(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
アロニア抽出物及びフコイダンからなり、前記アロニア抽出物のうち、シアニジンの陽イオンと前記フコイダンの陰イオンとのイオン結合が形成され、シアニジン分子間のπ−π結合が形成されたことを特徴とするアロニア抽出物−フコイダン複合体を有効成分として含有する免疫増強剤。
アロニア抽出物及びフコイダンからなり、前記アロニア抽出物のうち、シアニジンの陽イオンと前記フコイダンの陰イオンとのイオン結合が形成され、シアニジン分子間のπ−π結合が形成されたことを特徴とするアロニア抽出物−フコイダン複合体を有効成分として含有する免疫抗ガン剤。
アロニア抽出物及びフコイダンからなり、前記アロニア抽出物のうち、シアニジンの陽イオンと前記フコイダンの陰イオンとのイオン結合が形成され、シアニジン分子間のπ−π結合が形成され、抗ガン剤投与による体重または免疫因子の減少及び悪液質からなる群から選択される副作用を緩和させることを特徴とするアロニア抽出物−フコイダン複合体を有効成分として含有する抗ガン補助剤。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】シアニジン−フコイダン
結合による複合体(Cyaplex−F8)の構造である。
【
図2】
アロニア抽出物−フコイダン複合体の吸光度及び光学イメージを確認した結果である。
【
図3】
アロニア抽出物−フコイダン複合体のDLS結果(左側)及び
アロニア抽出物−フコイダン複合体の走査電子顕微鏡の分析結果である。
【
図4】
アロニア抽出物と
アロニア抽出物−フコイダン複合体の
アロニア抽出物との分解度の差を確認した結果である。
【
図5】
アロニア抽出物−フコイダン複合体の抗ガン効能及び正常細胞に対する死滅率を確認した結果であって、(a)HCT−116、(b)Hep−G2、(c)NIH/3T3及び(d)HUVECで
アロニア抽出物−フコイダン含量によるIC
50を確認した結果である。
【
図6】
アロニア抽出物−フコイダン複合体の免疫因子の分泌を通じた免疫誘導レベルを確認した結果である。
【
図7】発癌物質と腫瘍促進剤とが処理された実験動物にPBS、フコイダン(Fu)、アロニア抽出物(Aronia Bio−active Fractions;ABF)及び
アロニア抽出物−フコイダン複合体(Cyaplex−F8)を22週間毎日経口投与し、腫瘍生成の有無を確認した結果である。
【
図8】発癌物質と腫瘍促進剤とが処理された実験動物にPBS、フコイダン(Fu)、アロニア(ABF)及び
アロニア抽出物−フコイダン複合体(Cyaplex−F8)を22週間毎日経口投与し、実験5週、9週、12週、16週、18週、20週及び22週目に腫瘍成長の抑制効果を確認した結果である。
【
図9】発癌物質と腫瘍促進剤とが処理された実験動物にPBS、フコイダン(Fu)、アロニア抽出物(ABF)及び
アロニア抽出物−フコイダン複合体(Cyaplex−F8)を22週間毎日経口投与し、実験9週、11週、14週、16週、18週及び22週目に腫瘍成長の抑制効果を確認した結果である。
【
図10】発癌物質と腫瘍促進剤とが処理された実験動物にPBS、フコイダン(Fu)、アロニア抽出物(ABF)及び
アロニア抽出物−フコイダン複合体(Cyaplex−F8)経口投与後、各実験群で実験動物の体重及び生存率を確認した結果である。
【
図11】発癌物質と腫瘍促進剤とが処理された実験動物にPBS、フコイダン(Fu)、アロニア抽出物(ABF)及び
アロニア抽出物−フコイダン複合体(Cyaplex−F8)経口投与後、腫瘍結節数(Nodule counts)及び腫瘍面積(Tumor area)の増加率を確認した結果である。
【
図12】発癌物質と腫瘍促進剤とが処理された実験動物にPBS、フコイダン(Fu)、アロニア抽出物(ABF)及び
アロニア抽出物−フコイダン複合体(Cyaplex−F8)が経口投与された実験動物の主要臓器である心臓、肺、肝、腎臓及び脾臓組織をヘマトキシリン&エオシン染色した結果である。
【
図13】発癌物質と腫瘍促進剤とが処理された実験動物にPBS、フコイダン(Fu)、アロニア抽出物(ABF)及び
