特許第6961182号(P6961182)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6961182
(24)【登録日】2021年10月15日
(45)【発行日】2021年11月5日
(54)【発明の名称】気体バネのオーバートラベル圧力解放
(51)【国際特許分類】
   F16F 9/36 20060101AFI20211025BHJP
   F16F 9/02 20060101ALI20211025BHJP
   F16F 9/32 20060101ALI20211025BHJP
【FI】
   F16F9/36
   F16F9/02
   F16F9/32 U
【請求項の数】18
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2019-514719(P2019-514719)
(86)(22)【出願日】2017年9月13日
(65)【公表番号】特表2019-529829(P2019-529829A)
(43)【公表日】2019年10月17日
(86)【国際出願番号】US2017051253
(87)【国際公開番号】WO2018052924
(87)【国際公開日】20180322
【審査請求日】2020年8月18日
(31)【優先権主張番号】62/395,729
(32)【優先日】2016年9月16日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】15/699,591
(32)【優先日】2017年9月8日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509277992
【氏名又は名称】ダドコ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】コッター ジョナサン ピー.
【審査官】 児玉 由紀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−181661(JP,A)
【文献】 特開2015−059663(JP,A)
【文献】 特表2001−500239(JP,A)
【文献】 特開2009−068712(JP,A)
【文献】 特開2001−234966(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0230875(US,A1)
【文献】 仏国特許出願公開第2779194(FR,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第02177783(EP,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B30B 15/00−15/28
F16F 9/00− 9/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に延びる側壁、開口端、前記開口端から軸方向に間隔を置いて配置された横方向に延びる閉鎖端壁、及び前記側壁と前記閉鎖端壁とによって部分的に画定されて加圧ガスを受ける圧力室を有するケーシングと、
ロッド内向端及び該ロッド内向端から軸方向に間隔を置いて配置されたロッド外向端を含むピストンロッドハウジング、並びに前記ピストンロッドハウジングによって担持されるピストンロッド軸受を有する、前記ケーシングの内部で担持される軸受組立体と、
前記ピストンロッド軸受内に摺動可能に収容され伸長位置と後退位置との間で往復運動するピストンロッドと、
前記軸受組立体と前記ケーシングの開口端との間に配置され、前記ピストンロッドと密封係合するピストンロッドシールと、
前記軸受組立体と前記ケーシングの開口端との間に前記ピストンロッドの周りに摺動可能に少なくとも部分的に軸方向に担持され、前記ピストンロッドハウジングを越えて軸方向に突き出るカラー外向端及び前記ピストンロッドシールと接触するカラー内向端を有するオーバートラベル圧力解放カラーと、を備える
成形装置用気体バネ。
【請求項2】
前記ピストンロッドシールが、前記ケーシングの内面と接触する半径方向外側リップと、前記ピストンロッドの外面と接触する半径方向内側リップとを有するUカップシールである、請求項1に記載の気体バネ。
【請求項3】
前記オーバートラベル圧力解放カラーの前記カラー内向端がバヨネット形状である、請求項1に記載の気体バネ。
【請求項4】
