(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の複合基板、弾性波素子の一例を図面を用いて詳細に説明する。
【0009】
(複合基板)
本実施形態の複合基板1は、
図1に示すように、いわゆる貼り合せ基板であり、第1基板10と、第2基板20と、第1基板10と第2基板20との間に位置する中間層50とで構成される。ここで、
図1(a)は複合基板1の上面図を示し、
図1(b)は複合基板1の一部を破断した斜視図を示す。
【0010】
第1基板10は、圧電材料からなり、例えば、タンタル酸リチウム(LiTaO
3,以下、LTという)結晶からなる圧電性を有する単結晶の基板によって構成されている。具体的には、例えば、第1基板10は、36°〜60°Yカット−X伝播のLT基板によって構成されている。ニオブ酸リチウム結晶を用いてもよい。この場合には例えば60°〜70°Yカットとしてもよい。
【0011】
第1基板10の厚みは、面内においてほぼ一定であり、ピッチpの2倍未満となるように設計される。ここで、ピッチpとは、後述するIDT電極31を構成する電極指32の繰り返し間隔を示すものである。より具体的には、電極指32の幅方向における中心間の間隔を示すものである。また、第1基板10は後述の中間層50の厚みと合わせて2p未満の厚みしてもよい。第1基板10の平面形状および各種寸法も適宜に設定されてよい。なお、この例では、LT基板のX軸と弾性表面波(Surface Acoustic Wave:SAW)の伝搬方向とは略一致している。
【0012】
第2基板20は、薄い第1基板10を支持するものであり、第1基板10よりも厚く、強度の高い材料からなる。また、第1基板10の材料よりも熱膨張係数が小さい材料で形成してもよい。この場合には、温度変化が生じると第1基板10に熱応力が生じ、この際、弾性定数の温度依存性と応力依存性とが打ち消し合い、ひいては、弾性波素子(SAW素子)の電気特性の温度変化が抑制される。
【0013】
さらに、第2基板20は、第1基板10中を伝搬する横波バルク波に比べて第2基板20中を伝搬する横波バルク波の音速が高い材料からなる。理由については後述する。
【0014】
このような第2基板20として、本開示では、サファイア基板を用いる。
【0015】
第2基板20の厚さは、例えば、一定であり、適宜に設定されてよい。ただし、第2基板20の厚さは、温度補償が好適に行われるように、第1基板10の厚さを考慮して設定される。また、本開示の第1基板10の厚さは非常に薄いため、第2基板20は、第1基板10を支持可能な厚さに考慮して決定される。一例として、第1基板10の厚さの10倍以上としてもよく、第2基板15の厚さは20〜300μmである。第2基板20の平面形状および各種寸法は、第1基板10と同等としてもよいし、第1基板10よりも大きくてもよい。
【0016】
また、基板全体の強度向上や、熱応力によるそりを防止し、第1基板10により強い熱応力をかける目的で、第2基板20の第1基板10と反対側の面に、第2基板20よりも熱膨張係数の大きい不図示の第3基板を貼り付けてもよい。第3基板は、第2基板20がSiからなる場合には、セラミック基板,Cu層,樹脂基板等を用いることができる。また、第3基板を設ける場合には、第2基板20の厚みを薄くしてもよい。
【0017】
第1基板10および第2基板20の間には中間層50が位置している。中間層50は互いに向き合う第1面50aと第2面50bとを備え、第1面50aを第1基板10に接合させ、第2面50bを第2基板20に接合させている。
【0018】
中間層50を形成する材料としては、第1基板10よりもバルク波の横波の音速が遅い材料で構成される。具体的には第1基板10がLT基板で構成され、第2基板20がサファイアで構成される場合には、酸化ケイ素,酸化タンタル,酸化チタン等とすることができる。
【0019】
このような中間層50は、第1基板10上または第2基板20上に成膜して形成してもよい。具体的には、MBE(Molecurer Beam Epitaxy)法、ALD(Atomic Layer Deposition)法、CVD(Chemical
