特許第6961199号(P6961199)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6961199
(24)【登録日】2021年10月15日
(45)【発行日】2021年11月5日
(54)【発明の名称】濁水処理装置及び濁水処理方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 21/00 20060101AFI20211025BHJP
   B01D 21/01 20060101ALI20211025BHJP
   B01D 21/30 20060101ALI20211025BHJP
   B01F 3/08 20060101ALI20211025BHJP
   C02F 1/56 20060101ALI20211025BHJP
   B01F 5/00 20060101ALI20211025BHJP
【FI】
   B01D21/00 A
   B01D21/01 C
   B01D21/30 Z
   B01D21/30 F
   B01D21/01 107A
   B01D21/01 107B
   B01F3/08 Z
   C02F1/56 Z
   B01F5/00 G
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-248831(P2016-248831)
(22)【出願日】2016年12月22日
(65)【公開番号】特開2018-103064(P2018-103064A)
(43)【公開日】2018年7月5日
【審査請求日】2019年12月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】519453319
【氏名又は名称】株式会社ONOテック
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(72)【発明者】
【氏名】小野 敏彦
(72)【発明者】
【氏名】松尾 俊彦
(72)【発明者】
【氏名】中村 史彦
【審査官】 高橋 成典
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/038537(WO,A1)
【文献】 実開昭62−020606(JP,U)
【文献】 特開2010−046634(JP,A)
【文献】 特開2015−054284(JP,A)
【文献】 特開2012−223764(JP,A)
【文献】 特開2002−058908(JP,A)
【文献】 特開平03−080902(JP,A)
【文献】 特開2003−145168(JP,A)
【文献】 米国特許第04092013(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0259551(US,A1)
【文献】 米国特許第04345841(US,A)
【文献】 特開2006−167600(JP,A)
【文献】 特開2009−107613(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 21/01
C02F 1/52 − 1/56
B01F 1/00 − 5/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
懸濁物質を凝集させる液状水溶性の液状凝集剤及び液状pH調整剤を濁水に混合する混合機が備えられ、
前記混合機は、内部に柱状の混合空間を有するとともに、
前記柱状の混合空間の下部には、
平面視放射方向に対して交差する交差方向から前記濁水を流入させる下部濁水流入部
前記平面視放射方向に対して交差する交差方向から前記液状凝集剤を流入させる下部液状凝集剤流入部、及び
前記平面視放射方向に対して交差する交差方向から前記液状pH調整剤を流入させる下部液状pH調整剤流入部が備えられるとともに、
前記液状凝集剤が混合された濁水を前記混合空間の上部より流出させる上部流出部が備えられ、
前記下部濁水流入部と、前記下部液状凝集剤流入部及び下部液状pH調整剤流入部とは、前記混合空間の中心に対する点対称な位置及び向きで配置され、
前記液状凝集剤は、カチオン性の高分子凝集剤溶液、及びアニオン性の高分子凝集剤溶液であり、
前記下部液状凝集剤流入部が、カチオン性の高分子凝集剤溶液、及びアニオン性の高分子凝集剤溶液に対応して2本設けられるとともに、
前記下部液状pH調整剤流入部及び2本の前記下部液状凝集剤流入部は、同じ向きで上下方向に並んで配置され、
前記下部濁水流入部は、前記下部液状pH調整剤流入部及び2本の前記下部液状凝集剤流入部より太径で形成され、
前記下部濁水流入部から供給された前記濁水は、前記混合空間において、渦が生じて旋回しながら上昇し、
前記下部液状凝集剤流入部から供給された前記液状凝集剤及び前記下部液状pH調整剤流入部から供給された前記液状pH調整剤は、前記混合空間において、旋回しながら上昇する前記濁水に添加され、
該混合機で処理薬剤及び前記液状pH調整剤が混合された前記濁水において、前記液状pH調整剤によってpH調整されるとともに、前記液状凝集剤によって凝集した沈殿物を沈殿させる
