【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る固体材料容器用のキャビネットは、
天壁、側壁、底壁を有する本体と、
前記本体の一部に取り付けられる、固体材料容器を出し入れするための出入口部(扉)と、
前記本体の一部(例えば、天壁、出入口部から離れた側壁など)に取り付けられる、排気ダクトと、
前記固体材料容器を加熱する加熱部(例えば、着脱式電気ヒータジャケット)と、
前記固体材料容器(例えば、外壁面、内部空間)または加熱部(例えば、熱源、固体材料容器との接触部)の温度を測定する温度測定部と、
前記固体材料容器に向かって冷却風を吹き付ける冷却用送風機と、を備える。
【0011】
前記冷却用送風機の単位時間当たりの風量が、前記排気ダクトの送風手段のそれと同程度でもよく、冷却用送風機のそれが前記排気ダクトの送風手段のそれよりも高くてもよい(例えば、1.5倍以上、2倍以上、3倍以上高くてもよい)。
前記冷却用送風機は、前記出入口部(扉)に設けられていてもよく、前側壁あるいは前記底壁に設けられていてもよい。扉は、例えば、観音開き扉、片開き扉、スライド式扉であってもよい。
前記冷却用送風機は、吹付部(固体材料容器に対向する側)に風向きを調整するフードを備えていてもよい。
前記冷却用送風機は、吸気部の開口面積と吹付部の開口面積が同じまたは略同じでもよい。「略」は、例えば、±[1〜10]%程度の違いであってもよい。
前記冷却用送風機は、吸気部の開口面積より吹付部の開口面積が小さくてもよい。
前記吸気部の開口部の形状が円状、楕円状または矩形状であってもよい。
前記吹付部の開口部の形状が円状、楕円状または矩形状であってもよい。
前記吹付部のフード先端と、前記固体材料容器または前記固体材料容器を覆っている加熱部との最短距離が10cm以下であることが好ましい。吹付部のフード先端と固体材料容器または固体材料容器を覆っている加熱部とが、接触しない程度に、固体材料容器がキャビネット内に配置される。
【0012】
前記固体材料容器用のキャビネットは、
所定の操作値を入力するための操作入力部(例えば、タッチパネル)と、
温度測定部で測定された測定温度および/または加熱部に設定された設定温度を表示する表示部(例えば、タッチパネル)と、を備えていてもよい。
前記固体材料容器用のキャビネットは、
前記固体材料容器の重量を測定する重量測定部(例えば、ロードセル)を備えていてもよい。
【0013】
前記固体材料容器用のキャビネットは、各種制御を行うキャビネット制御部を備える。
前記キャビネット制御部は、(例えば、各半導体製造装置を制御するプロセス制御装置からの指示に応じて、あるいは昇華ガス供給開始入力指示に応じて、)固体材料容器の内部が所定温度(例えば、固体材料が蒸発する温度範囲)となるように加熱部を制御してもよい。
前記キャビネット制御部またはプロセス制御装置は、温度測定部で測定された測定温度を監視し(例えば、温度測定部から測定温度をリアルタイムあるいは所定タイミングで受信し)、所定の温度範囲になったら(または閾値を超えたら)、固体材料容器内へキャリアガスを導入するように、キャリアガス源(例えばキャリアガス容器)から固体材料容器内へキャリアガスを導入するキャリアガス導入配管に配置される制御弁および/または固体材料容器の入口弁に指令し、弁の開閉制御をしてもよい。
前記キャビネット制御部またはプロセス制御装置は、温度測定部で測定された温度を監視し(例えば、温度測定部から測定温度をリアルタイムあるいは所定タイミングで受信し)、所定の温度範囲になったら(または閾値を超えたら)、固体材料が蒸発した昇華ガスとキャリアガスとを同伴させて、半導体製造装置へ供給するように、固体材料容器から半導体製造装置側へ昇華ガスとキャリアガスとの同伴ガスを送る昇華ガス送出配管に配置される制御弁および/または固体材料容器の出口弁に指令し、弁の開閉制御をしてもよい。
【0014】
固体材料容器は、その内部圧(あるいは同伴ガス圧)を測定する圧力計を設けていてもよい。
昇華ガス送出配管は、その内部圧(あるいは同伴ガス圧)を測定する圧力計を設けていてもよい。昇華ガス送出配管は、同伴ガスの流量調整および/または圧力調整のための流量調整部および/または圧力調整部を設けていてもよい。