Vapor Deposition)法、スパッタ法、蒸着法等により支持基板とする第1基板10または第2基板20上に中間層50を形成する。然る後に、中間層50の上面と、残りの基板(10または20)とをプラズマやイオンガン,中性子ガンなどで活性化処理した後に接着層を介在させずに貼り合わせる、いわゆる直接接合によって貼り合わされていても良い。
【0020】
このような中間層50の結晶性は、アモルファス、多結晶等適宜自由に選択できる。なお、中間層50の厚みについては後述する。
【0021】
(SAW素子)
そして、複合基板1は、
図2に示す通りの複数の区画に区分され、その一区分それぞれがSAW素子30となる。具体的には、複合基板1を各区画ごとに切り出し個片化してSAW素子30とする。SAW素子30は、第1基板10の上面にSAWを励振するIDT電極31が形成されている。IDT電極31は電極指32を複数本有し、その配列方向に沿ってSAWが伝搬する。ここで、この配列方向は、第1基板10の圧電結晶のX軸と概ね平行である。
【0022】
SAW素子30は、複合基板1を用いることにより、温度変化による周波数特性(電気特性)変化を抑制することができる。
【0023】
また、SAW素子30は、第1基板10が薄く、かつ、中間層50を介在させて第2基板20を貼り合せている。このような構成により、SAW素子30では、第1基板10の下面または第2基板20の上面においてバルク波が反射して再びIDT電極31に入力されることにより、特定の周波数にバルク波スプリアスと呼ばれるリップルが発生する。
【0024】
バルク波スプリアスは、特に第2基板20におけるバルク波の音速が、第1基板10を伝播するバルク波の音速よりも速い場合(第1基板10がLTやLiNbO
3などで、第2基板20がサファイアやSiなどの場合)は顕著になる。これは、音速の差によってバルク波が第1基板10内に閉じ込められ、第1基板10があたかもバルク波を伝搬させる導波路のような動作をし、そのバルク波とIDT電極31が特定の周波数でカップリングするためである。
【0025】
ここで、バルク波スプリアスの発生周波数は、第1基板10の厚みが薄くなるほど高周波数側にシフトしていき、2p未満の領域においては、共振周波数および反共振周波数近傍には存在しなくなる。本開示のSAW素子30において、第1基板10の厚みは中間層50を含めて2p未満となっているため、バルク波スプリアスによる共振特性の低下を抑制することができる。
【0026】
また、第1基板10の厚みを1.6p以下とする場合には、共振周波数および反共振周波数の双方の近傍においてバルク波スプリアスの発現を抑制することができる。これにより、バルク波スプリアスの影響を抑制したSAW素子30を提供することができる。
【0027】
さらに、第1基板10の厚みを0.4p〜1.2pとする場合には、さらに高い周波数帯までバルク波スプリアスが発生しないことから、優れた電気特性を備えるSAW素子30を提供することができる。
【0028】
なお、第1基板10の厚みが0.4pよりも薄い場合には、共振周波数frと反共振周波数faとの差分(周波数差fa−fr)が小さくなる。このため、安定した周波数特性を発現させるために、第1基板10の厚みを0.4p以上としてもよい。
【0029】
一方、SAW素子30のQ値を高めるためには第1基板10の厚みは薄い方がよく、具体的には1p未満としてもよい。
【0030】
参考までに、第1基板10の厚みを薄くしたSAW素子30は、例えば特開2004−282232号公報,特開2015―73331号公報,特開2015−92782号公報に開示されている。
【0031】
このように、第1基板10の厚みを薄くすることにより、電気特性の優れたSAW素子30を提供することができる。しかし、その一方で、SAW素子30の周波数特性は、第1基板10の厚みの影響を受けるようになる。また、第1基板10と中間層50との合計厚みが波長よりも薄いため、SAWの一部が第2基板20にも届くこととなる。このため、SAW素子30は、第2基板20の材料特性の影響を受けることとなる。
【0032】
