特許第6961153号(P6961153)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6961153
(24)【登録日】2021年10月15日
(45)【発行日】2021年11月5日
(54)【発明の名称】無人測定装置、測定方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   B64C 39/02 20060101AFI20211025BHJP
   B64C 13/18 20060101ALI20211025BHJP
   B64C 27/08 20060101ALI20211025BHJP
   G01C 15/00 20060101ALI20211025BHJP
【FI】
   B64C39/02
   B64C13/18 Z
   B64C27/08
   G01C15/00 104B
   G01C15/00 104C
【請求項の数】12
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-101883(P2017-101883)
(22)【出願日】2017年5月23日
(65)【公開番号】特開2018-197046(P2018-197046A)
(43)【公開日】2018年12月13日
【審査請求日】2020年5月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】517147261
【氏名又は名称】伊豆 智幸
(74)【代理人】
【識別番号】100127328
【弁理士】
【氏名又は名称】八木澤 史彦
(74)【代理人】
【識別番号】100140866
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 武史
(72)【発明者】
【氏名】伊豆 智幸
【審査官】 志水 裕司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−189321(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第103487211(CN,A)
【文献】 特開2018−095394(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64C 39/02
B64C 13/18
B64C 27/00
B64C 29/00
G01C 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のモーターにそれぞれ接続されたプロペラによって推力を得ることができ、自律飛行可能な無人測定装置であって、
紐状部材に吊り下げられることを可能にするための接続手段と、
前記紐状部材の揺れによって前記無人測定装置が受動的に移動させられていることを検知する受動移動検知手段と、
前記受動移動検知手段によって、前記無人測定装置が受動的に移動させられていることを検知した場合に、前記無人測定装置を前記紐状部材に鉛直に吊り下げられた状態に回復するための回復動作制御手段と、
を有する無人測定装置。
【請求項2】
前記接続手段は、前記紐状部材が揺れ動いた場合であっても、前記無人測定装置が水平状態を維持することができるように構成されている、
請求項1に記載の無人測定装置。
【請求項3】
前記受動移動検知手段は、前記紐状部材の揺れによって前記無人測定装置が受動的に移動させられている移動方向、移動速度及び移動距離を検知するように構成されており、
さらに、
前記無人測定装置の受動的な移動を停止するための前記モーターの駆動態様を示す停止条件を算出する停止条件算出手段と、
前記停止条件に基づいて、前記モーターを駆動する停止動作制御手段と、
前記停止動作制御手段によって前記無人測定装置が停止させられた後に、前記無人測定装置を前記紐状部材に鉛直に吊り下げられた状態にするための前記モーターの駆動態様を示す回復条件を算出する回復条件算出手段と、
を有し、
前記回復動作制御手段は、前記回復条件に基づいて、前記モーターを制御するように構成されている、
請求項1に記載の無人測定装置。
【請求項4】
前記停止条件に示される前記モーターの駆動態様によって発生する推力は、前記無人測定装置の受動的な移動方向とは逆の方向であり、
前記停止条件に示される前記モーターの回転速度は時間の経過にともなって、速くなるように規定される
請求項に記載の無人測定装置。
【請求項5】
前記回復条件に示される前記モーターの回転速度は、前記無人測定装置が前記紐状部材に鉛直に吊り下げられた状態に近づくにともなって遅くなるように規定されている、
請求項4に記載の無人測定装置。
【請求項6】
前記回復動作制御手段は、前記モーターの回転によって発生する推力を、前記無人測定装置が前記紐状部材に鉛直に吊り下げられた状態から遠ざかる方向に発生させ、前記無人測定装置が前記紐状部材に鉛直に吊り下げられた状態に近づいているか否かを判断し、前記紐状部材に鉛直に吊り下げられた状態に近づいていない場合には、前記モーターの回転速度を遅くし、加速を伴って前記紐状部材に鉛直に吊り下げられた状態に近づいている場合には、前記モーターの回転速度を速くするように構成されている、
