(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記突起又は溝は、前記支持部の壁面における前記回転部の下縁から高さ方向に所定距離離れた位置まで、前記中間金型支持枠の進退方向に係る前記支持部の中央位置に沿うか又は前記中央位置よりも前記固定プラテンに近い領域に向けて前記油脂の流れを誘導する、
請求項1又は請求項2に記載の射出成形機。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。本発明は各実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施の形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態の構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0011】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1による射出成形機1を示す部分断面図である。
図1に示す射出成形機1は、金型装置2とともに、射出成形により成形品を成形するための装置である。より具体的には、本実施の形態の射出成形機1は、いわゆる射出吹込成形機とも称され得るものであって、射出成形用キャビティに成形材料を射出してプリフォームを成形した後、吹込み成形用キャビティでプリフォームに気体等の流体を供給してプリフォームを膨張させ、成形品を製造する射出吹込成形(インジェクションブロー成形)に用いられる。
【0012】
金型装置2は、図示の例では、固定金型20、可動金型21及び中間金型22を有している。可動金型21及び中間金型22は、固定金型20に対して進退可能(固定金型20に対して近づく方向及び離れる方向に変位可能)に設けられている。固定金型20及び中間金型22は、上述の射出成形用キャビティを内側(互いの間)に区画形成するための金型である。中間金型22及び可動金型21は、上述の吹込み成形用キャビティを区画形成するための金型である。金型装置2は、製造しようとする成形品の形状等に応じて適宜、射出成形機1に取り付けられ、また交換され得るものである。ここでは、金型装置2は射出成形機1の一部とはみなさない。
【0013】
射出成形機1は、射出装置100、移動装置200及び型締装置300を有している。
【0014】
(射出装置)
射出装置100は、成形材料を溶融させて金型装置2内に向けて射出するための装置である。射出装置100は主に、シリンダ101、スクリュ102、ヒータ103及びモータボックス104を備える。
【0015】
以下、前方側及び後方側との用語を用いて各構成の位置を説明することがある。これら前方側及び後方側との用語は後述する固定プラテン301aを基準とする用語であり、固定プラテン301aに接近する向きを前方側とし、固定プラテン301aから離隔する向きを後方側とする。例えば、
図1において固定プラテン301aの右側に位置する射出装置100について見ると、固定プラテン301aに接近する左向きが前方側となり、固定プラテン301aから離隔する右向きが後方側になる。
【0016】
シリンダ101は、金型装置2に向けて延びる筒状の部材である。シリンダ101の断面形状は、円形であることが好ましいが、他の形状としてもよい。シリンダ101には、供給口101a及びノズル101bが設けられている。供給口101aは、成形材料をシリンダ101内に投入するためのホッパーが取り付けられ得る開口である。供給口101aは、シリンダ101の後方側かつモータボックス104の手前に配置され得る。供給口101aの近傍には水冷等による水冷シリンダ101cを設けることができる。ノズル101bは、金型装置2に近接する先端部に設けられた開口である。ノズル101bの横断面積は、シリンダ101の後方側の横断面積よりも小さくされている。
【0017】
スクリュ102は、シリンダ101の内部に挿通された長手状の部材である。スクリュ102の中心軸線は、シリンダ101の中心軸線と平行に延在されていることが好ましい。スクリュ102の周囲にはフライトが螺旋状に設けられている。スクリュ102の回転に応じて成形材料がシリンダ101の先端部に送られ得る。
【0018】
ヒータ103は、シリンダ101の外周を取り囲んで配置されている。ヒータ103は、ノズル101bの周囲を含むシリンダ101の周囲に配置されている。ヒータ103は、バンド状等の形状を採り得る。ヒータ103は、軸線方向に一体に形成されてもよいが、図示のように軸線方向(
図1の左右方向)に互いに分割された複数のヒータ部分を有していてもよい。ヒータ部分の位置毎に、シリンダ101の内部を異なる温度で加熱してもよい。各ヒータ部分には、温度センサーを設けることができる。