前記ピストンロッドシールと前記ケーシングの開口端との間に配置され、前記オーバートラベル圧力解放カラーを前記気体バネ内に軸方向に保持するように前記カラー内向端の外径より小さい内径を有するシール支援をさらに備えている、請求項1に記載の気体バネ。
【請求項5】
前記ケーシングの開口端に担持され前記カラー外向端を超えて軸方向に突出し前記ピストンロッドと係合されるワイパをさらに備えて、前記オーバートラベル圧力解放カラーが前記ワイパによって隠される、請求項1に記載の気体バネ。
【請求項6】
前記ピストンロッドシールが、前記ケーシングの内面と接触する外側リップと、前記ピストンロッドの外面と接触する内側リップとを含む、請求項1に記載の気体バネ。
【請求項7】
オーバートラベル状態の間、前記オーバートラベル圧力解放カラーが前記ピストンロッドシールに対して軸方向内向きに移動して、前記カラー内向端が前記ピストンロッドシールの内側リップを半径方向に変位させて過圧開放通路を開き、前記圧力室内の加圧ガスが開放通路を通って気体バネの外側の大気に逃げ得る、請求項6記載の気体バネ。
【請求項8】
オーバートラベル状態の間、前記オーバートラベル圧力解放カラーが前記ピストンロッドシールに対して軸方向内向きに移動して、前記オーバートラベル圧力解放カラーが前記ピストンロッドシールの一部を半径方向に変位させて過圧開放経路が開き、前記圧力室内の加圧ガスが開放経路を通って気体バネの外側の大気に逃げ得る、請求項1記載の気体バネ。
【請求項9】
前記オーバートラベル圧力解放カラーが前記ピストンロッド用の前記軸受組立体に設けられている、請求項1に記載の気体バネ。
【請求項10】
前記オーバートラベル圧力解放カラーは、前記ピストンロッド上に開口する、中に潤滑剤を収容するための環状溝をさらに含む、請求項9に記載の気体バネ。
【請求項11】
軸方向に延びる側壁、開口端、該開口端から軸方向に間隔を置いて配置された横方向に延びる閉鎖端壁、及び部分的に前記側壁と前記閉鎖端壁とによって画定されて中に加圧された気体を収容するケーシングと、
内向端、及び内向端から軸方向に間隔を置いて配置されケーシングの開口端に隣接して前記ケーシング内に受容される外向端を有するピストンロッドハウジングと、
前記ピストンロッドハウジングを貫通して延在すると共に、前記圧力室内に収容された内向端及び通常前記ケーシングの外側に存する外向端を有するピストンロッドと、
前記ピストンロッドと密封係合して前記ピストンロッドハウジングによって担持され、前記ピストンロッドと前記ピストンロッドハウジングとの間に密閉を提供するピストンロッドシールと、
前記ピストンロッドハウジングによって担持され、前記ピストンロッドハウジングと前記ケーシングとの間に密閉を提供するシールと、
前記ピストンロッドの周りに摺動可能に収容され、前記ピストンロッドハウジングによって摺動可能に担持され、前記ケーシングの開口端を越えて軸方向に突出するカラー外向端及び前記ピストンロッドシールの少なくとも一部と接触するように構成されたカラー内向端とを有するオーバートラベル圧力解放カラーと、を備える
成形装置用気体バネ。
【請求項12】
前記ピストンロッドシールが、前記ピストンロッドハウジングの内面と接触する半径方向外側リップと、前記ピストンロッドの外面と接触する半径方向内側リップとを有するUカップシールである、請求項11に記載の気体バネ。
【請求項13】
前記オーバートラベル圧力解放カラーの前記カラー内向端がバヨネット形状である、請求項11に記載の気体バネ。
【請求項14】
記カラー内向端のバヨネット形状が前記ピストンロッドハウジングの一部とピストンロッドの半径視方向に重なって当接して、前記オーバートラベル圧力解放カラーを前記気体バネ内に保持する、請求項13に記載の気体バネ。
【請求項15】
前記ケーシングの開口端に隣接する前記オーバートラベル圧力解放カラーによって担持され、前記カラー外端を超えて軸方向に突出し前記ピストンロッドに接するピストンロッドワイパをさらに備える、請求項11に記載の気体バネ。
【請求項16】
前記ピストンロッドシールが、前記ピストンロッドハウジングの内面と接触する外側リップ、及び前記ピストンロッドの外面と接触する内側リップを含む、請求項11に記載の気体バネ。
【請求項17】
オーバートラベル状態の間、前記オーバートラベル圧力解放カラーが前記ピストンロッドシールに対して軸方向内向きに移動して過圧開放通路を開き、前記圧力室内の加圧ガスが前記開放通路を通って前記気体バネの外側の大気に逃げ得る、請求項16に記載の気体バネ。
【請求項18】