請求項5に記載の無人測定装置。
【請求項7】
前記回復動作制御手段は、前記モーターの回転によって発生する推力を、前記無人測定装置が前記紐状部材に鉛直に吊り下げられた状態に近づく方向に発生させ、前記無人測定装置が前記紐状部材に鉛直に吊り下げられた状態に至る直前に、前記推力の方向を反転させ、前記無人測定装置が前記紐状部材に鉛直に吊り下げられた状態に至るように制御する、
請求項4に記載の無人測定装置。
【請求項8】
前記回復動作制御手段は、前記モーターの回転によって前記無人測定装置を上方へ移動させ、次いで、前記無人測定装置が前記紐状部材に鉛直に吊り下げられた状態の位置の上空に移動し、その後、前記無人測定装置が前記紐状部材に鉛直に吊り下げられた状態の位置に至るように制御する、
請求項1に記載の無人測定装置。
【請求項9】
前記回復動作制御手段は、複数の前記モーターを回転させることによって、下向きの推力を発生するように構成されており、
さらに、
前記複数のモーターが回転している状態において、前記無人測定装置が移動しているか否かを判断する能動移動判断手段を有し、
前記回復動作制御手段は、前記能動移動判断手段によって、前記複数のモーターが回転している状態において、前記無人測定装置が移動していないと判断した場合に、複数の前記モーターの回転を停止するように構成されている、
請求項2に記載の無人測定装置。
【請求項10】
前記無人測定装置は、前記受動移動検知手段によって、前記無人測定装置が前記紐状部材の揺れによって移動させられていることを検知した場合には、前記無人測定装置が前記紐状部材に鉛直に吊り下げられた状態に復帰するまで測定を中断する、または、揺れによって受動的に移動させられている間の測定データを分離するように構成されている、
請求項1に記載の無人測定装置。
【請求項11】
紐状部材に吊り下げられることを可能にするための接続手段を有し、複数のモーターにそれぞれ接続されたプロペラによって推力を得ることができ、自律飛行可能な無人測定装置が実施する測定方法であって、
前記紐状部材の揺れによって前記無人測定装置が受動的に移動させられていることを検知する受動移動検知ステップと、
前記受動移動検知ステップにおいて、前記無人測定装置が受動的に移動させられていることを検知した場合に、前記無人測定装置を前記紐状部材に鉛直に吊り下げられた状態に回復するための回復動作制御ステップと、
を含む測定方法。
【請求項12】
紐状部材に吊り下げられることを可能にするための接続手段を有し、複数のモーターにそれぞれ接続されたプロペラによって推力を得ることができ、自律飛行可能な無人測定装置を制御するコンピュータを
前記紐状部材の揺れによって前記無人測定装置が受動的に移動させられていることを検知する受動移動検知手段、
前記受動移動検知手段によって、前記無人測定装置が受動的に移動させられていることを検知した場合に、前記無人測定装置を前記紐状部材に鉛直に吊り下げられた状態に回復するための回復動作制御手段、
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無人測定装置、測定方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、無人測定装置を利用して、構造物の面を検査する技術が提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017−75863号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、図19に示すように、地面200に形成した竪穴202内部の形状を計測するために、吊下げ部材204に固定した紐状部材206に、例えば、レーザースキャナ210を接続して、竪穴202を構成する壁面202aの形状を計測する場合がある。この計測方法において、レーザースキャナ210が紐状部材206に鉛直に吊り下げられた状態で計測することが必要である。しかし、風などの影響によって紐状部材206が揺れると、それに伴って、レーザースキャナ210も、例えば、矢印X1方向に揺れ動く。レーザースキャナ210が揺れ動くと、レーザースキャナ210が紐状部材206に鉛直状態に吊り下げられた状態から乖離し、壁面202aの形状を正確に計測することができない。
【0005】
本発明はかかる問題の解決を試みたものであり、紐状部材に吊り下げられた状態(以下、「鉛直状態」という。)において、紐状部材の揺れによって受動的に動かされても、迅速に鉛直状態に回復することができる無人測定装置、測定方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第一の発明は、複数のモーターにそれぞれ接続されたプロペラによって推力を得ることができ、自律飛行可能な無人測定装置であって、紐状部材に吊り下げられることを可能にするための接続手段と、前記紐状部材の揺れによって前記無人測定装置が受動的に移動させられていることを検知する受動移動検知手段と、前記受動移動検知手段によって、前記無人測定装置が受動的に移動させられていることを検知した場合に、前記無人測定装置を前記紐状部材に鉛直に吊り下げられた状態に回復するための回復動作制御手段と、を有する無人測定装置である。
