特許第6961021号(P6961021)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ▲馬▼鞍山▲鋼▼▲鉄▼股▲分▼有限公司の特許一覧

特許6961021連続鋳造用タンディッシュ昇降用油圧シリンダーの同期制御システムに基づく同期制御方法
<>
  • 特許6961021-連続鋳造用タンディッシュ昇降用油圧シリンダーの同期制御システムに基づく同期制御方法 図000002
  • 特許6961021-連続鋳造用タンディッシュ昇降用油圧シリンダーの同期制御システムに基づく同期制御方法 図000003
  • 特許6961021-連続鋳造用タンディッシュ昇降用油圧シリンダーの同期制御システムに基づく同期制御方法 図000004
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6961021
(24)【登録日】2021年10月14日
(45)【発行日】2021年11月5日
(54)【発明の名称】連続鋳造用タンディッシュ昇降用油圧シリンダーの同期制御システムに基づく同期制御方法
(51)【国際特許分類】
   B22D 11/10 20060101AFI20211025BHJP
   B22D 47/00 20060101ALI20211025BHJP
   F15B 11/22 20060101ALI20211025BHJP
【FI】
   B22D11/10 310R
   B22D47/00
   F15B11/22 P
【請求項の数】6
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2019-571043(P2019-571043)
(86)(22)【出願日】2018年6月21日
(65)【公表番号】特表2020-524608(P2020-524608A)
(43)【公表日】2020年8月20日
(86)【国際出願番号】CN2018092089
(87)【国際公開番号】WO2018233649
(87)【国際公開日】20181227
【審査請求日】2020年1月22日
(31)【優先権主張番号】201710482377.9
(32)【優先日】2017年6月22日
(33)【優先権主張国】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】515050091
【氏名又は名称】▲馬▼鞍山▲鋼▼▲鉄▼股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100166729
【弁理士】
【氏名又は名称】武田 幸子
(72)【発明者】
【氏名】イェ グアンピン
(72)【発明者】
【氏名】ワン グアンヤ
(72)【発明者】
【氏名】チアン シャオビン
(72)【発明者】
【氏名】ウー ジアン
(72)【発明者】
【氏名】チャン レジン
(72)【発明者】
【氏名】チャン フェン
(72)【発明者】
【氏名】ワン ジーユアン
(72)【発明者】
【氏名】グー チョンジュン
(72)【発明者】
【氏名】シュー ホン
(72)【発明者】
【氏名】タン インボー
(72)【発明者】
【氏名】ファン チャンデ
(72)【発明者】
【氏名】ウー シェン
(72)【発明者】
【氏名】シュエ フェン
(72)【発明者】
【氏名】チアン ジーガン
【審査官】 松村 駿一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−079452(JP,A)
【文献】 実開昭61−182653(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22D 11/10
B22D 47/00
F15B 11/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続鋳造用タンディッシュ昇降用駆動油圧シリンダーの同期制御サブシステムおよび連続鋳造用タンディッシュ昇降用従動油圧シリンダーの同期制御サブシステムを含む連続鋳造用タンディッシュ昇降用油圧シリンダーの同期制御システムに基づく同期制御方法において、前記連続鋳造用タンディッシュ昇降用駆動油圧シリンダーの同期制御サブシステムは、駆動油圧シリンダーの同期位置偏差オーバーラン制御ユニットと、駆動油圧シリンダーの同期位置偏差速度補正ユニットとを含み、前記連続鋳造用タンディッシュ昇降用従動油圧シリンダーの同期制御サブシステムは、従動油圧シリンダーの同期位置偏差オーバーラン制御ユニットと、従動油圧シリンダーの同期位置偏差速度補正ユニットとを含み、連続鋳造用タンディッシュ昇降用油圧シリンダーの同期制御システムに基づく連続鋳造用タンディッシュ昇降用油圧シリンダーの同期制御方法は、
1)連続鋳造用タンディッシュが下降移動する時、駆動油圧シリンダーの同期位置偏差オーバーラン制御ユニットは、駆動油圧シリンダーの位置値と各従動油圧シリンダーの位置値との差の最小値ΔSms.b.minを取得し、ΔSms.b.minの数値が設定された最大許容位置偏差の負の値以下である場合、駆動油圧シリンダーは、駆動油圧シリンダーと最も遅く下降する従動油圧シリンダーとの間の位置偏差値が設定された最大許容位置偏差の負の値より大きくなるまで下降を停止し、連続鋳造用タンディッシュが下降移動する時、従動油圧シリンダーの同期位置偏差オーバーラン制御ユニットは、各従動油圧シリンダーの位置値と駆動油圧シリンダーの位置値との差ΔSsnmを取得し、ΔSsnmの数値が設定された最大許容位置偏差の負の値以下である場合、従動油圧シリンダーは、従動油圧シリンダーの同期位置偏差値ΔSsnmが設定された最大許容位置偏差の負の値より大きくなるまで下降を停止することと、
2)連続鋳造用タンディッシュの上昇移動中に、駆動油圧シリンダーの同期位置偏差オーバーラン制御ユニットは、駆動油圧シリンダーの実位置値と各従動油圧シリンダーの実位置値との差の最大値ΔSms.f.maxを取得し、ΔSms.f.maxの数値が設定された最大許容位置偏差の正の値以上である場合、駆動油圧シリンダーは、駆動油圧シリンダーと最も遅く上昇する従動油圧シリンダーとの間の位置偏差値が設定された最大許容位置偏差の正の値より小さくなるまで上昇を停止し、連続鋳造用タンディッシュの上昇移動中に、従動油圧シリンダーの同期位置偏差オーバーラン制御ユニットは、各従動油圧シリンダーの位置値と駆動油圧シリンダーの位置値との差ΔSsnmを取得し、ΔSsnmの数値が設定された最大許容位置偏差の正の値以上である場合、従動油圧シリンダーは、従動油圧シリンダーの同期位置偏差値ΔSsnmが設定された最大許容位置偏差の正の値より小さくなるまで上昇を停止することと、
3)連続鋳造用タンディッシュの上昇または下降移動中に、駆動油圧シリンダーの同期位置偏差値ΔSmsが設定された範囲を超えた場合、駆動油圧シリンダーの同期位置偏差速度補正ユニットは、駆動・従動油圧シリンダーの間の位置偏差値ΔSmsが再び設定範囲内になるまで、駆動油圧シリンダーの移動速度を補正することと、
4)連続鋳造用タンディッシュの上昇または下降移動中に、従動油圧シリンダーの同期位置偏差値ΔSsnmが設定された範囲を超えた場合、従動油圧シリンダーの同期位置偏差速度補正ユニットは、従動油圧シリンダーと駆動油圧シリンダーとの間の位置偏差値ΔSsnmが再び設定範囲内になるまで、従動油圧シリンダーの移動速度を補正することと、を含むことを特徴とする連続鋳造用タンディッシュ昇降用油圧シリンダーの同期制御システムに基づく同期制御方法。
【請求項2】
1)駆動油圧シリンダーの同期位置偏差速度補正ユニットは、駆動油圧シリンダーの速度補正サブユニットおよび駆動油圧シリンダーの同期偏差高速補正サブユニットを含み、連続鋳造用タンディッシュが下降移動する時、駆動油圧シリンダーの同期位置偏差値ΔSmsが第1の設定範囲を超えた場合、駆動油圧シリンダーの速度補正サブユニットは、駆動油圧シリンダーの同期位置偏差値ΔSmsを反転してから駆動油圧シリンダーの下降同期位置偏差速度補正係数を掛けたもの、を駆動油圧シリンダーの速度補正値とし、連続鋳造用タンディッシュが上昇移動する時、駆動油圧シリンダーの同期位置偏差値ΔSmsが第1の設定範囲を超えた場合、駆動油圧シリンダーの速度補正サブユニットは、駆動油圧シリンダーの同期位置偏差値ΔSmsを反転してから駆動油圧シリンダー上昇同期位置偏差速度補正係数を掛けたもの、を駆動油圧シリンダーの速度補正値とし、連続鋳造用タンディッシュが下降または上昇移動する時、駆動油圧シリンダーの同期位置偏差値ΔSmsが第2の設定範囲を超えた場合、駆動油圧シリンダーの同期偏差高速補正サブユニットは、駆動油圧シリンダーの同期位置偏差値ΔSmsと反対方向の駆動油圧シリンダーの同期位置偏差速度補正値を駆動油圧シリンダーの速度補正値とし、
2)従動油圧シリンダーの同期位置偏差速度補正ユニットは、従動油圧シリンダーの速度補正サブユニットおよび従動油圧シリンダーの同期偏差高速補正サブユニットを含み、連続鋳造用タンディッシュが下降移動する時、従動油圧シリンダーの同期位置偏差値ΔSsnmが第1の設定範囲を超えた場合、従動油圧シリンダーの速度補正サブユニットは、従動油圧シリンダーの同期位置偏差値ΔSsnmを反転してから従動油圧シリンダーの下降同期位置偏差速度補正係数を掛けたもの、を従動油圧シリンダーの速度補正値とし、連続鋳造用タンディッシュが上昇移動する時、従動油圧シリンダーの同期位置偏差値ΔSsnmが第1の設定範囲を超えた場合、従動油圧シリンダーの速度補正サブユニットは、従動油圧シリンダーの同期位置偏差値ΔSsnmを反転してから従動油圧シリンダー上昇同期位置偏差速度補正係数を掛けたものを、従動油圧シリンダーの速度補正値とし、
3)連続鋳造用タンディッシュが下降または上昇移動する時、従動油圧シリンダーの同期位置偏差値ΔSsnmが第2の設定範囲を超えた場合、従動油圧シリンダーの同期偏差高速補正サブユニットは、従動油圧シリンダーの同期位置偏差値ΔSsnmと反対方向の従動油圧シリンダーの同期位置偏差速度補正値を従動油圧シリンダーの速度補正値とする、ことを特徴とする請求項1に記載の連続鋳造用タンディッシュ昇降用油圧シリンダーの同期制御システムに基づく同期制御方法。
【請求項3】
前記請求項1に記載の連続鋳造用タンディッシュ昇降用駆動油圧シリンダーの同期制御サブシステムおよび連続鋳造用タンディッシュ昇降用従動油圧シリンダーの同期制御サブシステムにおいて、駆動油圧シリンダーの故障割り込み制御ユニット、従動油圧シリンダーの故障割り込み制御ユニット、駆動油圧シリンダーの昇降速度閉ループ制御ユニット、従動油圧シリンダーの昇降速度閉ループ制御ユニットが増設されており、連続鋳造用タンディッシュの昇降用油圧制御システムにおいて、タンディッシュ昇降用駆動またはいずれかの従動油圧シリンダーの変位センサの故障、油圧システムの故障、連続鋳造用タンディッシュの昇降作動禁止および緊急停止が発生する場合、駆動油圧シリンダーの故障割り込み制御ユニットは、駆動油圧シリンダーの昇降速度閉ループ制御ユニットの出力を閉鎖するように制御し、従動油圧シリンダーの故障割り込み制御ユニットは、従動油圧シリンダーの昇降速度閉ループ制御ユニットの出力を閉鎖するように制御し、駆動油圧シリンダー比例弁の制御電圧、従動油圧シリンダー比例弁の制御電圧は常にゼロとなり、つまり、駆動、従動油圧シリンダーの昇降制御が閉鎖される、ことを特徴とする請求項1に記載の連続鋳造用タンディッシュ昇降用油圧シリンダーの同期制御システムに基づく同期制御方法。
【請求項4】