アロニア抽出物−フコイダン複合体(Cyaplex−F8)が経口投与された実験動物の腫瘍組織をヘマトキシリン&エオシン染色した結果である。
【
図14】発癌物質と腫瘍促進剤とが処理された実験動物にPBS、フコイダン(Fu)、アロニア抽出物(ABF)及び
アロニア抽出物−フコイダン複合体(Cyaplex−F8)が経口投与された実験動物の血しょう内IFN−γレベルを確認した結果である。
【
図15】癌細胞移植で腫瘍生成が誘導された実験動物にドキソルビシン静脈注射後、PBS、フコイダン(Fu)、アロニア抽出物(ABF)及び
アロニア抽出物−フコイダン複合体(Cyaplex−F8)を経口投与後、腫瘍成長の抑制効果を確認した結果である。
【
図16】癌細胞移植で腫瘍生成が誘導された実験動物にドキソルビシン静脈注射後、PBS、フコイダン(Fu)、アロニア抽出物(ABF)及び
アロニア抽出物−フコイダン複合体(Cyaplex−F8)を経口投与後、腫瘍成長の抑制効果(A)、体重変化(B)及び生存率(C)を確認した結果である。
【
図17】マウス動物モデルにドキソルビシンを実験1日及び5日目(総2回)に静脈注射後、PBS、フコイダン(Fu)、アロニア抽出物(ABF)及び
アロニア抽出物−フコイダン複合体(Cyaplex−F8)を14日間経口投与し、実験5日及び14日目に血中CD8+T細胞とNK細胞レベルとを確認した結果である。
【
図18】マウス動物モデルにドキソルビシンを実験1日及び5日目(総2回)に静脈注射後、PBS、フコイダン(Fu)、アロニア抽出物(ABF)及び
アロニア抽出物−フコイダン複合体(Cyaplex−F8)を14日間経口投与し、実験最終日である14日目に動物モデルの脾臓を摘出して、脾臓重量を確認した結果である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明者らは、生体適合性を有するフコイダンの陰イオンがアロニア由来のアントシアニンであるシアニジンの陽イオンとイオン結合して複合体を生成することにより、胃、小腸及び血液でも、シアニジンを構造的に安定化させて、体内と類似した条件で免疫活性を向上させ、生体利用率と生理活性とに優れた複合体で提供されることを確認することによって、本発明を完成した。
【0018】
本発明は、
アロニア抽出物及びフコイダンからな
り、前記
アロニア抽出物のうち、シアニジンの陽イオンと前記フコイダンの陰イオンとのイオン結合が形成され、
シアニジン分子間のπ−π結合が形成されたことを特徴とする
アロニア抽出物−フコイダン複合体を提供することができる。
【0019】
より詳細には、前記シアニジンは、アロニア抽出物から分離精製されたシアニジン−3−グルコシド(Cyanidine−3−Glucoside;C3G)であるが、これに限定されるものではない。
【0020】
本発明のアントシアニンは、花という意味のアンソス(Anthos)と青色を意味するシアノス(cyanos)というギリシャ語が合わせられた言葉であって、主にベリー類の果実、花、茎が外部刺激から自己自身を保護するために、ファイトケミカルの1種類であるアントシアニン色素を作り出す。このようなアントシアニンは、自然界で約600種が存在し、そのうち、シアニジン−3−グルコシド(C3G)の活性が最も優れ、特に、抗老化、抗酸化、抗ガン、抗代謝性疾患の作用に優れている。
【0021】
前記複合体は、
アロニア抽出物とフコイダンとが0.1:10〜10:0.1重量比で形成されうる。
【0022】
前記複合体は、50〜500nmの範囲の平均直径を有するナノ複合体である。
【0023】
本発明は、
アロニア抽出物及びフコイダンからな
り、前記
アロニア抽出物のうち、シアニジンの陽イオンと前記フコイダンの陰イオンとのイオン結合が形成され、
シアニジン分子間のπ−π結合が形成されたことを特徴とする
アロニア抽出物−フコイダン複合体を有効成分として含有する免疫増強剤を提供することができる。
【0024】
前記
アロニア抽出物−フコイダン複合体は、免疫因子の発現を誘導して免疫細胞の活性を増加させるものである。
【0025】
本発明の一実施例によれば、アロニア抽出物(ABF)50μg/ml
が含まれたアロニア抽出物(ABF)溶液またはフコイダン500μg/mlの濃度が含まれたフコイダン溶液と50μg/mlの濃度の
