(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
洗浄剤組成物中の(A)アルカノールアミンと(B)アミラーゼの含有量の比が、(A)アルカノールアミンの含有量を1質量部としたときに、(B)アミラーゼが0.05〜10質量部である、請求項1から5のいずれか1項に記載の洗浄剤組成物。
洗浄剤組成物中の(A)アルカノールアミンと(C)アミンオキシドの含有量の比が、(A)アルカノールアミンの含有量を1質量部としたときに、(C)アミンオキシドが0.3〜30質量部である、請求項1から6のいずれか1項に記載の洗浄剤組成物。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、かかる状況に鑑みてなされたものであり、十分な洗浄力と保存安定性(酵素安定性)を兼ね備えた洗浄剤組成物、特に前浸漬用の洗浄剤組成物を提供することを目的とする。さらに、本発明者らは、酵素を含む洗浄剤組成物が、配合成分によっては変色や層分離を起こすという新たな課題にも直面した。そこで、本発明は保存中に変色や層分離等を起こさず、外観安定性に優れた洗浄剤組成物を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意研究した結果、酵素としてアミラーゼを含有する洗浄剤組成物において、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール、トリスヒドロキシメチルアミノメタン、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール及び2−アミノ−2−メチル−1−プロパノールから成る群より選択される少なくとも1種のアルカノールアミンを配合することで、洗浄力及び保存安定性に優れると共に、変色や層分離等を起こさず、外観安定性にも優れる洗浄剤組成物を提供できることを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明の要旨は以下のとおりである。
【0007】
[1](A)2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール、トリスヒドロキシメチルアミノメタン、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール及び2−アミノ−2−メチル−1−プロパノールから成る群より選択される少なくとも1種のアルカノールアミン、及び
(B)アミラーゼ
を含有する洗浄剤組成物。
[2](C)アミンオキシドを更に含有する、[1]に記載の洗浄剤組成物。
[3](C)アミンオキシドが、下記式(1)で表されるアルキルアミンオキシドである、[1]又は[2]に記載の洗浄剤組成物。
【化1】
(式(1)中、R
1はC8〜C18アルキルであり、R
2及びR
3はそれぞれ独立して、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基又は3−ヒドロキシプロピル基である。)
[4](D)非イオン性界面活性剤を更に含有する、[1]から[3]のいずれかに記載の洗浄剤組成物。
[5](D)非イオン性界面活性剤が、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン縮合物を含む、[4]に記載の洗浄剤組成物。
[6](E)プロテアーゼを更に含有する、[1]から[5]のいずれかに記載の洗浄剤組成物。
[7]洗浄剤組成物中の(A)アルカノールアミンと(B)アミラーゼの含有量の比が、(A)アルカノールアミンの含有量を1質量部としたときに、(B)アミラーゼが0.05〜10質量部である、[1]から[6]のいずれかに記載の洗浄剤組成物。
[8]洗浄剤組成物中の(A)アルカノールアミンと(C)アミンオキシドの含有量の比が、(A)アルカノールアミンの含有量を1質量部としたときに、(C)アミンオキシドが0.3〜30質量部である、[2]から[7]のいずれかに記載の洗浄剤組成物。
[9]食器洗浄用である、[1]から[8]のいずれかに記載の洗浄剤組成物。
[10]前浸漬用である、[1]から[9]のいずれかに記載の洗浄剤組成物。
[11][1]から[10]のいずれかに記載の洗浄剤組成物を0.001質量%〜50質量%含有する洗浄液に食器を1分〜24時間浸漬する工程を含む、食器の洗浄方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明の洗浄剤組成物は、酵素としてアミラーゼを含有することで米飯等が固着した汚れに対する洗浄力に優れると共に、長期保存後も洗浄力の低下が起こり難く、さらに変色や層分離といった外観上の劣化も起こり難い。そのため、本発明の洗浄剤組成物は、大量の食器、調理器具等の洗浄が必要なレストラン、ホテル、学校給食の現場等において、自動食器洗浄機での洗浄の前の浸漬用の洗浄剤として、好適に用いられ得る。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本明細書中で使用される用語は、特に言及しない限り、当該技術分野で通常用いられる意味で解釈される。
