特許第6961187号(P6961187)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本圧着端子製造株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6961187-電気特性検査システム 図000002
  • 特許6961187-電気特性検査システム 図000003
  • 特許6961187-電気特性検査システム 図000004
  • 特許6961187-電気特性検査システム 図000005
  • 特許6961187-電気特性検査システム 図000006
  • 特許6961187-電気特性検査システム 図000007
  • 特許6961187-電気特性検査システム 図000008
  • 特許6961187-電気特性検査システム 図000009
  • 特許6961187-電気特性検査システム 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6961187
(24)【登録日】2021年10月15日
(45)【発行日】2021年11月5日
(54)【発明の名称】電気特性検査システム
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/69 20200101AFI20211025BHJP
   G08C 17/00 20060101ALI20211025BHJP
   G08C 25/00 20060101ALI20211025BHJP
   G08C 15/06 20060101ALI20211025BHJP
   H01R 43/26 20060101ALI20211025BHJP
   H01R 12/71 20110101ALI20211025BHJP
   H01R 43/00 20060101ALI20211025BHJP
【FI】
   G01R31/69
   G08C17/00 Z
   G08C25/00 H
   G08C15/06 H
   H01R43/26
   H01R12/71
   H01R43/00 Z
【請求項の数】3
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2016-226738(P2016-226738)
(22)【出願日】2016年11月22日
(65)【公開番号】特開2018-84456(P2018-84456A)
(43)【公開日】2018年5月31日
【審査請求日】2019年6月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】390033318
【氏名又は名称】日本圧着端子製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100128912
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 徹
(74)【代理人】
【識別番号】110000682
【氏名又は名称】特許業務法人ワンディーIPパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】清水 金好
【審査官】 青木 洋平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−243575(JP,A)
【文献】 特開2003−057302(JP,A)
【文献】 特開2014−195380(JP,A)
【文献】 特開2006−127796(JP,A)
【文献】 特開2005−050565(JP,A)
【文献】 特開2003−308926(JP,A)
【文献】 特開平11−195456(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0024271(US,A1)
【文献】 国際公開第2016/068295(WO,A1)
【文献】 特開2002−372564(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/50−31/74
G08C 17/00
G08C 25/00
G08C 15/06
H01R 43/26
H01R 12/71
H01R 43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気特性検査を行うための電気特性検査システムであって、
前記電気特性検査を行う対象となる検査対象物と、
前記検査対象物に設けられ、前記電気特性検査の開始を指示する操作表示機器との間で所定の無線通信方式を用いた無線通信を行う無線通信用モジュールと、
前記検査対象物に設けられ、前記無線通信用モジュールからの指示を受けて前記検査対象物の前記電気特性検査を行う検査制御部と、
を備え、
前記無線通信用モジュールは、前記電気特性検査での検査結果を、前記所定の無線通信方式を用いた無線通信によって前記操作表示機器に送信し、
前記操作表示機器には、前記検査結果が表示され、
前記検査対象物は、回路基板と、前記回路基板に実装された第1コネクタと、前記第1コネクタと嵌合する第2コネクタと、を有し、
前記電気特性検査では、前記第1コネクタ及び前記第2コネクタの嵌合状態が検査され、
当該電気特性検査システムは、
一端が前記検査制御部の第1端子に接続された第1電流路と、
一端が前記検査制御部の第2端子に接続された第2電流路と、
前記第1コネクタ及び前記第2コネクタが嵌合した状態において、一端が前記第1電流路の他端に接続されるとともに他端が前記第2電流路の他端に接続される第3電流路と、
を更に備え、
前記検査制御部は、前記第1電流路の前記一端と前記第2電流路の前記一端との間の導通検査を、前記電気特性検査として行い、
前記第1コネクタが、一対のオス型コンタクトを有しており、
前記第2コネクタが、一対の前記オス型コンタクトにそれぞれ接続する一対のメス型コンタクトと、一対の前記メス型コンタクトが挿入されて収容されるとともに前記第1コネクタに嵌合するコネクタハウジングとを有しており、
前記第1電流路が、前記回路基板にプリント配線によって形成された第1電流ラインと一対の前記オス型コンタクトの一方とを有して構成され、
前記第2電流路が、前記回路基板にプリント配線によって形成された第2電流ラインと一対の前記オス型コンタクトの他方とを有して構成され、
前記第3電流路が、一対の前記メス型コンタクトと、一対の前記メス型コンタクトに両端部がそれぞれかしめられて接続された独立した1本のケーブルとして設けられた短絡用ケーブルと、を有して構成され、
前記短絡用ケーブルは、一対の前記メス型コンタクトにかしめられた前記両端部のそれぞれが一対の前記メス型コンタクトとともに前記コネクタハウジングに挿入され、前記両端部の間の部分が前記コネクタハウジングの外部であって前記コネクタハウジングにおける前記第1コネクタに嵌合する側と反対側の端部の外部を経由して半円弧状に延びるように配置されていることを特徴とする、電気特性検査システム。
【請求項2】
電気特性検査を行うための電気特性検査システムであって、
