(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。なお、同じ機能を有する構成部には同じ番号を付し、重複説明を省略する。
【実施例1】
【0011】
図1に実施例1の地番情報提供システムの機能構成例を示す。地番情報提供システム10は、通信可能な地番情報提供装置100と端末200で構成される。端末200は、位置情報取得部210、方位情報取得部220、姿勢情報取得部230、画像取得部240、対象指定部250、表示部290、通信部295を備える。実施例1では、端末200が、さらに対象座標算出部260を備えた例を示す。地番情報提供装置100は、記録部110、地番情報取得部140、通信部195を備える。なお、地番情報提供装置100は、端末200の代わりに対象座標算出部160を備えてもよい。この例は変形例1で示す。
図2は、端末200が対象座標算出部260を備えたときの処理フロー例である。実施例1では、
図2を参照しながら説明する。また、地番情報提供装置100は、1つのコンピュータ(サーバなど)で構成してもよいし複数のコンピュータで構成してもよい。例えば、記録部110を1つのコンピュータとし、他の構成を別のコンピュータで構成してもよい。後述の変形例および他の実施例においても同様である。
【0012】
位置情報取得部210は、端末200の位置座標を示す位置情報を取得する(S210)。「位置座標」とは、例えばGPS(Global Positioning System:全地球測位システ
ム)を利用して得られる緯度経度である。方位情報取得部220は、端末200に対する取得する画像の方位を示す方位情報を取得する(S220)。言い換えると、方位情報取得部220は、画像取得部240のカメラが向いている方位を、取得する。姿勢情報取得部230は、端末200の姿勢を示す姿勢情報を取得する(S230)。姿勢情報取得部230は、端末200がどのように傾いているのかの情報を取得する。姿勢情報によって、画像取得部240のカメラが上下方向に何度傾いているのかが分かる。画像取得部240は、地番を知りたい地点の画像を取得する(S240)。画像取得部240は、カメラとカメラで撮影した画像を処理する画像処理手段などで構成される。なお、本明細書中では、ステップS210〜S240をまとめて情報取得ステップS211と呼ぶことにする。情報取得ステップS211では、端末200が、画像取得部240が画像を撮る瞬間の位置情報、方位情報、姿勢情報を、画像と関連付けて記録する。
【0013】
例えば、端末200としてスマートホンを利用する場合、GPSおよび通信基地局の情報から位置座標を求め、電子コンパスで方位情報を取得し、ジャイロから姿勢情報を取得し、カメラで地番を知りたい地点を撮影すればよい。つまり、本願出願時の一般的なスマートホンであれば、位置情報取得部210、方位情報取得部220、姿勢情報取得部230、画像取得部240は備えている。ただし、端末200は、スマートホンに限定するものではなく、同様の機能を有すれば別の端末でもよい。
【0014】
対象指定部250は、画像取得部240で取得した画像の中から地番を調べる対象となる地点を指定する(S250)。例えば、比較的広い範囲が同じ地番であると分かっているときは画像の中心を地点として指定すれば簡易である。また、特定の位置を厳密に指定したいときは、取得した画像をタッチパネルなどに表示し、指で押えた位置を、地番を調べる対象となる地点として指定してもよい。ここで、画面上のどの点が地番を調べる対象の地点かを示す情報を、「地点の情報」と呼ぶことにする。
【0015】
対象座標算出部260は、位置情報、方位情報、姿勢情報、地点の情報にしたがって、地点の位置座標を求める(S260)。
図3を参照して地点の位置座標を求める方法を説明する。端末200の位置座標と方位情報は取得できているので、地点900までの水平方向の距離Dが分かれば、地点の位置座標が分かる。また、姿勢情報から角度θも求めることができる。実施例1の対象座標算出部260は、地面からの端末200の画像取得部240のカメラの高さHをあらかじめ定めた値とする。例えば、高さHを平均的なユーザが端末200を構える高さにすればよい。高さHを定めると、
D=H・tanθ (1)