【0010】
<洗浄剤組成物>
本発明の洗浄剤組成物は、(A)2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール、トリスヒドロキシメチルアミノメタン、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール及び2−アミノ−2−メチル−1−プロパノールから成る群より選択される少なくとも1種のアルカノールアミン(以下、単に「(A)アルカノールアミン」ともいう)、及び(B)アミラーゼを含有する。本発明の洗浄剤組成物は、これらの成分を組み合わせて含有することで、米飯等が固着したような強固な汚れに対する洗浄力に優れると共に、長期保存後も洗浄力の低下が起こり難く保存安定性(酵素安定性)に優れ、さらに変色、白濁、層分離といった外観上の劣化も起こり難い(外観安定性に優れる)という効果を奏する。
【0011】
本発明の洗浄剤組成物は、上記の成分に加えて(C)アミンオキシドを含有することが好ましい。また、(D)非イオン性界面活性剤、(E)プロテアーゼを含有することが好ましい。本発明の洗浄剤組成物は、(A)アルカノールアミン、(B)アミラーゼ、(C)アミンオキシド、(D)非イオン性界面活性剤、(E)プロテアーゼ以外にも、本発明の効果を損なわない範囲でその他の任意成分を含有してもよい。以下に各成分について詳細に説明する。
【0012】
[(A)アルカノールアミン]
本発明の洗浄剤組成物は、(A)アルカノールアミンとして、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール、トリスヒドロキシメチルアミノメタン、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール及び2−アミノ−2−メチル−1−プロパノールから成る群より選択される少なくとも1種を含有する。本発明の洗浄剤組成物は、(A)アルカノールアミンを含有することで、洗浄力に優れるだけでなく、変色や層分離等が起こることがなく、外観安定性にも優れる。なお、本発明の洗浄剤組成物は上記(A)アルカノールアミンを1種単独で含有してもよいし、複数種を含有していてもよい。
【0013】
モノエタノールアミン等のアルカノールアミンを、(B)アミラーゼ等の他の成分と組み合わせて配合して洗浄剤組成物を調製したところ、黄変、白濁、層分離等が起き、外観安定性が不十分となるという課題に直面した。そこで、多くのアルカノールアミンの中から、アミラーゼ等の他の成分との組み合わせにおいて、黄変、白濁、層分離等の外観の劣化が生じさせないアルカノールアミンを鋭意探索したところ、本発明における(A)アルカノールアミンを採用した場合には、この課題を解決でき、外観安定性を向上させることができることを見出した。
【0014】
(A)アルカノールアミンとしては、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール、トリスヒドロキシメチルアミノメタン、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノールのうち、本発明の洗浄剤組成物の保存安定性の観点、外観安定性の観点から、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール、トリスヒドロキシメチルアミノメタンが好ましく、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオールがより好ましい。
【0015】
本発明の洗浄剤組成物における(A)アルカノールアミンの含有量は、0.01質量%以上30質量%以下の範囲であり、洗浄力の観点から0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、1質量%以上が更に好ましい。また、洗浄剤組成物の安定性の観点から、20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、5質量%以下であることが更に好ましい。(A)アルカノールアミンの含有量の数値範囲としては、0.1質量%以上20質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上10質量%以下であることがより好ましく、1質量%以上5質量%以下であることが更に好ましい。
【0016】
[(B)アミラーゼ]
