特許第6961168号(P6961168)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6961168照明制御装置、照明システム、照明装置の制御方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6961168
(24)【登録日】2021年10月15日
(45)【発行日】2021年11月5日
(54)【発明の名称】照明制御装置、照明システム、照明装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   H05B 47/105 20200101AFI20211025BHJP
【FI】
   H05B47/105
【請求項の数】55
【外国語出願】
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2017-78504(P2017-78504)
(22)【出願日】2017年4月11日
(65)【公開番号】特開2017-201619(P2017-201619A)
(43)【公開日】2017年11月9日
【審査請求日】2020年4月10日
(31)【優先権主張番号】1606658.1
(32)【優先日】2016年4月15日
(33)【優先権主張国】GB
(31)【優先権主張番号】1705754.8
(32)【優先日】2017年4月10日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】517128363
【氏名又は名称】ロトライト リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100141173
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 啓一
(72)【発明者】
【氏名】ギャモンズ ロデリック アレン
(72)【発明者】
【氏名】フランシス アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】ギャモンズ ロデリック アーロン
【審査官】 大橋 俊之
(56)【参考文献】
【文献】 韓国登録特許第10−1517330(KR,B1)
【文献】 英国特許出願公開第02482562(GB,A)
【文献】 特開2013−088765(JP,A)
【文献】 特開2000−019615(JP,A)
【文献】 特開平06−051368(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 47/105
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続モードと、トリガー待ちモードと、閃光モードと、のいずれかに照明装置を制御するように構成される照明制御装置であって、
トリガーを受け取るトリガー受取手段と、
前記トリガーを受け取ると、少なくとも1個の発光ダイオードを備える前記照明装置を前記トリガー待ちモードから前記閃光モードに切り替える切替手段と、
前記照明装置への電流または電圧の供給を制御する電力制御手段と、
を備え、
前記電力制御手段は、
前記連続モードよりも前記電流または電圧が大きい前記トリガー待ちモードにおいて、前記発光ダイオードの輝度が薄暗くなるように前記発光ダイオードへの供給電力を調節し、
前記連続モードよりも前記電流または電圧が大きい前記閃光モードにおいて、前記発光ダイオードの輝度が前記連続モードと前記トリガー待ちモードそれぞれにおける輝度よりも高輝度となるように、前記調節を緩める、
照明制御装置。
【請求項2】
前記電力制御手段は、
前記閃光モードにおいて前記調節を解除する、
請求項1記載の照明制御装置。
【請求項3】
前記トリガー受取手段は、カメラとの接続部を備える、
請求項1または2記載の照明制御装置。
【請求項4】
前記トリガー受取手段は、無線受信機を備える、
請求項1乃至3のいずれかに記載の照明制御装置。
【請求項5】
前記トリガー受取手段は、閃光を検出するように構成された光学感知器を備える
請求項1乃至4のいずれかに記載の照明制御装置。
【請求項6】
使用者による入力を受け取る使用者入力受取手段を備える、
請求項1乃至5のいずれかに記載の照明制御装置。
【請求項7】
前記使用者入力受取手段は、携帯機器からの入力を受け取るように構成された無線受信機を備える、
請求項記載の照明制御装置。
【請求項8】
前記使用者入力受取手段は、ユーザーインタフェースを備える、
請求項6または7記載の照明制御装置。
【請求項9】
前記連続モード、前記トリガー待ちモード、および/または、前記閃光モードにおける前記発光ダイオードの光の色を調整する光色調整手段を備える、
請求項1乃至8のいずれかに記載の照明制御装置。
【請求項10】
前記電力制御手段は、前記電力を変調する電力変調手段を備える、
請求項1乃至9のいずれかに記載の照明制御装置。
【請求項11】
前記電力変調手段は、パルス幅変調を行うパルス幅変調手段を備える、
請求項10記載の照明制御装置。
【請求項12】
前記電力変調手段は、電流モード変調である、
請求項10または11記載の照明制御装置。
【請求項13】
適切な閃光持続時間を決定する閃光持続時間決定手段を備える、
請求項1乃至12のいずれかに記載の照明制御装置。
【請求項14】
前記適切な閃光持続時間は、前回の前記閃光モードに係る前記トリガーを受け取った時から今回の前記閃光モードに係る前記トリガーを受け取るまでの経過時間によって決定される、
請求項13記載の照明制御装置。
【請求項15】
前記切替手段は、実質的にカメラのシャッターが開放されている間だけ前記閃光モードに切り替えるように構成されている、
請求項1乃至14のいずれかに記載の照明制御装置。
【請求項16】
少なくとも1個の発光ダイオードを備える照明装置と、
連続モードと、トリガー待ちモードと、閃光モードと、のいずれかに前記照明装置を制御するように構成される照明制御装置と、
を備え、
前記照明制御装置は、
トリガーを受け取るトリガー受取手段と、
前記トリガーを受け取ると、前記照明装置を前記トリガー待ちモードから前記閃光モードに切り替える切替手段と、
前記照明装置への電流または電圧の供給を制御する電力制御手段と、
を含み、