まず、第2基板20の影響について検討する。第1基板10の厚みは2p未満であることから、SAWの波長未満の厚みとなり、SAWの一部が第2基板20に分布することとなる。ここで、SAWが抵抗率の低い材料中に分布すると、SAW素子30のQ値が低下する。このため、第2基板20としては高い絶縁性を備えることが求められる。そこで、絶縁性の高さから第2基板20の材料としてサファイア基板を用いることとする。
【0033】
また、サファイア基板は音速が早いため、通過帯域より高周波数側に位置するバルク波スプリアスを、Si等の他の基板に比べ高周波数側に位置させることができる。このことからも第2基板20としてサファイア基板を用いることで、バルク波スプリアスの抑制されたSAW素子30を提供することができる。
【0034】
次に、第1基板10の厚みの影響について検討する。第1基板10の厚みが変化すると、周波数特性が変化する。これは、第1基板10の厚みのバラツキにより周波数特性が大きく変動することを示している。第1基板10は単結晶基板を研磨する、もしくは薄膜プロセスにて成膜して形成する。このため、実際の製造工程では膜厚のバラツキが不可避である。そこで、SAW素子30として安定した周波数特性を実現するためには、第1基板10の厚みに対してロバスト性を高める必要がある。
【0035】
しかしながら、第2基板20として用いるサファイアは、ロバスト性の低い材料となっている。以下、その理由について説明する。
【0036】
第1基板10の厚みのバラツキに対してロバスト性を高めるには、具体的には、第1基板10の厚みの変化に対する周波数変化率を低くする必要がある。ここで、第1基板10の厚みが変化したときの共振周波数および反共振周波数の変化率の絶対値の平均値を周波数変化率と定義する。周波数変化率は以下の数式で表される。
(Δf/f)/(Δt/t)=(|(Δfr/fr)/(Δt/t)|+|(Δfa/fa)/(Δt/t)|)/2
ここで、fは周波数、frは共振周波数、faは反共振周波数、tは第1基板10の厚みを指すものとする。また、Δはその変化量を示す。周波数変化率の単位は無次元であるが、分かりやすいように%/%と示すこととする。この周波数変化率が小さい場合、SAW素子はロバスト性が高くなる。
【0037】
この周波数変化率を第2基板20の材料パラメータを変化させてシミュレーションした結果を
図3に示す。
図3において、横軸は第2基板20中を伝播する横波バルク波の音速V(単位:m/s)を、縦軸を第2基板20の音響インピーダンスI(単位:MRayl)を示し、周波数変化率の等高線図を示している。
【0038】
図3からも明らかなように、第2基板20としてサファイア(Al
2O
3)を用いる場合には、周波数変化率が比較的高くなっていることが確認できる。
【0039】
ここで、本開示のSAW素子1によれば、第1基板10の直下に中間層50を配置している。この中間層50の存在により、上述のような周波数変化率が比較的高くなる虞のあるサファイアを第2基板20に用いた場合であっても、第1基板10の厚みに対するロバスト性を高めることができる。以下、そのメカニズムについて説明する。
【0040】
2p未満の厚みの第1基板10において、その厚みが厚くなると、SAWの弾性波振動の第1基板10内の分布量が多くなるため周波数が低周波数側にシフトする。その一方で、第1基板10の厚みが厚くなると、中間層50および第2基板20内におけるSAWの分布量は減ることになる。
【0041】
ここで、中間層50は、前述の通り、音速が第1基板10よりも遅くなっている。このような音速の遅い中間層50におけるSAWの分布量が少なくなることで、SAW素子30全体の周波数特性は高周波数側にシフトする。
【0042】
そして、第2基板20は、前述の通り、音速が第1基板10よりも早くなっている。このような音速の速い第2基板20におけるSAWの分布量が少なくなることで、SAW素子30全体の周波数特性は低周波数側にシフトする。
【0043】