のように、距離Dを求めることができる。1つの地番が示す土地の一般的な広さを考慮すれば、ユーザの伸長の差、ユーザが立っている地面と対象の地点900との高さの差などによって生じる距離Dの誤差は、ほとんどの場合は無視できるため、高さHをあらかじめ定めた値にしても問題ない。なお、高さHの値をユーザごとに初期設定できるようにすれば、ユーザの身長の差による距離Dの誤差は小さくできる。また、ユーザが立っている地面と対象の地点900との高さの差を補正値として必要に応じて入力できるようにすれば、ユーザが立っている地面と対象の地点900との高さの差などによって生じる距離Dの誤差も小さくできる。端末200の通信部295は、対象座標算出部260が求めた対象座標を、地番を調べる対象の地点の位置座標として地番情報提供装置100に送信する。なお、
図2のステップS211〜S260をまとめて、対象座標取得ステップS261と呼ぶことにする。
【0016】
地番情報提供装置100の記録部110は、位置座標と地番とが関連付けられた公図データ111を記録している。「公図データ111」は、少なくとも位置座標(例えば、緯度経度)と地番とが関連付けられたデータである。例えば、同一の地番が付されている範囲(地番エリア)を面として多角形の閉図形で構成すると、各図形の開始点、複数の通過点、終点は位置座標(緯度経度など)の列のデータとなる。また、閉図形の構成では、開始点と終点は同じ位置座標となる。このような閉図形の属性のデータセットに地番を含めることで、「位置座標と地番とが関連付けられたデータ」にできる。公図データ111は、地図上に位置座標と地番とを関連付けたデータでもよいし、さらに住所も関連付けてもよい。
【0017】
地番情報提供装置100の通信部195は、端末200から位置座標を受信する。地番情報取得部140は、受信した位置座標(つまり、地番を調べる対象となる地点の位置座標)の地番を取得する(S140)。上述のように地番エリアが閉図形で構成されている場合、受信した位置座標が内側に存在する閉図形を特定し、その閉図形の属性のデータセットに含まれている地番を取得すればよい。地番情報提供装置100の通信部195は、取得した地番を端末200に送信する。端末200の表示部290は、受信した地番を表示する(S290)。
【0018】
実施例1の地番情報提供システムによれば、ユーザは端末で地番を知りたい地点の画像を撮れば、現場で簡易に地番を知ることができる。
【0019】
[変形例1]
実施例1では端末200が対象座標算出部260を備えた例を示したが、本変形例では、地番情報提供装置100が対象座標算出部160を備えた例を示す。この場合の処理フローの例を
図4に示す。変形例1の地番情報提供システム10では、
図1に示された構成の中で、端末200は、位置情報取得部210、方位情報取得部220、姿勢情報取得部230、画像取得部240、対象指定部250、表示部290、通信部295を備える。地番情報提供装置100は、記録部110、地番情報取得部140、対象座標算出部160、通信部195を備える。
図4は、地番情報提供装置100が対象座標算出部160を備えたときの処理フロー例である。本変形例では、
図4を参照しながら説明する。
【0020】
情報取得ステップS211と対象指定ステップS250は実施例1と同じである。端末200の通信部295は、位置情報、方位情報、姿勢情報、地点の情報を地番情報提供装置100に送信する。地番情報提供装置100の通信部195は、端末200から位置情報、方位情報、姿勢情報、地点の情報を受信する。
【0021】
地番情報提供装置100の対象座標算出部160は、受信した位置情報、方位情報、姿勢情報、地点の情報にしたがって、地点の位置座標を求める(S160)。対象座標算出部160の具体的な処理方法は、実施例1で
図3を用いて説明した対象座標算出部260と同じである。
図4のステップS211〜S160までをまとめて、対象座標取得ステップS161と呼ぶことにする。
【0022】
地番情報提供装置100の記録部110は、実施例1と同じように、位置座標と地番とが関連付けられた公図データ111を記録している。地番情報取得部140は、地点の位置座標の地番を取得する(S140)。地番情報提供装置100の通信部195は、取得した地番を端末200に送信する。端末200の表示部290は、受信した地番を表示する(S290)。
【0023】
本変形例の地番情報提供システムの場合も、ユーザは端末で地番を知りたい地点の画像を撮れば、現場で簡易に地番を知ることができる。