濁水処理装置。
【請求項2】
前記混合機が複数設けられた
請求項1に記載の濁水処理装置。
【請求項3】
前記混合機で前記処理薬剤が混合された前記濁水を貯留する沈殿槽が備えられた
請求項1又は2に記載の濁水処理装置。
【請求項4】
前記液状pH調整剤を前記混合機に対して供給するpH調整剤供給ポンプ、
前記液状凝集剤を前記混合機に対して供給する凝集剤供給ポンプ、
前記沈殿槽におけるpHを測定するpH測定手段、
少なくとも前記pH調整剤供給ポンプ、及び前記pH測定手段が接続され、少なくとも前記pH調整剤供給ポンプの稼働を制御する制御部が備えられた
請求項に記載の濁水処理装置。
【請求項5】
懸濁物質を凝集させる液状水溶性の液状凝集剤を混合機において濁水に混合する混合工程と、
該混合機で処理薬剤が混合された前記濁水において前記液状凝集剤によって凝集した沈殿物を沈殿させる沈殿工程とを行い、
前記混合機は、内部に柱状の混合空間を有するとともに、
前記柱状の混合空間の下部には、
平面視放射方向に対して交差する交差方向から前記濁水を流入させる下部濁水流入部
平面視放射方向に対して交差する交差方向から前記液状凝集剤を流入させる下部液状凝集剤流入部、及び
前記平面視放射方向に対して交差する交差方向から液状pH調整剤を流入させる下部液状pH調整剤流入部が備えられるとともに、
前記液状凝集剤が混合された濁水を前記混合空間の上部より流出させる上部流出部が備えられ、
前記下部濁水流入部と、前記下部液状凝集剤流入部及び下部液状pH調整剤流入部とは、前記混合空間の中心に対する点対称な位置及び向きで配置され、
前記液状凝集剤は、カチオン性の高分子凝集剤溶液、及びアニオン性の高分子凝集剤溶液であり、
前記下部液状凝集剤流入部が、カチオン性の高分子凝集剤溶液、及びアニオン性の高分子凝集剤溶液に対応して2本設けられるとともに、
前記下部液状pH調整剤流入部及び2本の前記下部液状凝集剤流入部は、同じ向きで上下方向に並んで配置され、
前記下部濁水流入部は、前記下部液状pH調整剤流入部及び2本の前記下部液状凝集剤流入部より太径で形成され、
前記混合工程において、
前記下部濁水流入部から供給された前記濁水は、前記混合空間において、渦が生じて旋回しながら上昇し、
前記下部液状凝集剤流入部から供給された前記液状凝集剤及び前記下部液状pH調整剤流入部から供給された前記液状pH調整剤は、前記混合空間において、旋回しながら上昇する前記濁水に添加
濁水処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、濁水に含まれる不純物である懸濁物質を沈殿させて固液分離する濁水処理装置及び濁水処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば、トンネル工事やコンクリート構造物解体工事などの建設工事では、大量かつ高濃度の泥水や排水などの濁水が発生する。このような濁水は、大量の不純物、つまり懸濁物質を含有しているため、このまま排出することができず、固液分離処理を施して、所定の排出基準を満足させて排出することになる。また、このような固液分離処理は、土木・建築分野のみならず、食品産業・化学工業などの生産プロセスにおける排水・廃液処理などの処理プロセスまで至る幅広い分野で用いられている。
【0003】
なお、このような濁水の処理方法や処理装置は、処理する懸濁物質の性状や目的に応じて、デカンタ型や分離板型などの遠心機、遠心ろ過型、真空ろ過型、あるいは加圧ろ過型などのろ過機、あるいは圧搾型の圧搾機など様々な方法及び装置が用いられている。
【0004】
例えば、特許文献1に記載の濁水処理装置および濁水処理方法もそのひとつである。特許文献1に記載の濁水処理装置および濁水処理方法は、排水の懸濁度を測定し、測定した懸濁度に応じて所定量の無機系粉末凝集剤を添加して、排水と無機系粉末凝集剤とを撹拌して混合し(以下において混合撹拌という)、沈殿した凝集物を送出する。
【0005】
しかし、このように、濁水である排水に無機系粉末凝集剤を添加して、排水と無機系粉末凝集剤とを混合撹拌して懸濁物質を凝集させるため、排水と無機系粉末凝集剤とを混合撹拌するためや、懸濁物質を凝集させた凝集物(フロック)を沈殿させるための大規模なタンクや水槽が必要となり、装置全体が大型化するとともに、処理に時間がかかるといった問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−336602号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで本発明では、懸濁物質を含有する濁水を省スペースで迅速に固液分離できる濁水処理装置及び濁水処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、懸濁物質を凝集させる液状水溶性の液状凝集剤及び液状pH調整剤を濁水に混合する混合機が備えられ、前記混合機は、内部に柱状の混合空間を有するとともに、前記柱状の混合空間の下部には、平面視放射方向に対して交差する交差方向から前記濁水を流入させる下部濁水流入部、前記平面視放射方向に対して交差する交差方向から前記