このような3つの構成要素を積層した構成とすることで、SAW素子30全体としては周波数特性の変化を打ち消し合い、周波数変化を抑制することができる。ここで、第1基板10が薄い場合には、厚み変化による周波数低下が大きくなることから、第1基板10と同じく、第2基板20よりも音速が遅い材料からなる中間層50を導入することでこの周波数低下を緩和することができる。これは、バルク波スプリアスの特性はそのままに、第1基板10の厚みを厚くすることでロバスト性を高めたのと同様の効果を示すことを可能としたともいえる。
【0044】
このような中間層50を挿入することによる効果を検証する。
【0045】
図4に、中間層50の厚みと第1基板10の厚みとを異ならせたときのSAW素子30の共振周波数frの値の変化の様子を示す。
図4において、横軸は第1基板10のピッチに対する厚み比を、縦軸は周波数(単位:MHz)を示している。
【0046】
図4において、中間層50としてTa
2O
5を用いて、その厚みを0.14p〜0.20pまで異ならせて、各厚みにおける共振周波数変化の様子をシミレーションした結果を示している。
図4から明らかなように、中間層50が存在していても第1基板10の厚みの変化に応じて共振周波数は変化するが、その変化率が小さくなる領域があることを確認できる。より詳細には、第1基板10の厚みに応じて周波数変化率を小さくすることのできる中間層50厚みが存在することが分かる。
【0047】
図4に示すシミュレーションの結果を元に、
図5に、第1基板10の厚みと中間層50の厚みとを異ならせた場合の周波数変化の様子を等高線で示した。
図5に示す通り、第1基板10の厚みが0.9p未満までの領域においては、第1基板10の厚みが厚くなるほど、周波数変化を±1MHz/p以内におさめることのできる中間層50厚みは線形的に小さくなる様子が確認された。なお、
図5中において、周波数変化を±1MHz/p以内におさめることのできる領域をA1としている。第1基板10の厚みと、中間層50厚みとを
図5の領域A1内に位置するような関係とすることで、周波数変動の小さい、優れた電気特性を実現可能となる。
【0048】
ここで、第1基板10の厚みは0.9p以上の領域では、第1基板10の厚みが厚くなっても領域A1となる中間層50の厚みは薄くならず、相関性が低くなっていることが分かる。これは、第1基板10の厚みが厚くなり、第1基板10の外側に漏洩するSAWの割合が少なくなったことに起因すると考えられる。
【0049】
以上を踏まえると、第1基板10の厚みDが0.85p以下の領域では、中間層50の厚みをピッチ比換算で、−0.0925×D+0.237p±0.005p以内としてもよい。このような範囲の中央値を
図5中に破線で示している。
【0050】
なお、
図5からも明らかなように、周波数変化を±1MHz/p以内とできる領域の幅が特異的に大きくなる領域がある。具体的には、第1基板10の厚みを0.68p±0.02p、中間層50の厚みを0.18p±0.005pとしたときにロバスト性を高くすることができる。また、中間層50の厚みに対するロバスト性を高めることに着目すると、第1基板10の厚みを0.65p〜0.75pとしてもよい。この場合には、周波数変化を±1MHz/p以内とすることのできる中間層50幅を大きくとることができる。同様に、第1基板10の厚み変動に対するロバスト性を高めることに着目すると、中間層50の厚みを0.18p〜0.185pとしてもよい。その場合には、周波数変化を±1MHz/p以内とすることのできる第1基板10の厚みの幅を飛躍的に大きくすることができる。特に中間層50の厚みが0.183p〜0.185pの場合には、周波数変化を±1MHz/p以内とすることのできる第1基板10の厚みの幅を0.55p〜0.72pと大きくすることができる。
【0051】
なお、中間層50がない場合には、共振周波数は、
図4において中間層50の厚みが0.14pのものよりも大きく変動することを確認している。具体的には、
図7に、中間層50を備えない、LTからなる第1基板とサファイアからなる第2基板とを直接貼り合せた弾性波素子について、第1基板厚みに対する共振周波数の変化の様子を示している。
図7において横軸は第1基板のピッチに対する厚み(ピッチで規格化した厚み)を示し、縦軸に共振周波数(単位:MHz)を示している。
【0052】