【0007】
第一の発明の構成によれば、無人測定装置は、受動移動検知手段によって、紐状部材の揺れによって受動的に移動させられていることを検知することができ、回復動作制御手段によって、紐状部材に鉛直に吊り下げられた状態に回復することができる。これにより、紐状部材に吊り下げられた状態において、紐状部材の揺れによって受動的に動かされても、迅速に鉛直状態に回復することができる。
【0008】
第二の発明は、第一の発明の構成において、前記接続手段は、前記紐状部材が揺れ動いた場合であっても、前記無人測定装置が水平状態を維持することができるように構成されている、無人測定装置である。
【0009】
第三の発明は、第一の発明の構成において、前記受動移動検知手段は、前記紐状部材の揺れによって前記無人測定装置が受動的に移動させられている移動方向、移動速度及び移動距離を検知するように構成されており、さらに、前記無人測定装置の受動的な移動を停止するための前記モーターの駆動態様を示す停止条件を算出する停止条件算出手段と、 前記停止条件に基づいて、前記モーターを駆動する停止動作制御手段と、前記停止動作制御手段によって前記無人測定装置が停止させられた後に、前記無人測定装置を前記紐状部材に鉛直に吊り下げられた状態にするための前記モーターの駆動態様を示す回復条件を算出する回復条件算出手段と、を有し、前記回復動作制御手段は、前記回復条件に基づいて、前記モーターを制御するように構成されている、無人測定装置である。
【0010】
第四の発明は、第三の発明の構成において、前記停止条件に示される前記モーターの駆動態様によって発生する推力は、前記無人測定装置の受動的な移動方向とは逆の方向であり、前記停止条件に示される前記モーターの回転速度は時間の経過にともなって、速くなるように規定される、無人測定装置である。
【0011】
第五の発明は、第四の発明の構成において、前記回復条件に示される前記モーターの回転速度は、前記無人測定装置が前記紐状部材に鉛直に吊り下げられた状態に近づくにともなって遅くなるように規定されている、無人測定装置である。
【0012】
第六の発明は、第五の発明の構成において、前記回復動作制御手段は、前記モーターの回転によって発生する推力を、前記無人測定装置が前記紐状部材に鉛直に吊り下げられた状態から遠ざかる方向に発生させ、前記無人測定装置が前記紐状部材に鉛直に吊り下げられた状態に近づいているか否かを判断し、前記紐状部材に鉛直に吊り下げられた状態に近づいていない場合には、前記モーターの回転速度を遅くし、加速を伴って前記紐状部材に鉛直に吊り下げられた状態に近づいている場合には、前記モーターの回転速度を速くするように構成されている、無人測定装置である。
【0013】
第七の発明は、第四の発明の構成において、前記回復動作制御手段は、前記モーターの回転によって発生する推力を、前記無人測定装置が前記紐状部材に鉛直に吊り下げられた状態に近づく方向に発生させ、前記無人測定装置が前記紐状部材に鉛直に吊り下げられた状態に至る直前に、前記推力の方向を反転させ、前記無人測定装置が前記紐状部材に鉛直に吊り下げられた状態に至るように制御する、無人測定装置である。
【0014】
第八の発明は、第一の発明の構成において、前記回復動作制御手段は、前記モーターの回転によって前記無人測定装置を上方へ移動させ、次いで、前記無人測定装置が前記紐状部材に鉛直に吊り下げられた状態の位置の上空に移動し、その後、前記無人測定装置が前記紐状部材に鉛直に吊り下げられた状態の位置に至るように制御する、無人測定装置である。
【0015】
第九の発明は、第二の発明の構成において、 前記回復動作制御手段は、複数の前記モーターを回転させることによって、下向きの推力を発生するように構成されており、さらに、前記複数のモーターが回転している状態において、前記無人測定装置が移動しているか否かを判断する能動移動判断手段を有し、前記回復動作制御手段は、前記能動移動状態判断手段によって、前記複数のモーターが回転している状態において、前記無人測定装置が移動していないと判断した場合に、複数の前記モーターの回転を停止するように構成されている、無人測定装置である。
【0016】
第十の発明は、第一の発明の構成において、前記無人測定装置は、前記移動状態検知手段によって、前記無人測定装置が前記紐状部材の揺れによって移動させられていることを検知した場合には、前記無人測定装置が前記紐状部材に鉛直に吊り下げられた状態に復帰するまで測定を中断する、または、揺れによって受動的に移動させられている間の測定データを分離するように構成されている、無人測定装置である。
【0017】
第十一の発明は、紐状部材に吊り下げられることを可能にするための接続手段を有し、複数のモーターにそれぞれ接続されたプロペラによって推力を得ることができ、自律飛行可能な無人測定装置が実施する測定方法であって、前記紐状部材の揺れによって前記無人測定装置が受動的に移動させられていることを検知する受動移動検知ステップと、前記受動移動検知手段によって、前記無人測定装置が受動的に移動させられていることを検知した場合に、前記無人測定装置を前記紐状部材に鉛直に吊り下げられた状態に回復するための回復動作制御ステップと、を含む測定方法である。