液状凝集剤を流入させる下部液状凝集剤流入部、及び前記平面視放射方向に対して交差する交差方向から前記液状pH調整剤を流入させる下部液状pH調整剤流入部が備えられるとともに、前記液状凝集剤が混合された濁水を前記混合空間の上部より流出させる上部流出部が備えられ、前記下部濁水流入部と、前記下部液状凝集剤流入部及び下部液状pH調整剤流入部とは、前記混合空間の中心に対する点対称な位置及び向きで配置され、前記液状凝集剤は、カチオン性の高分子凝集剤溶液、及びアニオン性の高分子凝集剤溶液であり、前記下部液状凝集剤流入部が、カチオン性の高分子凝集剤溶液、及びアニオン性の高分子凝集剤溶液に対応して2本設けられるとともに、前記下部液状pH調整剤流入部及び2本の前記下部液状凝集剤流入部は、同じ向きで上下方向に並んで配置され、前記下部濁水流入部は、前記下部液状pH調整剤流入部及び2本の前記下部液状凝集剤流入部より太径で形成され、前記下部濁水流入部から供給された前記濁水は、前記混合空間において、渦が生じて旋回しながら上昇し、前記下部液状凝集剤流入部から供給された前記液状凝集剤及び前記下部液状pH調整剤流入部から供給された前記液状pH調整剤は、前記混合空間において、旋回しながら上昇する前記濁水に添加され、該混合機で処理薬剤及び前記液状pH調整剤が混合された前記濁水において、前記液状pH調整剤によってpH調整されるとともに、前記液状凝集剤によって凝集した沈殿物を沈殿させる濁水処理装置であることを特徴とする。
【0009】
あるいは、この発明は、懸濁物質を凝集させる液状水溶性の液状凝集剤を混合機において濁水に混合する混合工程と、該混合機で処理薬剤が混合された前記濁水において前記液状凝集剤によって凝集した沈殿物を沈殿させる沈殿工程とを行い、前記混合機は、内部に柱状の混合空間を有するとともに、前記柱状の混合空間の下部には、平面視放射方向に対して交差する交差方向から前記濁水を流入させる下部濁水流入部平面視放射方向に対して交差する交差方向から前記液状凝集剤を流入させる下部液状凝集剤流入部、及び前記平面視放射方向に対して交差する交差方向から前記液状pH調整剤を流入させる下部液状pH調整剤流入部が備えられるとともに、前記液状凝集剤が混合された濁水を前記混合空間の上部より流出させる上部流出部が備えられ、前記下部濁水流入部と、前記下部液状凝集剤流入部及び下部液状pH調整剤流入部とは、前記混合空間の中心に対する点対称な位置及び向きで配置され、前記液状凝集剤は、カチオン性の高分子凝集剤溶液、及びアニオン性の高分子凝集剤溶液であり、前記下部液状凝集剤流入部が、カチオン性の高分子凝集剤溶液、及びアニオン性の高分子凝集剤溶液に対応して2本設けられるとともに、前記下部液状pH調整剤流入部及び2本の前記下部液状凝集剤流入部は、同じ向きで上下方向に並んで配置され、前記下部濁水流入部は、前記下部液状pH調整剤流入部及び2本の前記下部液状凝集剤流入部より太径で形成され、前記混合工程において、前記下部濁水流入部から供給された前記濁水は、前記混合空間において、渦が生じて旋回しながら上昇し、前記下部液状凝集剤流入部から供給された前記液状凝集剤及び前記下部液状pH調整剤流入部から供給された前記液状pH調整剤は、前記混合空間において、旋回しながら上昇する前記濁水に添加る濁水処理方法であることを特徴とする。
【0010】
上記液状凝集剤は、液状のみならず、粉体でない水溶性の流体状であればゲル状であってもよい。
上記濁水は、懸濁物質を含有する汚水、排水、廃液あるいは処理水であってもよい。
上記沈殿物は、懸濁物質の凝集物であり、フロックとも呼ばれる。
【0011】
上記カチオン性の高分子凝集剤溶液は分子中にカチオン基を有する高分子凝集剤の溶液であり、アニオン性の高分子凝集剤溶液は分子中にアニオン基を有する高分子凝集剤の溶液である。より詳しくは、カチオン基を有する高分子凝集剤はメタアクリル酸エステル系の高分子凝集剤やアクリル酸エステル系の高分子凝集剤であり、アニオン性の高分子凝集剤溶液はカルボン酸系の高分子凝集剤やスルホン酸系の高分子凝集剤である。
【0012】
上述のカチオン性の高分子凝集剤溶液、及びアニオン性の高分子凝集剤溶液である前記液状凝集剤は、カチオン性の高分子凝集剤溶液、及びアニオン性の高分子凝集剤溶液の混合液であってもよいし、カチオン性の高分子凝集剤溶液、及びアニオン性の高分子凝集剤溶液の2液を濁水に対して混合してもよい。
【0013】
この発明により、懸濁物質を含有する濁水を省スペースで迅速に固液分離することができる。
詳述すると、混合機において、水溶性の液状凝集剤を濁水に混合することによって、粉末状の処理薬剤を濁水に添加して混合する場合に比べて、迅速かつ効率的に濁水と処理薬剤とを混合することができる。そのため、懸濁物質の凝集作用が迅速かつ効率的に発揮され、懸濁物質が凝集した凝集物(フロック)を沈殿物として迅速に沈殿させ、固液分離することができる。
【0014】
なお、懸濁物質の凝集作用が迅速かつ効率的に発揮され、懸濁物質が凝集した凝集物(フロック)を沈殿物として迅速に沈殿させることができるため、効率的でない凝集作用により凝集物(フロック)の迅速な沈殿ができない濁水処理装置に比べ、コンパクトな装置構成でよく、省スペース化を図ることができる。