前記請求項1に記載の連続鋳造用タンディッシュ昇降用駆動油圧シリンダーの同期制御サブシステムおよび連続鋳造用タンディッシュ昇降用従動油圧シリンダーの同期制御サブシステムにおいて、駆動油圧シリンダーの手動同期昇降制御ユニット、従動油圧シリンダーの手動同期昇降制御ユニット、駆動油圧シリンダーの昇降速度閉ループ制御ユニット、従動油圧シリンダーの昇降速度閉ループ制御ユニットが増設されており、
1)連続鋳造用タンディッシュの昇降用油圧制御システムがタンディッシュ昇降手動連動モードまたはタンディッシュ昇降手動/自動連動モードにある場合、連続鋳造用タンディッシュの手動下降指示が出される間に、駆動油圧シリンダーの同期位置偏差値ΔSmsが設定された最大許容位置偏差の負の値より大きく、且つ駆動油圧シリンダーが下降終端位置に位置しなければ、駆動油圧シリンダーの手動同期昇降制御ユニットは、駆動・従動油圧シリンダーの手動下降速度設定値を駆動油圧シリンダーの昇降速度閉ループ制御ユニットに出力するとともに、駆動油圧シリンダーの昇降速度閉ループ制御ユニットを解放状態にし、駆動油圧シリンダーと最も遅く下降する従動油圧シリンダーとの間の位置偏差が設定範囲を超えた場合、駆動油圧シリンダーと最も遅く下降する従動油圧シリンダーとの間の位置偏差は駆動油圧シリンダーの同期位置偏差速度補正ユニットによって補正され、駆動油圧シリンダーと最も遅く下降する従動油圧シリンダーとの間の位置偏差が設定された最大許容位置偏差の負の値以下であれば、駆動油圧シリンダーは、両者の位置偏差値が再び設定された最大許容位置偏差の負の値より大きくなるまで下降移動を停止し、連続鋳造用タンディッシュの手動上昇指示が出される間に、駆動油圧シリンダーの同期位置偏差値ΔSmsが設定された最大許容位置偏差の正の値より小さく、且つ駆動油圧シリンダーが上昇終端位置に位置しなければ、駆動油圧シリンダーの手動同期昇降制御ユニットは、駆動・従動油圧シリンダーの手動上昇速度設定値を駆動油圧シリンダーの昇降速度閉ループ制御ユニットに出力するとともに、駆動油圧シリンダーの昇降速度閉ループ制御ユニットを解放状態にし、駆動油圧シリンダーと最も遅く上昇する従動油圧シリンダーとの間の位置偏差が設定範囲を超えた場合、駆動油圧シリンダーと最も遅く上昇する従動油圧シリンダーとの間の位置偏差は駆動油圧シリンダーの同期位置偏差速度補正ユニットによって補正され、駆動油圧シリンダーと最も遅く上昇する従動油圧シリンダーとの間の位置偏差が設定された最大許容位置偏差の正の値以上であれば、駆動油圧シリンダーは、両者の位置偏差値が再び設定された最大許容位置偏差の正の値より小さくなるまで上昇移動を停止し、
2)連続鋳造用タンディッシュの昇降用油圧制御システムがタンディッシュ昇降手動連動モードまたはタンディッシュ昇降手動/自動連動モードにある場合、連続鋳造用タンディッシュの手動下降指示が出される間に、従動油圧シリンダーの同期位置偏差値ΔSsnmが設定された最大許容位置偏差の負の値より大きく、且つ駆動油圧シリンダーが下降終端位置に位置しなければ、従動油圧シリンダーの手動同期昇降制御ユニットは、駆動・従動油圧シリンダーの手動下降速度設定値を従動油圧シリンダーの昇降速度閉ループ制御ユニットに出力するとともに、従動油圧シリンダーの昇降速度閉ループ制御ユニットを解放状態にし、また、従動油圧シリンダーの同期位置偏差値ΔSsnmが設定範囲を超えた場合、従動油圧シリンダーの同期位置偏差値ΔSsnmは駆動油圧シリンダーの同期位置偏差速度補正ユニットによって補正され、従動油圧シリンダーの同期位置偏差値ΔSsnmが設定された最大許容位置偏差の負の値以下であれば、従動油圧シリンダーは、両者の位置偏差値が再び設定された最大許容位置偏差の負の値より大きくなるまで下降移動を停止し、連続鋳造用タンディッシュの手動上昇指示が出される間に、従動油圧シリンダーの同期位置偏差値ΔSsnmが設定された最大許容位置偏差の正の値より小さく、且つ駆動油圧シリンダーが上昇終端位置に位置しなければ、従動油圧シリンダーの手動同期昇降制御ユニットは、駆動・従動油圧シリンダーの手動上昇速度設定値を従動油圧シリンダーの昇降速度閉ループ制御ユニットに出力するとともに、従動油圧シリンダーの昇降速度閉ループ制御ユニットを解放状態にし、従動油圧シリンダーの同期位置偏差値ΔSsnmが設定範囲を超えた場合、従動油圧シリンダーの同期位置偏差値ΔSsnmは従動油圧シリンダーの同期位置偏差速度補正ユニットによって補正され、従動油圧シリンダーの同期位置偏差値ΔSsnmが設定された最大許容位置偏差の正の値以上であれば、従動油圧シリンダーは、両者の位置偏差値が再び設定された最大許容位置偏差の正の値より小さくなるまで上昇移動を停止する、ことを特徴とする請求項1に記載の連続鋳造用タンディッシュ昇降用油圧シリンダーの同期制御システムに基づく同期制御方法。
【請求項5】
前記請求項1に記載の連続鋳造用タンディッシュの昇降用駆動油圧シリンダーの同期制御サブシステムおよび連続鋳造用タンディッシュの昇降用従動油圧シリンダーの同期制御サブシステムにおいて、駆動油圧シリンダーの位置自動保持制御ユニット、従動油圧シリンダーの位置自動保持制御ユニット、駆動油圧シリンダーの昇降速度閉ループ制御ユニット、従動油圧シリンダーの昇降速度閉ループ制御ユニットが増設されており、
1)連続鋳造用タンディッシュの手動昇降指示の終了時に、連続鋳造用タンディッシュの手動昇降指示の終了後に駆動・従動油圧シリンダーの位置保持値SZWBZと駆動油圧シリンダーの実位置値との差が設定された位置偏差の正の許容値より大きい場合、駆動油圧シリンダーの位置レギュレーターおよび駆動油圧シリンダーの昇降速度閉ループ制御ユニットは解放状態にあり、駆動油圧シリンダーの位置レギュレーターは、駆動・従動油圧シリンダーの位置保持値SZWBZと駆動油圧シリンダーの実位置値との間の差分を小さくするために、駆動・従動油圧シリンダーの位置保持値SZWBZと駆動油圧シリンダーの実位置値との間の差が設定された位置偏差の正の許容値以下になるまで、対応する駆動油圧シリンダーの位置補正速度基準値を出力し、また、連続鋳造用タンディッシュの手動昇降指示の終了後に駆動・従動油圧シリンダーの位置保持値SZWBZと駆動油圧シリンダーの実位置値との差が設定された位置偏差の負の許容値より小さい場合、駆動油圧シリンダーの位置レギュレーターおよび駆動油圧シリンダーの昇降速度閉ループ制御ユニットは解放状態にあり、駆動油圧シリンダーの位置レギュレーターは、駆動・従動油圧シリンダーの位置保持値SZWBZと駆動油圧シリンダーの実位置値との間の差分を大きくするために、駆動・従動油圧シリンダーの位置保持値SZWBZと駆動油圧シリンダーの実位置値との差が設定された位置偏差の負の許容値以上になるまで、対応する駆動油圧シリンダーの位置補正速度基準値を出力し、
2)連続鋳造用タンディッシュの手動昇降指示の終了時に、連続鋳造用タンディッシュの手動昇降指示の終了後に駆動・従動油圧シリンダーの位置保持値SZWBZと従動油圧シリンダーの実位置値との差が設定された位置偏差の正の許容値より大きい場合、従動油圧シリンダーの位置レギュレーターおよび従動油圧シリンダーの昇降速度閉ループ制御ユニットは解放状態にあり、従動油圧シリンダーの位置レギュレーターは、駆動・従動油圧シリンダーの位置保持値SZWBZと従動油圧シリンダーの実位置値との間の差分を小さくするために、駆動・従動油圧シリンダーの位置保持値SZWBZと従動油圧シリンダーの実位置値との間の差が設定された位置偏差の正の許容値以下になるまで、対応する従動油圧シリンダーの位置補正速度基準値を出力し、また、連続鋳造用タンディッシュの手動昇降指示の終了後に駆動・従動油圧シリンダーの位置保持値SZWBZと従動油圧シリンダーの実位置値との差が設定された位置偏差の負の許容値より小さい場合、従動油圧シリンダーの位置レギュレーターおよび従動油圧シリンダーの昇降速度閉ループ制御ユニットは解放状態にあり、従動油圧シリンダーの位置レギュレーターは、駆動・従動油圧シリンダーの位置保持値SZWBZと従動油圧シリンダーの実位置値との間の差分を大きくするために、駆動・従動油圧シリンダーの位置保持値SZWBZと従動油圧シリンダーの実位置値との差が設定された位置偏差の負の許容値以上になるまで、対応する従動油圧シリンダーの位置補正速度基準値を出力する、ことを特徴とする請求項1に記載の連続鋳造用タンディッシュ昇降用油圧シリンダーの同期制御システムに基づく同期制御方法。
【請求項6】
前記請求項1に記載の連続鋳造用タンディッシュ昇降用駆動油圧シリンダーの同期制御サブシステムおよび連続鋳造用タンディッシュ昇降用従動油圧シリンダーの同期制御サブシステムにおいて、駆動油圧シリンダーの位置自動保持制御ユニット、従動油圧シリンダーの位置自動保持制御ユニット、駆動油圧シリンダーの昇降速度閉ループ制御ユニット、従動油圧シリンダーの昇降速度閉ループ制御ユニット、駆動油圧シリンダーの手動同期昇降制御ユニット、従動油圧シリンダーの手動同期昇降制御ユニットが増設されており、
1)駆動・従動油圧シリンダーに割り込み故障がない場合、駆動油圧シリンダーの手動同期昇降制御ユニットまたは駆動油圧シリンダーの位置自動保持制御ユニットから駆動油圧シリンダーの昇降速度制御ユニットの解放信号が送信されると、駆動油圧シリンダーの昇降速度閉ループ制御サブユニットは、駆動油圧シリンダーが所望の位置に到達し且つ許容された位置偏差範囲内になった後に、その手動同期昇降制御ユニットまたは駆動油圧シリンダーの位置自動保持ユニットから送信された駆動油圧シリンダーの昇降速度制御ユニットのイネーブル信号が閉鎖されるまで、入力された速度設定を対応する駆動油圧シリンダーの比例制御弁の制御電圧に変換して出力し、
2)駆動・従動油圧シリンダーに割り込み故障がない場合、従動油圧シリンダーの手動同期昇降制御ユニットまたは従動油圧シリンダーの位置自動保持制御ユニットから従動油圧シリンダー昇降速度制御ユニットの解放信号が送信されると、従動油圧シリンダーの昇降速度閉ループ制御サブユニットは、従動油圧シリンダーが所望の位置に到達し且つ許容された位置偏差範囲内になった後に、その従動油圧シリンダーの手動同期昇降制御ユニットまたは従動油圧シリンダーの位置自動保持ユニットから送信された従動油圧シリンダーの昇降速度制御ユニットのイネーブル信号が閉鎖されるまで、入力された速度設定を対応する従動油圧シリンダーの比例制御弁の制御電圧に変換して出力する、ことを特徴とする請求項1に記載の連続鋳造用タンディッシュ昇降用油圧シリンダーの同期制御システムに基づく同期制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧駆動制御の分野に属し、特に、連続鋳造用タンディッシュ昇降用油圧シリンダーの同期制御システムに基づく同期制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