【0018】
第十二の発明は、紐状部材に吊り下げられることを可能にするための接続手段を有し、複数のモーターにそれぞれ接続されたプロペラによって推力を得ることができ、自律飛行可能な無人測定装置を制御するコンピュータを前記紐状部材の揺れによって前記無人測定装置が受動的に移動させられていることを検知する受動移動検知手段、前記受動移動検知手段によって、前記無人測定装置が受動的に移動させられていることを検知した場合に、前記無人測定装置を前記紐状部材に鉛直に吊り下げられた状態に回復するための回復動作制御手段、として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、紐状部材に吊り下げられた状態において、紐状部材の揺れによって受動的に動かされても、迅速に鉛直状態に回復することができる無人測定装置、測定方法及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態に無人測定装置の作用を示す概略図である。
図2】無人測定装置を示す概略図である。
図3】接続部材を示す概略図である。
図4】接続部材を示す概略図である。
図5】接続部材を示す概略図である。
図6】無人測定装置の機能ブロックを示す図である。
図7】無人測定装置の移動方法を示す図である。
図8】無人測定装置の移動方法を示す図である。
図9】無人測定装置の移動方法を示す図である。
図10】無人測定装置の移動方法を示す図である。
図11】無人測定装置が鉛直状態に回復する過程を示す概略図である。
図12】無人測定装置が鉛直状態に回復するための推力を示す概略図である。
図13】無人測定装置の動作を示すフローチャートである。
図14】無人測定装置の動作を示すフローチャートである。
図15】第二の実施形態における無人測定装置が鉛直状態に回復するための推力を示す概略図である。
図16】第三の実施形態に無人測定装置の作用を示す概略図である。
図17】第三の実施形態に無人測定装置の作用を示す概略図である。
図18】第四の実施形態における無人測定装置の作用を示す概略図である。
図19】従来の無人測定装置の作用を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について詳細に説明する。以下の説明においては、同様の構成には同じ符号を付し、その説明を省略又は簡略する。なお、当業者が適宜実施できる構成については説明を省略し、本発明の基本的な構成についてのみ説明する。
【0022】
<第一の実施形態>
本実施形態の無人測定装置1(以下、「無人機1」という。)は、紐状部材に鉛直に吊り下げら得た状態(以下、「鉛直状態」という。)において、各種の測定を行うための装置である。例えば、図1に示すように、無人機1は、地面200に形成した竪穴202内部の形状を計測するために、吊下げ部材204に固定した紐状部材206に、吊り下げられている。無人機1には、測定装置12が配置されている。測定装置12の種類に限定はなく、例えば、レーザースキャナ、画像を取得するカメラ、竪穴202内部の気体の成分や放射性物質の状態を計測する装置であってもよいが、以下、レーザースキャナであるとして説明する。無人機1は、紐状部材206に鉛直に吊り下げられた状態(鉛直状態)において、竪穴202の壁面202aの形状を計測するようになっている。なお、無人機1の重心位置は、無人機1の中心に位置するように構成されている。
【0023】
紐状部材206は、風などの影響で揺れ動く場合がある。そうすると、無人機1は、例えば、矢印M1に示す受動的な移動(以下、「受動移動」という。)をさせられる。無人機1は、矢印M1に示す受動移動を検知し、無人機1自体の推力発生手段を駆動させて、矢印M2に示す能動的な移動(以下、「能動移動」という。)を実施し、鉛直状態を回復する。無人機1は、鉛直状態ではない間は測定を停止する、あるいは、鉛直状態における測定による測定データと鉛直状態ではない状態における測定による測定データを分離するようになっている。これにより、鉛直状態において測定したデータのみを測定後の工程で使用することができる。
【0024】
図2に示すように、無人機1は、筐体2を有する。筐体2には、無人機1の各部を制御するコンピュータ、自律飛行装置、無線通信装置、GPS(Global Positioning System)を利用した測位装置、慣性センサー、気圧センサー、バッテリー等が配置されている。慣性センサーは、例えば、3軸角速度、3軸加速度、3軸地磁気を計測することができるモーションセンサユニットである。
【0025】
また、筐体2には、測定装置12が配置されている。測定装置12は、レーザースキャナであり、レーザーが発射されて対象に反射して戻ってくるまでの時間や、戻って来たレーザーの位相と基準となる位相との差分(位相差)によって、距離を測定する。これにより、壁面202aの点群データを取得する。点群データは、壁面202aの形状を示す。
【0026】
