特許第6961210号(P6961210)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6961210
(24)【登録日】2021年10月15日
(45)【発行日】2021年11月5日
(54)【発明の名称】キャップ及び吐出容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/20 20060101AFI20211025BHJP
   B65D 47/40 20060101ALI20211025BHJP
【FI】
   B65D47/20 111
   B65D47/40
【請求項の数】8
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-134768(P2017-134768)
(22)【出願日】2017年7月10日
(65)【公開番号】特開2019-14531(P2019-14531A)
(43)【公開日】2019年1月31日
【審査請求日】2020年5月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000220206
【氏名又は名称】東京ライト工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100189913
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜飼 健
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(72)【発明者】
【氏名】崎村 孝陽
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 昌
(72)【発明者】
【氏名】植平 庄治
(72)【発明者】
【氏名】市川 悟
【審査官】 杉田 剛謙
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−030846(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3194661(JP,U)
【文献】 特開2013−193740(JP,A)
【文献】 特開2013−244995(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0026196(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 35/44−35/54
B65D 39/00−55/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を収容し、且つ、押圧力により変形する容器本体の口部に設けられるキャップであって、
筒状の内筒、及び、前記内筒の一端に設けられ、流通口を有する底壁を含む基部と、
前記基部を覆うとともに、前記内容物を吐出するノズル部を有し、前記基部との間に弁室を構成する吐出ノズルと、
一端が閉塞する筒状の移動体、及び、前記筒状の移動体の前記底壁と対向する端部の外周面に設けられ、前記内筒の内周面と当接するリップを含み、前記弁室内に設けられ、前記弁室内を前記ノズル部側及び前記底壁側に区分けし、前記容器本体内の圧力が前記弁室の前記ノズル部側の圧力よりも高くなると、前記弁室内を前記ノズル部側へ軸方向に移動し、前記弁室の前記底壁側の容積を増加させるとともに、その後、前記リップが前記内筒の内周面から離間し、前記流通口を介する前記容器本体及び前記弁室の間の流路を連続し、前記弁室の前記ノズル部側の圧力が前記容器本体内の圧力よりも高くなると、前記リップが復元して前記内筒の内周面に当接し、前記流路を遮断するとともに、その後、前記弁室内を前記底壁側へ前記軸方向に移動し、前記弁室の前記ノズル部側の容積を増加させる、前記弁室内に設けられる逆止弁と、
を備えるキャップ。
【請求項2】
前記底壁は、前記ノズル部側の主面に立設する筒状の案内部を有する請求項1に記載のキャップ。
【請求項3】
前記底壁は開口部を有し、
前記案内部は、前記開口部に設けられ、
前記移動体は、前記案内部を覆う、請求項2に記載のキャップ。
【請求項4】
前記リップは第1リップであり、
前記逆止弁は環状の前記移動体の前記底壁と対向する端部の内周面に設けられ、前記案内部の外周面と当接する第2リップを含む、請求項2に記載のキャップ。