アロニア抽出物(ABF)及び500μg/mlの濃度のフコイダン濃度が含まれたアロニア抽出物−フコイダン複合体をHCT−116(ヒト大腸細胞)、SKBR−3(ヒト乳癌細胞)及びHep−G2(ヒト肝細胞)にそれぞれ処理した結果、
図6のように、IL−6がアロニア抽出物(ABF)とフコイダンとを単独で処理した時よりも、
アロニア抽出物−フコイダン複合体を処理した時、高く分泌され、アロニア抽出物(ABF)とフコイダンとが処理された細胞から分泌されたIL−6の量を合わせた量よりも
アロニア抽出物−フコイダン複合体を処理した細胞から分泌されたIL−6の量がさらに多いことを確認することができた。
【0026】
前記結果から、前記
アロニア抽出物−フコイダン複合体は、生体内免疫因子の発現を誘導して免疫細胞の活性を増加させることが確認された。
【0027】
したがって、本発明は、
アロニア抽出物及びフコイダンからな
り、前記
アロニア抽出物のうち、シアニジンの陽イオンと前記フコイダンの陰イオンとのイオン結合が形成され、シアニジン分子間のπ−π結合が形成されたことを特徴とする
アロニア抽出物−フコイダン複合体を有効成分として含有する免疫抗ガン剤を提供することができる。
【0028】
前記
アロニア抽出物−フコイダン複合体は、免疫因子の発現を誘導して免疫細胞の活性を増加させて、癌細胞を死滅させるものである。
【0029】
前記癌細胞は、固形癌の癌細胞であり、より詳細に、前記固形癌は、大腸癌、乳癌、肺癌、胃癌、上皮性卵巣癌、脳癌、皮膚癌及び肝癌からなる群から選択されうるが、これらに限定されるものではない。
【0030】
本発明の他の一実施例によれば、アントシアニンと複合体の癌細胞に対する抗ガン効果と正常組織細胞に対する毒性とを確認するために、アロニア抽出物(ABF)50μg/ml
が含まれたアロニア抽出物(ABF)溶液またはフコイダン200μg/mlの濃度が含まれたフコイダン溶液と50μg/mlの濃度のアロニア抽出物(ABF)及び200μg/mlの濃度のフコイダン濃度が含まれた
アロニア抽出物−フコイダン複合体を最初の濃度で1/2に希釈する階段希釈法を使用して、それぞれ8個の試料を製造した後、HCT−116(ヒト大腸細胞)、NIH/3T3(ラット胚線維芽細胞)、HUVEC(内皮細胞;ATCC)及びHep−G2(ヒト肝細胞)にそれぞれ処理して、前記試料の癌細胞死滅レベルを確認した結果、
図5のように、HCT−116及びHep−G2のアロニア抽出物(ABF)の溶液に対するIC
50値は、それぞれ27μg/ml及び17μg/mlと確認され、
アロニア抽出物−フコイダン複合体に対するIC
50値は、12μg/ml及び5.2μg/mlと確認された。また、正常組織細胞であるNIH/3T3及びHUVECでは、アロニア抽出物(ABF)溶液に対するIC
50値がそれぞれ41μg/ml及び53μg/mlと表われ、
アロニア抽出物−フコイダン複合体に対するIC
50値は、38μg/ml及び38μg/mlであると確認された。
【0031】
前記結果から、癌細胞に対する
アロニア抽出物−フコイダン複合体のIC
50値が、アロニア抽出物(ABF)溶液よりも低く表われることによって、前記
アロニア抽出物−フコイダン複合体は、アロニア抽出物(ABF)よりもさらに少量で癌細胞を効果的に死滅させることが確認され、正常組織細胞に対する
アロニア抽出物−フコイダン複合体のIC
50値が、癌細胞よりもさらに高く表われることが確認されることによって、
アロニア抽出物−フコイダン複合体は、正常細胞に対する細胞毒性なしに癌細胞を効果的に死滅させることが確認された。
【0032】
本発明の一具体例において、前記
アロニア抽出物−フコイダン複合体を有効成分として含有する癌疾患の予防または治療用薬学組成物は、通常の方法によって、注射剤、顆粒剤、散剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、坐剤、ゲル、懸濁剤、乳剤、点滴剤または液剤からなる群から選択された何れか1つの剤型を使用することができる。
【0033】
本発明の他の具体例において、
アロニア抽出物−フコイダン複合体を有効成分として含有する癌疾患の予防または治療用薬学組成物は、薬学組成物の製造に通常使う適切な担体、賦形剤、崩壊剤、甘味剤、被覆剤、膨張剤、潤滑剤、滑沢剤、香味剤、抗酸化剤、緩衝液、静菌剤、希釈剤、分散剤、界面活性剤、結合剤、及び潤滑剤からなる群から選択される1つ以上の添加剤をさらに含みうる。