筐体2には、丸棒状のアーム4が接続されている。アーム4にはモーター6A乃至6Dが接続されており、各モーター6A等にはプロペラ8が接続されている。モーター6A等の回転により、上方(矢印Z1方向)の推力が発生するようになっている。
【0027】
アーム4には保護枠10が接続され、プロペラ8が外部の物体に直接接触することを防止している。アーム4及び保護枠10は、例えば、炭素繊維強化プラスチックで形成されており、強度を保ちつつ、軽量に構成されている。
【0028】
アーム4には、また、固定装置30が接続されている。固定装置30は、接続手段の一例である。
【0029】
図3に示すように、固定装置30は、第一部材32、第二部材36及び中間部材34から構成される。第一部材32には、半円周形状の上部環状部材40が接続されており、上部環状部材40に紐状部材206が固定される。第二部材36には、半円周形状の下部環状部材38が接続されており、下部環状部材38がアーム4に接続される。
【0030】
第一部材32及び第二部材36は、略円柱状の形状に構成され、内部には、それぞれ、開口部を有する略球形の球状空間32c,36cが形成されている。第一部材32の下面32bには球状空間32cの開口部が形成されており、第二部材36の上面36aには球状空間36cの開口部が形成されている。
【0031】
図3及び図4に示すように、中間部材34は、両端が略球状に拡径した略円柱状の部材であり、胴体部34bの両端に球状部34a及び34cが形成されている。球状部34a及び34cの直径は、球状空間32c及び36cの直径よりも小さく、球状空間32c及び36cの開口部の直径よりも大きい。このため、中間部材34の球状部34a及び34cが、球状空間32c及び36cにそれぞれ配置されることで、第一部材32、第二部材36及び中間部材34は、相対的に回転可能な状態で接続される。
【0032】
中間部材34と第一部材32は、第一部材32の円周方向に相対的に360度回転可能であり、円周方向と直交する方向には、下面32bが胴体部34bと接するまで、いずれの方向にも略90度回転可能である。中間部材34と第二部材36は、第二部材36の円周方向に相対的に360度回転可能であり、円周方向と直交する方向には、上面36aが胴体部34bと接するまで、いずれの方向にも略90度回転可能である。このため、図5に示すように、例えば、紐状部材206の揺れによって、第一部材32が鉛直状態に対して傾きを生じた場合であっても、無人機1の質量によって、中間部材34は第一部材32に対して回転し、無人機1は水平状態を維持する。
【0033】
図6は、無人機1の機能構成を示す図である。無人機1は、CPU(Central Processing Unit)50、記憶部52、無線通信部54、GPS(Global Positioning System)部56、慣性センサー部58、駆動制御部60、赤外線センサー部62、及び、電源部66を有する。
【0034】
無人機1は、無線通信部54によって、基地局(図示せず)と通信可能になっている。無人機1は、無線通信部54によって、基地局から、発進等の指示を受信する。
【0035】
無人機1は、GPS部56と慣性センサー部58によって、無人機1自体の位置を測定することができる。GPS部56は、基本的に、3つ以上のGPS衛星からの電波を受信して無人機1の位置を計測する。なお、竪穴202内においては、GPS部56による位置計測は行わない。慣性センサー部58は、上述のモーションセンサユニットからの出力を受信して、出発点からの無人機1の移動を積算して、無人機1の位置を計測する。無人機1自体の位置情報は、無人機1の移動経路の決定及び自律移動のために使用する。また、慣性センサー部58は、上述のモーションセンサユニットからの出力を受信する。
【0036】
駆動制御部60によって、無人機1は各プロペラ8に接続された各モーター6A等の回転を制御し、上下水平移動や空中停止、傾きなどの姿勢を制御するようになっている。
【0037】
赤外線センサー部62によって、無人機1は、測定装置12による赤外線の送受信を制御する。
【0038】
電源部66は、例えば、交換可能な可充電電池であり、無人機1の各部に電力を供給するようになっている。なお、紐状部材206が電力ケーブルを兼ねるようにしたり、紐状部材206と平行して電力ケーブルを備えることによって、電力ケーブルから電源を得るようにしてもよい。
【0039】
記憶部52には、自律移動に必要な各種データ及びプログラムのほか、以下のプログラムが格納されている。
【0040】
無人機1の記憶部52には、自律移動プログラム、受動移動検知プログラム、停止条件算出プログラム、停止動作制御プログラム、回復条件算出プログラム、回復動作制御プログラム、及び、測定調整プログラムが格納されている。CPU50と自律移動プログラムは自律移動手段の一例である。CPU50と受動移動検知プログラムは受動移動検知手段の一例である。CPU50と停止条件算出プログラムは停止条件算出手段の一例である。CPU50と停止動作制御プログラムは停止動作制御手段の一例である。CPU50と回復条件算出プログラムは回復条件算出手段の一例である。CPU50と回復動作制御プログラムは回復動作制御手段の一例である。CPU50と測定調整プログラムは測定調整手段の一例である。
