特許第6961104号(P6961104)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6961104
(24)【登録日】2021年10月14日
(45)【発行日】2021年11月5日
(54)【発明の名称】フィルタ装置及び電力変換装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 1/14 20060101AFI20211025BHJP
   H02M 7/48 20070101ALI20211025BHJP
【FI】
   H02M1/14
   H02M7/48 Z
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2020-548091(P2020-548091)
(86)(22)【出願日】2019年8月6日
(86)【国際出願番号】JP2019030825
(87)【国際公開番号】WO2020059337
(87)【国際公開日】20200326
【審査請求日】2020年12月25日
(31)【優先権主張番号】特願2018-175222(P2018-175222)
(32)【優先日】2018年9月19日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】509186579
【氏名又は名称】日立Astemo株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002365
【氏名又は名称】特許業務法人サンネクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】勝部 勇作
(72)【発明者】
【氏名】船戸 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】方田 勲
(72)【発明者】
【氏名】大前 彩
(72)【発明者】
【氏名】錦見 総徳
(72)【発明者】
【氏名】大久保 裕
【審査官】 栗栖 正和
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−364080(JP,A)
【文献】 特開2016−119662(JP,A)
【文献】 特開2012−223067(JP,A)
【文献】 実開平02−104734(JP,U)
【文献】 特開2005−012908(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 1/14
H02M 7/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
Yキャパシタと、
前記Yキャパシタの正極端子と正極バスバーを接続する正極側配線と、
前記Yキャパシタの負極端子と負極バスバーを接続する負極側配線と、
前記Yキャパシタのグランド端子と前記正極バスバーおよび前記負極バスバーの近傍に配設されたグランド接続部とを接続するグランド配線と、
前記正極側配線と前記負極側配線と前記グランド配線とを束ねたケーブルと、を備え、
前記Yキャパシタは前記ケーブルを介して前記グランド接続部、前記正極バスバー、および前記負極バスバーに接続されるフィルタ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のフィルタ装置において、
前記正極側配線を前記正極バスバーへ接続するバスバー正極接続部と、
前記負極側配線を前記負極バスバーへ接続するバスバー負極接続部と、を備え、
前記グランド接続部は、前記バスバー正極接続部と前記バスバー負極接続部との間に配設されるフィルタ装置。
【請求項3】
請求項1に記載のフィルタ装置において、
前記ケーブルは、前記正極側配線および前記負極側配線を囲む導電性のシールド層を備え、
前記シールド層は、前記グランド配線を構成するフィルタ装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載のフィルタ装置において、
前記フィルタ装置を収納する筐体を備え、
前記グランド接続部は前記筐体と接続されるフィルタ装置。
【請求項5】
請求項4に記載のフィルタ装置において、
前記ケーブルを固定し、前記ケーブルを前記筐体の内壁に接触させる固定部を備えるフィルタ装置。
【請求項6】
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載のフィルタ装置を備える電力変換装置において、
前記電力変換装置に用いられる制御回路と前記Yキャパシタとを実装した回路基板を備える電力変換装置。
【請求項7】
Yキャパシタと、
前記Yキャパシタの正極端子と正極バスバーのバスバー正極接続部とを接続する正極側配線と、
前記Yキャパシタの負極端子と負極バスバーのバスバー負極接続部とを接続する負極側配線と、
前記Yキャパシタのグランド端子とフィルタ装置を収納する筐体に接続されたグランド接続部とを接続するグランド配線と、を備え、