【0034】
具体的に、担体、賦形剤及び希釈剤は、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、澱粉、アカシアゴム、アルギン酸、ゼラチン、リン酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、セルロース、メチルセルロース、非晶質セルロース、ポリビニルピロリドン、水、ヒドロキシ安息香酸メチル、ヒドロキシ安息香酸プロピル、タルク、ステアリン酸マグネシウム及び鉱物油を使用し、経口投与のための固型製剤には、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤などが含まれ、このような固型製剤は、前記組成物に少なくとも1つ以上の賦形剤、例えば、澱粉、炭酸カルシウム、スクロースまたはラクトース、ゼラチンなどを混ぜて調剤することができる。また、単純な賦形剤の以外に、ステアリン酸マグネシウム、タルクのような潤滑剤も使用することができる。経口のための液状製剤としては、懸濁剤、内用液剤、乳剤、シロップ剤などがあり、よく使われる単純希釈剤である水、流動パラフィンの以外に、さまざまな賦形剤、例えば、湿潤剤、甘味剤、芳香剤、保存剤などが含まれうる。非経口投与のための製剤には、滅菌された水溶液、非水性溶剤、懸濁剤、乳剤、凍結乾燥製剤、坐剤などが含まれる。非水性溶剤、懸濁剤としては、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブオイルのような植物性油、オレイン酸エチルのような注射可能なエステルなどが使われる。坐剤の基剤としては、ウイテプゾール(witepsol)、マクロゴール、トウイーン(tween)61、カカオ脂、ラウリン脂、グリセロゼラチンなどが使われる。
【0035】
本発明の一実施例によれば、前記薬学組成物は、静脈内、動脈内、腹腔内、筋肉内、動脈内、腹腔内、胸骨内、経皮、鼻側内、吸入、局所、直腸、経口、眼球内または皮内経路を通じて通常の方式で対象体に投与することができる。
【0036】
前記
アロニア抽出物−フコイダン複合体の望ましい投与量は、対象体の状態及び体重、疾患の種類及び程度、薬物形態、投与経路及び期間によって変わり、当業者によって適切に選択されうる。本発明の一実施例によれば、これに制限されるものではないが、1日投与量が0.01〜200mg/kg、具体的には、0.1〜200mg/kg、より具体的には、0.1〜100mg/kgである。投与は、一日一回投与することもでき、数回に分けて投与することもでき、これにより、本発明の範囲が制限されるものではない。
【0037】
本発明において、前記「対象体」は、ヒトを含む哺乳動物であるが、これらに限定されるものではない。
【0038】
また、本発明は、
アロニア抽出物及びフコイダンからな
り、前記
アロニア抽出物のうち、シアニジンの陽イオンと前記フコイダンの陰イオンとのイオン結合が形成され、
シアニジン分子間のπ−π結合が形成されたことを特徴とするアロニア抽出物−フコイダン複合体を有効成分として含有する抗ガン用健康食品を提供することができる。
【0039】
前記健康食品は、前記
アロニア抽出物−フコイダン複合体の以外に、他の食品または食品添加物と共に使われ、通常の方法によって適切に使われる。有効成分の混合量は、その使用目的、例えば、予防、健康または治療的処置によって適するように決定される。
【0040】
前記健康食品に含有された化合物の有効容量は、前記治療剤の有効容量に準じて使用することができるが、健康及び衛生を目的とするか、または健康調節を目的とする長期間の摂取の場合には、前記範囲以下であり、有効成分は安全性面で何らの問題がないために、前記範囲以上の量でも使われうるということは確実である。
【0041】
前記健康食品の種類には、特別な制限がなく、例としては、肉類、ソーセージ、パン、チョコレート、キャンデー類、スナック類、菓子類、ピザ、ラーメン、その他の麺類、ガム類、アイスクリーム類を含んだ酪農製品、各種スープ、飲み物、お茶、ドリンク剤、アルコール飲料及びビタミン複合剤などが挙げられる。