前記電力制御手段は、
前記連続モードよりも前記電流または電圧が大きい前記トリガー待ちモードにおいて、前記発光ダイオードの輝度が薄暗くなるように前記発光ダイオードへの供給電力を調節し、
前記連続モードよりも前記電流または電圧が大きい前記閃光モードにおいて、前記発光ダイオードの輝度が前記連続モードと前記トリガー待ちモードそれぞれにおける輝度よりも高輝度となるように、前記調節を緩める、
照明システム。
【請求項17】
前記電力制御手段は、
前記閃光モードにおいて、前記調節を解除する、
請求項16記載の照明システム。
【請求項18】
前記照明制御装置は、請求項1乃至15のいずれかに記載の照明制御装置である、
請求項16または17記載の照明システム。
【請求項19】
閃光写真撮影用である
請求項16乃至18のいずれかに記載の照明システム。
【請求項20】
使用者の入力をユーザーインタフェース経由で受け取る使用者入力受取手段を備える、
請求項16乃至19のいずれかに記載の照明システム。
【請求項21】
前記連続モード、前記トリガー待ちモード、および/または、前記閃光モードにおける前記発光ダイオードの光の色を調整する光色調整手段を備える、
請求項16乃至20のいずれかに記載の照明システム。
【請求項22】
前記閃光モードの持続時間、および/または、前記電流または電圧を調整する電力調整手段を備える、
請求項16乃至21のいずれかに記載の照明システム。
【請求項23】
前記閃光モードにおける前記電流または電圧は、前記連続モードにおける前記電流または電圧の100%−1,000%である、
請求項16乃至22のいずれかに記載の照明システム。
【請求項24】
前記閃光モードにおける前記電流または電圧は、前記連続モードにおける前記電流または電圧の200%−400%である、
請求項16乃至22のいずれかに記載の照明システム。
【請求項25】
前記閃光モードにおける前記電流または電圧は、前記連続モードにおける前記電流または電圧の300%−400%である、
請求項16乃至22のいずれかに記載の照明システム。
【請求項26】
前記連続モードと前記閃光モードとは、同一の光放射要素を使用する、
請求項16乃至25のいずれかに記載の照明システム。
【請求項27】
前記少なくとも1個の発光ダイオードは、種々の色の発光ダイオードを備える、
請求項16乃至26のいずれかに記載の照明システム。
【請求項28】
前記照明装置への電力を供給する電源を備える、
請求項16乃至27のいずれかに記載の照明システム。
【請求項29】
前記電源は、電池を備える、
請求項28記載の照明システム。
【請求項30】
適切な閃光持続時間を決定する閃光持続時間決定手段を備える、
請求項16乃至29のいずれかに記載の照明システム。
【請求項31】
前記適切な閃光持続時間は、前回の前記閃光モードに係る前記トリガーを受け取った時から今回の前記閃光モードに係る前記トリガーを受け取るまでの経過時間によって決定される、
請求項30記載の照明システム
【請求項32】
質的にカメラのシャッターが開放されている間だけ前記閃光モードに切り替えるように動作可能である、
請求項16乃至31のいずれかに記載の照明システム。
【請求項33】
少なくとも1個の発光ダイオードを備える照明装置を、連続モードと、トリガー待ちモードと、閃光モードと、のいずれかに制御する方法であって、
前記方法は、
前記連続モードよりも前記電流または電圧が大きい前記トリガー待ちモードにおいて、前記発光ダイオードの輝度が薄暗くなるように前記発光ダイオードへの供給電力を調節する工程と、
トリガーを受け取る工程と、
前記トリガーを受け取ると閃光を放射するように、前記連続モードよりも前記電流または電圧が大きい前記閃光モードにおいて前記照明装置に電力を供給する工程と、
を含み、
前記閃光モードにおける前記電力を供給する工程は、
前記発光ダイオードの輝度が前記連続モードと前記トリガー待ちモードそれぞれにおける輝度よりも高輝度となるように、前記調節を緩める、
照明装置の制御方法。
【請求項34】
前記閃光モードにおける前記電力を供給する工程は、
前記閃光モードにおいて、前記調節を解除する、
請求項33記載の照明装置の制御方法。
【請求項35】
前記閃光モードにおける前記電力を供給する工程は、
前記照明装置への電流または電圧を変調する工程を含む、
請求項33または34記載の照明装置の制御方法
【請求項36】
前記変調する工程は、パルス幅変調を含む、
請求項35記載の照明装置の制御方法。
【請求項37】
前記変調する工程は、電流モード変調である、
請求項35または36記載の照明装置の制御方法。
【請求項38】
前記変調する工程は、閃光を放射するように前記調節を抑制する工程を含む、
請求項35乃至37のいずれかに記載の照明装置の制御方法。
【請求項39】
前記閃光モードにおける前記電流または電圧は、前記連続モードにおける前記電流または電圧の100%−400%である、
請求項33乃至38のいずれかに記載の照明装置の制御方法。
【請求項40】
前記閃光モードにおける前記電流または電圧は、前記連続モードにおける前記電流または電圧の200%−400%である、
請求項33乃至38のいずれかに記載の照明装置の制御方法。
【請求項41】
前記閃光モードにおける前記電流または電圧は、前記連続モードにおける前記電流または電圧の300%−400%である、
請求項33乃至38のいずれかに記載の照明装置の制御方法。
【請求項42】
前記トリガーを受け取る工程は、カメラからトリガーを受け取る工程を含む、
請求項33乃至41のいずれかに記載の照明装置の制御方法。
【請求項43】
前記トリガーを受け取る工程は、無線でトリガーを受け取る工程を含む、
請求項33乃至42のいずれかに記載の照明装置の制御方法。
【請求項44】
前記トリガーを受け取る工程は、閃光を検出する工程を含む、
請求項33乃至43のいずれかに記載の照明装置の制御方法。
【請求項45】
前記閃光は、1ミリ秒と100ミリ秒との間の持続時間を有する、
請求項33乃至44のいずれかに記載の照明装置の制御方法。
【請求項46】
前記閃光は、1ミリ秒と50ミリ秒との間の持続時間を有する、
請求項33乃至4のいずれかに記載の照明装置の制御方法。
【請求項47】
前記閃光モードにおける前記電力を供給する工程は、
前記トリガーの受け取り後の前記閃光の前記放射を遅延させる工程を含む、
