特許第6961138号(P6961138)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6961138
(24)【登録日】2021年10月14日
(45)【発行日】2021年11月5日
(54)【発明の名称】臭気低減システム及び臭気低減方法
(51)【国際特許分類】
   G01W 1/00 20060101AFI20211025BHJP
   B01D 53/38 20060101ALI20211025BHJP
   B01D 53/76 20060101ALI20211025BHJP
   B01D 53/78 20060101ALI20211025BHJP
   B01D 53/81 20060101ALI20211025BHJP
   B01D 53/84 20060101ALI20211025BHJP
   B01D 53/86 20060101ALI20211025BHJP
【FI】
   G01W1/00 A
   B01D53/38 100
   B01D53/38 110
   B01D53/38 120
   B01D53/38 130
   B01D53/76
   B01D53/78
   B01D53/81
   B01D53/84
   B01D53/86 110
【請求項の数】8
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2021-549720(P2021-549720)
(86)(22)【出願日】2021年5月28日
(86)【国際出願番号】JP2021020435
【審査請求日】2021年8月24日
(31)【優先権主張番号】特願2020-99658(P2020-99658)
(32)【優先日】2020年6月8日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】597139620
【氏名又は名称】株式会社カルモア
(74)【代理人】
【識別番号】100106404
【弁理士】
【氏名又は名称】江森 健二
(74)【代理人】
【識別番号】100112977
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 有子
(72)【発明者】
【氏名】小澤 功治
(72)【発明者】
【氏名】富樫 真央
(72)【発明者】
【氏名】森木 怜
(72)【発明者】
【氏名】神谷 和彦
【審査官】 後藤 順也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2019−103533(JP,A)
【文献】 特開2015−172494(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第102841576(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01W 1/00−1/18
B01D 53/00−53/96
JSTPlus(JDreamIII)
JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
臭気発生源から出る排気ガスを脱臭して、臭気濃度を低下させる臭気低減システムであって、下記1)〜4)の構成を備えることを特徴とする臭気低減システム。
1)前記臭気発生源の臭気濃度を測定する臭気センサ
2)少なくとも風向を含む前記臭気発生源の環境情報を測定するセンサ群
3)前記排気ガスの臭気を低減する臭気低減機器
4)前記臭気発生源の臭気濃度、及び前記環境情報に基づいて、所定の拡散シミュレーションで求められる対象地点の臭気濃度について、第1の風向に基づく前記対象地点の臭気濃度をM1とし、当該第1の風向とは異なる第2の風向に基づく前記対象地点の臭気濃度をM2とし、かつ、前記M1が前記M2よりも大きい場合に、前記M1に基づいて前記臭気低減機器を駆動する制御部
【請求項2】
前記第1の風向と、前記第2の風向とがなす角度を、時計回りに沿って、1°以上、359°以下の値とすることを特徴とする請求項1に記載の臭気低減システム。
【請求項3】
前記環境情報、及び当該環境情報に対応する重み付け値を格納する第1テーブルと、前記臭気低減機器の複数の駆動条件を格納する第2テーブルと、を記憶した記憶部を備えるとともに、前記M1が基準値を超えた場合に、前記制御部は、前記第1テーブルを基に算出された重み付け結果に基づいて、前記第2テーブルに格納された1つの駆動条件を選択して、前記臭気低減機器を駆動するように設定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の臭気低減システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記対象地点が複数存在する場合に、前記重み付け結果の最大値に基づいて、前記第2テーブルに格納された1つの駆動条件を選択して、前記臭気低減機器を駆動するように設定されていることを特徴とする請求項3に記載の臭気低減システム。
【請求項5】
臭気発生源から出る排気ガスを脱臭して、臭気濃度を低下させる臭気低減システムを用いた臭気低減方法であって、前記臭気低減システムは、前記臭気発生源の臭気濃度を測定する臭気センサと、少なくとも風向を含む前記臭気発生源の環境情報を測定するセンサ群と、前記排気ガスの臭気を低減する臭気低減機器と、当該臭気低減機器を駆動する制御部とを備えており、かつ、下記工程i)〜iv)を含むことを特徴とする臭気低減方法。
i)前記臭気センサと、前記センサ群とを、前記臭気発生源に設けるセンサ準備工程
ii)前記臭気発生源の臭気濃度、及び前記環境情報に基づいて、所定の拡散シミュレーションで求められる対象地点の臭気濃度について、第1の風向に基づく前記対象地点の臭気濃度であるM1を求める第1シミュレーション工程
iii)前記第1の風向とは異なる第2の風向に基づく前記対象地点の臭気濃度であるM2を求める第2シミュレーション工程
iv)前記M1が前記M2よりも大きい場合に、前記制御部は、前記M1に基づいて前記臭気低減機器を駆動する制御工程
【請求項6】
前記第1の風向と、前記第2の風向とがなす角度を、時計回りに沿って、1°以上、359°以下の値とすることを特徴とする請求項5に記載の臭気低減方法。
【請求項7】
前記臭気低減システムは、前記環境情報、及び当該環境情報に対応する重み付け値を格納する第1テーブルと、前記臭気低減機器の複数の駆動条件を格納する第2テーブルと、を記憶した記憶部を備えるとともに、前記工程iv)において、前記M1が基準値を超えた場合に、前記制御部は、前記第1テーブルを基に算出された重み付け結果に基づいて、前記第2テーブルに格納された1つの駆動条件を選択して、前記臭気低減機器を駆動することを特徴とする請求項5又は6に記載の臭気低減方法。
【請求項8】
前記制御部は、前記対象地点が複数存在する場合に、前記重み付け結果の最大値に基づいて、前記第2テーブルに格納された1つの駆動条件を選択して、前記臭気低減機器を駆動することを特徴とする請求項7に記載の臭気低減方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工場等の臭気発生源から出る排気ガスを脱臭して、臭気濃度を低下させる臭気低減システム及び臭気低減方法に関する。
特に、風向等が変化した場合であっても、迅速かつ簡易的に臭気を低減することができる臭気低減システム及び臭気低減方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、臭気を含むガスを排出する可能性のある工場等では、近隣住民の良好な居住環境を確保するため、臭気を低減する努力がなされている。
その中で、臭気発生源の風向等の情報から、臭気の拡散状態のシミュレーションを行い、臭気低減機器の駆動を可能な限り抑えつつ、周囲の臭気濃度を生活に支障のでないレベルまで低減させることが行われている。
これは、工場の周囲の臭気濃度を低減させることはもとより、臭気低減機器のランニングコストを抑制したり、臭気低減機器メンテナンスによる生産ラインの停止時間を減少させることができるためである。
ここで、臭気の拡散状態のシミュレーションとしては、一例として、経済産業省から提供されている低煙減工場拡散モデルであるMETI−LIS(Ministry оf Economy, Trade and Industry−Low rise Industrial Source dispersion MODEL)や、環境省から提供されている臭気指数規制第2号基準算定ソフトであるニオイシミュレーター等が知られている。
