られたHMTBAを多く含む相もまた、当業者に公知の機械式圧縮エバポレータ又はいかなる適切なエバポレーション技術により濃縮される。エバポレーションにより回収された水は、本方法において、クロマトグラフィ工程で再利用されて、溶出剤として役立つ。この水は、1日3020tになる。
【0063】
このエバポレーションにより、好ましくはHMTBAが88重量%まで濃縮されたHMTBAを多く含む相を得ることができ、そうして、AT88と呼ばれる、最終生成物を直接得ることができる。このAT88生成物のフローは、1日560tを意味する。概して、この最終生成物は、(重量比で)88%のHMTBA及びそのオリゴマ誘導体、11.2%の水、0.8%の硫酸アンモニウム及びトレース量のその他の有機生成物を含む。
【0064】
以下のテーブルは、流速33300kg/hで、デカンテーションの出口における第1相の同一の流れから、最終生成物の組成を与える、周知の方法と比較した本発明の方法の効果を示す。:
【0065】
【表1】
【0066】
本発明の方法によれば、塩の残留比率が半分に低下し、有機不純物がもはや検出されないHMTBAを得ることができる。
図1
図2
図3
図4