前記キャビネット制御部またはプロセス制御装置は、同伴ガスの流量調整部および/または圧力調整部を制御してもよい。
キャリアガス導入配管は、キャリアガスの流量測定および/または圧力調整のためのキャリアガス流量調整部および/または圧力調整部を設けていてもよい。また、キャリアガス導入配管は、キャリアガスの流量を測定する流量計および/または圧力を測定する圧力計を設けていてもよい。
前記キャビネット制御部またはプロセス制御装置は、キャリアガス流量調整部および/または圧力調整部を制御してもよい。
【0015】
前記キャビネット制御部は、前記重量測定部で測定された重量が閾値以下になったら、プロセス制御装置へその情報(例えば、重量)あるいは交換タイミングであることを示す情報を送ってもよい。または、前記重量測定部が、測定された重量をプロセス制御装置へ直接またはデータ転送装置(例えば、メモリと通信部を備える)を介して送ってもよい。
「閾値」は、例えば、固体材料容器および付属物の重量から充填されている固体材料の重量の80%〜95%を引いた値であってもよい。
【0016】
前記キャビネット制御部は、前記重量測定部で測定された重量が閾値以下になったら、同伴ガスを半導体製造装置へ送ることを停止するように、昇華ガス送出配管に配置される制御弁および/または固体材料容器の出口弁に指令し各弁を閉じてもよく、および/または、キャリアガス導入配管に配置される制御弁および/または固体材料容器の入口弁に指令し各弁を閉じてもよい。
「閾値」は、例えば、固体材料容器および付属物の重量から、固体材料容器に充填されている固体材料の重量の85%〜95%を引いた値であってもよい。
【0017】
前記キャビネット制御部は、キャリアガスの流量(流量計の測定値、流量調整部で測定された測定値)、飽和蒸気圧(固体材料によって一定値)、同伴ガスの送り込み時間(タイマー機能で時間測定)から、固体材料の残量を演算で求めてもよい。
前記キャビネット制御部は、前記残量が閾値以下になったら、プロセス制御装置へその情報あるいは交換タイミングであることを示す情報を送ってもよい。
前記キャビネット制御部は、前記残量が閾値以下になったら、同伴ガスを半導体製造装置へ送ることを停止するように、昇華ガス送出配管に配置される制御弁および/または固体材料容器の出口弁に指令し各弁を閉じてもよく、および/または、キャリアガス導入配管に配置される制御弁および/または固体材料容器の入口弁に指令し各弁を閉じてもよい。
「閾値」は、例えば、固体材料容器に充填されている固体材料の重量の1%〜10%であってもよい。
【0018】
前記キャビネット制御部は、同伴ガスを半導体製造装置へ送ることを停止した後(閉弁した後)で、前記冷却用送風機を駆動させ、固体材料容器の温度が閾値以下になるまで、固体材料容器を冷却してもよい。
前記キャビネット制御部は、固体材料容器の温度が閾値以下になったら、前記冷却用送風機を停止してもよい。
固体材料容器の温度は、前記温度測定部が固体材料容器に接している場合にはこれで測定された温度でもよく、固体材料容器に設置された温度計あるいはキャビネット内に設置されて固体材料容器の外表面温度を測定するように設定された非接触式温度計で測定された温度でもよい。
「閾値」は、例えば、50℃以下、40℃以下、大気温度以下である。
【0019】
前記冷却用送風機は、自動駆動または停止に限らず、操作入力部からのオペレータの手動入力により駆動または停止を行なってもよい。また、操作入力部とは別の緊急停止スイッチ(ボタン)を押すことで冷却用送風機を停止してもよい。
前記キャビネット制御部は、前記冷却用送風機の駆動前、同時あるいは駆動直後に、排気ダクトのダクト用換気送風機を駆動させ、排気を開始させてもよい。
【0020】
固体材料容器は、少なくともその側面を加熱部で覆われていてもよい。冷却前に、加熱部(例えば、着脱式電気ヒータジャケット)を外してから、冷却を開始してもよい。
【0021】
前記キャビネット制御部は、操作入力部、各種計器(流量計、圧力計、流量調整部、圧力調整部、温度測定部など)およびプロセス制御装置と、データおよび制御指令の送受信(無線、有線を問わず)が可能に構成されている。
【0022】
本発明によれば、キャビネット内の固体材料容器を素早く冷却し、キャビネット内の固体材料容器の交換作業時間を短縮できる。