オーバートラベル状態の間、前記オーバートラベル圧力解放カラーが前記ピストンロッドシールに対して軸方向内向きに移動して前記オーバートラベル圧力解放カラーが前記ピストンロッドシールの一部分を変位させて過圧開放通路を開き、前記圧力室の加圧ガスが前記開放経路を通って前記気体バネの外側の大気に逃げ得る、請求項11に記載の気体バネ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、米国特許仮出願第62/395,729号の権益を主張し、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、一般に気体バネに関し、より詳細には、気体バネ用のオーバートラベル圧力解放機構に関する。
【背景技術】
【0003】
気体バネが、よく知られ、金属板打抜き作業用のプレスの金型に使用されてきた。例えば、気体バネは、他の多くの種類の用途の中でもプレスクッションとして使用することができる。従来の気体バネは、ケーシングと、ケーシング内に担持されたピストンロッドと、リテーナによってケーシング内に保持されてケーシング内にピストンロッドを案内し保持する軸受及びシールハウジングと、加圧ガス、典型的には窒素を、例えばいくつかの用途では2,000〜5,000PSIの動作圧力で保持する圧力室と、を備える。ハウジングは、ケーシング内でのピストンロッドの移動を案内するための1つ又は複数の軸受と、圧力室からの漏れを防ぐための1つ又は複数のシールとを含む。加圧ガスは、ピストンロッドを伸長位置に付勢し、そして伸長位置から後退位置へのピストンロッドの移動に柔軟に抵抗する。しかし、ピストンロッドは、設計意図の後退位置を超えてオーバートラベルする可能性があり、そのようなオーバートラベルは望ましくない過剰圧力及び他の望ましくない状態をもたらす場合がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
いくつかの実施形態では、機器を形成するための気体バネには、側壁、開口端、及び開口端からほぼ軸方向に間隔を置いて閉じられ圧力下の気体を収容する圧力室を部分的に画定する閉鎖端を有するケーシングと、開口端に隣接してケーシング内に収容されるピストンロッドハウジングと、ハウジング内に収容され伸縮位置の間で往復運動するピストンロッドと、ピストンロッドを取り囲み支持する軸受ピストンロッドシールと、ピストンロッドに対して摺動可能で通常ケーシングの開口端を越えて軸方向に突出する外端を有しピストンロッドを取り囲むオーバートラベル圧力解放カラーと、が設けられる。カラーは、ピストンロッドシールと接触する内向端を有し、概してピストンロッドのオーバートラベル状態の間にカラーのケーシングの閉鎖端に向かう軸方向に移動することでピストンロッドからシールの少なくとも一部が変位して加圧ガスが圧力室から気体バネの外部へ逃げる通路を提供するように構成される。
【0005】
少なくともいくつかの実施態様では、オーバートラベル圧力解放カラーはまた、ピストンロッドのための支持面を提供し、その伸長位置と後退位置との間でのピストンロッドの軸方向往復動のための唯一のガイドであり得る。少なくともいくつかの実装形態では、軸受がピストンロッドハウジングによって担持されてピストンロッドの伸長位置と後退位置との間でのピストンロッドの軸方向往復運動を案内してもよい。少なくともいくつかの実施態様では、ピストンロッドシールはピストンロッドハウジングによって担持されてもよく、他の実施態様では、ピストンロッドシールはケーシングによって担持されてもよい。少なくともいくつかの実施態様では、ピストンロッドシールは、ピストンロッドと密封係合する内側リップと、ピストンロッドハウジング又はケーシングの一方と密封係合する外側リップとを含み得る。少なくともいくつかの実施形態では、オーバートラベル状態の間にカラーがピストンロッドシールに対して軸方向内向きに移動して、カラー内向端がピストンロッドシールの内側リップの少なくとも一部を半径方向に変位させて、圧力室の加圧ガスがシールを通過して気体バネの外側の大気に逃げるのを可能にする。
【0006】
以下の好ましい実施形態及び最良の形態の詳細な説明は、添付の図面に関して説明されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】ピストンが伸長位置にありオーバートラベル圧力解放構成部品を有する、現在好ましい状態の気体バネの断面図である。
図2図1の気体バネの断面図で、設計意図の最大移動位置にあるピストンを示す。
図3図2の気体バネの一部の拡大部分断面図で、図2の円Nから見た図である。
図4図1の気体バネの断面図で、ピストンがオーバートラベル位置にあり、バネからの気体の排出を示す図である。