【請求項5】
前記吐出ノズルは、前記内筒及び前記底壁を覆う天壁部、並びに、前記天壁部の両主面から延びる筒状の前記ノズル部を有する、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のキャップ。
【請求項6】
前記移動体の前記吐出ノズルと対向する端面に設けられ、前記逆止弁の移動時に前記吐出ノズルと接触する複数の突起部を有する、請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載のキャップ。
【請求項7】
前記案内部は、先端の内周面に係合部を有し、
前記移動体は、前記案内部の外径よりも大径の内径を有する筒状の胴部、前記胴部の前記吐出ノズル側の一端に一体に設けられた底部、及び、前記底部の前記容器本体側の主面に設けられ、前記係合部と軸方向で係合する被係合部を有する複数の突起部を含む請求項3に記載のキャップ。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載のキャップと、
前記キャップが固定される前記口部を有する外容器及び前記外容器内に設けられ、前記外容器の変形に伴って変形する内容器を有する前記容器本体と、
を備えることを特徴とする吐出容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器内の圧力により開閉するキャップ及び吐出容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、収容した内容物を吐出する吐出容器として、可撓性に富んだ内容器及び当該内容器が内装された外容器を有する容器本体と、容器本体の口部に装着され、逆止弁及び吐出ノズルを有するキャップと、を備える構成が知られている。このような吐出容器は、所謂二重容器と呼ばれ、外容器に吸気弁を有し、外容器が押圧力により変形することで内容器が圧縮され、内容物を吐出ノズルから吐出する。
【0003】
また、吐出容器は、内容物を吐出後外容器の復元することで、吸気弁から外容器と内容器との間に空気が供給される。これにより、吐出容器は、内容器の復元を極力抑えて、内容器に空気が侵入することを防止する。また、吐出容器は、キャップに設けられた蓋体が閉じられ、蓋体の内面に設けられた密封リングと吐出ノズルの開口部が嵌合することで、内容器が密封される。
【0004】
しかし、このような吐出容器は、内容物を吐出した後に吐出ノズルの逆止弁が閉じると、吐出ノズル内に内容物が残存し、当該残存した内容物が吐出ノズルの先端に残り、当該先端から液だれが生じる虞があった。また、蓋体を閉じるときに、密封リングが吐出ノズルの吐出口と嵌合すると、吐出口に位置する残存した内容物が溢れ出し、キャップ内が汚れる虞があった。
【0005】
そこで、内容物を吐出した後に、吐出ノズル内に残存した内容物が漏出することを抑制する吐出容器が知られている(例えば、特許文献1参照)。この吐出容器は、吐出ノズル内に逆止弁の弁体が当接する弁座を設けるとともに、当該弁座に内容物の流通を許容する流通溝を設ける構成とすることで、中栓部材内に残留する内容物を当該流通溝から内容器内に戻す。これにより、吐出容器は、吐出ノズル内に残留した内容物による液だれやキャップの汚れを抑制する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2015−155333号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した吐出容器には、以下の問題がある。
内容物の粘度が高い場合には、中栓部材内に残留する内容物を当該流通溝から内容器内に戻すことができず内容物が吐出ノズルの開口から液だれする虞がある。また、この吐出容器は、蓋体を閉じるときに、密封リングが吐出ノズルの吐出口と嵌合すると、吐出口に残存した内容物が溢れ出し、キャップ内が汚れる虞がある。
また、内容物の粘度が低い場合には、内容器内と吐出ノズルとが流通溝を介して連通しているので、中栓部材内に残留する内容物が当該流通溝から内容器内に吸引された後に内容器内に外気が浸入して、内容物の酸化を促進する虞がある。
更に、この吐出容器は、流通溝が弁体及び弁座の間に設けられることから、吐出ノズルの開口と流通溝が近い。このため、吐出ノズルを下方に向けた姿勢に吐出容器を傾けたときに、流通溝から内容器の内容物が吐出ノズルの開口から液だれする虞があった。
