(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6961087
(24)【登録日】2021年10月14日
(45)【発行日】2021年11月5日
(54)【発明の名称】モジュール化乾燥機構造及びトンネル型乾燥機
(51)【国際特許分類】
F26B 21/02 20060101AFI20211025BHJP
F26B 13/00 20060101ALI20211025BHJP
F26B 21/10 20060101ALI20211025BHJP
F26B 3/02 20060101ALI20211025BHJP
【FI】
F26B21/02
F26B13/00 Z
F26B21/10 A
F26B3/02
【請求項の数】8
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2020-528452(P2020-528452)
(86)(22)【出願日】2018年11月29日
(65)【公表番号】特表2021-504662(P2021-504662A)
(43)【公表日】2021年2月15日
(86)【国際出願番号】CN2018118181
(87)【国際公開番号】WO2019120056
(87)【国際公開日】20190627
【審査請求日】2020年5月25日
(31)【優先権主張番号】201711399593.3
(32)【優先日】2017年12月22日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517101366
【氏名又は名称】ジュシ グループ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】特許業務法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】邵建松
(72)【発明者】
【氏名】彭海▲堅▼
【審査官】
竹下 和志
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−212090(JP,A)
【文献】
特開2005−047100(JP,A)
【文献】
特開2006−101752(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F26B 1/00 − 25/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレーム及び風路構造(1)を含むモジュール化乾燥機構造であって、
前記フレーム内には、トンネル吸気室(15)、トンネル還気室(12)、及び前記トンネル吸気室(15)と前記トンネル還気室(12)との間に位置するトンネル乾燥室(11)が設けられ、前記トンネル吸気室(15)と前記トンネル乾燥室(11)との間にはトンネル吸気板(16)が設けられ、前記トンネル還気室(12)と前記トンネル乾燥室(11)との間にはトンネル還気板(17)が設けられており、前記トンネル吸気板(16)と前記トンネル還気板(17)には、それぞれ複数の貫通穴が設けられており、
前記トンネル乾燥室(11)の上方には、ファン吸気室(13)が設けられ、前記ファン吸気室(13)内には、ヒーター(2)が設けられており、
前記ファン吸気室(13)と前記フレームの天井部との間にはファン排気室(14)が設けられており、
前記フレームの天井部には、循環ファン(3)が設けられ、前記ファン吸気室(13)の天井部には前記循環ファン(3)の吸気口が連通されており、
前記モジュール化乾燥機構造は、さらに、温度制御システム(5)と、制御装置とを含み、前記温度制御システム(5)は、複数の温度センサー(51)を含み、前記温度センサー(51)は、前記トンネル吸気室(15)及び/又は前記トンネル還気室(12)及び/又は前記トンネル乾燥室(11)内に設けられており、
前記温度センサー(51)の出力端子は、制御装置に接続され、前記制御装置の出力端子は、前記ヒーター(2)の制御信号入力端子及び前記循環ファン(3)の制御信号入力端子に接続されており、
前記トンネル吸気板(16)の上部貫通穴の分布密度は、下部貫通穴の分布密度よりも高く、前記トンネル還気板(17)の上部貫通穴の分布密度は、下部貫通穴の分布密度よりも小さい、ことを特徴とするモジュール化乾燥機構造。