図5図4の気体バネの一部の拡大部分断面図で、図4の円Mから見た図である。
図6】変更されたガイド及びシール組立体を有する、図1の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図面をより詳細に参照すると、図1は、成形装置、例えば薄板金型打抜き金型及び機械プレス(図示せず)に使用できる気体バネ10を示す。一般に、気体バネ10は、ケーシング12と、ケーシング12によって担持されたガイドシール組立体14と、ケーシング12によって担持されガイドシール組立体14を貫通して延びるピストンロッド16と、圧力室17とを含む。ピストンロッド16の軸方向外向端は、金型部材、又はプレスの別の部分若しくは成形装置(図示せず)の部分に又はこれらによって係合可能であり得る。
【0009】
例えば、1つ又は複数の気体バネ10を成形装置の様々な実施形態で使用して、成形金型又は加工物を降伏力又は戻り力で支持するための可動構成部品を提供することができる。例えば、ブランクホルダ(binder ring)の実施態様では、気体バネ10は成形金型のブランクホルダに対して降伏力を与えて、成形金型の他の部分が加工物を成形し、切断し、伸張し又は曲げながら、金属加工物を保持する。リフターの実施では、気体バネ10が降伏力及び戻り力を提供して、加工品を成形金型の表面から持ち上げたり他に加工品の制御を維持したりする。カム工具の実施において、気体バネ10は降伏力を加えて、カム作動工具をその定位置に戻す。当然のことながら、気体バネ10は、広範囲の他の実施形態において使用することができる。
【0010】
本開示によれば、気体バネ10のピストンロッド16がオーバートラベル状態にある場合には、気体バネ10はオーバーストローク又はオーバートラベル圧力解放部品18を含む。以下にさらに詳細に説明するように、超過圧力解放構成部品18は、ガイドシール組立体14の一部であり得、そして加圧ガスを圧力室17の外と連通させるように働いてもよく、圧力室17内のガスの可能な過剰圧力を含む超過状態の保護を提供する。本明細書でさらに詳細に説明するように、オーバートラベル状態の場合には、オーバートラベル圧力解放部品18が変位してシールを外し、加圧ガスを気体バネ10の圧力室17内から開放する。本明細書で使用するとき、用語「オーバートラベル状態」には、気体バネ10が相互作用する金型部材又は他の任意の機械構成部品によってピストンロッドが気体バネ10内の設計意図位置を超えてケーシング12内に引き込まれる条件が含まれる。
【0011】
図1を参照すると、ケーシング12は、その中にガイドシール組立体14及びピストンロッド16を収容することができる、閉鎖端22及び開口端24で軸方向に終端する側壁20を含むことができる。圧力室17は、少なくとも部分的に側壁20、22によって画定され、加圧ガスを受ける。図示の実施形態では、閉鎖端22は、側壁20に結合されるが、シール例えばクリンプ、カシメ加工、又は他の成形によって密封された別個の構成部品でよい。他の実施形態では、閉鎖端22は、溶接継手を介して側壁20に結合されてもよく、又は側壁20と一体的に製造されてもよい。ケーシング12の側壁20は、少なくとも部分的に圧力室17を画定する内面26、及び外面28を有する。ケーシング12は、例えば概して円筒形であってもよく、その場合、内面26又は外面28の少なくとも一方は円筒形である。側壁20は円周方向に延びるリテーナビード30を有して、ガイド及びシール組立体14の少なくとも一部を軸方向に保持して気体バネ10をその組み立てられた状態に維持する。プレス内での気体バネ10の取付け及び位置決めを容易にするために、ケーシング12の外面28に一対の長手方向に間隔を置いて配置された周方向溝32、34を機械加工、形成、又は他の方法で設けることができる。例えば、気体を気体バネ10の中に収容するのに、ケーシング12は、任意の適切な方法でケーシング12の閉鎖端22を貫通して設けることができる通路又は充填ポート36を含むことができる。充填バルブ38は、ケーシング12によって担持されて、気体バネ10が充填ポート36を通って加圧され、気体バネ10が加圧されたときに充填ポート36を閉じることを可能にする。図示のように充填バルブ38はポペットバルブとすることができるが、代わりにケーシング12の閉鎖端22の任意の適切な位置でのシュレーダ充填バルブ又は任意の他の適切な種類のバルブでもよい。
【0012】