請求項33乃至44のいずれかに記載の照明装置の制御方法。
【請求項48】
前記遅延させる工程は、1ミリ秒と999ミリ秒との間である、
請求項47記載の照明装置の制御方法。
【請求項49】
前記閃光モードにおける前記電力を供給する工程は、
記閃光の後に前記トリガー待ちモードに戻る工程を含む、
請求項33乃至48のいずれかに記載の照明装置の制御方法。
【請求項50】
前記閃光モードにおける前記電力を供給する工程は、
適切な閃光持続時間を決定する工程を含む、
請求項33乃至49のいずれかに記載の照明装置の制御方法。
【請求項51】
前記適切な閃光持続時間は、前回の前記閃光モードに係る前記トリガーを受け取った時から今回の前記閃光モードに係る前記トリガーを受け取るまでの経過時間によって決定される、
請求項50記載の照明装置の制御方法。
【請求項52】
前記閃光モードにおける前記電力を供給する工程は、
実質的にカメラのシャッターが開放されている間に発生する、
請求項33乃至51のいずれかに記載の照明装置の制御方法。
【請求項53】
請求項33乃至52のいずれかに記載の照明装置の制御方法を実行するように構成された、
請求項乃至15のいずれかに記載の照明制御装置
【請求項54】
請求項33乃至52のいずれかに記載の照明装置の制御方法を実行するように構成された、
請求項16乃至32のいずれかに記載の照明システム。
【請求項55】
請求項33乃至52のいずれかに記載の照明装置の制御方法を実行するように構成されたソフトウェアコードを備えるコンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置およびその制御に関し、具体的には閃光を発生させるように動作可能な照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
写真産業では、光が不十分な条件でもカメラで良い写真画像が得られるようにカメラ用の点滅型閃光器を用いて撮影場面を1秒の何分の1か照明することが行われている。これらの閃光器は、一般にカメラ自体からの電気信号によってカメラのシャッターと同時に起動される。撮影所の照明は、これらの閃光器の光と異なり、一定の照度で連続的に照らすため、閃光に伴う使用者の勘に頼る作業や「試行錯誤的」行為を除外して、「使用者の見えている物を撮る」ことができる。また、これは、連続光が写真および動画の両方に使用できることも意味する。しかし、一般に連続光は専用の閃光器の瞬間的な光量にはかなわない。その実現には過大な費用と電力が必要となるからである。
【0003】
現代の閃光/ストロボ装置は、閃光用光源に加えて増設された光源で構成された「モデリング照明器」を備え得る。このように照明器を増設する目的は、閃光の前に撮影者がどの場所に影や明るい部分ができるか判断できるように、画像を構成し「モデル」の姿勢を決めることである。人間心理学の観点からすると、高出力の光を連続して浴びることは被写体に不快感を与え、時に被写体に健康被害を及ぼす危険があるが、このように構成することで被写体はこの不快感に耐え易くなる。また、このような構成は、カメラの自動焦点を可能にし、モデルが姿勢をとり閃光に備えて瞳孔拡張を調節することを可能にし、閃光の輝度に過度に反応することがない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、主たるストロボあるいは閃光とは別に第2光源を使用すると、得られる写真に影響を及ぼす場合がある。というのは、第2光源は必然的に主閃光器と異なる電球を使用し、その輝度は低く相関色温度(CCT)は不安定で、多くの場合に演色評価数(CRI)精度が劣り、これが肌の色合いを悪くし、閃光が焚かれる前の光の測定が不正確になる。また、モデリング照明器の配置と光特性の違いのせいで、モデリング照明器を使用して見積もった影および明るい部分は、主ストロボ/閃光装置を使用して見積もったものとは明らかに異なり、あまり役に立たない。
【0005】
解決策の改善が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
大まかには、本発明の一側面によると、使用者が制御可能な組込型閃光機能により連続的な照明を行うように構成された照明装置または照明システムが提供される。好ましくは、本照明装置は、色温度を変えることができるように構成された発光ダイオードを備える。より好ましくは、照明装置はそれ自体に組み込まれた(電池)電源から電力の供給を受ける。
【0007】
大まかには、色温度を変更可能な閃光を有する照明が提供される。
【0008】
本発明の別の側面によると、照明制御装置が提供され、本照明制御装置は、トリガーを受け取る(例えば、演算装置および関連する記憶装置の形態の)トリガー受取手段と、トリガーを受け取ると照明装置の動作を連続モードから閃光モードに切り替える(例えば、切替回路の形態の)切替手段と、を備え、照明装置は、少なくとも1個の発光ダイオードを備え、閃光モードは、連続モードよりも高輝度である。
【0009】
本発明の別の側面によると、照明装置と、照明制御装置と、を備える照明システムが提供され、照明制御装置は、照明装置の動作を連続モードと閃光モードとの間で切り替えるように動作可能であり、照明装置は、少なくとも1個の発光ダイオードを備え、閃光モードは、連続モードよりも高輝度である。
【0010】
好ましくは、照明システムの照明制御装置は、本明細書に記載の照明制御装置である。
【0011】
本発明の別の側面によると、少なくとも1個の発光ダイオードを備える照明装置を制御する方法が提供され、本方法は、連続モードの照明装置に電力を供給することと、トリガーを受け取ることと、トリガーを受け取ると閃光を放射するように照明装置に電力を供給することと、を含み、閃光は連続モードよりも高輝度である。
【0012】
好ましくは、組込型閃光機能を備える照明装置または照明システムは、LED発光器である。そのような照明装置または照明システムは、白熱灯照明装置、ハロゲン灯照明装置、または蛍光照明装置と比べて節電効率がよい。
【0013】
好ましくは、組込型閃光機能を備える照明装置または照明システムは、内部電源、例えば、V Lock Broadcast社製の電池で動作可能である。そのような方法では、照明装置または照明システムは、携帯性に優れ、野外撮影の実用性が高い。