連続鋳造機用タンディッシュは一般的には、4つの油圧シリンダー(1つの駆動油圧シリンダーと3つの従動油圧シリンダー)によって同期昇降移動を行う。連続鋳造用タンディッシュ昇降用油圧シリンダーの同期制御に関して、現在、油圧4同期モーターに基づく油圧シリンダー同期制御方法、または独立したPIコントローラ及び比例制御弁に基づく汎用の駆動・従動油圧シリンダー同期制御方法が主に使用されており、この2種類のマチル油圧シリンダー同期制御手段、特に油圧4同期モーターに基づく油圧シリンダー同期制御方法は、同期制御精度が油圧システムのリーク(例えば、油圧シリンダーの内部リーク)、油圧部品のバラツキのある製造精度、不均一な負荷などの要素による影響を受けやすい。馬鋼長材事業部の南エリアにある1#および2#連続鋳造機用タンディッシュは、油圧4同期モーターによって油圧シリンダーを同期昇降させるが、4#連続鋳造機用タンディッシュは、独立したPIコントローラ及び比例制御弁に基づく汎用の駆動・従動油圧シリンダー同期制御方法によって昇降油圧シリンダーを同期制御し、実際の生産プロセスでは、1#および2#連続鋳造機用タンディッシュは常に、油圧4同期モーターの異常な作動、又は昇降油圧シリンダーの内部リークにより、昇降油圧シリンダーが同期して作動しないようになり、4#連続鋳造機用タンディッシュには、昇降油圧シリンダーの内部リークなどの要因により昇降油圧シリンダーが同期して作動しないという現象も発生し、それによって、連続鋳造用タンディッシュが歪んだりずれたりするようになる。連続鋳造用タンディッシュが一旦ずれると、タンディッシュ内の溶鋼が流出しやすくなり、個人および機器の安全性に危害を与える可能性があるだけでなく、さらにタンディッシュのアウトレットが連続鋳造用鋳型のインレットとセンタリングすることができず、溶鋼が連続鋳造用鋳型の外へ流れやすくなるため、連続鋳造が中断され、取鍋溶鋼が炉に戻り、タンディッシュ溶鋼がスクラップになり、また、連続鋳造プロセスから分かるように、連続鋳造用タンディッシュが歪み、タンディッシュの浸漬ノズルの位置が中央合わせなければ、晶析装置内の溶鋼の流動状態が非対称になり、熱中心がずれ、スラブに縦割れを発生させやすくする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の実施例は、連続鋳造用タンディッシュ昇降用油圧シリンダーの同期制御システムに基づく同期制御方法を提供し、従来の油圧4同期モーターに基づく油圧シリンダー同期制御方法、または独立したPIコントローラ及び比例制御弁に基づく汎用の駆動・従動油圧シリンダーの同期制御方法における同期制御精度が、油圧システムのリーク(例えば、油圧シリンダーの内部リーク)、油圧部品のバラツキのある製造精度、不均一な負荷などの要素による影響を受けやすいという問題を解決することを目的とする。
【0004】
本発明の実施例は、連続鋳造用タンディッシュ昇降用油圧シリンダーの同期制御システムに基づく同期制御方法を提供し、この方法は以下のステップを含む。
【0005】
すなわち、連続鋳造用タンディッシュ昇降用油圧シリンダーの同期制御システムに基づく同期制御方法であって、前記システムは、連続鋳造用タンディッシュ昇降用駆動油圧シリンダーの同期制御サブシステムおよび連続鋳造用タンディッシュ昇降用従動油圧シリンダーの同期制御サブシステムを含み、前記連続鋳造用タンディッシュ昇降用駆動油圧シリンダーの同期制御サブシステムは、機能ブロックのLZSTC01〜LZSTC11およびLZSTC24〜LZSTC26で構成される駆動油圧シリンダーの同期位置偏差オーバーラン制御ユニットと、機能ブロックのLZSTC19〜LZSTC23およびLZSTC51〜LZSTC60で構成される駆動油圧シリンダーの同期位置偏差速度補正ユニットと、機能ブロックのLZSTC44〜LZSTC46で構成される駆動・従動油圧シリンダーの故障割り込み制御ユニットと、機能ブロックのLZSTC12〜LZSTC15、LZSTC27〜LZSTC30、LZSTC34〜LZSTC38およびLZSTC43で構成される駆動油圧シリンダーの手動同期昇降制御ユニットと、機能ブロックのLZSTC16〜LZSTC18、LZSTC31〜LZSTC33、LZSTC39〜LZSTC43およびLZSTC48〜LZSTC50で構成される駆動油圧シリンダーの位置自動保持制御ユニットと、機能ブロックのLZSTC47およびLZSTC61〜LZSTC63、LZSTC67で構成される駆動油圧シリンダーの昇降速度閉ループ制御ユニットと、を含んでおり、前記連続鋳造用タンディッシュ昇降用従動油圧シリンダーの同期制御サブシステムは、機能ブロックのLZSTC100、LZSTC101およびLZSTC104で構成される従動油圧シリンダーの同期位置偏差オーバーラン制御ユニットと、機能ブロックのLZSTC116〜LZSTC120およびLZSTC121〜LZSTC130で構成される従動油圧シリンダーの同期位置偏差速度補正ユニットと、機能ブロックのLZSTC102、LZSTC103、LZSTC105〜LZSTC108、LZSTC134〜LZSTC136およびLZSTC138で構成される従動油圧シリンダーの手動同期昇降制御ユニットと、機能ブロックのLZSTC110〜LZSTC115、LZSTC131〜LZSTC133、LZSTC137およびLZSTC138で構成される従動油圧シリンダーの位置自動保持制御ユニットと、機能ブロックのLZSTC139〜LZSTC142、LZSTC146で構成される従動油圧シリンダーの昇降速度閉ループ制御ユニットと、を含んでおり、駆動油圧シリンダーと従動油圧シリンダーの同期上昇または下降移動を実現するために、前記連続鋳造用タンディッシュ昇降用油圧シリンダーの同期制御システムに基づく連続鋳造用タンディッシュ昇降用油圧シリンダーの同期制御方法は、連続鋳造用タンディッシュ昇降用駆動油圧シリンダーの同期制御方法および連続鋳造用タンディッシュ昇降用従動油圧シリンダーの同期制御方法を含むことを特徴とする。
【0006】
そのうち、前記連続鋳造用タンディッシュ昇降用駆動油圧シリンダーの同期制御方法は、以下のステップを含む。
【0007】
すなわち、A1、連続鋳造用タンディッシュが下降移動する時、駆動油圧シリンダーの同期位置偏差オーバーラン制御ユニットは、駆動油圧シリンダーの位置値と各従動油圧シリンダーの位置値との差の最小値ΔSms.b.minを取得し、ΔSms.b.minの数値(値)が設定された最大許容位置偏差の負の値以下である場合、駆動油圧シリンダーは、駆動油圧シリンダーと最も遅く下降する従動油圧シリンダーとの間の位置偏差値が設定された最大許容位置偏差の負の値より大きくなるまで下降を停止し、連続鋳造用タンディッシュの上昇移動中に、駆動油圧シリンダーの同期位置偏差オーバーラン制御ユニットは、駆動油圧シリンダーの実位置値と各従動油圧シリンダーの実位置値との差の最大値ΔSms.f.maxを取得し、ΔSms.f.maxの数値が設定された最大許容位置偏差の正の値以上である場合、駆動油圧シリンダーは、駆動油圧シリンダーと最も遅く上昇する従動油圧シリンダーとの間の位置偏差値が設定された最大許容位置偏差の正の値より小さくなるまで上昇を停止し、
A2、連続鋳造用タンディッシュの上昇または下降移動中に、駆動油圧シリンダーの同期位置偏差値ΔSmsが設定された範囲を超えた場合、駆動油圧シリンダーの同期位置偏差速度補正ユニットは、駆動・従動油圧シリンダーの間の位置偏差値ΔSmsが再び設定範囲内になるまで、駆動油圧シリンダーの移動速度を補正し、
駆動油圧シリンダーの同期位置偏差速度補正ユニットは、駆動油圧シリンダーの速度補正サブユニットおよび駆動油圧シリンダーの同期偏差高速補正サブユニットを含み、
連続鋳造用タンディッシュが下降移動する時、駆動油圧シリンダーの同期位置偏差値ΔSmsが第1の設定範囲を超えた場合、駆動油圧シリンダーの速度補正サブユニットは、駆動油圧シリンダーの同期位置偏差値ΔSmsを反転してから駆動油圧シリンダーの下降同期位置偏差速度補正係数を掛けたもの、を駆動油圧シリンダーの速度補正値とし、連続鋳造用タンディッシュが上昇移動する時、駆動油圧シリンダーの同期位置偏差値ΔSmsが第1の設定範囲を超えた場合、駆動油圧シリンダーの速度補正サブユニットは、駆動油圧シリンダーの同期位置偏差値ΔSmsを反転してから駆動油圧シリンダー上昇同期位置偏差速度補正係数を掛けたもの、を駆動油圧シリンダーの速度補正値とし、
連続鋳造用タンディッシュが下降または上昇移動する時、駆動油圧シリンダーの同期位置偏差値ΔSmsが第2の設定範囲を超えた場合、駆動油圧シリンダーの同期偏差高速補正サブユニットは、駆動油圧シリンダーの同期位置偏差値ΔSmsと反対方向の駆動油圧シリンダーの同期位置偏差速度補正値を駆動油圧シリンダーの速度補正値とし、
A3、連続鋳造用タンディッシュの昇降用油圧制御システムにおいて、タンディッシュ昇降用駆動またはいずれかの従動油圧シリンダーの変位センサの故障、油圧システムの故障、連続鋳造用タンディッシュの昇降作動禁止および緊急停止が発生する場合、駆動・従動油圧シリンダーの故障割り込み制御ユニットは、駆動/従動油圧シリンダーの昇降速度閉ループ制御ユニットの出力を閉鎖するように制御し、駆動・従動油圧シリンダー比例弁の制御電圧を常にゼロにし、つまり、駆動・従動油圧シリンダーの昇降制御が閉鎖されるようになり、
A4、連続鋳造用タンディッシュの昇降用油圧制御システムがタンディッシュ昇降手動連動モードまたはタンディッシュ昇降手動/自動連動モードにある場合、連続鋳造用タンディッシュの手動下降指示が出される間に、駆動油圧シリンダーの同期位置偏差値ΔSmsが設定された最大許容位置偏差の負の値より大きく、且つ駆動油圧シリンダーが下降終端位置に位置しない場合、駆動油圧シリンダーの手動同期昇降制御ユニットは、駆動・従動油圧シリンダーの手動下降速度設定値を駆動油圧シリンダーの昇降速度閉ループ制御ユニットに出力するとともに、駆動油圧シリンダーの昇降速度閉ループ制御ユニットを解放状態にし、駆動油圧シリンダーと最も遅く下降する従動油圧シリンダーとの間の位置偏差が設定範囲を超えた場合、駆動油圧シリンダーと最も遅く下降する従動油圧シリンダーとの間の位置偏差は駆動油圧シリンダーの同期位置偏差速度補正ユニットによって補正され、駆動油圧シリンダーと最も遅く下降する従動油圧シリンダーとの間の位置偏差が設定された最大許容位置偏差の負の値以下である場合、駆動油圧シリンダーは、両者の位置偏差値が再び設定された最大許容位置偏差の負の値より大きくなるまで下降移動を停止し、連続鋳造用タンディッシュの手動上昇指示が出される間に、駆動油圧シリンダーの同期位置偏差値ΔSmsが設定された最大許容位置偏差の正の値より小さく、且つ駆動油圧シリンダーが上昇終端位置に位置しない場合、駆動油圧シリンダーの手動同期昇降制御ユニットは、駆動・従動油圧シリンダーの手動上昇速度設定値を駆動油圧シリンダーの昇降速度閉ループ制御ユニットに出力するとともに、駆動油圧シリンダーの昇降速度閉ループ制御ユニットを解放状態にし、駆動油圧シリンダーと最も遅く上昇する従動油圧シリンダーとの間の位置偏差が設定範囲を超えた場合、駆動油圧シリンダーと最も遅く上昇する従動油圧シリンダーとの間の位置偏差は駆動油圧シリンダーの同期位置偏差速度補正ユニットによって補正され、駆動油圧シリンダーと最も遅く上昇する従動油圧シリンダーとの間の位置偏差が設定された最大許容位置偏差の正の値以上である場合、駆動油圧シリンダーは、両者の位置偏差値が再び設定された最大許容位置偏差の正の値より小さくなるまで上昇移動を停止し、
A5、連続鋳造用タンディッシュの手動昇降指示の終了時に、連続鋳造用タンディッシュの手動昇降指示の終了後に駆動・従動油圧シリンダーの位置保持値SZWBZと駆動油圧シリンダーの実位置値との差が設定された位置偏差の正の許容値より大きい場合、駆動油圧シリンダーの位置レギュレーターおよび駆動油圧シリンダーの昇降速度閉ループ制御ユニットは解放状態にあり、駆動油圧シリンダーの位置レギュレーターは、駆動・従動油圧シリンダーの位置保持値SZWBZと駆動油圧シリンダーの実位置値との間の差分を小さくするために、駆動・従動油圧シリンダーの位置保持値SZWBZと駆動油圧シリンダーの実位置値との間の差が設定された位置偏差の正の許容値以下になるまで、対応する駆動油圧シリンダーの位置補正速度基準値を出力し、連続鋳造用タンディッシュの手動昇降指示の終了後に駆動・従動油圧シリンダーの位置保持値SZWBZと駆動油圧シリンダーの実位置値との差が設定された位置偏差の負の許容値より小さい場合、駆動油圧シリンダーの位置レギュレーターおよび駆動油圧シリンダーの昇降速度閉ループ制御ユニットは解放状態にあり、駆動油圧シリンダーの位置レギュレーターは、駆動・従動油圧シリンダーの位置保持値SZWBZと駆動油圧シリンダーの実位置値との間の差分を大きくするために、駆動・従動油圧シリンダーの位置保持値SZWBZと駆動油圧シリンダーの実位置値との差が設定された位置偏差の負の許容値以上になるまで、対応する駆動油圧シリンダーの位置補正速度基準値を出力し、