【請求項2】
前記トンネル還気室(12)と前記ファン吸気室(13)との間には循環風フィルター(18)が設けられている、ことを特徴とする請求項1に記載のモジュール化乾燥機構造。
【請求項3】
前記ヒーター(2)は、電気による加熱、蒸気による加熱、ガス燃焼による加熱又は熱風による加熱方式を用いている、ことを特徴とする請求項1に記載のモジュール化乾燥機構造。
【請求項4】
前記循環ファン(3)は、プラグファンを用いており、前記循環ファン(3)は、前記フレームの天井部から前記乾燥機構造の内部に埋め込まれている、ことを特徴とする請求項1に記載のモジュール化乾燥機構造。
【請求項5】
前記フレームの内壁には、保温層(4)が設けられている、ことを特徴とする請求項1に記載のモジュール化乾燥機構造。
【請求項6】
順次に接続し、かつ互いに連通する請求項1に記載の前記モジュール化乾燥機構造を複数含む、ことを特徴とするトンネル型乾燥機。
【請求項7】
隣り合う前記モジュール化乾燥機構造の前記トンネル乾燥室(11)における循環風の方向が互いに反対となっている、ことを特徴とする請求項6に記載のトンネル型乾燥機。
【請求項8】
前記トンネル型乾燥機の両端には、それぞれ上下に移動可能な乾燥機のドアが設けられている、ことを特徴とする請求項6に記載のトンネル型乾燥機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乾燥機の技術分野に関し、特にガラス繊維乾燥用の乾燥機構造に関する。
【0002】
本願は、2017年12月22日に中国専利局へ出願した出願番号201711399593.3、発明の名称「モジュール化乾燥機構造」の中国専利出願に基づく優先権を主張する。その全ての内容は、援用によって本願に組み込まれるものである。
【背景技術】
【0003】
近年来、伝統的に建築材であるガラス繊維は、新しい材料として風力発電、高速鉄道、自動車などの業界で広く適用され、業界での規模が持続的に拡大されている。同時に、伝統的な業界として、ガラス繊維の生産中、高いエネルギー消費が必要となり、その中、乾燥機は、ガラス繊維の生産中に製品の品質に影響が大きく、エネルギー消費が高い重要な機器である。
【0004】
ガラス繊維プロセスにおける乾燥機は、通常、体積が大きく、床置き型のものとして配置され、循環風速及び循環風量を大きく必要とし、循環ファンも大きいものである。循環ファンは、通常、乾燥室の外側に配置され、ダクトを介して乾燥室に繋がっている。このような乾燥機は、体積が大きく、放熱量も大きく、且つサイズの大きい乾燥室内の風速も均一になりにくくて乾燥品質に影響している。同時に、そんなに美しくない。
【0005】
生産量の増加に伴い、通常、より大きな乾燥機が求められている。より大きな乾燥機でも、単位製品当たりのエネルギー消費を適切に低減させることができる。業界では、生産性がよく、操作が確実で、増産が容易な乾燥機設計が必要となっている。モジュール化乾燥機構造は、このようなニーズに合致している。
【発明の概要】
【0006】
上記課題について、本発明は、以上の課題のうちのいずれか1つを解決するモジュール化乾燥機構造、及び複数の前記モジュール化乾燥機構造を用いることにより構成されるトンネル型乾燥機を提供することを目的としている。当該乾燥機は、生産のエネルギー消費を低減し、乾燥品質を上げ、必要に応じて生産量を高めることができ、かつ構造が簡単で、実施しやすく、操作が安定し、メンテナンスが容易になるものである。
【0007】
本発明は、フレーム及び風路構造を含むモジュール化乾燥機構造であって、前記フレーム内には、トンネル吸気室、トンネル還気室、及び前記トンネル吸気室と前記トンネル還気室との間に位置するトンネル乾燥室が設けられ、前記トンネル乾燥室は、素材を乾燥させるためのものであり、前記トンネル吸気室と前記トンネル乾燥室との間にはトンネル吸気板が設けられ、前記トンネル還気室と前記トンネル乾燥室との間にはトンネル還気板が設けられており、前記トンネル吸気板と前記トンネル還気板には、それぞれ複数の貫通穴が設けられており、
前記トンネル乾燥室の上方には、ファン吸気室が設けられ、前記ファン吸気室内には、ヒーターが設けられており、
前記ファン吸気室と前記フレームの天井部との間には、ファン排気室が設けられており、