【0014】
好ましくは、照明装置または照明システムは、標準PCまたは「ホットシュー(hotshoe)」閃光同期コネクタを介してLED照明器を「ストロボ/閃光照明」として用いるための閃光同期3.5mmジャック入力を備える。
【0015】
好ましくは、閃光の起動/停止「トリガー起動」は、局所的には照明装置または照明システム自体のユーザーインタフェースを介して制御することができ、遠隔的にはWi−Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、Zigbee(登録商標)、またはスマートフォンまたはタブレットからの無線DMX、または有線3.5mmミニジャック遠隔トリガー、または有線DMXトリガーを介して制御することができる。
【0016】
好ましくは、同期の接続は、閃光の同期化が可能な汎用の接続であり、そのような接続には光学スレーブ接続器などのキヤノン(登録商標)/ニコン(登録商標)/サードパーティーの任意の標準機器などがあり、任意の標準無線スレーブ遠隔トリガーシステム(例えば、Pocket Wizard(登録商標)、Photix(登録商標)など)により無線スレーブ閃光装置として動作することもできる。
【0017】
好ましくは、閃光同期ポートは、有線押ボタントリガーまたは遠隔無線トリガーによる特定の照明効果シミュレーションの起動ができてもよい。このようにすることによって、照明装置または照明システムが天井のトラスに固定されているなど手が届かない位置にあるとき、照明効果を遠隔制御することができる。
【0018】
好ましくは、閃光器は、ボタンと、回転つまみと、効果パラメータの表示器と、を備える照明装置または照明システム自体の背部の制御盤で制御、あるいは特製照明制御ソフトウェアを作動させているコンピュータからシリアル通信インタフェース(例えば、RS232、USB、またはDMX)経由で制御される。
【0019】
好ましくは、閃光器は、適切な専用照明制御アプリケーションを作動させているスマートフォンまたはタブレットからWi−Fi経由で遠隔制御することができる。
【0020】
好ましくは、閃光トリガーは、標準3.5mmモノラルミニジャックを介して接続された検出電気信号によって提供されてもよく、そのような電気信号には、有線遠隔トリガースイッチ、カメラシャッター開放、あるいは「PC」コネクタ、あるいはカメラISO518ホットシューから送られたカメラシャッター開放トリガー信号、あるいはPocketWizard(登録商標)のPlusXなどの市販の無線送信機/受信機トリガーキットで中継されたカメラからの無線信号、あるいは光学スレーブトリガーなどがあり、別の閃光器の光を検知して閃光を遠隔起動することができるようになっている。
【0021】
好ましくは、閃光器のパラメータ(例えば、閃光持続時間と、遅延と、色と、輝度と、があるが、これらに限定されない)は、光自体を局所的に変更、あるいはWi−fiまたはBluetoothを介して遠隔的に変更することができる。
【0022】
好ましくは、組込型閃光器を備える照明装置は、「モデリング」用の連続照明と、閃光写真撮影に適した短いパルス状の高輝度光の両方を発生するように動作することができる。
【0023】
好ましくは、組込型閃光機能を備える照明装置は、その主光源を閃光およびモデリング用の光源として使用することで、写真撮影の前に光源の影と明るい部分との特性を予め正確に調べることができる。
【0024】
好ましくは、組込型閃光機能を備える照明装置は、照明装置のLEDに損傷を与ることなく照明装置の最大連続出力値よりも最大4倍明るい短い閃光を発生するように構成される。
【0025】
好ましくは、組込型閃光機能を備える照明装置は、画面書き換え速度が速い写真撮影を可能にするための最小限乃至ゼロの再利用時間すなわち充電時間を有する。一実施例によれば、これはLEDを備える照明装置によって提供される。
【0026】
好ましくは、照明装置は、一般的な閃光電球よりもかなり広い面積全体に配置された複数のLEDを備え、見た目が自然光(すなわち、より大きな照明光源)に非常に似た、より広範囲かつ拡散した「柔らかい光」の光源を提供する。
【0027】
必要であれば、トリガー受取手段は、カメラとの接続部を備える。必要であれば、トリガー受取手段は、無線受信機を備える。必要であれば、トリガー受取手段は、閃光を検出するように構成された光学感知器を備える。
【0028】
好ましくは、照明装置は、使用者の入力を受け取る使用者入力受取手段をさらに備える。必要であれば、使用者入力受取手段は、携帯機器から入力を受け取るように構成された無線受信機を備える。必要であれば、使用者入力受取手段は、ユーザーインタフェースを備える。
【0029】
好ましくは、照明装置は、連続モードおよび/または閃光モードの光の色を調節する色調節手段をさらに備える。
【0030】
好ましくは、照明装置は、連続モードの照明装置に供給される電力を調整する電力調整手段をさらに備える。好ましくは、電力調整手段は、電力を変調する電力変調手段を備える。好ましくは、電力変調手段は、パルス幅変調手段を備える。好ましくは、変調は、電流モード変調である。
【0031】
好ましくは、(例えば、切替回路の形態の)切替手段は、実質的にカメラのシャッターが開いている間だけ閃光モードに切り替えるように構成されている。
【0032】
好ましくは、適切な閃光持続時間は、前回の閃光トリガーを受け取った以降の経過時間によって決まる。このようにして、照明要素は、複数回の閃光が立て続けに重なることによる損傷から保護され得る。
【0033】
好ましくは、(例えば、切替回路の形態の)切替手段は、実質的にカメラのシャッターが開いている間だけ閃光モードに切り替えるように構成されている。この構成は、このようにしなければ画面の複数部分が適切に露光されない場合があるシャッター速度が高速の場合に特に都合がよい。
【0034】
好ましくは、照明システムは、閃光写真撮影用である。
【0035】
好ましくは、照明システムは、使用者の入力を、好ましくはユーザーインタフェース経由で受け取る使用者入力受取手段をさらに備える。
【0036】
好ましくは、照明システムは、連続モードおよび/または閃光モードの光の色を調整する色調整手段をさらに備える。
【0037】
好ましくは、照明システムは、閃光モードの持続時間および/または電力を調整する電力調整手段をさらに備える。