前記電気特性検査を行う対象となる検査対象物と、
前記検査対象物に設けられ、前記電気特性検査の開始を指示する操作表示機器との間で所定の無線通信方式を用いた無線通信を行う無線通信用モジュールと、
前記検査対象物に設けられ、前記無線通信用モジュールからの指示を受けて前記検査対象物の前記電気特性検査を行う検査制御部と、
を備え、
前記無線通信用モジュールは、前記電気特性検査での検査結果を、前記所定の無線通信方式を用いた無線通信によって前記操作表示機器に送信し、
前記操作表示機器には、前記検査結果が表示され、
前記検査対象物は、回路基板と、前記回路基板に実装された複数の第1コネクタと、それぞれが、複数の前記第1コネクタのそれぞれに嵌合する複数の第2コネクタと、を有し、
前記電気特性検査では、前記第1コネクタ及び前記第2コネクタの嵌合状態が検査され、
当該電気特性検査システムは、
一端が前記検査制御部の第1端子に接続された第1電流路と、
一端が前記検査制御部の第2端子に接続された第2電流路と、
各前記第1コネクタ及び各前記第2コネクタが嵌合した状態において、前記第1電流路の他端と前記第2電流路の他端とを電気的に接続する複数の第3電流路と、
を更に備え、
前記検査制御部は、前記第1電流路の前記一端と前記第2電流路の前記一端との間の導通検査を、前記電気特性検査として行い、
各前記第1コネクタが、一対のオス型コンタクトを有しており、
各前記第2コネクタが、一対の前記オス型コンタクトにそれぞれ接続する一対のメス型コンタクトと、一対の前記メス型コンタクトが挿入されて収容されるとともに前記第1コネクタに嵌合するコネクタハウジングとを有しており、
各前記第2コネクタにおいて、一対の前記メス型コンタクトと、一対の前記メス型コンタクトに両端部がそれぞれかしめられて接続された独立した1本のケーブルとして設けられた短絡用ケーブルと、を有して構成された前記第3電流路が、それぞれ設けられ、
前記短絡用ケーブルは、一対の前記メス型コンタクトにかしめられた前記両端部のそれぞれが一対の前記メス型コンタクトとともに前記コネクタハウジングに挿入され、前記両端部の間の部分が前記コネクタハウジングの外部であって前記コネクタハウジングにおける前記第1コネクタに嵌合する側と反対側の端部の外部を経由して半円弧状に延びるように配置されていることを特徴とする、電気特性検査システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の電気特性検査システムにおいて、
前記操作表示機器を更に備えていることを特徴とする、電気特性検査システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査対象物の電気特性検査を行うための電気特性検査システム、及び電気特性検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から知られている電気特性検査としては、例えば特許文献1に開示されるような電気的接続装置に対して行われる導通検査が知られている。この電気的接続装置では、一対のコネクタが互いに嵌合した状態において、一方のコネクタ側に設けられた嵌合検知端子と、他方のコネクタ側に設けられたショート端子とが接触する。この状態において、外部回路によって嵌合検知端子及びショート端子に所定の電圧を印加し、両者の間に電流が導通することを確認することにより、一対のコネクタが嵌合していることを検出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−056718号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述した特許文献1の場合、検査対象となる部分ごとに(特許文献1の場合、個々の電気的接続装置ごとに)導通検査を行う必要があるため、その作業が煩雑になってしまう。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためのものであり、その目的は、煩雑な作業を伴うことなく検査対象の電気特性検査を行うことである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)上記課題を解決するために、この発明のある局面に係る電気特性検査システムは、電気特性検査を行うための電気特性検査システムであって、前記電気特性検査を行う対象となる検査対象物と、前記検査対象物に設けられ、前記電気特性検査の開始を指示する操作表示機器との間で所定の無線通信方式を用いた無線通信を行う無線通信用モジュールと、前記検査対象物に設けられ、前記無線通信用モジュールからの指示を受けて前記検査対象物の前記電気特性検査を行う検査制御部と、を備え、前記無線通信用モジュールは、前記電気特性検査での検査結果を、前記所定の無線通信方式を用いた無線通信によって前記操作表示機器に送信し、前記操作表示機器には、前記検査結果が表示される。
【0007】
この構成では、操作表示機器を用いて電気特性検査の開始を指示すると、所定の無線通信方式を用いた無線通信によって、前記電気特性検査を開始する旨の信号が、検査対象物に設けられた無線通信用モジュールに送信される。無線通信用モジュールが上記信号を受けると、検査制御部が、前記無線通信用モジュールからの指示を受けて、検査対象物の電気特性検査を行う。電気特性検査の検査結果は、前記所定の無線通信方式を用いた無線通信によって、無線通信用モジュールから操作表示機器へ通知される。操作表示機器には、その検査結果が表示される。
【0008】
以上のように、この構成によれば、操作表示機器を用いて電気特性検査の開始を指示するだけで、検査対象物の電気特性検査が自動的に行われ、且つその検査結果を知ることができる。しかも、この構成によれば、検査を指示する側の機器である操作表示機器と検査対象物とをケーブル等で接続することなく、所定の無線通信方式を用いて相互に無線接続することができる。すなわち、この構成によれば、検査を指示する側の機器と検査対象物とを物理的に接続する必要がなくなるため、電気特性検査を行う際の手間を省くことができる。
【0009】
従って、この構成によると、煩雑な作業を伴うことなく検査対象の電気特性検査を行うことができる。
【0010】
(2)好ましくは、前記所定の無線通信方式は、Bluetooth(登録商標)通信方式である。
【0011】
この構成によれば、検査を指示する側の機器である操作表示機器と検査対象物とをケーブル等で接続することなく、汎用的に利用されているBluetooth通信方式を用いて相互に無線接続することができる。
【0012】
(3)好ましくは、前記検査対象物は、回路基板と、前記回路基板に実装された第1コネクタと、前記第1コネクタと嵌合する第2コネクタと、を有し、前記電気特性検査では、前記第1コネクタ及び前記第2コネクタの嵌合状態が検査される。
【0013】
この構成によれば、検査対象物が有する第1コネクタと第2コネクタとの嵌合状態を、煩雑な作業を伴うことなく検査することができる。
【0014】