A6、駆動・従動油圧シリンダーに割り込み故障がない場合、駆動油圧シリンダーの手動同期昇降制御ユニットまたは駆動油圧シリンダーの位置自動保持制御ユニットから駆動油圧シリンダーの昇降速度制御ユニットの解放信号が送信されると、駆動油圧シリンダーの昇降速度閉ループ制御サブユニットは、駆動油圧シリンダーが所望の位置に到達し且つ許容された位置偏差範囲内になった後に、その手動同期昇降制御ユニットまたは駆動油圧シリンダーの位置自動保持ユニットから送信された駆動油圧シリンダーの昇降速度制御ユニットのイネーブル信号が閉鎖されるまで、入力された速度設定を対応する駆動油圧シリンダーの比例制御弁の制御電圧に変換して出力する。
【0008】
そして、前記連続鋳造用タンディッシュ昇降用従動油圧シリンダーの制御方法は、以下のステップを含む。
【0009】
すなわち、B1、連続鋳造用タンディッシュが下降移動する時、従動油圧シリンダーの同期位置偏差オーバーラン制御ユニットは、各従動油圧シリンダーの位置値と駆動油圧シリンダーの位置値との差ΔSsnmを取得し、ΔSsnmの数値が設定された最大許容位置偏差の負の値以下である場合、従動油圧シリンダーは、従動油圧シリンダーの同期位置偏差値ΔSsnmが設定された最大許容位置偏差の負の値より大きくなるまで下降を停止し、
連続鋳造用タンディッシュの上昇移動中に、従動油圧シリンダーの同期位置偏差オーバーラン制御ユニットは、各従動油圧シリンダーの位置値と駆動油圧シリンダーの位置値との差ΔSsnmを取得し、ΔSsnmの数値が設定された最大許容位置偏差の正の値以上である場合、従動油圧シリンダーは、従動油圧シリンダーの同期位置偏差値ΔSsnmが設定された最大許容位置偏差の正の値より小さくなるまで上昇を停止し、
B2、連続鋳造用タンディッシュの上昇または下降移動中に、従動油圧シリンダーの同期位置偏差値ΔSsnmが設定された範囲を超えた場合、従動油圧シリンダーの同期位置偏差速度補正ユニットは、従動油圧シリンダーと駆動油圧シリンダーとの間の位置偏差値ΔSsnmが再び設定範囲内になるまで、従動油圧シリンダーの移動速度を補正し、
従動油圧シリンダーの同期位置偏差速度補正ユニットは、従動油圧シリンダーの速度補正サブユニットおよび従動油圧シリンダーの同期偏差高速補正サブユニットを含み、
連続鋳造用タンディッシュが下降移動する時、従動油圧シリンダーの同期位置偏差値ΔSsnmが第1の設定範囲を超えた場合、従動油圧シリンダーの速度補正サブユニットは、従動油圧シリンダーの同期位置偏差値ΔSsnmを反転してから従動油圧シリンダーの下降同期位置偏差速度補正係数を掛けたもの、を従動油圧シリンダーの速度補正値とし、連続鋳造用タンディッシュが上昇移動する時、従動油圧シリンダーの同期位置偏差値ΔSsnmが第1の設定範囲を超えた場合、従動油圧シリンダーの速度補正サブユニットは、従動油圧シリンダーの同期位置偏差値ΔSsnmを反転してから従動油圧シリンダーの上昇同期位置偏差速度補正係数を掛けたものを、従動油圧シリンダーの速度補正値とし、
連続鋳造用タンディッシュが上昇または下降移動する時、従動油圧シリンダーの同期位置偏差値ΔSsnmが第2の設定範囲を超えた場合、従動油圧シリンダーの同期偏差高速補正サブユニットは、従動油圧シリンダーの同期位置偏差値ΔSsnmと反対方向の従動油圧シリンダーの同期位置偏差速度補正値を従動油圧シリンダーの速度補正値とし、
B3、連続鋳造用タンディッシュの昇降用油圧制御システムがタンディッシュ昇降手動連動モードまたはタンディッシュ昇降手動/自動連動モードにある場合、連続鋳造用タンディッシュの手動下降指示が出される間に、従動油圧シリンダーの同期位置偏差値ΔSsnmが設定された最大許容位置偏差の負の値より大きく、且つ駆動油圧シリンダーが下降終端位置に位置しない場合、従動油圧シリンダーの手動同期昇降制御ユニットは、駆動・従動油圧シリンダーの手動下降速度設定値を従動油圧シリンダーの昇降速度閉ループ制御ユニットに出力するとともに、従動油圧シリンダーの昇降速度閉ループ制御ユニットを解放状態にし、従動油圧シリンダーの同期位置偏差値ΔSsnmが設定範囲を超えた場合、従動油圧シリンダーの同期位置偏差値ΔSsnmは駆動油圧シリンダーの同期位置偏差速度補正ユニットによって補正され、従動油圧シリンダーの同期位置偏差値ΔSsnmが設定された最大許容位置偏差の負の値以下である場合、従動油圧シリンダーは、両者の位置偏差値が再び設定された最大許容位置偏差の負の値より大きくなるまで下降移動を停止し、また、連続鋳造用タンディッシュの手動上昇指示が出される間に、従動油圧シリンダーの同期位置偏差値ΔSsnmが設定された最大許容位置偏差の正の値より小さく、且つ駆動油圧シリンダーが上昇終端位置に位置しない場合、従動油圧シリンダーの手動同期昇降制御ユニットは、駆動・従動油圧シリンダーの手動上昇速度設定値を従動油圧シリンダーの昇降速度閉ループ制御ユニットに出力するとともに、従動油圧シリンダーの昇降速度閉ループ制御ユニットを解放状態にし、従動油圧シリンダーの同期位置偏差値ΔSsnmが設定範囲を超えた場合、従動油圧シリンダーの同期位置偏差値ΔSsnmは従動油圧シリンダーの同期位置偏差速度補正ユニットによって補正され、従動油圧シリンダーの同期位置偏差値ΔSsnmが設定された最大許容位置偏差の正の値以上である場合、従動油圧シリンダーは、両者の位置偏差値が再び設定された最大許容位置偏差の正の値より小さくなるまで上昇移動を停止し、
B4、連続鋳造用タンディッシュの手動昇降指示の終了時に、連続鋳造用タンディッシュの手動昇降指示の終了後に駆動・従動油圧シリンダーの位置保持値SZWBZと従動油圧シリンダーの実位置値との差が設定された位置偏差の正の許容値より大きい場合、従動油圧シリンダーの位置レギュレーターおよび従動油圧シリンダーの昇降速度閉ループ制御ユニットは解放状態にあり、従動油圧シリンダーの位置レギュレーターは、駆動・従動油圧シリンダーの位置保持値SZWBZと従動油圧シリンダーの実位置値との間の差分を小さくするために、駆動・従動油圧シリンダーの位置保持値SZWBZと従動油圧シリンダーの実位置値との間の差が設定された位置偏差の正の許容値以下になるまで、対応する従動油圧シリンダーの位置補正速度基準値を出力し、連続鋳造用タンディッシュの手動昇降指示の終了後に駆動・従動油圧シリンダーの位置保持値SZWBZと従動油圧シリンダーの実位置値との差が設定された位置偏差の負の許容値より小さい場合、従動油圧シリンダーの位置レギュレーターおよび従動油圧シリンダーの昇降速度閉ループ制御ユニットは解放状態にあり、従動油圧シリンダーの位置レギュレーターは、駆動・従動油圧シリンダーの位置保持値SZWBZと従動油圧シリンダーの実位置値との間の差分を大きくするために、駆動・従動油圧シリンダーの位置保持値SZWBZと従動油圧シリンダーの実位置値との差が設定された位置偏差の負の許容値以上になるまで、対応する従動油圧シリンダーの位置補正速度基準値を出力し、
B5、駆動・従動油圧シリンダーに割り込み故障がない場合、従動油圧シリンダーの手動同期昇降制御ユニットまたは従動油圧シリンダーの位置自動保持制御ユニットから従動油圧シリンダー昇降速度制御ユニットの解放信号が送信されると、従動油圧シリンダーの昇降速度閉ループ制御サブユニットは、従動油圧シリンダーが所望の位置に到達し且つ許容された位置偏差範囲内になった後に、その従動油圧シリンダーの手動同期昇降制御ユニットまたは従動油圧シリンダーの位置自動保持ユニットから送信された従動油圧シリンダーの昇降速度制御ユニットのイネーブル信号が閉鎖されるまで、入力された速度設定を対応する従動油圧シリンダーの比例制御弁の制御電圧に変換して出力する。
【0010】
本発明は、実施例における連続鋳造用タンディッシュ昇降用油圧シリンダー同期制御方法であって、駆動油圧シリンダーの同期位置偏差速度補正ユニットおよび従動油圧シリンダーの同期位置偏差速度補正ユニットによって設定範囲を超えた駆動・従動油圧シリンダーの間の位置偏差をリアルタイムで補正し、両者の間の偏差が設定された最大許容位置偏差を超えるように増加し続ける場合、駆動油圧シリンダーの同期位置偏差オーバーラン制御ユニットおよび従動油圧シリンダーの同期位置偏差オーバーラン制御ユニットによって、両者の位置偏差が再び設定された最大許容位置偏差より小さくなるまで、移動速度が速い駆動油圧シリンダーまたは従動油圧シリンダーの移動を停止するように制御し、さらに、駆動油圧シリンダーの位置自動保持制御ユニットおよび従動油圧シリンダーの位置自動保持制御ユニットによって、手動指示なしで駆動・従動油圧シリンダーが位置ずれることを回避し、従って、この連続鋳造用タンディッシュ昇降用油圧シリンダー同期制御方法は、連続鋳造用タンディッシュ昇降用油圧シリンダーの同期移動を実現できるだけでなく、さらに連続鋳造用タンディッシュ昇降用油圧シリンダーが動作中に高い耐故障性も備え、油圧シリンダーにリークが発生し、油圧部品の製造精度にバラツキがあり、負荷が不均一な場合には、いずれも連続鋳造用タンディッシュ昇降用油圧シリンダーの同期移動を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施例による連続鋳造用タンディッシュ昇降機構の油圧システム図である。
図2】本発明の実施例による連続鋳造用タンディッシュ昇降用駆動油圧シリンダーの同期制御サブシステムの構造模式図である。
図3】本発明の実施例による連続鋳造用タンディッシュ昇降用従動油圧シリンダーの同期制御サブシステムの構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の目的、技術的解決手段および利点をより明らかにするために、以下、図面および実施例と組み合わせて、本発明をさらに詳細に説明する。ここで記載されている具体的な実施例は、本発明を解釈するためのものに過ぎず、本発明を限定するものではないと理解すべきである。
【0013】
図1は本発明の実施例による連続鋳造用タンディッシュ昇降機構の油圧システム図であり、図2は本発明の実施例による連続鋳造用タンディッシュ昇降用駆動油圧シリンダーの同期制御サブシステムの構造模式図であり、図3は本発明の実施例による連続鋳造用タンディッシュ昇降用従動油圧シリンダーの同期制御サブシステムの構造模式図であり、説明を簡単にするために、本発明の実施例に関連する部分のみ示されている。
【0014】
図2および図3において、SUBは減算器であり、NSWは「デジタル量入力切換えスイッチ」の機能ブロックであり、I=「1」の場合、Y=X2、I=「0」の場合、Y=X1、NCMは「数値比較」の機能ブロックであり、X1>X2の場合、QUは「1」であり、X1=X2の場合、QEは「1」であり、X1<X2の場合、QLは「1」であり、RSRは「リセット端Rを優先とするRSトリガー」の機能ブロックであり、Sが「1」で、Rが「0」の場合、Qは「1」で、QNは「0」であり、Sが「1」で、Rが「1」の場合、Qは「0」で、QNは「1」であり、Sが「0」で、Rが「0」の場合、QおよびQNはそのまま維持し、Sが「0」で、Rが「1」の場合、Qは「0」で、QNは「1」であり、RGJは「インテグレータ」の機能ブロックであり、PICはPIコントローラの機能ブロックであり、ADDは加算器であり、ORは「オア」ゲートであり、ANDは「アンド」ゲートであり、NOTは「ノット」ゲートであり、SZWBZは連続鋳造用タンディッシュ昇降用駆動・従動油圧シリンダーの位置保持値であり、Sm.actは駆動油圧シリンダーの実位置値であり、Ss1.act、Ss2.actおよびSs3.actはそれぞれ連続鋳造用タンディッシュ昇降の第1、第2および第3の従動油圧シリンダーの実位置値であり、ΔSms.b.minは連続鋳造用タンディッシュの下降移動時における駆動油圧シリンダーの実位置値と各従動油圧シリンダーの実位置値との差の最小値(つまり、連続鋳造用タンディッシュの下降移動時における駆動油圧シリンダーと最も遅く下降する従動油圧シリンダーとの間の位置偏差値)であり、