本発明の洗浄剤組成物における(B)アミラーゼとしては、デンプンを分解する酵素であって、中性又はアルカリ性の水溶液中で作用できるアミラーゼであれば特に限定されないが、細菌、植物、動物等に由来のものが好ましく、中でもα−アミラーゼが好ましい。例えば、Termamyl(登録商標)シリーズ、Duramyl(登録商標)シリーズ、Stainzyme(登録商標)シリーズ(ノボザイムズ社製)、PREFERENZ(登録商標)シリーズ、EFFECTENZ(登録商標)シリーズ(デュポン社製)、クライスターゼ(登録商標)シリーズ(天野エンザイム社製)等の製品名のアミラーゼが挙げられる。
【0017】
本発明の洗浄剤組成物における(B)アミラーゼの含有量は、0.05質量%以上30質量%以下であり、洗浄力の観点から0.1質量%以上であることが好ましく、0.3質量%以上であることがより好ましく、0.4質量%以上であることが更に好ましく、0.5質量%以上であることが特に好ましい。また、コストの観点から20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることが更に好ましく、5質量%以下であることが特に好ましい。(B)アミラーゼの含有量の数値範囲としては、0.1質量%以上20質量%以下であることが好ましく、0.3質量%以上15質量%以下であることがより好ましく、0.4質量%以上10質量%以下であることが更に好ましく、0.5質量%以上5質量%以下であることが特に好ましい。
【0018】
本発明の洗浄剤組成物中の(A)アルカノールアミンと(B)アミラーゼの含有量の比は、(A)アルカノールアミンの含有量を1質量部としたときに、(B)アミラーゼが0.05〜10質量部であり、0.08〜8質量部であることが好ましく、0.1〜5質量部であることがより好ましく、0.2〜3質量部であることが更に好ましく、0.3〜2質量部であることが特に好ましい。
【0019】
[(C)アミンオキシド]
本発明の洗浄剤組成物における(C)アミンオキシドとしては、上述の(A)アルカノールアミン、(B)アミラーゼとの組み合わせで、洗浄剤組成物の安定性、洗浄力のいずれも満足する化合物であれば特に限定されないが、このような化合物としては、アルキルアミンオキシドが好ましく、中でも下記式(1)で表されるアルキルアミンオキシドがより好ましい。(C)アミンオキシドとして、下記式(1)で表されるアルキルアミンオキシドを採用することで、後述する(D)非イオン性界面活性剤を水に溶解し易くできるという利点もある。なお、本発明の洗浄剤組成物は上記(C)アミンオキシドを1種単独で含有してもよいし、複数種を含有していてもよい。
【0021】
上記式(1)中、R
1はC8〜C18アルキルであり、R
2及びR
3はそれぞれ独立して、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基又は3−ヒドロキシプロピル基である。
【0022】
R
1としては、C8〜C16アルキルであることが好ましく、C8〜C14アルキルであることがより好ましく、C8、C10、C12又はC14であることが更に好ましい。R
2及びR
3としては、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基又はイソプロピル基であることが好ましく、水素原子、メチル基又はエチル基であることがより好ましく、メチル基であることが更に好ましい。
【0023】
(C)アミンオキシドとしては、C8〜18のアルキルジメチルアミンオキシドが好ましく、C8〜16のアルキルジメチルアミンオキシドがより好ましく、C8、C10、C12又はC14のアルキルジメチルアミンオキシドが更に好ましく、オクチルジメチルアミンオキシド、デシルジメチルアミンオキシドが特に好ましい。
【0024】
本発明の洗浄剤組成物における(C)アミンオキシドの含有量は、0.03質量%以上15質量%以下の範囲であり、洗浄力の観点から、0.15質量%以上であることが好ましく、0.3質量%以上であることがより好ましく、0.6質量%以上であることが更に好ましく、1.5質量%以上であることが特に好ましい。また、洗浄剤組成物の安定性の観点から、12質量%以下であることがより好ましく、9質量%以下であることがより好ましく、6質量%以下であることが更に好ましく、4.5質量%以下であることが特に好ましい。(C)アミンオキシドの含有量の数値範囲としては、0.15質量%以上12質量%以下であることが好ましく、0.3質量%以上9質量%以下であることがより好ましく、0.6質量%以上6質量%以下であることが更に好ましく、1.5質量%以上4.5質量%以下であることが特に好ましい。
【0025】
本発明の洗浄剤組成物中の(A)アルカノールアミンと(C)アミンオキシドの含有量の比は、(A)アルカノールアミンの含有量を1質量部としたときに、(C)アミンオキシドが0.3〜30質量部であり、0.3〜15質量部であることが好ましく、0.3〜9質量部であることがより好ましく、0.3〜6質量部であることが更に好ましく、0.3〜3質量部であることが特に好ましい。