【0008】
そこで、本発明は、使用時の液だれを防止可能なキャップ及び吐出容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様によれば、キャップは、内容物を収容し、且つ、押圧力により変形する容器本体の口部に設けられるキャップであって、筒状の内筒、及び、前記内筒の一端に設けられ、流通口を有する底壁を含む基部と、前記基部を覆うとともに、前記内容物を吐出するノズル部を有し、前記基部との間に弁室を構成する吐出ノズルと、前記弁室内に設けられ、前記弁室内を前記ノズル部側及び前記底壁側に区分けし、前記容器本体内の圧力が前記弁室の前記ノズル部側の圧力よりも高くなると、前記ノズル部側へ移動し、前記弁室の前記底壁側の容積を増加させるとともに、前記流通口を介する前記容器本体及び前記弁室の間の流路を連続し、前記弁室の前記ノズル部側の圧力が前記容器本体内の圧力よりも高くなると、前記流路を遮断するとともに、前記底壁側へ移動し、前記弁室の前記ノズル部側の容積を増加させる、前記弁室内に設けられる逆止弁と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、使用時の液だれやキャップ内の汚れを防止し、内容物の酸化を低減することが可能なキャップ及び吐出容器を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1の実施形態に係る吐出容器の構成を示す断面図。
図2】同吐出容器に用いられるキャップの構成を示す断面図。
図3】同キャップの構成を示す断面図。
図4】同キャップの構成を示す断面図。
図5】本発明の第2の実施形態に係る吐出容器の構成を示す断面図。
図6】本発明の第3の実施形態に係る吐出容器の構成を示す断面図。
図7】本発明の第4の実施形態に係る吐出容器の構成を示す断面図。
図8】本発明の第5の実施形態に係る吐出容器の構成を示す断面図。
図9】本発明の第6の実施形態に係る吐出容器の構成を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係る吐出容器1の構成を、図1乃至図6を用いて説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る吐出容器1の構成を示す断面図、図2は吐出容器1に用いられるキャップ11の構成であって、内容物100を吐出する状態を示す断面図、図3は、キャップ11の構成であって、内容物100を吐出した後の状態を示す断面図、図4は、キャップ11の構成であって、内容物100を吐出した後の液引き時の状態を示す断面図である。
【0013】
図1に示すように、吐出容器1は、容器本体10と、キャップ11と、を備えている。吐出容器1は、容器本体10内に液状の内容物100を収容するとともに、容器本体10に押圧力を印加して変形させることで、内容物100を適量吐出可能に構成されている。
ここで、内容物100とは、例えば、醤油、オリーブ油やサラダ油等の食用油、ポン酢、ソース、だし汁、化粧水、シャンプー及びリンス等の液状物である。なお、以下の説明においては、内容物100として、空気に触れると酸化しやすい醤油、食用油を例に説明する。
【0014】
容器本体10は、開口端にキャップ11が固定される有底筒状に構成される。容器本体10は、例えば、剥離可能な所謂二重容器である。容器本体10は、例えば、多層ブロー成形により、外装と、その内面に剥離可能に積層された内装により構成される。具体的には、容器本体10は、有底筒状の外容器21と、外容器21内に一体に設けられ、一部が外容器21に対して剥離した袋状の内容器22と、を備えている。
【0015】
容器本体10は、有底筒状の胴部31と、胴部31と連続して一体に設けられた筒状の口部32と、を備えている。また、容器本体10は、吸気弁33を備える。
【0016】
口部32は、胴部31の端部に連続して一体に設けられる。口部32は、中途部に形成され、外方に向かって環状に突出する第1突起部32aと、端部よりも若干胴部31側に構成され、中心に向かって内方に環状に突出する第2突起部32bと、を有する。
【0017】
吸気弁33は、外容器21と内容器22との間に吸気可能に構成される。即ち、吸気弁33は、胴部31及び内容器22間の圧力が大気圧よりも低い負圧となった場合に開くことで、胴部31及び内容器22の間の空間に空気を供給する。