ガイドシール組立体14は、ケーシング12の開口端24内に配置されるか又はその近くに担持されてもよく、ケーシング12に密封結合されてもよい。組立体14は、ハウジング44、及びハウジング44に担持される案内軸受46を含む軸受ハウジングを含んでよい。組立体14には、ハウジング44と開口端24との間に配置され得るロッドシール48と、ロッドシール48と開口端24との間に配置され得るシール支援47と、シール支援47と開口端24との間に担持され開口端24から突出することができるロッドワイパ50と、ワイパ50の一部分と開口端24との間に担持されOリングを含み得るケーシングシール51とが設けられる。案内軸受46は、1つ又は複数の構成部品を含み、ピストンロッド16と摺動可能に係合するような大きさにされて、ケーシング12内で軸方向に往復運動するようにピストンロッド16を案内する。図示の実施形態では、案内軸受46は任意の適切な低摩擦材料で構成され得るブッシュを含む。ピストンロッドシール48は、ケーシング12の内面26と接触する半径方向外側リップ48aと、ピストンロッド16の外面と接触する半径方向内側リップ48bとを有するUカップシールを含むことができる。
【0013】
ピストンロッド16は、後退ストローク及び伸長若しくは戻りストロークを含む気体バネ10のサイクルにわたって伸長位置と後退位置との間で軸線Aに沿って往復運動するように、ケーシング12内にガイドシール組立体14を通って少なくとも部分的に配置される。ピストンロッド16は、圧力室17内の加圧ガスによって作用されて、ピストンロッド16を伸長位置に向かってそして後退位置から離れるように付勢される。ピストンロッド16は、ガイドシール組立体ハウジング44を貫通してケーシング12の外へ延びると共に、軸方向外向端52、及びケーシング12内に配置され半径方向に拡張されていてもよい軸方向内向端54を含む。例えば、ピストンリテーナ56は、例えばピストンロッド16をカシメ加工することで軸方向内向端54に結合することができる。リテーナ56は、ピストンロッドハウジング44の一部と係合して、ピストンロッド16をケーシング12内に保持することができる。ピストンロッド16は、伸長位置と後退位置との間に案内された相対運動によりロッドシール48と密封係合しピストンロッド軸受46と摺動係合する。
【0014】
図示されているように、オーバートラベル圧力解放部品18は、カラー60を含むことができ、カラーは、ガイドシール組立体14とケーシング開口端24との間に少なくとも部分的に軸方向にピストンロッド16の周りに摺動可能に担持され、シール支援47に軸方向に保持される。図示の実施形態では、カラー60は円周方向に連続して円筒形の内面を有している。カラー60は、ハウジング12の開口端24に対して軸方向内側に配置されかつピストンロッドシール48と接触する内向端62と、ハウジング12の開口端24に対して軸方向で超えた又は外側に配置された軸方向外向端64とを含む。言い換えれば、カラー60は、その軸方向外向端64において、ハウジング44及びケーシング12から軸方向に突出する又はそれを越えて延びる。カラーの内向端62は、例えば、肩部を有する顎、円筒状の内側表面、及びカラー60の内側表面に対してゼロでない角度で配置された外側表面を含むバヨネット形状又はくさび形状であり得る。シール支援47はカラー内向端62の外径よりも小さい内径を有して、カラー60を気体バネ10内に軸方向に保持する。ワイパ50は、カラー外向端64を越えて軸方向に突出しており、カラー60がワイパ50によって隠されるようにピストンロッド16と係合することができる。
【0015】
気体バネ10は、任意の適切な方法で組み立てることができ、その様々な構成部品は、任意の適切な方法で製造することができ、任意の適切な材料から構成することができる。例えば、ケーシング12は、鋼鉄のような金属管及び/又は金属棒材から旋削、穿孔、削孔、ねじ切り、及び/又は他の方法で機械加工することができる。別の例では、カラー60は、例えば鋼、真鍮、銅、炭素繊維、ポリマー材料、及び/又は他の任意の適切な材料から構成されてもよい。
【0016】
動作中、任意の適切な加圧デバイス(図示せず)をポート36に結合してバルブ38を開き、加圧ガスをポート36に導入することができる。所望の圧力に達すると加圧装置が後退してバルブ38が閉じ、これによって圧力室17内の加圧ガスを密閉することができる。
【0017】