【0026】
[(D)非イオン性界面活性剤]
本発明の洗浄剤組成物における(D)非イオン性界面活性剤は、洗浄力を向上させるための成分であり、非イオン性界面活性剤に分類されるものであれば特に限定されないが、例えば、プルロニック(登録商標)型ブロックポリマー、リバースプルロニック(登録商標)型ブロックポリマー、テトロニック型ブロックポリマー、リバーステトロニック型ブロックポリマー等のポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン縮合物;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンアルキルエーテル等のポリオキシアルキレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル、アルキルグリコシド、アルキルポリグリコシド、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、アルキルグリセロール、ポリグリセリンアルキルエーテル等が挙げられる。これらのうち、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン縮合物、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルが好ましく、中でもプルロニック(登録商標)型ブロックポリマー、リバースプルロニック(登録商標)型ブロックポリマー、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンアルキルエーテルがより好ましく、プルロニック(登録商標)型ブロックポリマー、リバースプルロニック(登録商標)型ブロックポリマーが更に好ましい。なお、本発明の洗浄剤組成物は、(D)非イオン性界面活性剤を、一種単独で含有してもよいし、複数種を含有してもよい。
【0027】
本発明の洗浄剤組成物における(D)非イオン性界面活性剤の含有量は、0.05質量%以上80質量%以下であり、洗浄力の観点から0.1質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることがより好ましく、1質量%以上であることが更に好ましく、5質量%以上であることが特に好ましく、10質量%以上であることが最も好ましい。また、洗浄剤組成物の安定性の観点から60質量%以下であることが好ましく、50質量%以下であることがより好ましく、40質量%以下であることが更に好ましく、30質量%以下であることが特に好ましく、25質量%以下であることが最も好ましい。(D)非イオン性界面活性剤の含有量の数値範囲としては、0.1質量%以上60質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上50質量%以下であることがより好ましく、1質量%以上40質量%以下であることが更に好ましく、5質量%以上30質量%以下であることが特に好ましく、10質量%以上25質量%以下であることが最も好ましい。
【0028】
[(E)プロテアーゼ]
本発明の洗浄剤組成物における(E)プロテアーゼは、タンパク質を分解する酵素であって、中性又はアルカリ性の水溶液中で作用できるプロテアーゼであれば特に限定されないが、細菌、植物、動物等に由来のものが好ましく、例えばAlcalase(登録商標)シリーズ、Savinase(登録商標)シリーズ、Everlase(登録商標)シリーズ、Liquanase(登録商標)シリーズ、Progress(登録商標)シリーズ(ノボザイムズ社製)、PREFERENZ(登録商標)シリーズ、EXCELLENZ(登録商標)シリーズ(デュポン社製)、Lavergy(登録商標)シリーズ(BASF社製)、サモアーゼ(登録商標)シリーズ(天野エンザイム社製)等の製品名のプロテアーゼが挙げられる。
【0029】
本発明の洗浄剤組成物における(E)プロテアーゼの含有量は、0.01質量%以上20質量%以下であり、洗浄力の観点から0.1質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることがより好ましく、1.0質量%以上であることが更に好ましく、1.5質量%以上であることが特に好ましい。また、洗浄剤組成物の安定性の観点から15質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、8質量%以下であることが更に好ましく、6質量%以下であることが特に好ましい。(E)プロテアーゼの含有量の数値範囲としては、0.1質量%以上15質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上10質量%以下であることがより好ましく、1.0質量%以上8質量%以下であることが更に好ましく、1.5質量%以上6質量%以下であることが特に好ましい。