ΔSms.f.maxは連続鋳造用タンディッシュの上昇移動時における駆動油圧シリンダーの実位置値と各従動油圧シリンダーの実位置値との差の最大値(つまり、連続鋳造用タンディッシュの上昇移動時における駆動油圧シリンダーと最も遅く上昇する従動油圧シリンダーとの間の位置偏差値)であり、ΔSmsは駆動油圧シリンダーの同期位置偏差値(つまり、駆動油圧シリンダーと最も遅く昇降する従動油圧シリンダーとの間の位置偏差値)であり、ΔSsnmは従動油圧シリンダー(Sn)同期位置偏差値(つまり、従動油圧シリンダーと駆動油圧シリンダーとの間の位置偏差値)である。
【0015】
このような連続鋳造用タンディッシュ昇降用駆動・従動油圧シリンダーの同期制御システムは、図2および3に示すように、いずれも駆動・従動油圧シリンダーの下降終端位置値を0mmとし、駆動・従動油圧シリンダーの位置保持値および実位置値を正の値またはゼロにする。
【0016】
この連続鋳造用タンディッシュ昇降用油圧シリンダー同期制御システムは、連続鋳造用タンディッシュ昇降用駆動油圧シリンダーの同期制御サブシステム、および連続鋳造用タンディッシュ昇降用従動油圧シリンダーの同期制御サブシステムを含み、この連続鋳造用タンディッシュ昇降用駆動油圧シリンダーの同期制御サブシステムは主に、6つの制御ユニット、つまり、機能ブロックのLZSTC01〜LZSTC11およびLZSTC24〜LZSTC26で構成される駆動油圧シリンダーの同期位置偏差オーバーラン制御ユニットと、機能ブロックのLZSTC19〜LZSTC23およびLZSTC51〜LZSTC60で構成される駆動油圧シリンダーの同期位置偏差速度補正ユニットと、機能ブロックのLZSTC12〜LZSTC15、LZSTC27〜LZSTC30、LZSTC34〜LZSTC38およびLZSTC43で構成される駆動油圧シリンダーの手動同期昇降制御ユニットと、機能ブロックのLZSTC16〜LZSTC18、LZSTC31〜LZSTC33、LZSTC39〜LZSTC43およびLZSTC48〜LZSTC50で構成される駆動油圧シリンダーの位置自動保持制御ユニットと、機能ブロックのLZSTC44〜LZSTC46で構成される駆動・従動油圧シリンダーの故障割り込み制御ユニットと、機能ブロックのLZSTC47、LZSTC61〜LZSTC63およびLZSTC67で構成される駆動油圧シリンダーの昇降速度閉ループ制御ユニットと、によって構成される。
【0017】
駆動油圧シリンダーと従動油圧シリンダーの同期上昇または下降移動を実現するために、この連続鋳造用タンディッシュ昇降用油圧シリンダーの同期制御システムに基づく連続鋳造用タンディッシュ昇降用油圧シリンダーの同期制御方法は、連続鋳造用タンディッシュ昇降用駆動油圧シリンダーの同期制御方法および連続鋳造用タンディッシュ昇降用従動油圧シリンダーの同期制御方法を含み、そのうち、連続鋳造用タンディッシュ昇降用駆動油圧シリンダーの同期制御方法は、以下のステップを含む。
【0018】
すなわち、A1、駆動・従動油圧シリンダーの上昇または下降移動中に、上昇移動している間に駆動油圧シリンダーは所望の移動方向に最も遅く移動する従動油圧シリンダーとの位置偏差が設定された最大許容位置偏差の正の値(例えば、6ミリメートル)以上である場合、または下降移動している間に駆動油圧シリンダーは所望の移動方向に最も遅く移動する従動油圧シリンダーとの位置偏差が設定された最大許容位置偏差値(例えば、−6ミリメートル)以下である場合、駆動油圧シリンダーを、両者の位置偏差が再び設定された最大許容位置偏差内になるまで移動を停止するように制御し、その後、駆動油圧シリンダーは、設定された加速度で設定速度までに加速し且つ所望の方向に移動し続け、これにより、駆動油圧シリンダーの所望の移動方向における最も遅く移動する従動油圧シリンダーとの位置偏差を最大許容位置偏差範囲内に制御する。これに基づき、駆動油圧シリンダーの同期制御サブシステムには、駆動油圧シリンダーの同期位置偏差オーバーラン制御ユニットが設計されている。このユニットでは、機能ブロックのLZSTC01〜LZSTC07によって、連続鋳造用タンディッシュの下降移動時における駆動油圧シリンダーの位置値と各従動油圧シリンダーの位置値との差の最小値(つまり、ΔSms.b.min)が取得され、機能ブロックのLZSTC01〜LZSTC03およびLZSTC08〜LZSTC11によって、連続鋳造用タンディッシュの上昇移動時における駆動油圧シリンダーの実位置値と各従動油圧シリンダーの実位置値との差の最大値(つまり、ΔSms.f.max)が取得される。このように、連続鋳造用タンディッシュが下降移動する時、ΔSms.b.minの数値が設定された最大許容位置偏差の負の値(例えば、−6ミリメートル)以下である場合、機能ブロックのLZSTC26の出力端子QUは、「1」状態から「0」状態に変わり、駆動油圧シリンダーを、駆動油圧シリンダーと最も遅く下降する従動油圧シリンダーとの間の位置偏差値が設定された最大許容位置偏差の負の値(例えば、−6ミリメートル、つまり、駆動油圧シリンダーと最も遅く下降する従動油圧シリンダーとの間の位置偏差が6ミリメートルより小さい)より大きくなるまで下降を停止するようにし、連続鋳造用タンディッシュが上昇移動する時、ΔSms.f.maxの数値が設定された最大許容位置偏差の正の値(例えば、6ミリメートル)以上である場合、機能ブロックのLZSTC25の出力端子QLは、「1」状態から「0」状態に変わり、駆動油圧シリンダーを、駆動油圧シリンダーと最も遅く上昇する従動油圧シリンダーとの間の位置偏差値が設定された最大許容位置偏差の正の値(例えば、6ミリメートル)より小さくなるまで上昇を停止するようにする。
【0019】
A2、駆動油圧シリンダーが従動油圧シリンダーとの同期移動中に最大許容位置偏差を超える位置偏差により頻繁に緊急停止すれば、駆動油圧シリンダーは、同期移動中に位置振動が発生しやすく、且つ従動油圧シリンダーの位置振動を引き起こすようになる。そのため、連続鋳造用タンディッシュ昇降用駆動油圧シリンダーの同期制御サブシステムには、駆動油圧シリンダーの同期位置偏差オーバーラン制御ユニットだけでなく、駆動油圧シリンダーの同期位置偏差速度補正ユニットも設計されている。駆動・従動油圧シリンダーの同期移動中に、一旦駆動油圧シリンダーの同期位置偏差値ΔSmsが設定された範囲を超えると、この駆動油圧シリンダーの同期位置偏差速度補正ユニットは、駆動・従動油圧シリンダーの間の位置偏差値が再び設定範囲内になるまで、駆動油圧シリンダーの移動速度をリアルタイムで補正し、これにより、駆動油圧シリンダーの位置偏差値ΔSmsが最大許容位置偏差に達するか、それを超える確率が大幅に低減される。この駆動油圧シリンダーの同期位置偏差速度補正ユニットは、2つのサブユニット、つまり、機能ブロックのLZSTC19〜LZSTC23およびLZSTC51〜LZSTC56で構成される駆動油圧シリンダーの同期位置偏差値ΔSmsの反転値に比例する駆動油圧シリンダーの速度補正サブユニットと、機能ブロックのLZSTC57〜LZSTC60で構成される駆動油圧シリンダーの同期偏差高速補正サブユニットと、によって構成される。駆動油圧シリンダーの同期位置偏差値ΔSmsの反転値に比例する駆動油圧シリンダーの速度補正サブユニットについて、このサブユニットにおける機能ブロックのLZSTC56の入力端子X2は、駆動油圧シリンダーの同期位置偏差値ΔSmsを反転してから設定係数(この設定係数は、駆動油圧シリンダーの同期位置偏差速度補正係数とも呼ばれる)を掛けたものに等しい。連続鋳造用タンディッシュの昇降速度の大きな差異(一般的には、上昇速度は下降速度の約2倍である)を考慮すれば、この場合、駆動油圧シリンダーの昇降同期位置偏差をすべて設定された許容範囲内に制御するために、駆動油圧シリンダーの昇降同期制御に対して、異なる同期位置偏差速度補正係数、つまり、駆動油圧シリンダーの上昇同期位置偏差速度補正係数および駆動油圧シリンダーの下降同期位置偏差速度補正係数を採用する。そのため、油圧シリンダーの同期位置偏差値ΔSmsの反転値に比例する駆動油圧シリンダーの速度補正サブユニットには、機能ブロックのLZSTC19〜LZSTC23およびLZSTC54で構成される駆動油圧シリンダーの同期位置偏差速度補正係数選択部分が設けられている。駆動油圧シリンダーが上昇移動する時、この部分における機能ブロックのLZSTC23の出力端子Qは「1」状態になり、こうして、この部分における「デジタル量入力切換えスイッチ」の機能ブロックLZSTC54の制御端子Iも「1」状態になり、よって、駆動油圧シリンダーの同期位置偏差速度補正係数を駆動油圧シリンダーの上昇同期位置偏差速度補正係数(例えば、20)とし、駆動油圧シリンダーが下降または停止移動する時、この部分における機能ブロックのLZSTC23の出力端子Qは「0」状態になり、こうして、この部分における「デジタル量入力切換えスイッチ」の機能ブロックLZSTC54の制御端子Iも「0」状態になり、よって、駆動油圧シリンダーの同期位置偏差速度補正係数を駆動油圧シリンダーの下降同期位置偏差速度補正係数(例えば、10)とする。こうして、駆動油圧シリンダーの同期位置偏差値ΔSmsが第1の設定範囲(例えば、±0.5ミリメートル)を超えた場合、機能ブロックLZSTC56の制御端I端は、「0」状態から「1」状態に変わり、機能ブロックLZSTC56の出力端子Yの出力値をその入力端子X2の入力値に等しくし、これにより、このサブユニットは、駆動油圧シリンダーの同期位置偏差値ΔSmsの反転値に比例する速度補正値を出力し、この部分の速度補正値によって、駆動油圧シリンダーの位置偏差値ΔSmsが再び第1の設定範囲(例えば、±0.5ミリメートル)になるまで、駆動油圧シリンダーと最も遅く移動する従動油圧シリンダーとの間の同期位置偏差を徐々に小さくする。連続鋳造用タンディッシュが下降または上昇移動する時、駆動油圧シリンダーの同期位置偏差値ΔSmsが第2の設定範囲を超えた場合、駆動油圧シリンダーの同期偏差高速補正サブユニットは、駆動油圧シリンダーの同期位置偏差値ΔSmsと反対方向の駆動油圧シリンダーの同期位置偏差速度補正値を駆動油圧シリンダーの速度補正値とし、つまり、駆動油圧シリンダーの同期位置偏差値ΔSmsが正の値で、且つ第2の設定範囲に設けられた正端値(例えば、2ミリメートル)より大きい場合、この駆動油圧シリンダーの同期位置偏差高速補正サブユニットにおける機能ブロックLZSTC58の制御端子のI端は「0」状態から「1」状態に変わり、この機能ブロックLZSTC58の出力端子Yの出力値をその入力端子X2の入力値(例えば、−2V)に等しくし、この部分の速度補正値によって、駆動油圧シリンダーの位置偏差値ΔSmsが第2の設定範囲に設けられた正端値(例えば、2ミリメートル)より小さくなるまで、駆動油圧シリンダーの同期位置偏差値ΔSms(>0)を迅速に小さくし、駆動油圧シリンダーの同期位置偏差値ΔSmsが負の値で、且つ第2の設定範囲における負端値(例えば、−2ミリメートル)より小さい場合、この駆動油圧シリンダーの同期位置偏差高速補正サブユニットにおける機能ブロックLZSTC60の制御端子のI端は「0」状態から「1」状態に変わり、この機能ブロックLZSTC60の出力端子Yの出力値をその入力端子X2の入力値(例えば、2V)に等しくし、この部分の速度補正値によって、駆動油圧シリンダーの位置偏差値ΔSmsが第2の設定範囲における負端値(例えば、−2ミリメートル)より大きくなるまで、駆動油圧シリンダーの同期位置偏差値ΔSms(<0)を迅速に大きくする。上記から分かるように、この駆動油圧シリンダーの同期位置偏差速度補正ユニットによって、駆動油圧シリンダーの速度を同期位置偏差のオーバーラン(例えば、±6ミリメートル)の前にリアルタイムで補正することができ、これにより駆動油圧シリンダーは、同期移動中に最も遅く昇降する従動油圧シリンダーとの位置偏差が設定された最大許容位置偏差値を超えることによって緊急停止することが回避される。