【0015】
また、前記混合機は、内部に柱状の混合空間を有するとともに、前記柱状の混合空間の下部には、平面視放射方向に対して交差する交差方向から前記濁水を流入させる下部濁水流入部、及び平面視放射方向に対して交差する交差方向から前記液状凝集剤を流入させる下部液状凝集剤流入部が備えられるとともに、前記液状凝集剤が混合された濁水を前記混合空間の上部より流出させる上部流出部が備えられ、前記下部濁水流入部、及び下部液状凝集剤流入部は、前記混合空間の中心に対する点対称な位置及び向きで配置され、前記下部濁水流入部から供給された前記濁水は、前記混合空間において、渦が生じて旋回しながら上昇し、下部液状凝集剤流入部から供給された前記液状凝集剤は、前記混合空間において、旋回しながら上昇する前記濁水に添加されるため、前記柱状の混合空間へ前記交差方向から流入させる前記濁水の流入エネルギにより、前記混合空間において、前記下部流入部から前記上部流出部に向かう、つまり下方から上方に向かう渦(旋回流)が生じ、渦(旋回流)によって、前記濁水と前記液状凝集剤とを混合空間内で効率的かつ確実に混合撹拌することができる。
【0016】
なお、このように、前記柱状の混合空間への前記濁水の流入エネルギによって生じる下方から上方に向かう渦(旋回流)によって、前記濁水と前記液状凝集剤とを混合空間内で混合するため、前記濁水と前記液状凝集剤とを混合するための別の機構やエネルギが不要となり、さらにコンパクトで簡素な濁水処理装置を構成することができる。
【0017】
また、前記液状凝集剤は、カチオン性の高分子凝集剤溶液、及びアニオン性の高分子凝集剤溶液であるため、濁水をより迅速に固液分離することができる。
詳述すると、前記濁水中に含有する懸濁物質の粒子(以下において懸濁粒子という)は粒子表面に負の電荷が帯電して互いに反発し合う、あるいは表面が水膜に覆われることで粒子同士の間隔が離れすぎているため、懸濁粒子同士に引力が作用しないなど理由により懸濁粒子を凝集することができない。
【0018】
このような状況において、陽イオン(正)であるポリ塩化アルミニウム(PAC)等を添加することによって、懸濁粒子の表面の電荷は中和され、あるいは懸濁粒子表面を覆う水膜が取り除かれることによって、懸濁粒子同士の粒子間距離が縮まり、懸濁粒子同士に引力が作用して粒子同士が結合して、つまり懸濁粒子が凝集して沈殿しやすくなる。これを凝結作用(Coagulation)という。
【0019】
しかしながら、上記凝結作用による凝結体は細かすぎて十分に沈殿できない。そこで、高分子凝集剤を添加することによって、高分子凝集剤の架橋吸着作用により、懸濁粒子同士を強い力で結合させて大きな凝集体(フロック)を形成することができる。これを架橋吸着−凝集作用(Flocculaition)という。
【0020】
これに対し、カチオン性の高分子凝集剤溶液、及びアニオン性の高分子凝集剤溶液である前記液状凝集剤は、陽イオンであるカチオン性の高分子凝集剤と陰イオンであるアニオン性の高分子凝集剤とが一度に混合撹拌されるため、懸濁粒子表面に帯電する電荷の中和作用、凝結作用並びに架橋吸着−凝集作用が生じ、結合強度が高く、より大きな凝集体(フロック)を形成することができる。したがって、凝集体(フロック)を迅速に沈殿させることができるため、濁水をより迅速に固液分離することができる。
【0021】
またこの発明の態様として、前記混合機が複数設けられてもよい。
複数の前記混合機は、すべて直列配置あるいは並列配置してもよいし、一部を直列配置し、残りを並列配置するなど、適宜の配列で配置してもよい。
【0022】
この発明により、前記濁水の処理量や、前記濁水と前記液状凝集剤との混合距離を適切に設定することができ、より確実に前記濁水を固液分離、あるいは固液分離に加えてpH調整することができる。
また、仮に、同型の混合機を複数備える場合は、様々な容量や形状の混合機を準備することなく、処理の程度に応じた適切な固液分離、あるいは固液分離に加えてpH調整することができる。
【0023】
またこの発明の態様として、前記混合機で前記処理薬剤が混合された前記濁水を貯留する沈殿槽が備えられてもよい。
この発明により、より確実に凝集体(フロック)を形成し沈殿させて、濁水をより迅速に固液分離することができる。
【0024】
またこの発明の態様として、液状pH調整剤を前記混合機に対して供給するpH調整剤供給ポンプ、前記液状凝集剤を前記混合機に対して供給する凝集剤供給ポンプ、前記沈殿槽におけるpHを測定するpH測定手段、少なくとも前記pH調整剤供給ポンプ、及び前記pH測定手段が接続され、少なくとも前記pH調整剤供給ポンプの稼働を制御する制御部が備えられてもよい。
【0025】
この発明により、前記濁水の性状や懸濁度に応じて、それぞれ適量の液状pH調整剤及び液状凝集剤を前記濁水に混合して固液分離及び適切にpH調整することができる。
詳しくは、前記液状凝集剤は、液状pH調整剤及び液状凝集剤であるため、前記濁水の性状や懸濁度に応じて、それぞれ適量の液状pH調整剤及び液状凝集剤を前記濁水に混合して固液分離及び適切にpH調整することができる。
【0026】