前記バスバー正極接続部、前記バスバー負極接続部、および前記グランド接続部は前記正極バスバーおよび前記負極バスバーの近傍に配置され、前記Yキャパシタは前記正極側配線、前記負極側配線、および前記グランド配線を束ねたケーブルを介して前記バスバー正極接続部、前記バスバー負極接続部、および前記グランド接続部に接続されるフィルタ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルタ装置及び電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電力変換装置のノイズ除去を目的として、フィルタ装置が組み込まれる。フィルタ装置として、例えば、電力変換装置内のインバータに接続されたバスバーからコンデンサを介してグランドに接地するYキャパシタが用いられる。
【0003】
Yキャパシタを高周波数まで機能させるために、バスバーからYキャパシタまでの配線によるインダクタンスを極力小さくする必要があり、Yキャパシタはバスバーに近接して配置される。特許文献1では、対を成して平行に延伸するバスバーを、対を成すコンデンサを介して接地する構成とし、コンデンサは、対を成すバスバーに近接してバスバーを挟む位置に設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−012908号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の技術では、Yキャパシタまでの配線によるインダクタンスが大きいため、バスバー近くにYキャパシタを配置する必要があり、Yキャパシタの配置自由度がない。例えば、バスバーには大電流が流れて発熱するため、バスバー近くにYキャパシタを配置する場合には、放熱装置を追加する必要があり、装置全体が大型化しコスト増大につながる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によるフィルタ装置は、Yキャパシタと、前記Yキャパシタの正極端子と正極バスバーを接続する正極側配線と、前記Yキャパシタの負極端子と負極バスバーを接続する負極側配線と、前記Yキャパシタのグランド端子と前記正極バスバーおよび前記負極バスバーの近傍に配設されたグランド接続部とを接続するグランド配線と、前記正極側配線と前記負極側配線と前記グランド配線とを束ねたケーブルと、を備え、前記Yキャパシタは前記ケーブルを介して前記グランド接続部、前記正極バスバー、および前記負極バスバーに接続される。
本発明によるフィルタ装置は、Yキャパシタと、前記Yキャパシタの正極端子と正極バスバーのバスバー正極接続部とを接続する正極側配線と、前記Yキャパシタの負極端子と負極バスバーのバスバー負極接続部とを接続する負極側配線と、前記Yキャパシタのグランド端子とフィルタ装置を収納する筐体に接続されたグランド接続部とを接続するグランド配線と、を備え、前記バスバー正極接続部、前記バスバー負極接続部、および前記グランド接続部は前記正極バスバーおよび前記負極バスバーの近傍に配置され、前記Yキャパシタは前記正極側配線、前記負極側配線、および前記グランド配線を束ねたケーブルを介して前記バスバー正極接続部、前記バスバー負極接続部、および前記グランド接続部に接続される。
本発明による電力変換装置は、フィルタ装置を備える電力変換装置であって、電力変換装置に用いられる制御回路と前記Yキャパシタとを実装した回路基板を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、Yキャパシタまでの配線によるインダクタンスを小さくすることができ、Yキャパシタの配置自由度が上がり、バスバーの近くにYキャパシタを配置する必要がなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】電力変換装置の構成図である。
図2】Yキャパシタの構成を説明する図である。
図3】フィルタ装置の構成を説明する図である。
図4】多芯ケーブルの断面図である。
図5】Yキャパシタを実装した電力変換装置の一例を示す図である。
図6】多芯ケーブルの他の例を示す断面図である。
図7】(A)(B)多芯ケーブルを固定する一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[第1の実施形態]
図1は、電力変換装置100の構成図である。
電力変換装置100は、フィルタ装置101、コンデンサモジュール102、パワーモジュール103、ドライバ回路104、制御回路105、電流センサ106を備える。
【0010】
バッテリ120は、車両の走行に必要な電気エネルギーを蓄えることによって、電力変換装置100に直流電流を供給する。直流コネクタ111は、バッテリ120の直流電流を電力変換装置100に入力するために使用されるコネクタである。
【0011】