このようなシミュレーションによって、臭気発生源における臭気濃度等の臭気情報と、少なくとも風向を含む環境情報と、に基づいて、臭気発生源の周囲の臭気情報を推定することができる。
【0003】
例えば、コークス炉からの悪臭を検出して消臭対策を図る臭気管理方法が開示されている(特許文献1参照)。
より具体的には、コークス炉からの臭気を管理したい区域内の代表地点にて、風向、風速、日射量及び放射収支量を測定し、この測定量と、コークス炉及び管理区域内に定めた臭気観測地点の位置関係とから、拡散による臭気の希釈度を求め、かつ、コークス炉から離れた臭気観測地点にて硫化水素濃度を測定し、希釈度と硫化水素濃度とから臭気漏洩の程度を推定している。そして、臭気漏洩の程度に応じて脱臭剤の単位時間あたりの噴霧量を決定している。
【0004】
又、環境プラントの汚染状況を監視する環境監視システムが開示されている(特許文献2参照)。
より具体的には、環境プラント周囲の複数地点に環境プラントから排出される排気ガスやその箇所の大気中に含まれる汚染物の濃度を検出する大気モニタリング装置を配置し、これら装置での検出値を管理センタに集めて分析し、環境プラント周辺の汚染物の濃度を予測している。又、非計測(非監視)地域の環境リスクを、大気拡散モデルを用いて予測しても良い旨、記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013−35948号公報(特許請求の範囲、要約等)
【特許文献2】特開2004−157898号公報(特許請求の範囲、要約等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述したシミュレーションは、臭気発生源における情報から周囲の臭気濃度を推定することができるものの、実際に測定された1つの風向に基づいた臭気濃度であることから、それ以外の風向に基づく臭気濃度を推定できなかった。
そのため、例えば、このような1つの風向でのシミュレーション結果に基づいた臭気低減システムの場合、実施する間隔よりも短い時間で風向が変化するような環境では、推定された対象地点の臭気濃度と、実際の臭気濃度とに差異が生じるという問題があった。
その結果、臭気低減機器の駆動条件が合わずに、迅速かつ簡易的に臭気を低減できないという問題があった。
すなわち、風向が変化してから再度のシミュレーションを行っている時間は、臭気低減機器の駆動条件を変更することができず、対象地点において、臭気濃度が所望の値を超えてしまう場合があった。
又、変化しやすい風向に対応するために、高性能なCPU(Central Processing Unit)等が必要となり、簡易的に臭気を低減することができない場合があった。
【0007】
又、特許文献1に開示された臭気管理方法の場合、管理区域内の代表地点で、風向、風速、日射量等を測定するとともに、コークス炉(臭気発生源)から200〜500m離れた1又は複数、好ましくは4カ所以上の臭気観測地点で硫化水素濃度を測定している。そして、風向、風速、日射量等から求めた希釈度と、測定された硫化水素濃度とから、臭気発生源の漏洩量を推定している。
したがって、測定された1つの風向に基づいて臭気漏洩の程度を推定しており、推定に用いた風向等が変化した場合に、迅速かつ簡易的に臭気を低減することができないという問題があった。
そして、コークス炉から離れた地点の硫化水素濃度を測定しているため、実際に臭気低減機器を駆動させた状態の硫化水素濃度が測定されるまでにタイムラグが生じるという問題があった。
【0008】
又、特許文献2に開示された環境監視システムの場合、環境プラント周囲の複数地点に大気モニタリング装置を配置し、これら装置の検出値と、環境関連情報と、から、それぞれの地域の汚染物の濃度の変化を予測している。
すなわち、環境関連情報を測定する大気モニタリング装置を複数箇所に配置して、複数地点での風向を測定できるものの、各地点では1つの風向に基づいて汚染物の排出量を管理していることに変わりはなかった。
したがって、測定した風向等が変化した場合に、迅速かつ簡易的に臭気を低減することができないという問題があった。
そして、設備規模が大きくなり、設備費用や運用コストが嵩むという問題があった。
【0009】
そこで、本発明の発明者は鋭意検討した結果、第1の風向に基づく臭気濃度と、第2の風向に基づく臭気濃度とを比較し、影響力の大きい臭気濃度に基づいて臭気低減機器を駆動することで、迅速かつ簡易的に臭気を低減できることを見出し、本発明を完成させたものである。
すなわち、本発明によれば、風向等が変化したような場合であっても、迅速かつ簡易的に臭気を低減できる臭気低減システム及び臭気低減方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、臭気発生源から出る排気ガスを脱臭して、臭気濃度を低下させる臭気低減システムであって、下記1)〜4)の構成を備えていることを特徴としており、このような臭気低減システムが提供され、上述した問題を解決することができる。
1)臭気発生源の臭気濃度を測定する臭気センサ
2)なくとも風向を含む臭気発生源の環境情報を測定するセンサ群
3)排気ガスの臭気を低減する臭気低減機器
4)臭気発生源の臭気濃度、及び環境情報に基づいて、所定の拡散シミュレーションで求められる対象地点の臭気濃度について、第1の風向に基づく対象地点の臭気濃度をM1とし、当該第1の風向とは異なる第2の風向に基づく対象地点の臭気濃度をM2とし、かつ、M1がM2よりも大きい場合に、M1に基づいて臭気低減機器を駆動する制御部
すなわち、2つの風向に基づくシミュレーションで求められる臭気濃度のうち、臭気の影響力が大きくなる臭気濃度がより強い状況に合わせて臭気低減機器を駆動できるため、風向等が変化したような場合であっても、迅速かつ簡易的に臭気を低減することができる。
【0011】
又、本発明の臭気低減システムを構成するにあたり、第1の風向と、第2の風向とがなす角度を、時計回りに沿って、1°以上、359°以下の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、第1の風向と第2の風向との間の関係を、対象地点の風向の変化の大きさに合わせることができ、より簡易的に臭気を低減することができる。
【0012】
又、本発明の臭気低減システムを構成するにあたり、環境情報、及び当該環境情報に対応する重み付け値を格納する第1テーブルと、臭気低減機器の複数の駆動条件を格納する第2テーブルと、を記憶した記憶部を備えるとともに、M1が基準値を超えた場合に、前記制御部は、第1テーブルを基に算出された重み付け結果に基づいて、第2テーブルに格納された1つの駆動条件を選択して、臭気低減機器を駆動するように設定されていることが好ましい。
このように構成することにより、多種の情報を1つの指標に置き換えることで、簡易なソフトウェアやハードウェア等を使用した場合であっても、より迅速に臭気を低減することができる。
【0013】
又、本発明を構成するにあたり、制御部は、対象地点が複数存在する場合に、重み付け結果の最大値に基づいて、第2テーブルに格納された1つの駆動条件を選択して、臭気低減機器を駆動するように設定されていることが好ましい。
このように構成することにより、重み付け結果の最大値と1つの駆動条件を紐づけることで、全ての対象地点で、より迅速かつ簡易的に臭気を低減することができる。
【0014】
本発明の別の態様は、臭気発生源から出る排気ガスを脱臭して、臭気濃度を低下させる臭気低減システムを用いた臭気低減方法であって、臭気低減システムは、臭気発生源の臭気濃度を測定する臭気センサと、少なくとも風向を含む臭気発生源の環境情報を測定するセンサ群と、排気ガスの臭気を低減する臭気低減機器と、臭気低減機器を駆動する制御部とを備えており、かつ、下記工程i)〜iv)を含むことを特徴とする臭気低減方法。
i)臭気センサと、センサ群とを、臭気発生源に設けるセンサ準備工程
ii)臭気発生源の臭気濃度、及び環境情報に基づいて、所定の拡散シミュレーションで求められる対象地点の臭気濃度について、第1の風向に基づく対象地点の臭気濃度であるM1を求める第1シミュレーション工程
iii)第1の風向とは異なる第2の風向に基づく対象地点の臭気濃度であるM2を求める第2シミュレーション工程
iv)M1がM2よりも大きい場合に、制御部は、M1に基づいて臭気低減機器を駆動する制御工程
このように実施することにより、2つの風向に基づくシミュレーションで求められる臭気濃度のうち、臭気の影響力が大きくなる臭気濃度がより強い状況に合わせて、臭気低減機器を駆動できるため、風向の変化等に伴って臭気濃度が増加した場合であっても、迅速かつ簡易的に臭気低減を行うことができる。