【0042】
また、本発明は、
アロニア抽出物及びフコイダンからな
り、前記
アロニア抽出物のうち、シアニジンの陽イオンと前記フコイダンの陰イオンとのイオン結合が形成され、
シアニジン分子間のπ−π結合が形成されたことを特徴とする
アロニア抽出物−フコイダン複合体を有効成分として含有する抗ガン補助剤を提供することができる。
【0043】
前記抗ガン補助剤は、抗ガン剤投与による副作用を緩和させ、前記抗ガン剤投与による副作用は、体重または免疫因子の減少及び悪液質(cachexia)からなる群から選択されるものである。
【0044】
以下、本発明の理解を助けるために、実施例を挙げて詳細に説明する。但し、下記の実施例は、本発明の内容を例示するものであり、本発明の範囲が、下記の実施例に限定されるものではない。本発明の実施例は、当業者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
【0045】
<実施例1>
アロニア抽出物−フコイダン複合体の製造
アロニア抽出物(ABF)[(株)jbklab]20mgをリン酸緩衝液(Phosphate buffer)pH3(PB3)水溶液20mlに沈殿物が見えないように溶解させ、フコイダン[(株)haewon biotech]200mgを蒸留水20mlに沈殿物が見えないように溶解させた後、フコイダン溶液に
アロニア抽出物溶液を添加し、室温で72時間撹拌させて、
アロニア抽出物−フコイダン複合体(Cyaplex−F8)を製造した。
【0046】
一方、アロニア抽出物(ABF)とフコイダンとを前記複合体の製造に使われた同量で溶解させて、比較例として使用した。
【0047】
<実施例2>
アロニア抽出物−フコイダン複合体の特性確認
1.アロニア抽出物−フコイダン複合体の形成確認
初日から6日目までアロニア抽出物(ABF)溶液と
アロニア抽出物−フコイダン複合体サンプルとを得て、前記サンプルを1/10に希釈した後、分光光度計(UV−1601、Shimadzu,JAPAN)で光学密度を測定して結果を得た。また、アロニア抽出物(ABF)溶液と
アロニア抽出物−フコイダン複合体原液とで光学写真を得た。
【0048】
その結果、
図2のように、
アロニア抽出物−フコイダン複合体は、
アロニア抽出物のうち、シアニジンの陽イオン性とフコイダンの陰イオン性とが合って形成するイオン結合で複合体が形成され、複合体の形成にシアニジン分子どうしのπ−π相互作用も寄与すると確認された。また、
アロニア抽出物−フコイダンが複合体を形成しながら、π−π相互作用によってシアニジンが有していた最大吸光度が
図2のようにレッドシフトすることを確認し、光学写真で複合体を形成したサンプルは、アロニア抽出物(ABF)溶液よりも紫色を帯びることが確認された。
【0049】
2.アロニア抽出物−フコイダン複合体のサイズ確認
完成された複合体2mlをポリスチレンキュベット(DTS0012)に入れた後、ゼータ電位&ナノ粒度分析器(Zetasizer nano ZS,Malvern Instruments Ltd.,England)を用いて複合体のサイズを確認した。また、完成された複合体10μlをカバーガラスに載せて60℃オーブンで一晩中乾燥させ、走査電子顕微鏡(S−4800、HITACHI,Ltd.,U.S.A)でイメージを得た。
【0050】
ゼータ電位&ナノ粒度分析器の分析結果である
図3の左側写真を参照すれば、複合体は、約380nm程度のナノサイズと確認された。また、
図3の右側写真である走査電子顕微鏡イメージでは、サイズが約85nmであると確認された。
【0051】
3.多様なpH条件下で複合体の構造的安定性の増進効果の確認
前記
アロニア抽出物−フコイダン複合体の製造方法で作られた複合体40mlを13000rpm、30分間遠心分離した後、上澄み液は除去し、残っている沈殿物は、PB3(pH3)とphosphate buffer saline(pH7)とに再分散させた後、経時的に分光光度計でアントシアニン溶液と共に測定して、構造的安定性の増進効果を確認した。
【0052】
その結果、
図4のように、アロニア抽出物(ABF)は、pHが低い環境(pH3)で安定し、pHが高くなるほど分解が起こった。
【0053】