【0020】
A3、連続鋳造用タンディッシュ昇降用油圧制御システムの故障状態でのタンディッシュ昇降作動を防止するために、駆動油圧シリンダーの同期制御サブシステムには、駆動・従動油圧シリンダー昇降故障割り込み制御ユニットが設定されている。連続鋳造用タンディッシュ昇降用油圧制御システムにおいて、タンディッシュ昇降用駆動またはいずれかの従動油圧シリンダーの変位センサの故障、油圧システムの故障、連続鋳造用タンディッシュの昇降作動禁止および緊急停止が発生する場合、このユニットにおける機能ブロックLZSTC46の出力端子Qは「1」状態から「0」状態に変わり、駆動・従動油圧シリンダーの昇降速度制御ユニットの出力を閉鎖し、駆動・従動油圧シリンダーの比例弁の制御電圧を常にゼロにし、つまり、駆動・従動油圧シリンダーの昇降制御が閉鎖されるようになる。
【0021】
A4、駆動油圧シリンダーの手動同期昇降制御ユニットについて、連続鋳造用タンディッシュ昇降用油圧制御システムがタンディッシュ昇降手動連動モードまたはタンディッシュ昇降手動/自動連動モードにある場合、連続鋳造用タンディッシュの手動下降指示が出される間に、このユニットにおける機能ブロックLZSTC14の出力端子Y(つまり、図2中のA点)の数値は、駆動油圧シリンダー下降速度設定値(例えば、−2V)に等しくなり、機能ブロックLZSTC15の出力端子QLは「1」状態になり、これにより、駆動油圧シリンダーと最も遅く下降する従動油圧シリンダーとの間の位置偏差値(即ΔSms.b.min)が設定された最大許容位置偏差の負の値(例えば、−6ミリメートル)より大きく、且つ駆動油圧シリンダーが下降終端位置に位置しなければ、この駆動油圧シリンダーの手動同期昇降制御ユニットにおける機能ブロックのLZSTC30、LZSTC37およびLZSTC43の出力端子Qは「1」状態になり、こうして、機能ブロックLZSTC38の出力端子Yの数値は機能ブロックLZSTC14の出力端子Yから出力された数値(つまり、駆動・従動油圧シリンダーの下降速度設定値(例えば、−2V))に等しくなり、この駆動油圧シリンダーの手動同期昇降制御ユニットは、駆動・従動油圧シリンダーの手動下降速度設定値を駆動油圧シリンダーの昇降速度閉ループ制御ユニットに出力し、また、このユニットは、機能ブロックLZSTC43の出力端子Qが「1」状態であることで、駆動油圧シリンダーの昇降速度閉ループ制御ユニットを解放状態にする。連続鋳造用タンディッシュの下降中に、駆動油圧シリンダーと最も遅く下降する従動油圧シリンダーとの間の位置偏差値は、駆動油圧シリンダーの同期偏差速度補正ユニットによって補正され、両者の位置偏差値が設定された最大許容位置偏差の負の値(例えば、−6ミリメートル)以下であれば、駆動油圧シリンダーは、両者の位置偏差値が再び設定された最大許容位置偏差の負の値(例えば、−6ミリメートル)より大きくなるまで下降移動を停止する。連続鋳造用タンディッシュの手動上昇指示が出される間に、このユニットにおける機能ブロックLZSTC14の出力端子Y(つまり、図2中のA点)の数値は駆動・従動油圧シリンダーの上昇速度設定値(例えば、4V)に等しくなり、機能ブロックLZSTC15の出力端子QUは「1」状態になり、こうして、駆動油圧シリンダーと最も遅く上昇する従動油圧シリンダーとの間の位置偏差値(つまり、ΔSms.f.max)が設定された最大許容位置偏差の正の値(例えば、6ミリメートル)より小さく、且つ駆動油圧シリンダーが上昇終端位置に位置しなければ、この駆動油圧シリンダーの手動同期昇降制御ユニットにおける機能ブロックのLZSTC29、LZSTC37およびLZSTC43の出力端子Qは「1」状態になり、こうして、機能ブロックLZSTC38の出力端子Yの数値は機能ブロックのLZSTC14の出力端子Yから出力された数値(つまり、駆動・従動油圧シリンダーの上昇速度設定値(例えば、4V))に等しくなり、この駆動油圧シリンダーの手動同期昇降制御ユニットは、駆動・従動油圧シリンダーの手動上昇速度設定値を駆動油圧シリンダーの昇降速度閉ループ制御ユニットに出力し、また、このユニットは、機能ブロックのLZSTC43の出力端子Qが「1」状態であることで、駆動油圧シリンダーの昇降速度閉ループ制御ユニットを解放状態にする。連続鋳造用タンディッシュの上昇中に、駆動油圧シリンダーと最も遅く上昇する従動油圧シリンダーとの間の位置偏差値は、駆動油圧シリンダーの同期偏差速度補正ユニットによって補正され、両者の位置偏差値が設定された最大許容位置偏差の正の値(例えば、6ミリメートル)以上であれば、駆動油圧シリンダーは、両者の位置偏差値が再び設定された最大許容位置偏差の正の値(例えば、6ミリメートル)より小さくなるまで上昇移動を停止する。
【0022】
A5、連続鋳造用タンディッシュが所望の作動位置に上昇または下降した後に、作業者は、連続鋳造用タンディッシュの手動昇降指示を終了すると、駆動・従動油圧シリンダーの昇降制御比例弁はいずれも中間位置セルフロック状態にあり、この場合、駆動油圧シリンダーにある程度の内部リークがあれば、駆動油圧シリンダーは、一定の時間後に、ある程度下に移動し、駆動油圧シリンダーの実位置を所望の作動位置からずらす。手動指示なしで駆動油圧シリンダーが位置ずれることを回避するために、駆動油圧シリンダーの同期制御サブシステムには、駆動油圧シリンダーの位置自動保持制御ユニットが設計されている。連続鋳造用タンディッシュの手動昇降指示の終了時に、このユニットにおける機能ブロックLZSTC17の出力端子Qは、「0」状態から「1」状態に変わり、同時に、「デジタル量入力切換えスイッチ」の機能ブロックLZSTC18の出力端子Yの数値(つまり、駆動・従動油圧シリンダーの位置保持値SZWBZ)は常に、連続鋳造用タンディッシュの手動昇降指示終了タイミングでこの機能ブロックX1の入力端子から入力された数値(つまり、手動昇降指示の終了タイミングに対応する駆動油圧シリンダーの実位置値)に等しくするようになる。これにより、連続鋳造用タンディッシュの昇降作動モードが手動/自動連動モードにあり、連続鋳造用タンディッシュの手動昇降指示が終了し、且つ駆動・従動油圧シリンダーに割り込み故障がない場合、連続鋳造用タンディッシュの手動昇降指示の終了後に駆動・従動油圧シリンダーの位置保持値SZWBZと駆動油圧シリンダーの実位置値との差が設定された位置偏差の正の許容値(例えば、3ミリメートル)より大きければ、このユニットにおける機能ブロックLZSTC49の出力端子Qは「1」状態になり、このユニットにおける「PIコントローラ」の機能ブロックLZSTC50(つまり、駆動油圧シリンダーの位置レギュレーター)のイネーブル制御端子(EN)を「1」状態にし、駆動油圧シリンダーの位置レギュレーターを解放状態にし、また、このユニットにおける機能ブロックLZSTC43の出力端子Qは「1」状態になり、駆動油圧シリンダーの昇降速度閉ループ制御ユニットも解放状態にする。こうして、駆動・従動油圧シリンダーの位置保持値SZWBZと駆動油圧シリンダーの実位置値との間に偏差がある場合、この駆動油圧シリンダーの位置レギュレーターは、駆動・従動油圧シリンダーの位置保持値SZWBZと駆動油圧シリンダーの実位置値との間の差分を小さくするために、駆動・従動油圧シリンダーの位置保持値SZWBZと駆動油圧シリンダーの実位置値との間の差が設定された位置偏差の正の許容値(例えば、3ミリメートル)以下になるまで、対応する駆動油圧シリンダーの位置補正速度基準値を出力する。同様に、連続鋳造用タンディッシュの昇降作動モードが手動/自動連動モードにあり、連続鋳造用タンディッシュの手動昇降指示が終了し、且つ駆動・従動油圧シリンダーに割り込み故障がない場合、連続鋳造用タンディッシュの手動昇降指示の終了後に駆動・従動油圧シリンダーの位置保持値SZWBZと駆動油圧シリンダーの実位置値との差が設定された位置偏差の負の許容値(例えば、−3ミリメートル)より小さければ、このユニットにおける機能ブロックLZSTC49の出力端子Qも「1」状態になり、このユニットにおける「PIコントローラ」の機能ブロックLZSTC50(つまり、駆動油圧シリンダーの位置レギュレーター)のイネーブル制御端子(EN)を「1」状態にし、駆動油圧シリンダーの位置レギュレーターを解放状態にし、また、このユニットにおける機能ブロックLZSTC43の出力端子Qも「1」状態になり、駆動油圧シリンダーの昇降速度閉ループ制御ユニットも解放状態にする。こうして、駆動・従動油圧シリンダーの位置保持値SZWBZと駆動油圧シリンダーの実位置値との間に偏差がある場合、この駆動油圧シリンダーの位置レギュレーターは、駆動・従動油圧シリンダーの位置保持値SZWBZと駆動油圧シリンダーの実位置値との間の差分を大きくするために、駆動・従動油圧シリンダーの位置保持値SZWBZと駆動油圧シリンダーの実位置値との差が設定された位置偏差の負の許容値(例えば、−3ミリメートル)以上になるまで、対応する駆動油圧シリンダーの位置補正速度基準値を出力する。
【0023】
A6、駆動油圧シリンダーの手動同期昇降制御ユニットまたは駆動油圧シリンダーの位置自動保持制御ユニットは、機能ブロックLZSTC43の出力端子Qが「1」であることにより、駆動油圧シリンダーの昇降速度閉ループ制御ユニットの解放信号(つまり、駆動油圧シリンダーの昇降速度制御ユニットのイネーブル信号)を送信する時、この駆動油圧シリンダーの昇降速度閉ループ制御ユニットにおける速度設定積分ブロック機能ブロックのLZSTC62および速度レギュレーター機能ブロックのLZSTC63は解放状態にあり、こうして、このユニットにおける速度設定積分ブロック機能ブロックのLZSTC62の入力端子Xから入力された速度設定がゼロでない場合、このユニットは、機能ブロックLZSTC67によって、駆動油圧シリンダーが所望の位置に到達し且つ許容された位置偏差範囲内になった後に、駆動油圧シリンダーの手動同期昇降制御ユニットまたは駆動油圧シリンダーの位置自動保持ユニットから送信された駆動油圧シリンダーの昇降速度制御ユニットのイネーブル信号が閉鎖されるまで、対応する駆動油圧シリンダーの比例制御弁の制御電圧を出力する。
【0024】
連続鋳造用タンディッシュ昇降用駆動油圧シリンダーの同期制御サブシステムは、機能ブロックのLZSTC64〜LZSTC67で構成される駆動油圧シリンダーの比例制御弁の順逆不感帯補償ユニットを含み、この連続鋳造用タンディッシュ昇降用駆動油圧シリンダーの同期制御方法は、さらに以下を含む。
【0025】