【0038】
好ましくは、閃光モードは、連続モードよりも電力が大きいモードである。必要であれば、閃光モードは、連続モードの電力の100%−1,000%、200%−400%、または300%−400%である。
【0039】
好ましくは、連続電力モードと、閃光モードと、は同じ光放射要素を使用している。
【0040】
好ましくは、少なくとも1個の発光ダイオードは、種々の色の発光ダイオードを含む。
【0041】
好ましくは、照明システムは、電源をさらに備える。好ましくは、電源は、電池を備える。
【0042】
好ましくは、連続モードの照明装置に電力を供給する工程は、照明装置を暗くするように電力を調整する工程を含む。好ましくは、調整する工程は、照明装置への電力を変調する工程を含む。好ましくは、変調する工程は、パルス幅変調を含む。好ましくは、変調は、電流モード変調である。
【0043】
好ましくは、閃光を放射するように照明装置に電力を供給する工程は、調整を抑制する工程を含む。
【0044】
好ましくは、トリガーを受け取る工程は、トリガーをカメラから受け取る工程を含む。必要であれば、トリガーを受け取る工程は、トリガーを無線で受け取る工程を含む。必要であれば、トリガーを受け取る工程は、閃光を検出する工程を含む。
【0045】
好ましくは、閃光は、1ミリ秒と100ミリ秒との間、必要であれば、1ミリ秒と50ミリ秒との間の持続時間を有する。
【0046】
本方法は、トリガーの受け取りの後の閃光の放射を遅延させる工程をさらに含んでもよい。必要であれば、遅延は、1ミリ秒と999ミリ秒との間である。
【0047】
本方法は、閃光の後に連続モードに戻る工程をさらに含んでもよい。
【0048】
本発明は、本明細書に記載および/または説明された任意の新しい態様あるいは特徴にまで及ぶ。本発明の更なる特徴は、他の独立請求項と従属請求項とによって特徴付けられる。
【0049】
本発明の一態様のどの特徴も、任意に適切に組合せて本発明の他の態様に適用されてもよい。具体的には、方法の態様は、装置の態様に適用されてもよく、その逆に適用されてもよい。
【0050】
さらに、ハードウェアで実践された特徴は、ソフトウェアで実践されてもよく、その逆に実践されてもよい。本明細書のソフトウェア的特徴とハードウェア的特徴に対するどの言及も、適切に理解されるべきである。
【0051】
本明細書に記載のどの装置的特徴も、方法的特徴として提供されてもよく、その逆に提供されてもよい。本明細書に使用されているように、ミーンズプラスファンクション表現の特徴は、代わりにそれらの対応する構造との観点で、例えば、適切にプログラムされた演算装置および関連した記憶装置で表現されてもよい。
【0052】
また当然だが、本発明の任意の態様で説明および規定された種々の特徴の具体的な組み合わせは、単独で実践および/または供給および/または使用されることができる。
【0053】
また本発明は、データ処理装置で実行されるとき、本明細書に記載の任意の方法がそのいずれかの工程または全ての工程を含め実行するように構成されたコンピュータプログラムと、ソフトウェアコードを備えるコンピュータプログラム製品と、を提供する。
【0054】
また本発明は、データ処理装置で実行されるとき、本明細書に記載の装置的特徴のいずれかを備えるコンピュータプログラムと、ソフトウェアコードを備えるコンピュータプログラム製品と、を提供する。
【0055】
また本発明は、本明細書に記載の方法のいずれかを実行および/または本明細書に記載の装置的特徴のいずれかを具体化するようコンピュータプログラムを補助するオペレーティングシステムを有するコンピュータプログラムと、コンピュータプログラム製品と、を提供する。
【0056】
また本発明は、上述のコンピュータプログラムを保存しコンピュータで読み取り可能な媒体を提供する。
【0057】
また本発明は、上述のコンピュータプログラムを担持する信号と、そのような信号を伝達する方法と、を提供する。
【0058】
本発明は、実質的に添付図面を参照して本明細書に記載の方法および/または装置にまで及ぶ。
【図面の簡単な説明】
【0059】
ここで以下の添付図面を参照して本発明を例示的に説明する。
図1】照明システムの概略図である。
図2】照明システムを制御するフローチャートである。
図3(a)】シャッター速度が速い場合の閃光過程の図である。
図3(b)】図3(a)に示した過程に代わる「高速連続同期」過程の図である。
【発明を実施するための形態】
【0060】
以下の説明では、「閃光」と「ストロボ」とは写真撮影の被写体を照明することを目的とする突発的な光を意味する用語と理解してよい。そのような「閃光」は、一般に1ミリ秒から100ミリ秒の間発せられるが、具体的な状況によっては、もっと短くてもあるいはもっと長くてもよい。
【0061】
概説すれば、本発明は、組込型閃光機能を有する連続照明器、すなわち「モデリング」用の連続照明と、閃光写真撮影に適した短いパルス状の高輝度光とを両方発生させることができる組込型閃光機能を提供する。連続「モデリング」光と「閃光」とは、同じ光放射要素によって作られる。光放射要素が同じであることにより、連続光と閃光とが確実に均一な色特性と影特性とを有する。
【0062】
連続光と閃光の輝度(照度)と色温度(ケルビン)とは、制御可能である。これらを制御することで、照明装置は、連続照明器として、また(より大きな電力出力を要する)閃光器としても動作することができ、この両モードは使用者が全て好みに合わせて変更可能な色温度範囲(ケルビン)を有しているため、周囲の照明条件に正確に合わせて写真撮影ができ、またホワイトバランスを正確に決定することができる。
【0063】
このことは、LED照明器を用いて実現され、このLED照明器は、より大きな光出力すなわち「閃光」を発するために、短時間の間、LEDへの供給電流を通常の動作電流より増やし、LEDの通常の動作電流を越えることにより生じるであろうLEDの損傷を防止することができる。
【0064】