(4)更に好ましくは、前記電気特性検査システムは、一端が前記検査制御部の第1端子に接続された第1電流路と、一端が前記検査制御部の第2端子に接続された第2電流路と、前記第1コネクタ及び前記第2コネクタが嵌合した状態において、一端が前記第1電流路の他端に接続されるとともに他端が前記第2電流路の他端に接続される第3電流路と、を更に備え、前記検査制御部は、前記第1電流路の前記一端と前記第2電流路の前記一端との間の導通検査を、前記電気特性検査として行う。
【0015】
この構成によれば、第1コネクタと第2コネクタとが嵌合すると、第1電流路、第2電流路、及び第3電流路で構成された導通検査用の電流路が形成される。第1コネクタと第2コネクタとが正常に嵌合している状態では、上述した各電流路の端部同士が接続された一続きの導通検査用の電流路が形成される。一方、第1コネクタと第2コネクタとが正常に嵌合していない状態では、上述した導通検査用の電流路の一部(具体的には、第1電流路の他端と第3電流路の一端との間、又は第2電流路の他端と第3電流路の他端との間)が開放された状態となる。このような検査用の電流路の両端(具体的には、第1電流路の一端及び第2電流路の一端)に対して導通検査を行うと、2つのコネクタが正常に嵌合している場合には微小な抵抗値が検出される。一方、2つのコネクタが半嵌合状態である場合には抵抗値が大きくなる。すなわち、この構成によれば、その抵抗値に応じて導通の有無を判定することで、一対のコネクタの嵌合状態を適切に検査することができる。
【0016】
また、この構成によれば、検査対象物が複数の第1コネクタ及び複数の第2コネクタを有している場合、一対のコネクタのそれぞれについて導通検査を行うことができる。すなわち、この構成によれば、いずれのコネクタが半嵌合状態であるかを特定することができる。
【0017】
(5)好ましくは、前記検査対象物は、複数の前記第1コネクタと、それぞれが、複数の前記第1コネクタのそれぞれに嵌合する複数の前記第2コネクタと、を有し、前記電気特性検査システムは、一端が前記検査制御部の第1端子に接続された第1電流路と、一端が前記検査制御部の第2端子に接続された第2電流路と、各前記第1コネクタ及び各前記第2コネクタが嵌合した状態において、前記第1電流路の他端と前記第2電流路の他端とを電気的に接続する複数の第3電流路と、を更に備え、前記検査制御部は、前記第1電流路の前記一端と前記第2電流路の前記一端との間の導通検査を、前記電気特性検査として行う。
【0018】
この構成によれば、複数の第1コネクタと複数の第2コネクタとが嵌合すると、第1電流路、第2電流路、及び複数の第3電流路で構成された導通検査用の電流路が形成される。全ての第1コネクタと第2コネクタとが正常に嵌合している状態では、上述した各電流路の端部同士が接続された一続きの導通検査用の電流路が形成される。一方、検査対象物が有する複数の第1コネクタ及び複数の第2コネクタのうちいずれか1つでも正常に嵌合していない状態では、上述した導通検査用の電流路の一部が開放された状態となる。このような検査用の電流路の両端(具体的には、第1電流路の一端及び第2電流路の一端)に対して導通検査を行うと、全てのコネクタが正常に嵌合している場合には微小な抵抗値が検出される。一方、複数のコネクタのうちいずれか1つでも半嵌合状態である場合には抵抗値が大きくなる。すなわち、この構成によれば、複数のコネクタの嵌合状態を一度に纏めて検査することができる。
【0019】
(6)好ましくは、前記第3電流路は、前記第2コネクタが有するコネクタハウジングに取り付けられた金属部材及びケーブルの少なくとも一方を有している。
【0020】
この構成によれば、例えば第3電流路に用いられる金属部材をプレス加工によって形成することにより、所望の形状を有する第3電流路を容易に形成することができる。或いは、汎用的に用いられているケーブルを用いて、第3電流路を容易に形成することができる。
【0021】
(7)好ましくは、前記電気特性検査システムは、前記操作表示機器を更に備えている。
【0022】
この構成によれば、操作表示機器を更に備えた電気特性検査システムを構成することができる。
【0023】
(8)上記課題を解決するために、この発明のある局面に係る電気特性検査方法は、検査対象物の電気特性検査を行うための電気特性検査方法であって、操作表示機器が、所定の無線通信方式を用いた無線通信によって、前記検査対象物に設けられた無線通信用モジュールへ前記電気特性検査の開始を指示するステップと、前記検査対象物に設けられた検査制御部が、前記無線通信用モジュールからの指示を受けて、前記検査対象物の前記電気特性検査を行うステップと、前記無線通信用モジュールが、前記電気特性検査での検査結果を、前記所定の無線通信方式を用いた無線通信によって前記操作表示機器に送信するステップと、前記操作表示機器が、前記検査結果を表示するステップと、を含む。
【0024】
この方法では、操作表示機器を用いて電気特性検査の開始を指示すると、所定の無線通信方式を用いた無線通信によって、前記電気特性検査を開始する旨の信号が、検査対象物に設けられた無線通信用モジュールに送信される。無線通信用モジュールが上記信号を受けると、検査制御部が、前記無線通信用モジュールからの指示を受けて、検査対象物の電気特性検査を行う。電気特性検査の検査結果は、所定の無線通信方式を用いた無線通信によって、無線通信用モジュールから操作表示機器へ通知される。操作表示機器には、その検査結果が表示される。
【0025】
以上のように、この方法によれば、操作表示機器を用いて電気特性検査の開始を指示するだけで、検査対象物の電気特性検査が自動的に行われ、且つその検査結果を知ることができる。しかも、この方法によれば、検査を指示する側の機器である操作表示機器と検査対象物とをケーブル等で接続することなく、所定の無線通信方式を用いて相互に無線接続することができる。すなわち、この方法によれば、検査を指示する側の機器と検査対象物とを物理的に接続する必要がなくなるため、電気特性検査を行う際の手間を省くことができる。
【0026】
従って、この方法によると、煩雑な作業を伴うことなく検査対象の電気特性検査を行うことができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、煩雑な作業を伴うことなく検査対象の電気特性検査を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の実施形態に係る電気特性検査システムの模式図である。
図2図1に示す電気特性検査システムが有する電気的接続装置の斜視図であって、該電気的接続装置が有する2つのコネクタが嵌合してない状態を示す図である。
図3図2において、各コネクタが有するハウジングの図示を省略して示す図であって、図3(A)は、両コネクタが嵌合する前の状態を示す図、図3(B)は両コネクタの嵌合が完了した状態を示す図、である。
図4図1に示す実施形態に係る電気特性検査システムで行われる電気特性検査方法の一例を示すフローチャートである。
図5】変形例に係る電気特性検査システムの模式図である。
図6図2に示す変形例に係る電気特性検査システムで行われる電気特性検査方法の一例を示すフローチャートである。
図7】変形例に係る電気特性検査システムの模式図である。
図8】変形例に係る電気特性検査システムの模式図である。