すなわち、A7、油圧シリンダーの比例制御弁の制御電圧と比例弁の開度との間に一般的には特定の不感帯が存在することを考慮すれば、比例制御弁の制御電圧が所定の数値に達するだけで、比例制御弁の開度は変化し、且つ比例制御弁の制御電圧にほぼ比例することになる。従って、駆動油圧シリンダーの比例制御弁の制御応答を向上させるために、駆動油圧シリンダーの比例制御弁の順逆不感帯補償ユニットが設けられており、駆動油圧シリンダーの昇降速度制御ユニットにおける速度レギュレーター機能ブロックLZSTC63の出力端子Yの数値(つまり、駆動油圧シリンダーの比例制御弁の制御電圧)がゼロより大きい場合、この駆動油圧シリンダーの比例制御弁の順逆不感帯補償ユニットにおける機能ブロックLZSTC65の制御端子Iは「1」状態であり、機能ブロックLZSTC65の出力端子Yは、順方向の比例制御弁の不感帯補償電圧(例えば、1V)を出力し、これにより、速度レギュレーター機能ブロックから出力された比例制御弁の制御電圧とこの順方向の比例制御弁の不感帯補償電圧が重畳されて駆動油圧シリンダーの比例制御弁の制御電圧となることで、駆動油圧シリンダーの比例制御弁の順方向開度の調整速度が加速されており、駆動油圧シリンダーの昇降速度閉ループ制御ユニットにおける速度レギュレーター機能ブロックのLZSTC63の出力端子Yの数値(つまり、駆動油圧シリンダーの比例制御弁の制御電圧)がゼロより小さい場合、この駆動油圧シリンダーの比例制御弁の順逆不感帯補償ユニットにおける機能ブロックのLZSTC66の制御端子Iは「1」状態であり、機能ブロックのLZSTC66の出力端子Yは、逆方向の比例制御弁の不感帯補償電圧(例えば、−1V)を出力し、これにより、速度レギュレーター機能ブロックから出力された比例制御弁の制御電圧とこの逆方向の比例制御弁の不感帯補償電圧が重畳されて駆動油圧シリンダーの比例制御弁の制御電圧となることで、駆動油圧シリンダーの比例制御弁の逆方向開度の調整速度が加速されている。
【0026】
連続鋳造用タンディッシュ昇降用従動油圧シリンダーの同期制御サブシステムは主に、5つの制御ユニット、つまり、機能ブロックのLZSTC100、LZSTC101およびLZSTC104で構成される従動油圧シリンダーの同期位置偏差オーバーラン制御ユニットと、機能ブロックのLZSTC116〜LZSTC120およびLZSTC121〜LZSTC130で構成される従動油圧シリンダーの同期位置偏差速度補正ユニットと、機能ブロックのLZSTC102、LZSTC103、LZSTC105〜LZSTC108、LZSTC134〜LZSTC136およびLZSTC138で構成される従動油圧シリンダーの手動同期昇降制御ユニットと、機能ブロックのLZSTC110〜LZSTC115、LZSTC131〜LZSTC133、LZSTC137およびLZSTC138で構成される従動油圧シリンダーの位置自動保持制御ユニットと、機能ブロックのLZSTC139〜LZSTC142、LZSTC146で構成される従動油圧シリンダーの昇降速度閉ループ制御ユニットと、によって構成される。
【0027】
連続鋳造用タンディッシュ昇降用従動油圧シリンダーの制御方法は、以下のステップを含む。
【0028】
すなわち、B1、駆動・従動油圧シリンダーの同期上昇または下降移動中に、上昇移動している間に従動油圧シリンダーが所望の移動方向に駆動油圧シリンダーとの位置偏差が設定された最大許容位置偏差の正の値(例えば、6ミリメートル)以上である場合、または下降移動している間に従動油圧シリンダーが所望の移動方向に駆動油圧シリンダーとの位置偏差が設定された最大許容位置偏差の負の値(例えば、−6ミリメートル)以下である場合、従動油圧シリンダーを、両者の位置偏差値が再び設定された最大許容位置偏差より小さくなるまで移動を停止するように制御し、その後、従動油圧シリンダーは、設定された加速度で設定速度までに加速し且つ所望の方向に移動し続け、これにより、従動油圧シリンダーの所望の移動方向における駆動油圧シリンダーとの位置偏差を最大許容位置偏差範囲内に制御する。これに基づき、従動油圧シリンダーの同期制御サブシステムには、従動油圧シリンダーの同期位置偏差オーバーラン制御ユニットが設計されている。連続鋳造用タンディッシュが下降移動する時、従動油圧シリンダーの同期位置偏差値ΔSsnmが設定された最大許容位置偏差の負の値(例えば、−6ミリメートル)以下である場合、機能ブロックLZSTC104の出力端子QUは「1」状態から「0」状態に変わり、従動油圧シリンダーを、従動油圧シリンダーの同期位置偏差値ΔSsnmが設定された最大許容位置偏差の負の値(例えば、−6ミリメートル、つまり、従動油圧シリンダーと駆動油圧シリンダーとの間の位置偏差が6ミリメートルより小さい)より大きくなるまで下降を停止し、また、連続鋳造用タンディッシュが上昇移動する時、ΔSsnmの数値が設定された最大許容位置偏差の正の値(例えば、6ミリメートル)以上である場合、機能ブロックLZSTC101の出力端子QLは「1」状態から「0」状態に変わり、従動油圧シリンダーを、従動油圧シリンダーと駆動油圧シリンダーとの間の位置偏差値が設定された最大許容位置偏差の正の値(例えば、6ミリメートル)より小さくなるまで上昇を停止する。
【0029】
B2、従動油圧シリンダーが駆動油圧シリンダーとの同期移動中に最大許容位置偏差を超える位置偏差により頻繁に緊急停止すれば、従動油圧シリンダーは、同期移動中に位置振動が発生しやすく、且つ駆動油圧シリンダーの位置振動を引き起こすようになる。そのため、連続鋳造用タンディッシュ昇降用従動油圧シリンダーの同期制御サブシステムには、従動油圧シリンダーの同期位置偏差オーバーラン制御ユニットだけでなく、従動油圧シリンダーの同期位置偏差速度補正ユニットも設計されている。駆動・従動油圧シリンダーの同期移動中に、一旦従動油圧シリンダーの同期位置偏差値ΔSsnmが設定された範囲(例えば、±0.5ミリメートル)を超えると、この従動油圧シリンダーの同期位置偏差速度補正ユニットは、従動油圧シリンダーと駆動油圧シリンダーとの間の位置偏差値が再び設定範囲内になるまで、従動油圧シリンダーの移動速度をリアルタイムで補正し、これにより、従動油圧シリンダーと駆動油圧シリンダーとの間の位置偏差が最大許容位置偏差に達するか、それを超える確率が大幅に低減される。この従動油圧シリンダーの同期位置偏差速度補正ユニットは、2つのサブユニット、つまり、機能ブロックのLZSTC116〜LZSTC120およびLZSTC121〜LZSTC126で構成される従動油圧シリンダーの同期位置偏差値ΔSsnmの反転値に比例する従動油圧シリンダーの速度補正サブユニットと、機能ブロックのLZSTC127〜LZSTC130で構成される従動油圧シリンダーの同期偏差高速補正サブユニットと、によって構成される。従動油圧シリンダーの同期位置偏差値ΔSsnmの反転値に比例する従動油圧シリンダーの速度補正サブユニットについて、このサブユニットにおける機能ブロックLZSTC126の入力端子X2は、従動油圧シリンダーの同期位置偏差値ΔSsnmを反転してから設定係数(この設定係数は、従動油圧シリンダーの同期位置偏差速度補正係数とも呼ばれる)を掛けたものに等しい。連続鋳造用タンディッシュの昇降速度の大きな差異(一般的には、上昇速度は下降速度の約2倍である)を考慮すれば、この場合、従動油圧シリンダーの昇降同期位置偏差をすべて設定された許容範囲内に制御するために、従動油圧シリンダーの昇降同期制御に対して、異なる同期位置偏差速度補正係数、つまり、従動油圧シリンダーの上昇同期位置偏差速度補正係数および従動油圧シリンダーの下降同期位置偏差速度補正係数を採用する。このため、従動油圧シリンダーの同期位置偏差値ΔSsnmの反転値に比例する従動油圧シリンダーの速度補正サブユニットには、機能ブロックのLZSTC116〜LZSTC120およびLZSTC124で構成される従動油圧シリンダーの同期位置偏差速度補正係数選択部分が設けられている。従動油圧シリンダーが上昇移動する時、この部分における機能ブロックLZSTC120の出力端子Qは「1」状態になり、この部分における「デジタル量入力切換えスイッチ」の機能ブロックLZSTC124の制御端子Iも「1」状態になり、よって、従動油圧シリンダーの同期位置偏差速度補正係数を従動油圧シリンダーの上昇同期位置偏差速度補正係数(例えば、20)とし、従動油圧シリンダーが下降または停止移動する時、この部分における機能ブロックLZSTC120の出力端子Qは「0」状態になり、こうして、この部分における「デジタル量入力切換えスイッチ」の機能ブロックLZSTC124の制御端子Iも「0」状態になり、よって、従動油圧シリンダーの同期位置偏差速度補正係数を従動油圧シリンダーの下降同期位置偏差速度補正係数(例えば、10)とする。こうして、従動油圧シリンダーの同期位置偏差値ΔSsnmが第1の設定範囲(例えば、±0.5ミリメートル)を超えた場合、機能ブロックLZSTC126の制御端子のI端は、「0」状態から「1」状態に変わり、機能ブロックLZSTC126の出力端子Yの出力値をその入力端子X2の入力値に等しくし、これにより、このサブユニットは、従動油圧シリンダーの同期位置偏差値ΔSsnmの反転値に比例する速度補正値を出力し、この部分の速度補正値によって、従動油圧シリンダーの同期位置偏差値ΔSsnmが再び第1の設定範囲(例えば、±0.5ミリメートル)になるまで、従動油圧シリンダーと駆動油圧シリンダーとの間の同期位置偏差を徐々に小さくする。
【0030】
連続鋳造用タンディッシュが下降または上昇移動する時、従動油圧シリンダーの同期位置偏差値ΔSsnmが第2の設定範囲を超えた場合、従動油圧シリンダーの同期偏差高速補正サブユニットは、従動油圧シリンダーの同期位置偏差値ΔSsnmと反対方向の従動油圧シリンダーの同期位置偏差速度補正値を従動油圧シリンダーの速度補正値とし、つまり、従動油圧シリンダーの同期位置偏差値ΔSsnmが正の値で、且つ第2の設定範囲における正端値(例えば、2ミリメートル)より大きい場合、この従動油圧シリンダーの同期位置偏差高速補正サブユニットにおける機能ブロックLZSTC128の制御端子のI端は、「0」状態から「1」状態に変わり、この機能ブロックLZSTC128の出力端子Yの出力値を、その入力端子X2の入力値(例えば、−2V)に等しくし、この部分の速度補正値によって、従動油圧シリンダーの位置偏差値ΔSsnmが第2の設定範囲における正端値(例えば、2ミリメートル)より小さくなるまで、従動油圧シリンダーの同期位置偏差値ΔSsnm(>0)を迅速に小さくし、従動油圧シリンダーの同期位置偏差値ΔSsnmが負の値で、且つ第2の設定範囲における負端値(例えば、−2ミリメートル)より小さい場合、この従動油圧シリンダーの同期位置偏差高速補正サブユニットにおける機能ブロックLZSTC130の制御端子のI端は、「0」状態から「1」状態に変わり、この機能ブロックLZSTC130の出力端子Yの出力値を、その入力端子X2の入力値(例えば、2V)に等しくし、この部分の速度補正値によって、従動油圧シリンダーの位置偏差値ΔSsnmが第2の設定範囲における負端値(例えば、−2ミリメートル)より大きくなるまで、従動油圧シリンダーの同期位置偏差値ΔSsnm(<0)を迅速に大きくする。上記から分かるように、この従動油圧シリンダーの同期位置偏差速度補正ユニットによって、従動油圧シリンダーの速度を同期位置偏差のオーバーラン(例えば、±6ミリメートル)の前にリアルタイムで補正することができ、これにより従動油圧シリンダーは、同期移動中に駆動油圧シリンダーとの位置偏差が最大許容位置偏差値を超えることによって緊急停止することが回避される。
【0031】