【0019】
モータボックス104は、シリンダ101及びスクリュ102の後方側に配置されている。図示は省略するが、モータボックス104内には、シリンダ101の先端部に所定の量の成形材料を充満させるため、スクリュ102を中心軸線周りに回転させる計量モータや、金型装置2に接近する方向及び金型装置2から離れる方向の各方向へのスクリュ102の前進及び後退変位を行う射出モータ、スクリュ102が成形材料から受ける圧力を検出する圧力検出センサー等が配置されている。
【0020】
なお、この射出成形機1はインラインスクリュ式のものであるが、可塑化シリンダ及び可塑化スクリュと、射出シリンダ及び射出プランジャとに構造及び機能上分離させたプリプラ式の射出成形機とすることも可能である。
【0021】
(移動装置)
移動装置200は、射出装置100を金型装置2に対して前進・後退変位させるための装置である。移動装置200は、たとえば射出装置100のモータボックス104の下部等に設けられ、後述の固定プラテン301aに対して射出装置100を前進及び後退変位させる進退駆動機構である。
【0022】
移動装置200を構成する進退駆動機構としては種々の機構を採用することができるが、図示の移動装置200は、油圧等の液圧ポンプ201と、液圧ポンプ201を作動させる電動等によるポンプ作動用モータ202と、液圧ポンプ201から作動液が供給されて、先端が固定プラテン301aに固定されたピストンロッドを押出・引込運動させる複動型の液圧シリンダ203とを含んでいる。
【0023】
この移動装置200は、スライドベース204及びガイド205をさらに含む。スライドベース204には、上述の液圧ポンプ201、ポンプ作動用モータ202及び液圧シリンダ203が取り付けられている。ガイド205は、フレームFr上に敷設されており、スライドベース204の直線運動を案内することができる。スライドベース204及びガイド205により、スライドベース204の上部に載置された射出装置100の進退変位を実現する。
【0024】
移動装置200により、射出装置100を金型装置2から離隔させたり、射出装置100を金型装置2に接近させて、射出装置100のシリンダ101のノズル101bを所定の圧力で金型装置2に押し付ける、いわゆるノズルタッチを行ったりすることが可能になる。
【0025】
(型締装置)
型締装置300は、金型装置2を型締状態と型開状態との間で開閉させるための装置である。型締装置300は、金型装置2の固定金型20に対して可動金型21及び中間金型22を変位させて金型装置2を開閉し、金型装置2を型締状態、型閉状態または型開状態とする。
【0026】
この射出成形機1の型締装置300は、主として、金型保持機構301及びプラテン移動機構302を有している。
【0027】
金型保持機構301は、固定プラテン301a、可動プラテン301b及び中間金型支持枠301cを有している。固定プラテン301aは、射出装置100と金型装置2との間に配置されており、フレームFrに対して固定されている。可動プラテン301bは、固定プラテン301aとの間に金型装置2が位置するように配置されており、固定プラテン301aに対して進退可能に設けられている。中間金型支持枠301cは、固定プラテン301aと可動プラテン301bとの間に配設されており、固定プラテン301aに対して進退可能に設けられている。可動プラテン301b及び中間金型支持枠301cは、互いに独立して進退可能に設けられている。固定プラテン301aは固定金型20を支持し、可動プラテン301bは可動金型21を支持し、中間金型支持枠301cは中間金型22を回転自在に支持している。
【0028】
固定プラテン301aには、可動プラテン301b及び中間金型支持枠301cの変位をガイドするための一本又は複数本のタイバー301dの一端が取り付けられている。タイバー301dの他端は後述のリヤプラテン304に取り付けられている。フレームFr上には、可動プラテン301b及び中間金型支持枠301cの進退を案内するガイド部材301eが敷設されている。
【0029】
固定プラテン301aに対して可動プラテン301b及び中間金型支持枠301cが離隔する位置では、中間金型22が固定金型20及び可動金型21から開いた型開状態となる。
中間金型22が固定金型20及び可動金型21から開いた離隔位置から可動プラテン301b及び中間金型支持枠301cを固定プラテン301aに向けて接近させることで、中間金型22が固定金型20及び可動金型21に対して閉じた型閉状態となる。
型閉状態から可動プラテン301b及び中間金型支持枠301cを固定プラテン301aにてさらに接近させることで、中間金型22が固定金型20及び可動金型21に対して押し付けられた型締状態となる。