【0041】
無人機1は、自律移動プログラムによって、無人機1の自律飛行を制御する。具体的には、無人機1は、各モーター6A等の出力を調整し、予定した位置を外れたり、姿勢が乱れた場合には修正し、予め規定された位置及び姿勢を維持するようになっている。
【0042】
図7乃至図10を使用して、無人機1の自律飛行の態様を説明する。図7に示すように、無人機1は、モーター6A,6B,6C及び6Dの回転軸(ローター)の回転を制御することによって、矢印A1乃至A8に示すように、水平方向における360度の方向へ移動できるようになっている。モーター6Aは矢印B1の方向(時計回りの方向)へ回転し、隣り合うモーター6B及びモーター6Dは、それぞれ、矢印B1方向とは逆方向である矢印B2方向、矢印B4方向へ回転する。モーター6Cは、モーター6Aが回転する矢印B1方向と同一方向(時計回りの方向)である矢印B3方向へ回転する。すなわち、モーター6A乃至6Dの回転方向は、隣り合うモーターとは逆方向になっている。これにより、モーター6A乃至6Dの回転による反作用を相殺し、反作用によって無人機1が回転することを防止するようになっている。
【0043】
図8に示すように、無人機1は、矢印A4方向へ移動するときには、モーター6Aとモーター6Dを同一回転数で回転させる。すなわち、隣り合う2つのモーター6A等を同一回転数で回転させることによって、2つのモーター6A等を結ぶ線分と垂直方向に移動することができる。
【0044】
これに対して、隣り合う2つのモーター6A等を結ぶ線分と垂直方向の方向から45度の角度だけずれた方向へ移動する場合には、無人機1が45度回転したうえで、隣り合う2つのモーター6A等を同一回転数で回転させる。例えば、無人機1が矢印A3方向へ移動しようとする場合、図9(a)に示すように、モーター6Aとモーター6Cを回転させると、その反作用により、無人機1は矢印C1に示す方向に回転する。図9(b)は図9(a)の状態から無人機1が45度回転した状態である。図9(b)の状態で、モーター6Aとモーター6Dを同一回転数で回転させると、無人機1は矢印A3に示す方向へ移動する。
【0045】
無人機1は、矢印A3方向への移動が完了すると、図10(a)に示すように、モーター6Bとモーター6Dを回転させ、無人機1を矢印C2に示す方向に回転させる。矢印C2方向への45度の回転が完了すると、図10(b)に示す状態になる。
【0046】
無人機1は、上述のように、紐状部材206に接続された状態において、水平方向に自由に移動することができ、鉛直状態から乖離した場合には、以下に説明するようにモーター6A等を駆動して、鉛直状態を回復するように構成されている。以下、無人機1全体の動きについて説明するときに、個々のモーター6A等の制御についての説明は省略する。
【0047】
無人機1は、受動移動検知プログラムによって、紐状部材206の揺れによる無人機1の受動移動の移動方向及び移動速度を検知する。具体的には、無人機1は、慣性センサー部58を介して、上述のモーションセンサユニットからの出力を受信して、鉛直状態における無人機1の位置を基準とする無人機1の受動移動の移動方向、移動速度及び移動距離を算出する。
【0048】
無人機1は、停止条件算出プログラムによって、無人機1の受動移動を停止するためのモーター6A等の駆動態様を含む停止条件を算出する。無人機1の進行方向(以下、「駆動方向」という。)は、無人機1の受動移動の方向の水平方向の成分の反対方向である。例えば、無人機1が、図11(a)の矢印M1に示す受動移動をしている場合、水平方向の成分の速度ベクトルはベクトルa1である。図11(a)示す座標における「V0」は、鉛直状態における無人機1の位置を示す。停止条件における駆動方向は、速度ベクトルa1の反対方向のベクトル−a1に示す方向である。モーター6A等の回転速度(回転数(rpm:round per miniute)は、徐々に早くしていき、推力を徐々に大きくしていく。そして、受動移動の速度が速いほど、回転速度の増加率(推力の増加率)を大きくする。
【0049】
無人機1は、停止動作制御プログラムによって、上述の停止条件でモーター6A乃至6Dを駆動し、受動移動を停止させる。停止条件は、無人機1の受動移動の水平成分の速度ベクトルa1と反対方向への移動であり、下方向には重力G1がかかっているから、無人機1の受動移動はいずれ停止する。ここで、停止条件による無人機1の能動的な移動を実施しない場合には、受動移動の停止が遅れる。すなわち、停止動作制御プログラムによるモーター6A乃至6Dの駆動は、受動移動を迅速に停止させる効果がある。無人機1のモーター6A乃至6Dの回転速度を次第に早くしていく(推力を次第に大きくしていく)ことによって、いずれかのタイミングで無人機1の受動移動は停止する。無人機1は、受動状態が停止すると、停止条件によるモーター6A乃至6Dの駆動を停止する。
【0050】