バッテリ120から供給された直流電流は、電力変換装置100で3相交流に変換され、交流端子108より出力された3相交流によりモータジェネレータ130が駆動される。モータジェネレータ130の回転角の信号は信号線109を介して制御回路105へ入力される。また、制御回路105には、電流センサ106で検出された3相交流に流れる電流値が入力される。さらに、制御回路105には、制御コネクタ110を介して、図示省略した制御装置から駆動指令などが入力される。
【0012】
制御回路105は、入力された指令などを処理して、ドライバ回路104に駆動信号を送信する。ドライバ回路104は、制御回路105からの駆動信号に基づいて、インバータ回路により構成されるパワーモジュール103を駆動する。
【0013】
コンデンサモジュール102は、バッテリ120からの直流電流を平滑することにより安定して直流電流をパワーモジュール103へ供給する。
【0014】
正極バスバー112は直流コネクタ111とコンデンサモジュール102とを接続する。負極バスバー113は直流コネクタ111とコンデンサモジュール102とを接続する。
【0015】
フィルタ装置101は、Yキャパシタ200と多芯ケーブル300を備える。Yキャパシタ200は、多芯ケーブル300を介して正極バスバー112、負極バスバー113に接続される。
【0016】
多芯ケーブル300は、正極側配線301、負極側配線302、グランド配線303を備える。
【0017】
Yキャパシタ200は、Yキャパシタ正極端子201、Yキャパシタ負極端子202、Yキャパシタグランド端子203を有する。Yキャパシタ200は、電力変換装置100で発生するノイズが直流コネクタ111から出力されるのを防ぐために設けられる。
【0018】
正極バスバー112および負極バスバー113の近傍には、バスバー正極端子114、バスバー負極端子115およびグランド端子116が配設されている。Yキャパシタ正極端子201は、多芯ケーブル300の正極側配線301を介して、バスバー正極端子114に接続される。Yキャパシタ負極端子202は、多芯ケーブル300の負極側配線302を介して、バスバー負極端子115に接続される。Yキャパシタグランド端子203は、多芯ケーブル300のグランド配線303を介して、グランド端子116に接続される。グランド端子116は電力変換装置100の金属筐体であるフレームグランドFGに接続される。
【0019】
図2は、Yキャパシタ200の構成を説明する図である。
Yキャパシタ200は、Yキャパシタ正極端子201、Yキャパシタ負極端子202、Yキャパシタグランド端子203、正極側コンデンサ204、負極側コンデンサ205により構成される。正極側コンデンサ204の一端はYキャパシタ正極端子201と接続され、他端はYキャパシタグランド端子203に接続される。負極側コンデンサ205の一端はYキャパシタ負極端子202と接続され、他端はYキャパシタグランド端子203に接続される。Yキャパシタ正極端子201とYキャパシタ負極端子202に入力されるコモンモードノイズ電流はYキャパシタグランド端子203にバイパスし、直流コネクタ111からのノイズの出力を低減する。
【0020】
図3は、フィルタ装置101の構成を説明する図である。Yキャパシタ200を多芯ケーブル300により正極バスバー112、負極バスバー113に接続した状態を示す。
【0021】
多芯ケーブル300は、正極側配線301、負極側配線302、グランド配線303を束ねて被覆部材で被覆して構成される。多芯ケーブル300の正極側配線301、負極側配線302、グランド配線303は、それぞれYキャパシタ200のYキャパシタ正極端子201、Yキャパシタ負極端子202、Yキャパシタグランド端子203とねじ止めにより固定される。同様に、多芯ケーブル300の正極側配線301、負極側配線302、グランドw配線303は、それぞれバスバー正極端子114、バスバー負極端子115、グランド端子116とねじ止めにより固定される。また、グランド端子116は、バスバー正極端子114とバスバー負極端子115の間に位置するように配設される。そして、グランド端子116は電力変換装置100の金属筐体であるフレームグランドFGに接続される。すなわち、正極側配線301とグランド配線303を近接させ、且つ、負極側配線302とグランド配線303を近接させる。これにより、後述のように正極側配線301および負極側配線302に流れる電流と、グランド配線303に流れる電流とは逆向きであるので、電流により生じる磁束が互いに打ち消し合い、インダクタンスを小さく保つことができる。
【0022】
多芯ケーブル300内の正極側配線301および負極側配線302を流れる電流の向きは、バスバー正極端子114とバスバー負極端子115に対し、グランド端子に流れる電流の向きを正とした場合、それぞれバスバー正極端子114およびバスバー負極端子115からYキャパシタ正極端子201へ向かう方向301aおよびYキャパシタ負極端子202へ向かう方向302bである。一方、多芯ケーブル300内のグランド配線303を流れる電流の向きは、Yキャパシタグランド端子203からグランド端子116へ向かう方向303cである。
【0023】