【実施例2】
【0024】
図1に実施例2の地番情報提供システムの機能構成例を示す。地番情報提供システム10は、相互に通信可能な地番情報提供装置100と端末200で構成される。
図1に示された構成の中で、端末200は、位置情報取得部210、方位情報取得部220、姿勢情報取得部230、画像取得部240、対象指定部250、対象座標算出部260、地物座標算出部270、表示部290、通信部295を備える。地番情報提供装置100は、記録部110、地物データ取得部120、地番情報取得部140、対象座標補正部180、通信部195を備える。
図5は、端末200が対象座標算出部260、地物座標算出部270を備え、地番情報提供装置100が対象座標補正部180を備えたときの処理フロー例である。実施例2では、
図5を参照しながら説明する。
【0025】
情報取得ステップS211、対象指定ステップS250、対象座標算出ステップS260は実施例1と同じであり、端末200の通信部295は、対象座標算出部260が求めた対象座標を、地番を調べる対象の地点の位置座標として地番情報提供装置100に送信する。
【0026】
端末200の位置情報取得部210は、端末200の位置座標を示す位置情報を取得する(S210)。方位情報取得部220は、端末200に対する取得する画像の方位を示す方位情報を取得する(S220)。姿勢情報取得部230は、端末200の姿勢を示す姿勢情報を取得する(S230)。画像取得部240は、位置座標が既知の地物910の画像を取得する(S241)。このステップS210〜S241をまとめて情報取得ステップS215と呼ぶことにとする。情報取得ステップS215では、地番を知りたい地点900の画像を取得するときと同じように、位置座標が既知の地物910の画像を取得する(
図3参照)。「位置座標が既知の地物」とは、保守が必要な設備を管理することなどを目的として、位置座標を調査済みの地物である。「地物」とは、地面に接した部分がある物体であり、例えば、電柱、マンホール、ハンドホール、郵便ポスト、信号機などが「位置座標が既知の地物」になり得るが、これらに限定するものではない。例えば、全方位の3次元測定器を取り付けた自動車を走行させ、自動車に搭載したGPSと測定結果から電柱やマンホールの設備名と位置座標(緯度経度など)を関連付けることで、地物の位置座標を既知にできる。
【0027】
端末200では、画像取得部240が取得した画像に映っている既知の地物の位置座標を求める場合には、地物座標算出部270は、位置情報、方位情報、姿勢情報、画像にしたがって、地物の位置座標を求める(S270)。位置座標が既知の地物の場合、通常は形状も既知である。したがって、画像内のどの部分に地物があるかを自動判定しやすい。例えば、地物座標算出部270は、電柱が画像に映っている場合は、映像中の電柱の根元部分を特定し、位置座標を算出すればよい。なお、画像中のどの部分に地物が映っているのか端末200が判断できない場合などは、タッチパネルに表示された画像の一部をユーザが指で押すことによって、画像のどの部分の位置座標を求めるのかを特定してもよい。端末200の通信部295は、地物座標算出部270が求めた地物の位置座標を地番情報提供装置100に送信する。
【0028】
地番情報提供装置100の記録部110には、既知の地物の位置座標を示す地物データ112も記録しておく。地物データ112には、上述のように、そもそもは設備管理のためなど、別の目的で整備したデータを利用すれば、地番情報提供システム10のためにデータを整備する必要が無いので効率的である。特に、電柱、マンホール、ハンドホールは、他の設備に比べると間隔が狭く、かつ1つの既知の地物だけを映像に映すことができる程度には間隔が広いため、地番情報提供システム10が利用する位置座標が既知の地物として適している。
【0029】
地番情報提供装置100の通信部195は、地物座標算出部270が求めた地物の位置座標を受信する。地番情報提供装置100の地物データ取得部120は、受信した地物の位置座標に最も近い地物データを、記録部110から取得する(S120)。つまり、「受信した地物の位置座標」が、地物データを取得する際に地物データ取得部120が「指定された位置座標」である。なお、
図5では、ステップS211〜S260までの処理を、ステップS215〜S120までの処理よりも前に行っているが、逆でもよい。