【0030】
本発明の洗浄剤組成物は、上記(A)〜(E)成分に加えて、必要に応じて水、水溶性溶剤、緩衝剤等を含有させることができる。
【0031】
本発明の洗浄剤組成物が含有する水としては、特に限定されず、例えば水道水、イオン交換水、精製水、蒸留水、純水、軟水等が挙げられる。
【0032】
本発明の洗浄剤組成物が含有する水溶性溶剤は、酵素安定性、配合安定性等の観点から配合するものであり、水に溶解する溶剤であれば特に限定されないが、例えばアルコール類、多価アルコール類、グリコールエーテル類が好ましく、具体的には、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、エチルアルコール、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ソルビトール等が挙げられ、プロピレングリコール、エチレングリコール、グリセリンがより好ましく、プロピレングリコールが更に好ましい。なお、本発明の洗浄剤組成物は、水溶性溶剤を、一種単独で含有してもよいし、複数種を含有してもよい。
【0033】
本発明の洗浄剤組成物における水溶性溶剤の含有量は、0質量%以上80質量%以下であり、2質量%以上60質量%以下であることが好ましく、5質量%以上50質量%以下であることがより好ましく、10質量%以上40質量%以下であることが更に好ましい。
【0034】
本発明の洗浄剤組成物が含有する緩衝剤は、pH調整剤として機能するとともに洗浄力の向上にも寄与する。本発明の洗浄剤組成物が含有する緩衝剤としては、緩衝作用を有する化合物であれば特に限定されないが、例えばグリシン、リン酸、リン酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸二水素カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸アンモニウム、メグルミン、アルギニン、トリエタノールアミン、アスコルビン酸、クエン酸、酒石酸、酢酸、塩酸等が挙げられる。なお、本発明の洗浄剤組成物は、緩衝剤を、一種単独で含有してもよいし、複数種を含有してもよい。
【0035】
本発明の洗浄剤組成物は、上述の成分に加えて必要に応じてその他の添加剤として、例えば香料、染料、防腐剤等を適宜配合することができる。
【0036】
本発明の洗浄剤組成物のpHは、25℃で6.0以上10.5以下の範囲に設定することが好ましく、酵素の安定性の観点から、6.5以上の範囲に設定するのがより好ましく、7.0以上の範囲に設定するのが更に好ましい。また、10.0以下の範囲に設定することがより好ましく、9.0以下の範囲に設定することが更に好ましく、8.0以下の範囲に設定することが特に好ましい。洗浄剤組成物のpHの数値範囲としては、6.5以上10.5以下の範囲に設定することがより好ましく、6.5以上10.0以下が更に好ましく、6.5以上9.0以下が特に好ましく、7.0以上8.0以下が最も好ましい。
【0037】
本発明の洗浄剤組成物は、上述の各成分を常法により混合することで製造することができる。
【0038】
本発明の洗浄剤組成物は、上述のとおり酵素としてアミラーゼを含有することで米飯等が固着した汚れに対する洗浄力に優れると共に、長期保存後も洗浄力の低下が起こり難く、さらに変色や層分離といった外観上の劣化も起こり難い。そのため、本発明の洗浄剤組成物は、大量の食器、調理器具等の洗浄が必要なレストラン、ホテル、学校給食の現場等において、食器洗浄用の洗浄剤として、特に自動食器洗浄機での洗浄の前の浸漬用の洗浄剤として、好適に用いられ得る。
【0039】
本発明の洗浄剤組成物の使用態様は特に限定されるものではないが、例えば水等で2〜100000倍程度に希釈した液(洗浄剤組成物を0.001質量%〜50質量%含有する洗浄液)を食器等の洗浄前の浸漬、洗浄等に使用することができる。食器等の洗浄前の浸漬用として使用する場合、その浸漬時間は適宜設定することができ、例えば1分〜24時間の範囲である。
【0040】
<食器の洗浄方法>
本発明は、上述の本発明の洗浄剤組成物を0.001質量%〜50質量%含有する洗浄液に食器を1分〜24時間浸漬する工程を含む、食器の洗浄方法も含む。本発明の食器の洗浄方法は、上記工程に引き続く工程として、自動食器洗浄機での洗浄工程を含んでもよい。自動食器洗浄機での洗浄工程においては、食器用洗剤として本発明の洗浄剤組成物をそのまま使用してもよいし、別の食器用洗剤を使用してもよい。
【実施例】
【0041】
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
【0042】
下記表1に示す組成の洗浄剤組成物を調製し、以下の試験を行った。表1中の数値の単位は質量%である。「−」は、評価を実施しなかったことを示す。また、pHはpHメーター(株式会社堀場製作所製、卓上型pHメーター<F−71>)を用いて測定した。
