特許第6961049号(P6961049)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6961049
(24)【登録日】2021年10月14日
(45)【発行日】2021年11月5日
(54)【発明の名称】レンズモジュール
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/02 20210101AFI20211025BHJP
【FI】
   G02B7/02 Z
   G02B7/02 B
   G02B7/02 A
【請求項の数】4
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2020-126164(P2020-126164)
(22)【出願日】2020年7月27日
(65)【公開番号】特開2021-33267(P2021-33267A)
(43)【公開日】2021年3月1日
【審査請求日】2020年7月27日
(31)【優先権主張番号】201921329573.3
(32)【優先日】2019年8月15日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】519312957
【氏名又は名称】エーエーシー オプティックス ソリューションズ ピーティーイー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100128347
【弁理士】
【氏名又は名称】西内 盛二
(72)【発明者】
【氏名】高 玉▲嬋▼
【審査官】 登丸 久寿
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−098429(JP,A)
【文献】 特開2011−053283(JP,A)
【文献】 特開昭61−107308(JP,A)
【文献】 特開2012−123103(JP,A)
【文献】 特開2008−070484(JP,A)
【文献】 特開2011−221243(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0091179(US,A1)
【文献】 特開2009−157279(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズ鏡筒と、前記レンズ鏡筒の像側から物体側への方向に沿って順に設けられる第1レンズ間座及び第2レンズを含むレンズモジュールであって、前記レンズ鏡筒が、通光孔を有する第1筒壁と、前記第1筒壁から屈曲して延在する第2筒壁とを含み、前記第1レンズが、結像領域となる本体部と、前記本体部の周縁から延在する受け部とを含む前記レンズモジュールにおいて、
前記間座は、前記レンズ鏡筒内に収容され、前記間座は、前記第2筒壁の内壁に当接し、前記第1レンズの前記受け部は、前記間座の像側面と前記第2筒壁の像側面とに固定接続され、かつ、前記第1レンズと前記間座及び前記第2筒壁との接続箇所には、接着剤溝が形成されている、
ことを特徴とするレンズモジュール。
【請求項2】
前記間座は、その像側面から、物体側に近接し且つ前記第2筒壁に近接する方向へ向かって斜めに延在する第1表面を含み、前記第2筒壁は、その像側面から、物体側に近接し且つ前記間座に近接する方向へ向かって斜めに延在する第2表面を含み、前記第1表面と前記第2表面は、共同して接着剤注入溝を形成し、前記受け部の物体側面には、間隔を置いて設けられる複数の凹溝が設けられ、複数の前記凹溝は、共同して鋸歯状の接着剤収容溝を形成し、前記接着剤注入溝と前記接着剤収容溝は、共同して前記接着剤溝を形成するように取り囲む、
ことを特徴とする請求項1に記載のレンズモジュール。
【請求項3】
前記間座の像側面と前記第2筒壁の像側面とは、同一の平面に位置する、
ことを特徴とする請求項2に記載のレンズモジュール。
【請求項4】
前記接着剤溝内には、無影接着剤が充填され、紫外光は、前記第1レンズを透過して前記無影接着剤を硬化させて、前記無影接着剤は、前記第1レンズと前記間座及び前記第2筒壁とを接着固定する、
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のレンズモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学結像技術分野に関し、具体的にレンズモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、撮像技術の発展及び撮影機能を搭載した電子製品の勃興に伴って、光学撮像レンズモジュールは、さまざまな製品に広く応用されている。現在の電子製品の体積が益々小さくなる傾向に合わせるために、レンズモジュールの体積も微細化の方向に進行する必要がある。
【0003】
関連技術のレンズモジュールは、レンズ鏡筒と、前記レンズ鏡筒の像側から物体側への方向に沿って順に設けられる第1レンズ及び間座とを含み、前記レンズ鏡筒は、通光孔を有する第1筒壁と、前記第1筒壁から屈曲して延在する第2筒壁とを含む。