そのような装置は、従来の閃光/ストロボ装置と連続光装置との間の橋渡しのような役目をし、両技術の利点を提供しながら、個別の装置を使用するときの典型的な欠点を低減あるいは解消している。これは、写真および/または動画の撮影を行う撮影所または製作会社が、それぞれ固有の欠点がある2つの個別の装置を購入し設置する必要がなくなることを意味する。本発明は、どちらの種類の装置に関係した問題も軽減し、作業の流れを速める。よって、本システムは、動画・映画、および写真アプリケーションの両方の設定と姿勢決めと画像構成とに合わせて制御可能な連続「モデリング」光と、撮影場面の細部を際立たせるのに必要な非常に高い光量の照明を提供する発射可能な高輝度閃光と、を提供する。
【0065】
本発明は、主閃光器とモデリング照明器の両方に対して(2つの独立した照明器に対して)単一の光源(例えば、LEDマトリクス)を用いることで、「主」閃光器と同じ特性を有する高品質のモデリング照明器が提供される。具体的には、閃光器により提供される色温度と陰影特性とは、カメラが設定された際の一定光の色温度と陰影特性と基本的に同じである。これにより、「試行錯誤」に頼らずに正確かつ予測可能な結果を得ることができる。これにより、動画と写真撮影とに使用する照明器は、連続光源として使用できるだけではなく、照明面積が大きな専用ストロボ閃光源としての役目を果たすこともでき、従来の閃光器よりも柔らかく強過ぎない陰影が得られる。
【0066】
図1には照明システム10の概略図が示されている。本システムは、照明制御ユニット50と、照明装置12と、電源14と、を備える。一実施例によれば、照明制御ユニット50は、照明装置12の一部であり、例えば、照明装置12の裏側に配置されている。電源14は、電池パックの形態で照明システム50内にあっても、照明装置12内にあってもよい。あるいは、電源14は、例えば商用電源または発電機などの外部電源でもよい。
【0067】
使用時、照明制御ユニット50は、連続照明を行うよう、あるいは閃光を発するように照明装置12への電力供給を制御する。使用者が「トリガーモード待ち」を有効にすると、照明制御ユニット50は、トリガーの受け取り時に照明装置12が閃光を発することができるように準備する。
【0068】
一実施例における照明装置12は、LEDなどの光放射要素の配列を備え、この配列は複数の色の光放射要素で構成されている場合がある。この配列は、板状でも、投光器でも、一群または任意の他の構成のLEDでもよい。これらの構成により、照明器は、それぞれのLEDの相対輝度を変化させることによって所望の輝度および色の光を発生させる能力を得ることができる。あるいは照明装置12はフィラメント(白熱灯)、ハロゲン、または他の種類の照明器でもよい。
【0069】
LEDは、再利用時間/充電時間がないという他の形態の光源を凌ぐの特別な利点を有する。再利用時間が短く効率がよいので、撮影者は1秒当たりの閃光/画面数に対する制限なしに、作業をいかなる画面書換速度でも行うことができる。LEDは、比較的低い電力を供給する電源(例えば、電池パックなど)から電力の供給を受けることができ、外部電源などを必要としない。LEDは、一般に閃光器に使用される電球より信頼性が高く、光放射要素へのストレスも小さいため、白熱電球または蛍光(例えば、キセノン)電球の100倍を越える寿命(すなわち、100,000−500,000回を越える閃光回数)を実現することができる。
【0070】
閃光は一般に50ミリ秒未満の間持続するから、照明装置12は、閃光の持続時間だけ大電流、大電力の「閃光」モード(最大100%の連続光出力、すなわち100%の最大輝度の0.4倍−5倍の範囲の連続光出力を複数回発するモード)に切り替わり、その後通常の電流値と電力値に戻ることができる。この方法によれば、光要素を破損せず、より強力な電源14も必要とせずに、連続電力および電流の通常の限度を超えることができる。連続モードと閃光モードとの間を切り替える手段は、例えば、半導体スイッチまたはリレーを備える切替回路を備えてもよい。
【0071】
照明制御ユニット50は、ユーザーインタフェース20と、トリガーユニットと、出力ユニット58と、演算装置54と、関連する記憶装置56とを備える。ユーザーインタフェース20により、使用者は設定値を調整し、閃光および/または連続光を有効にしたり無効にしたりすることができる。
【0072】
使用者が調整可能なパラメータには以下が含まれるが、これらに限定されない。
【0073】
・閃光輝度:閃光の極大照度、例えば、通常の連続照度出力の40%−1,000%、または100%−500%、200%−400%、または300%−400%。一実施例において、閃光は、連続「モデリング光」の設定より明るいことが求められる。
【0074】
・モデリング光:閃光が起動されていないときに発せられる連続ランプ照度(通常のランプ輝度の0%−100%)。
【0075】
・閃光色:閃光の色温度を設定する。可調範囲は一般に2800K−6500K。閃光の色温度はランプを形成している個々の要素(例えば、LED)間の釣合を調整することによって正確に制御および較正することができる。一実施例において、モデリング光の色を調節すると閃光の色が調整され、その逆も同様である。キセノン閃光装置の色は調節することはできない。
【0076】
・閃光持続時間:一般に1ミリ秒−100ミリ秒、または1ミリ秒−50ミリ秒、または0.1ミリ秒−50ミリ秒(高速で動く被写体の写真撮影にはさらに短い閃光が必要な場合がある)。LEDは非常に速い点灯・消灯時間を有することから、照明の長さを正確に制御することができる。このことは、動いている被写体の撮影に役立つ。持続時間(および実際には閃光の時間依存特性)は、正確に制御可能である。閃光持続時間は、使用中のカメラのシャッター速度に応じて設定してもよく、したがって使用者がシャッター速度を入力し、制御ユニット50が閃光持続時間を適切に調節(すなわち、シャッターの開放時間中ずっと照明されるように)してもよい。
【0077】
・閃光遅延:一般に0ミリ秒−999ミリ秒。これは、閃光トリガー信号から閃光パルス出力の開始までの遅延を設定する。これにより、カメラのシャッターを開けた後に閃光を起動させる(後幕)「閃光幕」モードで閃光を使用することができ、創造的な写真効果を得るよう使用することができる。閃光遅延と、閃光持続時間と、トリガーから撮影までの遅延と、カメラのシャッター速度とを調節して、例えば、閃光が停止した後もシャッターを開放したままにするなどの他の写真効果を得ることができる。この他にも、赤目軽減などの閃光効果を得ることもできる。
【0078】