図9】変形例に係る電気特性検査システムの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。本発明は、電気特性検査対象物の電気特性検査を行うための電気特性検査システム、及び電気特性検査方法に広く適用できる。
【0030】
[全体構成]
図1は、本発明の実施形態に係る導通検査システム1(電気特性検査システム)の模式図である。本実施形態に係る導通検査システム1は、図1に示すように、導通検査対象物2と、導通検査対象物2に搭載されたPICマイコン45(検査制御部)及びBluetoothモジュール46(無線通信用モジュール)と、操作表示機器50とを備えている。そして、導通検査対象物2及び操作表示機器50には、それぞれ、Bluetooth(登録商標)通信方式を用いた無線通信を実行可能なBluetoothモジュール46,51が搭載されている。導通検査対象物2及び操作表示機器50は、Bluetoothモジュール46,51を介して互いに無線通信可能に構成されている。
【0031】
なお、以下では、Bluetoothモジュール46を、検査対象側BTモジュール46と称し、Bluetoothモジュール51を、検査指示側BTモジュール51と称する。また、以下では、検査制御部としてPICマイコン45を例示しているが、これに限らず、検査制御部としてその他のマイコンを採用することもできる。また、以下では、2つのモジュール46,51の間で行われる無線通信方式の一例としてBluetooth通信方式を挙げて説明しているが、これに限らず、その他の無線通信方式(例えばWi−Fi等)が採用されてもよい。
【0032】
検査対象側BTモジュール46は、導通検査対象物2が有する回路基板3に実装されている。検査対象側BTモジュール46は、該検査対象側BTモジュール46に接続されたアンテナ47を介して、アンテナ52が接続された検査指示側BTモジュール51と、Bluetooth通信方式を用いた無線通信を行うことができる。具体的には、検査対象側BTモジュール46は、検査指示側BTモジュール51から、導通検査対象物2に対して導通検査を行う旨の指示信号(検査指示信号Sa)を受信する。また、検査対象側BTモジュール46は、導通検査対象物2に対して導通検査を行った検査結果を、検査指示側BTモジュール51へ通知する。なお、図1では、各アンテナ47,52がBTモジュール46,51に外付けされている例を図示しているが、これに限らず、アンテナ内蔵型のBTモジュールを用いてもよい。
【0033】
PICマイコン45は、導通検査対象物2が有する回路基板3に実装されている。PICマイコン45は、複数の第1端子45a及び第2端子45bを有している。第1端子45aは、詳しくは後述する第1電流路11の一端11aに接続され、第2端子45bは、詳しくは後述する第2電流路12の一端12aに接続されている。なお、図1に示す例では、PICマイコン45の端子の数が6である例を図示しているが、これに限らず、PICマイコン45の端子の数は、いくつであってもよい。また、図1に示す例では、PICマイコン45が有する端子が、全て第1電流路11又は第2電流路12に接続されている例を図示しているが、これに限らない。具体的には、PICマイコン45が有する端子は、導通検査を行うための電流路(具体的には、第1電流路11及び第2電流路12)以外の電流路に接続されていてもよい。PICマイコン45は、検査対象側BTモジュール46が検査指示側BTモジュール51から検査指示信号Saを受信すると、導通検査対象物2の導通検査を行う。
【0034】
導通検査対象物2は、回路基板3と、回路基板3上に形成された複数の電流路(具体的には、第1電流路11、第2電流路12、及び第3電流路13)と、複数の電気的接続装置4(具体的には、第1電気的接続装置4a、第2電気的接続装置4b、及び第3電気的接続装置4c)と、を有している。各電気的接続装置4は、回路基板3に実装された第1コネクタ5と、第1コネクタ5と嵌合する第2コネクタ6とを有している。なお、以下では、各電気的接続装置を区別せずに説明するときには、電気的接続装置の符号として4を用い、各電気的接続装置を区別して説明するときには、電気的接続装置の符号として4a,4b,4cを用いることとする。
【0035】
回路基板3には、図示は省略するが、導通検査対象物2がその機能を発揮するための種々の部品が実装されている。例えば一例として、導通検査対象物2として、各種実装部品(マイコン、コンデンサ等)が適宜実装された自動車のエンジンコントロールユニットを挙げることができる。そして、回路基板3には、上述した検査対象側BTモジュール46及びPICマイコン45も実装されている。
【0036】
第1電流路11は、導通検査対象物2が有する3つの電気的接続装置4のそれぞれに対応して設けられている。すなわち、本実施形態では、3つの第1電流路11が設けられている。各第1電流路11は、図1に示すように、回路基板3と第1コネクタ5との間に跨って形成された電流路である。第1電流路11では、その一端11aが、詳しくは後述するPICマイコン45の第1端子45aに接続されている。一方、第1電流路11では、他端11bが、第2コネクタ6に設けられた第3電流路13の一端13aと接続可能である。具体的には、第1電流路11の他端11bは、第1コネクタ5と第2コネクタ6とが正常に嵌合した状態において、第3電流路13の一端13aと接続する。第1電流路11の具体的な構成については、後述する。
【0037】
第2電流路12は、導通検査対象物2が有する3つの電気的接続装置4のそれぞれに対応して設けられている。すなわち、本実施形態では、3つの第2電流路12が設けられている。第2電流路12は、図1に示すように、回路基板3と第1コネクタ5との間に跨って形成された電流路である。第2電流路12では、その一端12aが、詳しくは後述するPICマイコン45の第2端子45bに接続されている。一方、第2電流路12では、他端12bが、第2コネクタ6に設けられた第3電流路13の他端13bと接続可能である。具体的には、第2電流路12の他端12bは、第1コネクタ5と第2コネクタ6とが正常に嵌合した状態において、第3電流路13の他端13bと接続する。第2電流路12の具体的な構成については、後述する。
【0038】
第3電流路13は、3つの電気的接続装置4のそれぞれが有する各第2コネクタ6に設けられた電流路である。すなわち、本実施形態では、3つの第3電流路13が設けられている。第3電流路13では、第1コネクタ5と第2コネクタ6とが正常に嵌合した状態において、その一端13aが第1電流路11の他端11bと接続する一方、その他端13bが第2電流路12の他端12bと接続する。第3電流路13の具体的な構成については、後述する。
【0039】
図2は、図1に示す電気的接続装置4の斜視図であって、該電気的接続装置4が有する2つのコネクタ5,6が嵌合してない状態を示す図である。また、図3は、図2において、各コネクタ5,6が有するハウジング21,31の図示を省略して示す図であって、図3(A)は、両コネクタ5,6が嵌合する前の状態を示す図、図3(B)は両コネクタ5,6の嵌合が完了した状態を示す図、である。電気的接続装置4は、2つのコネクタ5,6が互いに嵌合することにより、両者が電気的に接続するように構成されている。なお、図2及び図3では、回路基板3の一部のみを図示している。