また、少なくとも前記pH調整剤供給ポンプ、及び前記pH測定手段が接続された前記制御部が、少なくとも前記pH調整剤供給ポンプの稼働を制御するため、前記pH測定手段による測定結果に応じた量の前記液状pH調整剤を前記濁水に混合できるため、前記濁水を適切にpH調整することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明により、懸濁物質を含有する濁水を省スペースで迅速に固液分離できる濁水処理装置及び濁水処理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】濁水処理装置の概略構成図。
図2】混合攪拌機の斜視図。
図3】混合攪拌機の説明図。
図4】混合攪拌機の配置の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
この発明の一実施形態を以下図1乃至図3と共に説明する。
図1は濁水処理装置1の概略構成図を示し、図2は混合攪拌機30の斜視図を示し、図3は混合攪拌機30の説明図を示している。
【0030】
詳しくは、図2は、混合攪拌機30の斜視図であるが、手前側の一部を切欠いて内部の混合空間Kを図示している。また、図3(a)は混合攪拌機30の下部の平面方向断面図を示し、図3(b)は別の実施形態の混合攪拌機30の下部の平面方向断面図を示している。なお、図3(b)は図3(a)に比べて縮小して図示している。
【0031】
濁水処理装置1は、制御部10、濁水タンク20、混合攪拌機30、放流水槽40、pH薬剤タンク50及び凝集剤タンク60(60a,60b)とで構成されている。
制御部10は、図示省略するCPUやメモリが備えられるとともに、各種操作を行うスイッチ等を備えた制御操作盤である。
【0032】
濁水タンク20は、懸濁物質を含有する濁水Dを、図示省略する濁水配管から流入させ、貯留するタンクである。濁水タンク20内部には、貯留された濁水DのpH値を計測する第1pHセンサ21と、濁水Dを後述する混合攪拌機30に対して濁水配管23を介して送出する濁水ポンプ22が配置されている。
【0033】
混合攪拌機30は、内部に混合空間Kを有する円筒形状であり、下部に濁水配管23、及び後述する薬剤配管52,62(62a,62b)が接続され、上部に、処理濁水D1を、後述する放流水槽40に向かって放出する放出配管31が接続されている。
【0034】
濁水配管23及び薬剤配管52,62a,62bが接続された混合攪拌機30について、図2,3とともに詳細に説明すると、混合攪拌機30の下部に接続された濁水配管23は、混合空間Kに対して、平面視方向における放射方向と交差する方向に向いて接続されている。詳しくは、図3(a)に示すように、平面視方向における放射方向に向いた濁水配管23を、放射方向に直交する方向にずらして接続されている。つまり濁水配管23は、略接線方向に向いて接続されている。
【0035】
また、凝集剤タンク60(60a,60b)の凝集剤供給ポンプ61(61a,61b)に接続された薬剤配管62(62a,62b)は、平面視方向において上述の濁水配管23と混合空間Kの中心に対する点対称な位置及び向きで接続され、pH薬剤タンク50のpH調整剤供給ポンプ51に接続された薬剤配管52は、上述の薬剤配管62(62a,62b)の上部において、薬剤配管62と同じ向きで接続されている。つまり、薬剤配管52、薬剤配管62b及び薬剤配管62aが上から順に配置されている。
【0036】
混合空間Kにおいて後述する薬剤と濁水Dとが混合撹拌された処理濁水D1として混合空間Kから放出する放出配管31は、上述の濁水配管23と同方向に向けて混合攪拌機30に接続されている。
なお、濁水配管23は、薬剤配管52や薬剤配管62より太径で形成されている。
【0037】
放流水槽40は、放出配管31を通じて混合攪拌機30から放出された処理濁水D1を貯留する水槽であり、処理濁水D1を貯留する沈殿部40aと、固液分離された上澄み水D2を貯留する上澄み部40bとが仕切り板41によって、上流側からこの順で区切られ、上澄み部40bから上澄み水D2を放出するように構成されている。なお、放流水槽40はシックナーともいう。
【0038】
なお、放流水槽40の沈殿部40aには、処理濁水D1のpH値を計測する第2pHセンサ42が配置され、放流水槽40の上澄み部40bには、上澄み水D2のpH値を計測する第3pHセンサ43が配置されている。
【0039】
液状pH調整剤Lpを収容するpH薬剤タンク50は、薬剤配管52を介して液状pH調整剤Lpを混合攪拌機30に送出するpH調整剤供給ポンプ51が配置されている。なお、本実施形態においてpH薬剤タンク50に収容する液状pH調整剤Lpは、クエン酸60%溶液を用いている。
【0040】
液状凝集剤Lgを収容する凝集剤タンク60は、薬剤配管62を介して液状凝集剤Lgを混合攪拌機30に送出する凝集剤供給ポンプ61が配置されている。なお、具体的には、本実施形態において凝集剤タンク60aにはカチオン性の高分子凝集剤溶液Lgaを収容し、凝集剤タンク60bにはアニオン性の高分子凝集剤溶液Lgbを収容している。
【0041】