【0015】
又、本発明を実施するにあたり、第1の風向と、第2の風向とがなす角度を、時計回りに沿って、1°以上、359°以下の値とすることが好ましい。
このように実施することにより、第1の風向と第2の風向との間の関係を一定に保つことで、風向の変化の大きさに合わせることができ、より簡易的に臭気低減機器の駆動をすることができる。
【0016】
又、本発明を実施するにあたり、臭気低減システムは、環境情報、及び当該環境情報に対応する重み付け値を格納する第1テーブルと、臭気低減機器の複数の駆動条件を格納する第2テーブルと、を記憶した記憶部を備えるとともに、工程iv)において、M1が基準値を超えた場合に、制御部は、第1テーブルを基に算出された重み付け結果に基づいて、第2テーブルに格納された1つの駆動条件を選択して、臭気低減機器を駆動することが好ましい。
このように実施することにより、各環境情報を重み付け値として点数化し、かかる重み付け値に基づいた重み付け結果を求めることで、1つの指標に基づいて駆動条件を選択して、臭気低減機器を駆動させることができる。
したがって、多種の情報を1つの指標に置き換えることで、簡易なソフトウェア等を使用した場合であっても、より迅速に臭気を低減することができる。
【0017】
又、本発明を実施するにあたり、制御部は、対象地点が複数存在する場合に、重み付け結果の最大値に基づいて、第2テーブルに格納された1つの駆動条件を選択して、臭気低減機器を駆動するように設定されていることが好ましい。
このように実施することにより、重み付け結果の最大値と1つの駆動条件を紐づけることで、全ての対象地点で、より迅速かつ簡易的に臭気を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1(a)は、本発明の臭気低減システムを説明するために供するブロック図であり、図1(b)は、臭気を低減したい対象区域、対象地点、第1の風向、第2の風向を説明するために供する図である。
図2は、単一物質の濃度と、センサ値の対応関係の例を説明するために供する図である。
図3は、センサ群と、第1テーブルと、第2テーブルと、中枢部及び臭気低減機器との関係を説明するために供するブロック図である。
図4は、制御部に備わる各機器を説明するために供するブロック図である。
図5は、重み付け値の対応表の設定工程を説明するために供するフローチャートである。
図6は、駆動条件の対応表の設定工程を説明するために供するフローチャートである。
図7は、制御工程を説明するために供するフローチャートである。
図8は、本発明の臭気低減方法の好ましい形態を説明するために供するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[第1の実施形態]
第1の実施形態は、図1(a)〜(b)に示すように、臭気発生源50から出る排気ガスを脱臭して、臭気濃度を低下させる臭気低減システム10であって、下記1)〜4)の構成を備えていることを特徴としている。
1)臭気発生源50の臭気濃度を測定する臭気センサT1
2)少なくとも風向を含む臭気発生源50の環境情報を測定するセンサ群11
3)排気ガスの臭気を低減する臭気低減機器15
4)臭気発生源の臭気濃度、及び環境情報に基づいて、所定の拡散シミュレーションで求められる対象地点P1の臭気濃度について、第1の風向Z1に基づく対象地点P1の臭気濃度をM1とし、当該第1の風向Z1とは異なる第2の風向Z2に基づく対象地点P1の臭気濃度をM2とし、かつ、M1がM2よりも大きい場合に、M1に基づいて臭気低減機器15を駆動する制御部13c
以下、適宜図面を参照しつつ、第1の実施形態の臭気低減システムについて、具体的に説明する。
【0020】
1.臭気センサ
臭気センサは、臭気発生源から発生した臭気の強さを、臭気濃度として数値化する機器である。
具体的には、臭気センサの種類としては、半導体に排気ガスが付着した時の抵抗値の差異を検出する金属酸化物半導体センサ、UVランプから照射された光によって排気ガスをイオン化し、その電荷量を検出する光イオン化センサ(PIDと称する場合がある。)、特定のイオンを通す電解質を電極で挟み、その電解質中に排気ガスを導いたときの短絡電流を検出する電気化学式センサ等であることが好ましい。
この理由は、このような臭気センサを用いることで、排気ガスの臭気濃度を精度良く測定することができるためである。
ここで、臭気濃度とは、例えば、環境省が規定する三点比較式臭袋法によって測定される値であり、3リットルのポリエステル製のにおい袋中の試料を無臭空気で希釈して、臭いが感じられなくなった希釈倍率の値で表すことができる。又、臭気濃度の常用対数に10を乗じた値を臭気指数とし、かかる臭気指数を臭気濃度と称する場合もある。
更には、所定の臭気センサ、例えば、株式会社カルモア製POLFA等によって測定した臭気センサ値(図2参照)を臭気濃度として表すこともできる。
【0021】
又、臭気センサが検出できる排気ガスの種類は、アンモニア、硫化水素、トリメチルアミン、アセトアルデヒド、トルエン、スチレン、プロピオン酸等であることが好ましい。
この理由は、このような悪臭防止法に規制される特定悪臭物質等を検出することで、排気ガスを発生する工場の多くに適用することができ、汎用性を向上することができるためである。
【0022】
又、臭気センサの測定能力は、測定する排気ガスの種類や測定に用いるセンサの種類等によって異なるものの、例えば、6000以上のセンサ値を表示できることが好ましい。
この理由は、このような臭気センサを用いることで、多種の排気ガスを検出することができるためである。
したがって、臭気センサの測定能力としては、10000以上のセンサ値を表示できることがより好ましく、30000以上のセンサ値を表示できることが好ましい。
更に、一般的に複合臭などでは、臭気センサの値が、臭気センサ値に一対一の対応しないため、臭気センサの値を、その臭気発生源の臭気の強さに合わせて校正した値をセンサ値とすることが好ましい。
なお、例えば、臭気センサは、三点比較式臭袋法による臭気濃度を5000とする臭気を測定した場合に、センサ値を50として表示する構成であることが好ましい。
【0023】
又、臭気発生源は、例えば、自動車工場、鋳造工場、製鉄工場、化学工場、機械工場、食品工場、焼却炉等々、臭気を含む排気ガスを発生する種々の設備が挙げられる。
このとき、臭気センサの配置場所としては、排気ガスを工場の外部に排出するダクトや煙突等の排気経路内であることが好ましい。
この理由は、かかる配置場所とすることで、希釈されない状態の臭気濃度を測定することができ、精度の高いシミュレーションを行うことができるためである。
一方、排気ガスを発生する種々の設備から多少離れた場合であってもよい。すなわち、工場敷地内の排気経路の出口(以降、排出口と称する場合がある。)から半径500m以内の仮想円の領域に配置することが好ましい。
ここで、排気経路の出口から半径1m以内に配置した場合(以降、排出口近辺と称する場合がある。)のセンサ値と、臭気センサを工場敷地内の排出口から離れた地点に配置する場合(排出経路から離れた地点の場合)のセンサ値との差の絶対値が、排出口近辺のセンサ値の10%以下になるようにすることが好ましい。
この理由は、かかる値とすることで、後述する拡散シミュレーションによって、対象地点の臭気濃度を精度良く求めることができるためである。
したがって、排出経路から離れた地点の場合の各センサ値と、排出口近辺のセンサ値との差の絶対値が、5%以下であることがより好ましく、3%以下であることが更に好ましい。
【0024】
2.センサ群
センサ群は、臭気発生源に配置されて、少なくとも風向を含む、大気風速(単に、風速と称する場合がある)、大気気温(単に、気温又は温度と称する場合がある)、大気湿度(単に、湿度と称する場合がある)、大気安定度、排気ガスの温度、排気ガスの湿度、排気風量等の周囲の環境情報を測定する機器(図1及び図3における符号S参照。)である。
ここで、大気安定度とは、パスキル・ギフォード(Pasquill−Giffоrd)チャートに基づくA〜Fの評価である。
すなわち、環境情報をリアルタイムや間欠動作的に測定する風向計、風速計、温度計、湿度計、日射計、風量計等を設けることが好ましい。
この理由は、かかるセンサ群を設けることで、対象地点の臭気濃度を精度良くシミュレーションすることができるためである。
なお、風向計、風速計、温度計、湿度計、日射計、風量計等を測定する各センサの態様は、特に制限されるものでなく、公知のセンサを用いることができる。