前記フレームの天井部には、循環ファンが設けられ、前記ファン吸気室の天井部には前記循環ファンの吸気口が連通されており、
前記モジュール化乾燥機構造は、さらに、温度制御システムと、制御装置とを含み、前記温度制御システムは、温度センサーを複数含み、前記温度センサーは、前記トンネル吸気室及び/又は前記トンネル還気室に設けられ、前記トンネル乾燥室内に設けられてもよく、
前記温度センサーの出力端子は、制御装置に接続され、前記制御装置の出力端子は、前記ヒーターの制御信号入力端子及び前記循環ファンの制御信号入力端子に接続されている、モジュール化乾燥機構造を提供している。
【0008】
上記において、前記ファン排気室には前記トンネル吸気室の上端が連通され、前記ファン吸気室には前記トンネル還気室の上端が連通されている。
【0009】
上記において、前記トンネル還気室と前記ファン吸気室との間には循環風フィルターが設けられている。
【0010】
上記において、前記ヒーターは、電気による加熱、蒸気による加熱、ガス燃焼による加熱又は熱風による加熱等の複数の熱源方式を用いてもよい。
【0011】
上記において、前記循環ファンは、プラグファンを用いており、前記循環ファンは、前記フレームの天井部から前記乾燥機構造の内部に埋め込まれている。このような循環ファンの設置方式によって、乾燥機構造の天井部から循環ファンを抜き出し可能になり、メンテナンスが容易になる。
【0012】
本発明のモジュール化乾燥機構造は、フレーム及び風路構造を風路として用いている。このように、風による抵抗がより低くなり、省エネ・消費削減に役立つ。
【0013】
上記において、前記フレームの内壁には、保温層が設けられている。
【0014】
上記において、前記トンネル吸気板の上部貫通穴の分布密度は、下部貫通穴の分布密度よりも高く、前記トンネル還気板の上部貫通穴の分布密度は、下部貫通穴の分布密度よりも小さい。
【0015】
トンネル吸気板及びトンネル吸気板の貫通穴の分布密度は、高さに異なっている。トンネル吸気板の貫通穴は、上部が密で、下部が疎なものであり、トンネル還気板の貫通穴は、上部が疎で、下部が密なものである。このように、トンネル吸気板を通過した熱風が、トンネル吸気板の上下に異なる高さの位置において風量を略一致するように保ち、トンネル還気板を通過した風量が、トンネル還気板の上下に異なる高さの位置において風量を略一致するように保っており、このように、トンネル乾燥室内において乾燥素材を通過した水平の風の速度が、トンネル乾燥室の異なる高さの位置において略一致するように保ち、乾燥品質の安定化に役立つ。
【0016】
本発明のモジュール化乾燥機構造は、両端に乾燥機のドアが設けられ、素材の取りや入れが容易になり、個別のモジュール化乾燥機構造は、個別に使用してもよいし、複数の前記モジュール化乾燥機を組み合わせて連通させてより長いトンネル型乾燥機を形成することができる。したがって、本発明は、さらに、順次に接続し、かつ互いに連通する上記のようなモジュール化乾燥機構造を複数含むトンネル型乾燥機を提供している。
【0017】
上記において、隣り合う前記モジュール化乾燥機構造の前記トンネル乾燥室における循環風の方向が互いに反対となっている。トンネル型内の熱風方向を左右交互に繰り返して、トンネル乾燥室における両側の乾燥素材の乾燥効果を均一化することができ、乾燥品質の安定化に役立つ。
【0018】
上記において、前記トンネル型乾燥機の両端には、それぞれ上下に移動可能な乾燥機のドアが設けられている。上下に移動する乾燥機のドアは、乾燥機の全長を小さくすることに役立ち、乾燥素材の出入りを容易にする。
【0019】
乾燥温度の制御の場合、各モジュール化乾燥機構造のトンネル吸気室及びトンネル還気室内には、それぞれ、1つ又は複数の温度センサーが設けられ、当該モジュール化乾燥機構造内の温度をリアルタイムに検出し、制御時に、トンネル吸気室とトンネル還気室との2つの温度値又は複数の温度値の平均値を温度現在値として設定目標値と比較して制御し、乾燥品質の安定化に役立つ。
【0020】