【0030】
なお、型締装置300の固定プラテン301aを除く大部分は、
図1において固定プラテン301aの左側に位置するので、型締装置300のその大部分について見れば、固定プラテン301aに接近する右向きが前方側となり、固定プラテン301aから離隔する左向きが後方側になる。
【0031】
プラテン移動機構302は、主に可動プラテン301bを移動させるための機構である。プラテン移動機構302は、フレームFr上で移動可能に載置されたリヤプラテン304と、リヤプラテン304上に設けた型締モータ305と、型締モータ305の回転運動を可動プラテン301bの変位方向の直線運動に変換する運動変換機構306と、運動変換機構306に伝達された力を増大させて可動プラテン301bに伝えるトグル機構307とを備える。
【0032】
このうち、運動変換機構306は、回転運動を直線運動に変換できる種々の機構とすることができるが、この例では、型締モータ305により回転駆動されるねじ軸306a及び、ねじ軸306aに羅合するナット306bを含んで構成されるものとしている。運動変換機構306をボールねじとすることも可能である。
【0033】
そして、運動変換機構306からの伝達力を増大させるトグル機構307は、リヤプラテン304及びナット306bと可動プラテン301bとをつなぐ複数のリンク307a〜307cをジョイントで揺動可能に接続してなるものである。リンク及びジョイントの個数ならびにその形状は適宜変更することが可能であるが、
図1に示すところでは、ナット306bに接続されて上下方向に延びるクロスヘッド307dに、該クロスヘッド307dを隔てて上下に位置するリンク307a〜307cからなる一対のリンク群が、揺動可能に接続されて設けられている。
【0034】
なお、リヤプラテン304上には、上述した型締モータ305の他、型厚調整モータ308も設けることができる。この型厚調整モータ308は、先述の金型保持機構301の各タイバー301dの延長部分に接続されたねじ軸及びナットに回転駆動力を付与することにより、固定プラテン301aと、フレームFr上で移動可能にレールを介して配置されたリヤプラテン304との間隔を調整するべく機能する。これにより、金型装置2の交換や、温度変化に起因する金型装置2の厚みの変更等の際にも、金型装置2に所期したとおりの型締力を与えることができるように型厚の調整を行うことができる。図示は省略するが、フレームFr上で固定プラテン側を移動可能とし、リヤプラテン側を固定としても、型厚の調整を実現可能である。
【0035】
図示の型締装置300は、可動プラテン301bの移動方向が水平方向と平行な横型のものであるが、該移動方向を垂直方向とした竪型のものとすることも可能である。
【0036】
次に、
図2及び
図3を参照しながら、金型装置2及び型締装置300についてより詳細に説明する。
図2は
図1の金型装置2の型開状態を示す説明図であり、
図3は
図1の金型装置2の型締状態を示す説明図である。なお、
図2及び
図3の(a)は金型装置2の拡大側面図であり、
図2及び
図3の(b)は(a)の線B−Bに沿う金型装置2の断面図である。
【0037】
中間金型22は、回転軸220を介して中間金型支持枠301cに回転自在に支持されている。回転軸220には図示しない駆動手段が接続されており、駆動手段の駆動力により前後が反転するよう中間金型22が回転可能とされている。型締装置300は、固定プラテン301aに対して中間金型支持枠301cを進退させるための中間金型移動機構309を有している。中間金型移動機構309は、固定プラテン301aに取り付けられた液圧シリンダ309a、及びその液圧シリンダ309aにより進退可能にされるとともに一端が中間金型支持枠301cに固定されたピストンロッド309bを有している。この中間金型移動機構309により、中間金型支持枠301c及び中間金型22は、プラテン移動機構302による可動プラテン301b及び可動金型21の進退とは独立して進退可能とされている。なお、中間金型移動機構309の液圧シリンダ309aが可動プラテン301bに固定され、中間金型支持枠301cが、可動プラテン301bと一体に進退可能であるとともに、可動プラテン301bに対してさらに進退可能とされていてもよい。
【0038】
前後方向における中間金型22の両側には、複数の凸型部221が突設されている。
図2の(b)に特に表れているように、固定金型20には複数の固定側凹型部20aが設けられている。
図3に示す型締状態では、この固定側凹型部20a内に中間金型22の凸型部221が挿入されて、固定側凹型部20aと凸型部221との間に、プリフォームPFの形状に対応する射出成形用キャビティが区画される。