【0004】
しかしながら、関連技術のレンズモジュールでは、前記第1レンズ及び前記間座が前記第2筒壁に収容されることが多い。そして、関連技術のレンズモジュールの組み立て工程では、前記間座及び前記第1レンズを順に前記第2筒壁内に格納して、最後に押さえリングを用いて前記第1レンズを加締めて接着固定することが多い。そうすると、レンズの高さ及びバックフォーカスの長さは、前記押さえリングによって制限される。
【0005】
したがって、従来技術においてレンズの高さ及びバックフォーカスの長さが押さえリングによって制限されるという欠陥に対して、上記問題を解決するために、新たなレンズモジュールであって、安定性及び信頼性が高く、その外形寸法を小さくでき、全長も短くできると共に、機械的なバックフォーカスの長さを大きくすることができるレンズモジュールを提供する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする技術問題は、従来技術のレンズモジュールにおいてレンズの高さ及びバックフォーカスの長さが押さえリングによって制限されるという欠陥であり、本発明は、新たなレンズモジュールであって、安定性及び信頼性が高く、その外形寸法を小さくでき、全長も短くできると共に、機械的なバックフォーカスの長さを大きくすることができるレンズモジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、レンズモジュールを提供する。当該レンズモジュールは、レンズ鏡筒と、前記レンズ鏡筒の像側から物体側への方向に沿って順に設けられる第1レンズ及び間座を含み、前記レンズ鏡筒は、通光孔を有する第1筒壁と、前記第1筒壁から屈曲して延在する第2筒壁とを含み、前記第1レンズは、結像領域となる本体部と、前記本体部の周縁から延在する受け部とを含み、前記間座は、前記レンズ鏡筒内に収容され、前記間座は、前記第2筒壁の内壁に当接し、前記第1レンズの前記受け部は、前記間座の像側面と前記第2筒壁の像側面とに固定接続され、かつ、前記第1レンズと前記間座及び前記第2筒壁との接続箇所には、接着剤溝が形成されている。
【0008】
好ましくは、前記間座は、その像側面から、物体側に近接し且つ前記第2筒壁に近接する方向へ向かって斜めに延在する第1表面を含み、前記第2筒壁は、その像側面から、物体側に近接し且つ前記間座に近接する方向へ向かって斜めに延在する第2表面を含み、前記第1表面と前記第2表面は、共同して接着剤注入溝を形成し、前記受け部の物体側面には、間隔を置いて設けられる複数の凹溝が設けられ、複数の前記凹溝は、共同して鋸歯状の接着剤収容溝を形成し、前記接着剤注入溝と前記接着剤収容溝は、共同して前記接着剤溝を形成するように取り囲む。
【0009】
好ましくは、前記間座の像側面と前記第2筒壁の像側面とは、同一の平面に位置する。
【0010】
好ましくは、前記接着剤溝内には、無影接着剤が充填され、紫外光は、前記第1レンズを透過して前記無影接着剤を硬化させて、前記無影接着剤は、前記第1レンズと前記間座及び前記第2筒壁とを接着固定する。
【発明の効果】
【0011】
関連技術に比べて、本発明のレンズモジュールでは、前記第1レンズを前記第2筒壁の像側面に固定接続するように設けることによって、前記第1レンズが前記レンズ鏡筒の内壁と嵌合しないようにされ、さらに前記レンズモジュールの外形寸法を小さくすることができる。前記第1レンズは、前記レンズ鏡筒と直接接着されることによって、前記レンズモジュールにおいて押さえリングを用いて固定する必要がなくなり、前記レンズモジュールの全体の長さを小さくして、機械的なバックフォーカスを増やすことに有利になる。前記第1レンズと前記間座及び前記第2筒壁との接続箇所には、鋸歯状の前記接着剤溝が形成されることによって、接着面積が効果的に大きくされており、前記レンズモジュールの安定性および信頼性の向上に有利になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本発明の実施例における技術案をより明瞭に説明するために、以下では、実施例に記載された使用が必要な図面を簡単に紹介し、明らかに、以下に記載される図面は、本発明の一部の実施例に過ぎず、当業者にとって、創造的労力をかけない前提で、これらの図面より他の図面を得ることができる。
図1】本発明に係るレンズモジュールの平面構造の模式図である。
図2図1に示すレンズモジュールのA部分の拡大図である。
図3図2に示すレンズモジュールにおいて接着剤を除去したあとの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下では、本発明の実施例における図面を参照しながら、本発明の実施例における技術案を明瞭に、完全に説明する。当然ながら、説明される実施例は、本発明の一部の実施例に過ぎす、全ての実施例ではない。本発明における実施例に基づき、当業者は、創造的労力をかけない前提で、得た全ての他の実施例は、いずれも本発明の保護範囲に含まれる。
