【実施例】
【0030】
次に、本発明による有害物質除去方法の具体的な実施例について、図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0031】
(実施例1)
下記の成分配合の組成物(スキンケア組成物)を下記製法に従って製造した。
<組成物成分(単位:%)>
(1)スイゼンジノリ多糖体(注) 0.05
(2)1,3−ブチレングリコール 10.00
(3)水 89.95
<製法>
上記全成分を室温で混合し、その後、80℃に加温撹拌して溶解、均一化する。その溶液を室温に戻して目的の組成物とした。
(注):特許文献8に記載されている方法によりスイゼンジノリから糖誘導体の抽出を行った。光散乱法により分子量を測定したところ分子量16,000,000であり、同一であることを確認した(実施例2,3におけるスイゼンジノリ多糖体についても同様)。
【0032】
<スキンケア組成物を塗布した肌のタバコ煙に対する防御効果の確認試験>
実施例1の組成物を男性喫煙者4名に1ヶ月間使用してもらい、使用前後の角層のカルボニル化タンパクレベルの測定を行った。特にタバコの煙が当たるであろう「頬、指、手の甲、唇」に塗布してもらい、テープストリッピング法で採取した。比較として非喫煙者の「頬、指、手の甲、唇」もテープストリッピング法で採取し測定を行った。さらに使用前後の肌状態に関するアンケートに答えてもらった。
【0033】
<カルボニル化タンパクレベルの評価方法>
テープストリッピングしたテープを一度クラフト粘着テープ(紙製のガムテープ)の非粘着面に移し、ガムテープごと角層付きテープを切り取った。ピンセットを用いてスライドグラスに切り取った角層付きテープのみを貼り付けた。キシレン(Xylene)に一晩つけてセロハンテープの粘着剤のみを溶解し、その後風乾することでスライドグラスに角層細胞のみを転写した。
【0034】
0.1mol/Lの2-morpholinoethane sulfonic acid-Na(pH5.5)緩衝溶液で 20μmol/Lの濃度になるように調整した蛍光ヒドラジド(fluorescein-5-thiosemi carbazide,Fluka Analytical社製)に上記粘着テープを浸漬させて、カルボニル化された角層タンパク質の当該カルボニル基をラベル化した。蛍光顕微鏡(緑色光)にて取得した蛍光画像データを解析し、細胞面積当たりの蛍光強度を算出して、カルボニルタンパク質レベルとした。その結果を
図1に示す。
【0035】
図1のグラフに示されるように、非喫煙者に比べ、喫煙者は有意にカルボニルタンパクの生成が増加していることが確認された。サクラン保湿液を連続使用した喫煙者の頬、指、手の甲、唇の角層のカルボニルタンパクは、使用前後で有意に低下していることが確認され、また1ヶ月間の使用で非喫煙者よりもそのカルボニルタンパクレベルが低下していた。実施例1のスキンケア組成物はタバコの煙中に含まれる活性酸素等の有害物質の侵入を効果的に防ぎ、かつ肌状態を改善していることが確認できた。
【0036】
<使用前後のアンケート>
実施例1のスキンケア組成物の塗布前後の肌状態の変化について、乾燥度合、皮脂量について下記の評価方法により、評価を行った。乾燥度合は、変化なしを1、やや改善を2、改善を3、非常に改善を4として評価してもらった。皮脂量については、変化なしを1、やや減少を2、減少を3、非常に減少を4として評価した。その結果を表1に示す。
【0037】
【表1】
表1に示すように、実施例1のスキンケア組成物の使用後には乾燥状態の改善と乾燥によって引き起こされる皮脂の過剰分泌が抑制されたという結果が得られた。
【0038】
<フィルターの煙草煙含有有害物質除去効果の確認>
(実施例2)
実施例1の組成物をバランスディッシュ(44×44×15mm)にいれたメンブレンフィルター(Merck Millipore 0.45μm JH)上に0.5g流し込み、軽く乾燥させ水分を飛ばした半乾状態のフィルムF
1を調製した。フィルムF
1を通過した煙草の煙が水にバブリングされる
図2に示されるような煙草煙の有害物質除去測定装置を用いて測定した。比較例1として水で濡らしただけのメンブレンフィルターを用いた。