図7から明らかなように、第1基板の厚みが1p未満の場合には周波数変化率が高い。具体的には、第1基板の厚みは0.6p〜0.8pの間の領域において、第1基板の厚みが0.1μm変化したときの周波数変化量は3.7MHzであった。これに対して、SAW素子30によれば、同様の厚み範囲において0.23MHzであり、15倍以上ロバスト性が高まっていることが確認できた。
【0053】
なお、中間層として音速の高い材料を用いた場合には第2基板が直接接合されているときと同様のメカニズムで共振周波数の変動は大きくなっていた。以上より、音速の低い中間層50を設けることにより初めて、第1基板10の厚みバラツキに対してロバスト性の高いSAW素子30を提供することができる。
【0054】
(SAW素子30の変形例)
上述の例では、第1基板10の厚みについては、中間層50と合わせて2p未満という制限があるのみであったが、0.55p〜0.85pとしてもよい。
【0055】
図4からも明らかなように、第1基板10の厚みが厚くなるにつれて周波数変化は小さくなる傾向がある。その一方で、共振子としての特性に着目すると、第1基板10の厚みが小さくなるほどロスが小さくなる。このため、第1基板10の厚みは1p以下としてもよい。さらに、0.85p以下とした場合には、共振子の最大位相を88deg以上とすることができる。
【0056】
一方で、第1基板10の厚みが0.4p以下の場合には、共振周波数と反共振周波数の差が小さくなっていき、十分な周波数差を確保できなくなる虞がある。また、0.55p以上となると領域A1が広くなり、中間層50の厚みに対するロバスト性も高めることができる。
【0057】
これらを考慮にいれると、第1基板10の厚みは0.55p〜0.85pとしてもよい。この場合には、共振子としての特性も高い上に、
図4からも明らかなように、中間層50の厚みに対してもロバスト性の高い領域となっている。すなわち、第1基板10の厚み変動、中間層50の厚み変動双方に対して許容度が高く、周波数変化の少ないSAW素子30を提供することができる。
【0058】
このような厚みの第1基板10を用いる場合の中間層50の厚みについて検討する。
図6は、中間層50の厚みと共振周波数のシフト量との関係を示す線図である。第1基板10の厚みは上述の範囲内としている。また、シフト量とは、第1基板10の厚みを0.1μm(すなわち0.037p)異ならせたときの共振周波数の変化量である。
【0059】
図6において、横軸は中間層50のピッチに対する厚み、縦軸は第1基板10の厚みを0.1μm異ならせた場合の共振周波数のシフト量を示している。また、
図6(a)は中間層としてTa
2O
5を用いた場合をについて、
図6(b)はSiO
2を用いた場合、
図6(c)はTiO
2を用いた場合について示している。
【0060】
図6から明らかなように、第1基板10の厚みが0.55p〜0.85pの範囲内においては、中間層50の材料を異ならせた場合であってもシフト量がゼロとなる厚みは約0.0.18pとなることを確認できた。そして、シフト量が±1MHz以内の中間層50の厚み範囲は、Ta
2O
5の場合には、0.12p〜0.23p、SiO
2の場合には、0.08p〜0.24p、TiO
2の場合には、0.12p〜0.22pとなる。以上より、中間層50の厚みは、0.08p〜0.24p以下としてもよく、より好ましくは0.12p〜0.22pとしてもよい。さらに、0.15p〜0.21pとする場合には、さらに周波数変化の少ないSAW素子30を提供することができる。
【0061】
なお、中間層50の材料としては、酸化ケイ素を用いた場合には、中間層50の膜厚が変化しても周波数シフト量の変化の割合が小さかった。すなわち、
図6における線分の傾きが小さかった。このことから、中間層50の厚みに対するロバスト性を高めるためには酸化ケイ素を用いてもよい。
【0062】
一方で、共振子特性Δfの観点からは、中間層50として酸化タンタルを用いてもよい。その場合にはΔf低減の効果が期待でき、より急峻なフィルタ特性を得ることができる。
中間層50の材料として酸化チタンを用いた場合における線分の傾き(図6(c))は、中間層50の材料として酸化タンタルを用いた場合における線分の傾き(図6(a))と同程度であった。