【0043】
[外観安定性試験]
各洗浄剤組成物を、40℃の条件下で2週間保存した後の外観を目視で観察し、外観安定性を評価した。評価基準は以下のとおりである。
○(優れている) :変色が起こらず、透明である。
×(不十分である):黄変、白濁、層分離等がおきている。
【0044】
[アミラーゼ安定性試験]
各洗浄剤組成物(原液)を40℃で2週間保存し、その洗浄剤組成物中の酵素活性値を求めた。酵素活性値は、次のようにして求めた。即ち、2週間保存後、希釈した洗浄剤水溶液に、デンプンとデンプンの分解により発色する指示薬とを含んだ錠剤(ファデバス錠)を投入して所定時間後における色素の濃度を測定した。色素の濃度が高い程デンプンの残存率が低く、洗浄剤組成物中のアミラーゼの活性が保たれていることを示す。逆に色素の濃度が低い程デンプンの残存率が高く、洗浄剤組成物中のアミラーゼの失活が激しいことを示す。評価基準は以下のとおりである。
◎(非常に優れている):酵素活性の残存率が70%以上である。
○(優れている) :酵素活性の残存率が60%以上70%未満である。
×(不十分である) :酵素活性の残存率が60%未満である。
【0045】
[デンプンに対する洗浄力試験]
お湯3Lに保存用米飯250gを加えて沸騰させ30分間煮た。その後30秒間ミキサーにかけてデンプン模擬汚れを作成した。デンプン模擬汚れを食器全体に塗り、2時間乾燥させた。各洗浄剤組成物を水道水で0.2体積%になるように希釈し、40℃に加温した。加温した上記洗浄剤希釈液に、乾燥したデンプン模擬汚れが付着した食器を10分間浸漬させた。浸漬後、食器を取り出して軽くすすぎ、乾燥させた。その後、0.05Mヨウ素溶液を食器全体に塗布し、青紫色の発色の程度により食器表面上に残ったデンプン模擬汚れ量を目視で観察した。評価基準は以下のとおりである。
〇(優れている) :浸漬部分の汚れが大部分落ちた。
×(不十分である):浸漬部分の汚れの一部が落ちたか、汚れが全く落ちなかった。
【0046】
[タンパクに対する洗浄力試験]
沸騰したお湯1Lに溶き卵2個分を加えて30秒間茹でた。その後30秒間ミキサーにかけてタンパク模擬汚れを作成した。タンパク模擬汚れを食器全体に塗り、1時間乾燥させた。各洗浄剤組成物を水道水で0.2体積%になるように希釈し、40℃に加温した。加温した上記洗浄剤希釈液に、乾燥したタンパク模擬汚れが付着した食器を10分間浸漬させた。浸漬後、食器を取り出して60℃のお湯で1分間すすぎ、乾燥させた。その後、アミドブラックを食器全体に塗布し、染色の程度により食器表面上に残ったタンパク模擬汚れ量を目視で観察した。評価基準は以下のとおりである。
〇(優れている) :浸漬部分の汚れが大部分落ちた。
×(不十分である):浸漬部分の汚れの一部が落ちたか、汚れが全く落ちなかった。
【0047】
【表1】
【0048】
表1に示したとおり、実施例の洗浄剤組成物は全て、40℃、2週間の保存後であっても変色が起こらず透明であり、外観安定性に優れていた。また、アミラーゼの活性も60%以上残っており、特に実施例3〜6ではアミラーゼ活性が70%以上残っており、アミラーゼ安定性にも優れていることがわかった。さらに実施例の洗浄剤組成物は全てデンプンに対する優れた洗浄力を示した。また、プロテアーゼを含む実施例5及び6の洗浄剤組成物は、タンパクに対する洗浄力にも優れていた。それに対して比較例の洗浄剤組成物は40℃、2週間の保存後には層分離や黄変が起こり、外観安定性が不十分であった。具体的には、比較例1の洗浄剤組成物は40℃、2週間の保存後のアミラーゼの失活が激しくアミラーゼ安定性が不十分であり、溶液の黄変も起こり外観安定性も不十分であった。比較例2の洗浄剤組成物はデンプンに対する洗浄力が不十分であった。比較例3の洗浄剤組成物は40℃、2週間の保存後には黄変がおき、外観安定性が不十分であった。
【0049】
以上のとおり、本発明の洗浄剤組成物は、デンプンに対する洗浄力に優れると共に、高温で長期間保存した後であっても、変色や層分離、アミラーゼの失活が起こらず、優れた安定性(アミラーゼ安定性及び外観安定性)を有していた。
【課題】本発明は十分な洗浄力と保存安定性を兼ね備えた洗浄剤組成物、特に前浸漬用の洗浄剤組成物を提供することを目的とする。さらに、本発明は保存中に変色や層分離等を起こさず、外観安定性に優れた洗浄剤組成物を提供することも目的とする。
【解決手段】本発明は、(A)2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール、トリスヒドロキシメチルアミノメタン、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール及び2−アミノ−2−メチル−1−プロパノールから成る群より選択される少なくとも1種のアルカノールアミン、及び(B)アミラーゼを含有する洗浄剤組成物である。