【0018】
外容器21は、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等の樹脂材料により成形される。外容器21は、押圧力により弾性変形可能に構成される。
【0019】
内容器22は、外容器21を構成する樹脂材料に対して相溶性のない樹脂材料により構成される。内容器22は、外容器21よりも肉薄に構成され、高い可撓性を有する。内容器22は、袋状に構成され、内容物100を収容可能に構成される。
【0020】
キャップ11は、キャップ本体41と、キャップ本体41とヒンジ42を介して連結された蓋体43と、を備えている。キャップ11は、キャップ本体41の一部、ヒンジ42及び蓋体43が射出成形により一体に構成される。
【0021】
キャップ本体41は、口部32と固定される基部51と、基部51に設けられる吐出ノズル52と、基部51及び吐出ノズル52の間に設けられた逆止弁53と、を備えている。また、キャップ本体41は、基部51と吐出ノズル52との間に、逆止弁53を収容可能、且つ、逆止弁53を移動可能とする弁室54を有する。
【0022】
基部51は、ヒンジ42及び蓋体43と一体に成形される。基部51、ヒンジ42及び蓋体43は、例えば、ポリプロピレンにより構成される。基部51は、筒状の外筒61と、外筒61の内径よりも外径が小径に構成された内筒62と、外筒61及び内筒62の一方の端部を連続する環状に形成された板状の壁部63と、内筒62の他方の端部に設けられた環状に形成された板状の底壁64と、底壁64の内周縁から軸方向に立設する筒状の案内部65と、を備えている。
【0023】
外筒61の内径は、口部32の第1突起部32aの外径と略同一径に構成される。外筒61は、開口する端部側の内周面に、第1突起部32aと係合する環状の突起61aを有する。内筒62は、壁部63側の内周面に環状の凹部62aを有する。内筒62の内周面は、逆止弁53の弁座を構成する。
【0024】
壁部63は、外筒61及び内筒62の間の主面に環状突起63aを有する。環状突起63aは、口部32の端部の外径と略同一の内径を有する。壁部63は、外周縁の一部に、より具体的には外筒61の外周面との稜部の一部に設けられたヒンジ42を有する。また、壁部63は、突起状の係合部63bを有する。係合部63bは、例えば、少なくともヒンジ42と対称位置に設けられ、壁部63の主面から軸方向に突出するとともにその先端部が径方向で外方に突出する突起である。
【0025】
底壁64は、環状に構成される。底壁64は、径方向の中央に設けられた開口部64aと、周方向に複数設けられた流通口64bと、を有する。
【0026】
案内部65は、底壁64の吐出ノズル52側の主面であって、且つ、底壁64の開口部64aに設けられる。
【0027】
吐出ノズル52は、中心が開口する天壁部71と、天壁部71の両主面の開口する中心に設けられた筒状のノズル部72と、天壁部71の他方の主面の外周縁側に設けられた筒部73と、を備えている。吐出ノズル52は、例えば、ポリエチレンにより構成される。
【0028】
天壁部71の外径は、内筒62の内径よりも大径に構成される。天壁部71は、内筒62を覆うことで、内筒62及び底壁64との間に弁室54を構成する。ノズル部72は、先端の開口がキャップ11の内容物100の吐出口を構成する。また、ノズル部72は、後端が、天壁部71から突出するとともに、弁室54内に配置される。
【0029】
筒部73の外径は、天壁部71の外径よりも小径であって、且つ、内筒62の内径と略同一径に構成される。筒部73は、外周面に内筒62の凹部62aと係合する環状の凸部73aを有する。
【0030】
図1乃至図4に示すように、逆止弁53は、有底筒状に構成された移動体81と、移動体81の閉塞する一方の端部側の外周面に設けられた環状のリップ82と、移動体81の開口する他方の端部の端面に設けられた複数の突起部83と、を備えている。逆止弁53は、例えばポリエチレンにより構成される。逆止弁53は、軸方向で移動体81の内側に位置する後述する底部81bの主面から突起部83の端面までの長さが、ノズル部72の天壁部71から後端までの長さよりも長く構成される。逆止弁53は、弁室54をノズル部72側及び底壁64側に区分けし、軸方向に移動することで、弁室54のノズル部72側及び底壁64側の容積を増減させる。