更に言えば、センサ群によって、風向計、風速計、温度計、湿度計、日射計、風量計等によって、必ずしも実測する必要はない。
例えば、気象庁が発表又は推定しているデータを参照したり、気象関係会社が取得しているデータを参照したり、あるいは、過去に測定したデータ群が保存してあって、それから推定できるような場合には、そのデータを用いたりることもできる。
【0025】
又、センサ群の配置場所としては、排出口近辺に設ければよいが、高さが5〜100mの範囲内の高層物の上部に設けることが好ましい。
この理由は、かかる高層物の上部に設けることで、排気ガスが上昇して拡散する高度に近い高度の環境情報を測定することができ、対象地点の臭気濃度を精度良くシミュレーションすることができるためである。
したがって、高さが10〜50mの範囲内の高層物の上部に設けることがより好ましく、高さが15〜30mの範囲内の高層物の上部に設けることが更に好ましい。
更に、風向計及び風速計各々は、風を遮ることなく自然の風を観測できる箇所に設けることが好ましく、日射計は、日射が把握し易い開けた空間に面した位置に設けることが好ましい。
この理由は、かかる場所に配置することで、センサ群が遮蔽物に遮られることを効果的に防ぐことができるためである。
【0026】
3.臭気低減機器
臭気低減機器は、希釈や燃焼、脱臭剤の噴霧等によって、排気ガスを脱臭して、臭気発生源の臭気濃度を低下させることで、かかる排気ガスが拡散した対象地点の臭気濃度も低下させる装置である。
具体的には、臭気低減機器によって、臭気発生源における排気ガスの臭気濃度を1/2の値まで低下させることが好ましい。
この理由は、かかる臭気濃度とすることで、排気ガスが拡散した場合であっても、対象地点における臭気濃度を効果的に低減することができるためである。
したがって、排気ガスの臭気濃度を1/10まで低下させることがより好ましく、1/100まで低下させることが更に好ましい。
【0027】
又、図1(a)に示すように、排気ガスから臭気物質を除去するフィルタ15a、排気ガスを放出するための排気ファン15b、及び、脱臭剤を噴霧するポンプ15cを有していることが好ましい。
そして、脱臭剤を噴霧するポンプを有した脱臭装置である場合に、噴射ノズルは、排気ガスの排気経路内であって、かつ、噴射口が鉛直方向の上方に向くように配置してあることがより好ましい。
この理由は、かかる構成とすることで、臭気が移動する方向に沿って脱臭剤を噴霧することができ、より長い時間、脱臭剤を臭気に接触させることができるためである。
【0028】
又、特に図示しないものの、脱臭装置としては、吸着や水洗によって脱臭するスクラバーや熱分解によって脱臭する燃焼装置、微生物の代謝機能を利用して臭気を除去する生物脱臭機、オゾンの強い酸化力を利用して臭気を除去するオゾン脱臭機、酸化ラジカル類の強い酸化作用で複合臭などを除去するプラズマ脱臭機、臭気を含む流体を強い酸化力を持つ脱臭フィルタに通す光触媒脱臭機、空気中の酸素分子をイオン化して臭気と反応させるイオン脱臭機、含水ケイ酸マグネシウムや活性炭などに臭気を吸着して除去する吸着式脱臭機等を用いることも好ましい。
【0029】
又、特に図示しないものの、その他の臭気低減機器としては、排気風量を低下させるためのダンパーを有していることが好ましい。
この理由は、かかる構成とすることにより、排気口の面積を狭めるだけで臭気の拡散を抑えることができ、排気ファンのように大きな動力を使用しない場合であっても、より迅速かつ簡易的に臭気を低減することができるためである。
更に別の臭気低減機器としては、排気経路を変更するための切替器を有していることが好ましい。
この理由は、複数の脱臭装置を直列に配置して、使用する脱臭装置の組み合わせを選択することができるためである。
【0030】
ここで、対象地点P1とは、図1(b)に示すように、臭気濃度を求める対象区域60上の座標点を示しており、対象区域60とは、所定の拡散シミュレーションをする上で、考慮する領域を示している。
【0031】
4.制御部
制御部は、所定の拡散シミュレーションによって、2つの風向に基づいて計算された臭気濃度のうち、より大きい値に基づいて臭気低減機器を駆動する機器である。
そして、M1がM2よりも大きい場合に、M1に基づいて臭気低減機器を駆動するように設定されている。
一方、M1とM2が等しい場合は、M1に基づいて臭気低減機器を駆動させ、M2がM1よりも大きい場合は、第1の風向と、第2の風向を入れ替えて考えればよい。
この理由は、かかる構成にすることにより、2つの風向に基づくシミュレーションで求められる臭気濃度のうち、臭気の影響力が大きくなる臭気濃度がより強い状況に合わせて、臭気低減機器を駆動できるため、風向等が変化した場合であっても、迅速かつ簡易的に臭気を低減することができるためである。
ここで、簡易的とは、例えば、1秒あたりの不動小数点演算の数を80ギガフロップス以下の演算性能を有するCPUによって、後述のタイミングで臭気低減機器を駆動できる場合を示す。
【0032】
又、臭気発生源の臭気濃度、及び環境情報に基づいて、所定の拡散シミュレーションによって、M1及びM2を求め、M1がM2よりも大きい場合に、M1に基づいて臭気低減機器を駆動するタイミングを制御タイミングとした場合に、例えば、制御タイミングを定期間隔とし、かつ、6時間以下毎とすることが好ましい。
この理由は、このような制御タイミングに設定されていることで、対象地点の臭気濃度を一定時間毎に見直して、調整することができるためである。
よって、制御タイミングを3時間以下毎とすることがより好ましく、1時間以下毎とすることが更に好ましい。
より具体的には、臭気低減機器がダンパーであれば、制御タイミングを5分以下毎とすることが好ましく、3分以下毎とすることがより好ましく、1分以下毎とすることが更に好ましい。
そして、臭気低減機器が脱臭剤を噴霧するポンプを有した脱臭装置であれば、制御タイミングを30秒以下毎とすることが好ましく、10秒以下毎とすることがより好ましく、5秒以下毎とすることが更に好ましい。
【0033】
又、例えば、制御タイミングを風向等の環境情報が変化した時点等の不定期間隔とすることが好ましい。
この理由は、制御部が、かかる制御タイミングに設定されていることで、対象地点の臭気濃度をより迅速に調整することができるためである。
このとき、風向等の環境情報が変化してから臭気低減機器を駆動するまで1時間以下とすることが好ましく、30分以下とすることがより好ましく、15分以下とすることが更に好ましい。
ここで、迅速に臭気を低減するとは、風向等の環境情報が変化してから1時間以下で臭気低減機器を駆動する場合を示す。
そして、風向が変化した場合とは、風向計によって15分間に測定された風向の平均値が5°以上変動した場合とすることが好ましい。
この理由は、実際の臭気濃度が大きく変化するタイミングで臭気濃度をシミュレーションしなおすことができるためである。
よって、風向が変化した場合として、風向計によって15分間に測定された風向の平均値が10°以上変動した場合とすることがより好ましく、20°以上変動した場合とすることが更に好ましい。
【0034】
又、M1とM2は、M1≧1.2×M2の関係を満たすように、2つの風向を設定することが好ましい。
この理由は、かかる関係を満たすことで、風向の違いによって臭気濃度が大きく異なる場合であっても、迅速かつ簡易的に臭気を低減することができるためである。
したがって、M1≧1.5×M2の関係を満たすことがより好ましく、M1≧2.0×M2の関係を満たすことが更に好ましい。
【0035】
具体的には、制御部は、パーソナルコンピュータ、PLC、マイコン、CPU、メモリ、SDD、HDD、IC等によって構成されていることが好ましい。
この理由は、かかる構成とすることで、小型化が容易であって、簡易な構成であっても、より迅速かつ簡易的に臭気を低減することができるためである。
【0036】
又、図4に示したように、制御部13cは、センサ群の測定値を第1テーブルに入力する第1入力機器13dと、重み付け値を第1テーブルに入力する第2入力機器13eと、駆動条件を第2テーブルに入力する条件設定機器13fと、重み付け結果を求めて第1テーブルに入力する計算機器13gと、第1テーブルに入力された対象地点ごとの重み付け結果から一つの重み付け結果を選択する選択機器13hと、選択された重み付け結果に基づいて駆動条件を決定する決定機器13iと、決定された駆動条件で臭気低減機器を駆動させる出力機器13jと、を備えていることが好ましい。