乾燥素材の形状やサイズと密接に関係することに鑑み、本発明は、乾燥機に対する乾燥素材の出入りの具体的な方式を限定していない。乾燥機に対する乾燥素材の出入りの具体的な方式に基づいて、上記モジュール化乾燥機構造により組み合わされたトンネル型乾燥機は、乾燥素材をトンネル乾燥室に満たし、素材を乾燥させてから全部取り出した後、次の素材を入れ、乾燥を行うという大量間歇型乾燥、又は、一定の時間を経過した度に、乾燥機の出口ドアを開き、乾燥素材をトンネル乾燥室から一部取り出し、トンネル乾燥室における余剰の物流の全てを乾燥機出口ドアの方向へ移動させると同時に、或いはその後に、乾燥機の入口ドアを開き、トンネル乾燥室に素材の一部を補充し、トンネル乾燥室内に素材を満たすように保ち、乾燥機の入口ドア及び出口ドアを閉めて乾燥を継続し、1周期後に乾燥機に対する素材の出入りの過程を繰り返すという定期的ドア開き連続型乾燥、を実現することができる。
【0021】
乾燥機構造は、熱風の分布が均一になり、乾燥の効果がよく、循環がスムーズで、風による抵抗が小さく、構造がコンパクトで、表面積が小さく、省エネに役立ち、構造が簡単で分かりやすく、メンテナンスが容易であるという特徴を有しており、且つ、モジュール化乾燥機構造は、長いトンネル型乾燥機として直列に接続可能になった後、生産能力が大きく、連続的な生産に適し、外形が美しいという特徴を有している、ということは、本発明の優れた効果に含まれている。
【図面の簡単な説明】
【0022】
明細書に組み込まれ且つ明細書の一部を構成する図面は、本発明の実施例を示しており、かつ、説明とともに、本発明の原理を解釈するためのものである。これら図面においては、類似する図面の符号は、類似する要素を示すものである。以下に示した図面は、本発明の実施例の一部であるが、実施例の全てではない。当業者にとって、創造的労力がないことを前提に、これら図面によって他の図面を得ることができる。
【
図1】本発明のモジュール化乾燥機構造の横断面の模式図である。
【
図2】
図1のA−A矢視図であり、モジュール化乾燥機構造の縦面を示したものである。
【
図3】
図1の平面図であり、モジュール化乾燥機構造の俯瞰面を示したものである。
【
図4】複数のモジュール化乾燥機構造から組み合わされた長いトンネル型乾燥機の平面図である。
【
図5】
図4の正面図であり、複数のモジュール化乾燥機構造から組み合わされた長いトンネル型乾燥機の縦面を示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施例の目的、技術案及びメリットをより明らかにするために、以下、本発明の実施例における技術案については、本発明の実施例における図面に基づいて、明瞭かつ完全に説明する。勿論、説明する実施例は、本発明の実施例の一部であるが、実施例の全てではない。本発明における実施例に基づいて、創造的労力がないことを前提に当業者が取得した他の実施例の全ては、本発明の請求の範囲に属している。説明すべき点としては、コンフリクトがない場合に、本願における実施例及び実施例における特徴が互いに任意に組み合わせ可能である。
【0024】
図1に示されるように、モジュール化乾燥機構造は、フレーム及び風路構造1、ヒーター2、循環ファン3、保温層4、温度制御システム5及び制御装置(未図示)を含む。前記フレームおよび風路構造1は、トンネル乾燥室11、トンネル吸気室15、トンネル吸気板16、トンネル還気板17、トンネル還気室12、循環風フィルター18、ファン吸気室13及びファン排気室14を含み、保温層4はフレームの内壁に設けられ、風路構造に対し保温を行う。上記において、トンネル乾燥室11は、トンネル吸気室15とトンネル還気室12との間に位置し、且つトンネル乾燥室11とトンネル吸気室15との間にはトンネル吸気板16が設けられ、トンネル乾燥室11とトンネル還気室12との間にはトンネル還気板17が設けられ、トンネル吸気板16とトンネル還気板17には、それぞれ乾燥熱風の流通用の複数の貫通穴が設けられている。ファン吸気室13は、トンネル乾燥室11の上方に位置し、ファン排気室14は、ファン吸気室13とフレーム1の天井部との間に位置している。
【0025】
風路構造内に入った空気(風力)をさらに加熱し、風路内において流通する風力の温度を保って乾燥効果を確保するように、ファン吸気室13内には、ヒーター2が設けられている。
【0026】
フレームの天井部には、循環ファン3が設けられており、ファン吸気室13の天井部には循環ファン3の吸気口が連通され、つまり、循環ファン3は、ファン吸気室13における風を吸い取り、ファン排気室14内に直接送り、さらに、トンネル吸気室15に送って循環使用させる。