【0030】
対象座標補正部180は、地物座標算出部270が求めた地物の位置座標(受信した地物の位置座標)と地物データ取得部120が取得した地物データの位置座標との誤差に基づいて、地番を調べる対象の地点の位置座標を補正する(S180)。具体的には、誤差分だけ、地番を調べる対象の地点の位置座標を加算または減算すればよい。
図5のステップS211〜S180までをまとめて、対象座標取得ステップS263と呼ぶことにする。
【0031】
地番情報取得部140は、補正された位置座標(補正後の地番を調べる対象となる地点の位置座標)の地番を取得する(S140)。地番情報提供装置100の通信部195は、取得した地番を端末200に送信する。端末200の表示部290は、受信した地番を表示する(S290)。
【0032】
実施例2は、地物データの位置情報は、あらかじめ整備されたデータなので正確であることを前提としている。特に、位置情報取得部210で正確な位置座標を得にくい環境では、地物データの位置座標を利用して補正すれば、正確な位置座標に基づいて地番を調べることができる。実施例2の地番情報提供システムによれば、ユーザは端末で地番を知りたい地点の画像と既知の地物の画像を撮れば、現場で簡易にかつより正確に地番を知ることができる。
【0033】
[変形例1]
実施例2では、地番を調べる対象の地点の位置座標を地番情報提供装置100が補正した。本変形例では端末200で補正する。したがって、端末200が対象座標補正部280を備える。つまり、
図1に示された構成の中で、端末200は、位置情報取得部210、方位情報取得部220、姿勢情報取得部230、画像取得部240、対象指定部250、対象座標算出部260、地物座標算出部270、対象座標補正部280、表示部290、通信部295を備える。地番情報提供装置100は、記録部110、地物データ取得部120、地番情報取得部140、通信部195を備える。記録部110には、公図データ111だけでなく、実施例2と同様に既知の地物の位置座標を示す地物データ112も記録しておく。
図6は、端末200が対象座標算出部260、地物座標算出部270、対象座標補正部280を備えたときの処理フロー例である。本変形例では、
図6を参照しながら説明する。
【0034】
ステップS211〜S120までは実施例2と同じである。その後、地番情報提供装置100の通信部195が、地物データ取得部120が取得した地物データの位置座標を端末200に送信する。
【0035】
端末200の通信部295は、地物データの位置座標を受信する。対象座標補正部280は、地物座標算出部270が求めた地物の位置座標と地物データ取得部120が取得した地物データの位置座標(受信した地物の位置座標)との誤差に基づいて、地番を調べる対象の地点の位置座標を補正する(S280)。
図6のステップS211〜S280までをまとめて、対象座標取得ステップS265と呼ぶことにする。端末200の通信部295は、補正された位置座標を地番情報提供装置100に送信する。
【0036】
地番情報提供装置100の通信部195は、補正された位置座標を受信する。地番情報取得部140は、受信した補正された位置座標(補正後の地番を調べる対象となる地点の位置座標)の地番を取得する(S140)。地番情報提供装置100の通信部195は、取得した地番を端末200に送信する。端末200の表示部290は、受信した地番を表示する(S290)。
【0037】
上述のように、実施例2と同様の処理を行うので、本変形例の場合も実施例2と同様の効果が得られる。なお、
図6では、ステップS211〜S260までの処理を、ステップS215〜S120までの処理よりも前に行っているが、逆でもよい。
【0038】
[変形例2]
変形例1では、ステップS120の後、地物の位置座標を端末200に送信したが、本変形例では、補正情報を送信する。端末200は、位置情報取得部210、方位情報取得部220、姿勢情報取得部230、画像取得部240、対象指定部250、対象座標算出部260、地物座標算出部270、対象座標補正部280、表示部290、通信部295を備える。地番情報提供装置100は、記録部110、地物データ取得部120、補正情報算出部130、地番情報取得部140、通信部195を備える。記録部110には、公図データ111だけでなく、実施例2と同様に既知の地物の位置座標を示す地物データ112も記録しておく。