B3、従動油圧シリンダーの手動同期昇降制御ユニットについて、連続鋳造用タンディッシュ昇降用油圧制御システムがタンディッシュ昇降手動連動モードまたはタンディッシュ昇降手動/自動連動モードにある場合、連続鋳造用タンディッシュの手動下降指示が出される間に、従動油圧シリンダーの同期位置偏差値ΔSsnmが設定された最大許容位置偏差の負の値(−6ミリメートル)より大きく、且つ従動油圧シリンダーが下降終端位置に位置しなければ、この従動油圧シリンダーの手動同期昇降制御ユニットにおける機能ブロックのLZSTC106、LZSTC135およびLZSTC138の出力端子Qは「1」状態になり、機能ブロックLZSTC136の出力端子Yの数値は、駆動油圧シリンダーの同期制御サブシステムにおける機能ブロックLZSTC14の出力端子Yから出力された数値(つまり、駆動・従動油圧シリンダーの下降速度設定値(例えば、−2V))に等しくなり、この従動油圧シリンダーの手動同期昇降制御ユニットは、駆動・従動油圧シリンダーの手動下降速度設定値を従動油圧シリンダーの昇降速度閉ループ制御ユニットに出力し、同時に、このユニットは、機能ブロックLZSTC138の出力端子Qが「1」状態であることで、従動油圧シリンダーの昇降速度閉ループ制御ユニットを解放状態にする。連続鋳造用タンディッシュの下降中に、従動油圧シリンダーの同期位置偏差値ΔSsnmは、従動油圧シリンダーの同期偏差速度補正ユニットによって補正され、ΔSsnmの数値が設定された最大許容位置偏差の負の値(例えば、−6ミリメートル)以下である場合、従動油圧シリンダーは、ΔSsnmの数値が再び設定された最大許容位置偏差の負の値(如−6ミリメートル)より大きくなるまで下降移動を停止する。連続鋳造用タンディッシュの手動上昇指示が出される間に、従動油圧シリンダーの同期位置偏差値ΔSsnmが設定された最大許容位置偏差の正の値(例えば、6ミリメートル)より小さく、且つ従動油圧シリンダーが終端位置に位置しなければ、この従動油圧シリンダーの手動同期昇降制御ユニットにおける機能ブロックのLZSTC103、LZSTC135およびLZSTC138の出力端子Qは「1」状態になり、機能ブロックLZSTC136の出力端子Yの数値は、駆動油圧シリンダーの同期制御サブシステムにおける機能ブロックLZSTC14の出力端子Yから出力された数値(つまり、駆動・従動油圧シリンダーの上昇速度設定値(例えば、4V))に等しくなり、この従動油圧シリンダーの手動同期昇降制御ユニットは、駆動・従動油圧シリンダーの手動下降速度設定値を従動油圧シリンダーの昇降速度閉ループ制御ユニットに出力し、同時に、このユニットは、機能ブロックLZSTC138の出力端子Qが「1」状態であることで、従動油圧シリンダーの昇降速度閉ループ制御ユニットを解放状態にする。連続鋳造用タンディッシュの上昇中に、従動油圧シリンダーの同期位置偏差値ΔSsnmは、従動油圧シリンダーの同期偏差速度補正ユニットによって補正され、ΔSsnmの数値が設定された最大許容位置偏差の正の値(例えば、6ミリメートル)以上である場合、従動油圧シリンダーは、ΔSsnmの数値が再び設定された最大許容位置偏差の正の値(例えば、6ミリメートル)より小さくなるまで上昇移動を停止する。
【0032】
B4、連続鋳造用タンディッシュが所望の作動位置に上昇または下降した後に、作業者は、連続鋳造用タンディッシュの手動昇降指示を終了すると、駆動・従動油圧シリンダーの昇降制御比例弁はいずれも中間位置セルフロック状態にあり、この場合、従動油圧シリンダーにある程度の内部リークがあれば、従動油圧シリンダーは、一定の時間後に、ある程度下に移動し、従動油圧シリンダーの実位置を所望の作動位置からずらす。手動指示なしで従動油圧シリンダーが位置ずれることを回避するために、従動油圧シリンダーの同期制御サブシステムには、従動油圧シリンダーの位置自動保持制御ユニットが設計されている。連続鋳造用タンディッシュの昇降作動モードが手動/自動連動モードにあり、連続鋳造用タンディッシュの手動昇降指示が終了し、且つ駆動・従動油圧シリンダーに割り込み故障がない場合、連続鋳造用タンディッシュの手動昇降指示の終了後に駆動・従動油圧シリンダーの位置保持値SZWBZと従動油圧シリンダーの実位置値との差が設定された位置偏差の正の許容値(例えば、3ミリメートル)より大きければ、このユニットにおける機能ブロックLZSTC114の出力端子Qは「1」状態になり、このユニットにおける「PIコントローラ」の機能ブロックLZSTC115(つまり、従動油圧シリンダー(Sn)の位置レギュレーター)のイネーブル制御端子(EN)を「1」状態にし、従動油圧シリンダー(Sn)の位置レギュレーターを解放状態にし、また、このユニットにおける機能ブロックのLZSTC138の出力端子Qは「1」状態になることで、従動油圧シリンダーの昇降速度閉ループ制御ユニットも解放状態にする。こうして、駆動・従動油圧シリンダーの位置保持値SZWBZと従動油圧シリンダーの実位置値との間に偏差がある場合、この従動油圧シリンダーの位置レギュレーターは、駆動・従動油圧シリンダーの位置保持値SZWBZと従動油圧シリンダーの実位置値との間の差値を小さくするために、駆動・従動油圧シリンダーの位置保持値SZWBZと従動油圧シリンダーの実位置値との差が設定された位置偏差の正の許容値(例えば、3ミリメートル)以下になるまで、対応する従動油圧シリンダーの位置補正速度基準値を出力する。同様に、連続鋳造用タンディッシュの昇降作動モードが手動/自動連動モードにあり、連続鋳造用タンディッシュの手動昇降指示が終了し、且つ駆動・従動油圧シリンダーに割り込み故障がない場合、連続鋳造用タンディッシュの手動昇降指示の終了後に駆動・従動油圧シリンダーの位置保持値SZWBZと従動油圧シリンダーの実位置値との差が設定された位置偏差の負の許容値(例えば、−3ミリメートル)より小さければ、このユニットにおける機能ブロックLZSTC114の出力端子Qも「1」状態になり、このユニットにおける「PIコントローラ」の機能ブロックLZSTC115(つまり、従動油圧シリンダーの位置レギュレーター)のイネーブル制御端子(EN)を「1」状態にし、従動油圧シリンダーの位置レギュレーターを解放状態にし、また、このユニットにおける機能ブロックLZSTC138の出力端子Qも「1」状態になり、従動油圧シリンダーの昇降速度閉ループ制御ユニットも解放状態にする。こうして、駆動・従動油圧シリンダーの位置保持値SZWBZと従動油圧シリンダーの実位置値との間に偏差がある場合、この従動油圧シリンダーの位置レギュレーターは、駆動・従動油圧シリンダーの位置保持値SZWBZと従動油圧シリンダーの実位置値との間の差値を大きくするために、駆動・従動油圧シリンダーの位置保持値SZWBZと従動油圧シリンダーの実位置値との間の差値が設定された位置偏差の負の許容値(例えば、−3ミリメートル)以上になるまで、対応する従動油圧シリンダーの位置補正速度基準値を出力する。
【0033】
B5、駆動・従動油圧シリンダーに割り込み故障がない場合、従動油圧シリンダーの手動同期昇降制御ユニットまたは従動油圧シリンダーの位置自動保持制御ユニットは、機能ブロックLZSTC138の出力端子Qが「1」であることにより、従動油圧シリンダーの昇降速度制御ユニットの解放信号(つまり、従動油圧シリンダーの昇降速度制御ユニットのイネーブル信号)を送信する時、この従動油圧シリンダーの昇降速度閉ループ制御ユニットにおける速度設定積分ブロック機能ブロックのLZSTC141および速度レギュレーター機能ブロックのLZSTC142は解放状態にあり、これにより、このユニットにおける速度設定積分ブロック機能ブロックのLZSTC142の入力端子Xから入力された速度設定がゼロでない場合、このユニットは、機能ブロックLZSTC146によって、従動油圧シリンダーが所望の位置に到達し且つ許容された位置偏差範囲内になった後に、従動油圧シリンダーの手動同期昇降制御ユニットまたは従動油圧シリンダーの位置自動保持ユニットから送信された従動油圧シリンダーの昇降速度制御ユニットのイネーブル信号が閉鎖されるまで、対応する従動油圧シリンダーの比例制御弁の制御電圧を出力する。
【0034】
連続鋳造用タンディッシュ昇降用従動油圧シリンダーの同期制御サブシステムは、機能ブロックのLZSTC143〜LZSTC146で構成される従動油圧シリンダーの比例制御弁の順逆不感帯補償ユニットを含み、この連続鋳造用タンディッシュ昇降用従動油圧シリンダーの同期制御方法はさらに、以下を含む。
【0035】
すなわち、B6、油圧シリンダーの比例制御弁の制御電圧と比例弁の開度との間に一般的には特定の不感帯が存在することを考慮すれば、比例制御弁の制御電圧が所定の数値に達するだけで、比例制御弁の開度は変化し、且つ比例制御弁の制御電圧にほぼ比例することになる。従って、従動油圧シリンダーの比例制御弁の制御応答を向上させるために、従動油圧シリンダーの昇降速度制御ユニットには、従動油圧シリンダーの比例制御弁の順逆不感帯補償ユニットが設けられている。従動油圧シリンダーの昇降速度閉ループ制御ユニットにおける速度レギュレーター機能ブロックのLZSTC142の出力端子Yの数値(つまり、従動油圧シリンダーの比例制御弁の制御電圧)がゼロより大きい場合、この従動油圧シリンダーの比例制御弁の順逆不感帯補償ユニットにおける機能ブロックLZSTC144の制御端子Iは「1」状態であり、機能ブロックLZSTC144の出力端子Yは、順方向の比例制御弁の不感帯補償電圧(例えば、IV)を出力し、これにより、速度レギュレーター機能ブロックから出力された比例制御弁の制御電圧とこの順方向の比例制御弁の不感帯補償電圧が重畳されて従動油圧シリンダーの比例制御弁の制御電圧となることで、従動油圧シリンダーの比例制御弁の順方向開度の調整速度が加速されており、従動油圧シリンダーの昇降速度制御ユニットにおける速度レギュレーター機能ブロックLZSTC142の出力端子Yの数値(つまり、従動油圧シリンダーの比例制御弁の制御電圧)がゼロより小さい場合、この従動油圧シリンダーの比例制御弁の順逆不感帯補償ユニットにおける機能ブロックLZSTC145の制御端子Iは「1」状態であり、機能ブロックLZSTC145の出力端子Yは、逆方向の比例制御弁の不感帯補償電圧(例えば、−1V)を出力し、これにより、速度レギュレーター機能ブロックから出力された比例制御弁の制御電圧とこの逆方向の比例制御弁の不感帯補償電圧が重畳されて従動油圧シリンダーの比例制御弁の制御電圧となることで、従動油圧シリンダーの比例制御弁の逆方向開度の調整速度が加速されている。
【0036】
本発明は、実施例における連続鋳造用タンディッシュ昇降用油圧シリンダー同期制御方法であって、駆動油圧シリンダーの同期位置偏差速度補正ユニットおよび従動油圧シリンダーの同期位置偏差速度補正ユニットによって、設定範囲を超える駆動・従動油圧シリンダーの間の位置偏差をリアルタイムで補正し、両者の間の偏差が設定された最大許容位置偏差になるまで増加し続ける場合、駆動油圧シリンダーの同期位置偏差オーバーラン制御ユニットおよび従動油圧シリンダーの同期位置偏差オーバーラン制御ユニットによって、両者の位置偏差が再び設定された最大許容位置偏差より小さくなるまで、移動速度が速い駆動油圧シリンダーまたは従動油圧シリンダーの移動を停止するように制御し、さらに、駆動油圧シリンダーの位置自動保持制御ユニットおよび従動油圧シリンダーの位置自動保持制御ユニットによって、手動指示なしで駆動・従動油圧シリンダーが位置ずれることを回避し、従って、この連続鋳造用タンディッシュ昇降用油圧シリンダー同期制御方法は、連続鋳造用タンディッシュ昇降用油圧シリンダーの同期移動を実現できるだけでなく、さらに連続鋳造用タンディッシュ昇降用油圧シリンダーの動作中に高い耐故障性も備え、油圧シリンダーにリークが発生し、油圧部品の製造精度にバラツキがあり、負荷が不均一な場合には、いずれも連続鋳造用タンディッシュ昇降用油圧シリンダーの同期移動を実現することができる。
【0037】
以上の記載は本発明の好ましい実施例に過ぎず、本発明を制限するためのものではなく、本発明の精神及び原則においてなされた如何なる修正、均等置換および改善等も、全て本発明の保護範囲内に含まれるものとする。
図1
図2
図3