【0040】
なお、以下では、図2及び図3において、説明の便宜上、前と記載された矢印が指示する方向を前側又は前方と称し、後と記載された矢印が指示する方向を後側又は後方と称し、右と記載された矢印が指示する方向を右側と称し、左と記載された矢印が指示する方向を左側と称し、上と記載された矢印が指示する方向を上側又は上方と称し、下と記載された矢印が指示する方向を下側又は下方と称する。
【0041】
電気的接続装置4は、図2及び図3に示すように、第1コネクタ5と、第2コネクタ6と、を備えている。
【0042】
[第1コネクタの構成]
第1コネクタ5は、図2及び図3を参照して、第1コネクタハウジング21と、5つのオス型コンタクト24〜28とを備えている。
【0043】
第1コネクタハウジング21は、開口部22を有する略箱状に形成されている。第1コネクタハウジング21は、絶縁性を有する樹脂によって一体に形成されている。第1コネクタハウジング21は、開口部22が後方を向くように、回路基板3に対して固定されている。また、第1コネクタハウジング21の上壁部には、穴状に形成された被係合部23が形成されている。この被係合部23には、第1コネクタ5と第2コネクタ6とが嵌合した状態において、第2コネクタハウジング31のロック爪31aが係合する。
【0044】
各オス型コンタクト24〜28は、金属部材によって棒状に形成された部品である。各オス型コンタクト24〜28は、先端部分29aが後方へ向かうように、基端部分29bが回路基板3に形成された貫通孔部に貫通した状態で該回路基板3に対して半田付けにより固定される。各オス型コンタクト24〜28は、第2コネクタハウジング21の底部を上下方向に貫通し、その先端側の部分が第2コネクタハウジング21内に収容される。
【0045】
オス型コンタクト28は、図3を参照して、回路基板3に形成された第1電流ライン14と電気的に接続されている。第1電流ライン14は、プリント配線によって構成されている。第1電流ライン14の一端14aは、オス型コンタクト28の基端部分29bに接続されている。一方、第1電流ライン14の他端は、第1電流路11の一端11aとして設けられていて、図1に示すように、PICマイコン45の第1端子45aに接続されている。本実施形態では、オス型コンタクト28及び第1電流ライン14によって、第1電流路11が構成される。なお、図3では、第1電流路11を破線で模式的に示している。
【0046】
オス型コンタクト24は、図3を参照して、回路基板3に形成された第2電流ライン15と電気的に接続されている。第2電流ライン15は、プリント配線によって構成されている。第2電流ライン15の一端15aは、オス型コンタクト24の基端部分29bに接続されている。一方、第2電流ライン15の他端は、第2電流路12の一端12aとして設けられていて、図1に示すように、PICマイコン45の第2端子45bに接続されている。本実施形態では、オス型コンタクト24及び第2電流ライン15によって、第2電流路12が構成される。なお、図3では、第2電流路12を破線で模式的に示している。
【0047】
[第2コネクタの構成]
第2コネクタ6は、図2及び図3を参照して、第1コネクタハウジング31と、5つのメス型コンタクト34〜38とを備えている。
【0048】
第2コネクタハウジング31は、絶縁性を有する樹脂によって一体に形成された略直方体状の部材である。第2コネクタハウジング31内には、左右方向に並ぶ5つのコンタクト収容部が設けられていて、各コンタクト収容部にはメス型コンタクト34〜38が収容されている。また、第2コネクタハウジング31の上壁部には、ロック爪31aが形成されている。このロック爪31aは、第1コネクタ5と第2コネクタ6とが嵌合した状態において、第1コネクタ5が有する第1コネクタハウジング21に形成された穴状の被係合部23に嵌まり込む。これにより、第1コネクタ5と第2コネクタ6とが嵌合した状態において、第2コネクタ6が第1コネクタ5から抜けてしまうことを防止できる。
【0049】
各メス型コンタクト34〜38は、図3(A)を参照して、前後方向に延びる略筒状に形成されたメスコンタクト部41と、短絡用ケーブル19及び導電用ケーブルCにかしめられる部分であるかしめ部42とを有し、これらが一体に形成されている。各メス型コンタクト34〜38のうち、第2コネクタハウジング31における左右両端側に配置されるメス型コンタクト34,38には、図3に示すように、短絡用ケーブル19の両端がかしめられている。一方、それ以外のメス型コンタクト35,36,37には、図3に示すように、導電用ケーブルCの一端部がかしめられている。
【0050】
短絡用ケーブル19は、比較的長さが短いケーブル部材で構成されている。短絡用ケーブル19は、各端部が、メス型コンタクト34,38のそれぞれに接続されている。この短絡用ケーブル19は、メス型コンタクト34,38とともに、第3電流路13を形成する。なお、図3では、第3電流路13を破線で模式的に示している。
【0051】
電気的接続装置4では、第1コネクタ5と第2コネクタ6とが嵌合することにより、各オス型コンタクト24〜28の先端部分29aが各メス型コンタクト34〜38のメスコンタクト部41内に挿入される。これにより、図3(B)に示すように、メス型コンタクト34とオス型コンタクト24とが電気的に接続され、メス型コンタクト35とオス型コンタクト25とが電気的に接続され、メス型コンタクト36とオス型コンタクト26とが電気的に接続され、メス型コンタクト37とオス型コンタクト27とが電気的に接続され、メス型コンタクト38とオス型コンタクト28とが電気的に接続される。
【0052】
上述のように、各電気的接続装置4が有する第1コネクタ5と第2コネクタ6とが嵌合することにより、PICマイコン45の第1端子45aと第2端子45bとを繋ぐ一連の検査用電流路10が形成する。この検査用電流路10は、第1電流路11、第2電流路、及び第3電流路13によって構成される。そして、本実施形態では、各電気的接続装置4が有する第1コネクタ5及び第2コネクタ6を嵌合すると、各電気的接続装置4に対応する検査用電流路10が形成される。本実施形態の導通検査対象物2は、3つの電気的接続装置4を有しているため、各第1コネクタ5と各第2コネクタ6とが嵌合することにより、各電気的接続装置4に対応する3本の検査用電流路10が形成される。
【0053】
操作表示機器50は、Bluetooth通信方式を用いて導通検査対象物2と無線通信を行うことができる。操作表示機器50としては、例えば、携帯電話、スマートフォン、携帯情報端末、或いはパーソナルコンピュータを挙げることができる。操作表示機器50には、検査指示側BTモジュール51と、該検査指示側BTモジュール51からの信号を検査対象側BTモジュール46へ送信するためのアンテナ52とが搭載されている。
【0054】
[導通検査対象物の導通検査方法]
図4は、導通検査対象物2の導通検査方法に含まれる各工程を示すフローチャートである。以下では、図1に示す導通検査システム1を用いて行われる導通検査方法について説明する。