図7は、端末200が対象座標算出部260、地物座標算出部270、対象座標補正部280、地番情報提供装置100が補正情報算出部130を備えたときの処理フロー例である。本変形例では、
図7を参照しながら説明する。
【0039】
ステップS211〜S120までは実施例2と同じである。その後、補正情報算出部130が、地物座標算出部270が求めた地物の位置座標(受信した地物の位置座標)と地物データ取得部120が取得した地物データとの位置座標の誤差に基づいて、地点の位置座標を補正するための補正情報を求める(S130)。補正情報とは、例えば、誤差自体、補正量を示す符号などである。地番情報提供装置100の通信部195が、補正情報算出部130が求めた補正情報を端末200に送信する。
【0040】
端末200の通信部295は、補正情報を受信する。対象座標補正部280は、補正情報(つまり、地物座標算出部270が求めた地物の位置座標と地物データ取得部120が取得した地物データの位置座標との誤差に基づいた情報)に基づいて、地番を調べる対象の地点の位置座標を補正する(S280)。
図7のステップS211〜S280までをまとめて、対象座標取得ステップS266と呼ぶことにする。端末200の通信部295は、補正された位置座標を地番情報提供装置100に送信する。
【0041】
地番情報提供装置100の通信部195は、補正された位置座標を受信する。地番情報取得部140は、受信した補正された位置座標(補正後の地番を調べる対象となる地点の位置座標)の地番を取得する(S140)。地番情報提供装置100の通信部195は、取得した地番を端末200に送信する。端末200の表示部290は、受信した地番を表示する(S290)。
【0042】
上述のように、実施例2と同様の処理を行うので、本変形例の場合も実施例2と同様の効果が得られる。なお、
図7では、ステップS211〜S260までの処理を、ステップS215〜S130までの処理よりも前に行っているが、逆でもよい。
【0043】
[変形例3]
実施例2、変形例1,2は位置座標を端末200が算出したが、本変形例では、位置座標を地番情報提供装置100が算出する場合を説明する。端末200は、位置情報取得部210、方位情報取得部220、姿勢情報取得部230、画像取得部240、対象指定部250、表示部290、通信部295を備える。地番情報提供装置100は、記録部110、地物データ取得部120、地番情報取得部140、対象座標算出部160、地物座標算出部170、対象座標補正部180、通信部195を備える。記録部110には、公図データ111だけでなく、実施例2と同様に既知の地物の位置座標を示す地物データ112も記録しておく。
図8は、地番情報提供装置100が対象座標算出部160、地物座標算出部170、対象座標補正部180を備えたときの処理フロー例である。本変形例では、
図8を参照しながら説明する。
【0044】
情報取得ステップS211、対象指定ステップS250、対象座標算出ステップS160は
図4に示した実施例1の変形例1と同じである。また、ステップS215の処理は、実施例2と同じである。その後、端末200の通信部295は、位置情報、方位情報、姿勢情報、画像を地番情報提供装置100に送信する。
【0045】
地番情報提供装置100の通信部195は、位置情報、方位情報、姿勢情報、画像を受信する。地番情報提供装置100では、受信した画像(画像取得部240が取得した画像)に映っている既知の地物の位置座標を求める場合には、地物座標算出部170は、位置情報、方位情報、姿勢情報、画像にしたがって、地物の位置座標を求める(S170)。既知の地物の場合、形状に特徴があることが一般的である。例えば、地番情報提供装置100は、電柱が画像に映っている場合は、映像中の電柱の根元部分を特定し、位置座標を算出する。なお、画像中のどの部分に地物が映っているのか判断できない場合、又は2つ以上の地物が映っている場合は、端末200のタッチパネルに表示された画像の一部をユーザが指で押すことによって、画像のどの部分の位置座標を求めるのかを特定し、その情報も地番情報提供装置100に送信してもよい。
【0046】
地番情報提供装置100の地物データ取得部120は、地物座標算出部170が求めた地物の位置座標に最も近い地物データを、記録部110から取得する(S120)。つまり、「地物座標算出部170が求めた地物の位置座標」が、地物データを取得する際に地物データ取得部120が「指定された位置座標」である。