図4は、多芯ケーブル300の断面図である。多芯ケーブル300内の正極側配線301および負極側配線302を流れる電流により生じる磁束Aと多芯ケーブル300内のグランド配線303を流れる電流により生じる磁束Bは互いに打ち消し合い、インダクタンスを小さく保つことができる。したがって、多芯ケーブル300を長くしても低インダクタンスを保つことができ、Yキャパシタ200の高周波性能を保つことが可能である。しかも、Yキャパシタ200をフレキシブルな多芯ケーブル300を介してバスバーと接続できるので、Yキャパシタ200の配置自由度を上げることができる。
【0024】
図5は、Yキャパシタ200を実装した電力変換装置100の一例を示す図である。
制御基板501は、制御回路105を搭載した基板である。制御回路105には、制御コネクタ110を介して、図示省略した制御装置から駆動指令などが入力される。さらに、制御基板501には、Yキャパシタ200が搭載される。Yキャパシタ200は、コネクタ502、多芯ケーブル300を介して、バスバー正極端子114、バスバー負極端子115、グランド端子116と接続される。グランド端子116は電力変換装置100の金属筐体であるフレームグランドFGに接続される。このように、Yキャパシタ200は、正極バスバー112および負極バスバー113の熱の影響を受けないように、正極バスバー112および負極バスバー113から離れて配置される。
【0025】
制御基板501において、制御基板501のグランド配線とYキャパシタ200のグランド端子203は、制御基板501上で接続されないように構成する。換言すれば、多芯ケーブル300のグランド配線303は、制御基板501のグランド配線と接続及び接触しない構成とする。この構成により、多芯ケーブル300のグランド配線303に流れる電流は制御基板501上を流れることなく、多芯ケーブル300を通ってグランド端子116に流れる。この電流の流れによって、磁束の打消し効果を発揮し、インダクタンスを増加させずにYキャパシタ200を接続することができ、高周波性能を保つことができる。加えて、Yキャパシタ200として制御基板501上の実装部品を用いることもでき、実装面積を小型化することが出来る。
【0026】
多芯ケーブル300の被覆部材304は、正極側配線301および負極側配線302とグランド配線303を束ねる機能を有するが、この構成に限らない。例えば、チューブに正極側配線301および負極側配線302とグランド配線303を通すことによって束ねる、テープで正極側配線301および負極側配線302とグランド配線303を一括で巻くことによって束ねる、正極側配線301および負極側配線302とグランド配線303を互いに撚ることにより束ねる、あるいは金属や樹脂のガイドや穴に挿入することにより束ねる、複数の結束バンドや接着材により束ねることができる。また、正極側配線301および負極側配線302とグランド配線303は密着するほど磁束の打消し効果が高くなる。
【0027】
図6は、磁束の打消し効果を高めることができる、多芯ケーブル300の他の例を示す断面図である。
多芯ケーブル300は、正極側配線301と、負極側配線302と、正極側配線301および負極側配線302を囲む導電性のシールド層403と、被覆部材304とを備える。シールド層403は、グランド配線303を構成し、グランド端子116とYキャパシタグランド端子203とを接続する。このように、グランド配線303をシールド層403に置き換えても、正極側配線301および負極側配線302と、シールド層403に流れる電流の向きは逆方向になるので、磁束が互いに打ち消し合い、インダクタンスを小さく保つことができる。この例では、正極側配線301および負極側配線302の表面のそれぞれ約半分がシールド層403に密接するので、シールド層403を用いない場合と比較して、磁束の打消し効果が増大する。また、シールド層403が正極側配線301および負極側配線302を覆っているため、シールド層403内部で発生する電界によるノイズ放射を防ぐことが可能になる。なお、シールド層403をグランド配線303とする例を説明したが、シールド層403とせずに、グランド配線303を複数本にして、正極側配線301および負極側配線302と共に被覆部材304で覆って多芯ケーブル300を形成してもよい。
【0028】
図7は、多芯ケーブル300を固定する一例を示す図である。
図7(A)は、電力変換装置100の金属筐体700の内壁に突設された2つの固定部701の間に多芯ケーブル300を挟み込んで固定した例である。図7(B)は、電力変換装置100の金属筐体700の内壁に設けられたコの字状のクリップ702に多芯ケーブル300を挟み込んで固定した例である。多芯ケーブル300は、バスバー正極端子114およびバスバー負極端子115から熱を伝導している。図7(A)、図7(B)に示すように、多芯ケーブル300を金属筐体700の内壁と密着させることにより、多芯ケーブル300に伝わった熱を金属筐体700へ放熱することができる。従って、バスバーからの熱による、多芯ケーブル300および、多芯ケーブル300に接続されるYキャパシタ200の性能低下を防ぐことが可能となる。なお、固定部701やクリップ702は、電力変換装置100の金属筐体700に突設された例で説明したが、金属筐体700は少なくともフィルタ装置101が収納される筐体であればよい。