ユーザーインタフェース20を、照明装置12自体にある画面とボタンおよび/またはつまみの形態にして、使用者が上述の設定を調整できるようにしてもよい。代わりに、あるいはそれに加えて、使用者が設定を別の装置で(例えば、適切なアプリケーションと連動したスマートフォンまたはタブレットで、あるいは適切な照明制御ソフトウェアで動作しているコンピュータでシリアル通信インタフェース(例えば、RS232、USB、またはDMX)経由で)調整し、設定が照明制御ユニット50に送られてもよい。このような機能は、照明器が手の届かない所にある場合、例えば、照明対象である被写体の上方につり下げられている場合、特に役立つ。すなわち、閃光のパラメータは、離れた場所からWifi(登録商標)またはDMX経由でスマートフォン、タブレット、コンピュータ、または照明制御装置で制御することができる。
【0079】
閃光制御論理で生成された輝度と、持続時間と、明度とは、次に出力ユニット58に渡され、照明装置12駆動回路への入力に適切な様式に変換される。これは、各LED色用の電流制御出力を規定する演算装置送信データを含んでもよい。
【0080】
トリガーユニット52は、トリガーを受け取るように構成されており、このトリガーは外部トリガー装置40から受け取ってもよい。トリガーは以下のうちのいずれによって供給されてもよい。
【0081】
・標準3.5mmモノラルミニジャックで接続された検出電気信号、例えば、有線遠隔トリガースイッチ、カメラのシャッター開放、または「PC」コネクタなどの信号。
【0082】
・カメラISO518ホットシューから直接供給されるカメラシャッター開放トリガー信号。
【0083】
・無線送信機/受信機トリガーキットによってカメラから伝えられた無線信号。このようなトリガーキットには、例えば、PocketWizard(登録商標)から販売されているPlusX(登録商標)無線送信機/受信機、またはPhottix(登録商標)から販売されている無線送信機/受信機トリガーキットなどがある。
【0084】
・光学スレーブトリガー。すなわち、別の閃光装置の光を検出して、離れた場所から閃光を起動することができるようになっている。
【0085】
いずれの場合も、トリガー部52は、トリガー信号を受け取る手段を備え、この手段は、例えば、(適切にプログラムされた演算装置と関連した記憶装置を有する)無線受信機または光感知器の形態である。カメラと照明システム12との間の同期は、汎用であり、光学(光結合器)スレーブ結合器を含むキヤノン(登録商標)/ニコン(登録商標)/サードパーティーの標準機器のいずれも含む閃光同期を可能にする。
【0086】
図2に、照明システム10を制御するフローチャートが示されている。第1の工程S1は、照明制御ユニット50が閃光の設定を受け取る工程である。次に、使用者は、工程S2で、システムが「トリガーモード待ち」になるよう指示する。このモードでは、照明装置12は、閃光を発するよう準備される。このモードでは、照明装置12への電流(または電圧)は、閃光を発するために必要な値まで増大されると同時に、連続光出力は、照明装置12を薄暗くするためにある一定値に調節されて、増大されたピーク電流(または電圧)について補償する。
【0087】
次に、工程S3でトリガーが検出されると、照明制御ユニット50は、規定の遅延時間だけ待ち、その後工程S4で閃光を出力する。その後、このシステムは、工程S2の「トリガーモード待ち」モードに戻る。
【0088】
使用者は、照明装置のボタンを押すことによって(あるいは無線装置を介して)、準備された「トリガー待ち」モードから出ることができる。これにより、照明装置12の電流は、その通常の値に戻り、照明装置12は、通常の連続動作モードに戻る。
【0089】
一実施例によれば、「トリガー待ち」モードにある照明装置12の「準備」は、照明装置12への電力の伝送を調節して、装置へ供給する電力を増やし、光の出力が比較的弱い「連続」光にする。トリガーが検出された場合、調節は、短時間だけ緩められて、あるいは解除されて、照明装置12に大きな電力を送り、「閃光」を発生させる。照明システム10の電源14は、過負荷補正回路を備えて、(「閃光」中の)電流引き込みが短時間に上昇することで、システム10の構成要素を損傷させないようにしてもよい。
【0090】
電力の調節は、照明装置12に供給される電力を変調する形態で、出力ユニット58内の変調回路を制御している演算装置54と、関連の記憶装置56とによって制御されてもよい。一実施例において、変調は、パルス幅変調の形態である。変調は、(例えば)抵抗手段による電力の調節に比べて損失が少ない。変調時の抵抗損失は、使用されるスイッチの遷移状態中だけ発生し、金属酸化膜電界効果トランジスタ(MOSFET)または絶縁ゲートバイポーラトランジスタIGBTなどの半導体スイッチを使用している場合は無視できるからである。さらに、抵抗手段でLEDをアナログ式に暗くすると色特性が変化する場合があるが、これは閃光の色が連続「モデリング光」とわずかに異なる場合があることを意味する。
【0091】
変調は、非常に短いパルスを供給するのにとても適している。というのは、半導体スイッチによる切り替えは大電力「パルス」を正確に作り、かつその遅延時間を制御可能な一定の時間に操作することができ、その結果、例えば、使用者が閃光の遅延および/または持続時間をミリ秒の単位で調節することができるからである。
【0092】
変調により、照明装置12に供給される電流および/または電圧は、連続モードでは低下(漸減)することになる。照明装置12がLEDを備える場合、電圧が起動電圧未満に低下するとちらつきが起こることがあり、電流を制御することが好ましい場合がある。光源12に供給されている電流を制御するため、電流モード制御されたパルス幅変調回路を用いてもよい。そのような回路は、変調回路で電圧モード制御されたパルスよりも複雑な場合があるが、「ちらつき」を効果的に除去し、負荷分散しやすくする。
【0093】
あるいは、光源12に供給されている電圧を制御するのに、電圧モード制御された変調回路を用いてもよい。人間の知覚を越える周波数(例えば、200Hzを越える周波数)でちらついている場合、および/あるいは撮影中のカメラの画面書換速度/シャッター速度を越える周波数でちらついている場合、電圧モード制御された変調回路が受け入れられる。
【0094】