【0047】
対象座標補正部180は、地物座標算出部170が求めた地物の位置座標と地物データ取得部120が取得した地物データの位置座標との誤差に基づいて、地番を調べる対象の地点の位置座標を補正する(S180)。
図8のステップS211〜S180までをまとめて、対象座標取得ステップS165と呼ぶことにする。
【0048】
地番情報取得部140は、補正された位置座標(補正後の地番を調べる対象となる地点の位置座標)の地番を取得する(S140)。地番情報提供装置100の通信部195は、取得した地番を端末200に送信する。端末200の表示部290は、受信した地番を表示する(S290)。
【0049】
上述のように、実施例2と同様の処理を行うので、本変形例の場合も実施例2と同様の効果が得られる。なお、
図8では、ステップS211〜S160までの処理を、ステップS215〜S120までの処理よりも前に行っているが、逆でもよい。
【実施例3】
【0050】
実施例1,2およびこれらの変形例では、端末200に地番のみを表示した。しかし、現場にいるユーザにとっては、安心のため地番のみではなく地図で位置を確認したい場合もある。そこで、実施例3では、地番情報提供装置100から公図の一部を端末200に送る例を示す。地番情報提供装置100と端末200の機能構成は、実施例1,2およびこれらの変形例で示したどの構成でも構わない。また、後述する実施例4で示す構成でも構わない。ただし、地番情報提供装置100は、さらに公図切り出し部150を備える。また、公図データ111は、地図上に位置座標と地番とを関連付けたデータである。
図9に、公図の一部を切り出す場合の処理フローを示す。
【0051】
端末200と地番情報提供装置100は、実施例1,2,4およびこれらの変形例に示されたいずれかの対象座標取得ステップで地番を調べる対象の地点の位置座標を求める(S161,S162,S165,S166,S261,S262,S263,S264,S265,S266,S267,S268)。地番情報取得部140は、地番を調べる対象となる地点の位置座標の地番を取得する(S140)。地番情報提供装置100の通信部195が取得した地番を端末200に送信し、端末200の表示部290が受信した地番を表示してもよい(S290)。
【0052】
公図切り出し部150は、地番を調べる対象となる地点の位置座標を含む公図の一部を取得する。公図の一部は真北を上にした地図とすればよく、地図には地番を調べる対象となる地点の位置を示す印と地番を表示すればよい。また、対象座標取得ステップで地物データも取得する場合は、公図の一部には、地物データ取得部120が取得した地物データも示せばよい。
【0053】
実施例3の地番情報提供システムによれば、ユーザは端末で地番を知りたい地点の画像を撮れば、現場で簡易に地番を知ることができる。さらに撮った画像の場所を含む周辺の公図を見ることができるので、得られた地番に対する信頼度が向上する。
【実施例4】
【0054】
実施例1,2では、地番を調べたい地点の画像は1つとしていた。よって、
図3を用いて説明した通り、ユーザが立っている地面の高さと地番を調べたい地点の高さの違いによる誤差を無視できない場合には、画像取得部240のカメラの高さHをユーザが補正する必要がある。そこで、実施例4では、対象座標算出部260,160は、地番を調べる対象となる1つの地点に対して、位置情報が異なる2つの位置情報、方位情報、姿勢情報、地点の情報にしたがって、地点の位置座標を求める(S260’,S160’)。
【0055】
図10を参照して、位置情報が異なる2つの位置情報、方位情報、姿勢情報、地点の情報にしたがって地点の位置座標を求める方法を説明する。ユーザが、ほぼ同じ高さで位置Aと位置Bで同じ地点900の画像を撮ることで、1つの地点900に対して、位置情報が異なる2つの位置情報、方位情報、姿勢情報、地点の情報を得ることができる。より具体的には、ユーザが姿勢を保ちながら端末の位置を数10cm水平方向に移動させて、同一の地点の画像を撮ればよい。位置A,位置B,地点900で三角形が形成される。ほぼ高さが同じであれば、位置Aと位置Bの位置座標から長さSが分かる。また、方位情報と姿勢情報から角度α,β,γも求めることができる。これらの情報から、位置Aと地点900との長さLは、