より詳しくは、カチオン性の高分子凝集剤溶液Lgaは、カチオン基を有する水溶性の高分子凝集剤であり、メタアクリル酸エステル系の高分子凝集剤やアクリル酸エステル系の高分子凝集剤などで構成することができる。また、アニオン性の高分子凝集剤溶液Lgbは、アニオン基を有する水溶性の高分子凝集剤であり、カルボン酸系の高分子凝集剤やスルホン酸系の高分子凝集剤である。
【0042】
このように構成された濁水処理装置1では、第1pHセンサ21、濁水ポンプ22、第2pHセンサ42、第3pHセンサ43、pH調整剤供給ポンプ51及び凝集剤供給ポンプ61は、制御部10に接続され、制御部10によって制御されている。
詳しくは、制御部10は、第1pHセンサ21、第2pHセンサ42及び第3pHセンサ43による計測結果に応じて、濁水ポンプ22、pH調整剤供給ポンプ51及び凝集剤供給ポンプ61(61a,61b)の稼働を制御している。
【0043】
続いて、濁水処理装置1を用いた濁水Dの固液分離及びpH調整について説明する。
なお、本実施形態において、コンクリートの削孔等によって生じる削孔水を濁水Dとして、固液分離及びpH調整する場合について説明する。このような削孔水は、削孔されたコンクリートによる懸濁物質が含有されるとともに、アルカリ性を示している。
【0044】
まず、濁水タンク20に貯留された濁水DのpH値を第1pHセンサ21で計測する。第1pHセンサ21で計測した濁水DのpH値に基づいて制御部10は、濁水Dに混合する液状pH調整剤Lpの量を決定し、決定した液状pH調整剤Lpの量に基づいて、濁水ポンプ22、pH調整剤供給ポンプ51、及び凝集剤供給ポンプ61(61a,61b)を稼働する。
【0045】
制御部10の制御によって濁水ポンプ22が稼働することで濁水Dは濁水配管23を通って、混合攪拌機30に供給される。同様に、制御部10の制御によってpH調整剤供給ポンプ51が稼働することで液状pH調整剤Lpが薬剤配管52を通って混合攪拌機30に供給され、制御部10の制御によって凝集剤供給ポンプ61(61a,61b)が稼働することで液状凝集剤Lg(Lga,Lgb)が薬剤配管62(62a,62b)を通って混合攪拌機30に供給され、混合空間Kにおいて、濁水D、液状pH調整剤Lp及び液状凝集剤Lg(Lga,Lgb)が混合撹拌される(混合工程)。
【0046】
詳述すると、濁水配管23は、混合攪拌機30の下部において、混合空間Kに対して、平面視方向における放射方向と交差する方向に向いて接続されているため、混合攪拌機30に供給された濁水Dは、混合攪拌機30の混合空間Kにおいて、図2及び図3(a)に示すように、旋回しながら上昇することになる。つまり、濁水Dは、混合攪拌機30の混合空間Kにおいて渦(旋回流)が生じることになる。
【0047】
また、薬剤配管52及び薬剤配管62(62a,62b)も、濁水配管23と同様に、混合攪拌機30の下部において、混合空間Kに対して、平面視方向における放射方向と交差する方向に向いて接続されており、薬剤配管52及び薬剤配管62(62a,62b)を通って混合攪拌機30に供給された液状pH調整剤Lp及び液状凝集剤Lg(Lga,Lgb)は、混合攪拌機30の混合空間Kにおいて、旋回しながら上昇する濁水Dに添加される。
【0048】
渦(旋回流)が生じた濁水Dに添加された液状pH調整剤Lp及び液状凝集剤Lg(Lga,Lgb)は、混合空間Kにおいて濁水Dと混合撹拌され、濁水Dに液状pH調整剤Lp及びLg(Lga,Lgb)が混合され、液状pH調整剤LpによってpH調整された処理濁水D1として、放出配管31から放出され、放流水槽40の沈殿部40aに貯留される。
【0049】
沈殿部40aに貯留された処理濁水D1は、液状凝集剤Lg(Lga,Lgb)によって懸濁物質が凝集し、凝集物(フロック)を形成し、沈殿する(沈殿工程)。このように、凝集物(フロック)が形成され、沈殿する処理濁水D1のpH値を第2pHセンサ42で計測する。
【0050】
第2pHセンサ42で計測した処理濁水D1のpH値が、放出可能な所定のpH値を満足している場合、制御部10は液状pH調整剤Lpの添加量が適していると判断し、pH調整剤供給ポンプ51の稼働状態を保持する。逆に、第2pHセンサ42で計測した処理濁水D1のpH値が、放出可能な所定のpH値を満足していない場合は、制御部10は液状pH調整剤Lpの添加量が少ないと判断し、濁水Dに対する液状pH調整剤Lpの添加量が増えるように、pH調整剤供給ポンプ51の稼働を制御する。
【0051】
このような処理を繰り返することで、沈殿部40aにおける処理濁水D1の貯留量が増え、仕切り板41をオーバーフローすることになるが、このとき、処理濁水D1において懸濁物質が凝集した凝集物(フロック)が沈殿し、つまり固液分離された上澄み水D2が仕切り板41をオーバーフローして、上澄み部40bに貯留される。
【0052】
そして、上澄み部40bに貯留された上澄み水D2のpH値を第3pHセンサ43で計測し、放出可能な所定のpH値を満足していることが確認されると、上澄み部40bより上澄み水D2を放出する。逆に、上澄み部40bに貯留された上澄み水D2のpH値が、放出可能な所定のpH値を満足していない場合、上澄み部40bに貯留された上澄み水D2の放出をストップし、濁水ポンプ22の稼働量を低下させるとともに、pH調整剤供給ポンプ51の稼働量を増大させる。