【0027】
前記温度制御システム5は、温度センサー51を複数含み、複数の温度センサー51はトンネル吸気室15及びトンネル還気室12内において分布し、風路構造1内の温度をリアルタイムに検出し、検出結果を制御装置に送る。制御装置の出力端子は、ヒーター2の制御信号入力端子及び循環ファン3の制御信号入力端子に接続され、温度センサー51による検出結果によれば、制御装置内において予め設定された設定目標温度値に基づいて、ヒーター2及び循環ファン3の運転を制御する。検出結果が設定目標温度値よりも高くなった場合、作動を停止するようにヒーター2を制御しながら換気を行うように循環ファン3を起動する。温度センサー51の検出結果が設定目標温度値よりも低くなった場合、制御装置は、ヒーター2を起動して加熱を行うように制御する。
【0028】
ファン排気室14にはトンネル吸気室15の上端が連通され、ファン吸気室13にはトンネル還気室12の上端が連通されている。トンネル還気室12とファン吸気室13との間には、循環風フィルター18が設けられ、トンネル還気室12を介してファン吸気室13に入った空気を濾過する。
【0029】
具体的に、前記ヒーター2は、電気による加熱、蒸気による加熱、ガス燃焼による加熱、熱風による加熱等の複数の熱源方式を用いてもよい。
【0030】
前記循環ファン3は、プラグファンであり、循環ファン3は、フレームの天井部から乾燥機構造の内部に埋め込まれ、乾燥機構造の天井部から抜き出してメンテナンスを行うことができる。本発明のモジュール化乾燥機構造は、フレーム及び風路構造を風路として用いた。このように、風による抵抗がより低くなり、エネルギー消費の低減に役立つ。
【0031】
図2に示されるように、前記トンネル吸気板16における貫通穴の分布密度は、高さ方向に異なっている。トンネル吸気板16の貫通穴は、上部が密で、下部が疎なものである。同様に、トンネル還気板17における貫通穴の分布密度も高さ方向に異なっている。トンネル還気板17の貫通穴は、上部が疎で、下部が密なものである。このように、トンネル吸気板16を通過した熱風が、トンネル吸気板16の上下に異なる高さの位置において風量を略一致するように保ち、トンネル還気板17を通過した風量が、トンネル還気板17の上下に異なる高さの位置において風量を略一致するように保っており、このように、トンネル乾燥室11において乾燥素材を通過した水平方向の風の速度が、トンネル乾燥室11の異なる高さの位置において略一致するように保ち、乾燥品質の安定化に役立つ。
【0032】
前記一つのモジュール化乾燥機構造は、トンネル乾燥室11の両端に乾燥機のドアを加えて完全な乾燥機を構成して個別に使用可能である。複数の前記モジュール化乾燥機構造は、より長いトンネル型乾燥機に組み合わせてもよく、組み合わせ時にあるモジュール化乾燥機構造内のトンネル乾燥室11における循環風の方向は、両側に隣り合う他のモジュール化乾燥機構造内のトンネル乾燥室11における循環風の方向とは反対となっている。
【0033】
図4に示されるように、別のモジュール化乾燥機構造である第2モジュール化乾燥機構造102を水平に180°回転させてから元のモジュール化乾燥機構造である第1モジュール化乾燥機構造101に接続させ、さらに、別のモジュール化乾燥機構造である第3モジュール化乾燥機構造103を回転せず第2モジュール化乾燥機構造102に接続させ、さらに、別のモジュール化乾燥機構造である第4モジュール化乾燥機構造104を水平に180°回転させてから第3モジュール化乾燥機構造103に接続させ、これによって類推して、最終的に、第10モジュール化乾燥機構造1010を第9モジュール化乾燥機構造109に接続させる。これにより、第2モジュール化乾燥機構造102内のトンネル乾燥室11における循環風の方向は、第1モジュール化乾燥機構造101のとは反対であり、図面において10のモジュール化乾燥機構造において隣り合うモジュール化乾燥機構造における風の方向は互いに反対となっている。互いに間隔を空けたモジュール化乾燥機構造における風の方向は同じである。このように、熱風方向を左右交互に繰り返して、トンネル乾燥室における両側の乾燥素材の乾燥効果を均一化することができ、乾燥品質の安定化に役立つ。
【0034】