L=S・sinβ/sinγ (2)
のように求めることができる。ここで、
図3を参照して説明する。実施例1では高さHをあらかじめ定めて距離Dを求めたが、長さLを上述のように求めることができるので、本実施例の場合、
D=L・sinθ (3)
のように距離Dを求めることができる。したがって、高さHをあらかじめ定めなくても距離Dを求めることができる。なお、初期設定として同一の地点の画像を取り、式(2)によって長さLを求めた上で
H=L・cosθ (4)
のように高さHを求め、あらかじめ定めた高さとして設定し、実施例1,2およびそれらの変形例を実行することも可能である。
【0056】
図11は、
図2に示した処理フローを、地番を調べる対象となる1つの地点に対して、位置情報が異なる2つの位置情報、方位情報、姿勢情報、地点の情報を取得する場合に変更した処理フローである。1つの位置での地番を調べる対象となる地点900に対する情報取得ステップS211と対象指定ステップS250を行った後、他の位置で同一の地点900に対する情報取得ステップS212と対象指定ステップS251を行う。そして、対象座標算出部260が、式(2),(3)によって求めた距離Dを求め、地点900の位置座標を求める(S260’)。
図11のステップS211〜S260’をまとめて、対称座標取得ステップS262と呼ぶことにする。ステップS260’以降の処理は
図2と同じである。したがって、実施例1と同様の効果が得られるとともに、高さHをあらかじめ設定する必要がない。
【0057】
上述の例では、端末200が備える対象座標算出部260が、地点900の位置座標を求めたが、実施例1,2およびそれらの変形例で説明した通り、地番情報提供装置100が備える対象座標算出部160で求めてもよい(S160’)。つまり、実施例1,2およびそれらの変形例は、以下のように変更できる。
【0058】
図12は、
図4に示した処理フローを、地番を調べる対象となる1つの地点に対して位置情報が異なる2つの位置情報、方位情報、姿勢情報、地点の情報を取得する場合に変更した処理フローを示す図である。
図12のステップS211〜S160’をまとめて、対称座標取得ステップS162と呼ぶことにする。ステップS160’以降の処理は
図4と同じである。したがって、実施例1と同様の効果が得られるとともに、高さHをあらかじめ設定する必要がない。
【0059】
図13は、
図5に示した処理フローを、地番を調べる対象となる1つの地点に対して位置情報が異なる2つの位置情報、方位情報、姿勢情報、地点の情報を取得する場合に変更した処理フローを示す図である。ステップS260’以降の処理は
図5と同じである。
図13のステップS211〜S180をまとめて、対称座標取得ステップS264と呼ぶことにする。したがって、実施例2と同様の効果が得られるとともに、高さHをあらかじめ設定する必要がない。
【0060】
図14は、
図6に示した処理フローを、地番を調べる対象となる1つの地点に対して位置情報が異なる2つの位置情報、方位情報、姿勢情報、地点の情報を取得する場合に変更した処理フローを示す図である。ステップS260’以降の処理は
図6と同じである。
図14のステップS211〜S280をまとめて、対称座標取得ステップS267と呼ぶことにする。したがって、実施例2と同様の効果が得られるとともに、高さHをあらかじめ設定する必要がない。
【0061】
図15は、
図7に示した処理フローを、地番を調べる対象となる1つの地点に対して位置情報が異なる2つの位置情報、方位情報、姿勢情報、地点の情報を取得する場合に変更した処理フローを示す図である。ステップS260’以降の処理は
図7と同じである。
図15のステップS211〜S280をまとめて、対称座標取得ステップS268と呼ぶことにする。したがって、実施例2と同様の効果が得られるとともに、高さHをあらかじめ設定する必要がない。
【0062】
図16は、
図8に示した処理フローを、地番を調べる対象となる1つの地点に対して位置情報が異なる2つの位置情報、方位情報、姿勢情報、地点の情報を取得する場合に変更した処理フローを示す図である。ステップS160’以降の処理は
図8と同じである。
図16のステップS211〜S180をまとめて、対称座標取得ステップS166と呼ぶことにする。したがって、実施例2と同様の効果が得られるとともに、高さHをあらかじめ設定する必要がない。