【0053】
つまり、少ない量の濁水Dに対する液状pH調整剤Lpの添加量を増大させる。このように、液状pH調整剤Lpの添加量が増大した処理濁水D1が沈殿部40aに貯留することで、仕切り板41をオーバーフローする上澄み水D2のpH値が酸性となるため、上澄み部40bに貯留された上澄み水D2のpH値を、放出可能な所定のpH値に調整することができる。
【0054】
このように、濁水処理装置1は、懸濁物質を凝集させる液状水溶性の液状凝集剤Lg(Lga,Lgb)を濁水Dに混合する混合攪拌機30が備えられ、混合攪拌機30で液状凝集剤Lg(Lga,Lgb)が混合された濁水Dから、液状凝集剤Lg(Lga,Lgb)によって凝集した凝集物(フロック)を沈殿させるため、懸濁物質を含有する濁水Dを省スペースで迅速に固液分離することができる。
【0055】
詳述すると、混合攪拌機30において、水溶性の液状凝集剤Lg(Lga,Lgb)を濁水Dに混合することによって、粉末状の処理薬剤を濁水Dに添加して混合する場合に比べて、迅速かつ効率的に濁水Dと処理薬剤とを混合することができる。そのため、懸濁物質の凝集作用が迅速かつ効率的に発揮され、懸濁物質が凝集した凝集物(フロック)を迅速に沈殿させ、固液分離することができる。
【0056】
なお、懸濁物質の凝集作用が迅速かつ効率的に発揮され、懸濁物質が凝集した凝集物(フロック)を迅速に沈殿させることができるため、効率的でない凝集作用により凝集物(フロック)の迅速な沈殿ができない濁水処理装置に比べ、コンパクトな装置構成でよく、省スペース化を図ることができる。
【0057】
また、混合攪拌機30で濁水Dに液状凝集剤Lg(Lga,Lgb)を混合した処理濁水D1を貯留し、液状凝集剤Lg(Lga,Lgb)によって凝集した凝集物(フロック)を沈殿させる放流水槽40を備えているため、より確実に凝集体(フロック)を形成し沈殿させて、濁水Dをより迅速に固液分離することができる。
【0058】
また、混合攪拌機30は、内部に柱状の混合空間Kを有するとともに、柱状の混合空間Kの下部において平面視放射方向に対して交差する交差方向から液状凝集剤Lg(Lga,Lgb)及び濁水Dをそれぞれ流入させる濁水配管23及び薬剤配管62(62a,62b)、並びに処理濁水D1を混合空間Kの上部より流出させる放出配管31が備えられているため、柱状の混合空間Kへ交差方向から流入させる濁水Dの流入エネルギにより、混合空間Kにおいて、濁水配管23,薬剤配管52及び薬剤配管62(62a,62b)から放出配管31に向かう、つまり下方から上方に向かう渦(旋回流)が生じ、渦(旋回流)によって、濁水Dと液状凝集剤Lg(Lga,Lgb)とを混合空間K内で効率的かつ確実に混合することができる。
【0059】
なお、このように、柱状の混合空間Kへの濁水Dの流入エネルギによって生じる下方から上方に向かう渦(旋回流)によって、濁水Dと液状凝集剤Lg(Lga,Lgb)とを混合空間K内で混合するため、濁水Dと液状凝集剤Lg(Lga,Lgb)とを混合するための別の機構やエネルギが不要となり、さらにコンパクトで簡素な濁水処理装置1を構成することができる。
【0060】
また、液状pH調整剤Lpを混合攪拌機30に対して供給するpH調整剤供給ポンプ51、液状凝集剤Lg(Lga,Lgb)を混合攪拌機30に対して供給する凝集剤供給ポンプ61(61a,61b)、放流水槽40におけるpHを測定する第2pHセンサ42、pH調整剤供給ポンプ51、及び第2pHセンサ42が少なくとも接続され、少なくともpH調整剤供給ポンプ51の稼働を制御する制御部10が備えられているため、濁水Dの性状や懸濁度に応じて、それぞれ適量の液状pH調整剤Lp及び液状凝集剤Lg(Lga,Lgb)を濁水Dに混合して固液分離及び適切にpH調整することができる。
【0061】
詳しくは濁水Dの性状や懸濁度に応じて、それぞれ適量の液状pH調整剤Lp及び液状凝集剤Lg(Lga,Lgb)を濁水Dに混合して固液分離及び適切にpH調整することができる。
また、少なくともpH調整剤供給ポンプ51、及び第2pHセンサ42が接続された制御部10が、少なくともpH調整剤供給ポンプ51の稼働を制御するため、第2pHセンサ42による測定結果に応じた量の液状pH調整剤Lpを濁水Dに混合できるため、濁水Dを適切にpH調整することができる。
【0062】
また、液状凝集剤Lg(Lga,Lgb)としてカチオン性の高分子凝集剤溶液Lga、及びアニオン性の高分子凝集剤溶液Lgbを用いているため、陽イオンであるカチオン性の高分子凝集剤と陰イオンであるアニオン性の高分子凝集剤とが一度に混合撹拌され、懸濁粒子表面に帯電する電荷の中和作用、凝結作用並びに架橋吸着−凝集作用が生じることとなり、結合強度が高く、より大きな凝集体(フロック)を形成することができる。したがって、濁水Dをより迅速に固液分離することができる。
【0063】
さらに、カチオン性の高分子凝集剤溶液Lga、及びアニオン性の高分子凝集剤溶液Lgbの2液に対して、凝集剤供給ポンプ61及び薬剤配管62を独立して設けるため、濁水Dの性状によっては、カチオン性の高分子凝集剤溶液Lga、及びアニオン性の高分子凝集剤溶液Lgbの混合量を調整し、より確実且つ迅速に固液分離することができる。