より詳細に、アロニア抽出物(ABF)が人体に処理されるならば、人体が有するpH7.4に露出され、結局、分解が起こると予想され、実際に
図4のように、アントシアニンは、経時的に分解が表われたが、
アロニア抽出物−フコイダン複合体は、経時的にある程度一定に吸光度値を保持することを確認することができる。
【0054】
前記結果から、
アロニア抽出物−フコイダン複合体は、生体内酸性条件でも優れた安定性を示すことを確認することができた。
【0055】
<実施例3>
アロニア抽出物−フコイダン複合体の試験管内細胞毒性及びサイトカイン分泌の確認
1.アロニア抽出物−フコイダンナノ粒子の試験管内細胞毒性の確認
アロニア抽出物とフコイダン複合体の癌細胞に対する抗ガン効果と正常組織細胞に対する毒性とを確認した。
【0056】
まず、アロニア抽出物(ABF)50μg/ml
が含まれたアロニア抽出物(ABF)溶液またはフコイダン200μg/mlの濃度が含まれたフコイダン溶液と50μg/mlの濃度のアロニア抽出物(ABF)及び200μg/mlの濃度のフコイダン濃度が含まれた
アロニア抽出物−フコイダン複合体試料を準備し、残りのサンプルは、前述した最初の濃度で1/2に希釈する階段希釈法を使用して、それぞれ8個ずつサンプルを製造した。
【0057】
実験細胞であるHCT−116(ヒト大腸細胞癌腫;韓国細胞株銀行)及びHUVEC(内皮細胞;ATCC)をペニシリン及びストレプトマイシンと10% FBSとが添加されたRPMI 1640(Wellgene)培地で培養し、Hep−G2(ヒト肝細胞癌腫;韓国細胞株銀行)及びNIH/3T3(ラット胚線維芽細胞;韓国細胞株銀行)をペニシリン及びストレプトマイシンが含まれたDMEM培地で培養した。
【0058】
24ウェルプレート上に前記細胞株をそれぞれウェル当たり5×10
4細胞でシーディング(seeding)し、一晩中培養した。以後、細胞をDMEMとFBSとが無添加されたRPMI及び多様な濃度のサンプルと共に37℃で24時間培養した後、FBSが添加されたDMEM、RPMI培地及び10%の細胞計数キット−8(CCK−8)溶液(CCK−8キット、Enzo Life Sciences,Inc.,KOREA)に露出させて、37℃で4時間培養した後、450nmでの光学密度で細胞毒性を確認した。
【0059】
その結果、
図5のように、HCT−116及びHep−G2のアロニア抽出物(ABF)の溶液に対するIC
50値は、それぞれ27μg/ml及び17μg/mlと確認され、
アロニア抽出物−フコイダン複合体に対するIC
50値は、12μg/ml及び5.2μg/mlと確認された。また、正常組織細胞であるNIH/3T3及びHUVECでは、アロニア抽出物(ABF)溶液に対するIC
50値がそれぞれ41μg/ml及び53μg/mlで表われ、
アロニア抽出物−フコイダン複合体に対するIC
50値は、38μg/ml及び38μg/mlであると確認された。
【0060】
前記結果から、癌細胞に対する
アロニア抽出物−フコイダン複合体のIC
50値が、アロニア抽出物(ABF)溶液よりも低く表われることが確認されることによって、前記複合体は、アロニア抽出物(ABF)単独溶液よりもさらに少量で癌細胞を効果的に死滅させることが確認された。また、正常組織細胞に対する
アロニア抽出物−フコイダン複合体のIC
50値が、癌細胞よりもさらに高く表われることが確認されることによって、
アロニア抽出物−フコイダン複合体は、アロニア抽出物(ABF)溶液を単独で使用した時よりも抗ガン効果が高く、正常組織細胞に対する細胞毒性は低いと確認された。
【0061】
2.アロニア抽出物−フコイダンナノ粒子によって死滅された細胞から分泌されたサイトカインの確認
アロニア抽出物(ABF)50μg/mlが含まれたアロニア抽出物(ABF)溶液または
フコイダン50μg/mlの濃度が含まれたフコイダン溶液と50μg/mlの濃度のアロニア抽出物(ABF)及び500μg/mlの濃度のフコイダン濃度が含まれた
アロニア抽出物−フコイダン複合体試料を準備した。
【0062】
実験細胞であるHCT−116(ヒト大腸細胞癌腫;韓国細胞株銀行)及びSKBR−3(ヒト乳癌細胞;韓国細胞株銀行)をペニシリン及びストレプトマイシンと10% FBSとが添加されたRPMI 1640(Wellgene)培地で培養し、Hep−G2(ヒト肝細胞癌腫;韓国細胞株銀行)は、ペニシリン及びストレプトマイシンが含まれたDMEM培地で培養した。