図2の(a)に現れているように、型開状態では、固定側凹型部20aから引き抜かれた凸型部221の外面にプリフォームPFが保持される。
【0039】
可動金型21は、金型幅方向に分割可能な割型210を有している。型締装置300は、割型210を開閉するための割型開閉機構310を有している。割型開閉機構310は、可動金型21の両側に配置された液圧シリンダ310a、その液圧シリンダ310aにより進退可能にされるとともに一端が割型210に固定されたピストンロッド310b、及び金型幅方向で同じ向きに変位される割型210を連結する割型連結部材310cを有している。
図3に示す型締状態では、割型210が閉じられるとともに、この割型210内に中間金型22の凸型部221が挿入されて、割型210と凸型部221との間に、成形品MPの形状に対応する吹込み成形用キャビティが区画される。
図2の(b)に現れているように、型開状態では、割型210が開かれて、可動金型21で成形された成形品MPが可動金型21から落下する。
【0040】
(射出成形機の動作)
以上に述べた射出成形機1では、次に述べる各工程を行うように動作する。
図2に示す金型装置2の型開状態で、プラテン移動機構302により可動プラテン301bを固定プラテン301a側に移動させるとともに、中間金型移動機構309により中間金型支持枠301cを固定プラテン301a側に移動させる型閉工程を行う。
【0041】
次いで、前回の成形時の後述する計量で既に射出装置100の内部に成形材料が所定の量で蓄積されて配置された状態で、型締装置300を用いて、
図3に示すように、金型装置2を型締状態とする型締工程が行われる。型締工程では、固定金型20と中間金型22との間に、射出成形用キャビティが区画され、可動金型21と中間金型22との間に、吹込み成形用キャビティが区画される。
【0042】
そして、スクリュ102の前進により上記の成形材料を、金型装置2の射出成形用キャビティに向けて射出し、成形材料を射出成形用キャビティに充填する射出工程を行う。射出工程では、射出成形用キャビティへの成形材料の充填後に、スクリュ102をさらに前進させて射出装置100の先端部の内部にある成形材料を所定の圧力に保持する保圧が行われる。しかる後、射出成形用キャビティに充填された成形材料を冷却させて固化させる。これにより、射出成形用キャビティにプリフォームPFが成形される。この際に、射出装置100内に別途投入した成形材料を、ヒータ103による加熱下でスクリュ102の回転により射出装置100の先端部に向けて送りながら溶融させ、所定の量の成形材料を先端部に配置する計量が行われる。
【0043】
上記の射出工程と並行して、吹込み成形用キャビティでは吹込み工程が行われる。吹込み成形用キャビティには、中間金型22の反転前に射出成形用キャビティで既に成形されたプリフォームPFが配置されている。吹込み工程では、当該プリフォームPFに対して空気その他の気体等の流体を供給し、吹込み成形用キャビティでプリフォームPFを膨張させて、成形品MPを成形する。
【0044】
その後、プラテン移動機構302及び中間金型移動機構309を作動させて、可動プラテン301b及び中間金型支持枠301cのそれぞれを固定プラテン301aから離れる側に移動させて、金型装置2を開く型開工程を行う。
【0045】
型開工程の後は、割型開閉機構310を用いて、可動金型21の割型210を開いて成形品MPを取り出した後、可動金型21の割型210を閉じる割型開閉工程を行う。
ここでは、中間金型22の回転軸220に接続された駆動手段により中間金型22を反転させる中間金型回転工程を行う。これにより、割型開閉工程で成形品MPが回収された側における中間金型22の凸型部221が、固定金型20の固定側凹型部20a側を向くことになる。一方、射出工程でプリフォームPFが成形された側における中間金型22の凸型部221が、プリフォームPFを保持した状態で、可動金型21の割型210を向く。
なお、中間金型回転工程は、割型開閉工程とほぼ同時期又は、割型開閉工程の前もしくは後に行うことができる。
【0046】
射出成形機1を用いた射出成形では、上述したような型閉工程、型締工程、射出工程、吹込み工程、型開工程、割型開閉工程及び中間金型回転工程が繰り返し行われる。
【0047】
次に、
図4は、
図3の中間金型支持枠301cを示す背面図(可動プラテン301b側から見た図)である。