図2に示すように、使用中に、金型部材又は他の機械部品(図示せず)がピストンロッド16をケーシング12内へ軸方向内向きに変位させて、圧力室17内のガスを圧縮する。図2は、ケーシング12に対するピストンロッド16の設計上の最大圧縮位置にある気体バネ10を示している。図示のように、この位置で、ピストンロッド16の軸方向最外面はオーバートラベル開放部品18の軸方向最外面を越えて軸方向に突出している。また、図3に示すように、オーバートラベル開放部品18はシール48に対して移動していない。
【0018】
しかしながら、対照的に、図4を参照すると、金型部材又は他の任意の機械部品(図示せず)は、ピストンロッド16をケーシング12内にさらに軸方向に変位され得る。機械構成部品が気体バネ10に対して設計意図位置を超えて移動するオーバートラベル状態のような場合、機械部品がオーバートラベル開放構成部品18の軸方向外向端64にぶつかり変位をもたらす。オーバートラベル開放部材18のこのような軸方向の変位によりシール48の一部が半径方向外側へ変位し、図4に例示されているように及び図5にさらに明りょうに示されるように、それによってチャンバ17内の加圧ガスはピストンロッド16とシール48との間の経路を通って気体バネ10の外部に逃げ得る。
【0019】
図示の実施形態では、例えば、オーバートラベル状態の間、カラー60がピストンロッドシール18に対して軸方向内向きに移動して、カラー内向端62がピストンロッドシール48の内側リップ48bを半径方向に変位させ、過圧開放通路を開き、圧力室17内の加圧ガスが開放通路を通って気体バネ10の外側の大気に逃げ得る。より具体的には、カラー内向端62及びシール内側リップ48bの対応する傾斜/傾斜面が協働して、それらの間の相対的な軸方向の動きがシール48の半径方向外向きの動きを引き起こしてシール48とピストンロッド16との間の密閉係合を解除するか又は破る。
【0020】
図6は、変更されたガイドシール組立体14’を除いて気体バネ10と本質的に同じ構造及び配置を有する気体バネ10’を示す。気体バネ10の構成部品と本質的に同じである気体バネ10’の構成部品は気体バネ10の対応する構成部品と同じ参照番号で識別され、従ってこれらの構成部品の説明は繰り返さない。
【0021】
改良されたガイドシール組立体14’は、ケーシング12内に摺動自在に収容され、且つハウジング内の相補的環状凹部72及び74内に収容された2つのセグメントの割りリング70により取外し可能に保持される環状ハウジング44’を有する。ロッドワイパ50’がハウジング44’の上端部の環状凹部76内に収容されている。ピストンロッドシール48はハウジング44'の環状凹部78内に収容されかつ保持され、この凹部はピストンロッド16上に半径方向内側に開口している。ハウジング44'とケーシングとの間のシールが、Oリング80及びハウジングの環状溝84に収容されケーシング12上に半径方向外側に開く裏当てリング82によって与えられる。ピストンロッド16は、ロッドの完全に伸びた位置でハウジング44’の内向端86に重なって当接する一体的なリテーナ56’を有し、ピストンロッドが完全に伸びた位置に移動したときに、ピストンロッドを確実に停止させる。
【0022】
オーバートラベル圧力解放カラー60は、ピストンロッド16を覆ってその周囲に、及びハウジング44’を貫通してボア88’内に摺動自在に収容されるが、このボアは円筒形ケーシング壁26と同軸であってもよい。カラー60は、ピストンロッド16の伸長位置と後退位置との間での往復運動を案内する軸受のみを提供する。カラー60は、カラーの軸受面94に適した潤滑剤を収容して保持するために、ピストンロッド16上に半径方向内向きに開口する溝92を有することができる。
【0023】
ピストンロッドがオーバートラベル状態にある場合、カラー60はロッドシール48に対して軸方向内向きに移動し、シール48の内側リップ48bの少なくとも一部がロッド16から変位しオーバートラベル圧力解放経路が開いて、圧力室17内の加圧ガスがこの開放通路を通って気体バネ10’の外側の大気に逃げ得る。使用時には、気体バネ10’は気体バネ10と同様に作動し、従ってその作動は繰り返して説明しない。
【0024】
当業者であれば、本発明の範囲内に包含される他の実施形態を認識するであろうことを理解されたい。上記に示し説明した複数の構成は単なる例示であり、完全な又は網羅的なリスト又は代表ではない。もちろん、この開示に照らしてさらに他の実施形態及び実施態様を達成することができる。上記の実施形態は例示的であり、限定的ではない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって規定される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6