無人機1が受動移動を停止した位置において、モーターA乃至6Dの駆動を停止し、その停止状態を維持すると、無人機1には、紐状部材206が描く円弧方向に重力G1による力Fが働くから、下方に移動し、座標V0を通り越して、逆方向へ移動する。例えば、モーター6A乃至6Dの駆動を停止したままの場合には、図11(b)の矢印M2に示すように移動し、座標V0の方向へ向かい、さらに、矢印−M2に示すように、座標V0を通り越してしまう。なお、無人機1が、矢印M1の受動移動を停止した後も、上述の停止条件によるモーター6A乃至6Dの駆動を継続すると、さらに速い速度で座標V0を通り越して、矢印M1とは反対方向に移動することになる。
【0051】
そこで、無人機1は、迅速に座標V0に向かい、かつ、静止するための条件である回復条件を算出する。回復条件は、無人機1の駆動方向とモーター6A等の回転速度を含む。駆動方向は、例えば、図11(b)に示すように、矢印M2に示す移動の水平成分のベクトルa2と反対方向のベクトル−a2に示す方向である。回復条件に含まれるモーター6A等の回転速度は、例えば、受動移動を停止したときの回転速度の90%の回転速度である。ただし、後述のように、無人機1は、座標V0に向かって移動する間において、回転速度を調整する。
【0052】
無人機1は、上述の回復条件を算出すると、回復動作制御プログラムによって、無人機1を座標V0まで導き、鉛直状態を回復する。鉛直状態を回復するまでの動作を「回復動作」と呼ぶ。無人機1は、回復動作において、実際の移動状態を慣性センサーによって継続的に検知し、モーター6A等の回転速度を調整する。受動移動が停止した後に無人機1に加わる力は、モーター6A乃至6Dによる推力を除けば、重力G1だけであると仮定すると、無人機1が、重力G1による力Fと等しい推力を発生する場合には、無人機1は、現在位置を維持し、座標V0に近づくことはない。このため、無人機1は、力Fよりも小さい推力を発生させる。重力G1の紐状部材206が描く円弧方向への分力は、力F=G1sinθである。角度θは、紐状部材206が鉛直状態から乖離する度合を示す(図1参照)。角度θが小さくなるほど、すなわち、無人機1が座標V0に近づくほど、力Fは小さくなる。このため、無人機1は、能動的に発生させる推力を座標V0に近づくにつれて低下させる。例えば、図11(b)に示すベクトル−a2に示す推力よりも、図11(c)に示すベクトル−a3に示す推力の方が小さい。
【0053】
無人機1は、力Fによる加速を伴うことなく、座標V0に近づくようにモーター6A等の回転を制御する。すなわち、無人機1は、受動移動を停止させた後は、重力G1による力Fと逆方向で、かつ、力Fよりも小さい推力を発生しつつ、無人機1を座標V0まで導き、座標0において静止させるようになっている。無人機1は、回復動作を実施している間において、座標V0に近づいているか、及び、無人機1の移動速度が次第に低下しているかを確認する。無人機1は、座標V0に近づいていない場合には、モーター6A等の回転速度を遅くする制御を行う。無人機1は、移動速度が次第に低下していない場合には、モーター6A等の回転速度を速くする制御を行う。
【0054】
図12に、停止条件と回復条件の一例を示す。停止条件によって、モーター6A乃至6Dを回転速度が次第に早くなるように回転させ、時刻t1で受動移動が停止すると、無人機1は、すべてのモーター6A等の駆動を停止する。そして、停止条件における推力の方向−x1とは反対方向である−x2の方向の推力を発生させる。そして、無人機1は、矢印−x2方向の推力を、時間経過と共に低下させ、座標V0に到達する時刻t3において推力は0となるようにする。
【0055】
無人機1は、測定調整プログラムによって、鉛直状態ではなくなっている間は測定を中断し、鉛直状態を回復したときに測定を再開するようになっている。なお、これとは異なり、無人機1は、鉛直状態ではなくなっている間も測定を継続したうえで、鉛直状態における測定による測定データと鉛直状態ではなくなっている間の測定による測定データを分離することができるようにしてもよい。
【0056】
以下、無人機1の動作を、図13及び図14のフローチャートを参照して説明する。無人機1は、基地局から測定開始の指示を受信すると測定を開始する(図13のステップST1)。無人機1は、受動移動を検知すると(ステップST2)、測定を中断し(ステップST3)、位置を修正する(ステップST4)。ステップST4において、無人機1は、鉛直状態を回復する。鉛直状態を回復すると、無人機1は、測定を再開し(ステップST5)、作業が終了したと判断すると(ステップST6)、測定を停止する。
【0057】
ステップST4において、無人機1は、紐状部材206の揺れによる受動移動の速度及び方向を測定し、その受動的な移動を停止するための推力の方向とモーター6A等の回転速度を含む停止条件を算出する(ステップST41)。続いて、無人機1は、停止条件に基づいて、モーター6A乃至6Dの回転を開始し(ステップST42)、受動移動が停止したと判断すると(ステップST43)、回復条件を算出し(ステップST44)、回復条件に基づいて、モーター6A乃至6Dの回転を開始する(ステップST45)。無人機1は、モーター6A乃至6Dの回転数を漸減し(ステップST46)、最下点に到着した(鉛直状態を回復した)と判断すると(ステップST47)、ステップST5へ進む。