【0063】
6ウェルプレート上に培養された各細胞株をウェル当たり3×10
5細胞でシーディングし、一晩中培養した。次いで、多様な濃度のサンプルが含まれた2mlのDMEM及びFBS無添加RPMI培地で37℃、24時間培養し、培養培地を回収した後、回収された培地でIL−6、IL−1β及びTNF−αサイトカインレベルをELISA(Enzyme Linked Immunosorbent Assay、Enzo Life Sciences,Inc.,KOREA)で確認した。
【0064】
その結果、
図6のように、前記3個の細胞株いずれもでIL−1β及びTNF−αのサイトカインは分泌されず、IL−6は、アロニア抽出物(ABF)とフコイダンとを単独で処理した時よりも、
アロニア抽出物−フコイダン複合体を処理した時、高く分泌された。また、アロニア抽出物(ABF)とフコイダンとが単独処理された細胞から分泌されたIL−6の量を合わせた量よりも
アロニア抽出物−フコイダン複合体を処理した細胞から分泌されたIL−6の量がさらに多いことを確認することができた。
【0065】
<実施例4>
アロニア抽出物−フコイダン複合体の腫瘍生成の抑制効果の確認
発癌物質と腫瘍促進剤とが処理された実験動物で
アロニア抽出物−フコイダン複合体の発癌抑制効果を確認した。
【0066】
Balb/c(n=5)マウスの背中部分を除毛した後、発癌物質である7,12−Dimethylbenz[a]anthracene(DMBA)200nmol/acetone 200μLを背中部分に塗布し、同じ部位に腫瘍促進剤である12−O−Tetradecanoylphorbol−13−acetate(TPA)4μg/acetone 200μLを22週間に週2回処理した。
【0067】
前記実験動物をPBS、アロニア抽出物(ABF)、フコイダン(Fu)及び
アロニア抽出物−フコイダン複合体(Cyaplex−F8)実験群に区分し、各実験群に適するようにフコイダン(Fu)200μl(80mg/mL)を800mg/kg
またはアロニア抽出物200μl(10mg/mL)を100mg/kg
で経口投与し、Cyaplex−F8 200μl(Fu 80mg、ABF 10mg/mL)をFu 800mg及びABF 100mg/kgで22週間毎日経口投与し、毎週1回実験動物の重量、生存率及び誘導された腫瘍結節個数及び広さを確認した。
【0068】
その結果、
図7ないし
図9のように、発癌物質及び腫瘍促進剤の塗布及び薬物投与9週目からPBS実験群で腫瘍結節が表われ、その以後に腫瘍の個数と広さとが増加したが、
図11のように、FuまたはABFが投与された実験群で発癌抑制効果が確認され、特に、Cyaplex−F8実験群の発癌抑制効能に優れることを確認することができた。
【0069】
また、実験最後の週である22週目に、各実験群の実験動物の主要臓器である心臓、肺、肝及び脾臓組織を摘出して、ヘマトキシリン&エオシン染色(H&E staining)を行った。
【0070】
その結果、
図12のように、各実験群別の主要臓器の特異な差異点は確認されていないが、
図13のように、背中に誘導された腫瘍組織の場合、PBS実験群が最も広い面積に腫瘍が誘導されたことを確認することができ、Cyaplex−F8実験群の腫瘍誘導面積が最も少ないことを確認することができた。
【0071】
一方、薬物投与11週目から眼窩採血方法で各実験動物の血液200μlを採取した後、13,000rpmで10分間遠心分離して血しょうを分離し、ELISA kit(485−MI−100、R&D Systems,Inc,U.S.A.)を用いて血しょう内存在するIFN−γを定量分析した。
【0072】
その結果、
図14のように、11週目から22週目まであらゆる実験群で大きな差なしに体内免疫機能の恒常性を保持していることを確認することができた。
【0073】
<実施例5>
アロニア抽出物−フコイダン複合体と抗ガン剤の併用投与の効果確認
アロニア抽出物−フコイダン複合体と抗ガン剤との併用投与による抗ガン効果を確認した。
【0074】
Balb/c(n=5)マウスにそれぞれSK−BR−3(human breast cancer)を1×10