この理由は、時間経過に伴って周囲の状況が変わった場合であっても、一定時間ごとに測定情報を読み込んで更新することで、対象地点の環境情報にあわせて、より迅速に臭気低減機器の駆動条件を変更することができるためである。
具体的には、各機器は、パーソナルコンピュータ、PLC、マイコン、CPU、メモリ、SDD、HDD、IC等によって構成されていることが好ましい。
【0037】
ここで、拡散シミュレーションは、風向を含む排気ガスの拡散予測をすることができるシミュレーションソフトであればよいが、一例としては、環境省が提供するニオイシミュレーターや、経済産業省が提供するMETI−LIS等であることが好ましい。
又、METI−LISは、米国環境保護庁のISC(Industrial Source Complex)モデルの拡散パラメータを見直し、建屋の影響を考慮した大気拡散モデルを示す。
この理由は、かかるシミュレーションソフトを用いることで、任意の1つの風向に基づいた排気ガスの拡散を精度良くシミュレーションすることができるためである。
このとき、シミュレーションにおける予測時間を、0.1〜24時間後とすることが好ましい。
この理由は、かかる予測時間であれば、臭気発生源から出る排気ガスが、拡散して希釈されるまでの状況が確認でき、より精度よく臭気低減処理を行うことができるためである。
したがって、シミュレーションの予測時間を、0.5〜12時間後とすることがより好ましく、1〜3時間後とすることが更に好ましい。
【0038】
又、制御部は、後述の第1の風向と、第2の風向とがなす角度を、時計回りに沿って、1°以上、359°以下として、対象地点の臭気濃度を求める設定であることが好ましい。
この理由は、第1の風向と第2の風向との間の関係を、対象地点の風向の変化の大きさに合わせることができ、より簡易的に臭気を低減することができるためである。
したがって、第1の風向と、第2の風向とがなす角度の下限値を、時計回りに沿って、30°以上とすることがより好ましく、45°以上とすることが更に好ましい。
そして、第1の風向と、第2の風向とがなす角度の上限値を、時計回りに沿って、330°以下とすることがより好ましく、315°以下とすることが更に好ましい。
【0039】
又、制御部は、対象地点が複数存在する場合に、重み付け結果の最大値に基づいて、第2テーブルに格納された1つの駆動条件を選択して、臭気低減機器を駆動するように設定されていることが好ましい。
具体的には、図1(b)に示すように、対象地点をn箇所とし、各対象地点をP1〜Pnとした場合に、対象地点P1〜Pnにおける重み付け結果のうち、最も大きい重み付け結果に基づいて、臭気低減機器を駆動するように設定されていることが好ましい。
この理由は、かかる設定とすることで、局所的に臭気濃度が高くなることを容易に防ぐことができるためである。
【0040】
又、対象地点は、三角格子、正方格子、六角格子等の頂点ごとに配置してパターン状にすることが好ましい。このとき、隣接する対象地点の最小間隔を1〜2000mの範囲内とすることが好ましい。
この理由は、かかる形状や間隔であれば、対象区域の一部に偏らずに、対象区域全体で迅速かつ簡易的に臭気を低減することができるためである。
したがって、対象地点の間隔を10〜500mの範囲内とすることがより好ましく、対象地点の間隔を50〜200mの範囲内とすることが更に好ましい。
【0041】
又、駆動部は、M1が基準値を超えた場合に、後述の第1テーブルを基に算出された重み付け結果に基づいて、後述の第2テーブルに格納された1つの駆動条件を選択して、臭気低減機器を駆動するように設定されていることが好ましい。
この理由は、多種の情報を1つの指標に置き換えることで、より迅速かつ簡易的に駆動条件を変更することができるためである。
ここで、基準値とは、排気ガスの種類や臭気センサの種類等によって変わるものの、例えば、臭気発生源の臭気濃度の1/100以下の値とすることが好ましく、1/1000以下の値とすることが好ましく、1/10000以下の値とすることが更に好ましい。
この理由は、かかる数値とすることにより、臭気の影響をより抑えることができるためである。
したがって、例えば、光イオン化センサを用いて測定した臭気発生源の臭気濃度が5000であった場合、基準値を50とすることが好ましく、基準値を10とすることがより好ましく、基準値を5とすることが更に好ましい。
【0042】
5.記憶部
又、臭気低減システムは、図3に示したように、環境情報及び、環境情報に対応する後述の重み付け値を格納する第1テーブル13aと、臭気低減機器の複数の駆動条件を格納する第2テーブル13bとを記録する記憶部14を備えていることが好ましい。
具体的には、RAM、HDD、SSD、メモリ、IC等の少なくとも1つの記録媒体から構成されていることが好ましい。
【0043】
(1)第1テーブル
第1テーブルは、センサ群11の各センサが測定した環境情報及び、対象区域内の対象地点における、臭気発生源との間の臭気の拡散具合に影響する環境情報に対応した重み付け値を格納するリストである。
又、第1テーブルは、格納された環境情報に基づいて求められた、後述の重み付け結果を格納しておくことも好ましい。
又、格納するデータ形式としては、CSV形式、テキスト形式、表計算ソフト形式等の一般的な形式を使用することが好ましい。
【0044】
(2)第2テーブル
第2テーブルは、臭気低減機器に関して、重み付け結果に基づいた複数の駆動条件を、予め格納しているリストである。
又、格納するデータ形式としては、CSV形式、テキスト形式、表計算ソフト形式等の一般的な形式を使用することができる。
【0045】
(3)重み付け値
重み付け値は、臭気の拡散具合への影響度を点数化した値であって、環境情報に対応する整数値である。
例えば、風速による重み付け値、大気安定度による重み付け値、気温による重み付け値、湿度による重み付け値、排気ガスの温度による重み付け値、排気ガスの湿度による重み付け値、排気風量による重み付け値、排気口の高さによる重み付け値、臭気発生源との距離による重み付け値、居住情報による重み付け値、遮蔽物による重み付け値、排気口の向きによる重み付け値等であることが好ましい。
【0046】
又、重み付け値は、2〜100段階であることが好ましい。この理由は、2段階であれば、影響の有無を示すことができ、100段階以下とすることで、環境情報の影響度に合わせて点数化できるためである。
よって、3〜50段階であることがより好ましく、4〜10段階であることが更に好ましい。
【0047】
又、重み付け値は、一例として、下記の内容を用いることが好ましい。
この理由は、各環境情報を、影響度合いに応じた数値へ変換できるためである。
すなわち、居住情報による重み付け値は、対象地点の周囲に居住地が存在するかを点数化した値である。例えば、対象地点の周囲に居住地が存在する場合には重み付け値を4とし、存在しない場合には重み付け値を1とすることが好ましい。
ここで、対象地点の周囲に居住地が存在する場合とは、対象地点を中心として、半径300m以内に居住地が存在する場合とすることが好ましい。
この理由は、かかる半径とすることで、対象地点の周囲における居住地の有無を精度よく示すことができるためである。
したがって、対象地点の周囲に居住地が存在する場合とは、対象地点を中心として、半径100m以内に居住地が存在する場合とすることがより好ましく、半径10m以内に居住地が存在する場合とすることが更に好ましい。
【0048】
又、大気安定度による重み付け値は、パスキル・ギフォードチャートに基づくA〜Fの評価に対応した数値であって、センサ群で測定される日射量(cal/cm・h)、放射収支量(cal/cm・h)、風速(m/sec)に基づいて決められる値である。
又、放射収支量(cal/cm・h)は、地表面が太陽から受け取るエネルギーから、地表面から天空に逃げていくエネルギーを差し引いたエネルギー量であって、天空に向けた日射量計と、地表面に向けた日射量計を背中合わせに配置し、天空に向けた日射量計のセンサ値から、表面に向けた日射量計のセンサ値を差し引いた値であらわすことができる。
具体的には、下記表1で示される対応表に従って大気安定度を決めることができる。
このとき、例えば、大気安定度の重み付け値は、不安定な「B」の評価の場合には重み付け値を4とし、人が多少臭気を感じにくくなる場合のある「A」及び「C」の評価の場合には重み付け値を3とし、中立な「D」の評価の場合には重み付け値を2とし、安定な「E〜F」の場合には重み付け値を1とすることが好ましい。
また、別の例としては、「A」の評価の重み付け値を4とし、「B〜C」の評価の重み付け値を3とし、「D」の評価の重み付け値を2とし、「E〜F」の評価の重み付け値を1としても良い。