【0064】
以上、本発明の構成と、前述の実施態様との対応において、本発明の液状凝集剤は、液状凝集剤Lg(Lga,Lgb)に対応し、以下同様に、
濁水は、濁水Dに対応し、
混合機は、混合攪拌機30に対応し、
沈殿物は、凝集物(フロック)に対応し、
沈殿槽は、放流水槽40に対応し、
濁水処理装置は、濁水処理装置1に対応し、
混合空間は、混合空間Kに対応し、
下部流入部は、濁水配管23,薬剤配管52及び薬剤配管62(62a,62b)に対応し、
液状凝集剤が混合された濁水は、処理濁水D1に対応し、
上部流出部は、放出配管31に対応し、
液状pH調整剤は、液状pH調整剤Lpに対応し、
pH調整剤供給ポンプは、pH調整剤供給ポンプ51に対応し、
凝集剤供給ポンプは、凝集剤供給ポンプ61(61a,61b)に対応し、
pH測定手段は、第2pHセンサ42に対応し、
制御部は、制御部10に対応するも、上記実施形態に限定するものではない。
【0065】
なお、上述の説明では、濁水処理装置1においてひとつの混合攪拌機30が設けられていたが、濁水Dの性状や懸濁度あるいは濁水Dの処理量によっては、複数の混合攪拌機30を設けてもよい。なお、この場合、図4(a)に示すように、複数の混合攪拌機30をすべて直列配置してもよいし、あるいは並列配置してもよい。さらには、図4(b)に示すように、一部の混合攪拌機30を直列配置し、残りの混合攪拌機30を並列配置してもよい。
【0066】
このように、濁水処理装置1に複数の混合攪拌機30を設けることにより、濁水Dの処理量や、濁水Dと液状凝集剤Lgとの混合距離(濁水Dと液状凝集剤Lgが混合される混合空間の距離)を適切に設定することができ、より確実に濁水Dを固液分離及びpH調整することができる。
また、同型の混合攪拌機30を複数備える場合は、様々な容量や形状の混合攪拌機30を準備することなく、処理の程度に応じて適切に固液分離及びpH調整することができる。
【0067】
また、上述の説明では、濁水処理装置1に放流水槽40を備え、混合攪拌機30で濁水Dに液状凝集剤Lg(Lga,Lgb)を混合した処理濁水D1を貯留し、液状凝集剤Lg(Lga,Lgb)によって凝集した凝集物(フロック)を沈殿させたが、放流水槽40を備えずに、濁水Dに液状凝集剤Lg(Lga,Lgb)を混合する混合攪拌機30にて液状凝集剤Lg(Lga,Lgb)によって凝集した凝集物(フロック)を沈殿させてもよい。
【0068】
特に、混合攪拌機30への濁水Dの流入速度が遅い場合、すなわち、処理速度が高くない場合などは、混合攪拌機30において凝集物(フロック)を沈殿させやすく好ましい。なお、濁水Dの処理量が多い場合や、確実に、混合攪拌機30において凝集物(フロック)を沈殿させて固液分離する場合には、上述したように、複数の混合攪拌機30を並列配置する、及び/又は直列配置するとよい。
【0069】
また、上述の説明では、凝集剤タンク60及び凝集剤供給ポンプ61を2つずつ備えるとともに、図2,3に示すように、混合攪拌機30に対して、2本の薬剤配管62(62a,62b)が接続され、制御部10によって凝集剤供給ポンプ61の稼働を制御して、カチオン性の高分子凝集剤溶液Lga、及びアニオン性の高分子凝集剤溶液Lgbの2液をそれぞれ濁水Dに混合したが、カチオン性の高分子凝集剤溶液Lga、及びアニオン性の高分子凝集剤溶液Lgbを混合した混合液を濁水Dに対して混合してもよい。
【0070】
また、第1pHセンサ21で計測した濁水DのpH値に基づいて制御部10が、濁水Dに混合する液状pH調整剤Lpの量を決定し、決定した液状pH調整剤Lpの量に基づいて、pH調整剤供給ポンプ51を稼働させたり、沈殿部40aに貯留された処理濁水D1のpH値を第2pHセンサ42で計測した結果や上澄み部40bに貯留された上澄み水D2のpH値を第3pHセンサ43で計測した結果に基づいて、pH調整剤供給ポンプ51の稼働量を制御部10でフィードバック制御したが、第1pHセンサ21で計測した濁水DのpH値、第2pHセンサ42で計測した処理濁水D1のpH値、あるいは第3pHセンサ43で計測した上澄み水D2のpH値に基づいて、手動で濁水Dに混合する液状pH調整剤Lpの量を決定し、pH調整剤供給ポンプ51の稼働量を、制御部10を操作して制御してもよい。
【0071】
さらにまた、上述の説明では、混合攪拌機30の下部において、薬剤配管62(62a,62b)の上部に薬剤配管52が接続されているが、図3(b)に示すように、濁水配管23、2本の薬剤配管62(62a,62b)及び薬剤配管52の4本を略同一断面状に接続してもよい。この場合、濁水配管23、薬剤配管62(62a,62b)及び薬剤配管52が周方向に均等に配置されるとよい。
【符号の説明】
【0072】
1…濁水処理装置
10…制御部
23…濁水配管
30…混合攪拌機
31…放出配管
40…放流水槽
42…第2pHセンサ
51…pH調整剤供給ポンプ
52…薬剤配管
61…凝集剤供給ポンプ
62…薬剤配管
D…濁水
D1…処理濁水
K…混合空間
Lg…液状凝集剤
Lp…液状pH調整剤
図1
図2
図3
図4