5cells/miceを移植し、移植1週間後、ドキソルビシン(Doxorubicin;DOX)10mg/kgを2週間に週1回静脈投与し、ドキソルビシン投与日を除き、あらゆる実験群にそれぞれフコイダン(Fu)200μl(160mg/mL)を800mg/kg
またはアロニア抽出物200μl(ABF;20mg/mL)を100mg/kg
で投与し、Cyaplex−F8 200μl(Fu 160mg、ABF 20mg/mL)をFu 1600mg及びABF 200mg/kgずつ1日2回毎日2週間経口投与した。
【0075】
その結果、
図15及び
図16の(A)のように、フコイダン、アロニア抽出物(ABF)または
アロニア抽出物−フコイダン複合体が、単独投与された実験群では腫瘍サイズが増加したが、ドキソルビシンと
アロニア抽出物−フコイダン複合体Cyaplex−F8とが併用処理された実験群では、ドキソルビシンが単独処理された実験群と類似したレベルに腫瘍サイズが減少したことを確認することができた。
【0076】
また、
図16の(B)及び
図16の(C)を参照すれば、ドキソルビシンが単独処理された実験群で2番目のドキソルビシン静脈投与後、実験動物の急激な体重減少が表われたが、ドキソルビシンとCyaplex−F8とが併用処理された実験群では、ドキソルビシン単独処理群と比較して体重減少率が少なく、ドキソルビシン単独処理群よりも生存寿命が延長されたと確認された。
【0077】
また、37日目に血球分析結果である表1のように、ドキソルビシン単独投与群の場合、白血球数値が6.57×10
3cells/μLと表われた一方、DOX+Cyaplex−F8併用投与実験群では、9.54×10
3cells/μLと増加したことを確認することができた。
【0079】
<実施例6>
アロニア抽出物−フコイダン複合体の免疫細胞活性の効果確認
以前実験で確認されたように、
アロニア抽出物−フコイダン複合体が白血球数値を増加させると確認されることによって、
アロニア抽出物−フコイダン複合体が免疫細胞に及ぼす影響を確認した。
【0080】
Balb/c(n=5)マウスにドキソルビシン(DOX)を実験1日目及び5日目に(総2回)10mg/kgずつ処理し、フコイダン(Fu)500μl(160mg/mL)で1,600mg/kg、アロニア(ABF)500μl(20mg/mL)で200mg/kg及び
アロニア抽出物−フコイダン複合体(Cyaplex−F8)500μl(Fu 160mg、ABF 20mg/mL)でFu 1,600mg及びABF 200mg/kgをドキソルビシン処理日を除き、毎日経口投与した。
ドキソルビシン処理前、あらゆる実験群で血液200μlを採取し、RBC lysis buffer 500μLを処理した後、4℃で5分間反応させ、DPBSを用いて10倍希釈して、1,500rpm、3分間遠心分離した後、抗CD3及び抗CD8を用いて血中細胞毒性T細胞のレベルを確認し、抗CD49b(DX5)を用いて血中NK細胞の流細胞分析(Flow cytometry)を行った。
【0081】
また、実験最終日である14日目に実験動物の脾臓を摘出して、脾臓重量/体重(Spleen weight/Body weight)を確認した。
【0082】
その結果、
図17のように、ドキソルビシン投与後、あらゆる実験群で免疫細胞が減少したが、
アロニア抽出物−フコイダン複合体が処理された実験群では、アロニア抽出物(ABF)とフコイダンとが単独処理された実験群よりも優れた免疫細胞(CD8 T細胞及びNK細胞)回復力を示し、
図18のように、ドキソルビシンと
アロニア抽出物−フコイダン複合体とが併用処理された実験群で減少した体重が最も優れているように回復される効果が確認された。
【0083】
前記結果から、ドキソルビシン処理によって減少した体重を
アロニア抽出物−フコイダン複合体が併用処理を通じて回復させることが確認された。
【0084】
以上、本発明の内容の特定の部分を詳しく記述したところ、当業者において、このような具体的な記述は、単に望ましい実施形態であり、これにより、本発明の範囲が制限されるものではない点は明白である。したがって、本発明の実質的な範囲は、下記の特許請求の範囲とそれらの等価物とによって定義される。