【0055】
まず、ステップS1では、導通検査対象物2が有する各第2コネクタ6が対応する各第1コネクタ5に嵌合される。これにより、導通検査対象物2の検査準備が行われる。ここで、各コネクタ5,6が正常に嵌合されていれば、第1電流路11の他端11bと第3電流路13の一端13aとが接続され、且つ第2電流路12の他端12bと第3電流路13の他端13bとが接続される。これにより、PICマイコン45における第1端子45aと第2端子45bとを繋ぐ一連の検査用電流路10が形成される。一方、コネクタ5,6が正常に嵌合されていなければ(すなわち、半嵌合状態であれば)、その半嵌合状態のコネクタ5,6については、検査用電流路10における一部が繋がっていない状態となる。具体的には、第1電流路11の他端11bと第3電流路13の一端13aとが離間し、且つ第2電流路12の他端12bと第3電流路13の他端13bとが離間した状態となる。
【0056】
次に、ステップS2では、ユーザが、操作表示機器50を適宜、操作して、導通検査対象物2側へ検査指示信号Saを送信する。具体的には、ステップS2では、例えば一例として、ユーザが、操作表示機器50に予めインストールしておいた所定のソフトウェアを起動する。そうすると、操作表示機器50のディスプレイに検査開始ボタンが表示される。ユーザがその検査開始ボタンを選択して決定することにより、検査指示側BTモジュール51から検査対象側BTモジュール46へ検査指示信号Saが送信される。
【0057】
次に、ステップS3では、検査指示信号Saを受信した検査対象側BTモジュール46が、PICマイコン45へ、各電気的接続装置4に対して導通検査を行うように指示する。そして、ステップS3では、PICマイコン45が、各電気的接続装置4に対して導通検査を行う。具体的には、PICマイコン45は、各第1端子45a及び各第2端子45bに微小電圧を印加し、その間を流れる電流値に基づいて第1端子45a及び各第2端子45bの間の抵抗値を算出する。その抵抗値が所定値未満であれば、PICマイコン45は、電気的接続装置4が正常に嵌合していると判定する。一方、その抵抗値が所定値以上であれば、PICマイコン45は、電気的接続装置4が正常に嵌合していない、すなわち半嵌合状態であると判定する。
【0058】
次に、ステップS4では、各電気的接続装置4に対して行われた導通検査の検査結果が操作表示機器50へ通知される。具体的には、PICマイコン45で検査された各電気的接続装置4の検査結果が、検査対象側BTモジュール46から検査指示側BTモジュール51へ、Bluetooth通信方式を用いて通知される。
【0059】
最後に、ステップS5では、操作表示機器50に検査結果が表示される。具体的には、操作表示機器50のディスプレイに、各電気的接続装置4の検査結果(導通試験OK、又は導通試験NG)が表示される。
【0060】
[効果]
以上のように、本実施形態に係る導通検査システム1では、ユーザが操作表示機器50を用いて導通検査の開始を指示すると、Bluetooth通信方式を用いた無線通信によって、検査指示信号Saが、導通検査対象物2に設けられた検査対象側BTモジュール46に送信される。検査対象側BTモジュール46が検査指示信号Saを受けると、PICマイコン45が、前記検査対象側BTモジュール46からの指示を受けて、導通検査対象物2の導通検査を行う。導通検査の検査結果は、Bluetooth通信方式を用いた無線通信によって、検査対象側BTモジュール46から操作表示機器50へ通知される。操作表示機器50には、その検査結果が表示される。
【0061】
以上のように、導通検査システム1によれば、操作表示機器50を用いて導通検査の開始を指示するだけで、導通検査対象物2の導通検査が自動的に行われ、且つその検査結果を知ることができる。しかも、導通検査システム1によれば、検査を指示する側の機器である操作表示機器50と導通検査対象物とをケーブル等で接続することなく、所定の無線通信方式を用いて相互に無線接続することができる。すなわち、導通検査システム1によれば、検査を指示する側の機器50と導通検査対象物2とを物理的に接続する必要がなくなるため、導通検査を行う際の手間を省くことができる。
【0062】
従って、導通検査システム1によれば、煩雑な作業を伴うことなく検査対象の電気特性検査を行うことができる。
【0063】
また、導通検査システム1によれば、検査を指示する側の機器である操作表示機器50と導通検査対象物2とをケーブル等で接続することなく、汎用的に利用されているBluetooth通信方式を用いて相互に無線接続することができる。
【0064】
また、導通検査システム1によれば、検査対象物が有する第1コネクタ5と第2コネクタ6との嵌合状態を、煩雑な作業を伴うことなく検査することができる。
【0065】
また、導通検査システム1によれば、第1コネクタ5と第2コネクタ6とが嵌合すると、第1電流路11、第2電流路12、及び第3電流路13で構成された検査用電流路10が形成される。第1コネクタ5と第2コネクタ6とが正常に嵌合している状態では、上述した各電流路11,12,13の端部同士が接続された一続きの検査用電流路10が形成される。一方、第1コネクタ5と第2コネクタ6とが正常に嵌合していない状態では、上述した検査用電流路10の一部(具体的には、第1電流路11の他端11bと第3電流路13の一端13aとの間、又は第2電流路12の他端12bと第3電流路13の他端13bとの間)が開放された状態となる。このような検査用電流路10の両端(具体的には、第1電流路11の一端11a及び第2電流路12の一端12a)に対して導通検査を行うと、2つのコネクタ5,6が正常に嵌合している場合には微小な抵抗値が検出される。一方、2つのコネクタが半嵌合状態である場合には抵抗値が大きくなる。すなわち、導通検査システム1によれば、その抵抗値に応じて導通の有無を判定することで、一対のコネクタ5,6の嵌合状態を適切に検査することができる。
【0066】
また、導通検査システム1の導通検査対象物2は、複数の第1コネクタ5及び複数の第2コネクタ6を有していて、一対のコネクタ5,6のそれぞれについて導通検査される。すなわち、導通検査システム1によれば、いずれのコネクタ5,6が半嵌合状態であるかを特定することができる。
【0067】
また、導通検査システム1によれば、汎用的に用いられているケーブルを用いて、第3電流路13を容易に形成することができる。
【0068】
また、導通検査システム1によれば、操作表示機器50を備えた電気特性検査システムを構成することができる。
【0069】
また、上述した導通検査方法では、ユーザが操作表示機器50を用いて導通検査の開始を指示すると、Bluetooth通信方式を用いた無線通信によって、検査指示信号Saが、導通検査対象物2に設けられた検査対象側BTモジュール46に送信される。検査対象側BTモジュール46が検査指示信号Saを受けると、PICマイコン45が、前記検査対象側BTモジュール46からの指示を受けて、導通検査対象物2の導通検査を行う。導通検査の検査結果は、Bluetooth通信方式を用いた無線通信によって、検査対象側BTモジュール46から操作表示機器50へ通知される。操作表示機器50には、その検査結果が表示される。