この理由は、臭気の影響を強く受けることが懸念される居住地の存在の有無をより効果的に反映できるためである。
【表1】
【0049】
又、距離による重み付け値は、対象地点と臭気発生源との距離を点数化した値である。
例えば、対象地点と臭気発生源との最短距離が500m未満の場合には重み付け値を4とし、500〜1000m未満の場合には重み付け値を3とし、1000〜2000m未満の場合を2とし、2000m以上の場合には1とすることが好ましい。
【0050】
又、遮蔽物による重み付け値は、臭気発生源と対象地点との間における、臭気を遮蔽する遮蔽物(ビル、ガスタンク、丘等)の有無と、その高さを点数化した値である。
例えば、臭気発生源と対象地点との間に、臭気を遮蔽するものが無い対象地点には、臭気は拡散し易いと言えるので、その対象地点の遮蔽物の重み付け値は例えば4とする。
そして、臭気発生源と対象地点との間に、排気口より低い遮蔽物が有る場合は3とする。そして、排気口より高く、その高低差が10m未満である場合は2とする。更に、排気口より10m以上高い場合は、その対象地点には臭気は拡散しにくいので、1とすることが好ましい。
【0051】
より具体的な例として、環境情報と重み付け値との対応表を表2に示す。
【0052】
【表2】
【0053】
又、その他の重み付け値の例としては、例えば、アンモニア臭とコーヒー臭等で、同じ臭気センサ値でも人の感じ方の強弱が発生する臭気のような臭質の違いによる重み付け値、天候の違い(降雨や降雪の有無やその量)による重み付け値、排気経路の出口での排出速度の違いによる重み付け値、高度による重み付け値等が考えられる。
ここで、高度による重み付け値は、対象地点の高度が、排出口の高度に対して高い場合には、臭気が到達しにくいため、高度に応じて、重み付け値は低い値をつける。このとき、マンションの低層階と高層階のように、同じ地点で重み付け値が異なってくる場合には、高い方の値に設定する。
【0054】
(4)重み付け結果
重み付け結果は、第1テーブルに基づいた値であって、第1テーブルに格納された重み付け値を算術計算することによって求めた値であることが好ましい。
例えば、重み付け結果としては、全ての重み付け値を加算した値、全ての重み付け値を平均した値、重み付け値の高い上位3つを全て加算した値、重み付け値の高い上位5つを全て加算した値、重み付け値の最大値と最小値を加算した値、重み付け値の最大値と最小値の1つずつを除く重み付け値を平均した値等であることが好ましい。
この理由は、いずれかの指標に偏らせることなく、重み付け結果を求めることができ、いずれかの指標が突出して高い場合であっても、過度に高い重み付け結果となることを防ぐことができるためである。
【0055】
又、上述した重み付け結果の中でも特に、重み付け値の高い上位5つを全て加算した値であることが好ましい。
この理由は、取得する環境情報の数によらず、重み付け結果と駆動条件とを対応させることができ、より簡易な構成であっても、迅速かつ簡易的に臭気を低減することができるためである。
【0056】
又、重み付け結果としては、環境情報のいずれかの値に偏らせた値であってもよい。すなわち、いずれかの重み付け値を必ず用いて算術計算した値を重み付け結果とすることも好ましい。
この理由は、あえていずれかの指標に偏らせることで、臭気濃度への影響が強い環境情報の変化に対応させて臭気低減機器を駆動させることができるためである。
例えば、居住情報による重み付け値と、臭気発生源との距離による重み付け値とを必ず用いて、その他の重み付け値の平均値と加算した値を重み付け結果とすることも好ましい。
この理由は、対象地点の位置関係や住宅地等の情報を考慮した上で、重み付け結果を算出することができるためである。
【0057】
(5)駆動条件
駆動条件は、重み付け結果に基づく臭気低減機器の設定状態である。
具体的には、駆動条件としては、臭気低減機器のオン/オフ、脱臭剤の単位時間あたりの噴霧量、脱臭剤の濃度、臭気低減機器の間欠動作の有無、間欠動作のオン時間/オフ時間、排気ファンの回転数、臭気低減機器の温度、洗浄水の供給量、燃焼装置における燃焼温度、スクラバーにおける循環水量、ダンパーの開閉等の少なくとも1つの条件、又はその組み合わせであることが好ましい。
この理由は、かかる駆動条件を有することで、臭気低減機器の駆動コストを抑えつつ、対象地点への臭気の影響を効果的に抑えることができるためである。
したがって、臭気低減機器として燃焼装置を用いる場合には、その燃焼温度を250〜400℃の範囲内の値とすることが好ましく、280〜380℃の範囲内の値とすることがより好ましく、300〜350℃の範囲内の値とすることが更に好ましい。
そして、臭気低減機器としてスクラバーを用いる場合には、その循環水量を0.2〜2m/minの範囲内と値とすることが好ましく、0.3〜1.5m/minの範囲内と値とすることがより好ましく、0.5〜1.0m/minの範囲内と値とすることが更に好ましい。
更に、臭気低減機器として脱臭剤を噴霧するポンプを使用する場合には、その脱臭剤の希釈倍率を100〜400倍の希釈量とすることが好ましく、150〜350倍の希釈量とすることがより好ましく、200〜300倍の希釈量とすることが更に好ましい。
【0058】
ここで、燃焼装置を有する臭気低減機器は、温度が過度に低くなると、臭気低減能力が落ちてしまう。よって、臭気低減機器に燃焼装置を有する場合には、水冷の水量を減らしたり、空冷のファンの回転数を下げることによって、温度を上げる駆動条件を含むことが好ましい。
【0059】
一方、活性炭等の吸着式脱臭機は、温度が過度に高くなると、臭気低減能力が落ちてしまう。よって、臭気低減機器に活性炭等の吸着式脱臭機を有する場合には、水冷の水量を増やしたり、空冷のファンの回転数を上げることによって、温度を下げる駆動条件を含むことが好ましい。
【0060】
又、その他の好ましい駆動条件としては、排気経路内の風量を制御する駆動条件を含むことが好ましい。
例えば、排気経路内の風量を0〜100%の範囲内において、10%単位で制御する駆動条件とすることが好ましい。
具体的には、排気経路内に、排気ファンとは別の、風量調整用のファンを設け、回転数を調整したり、短冊状の羽根が平行に並んだルーバー構造を設けて、羽根の角度を調整して、風量を減らす駆動条件を含むことが好ましい。
この理由は、臭気発生源の臭気が比較的強い場合には、風量を任意の値以下に落として、臭気発生源から遠くに臭気が拡散することを効果的に防ぐことができるためである。
【0061】
具体的には、重み付け結果と駆動条件との対応関係の例としては、駆動条件1として脱臭装置のオンとし、駆動条件2として脱臭装置のオフとする対応関係であることが好ましい。
又、駆動条件1として燃焼装置及びスクラバーをオンとし、駆動条件2として燃焼装置のみをオンとし、駆動条件3としてスクラバーのみをオンとし、駆動条件4として燃焼装置及びスクラバーをオフとする対応関係であることが好ましい。
この理由は、このような対応関係とすることで、重み付け結果に合わせて、迅速に駆動条件を決定することができるためである。
【0062】
又、より具体的な例として、重み付け結果と駆動条件の対応関係を示す対応表を表3に示す。
【0063】
【表3】
【0064】
(6)駆動条件の設定の具体例1
ここで、駆動条件の設定の具体例として、センサ群により測定された風速を1.5m/secとし、真北からの風を0°として時計回り沿った風向を225°(南西)とし、大気安定度をBとし、気温を20℃とし、排気ガスの温度を100℃とし、排気風量を500m/minとし、排気口高さを30mとした場合を想定する。
このとき、表2の対応表を基に、環境情報に対応する重み付け値を求めると、風速による重み付け値は3であり、大気安定度による重み付け値は4であり、気温による重み付け値は4であり、排気ガスの温度による重み付け値は2であり、排気風量による重み付け値は3であり、排気口高さの重み付け値は2である。
すなわち、重み付け結果を、重み付け値の大きい上位5つを加算した値とすれば、重み付け結果は16と求めることができる。
したがって、表3の対応表を基に駆動条件を求めると、脱臭装置をオンとし、脱臭剤の投入量を1リットル/minとし、脱臭装置を間欠駆動とし、オン時間を10minとし、オフ時間を10minとし、ファンの回転数を1800rpmとする駆動条件を選択することが好ましいと言える。
【0065】
(7)駆動条件の設定の具体例2