図4に示すように、中間金型支持枠301cは、型開閉方向視で四角枠状に形成されている。中間金型支持枠301cは、幅方向Wに互いに離間して配設される一対の支持部40と、支持部40の上部及び下部を接続するように幅方向Wに延びる一対の梁部41を有している。本実施の形態の支持部40は、高さ方向Hに延びている。各支持部40の上部及び下部には、中間金型支持枠301cの進退方向ARに中間金型支持枠301cを貫通する貫通孔420を有する円環部42が設けられている。貫通孔420にタイバー301dが通されることで、中間金型支持枠301cの進退がタイバー301dにより案内される。なお、幅方向W、高さ方向H及び進退方向ARは、互いに直交する方向であり得る。高さ方向Hは、鉛直方向であり得る。但し、支持部40が延びる方向は、任意であり、鉛直方向に対して傾斜されていてもよく、水平方向に延びていてもよい。また、支持部40の形状も任意である。
【0048】
中間金型支持枠301cは、中間金型22を支持部40に対して回転可能に支持する回転部を有している。本実施の形態の回転部は、支持部40に設けられた軸挿通孔430によって構成されている。支持部40には、軸支部43及び下支持部44が設けられている。軸支部43は、支持部40が延びる方向に係る支持部40の中央部に配置されている。軸挿通孔430は、軸支部43に設けられている。軸挿通孔430には、中間金型22とともに回転される回転軸220が挿通される。軸挿通孔430は、幅方向Wに延在している。下支持部44は、軸支部43から下方に延びている。
【0049】
軸支部43は、下支持部44よりも幅方向Wの内側に突出するように形成されている。軸支部43は、幅方向Wに係る下支持部44の下支持内壁44aよりも内側に配置された軸支内壁43aと、軸支内壁43aの下縁と下支持内壁44aの上縁とを接続する軸支下壁43bとを有している。
【0050】
軸挿通孔430の内部には、回転軸220の回転を円滑にするために例えばグリース等の油脂が塗布されている。軸挿通孔430から油脂が流れ出ないよう軸挿通孔430にパッキンが取り付けられてもよいが、本実施の形態では、少なくとも幅方向Wに係る内側において軸挿通孔430にパッキンが取り付けられておらず、少なくとも幅方向Wに係る内側において軸挿通孔430から油脂が流れ出ることが許容されている。
【0051】
本実施の形態の中間金型支持枠301cは、可動金型21で成形された後に可動金型21から落下する成形品MPが軸挿通孔430から流れ出る油脂に接触することを抑制する接触抑制手段45を有している。軸挿通孔430から流れ出る油脂に成形品MPが接触することを接触抑制手段45が抑制することにより、油脂の除去作業を頻繁に行わなくても軸挿通孔430から流れ出る油脂が成形品MPに付着することを避けることができ、油脂の除去作業の必要性を少なくできる。
【0052】
次に、
図5及び
図6を参照しながら、本実施の形態の接触抑制手段45についてより詳しく説明する。
図5は
図4の領域Vを拡大して示す中間金型支持枠301cの拡大背面図であり、
図6は幅方向Wに係る内側から見た
図5の軸支部43及び下支持部44の側面図である。なお、
図5及び
図6では中間金型22及び回転軸220の図示を省略している。
【0053】
図5及び
図6に示すように、本実施の形態の接触抑制手段45は、支持部40の壁面における軸挿通孔430の下部から支持部40の壁面に沿って下方に延びる突起450を含んでいる。軸挿通孔430から流れ出て突起450に到達した油脂は、突起450に沿って流れ落ちる。すなわち、突起450は、軸挿通孔430から流れ出る油脂の流れを誘導する。可動金型21から落下する成形品MPから遠ざけるように油脂の流れが誘導されることで、成形品MPが油脂に接触することが抑制される。
【0054】
図6に特に表れているように、支持部40の壁面における軸挿通孔430の下縁430aの下方に突起450が設けられていることが好ましい。換言すると、
図6のように幅方向Wに係る内側から軸挿通孔430及び突起450を見たとき、軸挿通孔430の下縁430aを通る高さ方向Hに延びる直線Lと下縁430aの下方において交わるように突起450が設けられていることが好ましい。軸挿通孔430から流れ出る油脂は、下縁430aから垂れ落ちようとする。このため、下縁430aの下方に突起450が設けられていることで、軸挿通孔430から流れ出る油脂をより確実に突起450に到達させることができ、より確実に突起450により油脂の流れを誘導できる。
【0055】
直線Lが突起450と交わる位置よりも上方において、突起450が軸挿通孔430の下縁430aよりも固定プラテン301a又は可動プラテン301bに近い位置で延在されていてもよい。下縁430aに至る前に垂れ落ちようとする油脂をより確実に突起450に到達させることができるようにするためである。
【0056】