【0029】
次に、フィルタ装置101の直列共振周波数について述べる。フィルタ装置101の直列共振周波数は、1.8MHz以下であることが望ましい。多芯ケーブル300内の正極側配線301および負極側配線302を流れる電流の向きは、グランド配線303を流れる電流の向きと逆となり、磁束が打消しあう。このため、多芯ケーブル300の折り曲げや金属筐体700などの金属の影響を受けにくい。従って、多芯ケーブル300は任意の位置に自由に設置でき、多芯ケーブル300の長さでフィルタ装置101の直列共振周波数を調整することができる。例えば、AMラジオで使用されるCISPR25(「車載受信機保護のための妨害波の推奨限度値及び測定法」)で規定されるMW帯域(0.53MHz-1.8MHzが、車載機器では特に課題となる。直列共振周波数を1.8 MHz以下とすることでMW帯域のノイズを遮断することが出来る。
【0030】
本実施形態によれば、多芯ケーブル300内の正極側配線301および負極側配線302に流れる電流と、多芯ケーブル300内のグランド配線に流れる電流の向きが逆向きになるように構成することが出来る。これにより、各電流によって生じる磁束が打ち消しあう効果が生じ、インダクタンスが小さくなる。従って、多芯ケーブル300を長くしても低インダクタンスを保つことができ、且つ、Yキャパシタ200の高周波性能を保つことが可能であり、Yキャパシタ200の配置自由度を上げることができる。
【0031】
以上説明した実施形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)フィルタ装置101は、Yキャパシタ200と、Yキャパシタ200のYキャパシタ正極端子201と正極バスバー112を接続する正極側配線301と、Yキャパシタ200のYキャパシタ負極端子202と負極バスバー113を接続する負極側配線302と、Yキャパシタ200のYキャパシタグランド端子203と正極バスバー112および負極バスバー113の近傍に配設されたグランド端子116とを接続するグランド配線303と、正極側配線301と負極側配線302とグランド配線303とを束ねた多芯ケーブル300と、を備え、Yキャパシタ200は多芯ケーブル300を介してグランド端子116、正極バスバー112、および負極バスバー113に接続される。これにより、Yキャパシタ200までの配線によるインダクタンスを小さくすることができ、Yキャパシタ200の配置自由度が上がり、バスバーの近くにYキャパシタ200を配置する必要がなくなる。
【0032】
(2)フィルタ装置101は、Yキャパシタ200と、Yキャパシタ200の正極端子201と正極バスバー112のバスバー正極端子114とを接続する正極側配線301と、Yキャパシタ200の負極端子202と負極バスバー113のバスバー負極端子115とを接続する負極側配線302と、Yキャパシタ200のグランド端子203とフィルタ装置101を収納する筐体に接続されたグランド端子116とを接続するグランド配線303と、を備え、バスバー正極端子114、バスバー負極端子115、およびグランド端子116は正極バスバー112および負極バスバー113の近傍に配置され、Yキャパシタ200は正極側配線301、負極側配線302、およびグランド配線303を束ねた多芯ケーブル300を介してバスバー正極端子114、バスバー負極端子115、およびグランド端子116に接続される。これにより、Yキャパシタ200までの配線によるインダクタンスを小さくすることができ、Yキャパシタ200の配置自由度が上がり、バスバーの近くにYキャパシタ200を配置する必要がなくなる。
【0033】
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の特徴を損なわない限り、本発明の技術思想の範囲内で考えられるその他の形態についても、本発明の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0034】
100・・・電力変換装置、101・・・フィルタ装置、
102・・・コンデンサモジュール、103・・・パワーモジュール、
104・・・ドライバ回路、105・・・制御回路、
106・・・電流センサ、111・・・直流コネクタ、
112・・・正極バスバー、113・・・負極バスバー、
114・・・バスバー正極端子、115・・・バスバー負極端子、
116・・・グランド端子、200・・・Yキャパシタ、
201・・・Yキャパシタ正極端子、202・・・Yキャパシタ負極端子、
203・・・Yキャパシタグランド端子、
300・・・多芯ケーブル、301・・・正極側配線、
302・・・負極側配線、303・・・グランド配線。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7