【実施例5】
【0063】
実施例5では、道路工事を行う場合のように2つの地番を特定する必要がある場合に、実施例1,2,4とそれらの変形例を用いる場合を説明する。
図17は、2つの地番を特定し、その間の区間を関連付ける処理フロー例である。
図1に示す地番情報提供システム10においては、地番情報提供装置100は、道路区間取得部190も備え、記録部110は道路網の情報である道路ネットワークデータ113も記録している。
【0064】
端末200と地番情報提供装置100は、上述のいずれかの対象座標取得ステップを用いて地点の位置座標を取得し(S161,S162,S165,S166,S261,S262,S263,S264,S265,S266,S267,S268)、地番情報取得ステップS140を用いて地番を取得する処理を2回行い、2つの地番を得る。なお、地番情報提供装置100の通信部195が取得した地番を端末200に送信し、端末200の表示部290が受信した地番を表示してもよい(S290)。
【0065】
その後、道路区間取得部190が、2つの地番と、それらの地番間の道路ネットワークデータと関連付ける。例えば、道路工事を行う起点と終点を、2つの地番を求める地点とすればよい。実施例5によれば、道路工事に関する業務を効率的に行うことができる。
【0066】
[プログラム、記録媒体]
上述の各種の処理は、記載に従って時系列に実行されるのみならず、処理を実行する装置の処理能力あるいは必要に応じて並列的にあるいは個別に実行されてもよい。その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能であることはいうまでもない。
【0067】
また、上述の構成をコンピュータ(処理回路)によって実現する場合、各装置が有すべき機能の処理内容はプログラムによって記述される。そして、このプログラムをコンピュータで実行することにより、上記処理機能がコンピュータ上で実現される。
【0068】
この処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。コンピュータで読み取り可能な記録媒体としては、例えば、磁気記録装置、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリ等どのようなものでもよい。
【0069】
また、このプログラムの流通は、例えば、そのプログラムを記録したDVD、CD−ROM等の可搬型記録媒体を販売、譲渡、貸与等することによって行う。さらに、このプログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することにより、このプログラムを流通させる構成としてもよい。
【0070】
このようなプログラムを実行するコンピュータは、例えば、まず、可搬型記録媒体に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、一旦、自己の記憶装置に格納する。そして、処理の実行時、このコンピュータは、自己の記録媒体に格納されたプログラムを読み取り、読み取ったプログラムに従った処理を実行する。また、このプログラムの別の実行形態として、コンピュータが可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することとしてもよく、さらに、このコンピュータにサーバコンピュータからプログラムが転送されるたびに、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することとしてもよい。また、サーバコンピュータから、このコンピュータへのプログラムの転送は行わず、その実行指示と結果取得のみによって処理機能を実現する、いわゆるASP(Application Service Provider)型のサービスによって、上述の処理を実行する構成としてもよい。なお、本形態におけるプログラムには、電子計算機による処理の用に供する情報であってプログラムに準ずるもの(コンピュータに対する直接の指令ではないがコンピュータの処理を規定する性質を有するデータ等)を含むものとする。
【0071】
また、この形態では、コンピュータ上で所定のプログラムを実行させることにより、本装置を構成することとしたが、これらの処理内容の少なくとも一部をハードウェア的に実現することとしてもよい。