又、駆動条件の設定の別の具体例として、センサ群により測定された風速を5m/secとし、風向を180°とし、大気安定度をDとし、気温を13℃とし、排気風量を300m/minとし、臭気発生源との距離を2000mとし、居住情報を半径100m以内に住宅地を含まないとした場合を想定する。
このとき、表2の対応表を基に、風速による重み付け値は2であり、大気安定度による重み付け値は2であり、気温による重み付け値は2であり、排気風量による重み付け値は2であり、臭気発生源との距離による重み付け値は1であり、居住情報による重み付け値は1である。
そして、重み付け結果を、臭気発生源との距離による重み付け値と居住情報による重み付け値を必ず含んだ値であって、重み付け値の大きい上位5つを加算した値とすれば、重み付け結果は8とすることができる。
したがって、表3の対応表を基に駆動条件を求めると、脱臭装置をオフとする駆動条件を選択することが好ましいと言える。
【0066】
6.変形例1
又、変形例として、図3に示すように、臭気低減システム10は、記憶部14と制御部13cを一体的に構成した中枢部13を備えていることが好ましい。具体的には、パーソナルコンピュータやタブレット等であることが好ましい。
この理由は、かかる構成であれば、マザーボード上に記憶部としてのRAMや制御部としてのCPUが設けられており、各部品を組み立てる必要がないためである。
又、USBポートを使用しての測定情報の読み込みや、プログラムによる重み付け結果の計算などが容易にでき、迅速かつ簡易的に臭気低減機器を制御することができるためである。
【0067】
7.変形例2
又、別の変形例として、臭気低減システムは、臭気低減機器の脱臭フィルタや脱臭剤の交換した日時を入力する入力部(図示しない)を備えることが好ましい。
すなわち、例えば、その時におけるセンサ群の情報等を、臭気低減機器の駆動条件を変えた時間(タイムスタンプ)と一緒に保存しておくことができ、総稼働時間や総回転数と、過去の装置不具合とを比較して、不具合が発生する直前のタイミングで修理やメンテナンスが行うことができる。
この理由は、交換日時を記載しておくことで、前回交換した時期が明確にわかるようになるため、データとして収集することで、メンテナンスの時期をより適したタイミングで行うことができるためである。
したがって、メンテナンス時期を画面やネットワーク上に通知する通知部を備えることが好ましい。
【0068】
[第2の実施形態]
第2の実施形態は、臭気発生源から出る排気ガスを脱臭して、臭気濃度を低下させる臭気低減システムを用いた臭気低減方法である。
そして、臭気低減システムは、臭気発生源における臭気濃度としての臭気濃度を測定する臭気センサと、臭気発生源における少なくとも風向を含む環境情報を測定するセンサ群と、排気ガスの臭気を低減する臭気低減機器と、臭気低減機器を駆動する制御部とを備えており、かつ、下記i)〜iv)の工程を含むことを特徴とする臭気低減方法である。
i)臭気センサと、センサ群とを、臭気発生源に設けるセンサ準備工程
ii)少なくとも風向を含む環境情報に基づいた所定の拡散シミュレーションによって、臭気発生源における風向としての第1の風向に基づいて対象地点の臭気濃度であるM1を求める第1シミュレーション工程
iii)第1の風向とは異なる第2の風向に基づいて対象地点の臭気濃度であるM2を求める第2シミュレーション工程
iv)M1がM2よりも大きい場合に、制御部は、M1に基づいて臭気低減機器を駆動する制御工程
ここで、臭気低減システムにおける構成は、第1の実施形態と同様の構成が使用できるため、重複した説明については省くものとする。
【0069】
1.前工程
前工程として、以下に示す(1)〜(4)の工程の少なくとも1つを含むことが好ましい。
【0070】
(1)対象地点の設定工程
対象地点の設定工程は、対象区域内に少なくとも1つの対象地点を定め、当該対象地点への臭気の拡散具合に影響する環境情報を定める工程である。
具体的には、対象区域の任意の地点とすることができるが、対象地点を複数配置する場合には、第1の実施形態と同様の構成とすることが好ましい。
すなわち、対象区域において、三角格子、正方格子、六角格子等の頂点ごとに、パターン状に配置することが好ましい。このとき、隣接する対象地点の最小間隔を1〜2000mの範囲内で配置することが好ましい。
この理由は、かかる形状や間隔であれば、対象区域の一部に偏らずに、対象区域全体で迅速かつ簡易的に臭気を低減することができるためである。
【0071】
(2)環境情報の設定工程
又、環境情報の設定工程は、臭気の拡散に影響する環境情報を設定する工程である。
具体的には、少なくとも風向を含んでおり、その他は、使用する拡散シミュレーションに合わせて設定すればよいが、例えば、風速、気温、湿度、大気安定度、排気ガスの温度、排気ガスの湿度、排気風量等であることが好ましい。
この理由は、かかる環境情報を用いることで、対象地点の臭気濃度を精度良くシミュレーションすることができるためである。
【0072】
(3)重み付け値の対応表の設定工程
重み付け値の対応表の設定工程は、各環境情報の値と重み付け値を対応させた対応表を設定する工程である。このとき、作成された対応表は、第1テーブルに記憶することが好ましい。
又、重み付け値の対応表は、経験によって決めることができるが、以下の2つの方法を用いることが好ましい。
第1の方法は、シミュレーションによるものである。すなわち、臭気低減システムを導入する前の事前調査として拡散シミュレーションを行い、例えば、環境情報の値を変更したときの臭気濃度の差分を見て設定する方法である。
又、第2の方法は、臭気低減システムを導入する前の事前調査として、臭気の拡散に影響する環境情報の考察や、重み付け値を決める情報収集のために、対象地点P1〜Pnに、臭気センサを仮設して臭気濃度を実測し、当該臭気濃度を基に設定する方法である。
【0073】
具体的には、図5に示すように、以下の流れに沿って重み付け値の対応表を設定することが好ましい。
まず、重み付け値の対応表について、更新が必要かを検討する(ステップS11)。ここで、更新が必要ない場合には、重み付け値の対応表の設定工程を終了する(ステップS17)。
仮に、重み付け値の対応表の作成が新規の場合や更新が必要な場合には、対象区域60(図1参照)内から対象地点P1〜Pnから1つを抽出する処理を開始する(ステップS12)。
次に、シミュレーションや実測によって、臭気発生源の環境情報の値と対象地点の臭気濃度を取得して、対象地点の状況把握を行う(ステップS13)。
そして、重み付け値と対応づける環境情報を少なくとも1つ以上決定する(ステップS14)。このとき、例えば、重み付け値と対応づける環境情報として、第1の実施形態に挙げた環境情報を用いることができる。
更に、各環境情報の値と重み付け値の対応関係を対応表にして、第1テーブル等に記憶する(ステップS15)。
その後、重み付け値の対応表の設定工程を終了する(ステップS16)。
よって、かかる流れに沿って重み付け値の対応表を設定することで、対象地点の環境情報に合わせた重み付け値を、精度よく設定できるため好ましい。
【0074】
(4)駆動条件の対応表の設定工程
駆動条件の対応表の設定工程とは、重み付け結果と使用予定の臭気低減機器の駆動条件とを対応させた対応表を作成する工程である。このとき、作成された対応表は、第2テーブルに記憶することが好ましい。
又、駆動条件の対応表についても、重み付け値の対応表と同様の方法によって作成することができる。
【0075】
具体的には、図6に示すように、以下の流れに沿って駆動条件の対応表を設定することが好ましい。
まず、駆動条件の対応表について、更新が必要かを検討する(ステップS21)。ここで、更新が必要ない場合には、駆動条件の対応表の設定工程を終了する(ステップS27)。
もしも、駆動条件の対応表の作成が新規の場合や更新が必要な場合には、対象区域60(図1参照)内から対象地点P1〜Pnから1つを抽出する処理を開始する(ステップS22)。
次に、シミュレーションや実測によって、臭気低減機器を駆動させない状態で、臭気発生源の環境情報の値と対象地点の臭気濃度を取得して、対象地点の状況把握を行う(ステップS23)。
そして、同様に、所定の駆動条件で臭気低減機器を駆動させた状態で、臭気発生源の環境情報の値と対象地点の臭気濃度を取得して、対象地点の状況把握を行う(ステップS24)。
更に、重み付け結果と対応づける駆動条件を決定する(ステップS25)。このとき、例えば、重み付け結果と対応付ける駆動条件として、第1の実施形態に挙げた駆動条件を用いることができる。
加えて、重み付け結果と駆動条件との関係を対応表にして、第2テーブル等に記憶する(ステップS26)。
その後、駆動条件の対応表の設定工程を終了する(ステップS27)。