【0070】
以上のように、上述した導通検査方法によれば、操作表示機器50を用いて導通検査の開始を指示するだけで、導通検査対象物2の導通検査が自動的に行われ、且つその検査結果を知ることができる。しかも、上述した導通検査方法によれば、検査を指示する側の機器である操作表示機器50と導通検査対象物とをケーブル等で接続することなく、汎用的に利用されているBluetooth通信方式を用いて相互に無線接続することができる。すなわち、上述した導通検査方法によれば、検査を指示する側の機器50と導通検査対象物2とを物理的に接続する必要がなくなるため、導通検査を行う際の手間を省くことができる。
【0071】
従って、この方法によると、煩雑な作業を伴うことなく検査対象の電気特性検査を行うことができる。
【0072】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0073】
(1)図5は、変形例に係る導通検査システム1aの模式図である。上記実施形態に係る導通検査システム1では、導通検査対象物2に設けられた各電気的接続装置4に対して導通検査を行ったが、これに限らない。本変形例に係る導通検査システム1aでは、導通検査対象物2aに設けられた複数の電気的接続装置4のそれぞれが全て正常に嵌合した状態において、これら全ての電気的接続装置4について纏めて導通検査が行われる。
【0074】
本変形例に係る導通検査システム1aは、上記実施形態に係る導通検査システム1aと比べて、検査用電流路10aの構成が異なっている。上記実施形態では、各電気的接続装置4が正常に嵌合した状態において、各電気的接続装置4に対応する検査用電流路10が形成された。これに対して、本変形例では、各電気的接続装置4が正常に嵌合した状態において、全ての電気的接続装置4に跨る1本の検査用電流路10aが形成される。
【0075】
具体的には、本変形例に係る導通検査システム1aは、図5を参照して、第1電流路16、第2電流路17、及び複数の第3電流路60,61,62,63,64を有している。
【0076】
第1電流路16は、回路基板3aと第1電気的接続装置4aの第1コネクタ5とに跨って形成された一続きの電流路である。第1電流路16の一端16aは、PICマイコン45の第1端子45aに接続されている。一方、第1電流路16の他端16bは、第1電気的接続装置4aが正常に嵌合した状態において、第3電流路60の一端60aと接続されている。第1電流路16は、例えば一例として、回路基板3aに形成されたプリント配線と、電気的接続装置4aの第1コネクタ5が有するオス型コンタクトとによって形成される。
【0077】
第2電流路17は、回路基板3aと第3電気的接続装置4cの第1コネクタ5とに跨って形成された一続きの電流路である。第2電流路17の一端17aは、PICマイコン45の第2端子45bに接続されている。一方、第2電流路17の他端17bは、第3電気的接続装置4cが正常に嵌合した状態において、第3電流路64の他端64bと接続されている。第2電流路17は、例えば一例として、回路基板3aに形成されたプリント配線と、第3電気的接続装置4cの第1コネクタ5が有するオス型コンタクトとによって形成される。
【0078】
第3電流路60は、第1電気的接続装置4aの第2コネクタ6に設けられた一続きの電流路である。第3電流路60の一端60aは、第1電気的接続装置4aが正常に嵌合した状態において、第1電流路16の他端16bと接続されている。一方、第3電流路60の他端60bは、第1電気的接続装置4aが正常に嵌合した状態において、第3電流路61の一端61aと接続されている。第3電流路60は、例えば一例として、上記実施形態の場合と同じように、第1電気的接続装置4aの第2コネクタ6が有する短絡用ケーブルと、該短絡用ケーブルの両端部に設けられた2つのメス型コンタクトとによって形成される。
【0079】
第3電流路61は、第1電気的接続装置4aの第1コネクタ5と、回路基板3aと、第2電気的接続装置4bの第1コネクタ5とに跨って形成された一続きの電流路である。第3電流路61の一端61aは、第1電気的接続装置4aが正常に嵌合した状態において、第3電流路60の他端60bと接続されている。一方、第3電流路61の他端61bは、第2電気的接続装置4bが正常に嵌合した状態において、第3電流路62の一端62aと接続されている。第3電流路61は、例えば一例として、第1電気的接続装置4aの第1コネクタ5が有するオス型コンタクトと、第2電気的接続装置4bの第1コネクタ5が有するオス型コンタクトと、これら2つのオス型コンタクトを電気的に接続する、回路基板3aに形成されたプリント配線と、によって形成される。
【0080】
第3電流路62は、第2電気的接続装置4bの第2コネクタ6に設けられた一続きの電流路である。第3電流路62の一端62aは、第2電気的接続装置4bが正常に嵌合した状態において、第3電流路61の他端61bと接続されている。一方、第3電流路62の他端62bは、第2電気的接続装置4bが正常に嵌合した状態において、第3電流路63の一端63aと接続されている。第3電流路62は、例えば一例として、上記実施形態の場合と同じように、第2電気的接続装置4bの第2コネクタ6が有する短絡用ケーブルと、該短絡用ケーブルの両端部に設けられた2つのメス型コンタクトとによって形成される。
【0081】
第3電流路63は、第2電気的接続装置4bの第1コネクタ5と、回路基板3aと、第3電気的接続装置4cの第1コネクタ5とに跨って形成された一続きの電流路である。第3電流路63の一端63aは、第2電気的接続装置4bが正常に嵌合した状態において、第3電流路62の他端62bと接続されている。一方、第3電流路63の他端63bは、第3電気的接続装置4cが正常に嵌合した状態において、第3電流路64の一端64aと接続されている。第3電流路63は、例えば一例として、第2電気的接続装置4bの第1コネクタ5が有するオス型コンタクトと、第3電気的接続装置4cの第1コネクタ5が有するオス型コンタクトと、これら2つのオス型コンタクトを電気的に接続する、回路基板3aに形成されたプリント配線と、によって形成される。
【0082】
第3電流路64は、第3電気的接続装置4cの第2コネクタ6に設けられた一続きの電流路である。第3電流路64の一端64aは、第3電気的接続装置4cが正常に嵌合した状態において、第3電流路63の他端63bと接続されている。一方、第3電流路64の他端64bは、第3電気的接続装置4cが正常に嵌合した状態において、第2電流路17の他端17bと接続されている。第3電流路64は、例えば一例として、上記実施形態の場合と同じように、第3電気的接続装置4cの第2コネクタ6が有する短絡用ケーブルと、該短絡用ケーブルの両端部に設けられた2つのメス型コンタクトとによって形成される。
【0083】
[導通検査対象物の導通検査方法]
図6は、変形例に係る導通検査システム1が有する導通検査対象物2aの導通検査方法に含まれる各工程を示すフローチャートである。以下では、図5に示す導通検査システム1を用いて行われる導通検査方法について説明する。
【0084】