適切な変調回路の例には、交流用3端子(TRIAC)ダイオード(二方向性3端子サイリスタとも呼ばれる)、または降圧変換器があり、演算装置54のクロック出力で制御される。電流モード制御または電圧モード制御のどちらの場合も、AC信号をDCに整流する構成要素を必要に応じて内蔵してもよい。
【0095】
照明装置が規定の閃光持続時間内に第2トリガーを感知した場合、第2閃光を起動すると、LED要素は最適であろう高出力に維持されて破損される場合がある。そのため、2つの閃光が重なるように第2閃光トリガー(すなわち、ユニットに発光を求めるトリガー)を受け取った場合、照明装置は、使用可能な閃光を使用者に提供するために閃光持続時間を自動的に短縮すると同時に、そのようにしなければ発生することになるであろうLED発光要素の損傷を防いでいる。この機能は、「適応型入力監視」(A.I.M)と呼ばれる。
【0096】
そのため、第2閃光の適切な持続時間は、前の閃光トリガーを受け取ってからの経過時間によって決まり、発光要素を保護するために、一般に2つの閃光が近いほど、第2閃光の持続時間は短くなる。
【0097】
照明制御システムの別の機能は、カメラの固有内部同期速度よりも速いシャッター速度で発光することも可能な連続LED光を提供可能であることである。
【0098】
カメラの固有内部同期速度よりも速いシャッター速度(一般に1秒の1/250より速い速度)を用いるとき、多くのカメラは閃光と同期するに足る高速でシャッターの開閉を行うことはできない。カメラが閃光と同期することができる最大シャッター速度は、「カメラの固有同期」(tns)と呼ばれる。この固有の最大シャッター速度を打開するため、多くのカメラは、先幕が完全に開いてしまう前に後幕を閉じることによってシャッター速度を人為的に速めている。この様子が図3(a)と図3(b)との上部に示されており、先幕300が開き、その後先幕300が完全に開いてしまう前に、後幕302が閉じ始める。
【0099】
一般的な閃光器は、閃光の持続時間が非常に短いため、非常に速いシャッター速度を用いるとき、画面の一部が露光されない(すなわち、帯状の露光されない画面を有するように見える)可能性があるという問題を有する。これは、動きを効果的に撮影したい、あるいは他の美的理由(絞りを開けたいなど)のために、より速いシャッター速度を必要とする場合、特に問題である。
【0100】
この問題を軽減するため、一部のカメラ閃光器は、カメラのシャッターが開いている間に複数回発光する。この過程は、「高速同期閃光」と呼ばれ、図3(a)に示されている。しかし、この方法でもまだ画面全体を均一に露光していない場合がある。
【0101】
「高速同期閃光」の大きな欠点の1つは、高速のシャッター速度で動作するとき、閃光電力が次第に低下することである。シャッター速度が速くなるにつれて、閃光電力は、失われる。これは、閃光持続時間を変更する閃光のせいである。閃光器は、感知器領域全体にパルス状に発光して有効な閃光持続時間を延長する必要がある。通常の閃光動作では、シャッターの両幕は1ミリ秒の間完全に開き、感知器全体を同時に露出する。1/250未満の通常の同期速度では、閃光器は、感知器全体を露出するのに1回発光するだけでよい。
【0102】
それに対して、本明細書に記述した装置は、図3(b)に示されるように、カメラの固有内部同期速度より速いシャッター速度で、実質的にカメラのシャッターが開いている間、LED光を連続発光するように構成されている。このような方法によれば、カメラシャッターが開いている間、より高輝度の連続光であるシャッター同期閃光が提供され、カメラの固有内部同期速度よりも速いシャッター速度の閃光を効果的に可能にする。この方法は、一定の制御可能な光出力を生じさせることができるLED照明に特に最適で、ハロゲン灯閃光器の使用時には不可能である。
【0103】
このような方法によれば、連続閃光事象、すなわちシャッターの持続時間中ずっと続き、先頭から最後まで露光された撮影を行う閃光が作られる。先述の「高速同期」過程は、より長く強力な閃光事象で実現可能な放射よりも低電力で、短く小さい閃光事象を連続的に放射する。
【0104】
一般的な閃光/ストロボ装置は、エネルギーをコンデンサに保存し、次にエネルギーを1回の大きな閃光として放出して動作する。そのため、再度発光するために、コンデンサを充電する再利用時間が必要である。これは、重大な場面で閃光が全く発光しないことになり、結果的に露出不足の写真あるいは全く使いものにならない撮影結果が得られる。結婚式の写真撮影などの状況で、充電するために閃光を待っている間に絶好の瞬間が永遠に失われる。
【0105】
現代のカメラは、1秒間に複数の画面を撮影することができ、本システムは、これら現代のカメラの要求に応えることができる。コンデンサに依存している既存のカメラでは、撮影者が閃光を使用しながらカメラの能力を活用して1秒間に複数の画面を撮影することはできない。
【0106】
それに対し本システムは、閃光も可能な連続LED光を提供する。LEDには、エネルギーをコンデンサに保存して1回の大きな事象に放出する必要がないという利点がある。
【0107】
一般にLEDシステムは、20mAの公称電流で動作して、より大きな電流で生じることがあるLEDの損傷を避けてきた。本明細書に説明したシステムは、LEDを20mAの数倍(例えば、4または5倍)、すなわち最大100mAで動作させて光の「爆発」、すなわち閃光を作り、結果的に光出力を一般的に得られる光出力よりも顕著に大きくしながら、通常は公称動作電流(LEDに供給される連続電流と呼ぶ)を超える電流で動作させることでLEDに生じ得る損傷を防止している。

変更形態および改変形態
【0108】
種々の他の改変形態は、当業者には明らかであり、例えば、複数の照明装置12は一つに結合され、トリガーを受け取ったとき、その一部だけが閃光を発してもよい。
【0109】
連続「モデリング」光のような同じ色特性の閃光と関連した利点がありながら、モデリング照明器とは異なる色の閃光を有することによって、特別の効果を作り出してもよい。
【0110】
当然だが、ここまで本発明は、純粋に例示的に説明されてきたが、本発明の範囲内で細部を改変することもできる。
【0111】
特許請求項の中の参照番号は、単なる説明用であり、特許請求の範囲を限定する効果はない。

図1
図2
図3(a)】
図3(b)】