よって、かかる流れに沿って駆動条件の対応表を設定することで、対象地点の臭気を効果的に低減するための駆動条件を、容易に設定できるため好ましい。
【0076】
2.センサ準備工程
工程i)のセンサ準備工程は、排気ガスの排気経路内に臭気センサを設けるとともに、臭気発生源に少なくとも風向を含む環境情報を測定するセンサを設ける工程である。
このとき、センサの配置場所等に関することについては、第1の実施形態で説明した構成を用いることができる。
【0077】
3.第1シミュレーション工程
工程ii)の第1シミュレーション工程は、任意の1つの風向である第1の風向に基づいて、拡散シミュレーションによって、対象地点の臭気濃度であるM1を求める工程である。
具体的には、所定の拡散シミュレーションにおいて、任意の風向を含む、必要な環境情報を入力して対象地点の臭気濃度であるM1を求めることが好ましい。
この理由は、かかる工程とすることで、対象地点の環境情報を、より迅速に反映させてM1を求めることができるためである。
【0078】
4.第2シミュレーション工程
工程iii)の第2シミュレーション工程は、第1の風向とは異なる風向である第2の風向を設定して、かかる第2の風向に基づいて、拡散シミュレーションによって、第1シミュレーション工程と同じ対象地点の臭気濃度であるM2を求める工程である。
具体的には、臭気発生源を原点に、第1の風向を時計回りに沿って回転させた風向を第2の風向として設定して、M2を求めることが好ましい。ここで、回転させる角度としては、第1の実施形態に示す第1の風向と第2の風向とのなす角度と同様であることが好ましい。
この理由は、第1の風向と第2の風向とのなす角度を、このような角度とすることで、対象地点における風向の変化量に対応させてM2を求めることができるためである。
【0079】
又、第2の風向を設定する別の方法として、風向計によって測定された方向を第2の風向として設定して、M2を求めることが好ましい。
この理由は、かかる風向とすることで、実際の現在の風向に基づく対象地点の臭気濃度を求めることができ、対象地点の現在の風向を、より迅速に反映させてM2を求めることができるためである。
【0080】
5.駆動工程
工程iv)の駆動工程は、M1がM2の二つの対象地点の臭気濃度を比べるとともに、M1がM2よりも大きいと判断した場合に、M1に基づいて臭気低減機器を駆動する工程である。
ここで、M1に基づいて臭気低減機器を駆動する方法とは、一般的に用いられる種々の方法を用いることができる。
例えば、基準値を設けて当該基準値を超えた場合に臭気低減機器をオンの状態にする方法、M1の大きさに応じて駆動させる臭気低減機器の種類変える方法、M1の大きさに応じて駆動させる臭気低減機器の駆動条件を変える方法、又はこれらの組み合わせであってもよい。
【0081】
一方、M1とM2との値が等しいと判断した場合も、M1に基づいて臭気低減機器を駆動すれば良く、M2がM1より大きいと判断した場合には、第1の風向と第2の風向を入れ替えて考えることが好ましい。
例えば、第1の風向を0°とし、第2の方向を90°と仮定して、第1の風向に基づいて計算したM1と、第2の風向に基づいて計算したM2とを比べたとき、M2が大きい場合には、第1の風向を90°とし、第2の風向を0°として、入れ替えることが好ましい。
この理由は、風向の数が増えた場合であっても、2つの風向の比較と置き換えを繰り返すことで、比較した風向の中での最大の臭気濃度を、容易に求めることができるためである。
【0082】
具体的には、図7に示すように、以下の流れで臭気低減機器を駆動することが好ましい。
まず、対象区域内から対象地点P1〜Pnから1つを抽出する(ステップS31)。
次に、臭気発生源における環境情報及び臭気濃度を測定する(ステップS32)。
そして、任意の方向から第1の風向を決定する(ステップS33)。
ここで、第1の風向は、方角を2〜360等分した方向の中から決定されることが好ましい。
この理由は、方角を等分することで、いずれかの方向に偏ることなく、風向を設定することができるためである。
したがって、風向を4〜180等分した方向で設定することがより好ましく、8〜90等分した方向で設定することが更に好ましい。
更に、第1の風向とは異なる第2の風向を決定する(ステップS34)。
次に、所定の拡散シミュレーションによって、測定した環境情報と、臭気濃度と、第1の風向とからM1を求める(ステップS35)。そして、所定の拡散シミュレーションによって、測定した環境情報と、臭気濃度と、第2の風向とからM2を求める(ステップS36)。
このとき、M2がM1より大きい場合には、第1の風向と第2の風向を入れ替えて、M1とM2を求め直すことが好ましい(ステップS37〜S38)。
更に、新たな第2の風向を設定するかを確認し、設定する場合には、同一の環境情報で拡散シミュレーションを行っていない方向での第2の風向を設定しなおして、ステップS34まで戻る(ステップS39)。
ここで、新たな第2の風向を設定する場合についても、上述のように方角を等分した方向の中から設定することが好ましい。
一方、新たな第2の風向を設定しない場合には、M1に基づいて臭気低減機器を駆動させる(ステップS40)。
その後、制御工程を終了する(ステップS41)。
【0083】
又、M1が基準値を超えた場合に、制御部は、第1テーブルを基に算出された重み付け結果に基づいて、第2テーブルに格納された1つの駆動条件を選択して、臭気低減機器を駆動することが好ましい。
このとき、重み付け結果の具体的な算出方法としては、第1の実施形態と同様の計算を用いることができる。
更に、重み付け結果と駆動条件との対応としては、重み付け値と同様に、シミュレーションや実測などによって求めることができる。
【0084】
具体的には、図8に示すように、以下の流れで臭気低減機器を駆動することが好ましい。
まず、対象区域内から対象地点P1〜Pnから1つを抽出する(ステップS51)。
次に、臭気発生源における環境情報を測定し、測定した値を第1テーブルに格納する(ステップS52)。
又、第1テーブルに格納した環境情報を、それぞれ対応付けた重み付け値に変換する(ステップS53)。
そして、第1テーブルに格納した重み付け値を算術計算することによって、重み付け結果を求める(ステップS54)。
ここで、全ての対象地点についての重み付け結果を求めていない場合には、次の対象地点について、ステップS51〜S54を繰り返すことが好ましい(ステップS55〜S56)。
この理由は、局所的に臭気濃度が高くなることをより迅速かつ簡易的に防ぐことができるためである。
更に、全ての対象地点の重み付け結果のうち、最大値に基づいて、第2テーブルに格納された1つの駆動条件を選択する(ステップS57)。
その後、駆動条件を変更する場合には、ステップS51〜57を繰り返し、駆動条件を変更しない場合には、重み付け結果に基づく駆動条件の選択を終了する。
【産業上の利用可能性】
【0085】
以上の説明のとおり、第1の実施形態及び第2の実施形態によれば、風向等が変化した場合であっても、迅速かつ簡易的に臭気を低減することができる。
よって、例えば、自動車等のタイヤの製造設備に配置することで、時間経過に伴って風向等が変化するような環境であっても、周囲へのゴム臭の拡散を、問題とならない臭気濃度まで抑えることが期待できる。
又、印刷工場における溶剤臭、化粧品工場における香料臭、ゴミの処理場における腐敗臭等を迅速かつ簡易的に低減することが期待できる。
したがって、本発明は、工場の周囲における臭気濃度を低減することが必須である各種工場や焼却炉、産業廃棄物施設の当該臭気低減に用いることで、産業上の貢献度が極めて高いものである。

【要約】
風向等が変化した場合であっても、迅速かつ簡易的に臭気を低減するために、
臭気発生源から出る排気ガスを脱臭して、臭気濃度を低下させる臭気低減システム及び臭気低減方法であって、臭気低減システムは、臭気センサと、少なくとも風向を含む環境情報を測定するセンサ群と、臭気低減機器と、所定の拡散シミュレーションで求められる対象地点の臭気濃度について、第1の風向に基づく対象地点の臭気濃度をM1とし、第2の風向に基づく対象地点の臭気濃度をM2とし、M1がM2より大きい場合に、M1に基づいて臭気低減機器を駆動する制御部と、を備える臭気低減システム及び臭気低減方法。
図1
図2
図3
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図5
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図8