図1に示されるように、温度制御システム5は、各モジュール化乾燥機構造のトンネル吸気室15とトンネル還気室12内には、それぞれ1つ又は複数の温度センサー51が設けられており、制御時にトンネル吸気室15とトンネル還気室12との2つの温度値又は複数の温度値の平均値を温度現在値として設定目標値と比較して制御し、乾燥品質の安定化に役立つ。一般に、このような乾燥機の風量が大きく、風速が高く、乾燥素材によって温度が適切に下げられたトンネル還気室12との風温の差異が大きくなく、つまり、トンネル吸気室15の風温、又はトンネル還気室12の風温と、トンネル乾燥室11の内部のセンター領域が乾燥素材に接触される場合の風温とは、差異が大きくない。平均値を温度制御の基礎として取れば、両側の温度差が大きいことに起因して問題を生じることがない。このような、風速が高く、温度勾配が低い乾燥方式は、乾燥品質の向上に役立つ。
【0035】
図5に示されるように、複数の前記モジュール化乾燥機構造によって組み合わされたトンネル型乾燥機の両端には、それぞれ上下に移動する乾燥機のドアがある。上下に移動する乾燥機のドアは、乾燥機の全長を小さくすることに役立ち、乾燥素材の出入りに便利である。
【0036】
乾燥素材の形状やサイズに密接に関係することに鑑み、本構想は、乾燥機に対する乾燥素材の出入りの具体的な方式を記述しなかった。乾燥機に対する乾燥素材の出入りの具体的な方式に基づいて、上記モジュール化乾燥機構造により組み合わされたトンネル型乾燥機は、大量間歇型乾燥(即ち、乾燥素材をトンネル乾燥室に満たし、素材を乾燥させてから全部取り出した後、次の素材を入れ、乾燥を行う)、又は定期的ドア開き連続型乾燥(即ち、一定の時間を経過した度に、乾燥機の出口ドアを開き、乾燥素材をトンネル乾燥室から一部取り出し、トンネル乾燥室における余剰の物流の全てを乾燥機出口ドアの方向へ移動させると同時に、或いはその後に、乾燥機の入口ドアを開き、トンネル乾燥室に素材の一部を補充し、トンネル乾燥室内に素材を満たすように保ち、乾燥機の入口ドア及び出口ドアを閉めて乾燥を継続し、1周期後、乾燥機に対する素材の出入りの過程を繰り返す)を実現することができる。
【0037】
本発明の実行時に、乾燥機の上部の循環ファン3から出た熱風が、ファン排気室14、トンネル吸気室15及びトンネル吸気板16を経由して、一側からトンネル乾燥室11に入り、素材を乾燥させた後、トンネル乾燥室11の他側から戻り、風がトンネル還気板17及びトンネル還気室12を経由して、ヒーター2によって加熱された後、ファン吸気室13に入り、循環ファン3によって吸い込まれ、次の循環での乾燥を行い、熱風が循環利用された。
【0038】
上記した内容は、個別に又は各形態で組み合わせて実施することができる。これら変形形態は、本発明の請求の範囲内にある。
【0039】
本発明で挙げられた部材の具体的な寸法数値が例示的な数値である。異なる部材の寸法パラメーターが、ニーズに応じて、実際の操作においては異なる数値を用いてもよい。
【0040】
説明すべき点としては、本文では、用語である「含む」、「包含」又はそのいかなる他の変形が、排他的ではない包含をカバーすることを意味しているため、一連の要素を含む物品又は機器は、それら要素を含むだけでなく、明確に列挙されていない他の要素を含み、又は、このような物品又は機器に固有な要素をさらに含む。より多く制限されていない場合に、「…を含む」という文により限定された要素から、前記要素を含む物品又は機器においてさらに存在している別の同じ要素が排除されてない。
【0041】
上記の実施例は、本発明の技術案を説明するものだけであり、制限するものではない。本発明について、好適な実施例を参照しながら詳細に説明した。本発明の技術案の補正又は同等な置き換えが、実行可能であり、本発明の技術案の要旨及び範囲から逸脱しない限り、本発明の特許請求の範囲に含まれているものとすることは、当業者が理解すべきことである。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明の乾燥機構造は、熱風の分布が均一になり、乾燥の効果がよく、循環がスムーズで、構造がコンパクトで、表面積が小さく、省エネに役立ち、構造が簡単で分かりやすく、メンテナンスが容易であるという特徴を有しており、且つ、モジュール化乾燥機構造は、長いトンネル型乾燥機として直列に接続可能になった後、生産能力が大きく、連続的な生産に適し、外形が美しいという特徴を有している。