特許第6961186号(P6961186)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6961186-液化石油ガス販売システム 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6961186
(24)【登録日】2021年10月15日
(45)【発行日】2021年11月5日
(54)【発明の名称】液化石油ガス販売システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/06 20120101AFI20211025BHJP
   G06Q 30/04 20120101ALI20211025BHJP
【FI】
   G06Q50/06
   G06Q30/04
【請求項の数】2
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2016-222440(P2016-222440)
(22)【出願日】2016年11月15日
(65)【公開番号】特開2018-81438(P2018-81438A)
(43)【公開日】2018年5月24日
【審査請求日】2019年10月30日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】516183853
【氏名又は名称】有限会社ジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】110001977
【氏名又は名称】特許業務法人なじま特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 寿永光
【審査官】 加舎 理紅子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−032199(JP,A)
【文献】 特開2013−254308(JP,A)
【文献】 特開2004−013781(JP,A)
【文献】 特開2014−240794(JP,A)
【文献】 特開平11−213042(JP,A)
【文献】 特開2003−296409(JP,A)
【文献】 特開2005−044320(JP,A)
【文献】 特開2004−310645(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC G06Q 10/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液化石油ガス供給業者と、液化石油ガス供給業者から大口契約により個別契約よりも低コストでガスを買い上げ、ガスボンベに充填して消費者に販売する中間業者と、この中間業者からガス供給を受ける複数の消費者との間に構築される液化石油ガス販売システムであって、
各消費者のガスボンベにはスマートメータが取り付けられており、
前記中間業者のサーバは、
各スマートメータから送信される各消費者のガス使用量を格納するガス使用量データベースと、
中間業者が各消費者との間で個々に将来にわたる長期ガス供給契約を締結することによって、契約期間が長いほど消費者に有利に設定された割引条件を記憶する割引条件データベースと、
前記ガス使用量データベースに記憶されたガス使用量から演算されるガス料金に、割引条件データベースに記憶された割引条件を適用して各消費者の請求額を演算するガス料金演算部と、
各消費者の支払いを管理する支払管理データベースと、を備えることを特徴とする液化石油ガス販売システム。
【請求項2】
前記中間業者のサーバはさらに、各消費者のボンベ交換時期データベースを備えることを特徴とする請求項1に記載の液化石油ガス販売システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液化石油ガス供給業者と、中間業者と、多数の消費者との間に構築される液化石油ガス販売システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
プロパンガスに代表される液化石油ガスは、液化石油ガス供給業者からタンクローリーによって中間業者(販売店)のタンクに運ばれ、中間業者はタンクからガスボンベに充填して各消費者に販売している。
【0003】
中間業者の検針員は各消費者のガスボンベに取り付けられたガスメータを定期的に巡回して検針し、使用量に応じたガス料金を消費者に請求する。一般にガスボンベは通常、2本単位でセットされている。中間業者は各消費者の平均的な使用量を把握しており、ボンベが空になる前に新しいガスボンベに交換している。ガスボンベは中間業者が所有するものであるが、ガスメータから先のガス配管は各消費者が所有している。
【0004】
このような検針員による検針は手数とコストがかかるため、近年、スマートメータと呼ばれる通信機能付きのガスメータが実用化されており、例えば特許文献1には、インターネット回線を通じて各消費者のガス使用量のデータを収集するガス販売システムが開示されている。しかしこのシステムは液化石油ガス供給業者あるいは中間業者の負担軽減を図ることができるが、各消費者にとってはガス料金の引き下げに繋がるようなメリットはない。
【0005】
また特許文献2には、中間業者(販売店)と各消費者との間に構築された上記と同様のガス販売システムが記載されている。しかしこのシステムも販売店の負担軽減を図ることができるが、各消費者にとってはガス料金の引き下げに繋がるようなメリットはない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−140397号公報
【特許文献2】特開2002−288279号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って本発明の目的は上記した従来の問題点を解決し、液化石油ガス供給業者と、中間業者と、消費者の何れにも経済的なメリットが生じる新規な液化石油ガス販売システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するためになされた本発明は、液化石油ガス供給業者と、液化石油ガス供給業者から大口契約により個別契約よりも低コストでガスを買い上げ、ガスボンベに充填して消費者に販売する中間業者と、この中間業者からガス供給を受ける複数の消費者との間に構築される液化石油ガス販売システムであって、各消費者のガスボンベにはスマートメータが取り付けられており、前記中間業者のサーバは、各スマートメータから送信される各消費者のガス使用量を格納するガス使用量データベースと、中間業者が各消費者との間で個々に将来にわたる長期ガス供給契約を締結することによって、契約期間が長いほど消費者に有利に設定された割引条件を記憶する割引条件データベースと、前記ガス使用量データベースに記憶されたガス使用量から演算されるガス料金に、割引条件データベースに記憶された割引条件を適用して各消費者の請求額を演算するガス料金演算部と、各消費者の支払いを管理する支払管理データベースと、を備えることを特徴とするものである。