ここで
図2に示される煙草有害物質除去装置は、有底円筒状で上部に2つの開口部aを有する容器Aを備え、この容器Aの内部にイオン交換水を入れ、両開口部aにチューブを繋ぎ、一方には火をつけた煙草を装着し、その途中にフィルムF
1を設置する。もう一方には送風ポンプを繋ぎ、ポンプ側に向かって吸引されていくように装着してなるものである。
そして、チューブにつないだ煙草が1本/5分の速度で吸い終わるようにポンプの流量を調整し、フィルムF
1を通過した煙草の主流煙がバブリングされた容器A内の水中に含まれる有害物質をGCMS分析により分析した。その結果を
図3に示す。
図3のグラフに示されるように、比較例1では検出されている煙草の煙に含まれる有害物質であるニコチン(検出時間14.01分)、アセトアルデヒド(検出時間1.50分)が実施例2のフィルターF
1を用いた場合ではほとんど検出されておらず、効果的に有害物質を除去していることが分かった。
【0039】
なお、GCMS分析の分析条件は以下に示すとおりである。
GC−MS装置:Thermo Fisher Scientific社製
GC分析条件
キャリア−ガス:ヘリウム 流量:1mL/min
カラム:TG−5SILMS(0.25mm I.D. × 30m × Film 0.25μm)
カラム温度:40℃(1min)‐5℃/min−80℃‐20℃/min−280℃(3min)(注入口:280℃)
スプリット比:100mL/min(100:1)
サンプル量:1.0μL
GCMS分析条件
イオン化法:EI(70eV)
トランスファーライン温度:300℃
イオン源温度:280℃
ターゲットイオン:Acetoaldehyde m/z:29,43,44
Nicotine m/z:84,133,162
【0040】
(実施例3)
実施例1の組成物を脱泡し、バランスディッシュ(44×44×15mm)に6g流し込み、40℃で20時間乾燥させて得たフィルムをF
2とする。実施例2と同様にフィルムF
2を通過した煙草の煙が水にバブリングされる
図1に示されるような煙草煙の有害物質除去測定装置を用いて測定した。比較例2として何もフィルターを設置せずに試験を行った。フィルムを通過した煙草の煙がバブリングされた容器A内の水中に含まれる有害物質をGCMS分析により分析した。その結果を
図4に示す。
図4のグラフに示されるように、比較例2では検出されている煙草煙に含まれる有害物質であるニコチン(検出時間14.01分)、アセトアルデヒド(検出時間1.50分)が実施例2のフィルターF
2を用いた場合ではほとんど検出されておらず、効果的に有害物質を除去していることが分かった。
【0041】
(実施例4)
本発明の淡水性藍藻類であるスイゼンジノリを由来とするスイゼンジノリ多糖体を含む組成物で粉体の表面処理は、特開2013−82649号公報に記載の製造実施例1に記載の方法と同様に行われたものである。スイゼンジノリ多糖体溶解液は、スイゼンジノリ多糖体0.1%と1,3−ブチレングリコール5%、水44.9%とを含んだもので、マイカと1:1で混合して処理を行った。
<表面処理粉体による煙草煙含有有害物質除去効果の確認>
実施例4の表面処理粉体をメンブレンフィルター(Merck Millipore 0.45μm JH)上に0.002gパフにて塗布したものをフィルムF
3として調製した。実施例1,2と同様にフィルムF
3を通過した煙草の主流煙が水にバブリングされる
図1に示されるような煙草煙の有害物質除去測定装置を用いて測定した。比較例3として未処理のマイカ塗布したメンブレンフィルターを用いた。フィルムF
3を通過した煙草の主流煙がバブリングされた容器A内の水中に含まれる有害物質をGCMS分析により分析した。その結果を
図5に示す。
図5のグラフに示されるように、比較例3では検出されている煙草煙に含まれる有害物質であるニコチン(検出時間14.01分)、アセトアルデヒド(検出時間1.50分)が実施例4の表面処理粉体を用いたフィルムF
3の場合ではほとんど検出されておらず、効果的に有害物質を除去していることが分かった。