【0014】
図1図3を併せて参照すると、本発明は、レンズモジュール100を提供する。前記レンズモジュール100は、レンズ鏡筒10と、前記レンズ鏡筒10の像側から物体側への方向に沿って順に設けられる第1レンズ30及び間座50とを含む。ここで、前記間座50は、前記レンズ鏡筒10内に収容され、前記第1レンズ30は、前記間座50及び前記レンズ鏡筒10の像側面に固定接続されている。
【0015】
前記レンズ鏡筒10は、通光孔101を有する第1筒壁11と、第1筒壁11から屈曲して延在する第2筒壁13とを含む。前記第1レンズ30は、前記間座50の像側面及び前記第2筒壁13の像側面に固定接続され、かつ、前記第1レンズ30と前記間座50及び前記第2筒壁13との接続箇所には、鋸歯状の接着剤溝102が形成されている。
【0016】
前記第1レンズ30が前記第2筒壁13の像側面に固定接続されるように設けられることによって、前記第1レンズ30が前記レンズ鏡筒10の内壁と嵌合しないようにされ、さらに前記レンズモジュールの100の外形寸法を小さくすることが可能になる。同時に、前記第1レンズ30が前記レンズ鏡筒10に直接接着されることによって、前記レンズモジュール100において押さえリングを用いて固定する必要がなくなり、前記レンズモジュール100の全体の長さを小さくして、機械的なバックフォーカスを増やすことに有利になる。
【0017】
前記間座50は、前記第2筒壁13の内壁に当接する。具体的には、前記間座50は、その像側面から、物体側に近接し且つ前記第2筒壁13に近接する方向へ向かって斜めに延在する第1表面51を含み、前記第2筒壁13は、その像側面から、物体側に近接し且つ前記間座50に近接する方向へ向かって斜めに延在する第2表面131を含み、前記第1表面51と前記第2表面131は、共同して接着剤注入溝103を形成する。
【0018】
前記第1レンズ30は、結像領域となる本体部31と、前記本体部31の周縁から延在する受け部33とを含み、前記凹溝は、前記受け部33に設けられている。
【0019】
前記受け部33の物体側面には、間隔を置いて設けられた複数の凹溝が設けられており、複数の前記凹溝は、共同して鋸歯状の接着剤収容溝104を形成し、前記接着剤収容溝104及び前記接着剤注入溝103は、共同して前記接着剤溝102を形成するように取り囲む。
【0020】
複数の前記凹溝により共に形成されるように前記接着剤収容溝104を設けることによって、接着面積を効果的に大きくすることができ、レンズモジュール100の安定性および信頼性の向上に有利になる。
【0021】
好ましくは、前記間座50の像側面と前記第2筒壁13の像側面とは、同一の平面に位置する。
【0022】
前記第1レンズ30は、透明な材質で構成され、前記接着剤溝102内には、無影接着剤が充填される。紫外光は、前記第1レンズ30を透過して前記無影接着剤を硬化させて、前記無影接着剤は、前記第1レンズ30と前記間座50及び前記第2筒壁13とを接着固定する。
【0023】
本発明に係る前記レンズモジュール100の組み立て工程は、以下の通りである。
ステップ1では、前記間座50を前記レンズ鏡筒10に格納して、前記間座50の像側面と前記第2筒壁13の像側面を面一にする。
ステップ2では、前記第1表面51及び前記第2表面31によって共に取り囲まれる前記接着剤注入溝103内には、無影接着剤を充填する。
ステップ3では、前記第1レンズ30を組み立てて、偏心を調整すると同時に、前記接着剤収容溝104と前記接着剤注入溝103は、共に取り囲んで前記接着剤溝102を形成し、且つ、無影接着剤で前記接着剤溝102を満たす。
ステップ4では、紫外光が前記第1レンズ30を透過して前記接着剤溝102内に照射されるように、紫外光を供給して、前記接着剤溝102内の無影接着剤を硬化させる。
【0024】
従来技術と比較して、本発明のレンズモジュール100は、前記第1レンズ30を前記第2筒壁13の像側面に固定接続するように設けることによって、前記第1レンズ30が前記レンズ鏡筒10の内壁と嵌合しないようにされ、さらに前記レンズモジュール100の外形寸法をより小さくすることができる。前記第1レンズ30は、前記レンズ鏡筒10と直接接着されることによって、前記レンズモジュール100において押さえリングを用いて固定する必要がなくなり、前記レンズモジュール100の全体の長さを小さくして、機械的なバックフォーカスを増やすことに有利になる。前記第1レンズ30と前記間座50及び前記第2筒壁13との接続箇所には、鋸歯状の前記接着剤溝102が形成されることによって、接着面積が効果的に大きくされており、前記レンズモジュール100の安定性および信頼性の向上に有利になる。
【0025】
上述したのは、単に本発明の実施形態であり、当業者にとって、本発明の創造的構想を逸脱しない前提で、種々の改良も行ってもよいが、これらは、いずれも本発明の保護範囲に含まれると理解されるべきである。
図1
図2
図3