【0009】
なお請求項2のように、前記中間業者のサーバはさらに、各消費者のボンベ交換時期データベースを備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、液化石油ガス供給業者は中間業者との間で大口契約を結ぶだけでよく、販売コストの低減を図ることができる。中間業者はスマートメータとサーバとを利用して各消費者のガス使用量を集計することができるので、管理コストの低減を図ることができる。また中間業者は、消費者との間で長期ガス供給契約を締結することによって、経営の安定を図ることができる。
【0011】
消費者は中間業者と長期ガス供給契約を締結することによってガス料金の割引を受けることができるうえに、前記の大口契約によるガス単価の低減効果をも享受することができるので、ガス料金の引き下げに繋がるメリットがある。
【0012】
このように、本発明の液化石油ガス販売システムによれば、液化石油ガス供給業者と、中間業者と、消費者の何れにも経済的なメリットを生じさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明のシステムの全体を説明するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に本発明の実施形態を説明する。
【0015】
図1は本発明のシステムの全体図であり、1はガス会社に代表される液化石油ガス供給業者、2はガスの販売店である中間業者、3は消費者である。液化石油ガスは液化石油ガス供給業者1からタンクローリーによって中間業者2のタンクに運ばれ、中間業者2がタンクからガスボンベ4に充填して各消費者3に販売している。液化石油ガス供給業者1と中間業者2との間では大口契約が締結され、中間業者2は低コストで液化石油ガスを購入している。
【0016】
ガスボンベ4は通常は2本をセットにして消費者3に供給されており、片側のガス圧が所定値よりも低下すると自動的に他のガスボンベ4に切り替える自動切替弁を設けてもよい。ガスボンベ4にはガス使用量を測定することができるスマートメータ5が取り付けられている。従来は、スマートメータ5から先のガス配管6は各消費者3が所有していた。
【0017】
各スマートメータ5は個別のID番号を持ち、ガス使用量のデータにID番号を付してインターネットなどの通信回線16を介して中間業者2のサーバ7にガス使用量のデータを送信する。これにより、中間業者2は各消費者3のガス使用量を従来のような人手をかけずに収集することができる。このデータ送信は連続的に行ってもよいが、サーバ7や通信機器の負担を軽減するために、例えば毎月あるいは二月に1回というように適宜の間隔で行ってもよい。
【0018】
中間業者2のサーバ7は、スマートメータ5から送信されるデータを受信する通信部8を備えている。またこのサーバ7は、演算部9と記憶部10とを備えている。演算部9にはCPU11とガス料金演算部12とが含まれている。また記憶部10には、ガス使用量データベース13と、割引条件データベース14と、支払管理データベース15と、ID番号管理データベース17が設けられている。さらにボンベ交換時期データベース18を設けることが好ましい。以下に各部の機能を説明する。
【0019】
通信部8で受信された各消費者のガス使用量のデータはCPU11に入力され、CPU11はそのデータをガス使用量データベース13に格納する。このときID番号管理データベース17を利用して、消費者の氏名、名称を特定することができる。
【0020】
中間業者2は各消費者との間で個々に将来にわたる長期ガス供給契約を締結し、契約期間に応じた割引条件を設定する。この割引条件は契約期間が長いほど消費者3に有利に設定されるものであるが、具体的な割引条件は個々に設定することができる。設定された割引条件は、割引条件データベース14に収納される。中間業者2にとっては割引きの負担が生じるが、長期ガス供給契約を締結することによりその消費者3が他の中間業者2に乗り換える事態を将来にわたって防ぐことができ、経営の安定を図ることができる。なおこの契約は必ずしも全消費者が合意するとは限らないため、合意が得られなかった消費者に対しては、割引きをゼロとして以下の演算を行えばよい。
【0021】
ガス料金演算部12は、ガス使用量データベース13に記憶されたガス使用量と設定されたガス単価とを積算して各消費者のガス料金を演算するが、演算されたガス料金に割引条件データベース14に収納された割引条件を適用して各消費者の請求額を演算する。
【0022】
ガス料金演算部12による演算結果はCPU11の制御下に各消費者の支払いを管理する支払管理データベース15に格納される。中間業者2は支払管理データベース15から出力させた請求書に基づいて各消費者3からガス料金を集金する。そして中間業者2は、液化石油ガス供給業者1との大口契約に基づいた金額を液化石油ガス供給業者1に送金する。なお、中間業者2のサーバ7は必ずしも単一である必要はなく、複数のコンピュータを接続して構成されたものであってもよい。
【0023】
上記した本発明の液化石油ガス販売システムによれば、次の通り、液化石油ガス供給業者1と、中間業者2と、消費者3の何れにも経済的なメリットを生じさせることができる。
【0024】
すなわち、液化石油ガス供給業者1は中間業者2との間で大口契約を締結することにより戸別の検針や集金の必要がなくなり、営業コストを引き下げることができる。
【0025】
中間業者2は長期ガス供給契約を締結することによりその消費者3が他の中間業者2に乗り換える事態を将来にわたって防ぐことができ、経営の安定を図ることができる。特に電力やガスの契約先の自由化に伴い、消費者3が他の中間業者2に乗り換える可能性が増加するため、長期ガス供給契約を締結することによる経営安定効果は大きい。また中間業者2は大口契約によって液化石油ガス供給業者1から購入するガス単価を下げることができる。さらに、中間業者2はスマートメータ5を使用することにより、検針のコストをカットすることができる。
【0026】
消費者3は、長期ガス供給契約を締結することにより、中間業者2に支払うガス料金の割引を受けることができる。更に大口契約によるガス単価の引き下げ効果を享受できる可能性がある。
【0027】
このほか、図1に示すように中間業者2のサーバ7にボンベ交換時期データベース18を設け、各消費者3のガス使用量からボンベ交換を行うべき時期を演算して入力しておけば、中間業者2が各消費者3を巡回してボンベ交換を行うルート設定やその時期を、合理的に決定することができる。
【符号の説明】
【0028】
1 液化石油ガス供給業者
2 中間業者
3 消費者
4 ガスボンベ
5 スマートメータ
6 ガス配管
7 サーバ
8 通信部
9 演算部
10 記憶部
11 CPU
12 ガス料金演算部
13 ガス使用量データベース
14 割引条件データベース
15 支払管理データベース
16 通信回線
17 ID番号管理データベース
18 ボンベ交換時期データベース
図1