【0058】
<第二の実施形態>
第二の実施形態について、第一の実施形態と異なる点を中心に説明する。図15に示すように、第二の実施形態においては、無人機1は、回復動作制御プログラムによって、回復動作において、重力G1の水平成分による移動と同一方向x2の推力を発生し、迅速に座標V0へ向かう。そして、座標V0の直前において、逆方向−x2の推力を発生し、座標V0において静止するように、モーター6A等の回転を制御する。すなわち、第一の実施形態においては、座標V0への移動を「重力G1−無人機1の推力」によって生じる速度で実施したが、第二の実施形態においては、座標V0への移動を「重力G1+無人機1の推力」によって生じる速度で実施するから、より迅速に座標V0へ移動することができる。そして、座標V0へ到達する直前に推力の方向を逆転し、制動する(ブレ―キをかける)ことによって、座標V0において静止する。
【0059】
<第三の実施形態>
第三の実施形態について、第一の実施形態と異なる点を中心に説明する。図16及び図17に示すように、第三の実施形態の無人機1は、受動移動検知プログラムによって、矢印M1に示す受動移動を検知すると、回復動作制御プログラムによって、すべてのモーター6A等を同一回転速度で回転させ、上方(矢印Z1方向)の推力を発生させて、上方へ移動する。そうすると、紐状部材206は撓み(図17参照)、無人機1は紐状部材206の揺れによる影響を離脱する。この状態で、無人機1は、回復動作制御プログラムによって、鉛直状態の方向(矢印N1に示す方向)へ移動し、鉛直状態における位置の上空に移動し、さらに、下方(矢印Z2方向)へ移動し、鉛直状態において無人機1が紐状部材206に吊り下げられた状態の位置に回帰する。この回復動作を実施している間の位置は、慣性センサー部58によって受信したデータに基づいて継続的に算出し、無人機1の移動を制御する。
【0060】
<第四の実施形態>
第四の実施形態について、第一の実施形態と異なる点を中心に説明する。第四の実施形態の無人機1Aのプロペラ8のプロペラピッチは、第一の実施形態の無人機1のプロペラ8とは逆に形成されており、モーター6A等が所定方向に回転すると、無人機1Aは下方への推力を発生するように構成されている。図18に示すように、無人機1Aは、受動移動検知プログラムによって、矢印M1に示す受動移動を検知すると、回復動作制御プログラムによって、すべてのモーター6A等を同一回転速度で回転させ、下方(矢印Z2方向)へ向かう推力を発生させる。そうすると、無人機1Aは、矢印M2に示す方向に能動移動し、紐状部材206に吊り下げられた状態における最下点に至ると、モーター6A等を回転した状態において、能動移動を停止する。無人機1Aが、紐状部材206に吊り下げられた状態における最下点に位置する状態は、紐状部材206に鉛直に吊り下げられた状態である。この状態において、無人機1Aは、さらに下方へ向かうことはできないから、モーター6A等を回転させていても、現在位置を維持する。
【0061】
無人機1Aの記憶部52(図6参照)には、能動移動判断プログラムが格納されている。CPU50と能動移動判断プログラムは、能動移動判断手段の一例である。無人機1Aは、能動移動判断プログラムによって、慣性センサーからの出力を受信し、モーター6A等を回転させている状態において、能動移動が生じているか否かを判断する。
【0062】
無人機1Aは、モーター6A等を回転させている状態において、能動移動が生じていないと判断した場合には、回復動作制御プログラムによって、モーター6A等の回転を停止する。能動移動が生じていないことは、無人機1Aが紐状部材206に鉛直に吊り下げられた状態に至ったことを意味するから、上述の制御によって、無人機1Aは鉛直状態を回復することができる。
【0063】
<第五の実施形態>
第五の実施形態について、第四の実施形態と異なる点を中心に説明する。第五の実施形態の無人機1Aは、回復動作制御プログラムによって、測定装置12による測定中は、常に、すべてのモーター6A等を同一回転速度で回転させている。これにより、無人機1Aは、紐状部材206に下方に向かう力を加え続けるから、紐状部材206が揺れにくい。
【0064】
無人機1Aは、受動移動検知プログラムによって、矢印M1に示す受動移動を検知すると、回復動作制御プログラムによって、すべてのモーター6A等の回転速度を上げ、下方(矢印Z2方向)の推力を増加させる。そうすると、無人機1Aは、迅速に矢印M2に示す方向に能動移動し、紐状部材206に吊り下げられた状態における最下点に至り、鉛直状態を回復する。
【0065】
なお、本発明は上述の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0066】
1,1A 無人測定装置
2 筐体
6A,6B,6C,6D モーター
8 プロペラ
12 測定装置
図1
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図3
図4
図5
図6
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