図5に示す導通検査システム1を用いて行われる導通検査方法でも、上記実施形態の場合と同様、導通検査対象物2aが有する各第2コネクタ6が対応する各第1コネクタ5に嵌合され(ステップS1)、その後、ユーザが操作表示機器50を適宜操作することにより、導通検査対象物2a側へ検査指示信号Saが送信される(ステップS2)。
【0085】
次に、ステップS3では、PICマイコン45が、第1端子45a及び第2端子45bに微小電圧を印加し、その間を流れる電流値に基づいて第1端子45a及び第2端子45bの間の抵抗値を算出する。その抵抗値が所定値未満であれば、PICマイコン45は、全ての電気的接続装置4a,4b,4cが正常に嵌合していると判定する。一方、その抵抗値が所定値以上であれば、PICマイコン45は、少なくともいずれかの電気的接続装置4a,4b,4cが正常に嵌合していない、すなわち半嵌合状態であると判定する。
【0086】
そして、ステップS4では、上記実施形態の場合と同様、導通検査対象物2aに対して行われた導通検査の検査結果が操作表示機器50へ通知され、最後に、ステップS5では、その導通検査の検査結果が、操作表示機器50のディスプレイに表示される。
【0087】
以上のように、本変形例に係る導通検査システム1aによれば、上記実施形態の場合と同様、Bluetooth通信方式を用いた無線通信によって、操作表示機器50から導通検査対象物2aへ導通検査の開始を指示することができる。従って、煩雑な作業を伴うことなく検査対象の電気特性検査を行うことができる。
【0088】
また、導通検査システム1aによれば、複数の第1コネクタ5と複数の第2コネクタ6とが嵌合すると、第1電流路16、第2電流路17、及び複数の第3電流路60,61,62,63,64で構成された導通検査用の電流路10aが形成される。全ての第1コネクタ5と第2コネクタ6とが正常に嵌合している状態では、上述した各電流路の端部同士が接続された一続きの検査用電流路10aが形成される。一方、導通検査対象物2aが有する複数の第1コネクタ5及び複数の第2コネクタ6のうちいずれか1つでも正常に嵌合していない状態では、上述した検査用電流路10の一部が開放された状態となる。このような検査用電流路10の両端(具体的には、第1電流路16の一端16a及び第2電流路17の一端17a)に対して導通検査を行うと、全てのコネクタ5,6が正常に嵌合している場合には微小な抵抗値が検出される。一方、複数のコネクタ5,6のうちいずれか1つでも半嵌合状態である場合には抵抗値が大きくなる。すなわち、導通検査システム1aによれば、複数のコネクタ5,6の嵌合状態を一度に纏めて検査することができる。
【0089】
(2)図7は、変形例に係る電気特性検査システム1bの模式図である。上記実施形態に係る導通検査システム1では、電気的接続装置4の嵌合状態を検査したが、これに限らない。本変形例に係る電気特性検査システム1bでは、検査対象物2bの回路基板3bに設けられた電気回路部7の電気特性が検査される。具体的には、例えば一例として、PICマイコン45の端子45c,45dと、電気回路部7における所定の端子65a,65bとを電気的に接続し、端子65a及び端子65bの間の抵抗値を測定することにより、電気回路部7が有する各実装部品が正しく実装されているかどうかを判定することができる。
【0090】
(3)図8は、変形例に係る電気特性検査システム1cの模式図である。図7を用いて説明した電気特性検査システム1bでは、1つの回路基板3cに設けられた電気回路部7の電気特性を検査する例を挙げて説明したが、これに限らない。
【0091】
図8に示す電気特性検査システム1cでは、検査対象物2cが複数の回路基板3c,3d,3eを有していて、各回路基板3c,3d,3eには、電気回路部7a,7b,7cが設けられている。また、本変形例におけるPICマイコン45の各端子45c,45dは、各電気回路部7a,7b,7cに設けられた所定の端子65a,65bと電気的に接続されている。
【0092】
そして、本変形例に係る電気特性検査システム1cでは、ユーザが操作表示機器50を用いて電気特性検査の開始を指示すると、PICマイコン45が、各電気回路部7a,7b,7cの電気特性検査を行う。具体的には、例えば一例として、PICマイコン45が各電気回路部7a,7b,7cの端子65a及び端子65bの間の抵抗値を測定する。これにより、各電気回路部7a,7b,7cが有する各実装部品が正しく実装されているかどうかを判定することができる。
【0093】
(4)図9は、変形例に係る電気特性検査システム1dの模式図である。図7を用いて説明した電気特性検査システム1bでは、1つの回路基板3cに設けられた電気回路部7の電気的特性を検査する例を挙げて説明したが、これに限らない。
【0094】
図9に示す電気特性検査システム1dでは、検査対象物2dが複数の回路基板3c,3d,3eを有している。各回路基板3c,3d,3eには、検査対象側BTモジュール46、アンテナ47、PICマイコン45、及び電気回路部7d,7e,7fが設けられている。本変形例におけるPICマイコン45の各端子45c,45dは、各電気回路部7a,7b,7cに設けられた所定の端子65a,65bと電気的に接続されている。
【0095】
そして、本変形例に係る電気特性検査システム1dでは、ユーザが操作表示機器50を用いて電気特性検査の開始を指示すると、各PICマイコン45が対応する各電気回路部7d,7e,7fの電気特性検査を行う。具体的には、回路基板3fに設けられたPICマイコン45が、電気回路部7dの端子65a,65b間の抵抗値を測定し、回路基板3gに設けられたPICマイコン45が、電気回路部7eの端子65a,65b間の抵抗値を測定し、回路基板3hに設けられたPICマイコン45が、電気回路部7fの端子65a,65b間の抵抗値を測定する。これにより、各電気回路部7d,7e,7fが有する各実装部品が正しく実装されているかどうかを判定することができる。
【0096】
(5)上述した実施形態では、図3(A)を参照して、第2コネクタ6に設けられる第3電流路13の一部として、短絡用ケーブル19を用いる例を挙げて説明したが、これに限らない。具体的には、例えば一例として、短絡用ケーブル19に代えて、プレス加工等によって形成された金属部材を用いてもよい。このように、第3電流路13の一部として金属部材を採用すれば、金属部材をプレス加工によって形成することにより、所望の形状を有する第3電流路を容易に形成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明は、検査対象物の電気特性検査を行うための電気特性検査システム、及び電気特性検査方法に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0098】
1,1a 導通検査システム(電気特性検査システム)
1b,1c,1d 電気特性検査システム
2,2a 導通検査対象物(検査対象物)
2b,2c,2d 検査対象物
45 PICマイコン(検査制御部)
46 検査対象側BTモジュール(無線通信用モジュール)
50 操作表示機器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9