突起450は、軸挿通孔430の下縁430aから高さ方向Hに所定距離離れた位置まで、中間金型支持枠301cの進退方向ARに係る支持部40の中央位置に沿うか、又は中央位置よりも固定プラテン301aに近い領域に向けて油脂の流れを誘導することが好ましい。より確実に油脂の流れを成形品MPから遠ざけるためである。本実施の形態の突起450は、円環部42の外周面まで支持部40の中央位置において進退方向ARに直交する面に沿って直線状に延在されており、円環部42の外周面まで支持部40の中央位置に沿うように油脂の流れを誘導する。しかしながら、突起450は、少なくとも部分的に進退方向ARに直交する面に対して傾斜して延在されていてもよい。また、突起450は、少なくとも部分的に曲線を描くように延在されていてもよい。下方に向かうにつれて固定プラテン301aに近づくように突起450が延在されていることで、中央位置よりも固定プラテン301aに近い領域に向けて油脂の流れを誘導できる。なお、本実施の形態では下支持内壁44aと円環部42の外周面とが曲面により滑らかに接続されている。このため、
図6では下支持内壁44aと円環部42の外周面との境界を線により描いていない。
【0057】
本実施の形態の突起450は、軸支内壁43aの下縁から始まっている。換言すると、本実施の形態の突起450の一端450aは、幅方向Wに係る軸支下壁43bの内端から高さ方向Hに沿って突出されている。また、本実施の形態の突起450の一端450aは、軸支内壁43aと同一平面を形成している。これにより、例えば中間金型22等の中間金型支持枠301cの内側に配置される部材と突起450が接触される虞を低減しつつ、油脂をより確実に突起450に到達させることができる。しかしながら、突起450は、軸支内壁43aから幅方向Wに係る内側に突出されていてもよい。また、突起450は、軸挿通孔430に接するか又は軸挿通孔430の直近から始まっていてもよい。
【0058】
また、本実施の形態の突起450は、軸支下壁43bを伝って下支持内壁44aまで延在されている。このため、突起450に到達した油脂の流れを下支持内壁44aにおいても誘導でき、油脂の流れを成形品MPからより確実に遠ざけることができる。本実施の形態の突起450の他端450bは、円環部42の外周面に接して設けられている。すなわち、本実施の形態では、円環部42の外周面まで油脂の流れが誘導される。
【0059】
次に、
図7は、
図6の突起450が設けられていることの作用を示す説明図である。
図7の(a)は突起450が設けられているときの油脂の流れを示しており、
図7の(b)は突起450が設けられていないときの油脂の流れを示している。
図7では油脂を網掛けにより表している。
【0060】
図7の(b)に示すように、突起450が設けられていないとき、軸挿通孔430から流れ出る油脂は、軸挿通孔430の下縁430aから進退方向ARに係る両側に拡がる。このため、下支持内壁44aの全体が油脂で濡れた状態となり、成形品MPが油脂と接触しやすくなる。
【0061】
これに対して、
図7の(a)に示すように、突起450が設けられているとき、油脂の流れが突起450により誘導され、下支持内壁44aが油脂で濡れる部分は限定的となる。このため、成形品MPが油脂に接触することが抑制されて、油脂の除去作業の必要性を少なくできる。
【0062】
なお、上述の突起450に代えて、軸挿通孔430の下部から支持部40の壁面に沿って下方に延びる溝が設けられていてもよい。溝であっても、突起450と同様に軸挿通孔430から流れ出る油脂の流れを誘導できる場合がある。
【0063】
このような射出成形機1では、接触抑制手段45が、成形品MPが軸挿通孔430から流れ出る油脂に接触することを抑制するので、油脂の除去作業の必要性を少なくできる。
【0064】
また、支持部40の壁面における軸挿通孔430の下部から支持部40の壁面に沿って下方に延びる突起450又は溝が、軸挿通孔430から流れ出る油脂の流れを誘導するので、成形品MPが油脂に接触することをより確実に抑制できる。
【0065】
また、支持部40の壁面における軸挿通孔430の下縁430aの下方に突起450又は溝が設けられているので、軸挿通孔430から流れ出る油脂をより確実に突起450又は溝に到達させることができ、より確実に突起450又は溝により油脂の流れを誘導できる。
【0066】
また、突起450又は溝は、軸挿通孔430の下縁430aから高さ方向Hに所定距離離れた位置まで、中間金型支持枠301cの進退方向ARに係る支持部40の中央位置に沿うか又は中央位置よりも固定プラテン301aに近い領域に向けて油脂の流れを誘導するので、より確実に油脂の流れを成形品MPから遠ざけることができ、成形品MPが油脂に接触することをより確実に抑制できる。
【0067】
また、突起450又は溝は、軸支内壁43aの下縁から始まるとともに、軸支下壁43bを伝って下支持内壁44aまで延在されているので、より確実に油脂の流れを成形品MPから遠ざけることができ、成形品MPが油脂に接触することをより確実に抑制できる。
【0068】
実施の形態2.
図8は、本発明の実施の形態2による射出成形機1の中間金型支持枠301cを示す背面図(可動プラテン301b側から見た図)である。本実施の形態の接触抑制手段45は、可動金型21と支持部40との間に配置され、成形品MPと軸挿通孔430から流れ出る油脂との間を遮蔽する遮蔽部材451を含む。遮蔽部材451は、
図8のように可動金型21側から中間金型支持枠301cを見たとき、軸支部43の下部と可動金型21との間の空隙を遮蔽するような形状及び配置を有していることが好ましい。
【0069】
遮蔽部材451の構成は任意であるが、本実施の形態2の遮蔽部材451は、一端452a側が軸挿通孔430(回転部)よりも上方で支持部40に固定された取付部452と、取付部452の他端452b側に接続されて取付部452により吊られた遮蔽部材本体453とを含む。取付部452及び遮蔽部材本体453は、互いに一体に形成され得る。取付部452は、遮蔽部材本体453の延在面に交わる面に沿って延在された平板部であり、例えばボルト等の締結部材により支持部40の上部内面に固定され得る。しかしながら、取付部452は、例えば紐状部材(ロープやチェーン)等の他の部材によって構成されていてもよい。遮蔽部材本体453は、幅方向Wに延在する平板部であり得る。幅方向Wに関して遮蔽部材本体453の内端453aが可動金型21から離間されていることが好ましい。回転する可動金型21が遮蔽部材本体453と接触することを避けるためである。取付部452により遮蔽部材本体453が吊られているので、軸支部43の下部に遮蔽部材本体453を取り付ける場合と比較して、特に遮蔽部材本体453の背面(可動プラテン301b側の面)に軸挿通孔430からの油脂が付着する虞を低減できる。また、取付部452を柔軟に構成しておくことで、万が一遮蔽部材本体453が可動金型21と接触しても遮蔽部材本体453又は可動金型21の破損を抑えることができる。実施の形態1のように突起450又は溝を設けた態様において、遮蔽部材451をさらに設けてもよい。その他の構成は実施の形態1と同様である。
【0070】
このような射出成形機1では、成形品MPと軸挿通孔430から流れ出る油脂との間を遮蔽部材451が遮蔽するので、成形品MPが油脂に接触することをより確実に抑制できる。
【0071】
また、取付部452により遮蔽部材本体453が吊られているので、遮蔽部材本体453の背面に軸挿通孔430からの油脂が付着する虞を低減できる。また、万が一遮蔽部材本体453が可動金型21と接触しても遮蔽部材本体453又は可動金型21の破損を抑えることができる。
【0072】
なお、実施の形態1,2では、中間金型22を支持部40に対して回転可能に支持する回転部が、支持部40に設けられた軸挿通孔430によって構成されるように説明した。しかしながら、回転部の構成は、任意であり、例えば支持部から突出するとともに中間金型を回転可能に支持する軸体(回転軸)等の他の構成であってもよい。支持部から突出する軸体は支持部に対して固定されていてよい。また、このような態様の場合、支持部に軸挿通孔が設けられていなくてもよい。支持部に軸挿通孔が設けられない態様でも、例えば中間金型からの油脂が軸体から流れ出て、その油脂が成形品に付着する虞がある。すなわち、支持部に軸挿通孔が設けられていない態様においても、本願発明の接触抑制手段は有用である。
【解決手段】射出成形機は、固定金型を支持する固定プラテンと、可動金型を支持するとともに、固定プラテンに対して進退可能に設けられた可動プラテンと、固定プラテンと可動プラテンとの間に配設され、中間金型22を回転自在に支持するとともに、固定プラテンに対して進退可能に設けられた中間金型支持枠301cとを備え、中間金型支持枠301cは、幅方向Wに互いに離間して配設される一対の支持部40と、中間金型22を支持部40に対して回転可能に支持する回転部と、成形品が回転部から流れ出る油脂に接触することを抑制する接触抑制手段45とを有している。