【0031】
移動体81は、筒状の胴部81aと、胴部81aの一端に一体に設けられた底部81bと、を有する。また、移動体81は、胴部81aの底部81b側の端面に、案内部65が挿入される筒状の窪み81cを有する。換言すると、胴部81aは、窪み81cによって二重筒状に構成される。窪み81cの深さは、キャップ本体41の基部51の底壁64から案内部65の先端までの長さと略同一に構成される。また、窪み81cの径方向の幅は、案内部65の径方向の幅と同一又は若干大きく構成される。移動体81は、案内部65に沿って軸方向に移動する。即ち、移動体81は、内容器22内の圧力が弁室54の圧力より高くなり、換言すると大気圧よりも高くなり、且つ、逆止弁53が初動する圧力が加えられると、案内部65に沿って吐出ノズル52に向かって移動し、弁室54の圧力が内容器22内の圧力よりも高くなると、案内部65に沿って基部51の底壁64に向かって移動する。ここで、弁室54の圧力とは、弁室54内をノズル部72側及び底壁64側に逆止弁53で区分けしたときの弁室54のノズル部72側の圧力のことである。
【0032】
リップ82は、他方の端部側であって、外方に向かって延びる。リップ82は、移動体81及び突起部83よりも肉薄に構成され、圧力が印加されたときに、変形する厚さに構成される。リップ82は、先端が内筒62の内周面と当接する。リップ82は、内筒62の内周面と当接することで、弁室54と、底壁64の流通口64bと連続する内容器22と、を遮断密封する。リップ82は、内容器22内の圧力が、弁室54のノズル部72側の圧力より高くなり、換言すると大気圧よりも高くなり、且つ、逆止弁53が初動する圧力が加えられると、壁部63から離間する方向に移動し、内容器22及び弁室54を連続させる。即ち、リップ82は、弁であり、開閉することで、弁室54を介した内容器22及びノズル部72間の内容物100の流路を連続及び遮断する。
【0033】
複数の突起部83は、移動体81の胴部81aの他方の端部の端面に、等間隔に配置される。複数の突起部83は、移動体81が吐出ノズル52に向かって移動したときに、吐出ノズル52の天壁部71と当接する。即ち、複数の突起部83は、天壁部71に当接することで、逆止弁53の移動を規制するとともに、天壁部71、胴部81a及び隣り合う突起部83の間に内容物100の流路を構成する。
【0034】
蓋体43は、ヒンジ42を介してキャップ本体41と一体に構成される。蓋体43は、有底筒状に構成される。蓋体43は、内周面に設けられ、係合部63bと係合する凸状の被係合部43aと、吐出ノズル52と対向する主面に設けられ、ノズル部72を閉塞する密封リング43bと、を有する。密封リング43bは、筒状に構成され、その外径がノズル部72の内径と略同一径に構成される。
【0035】
次に、このように構成された吐出容器1の使用方法について説明する。
先ず、内容物100が充填された吐出容器1は、例えば、容器本体10が下方及びキャップ11が上方の直立姿勢で保管される。使用時、即ち、内容物100を吐出するときは、先ず、使用者は、吐出容器1を把持し、蓋体43を開けて、ノズル部72を吐出先へ向ける。これにより、吐出容器1は、ノズル部72が下方となるように傾斜する。次いで、使用者は、内容物100を吐出する間、外容器21を押圧し、外容器21に押圧力を印加する。
【0036】
これにより外容器21は弾性変形し、外容器21の弾性変形に伴って、外容器21によって内容器22に直接押圧力が印加されるか、又は、外容器21及び内容器22の間の空間の空気が圧縮され、内容器22に押圧力が印加される。これにより、内容器22が弾性変形し、内容器22内の圧力が増加する。内容器22内の圧力が大気圧よりも高くなると、図2の一点鎖線の矢印で示すように、移動体81が内容物100に押圧されて、突起部83が天壁部71と当接するまで移動する。また、リップ82が内容物100に押圧されて、内筒62の内周面から離間する。これにより、図2に実線の矢印で示すように、内容器22内の内容物100は、流通口64bから天壁部71、胴部81a及び隣り合う突起部83の間を通ってノズル部72へ移動し、ノズル部72から吐出される。内容物100がノズル部72から吐出されることで、吐出された内容物100の体積だけ、内容器22の容積が減少する。
【0037】
次いで、使用者は、所望の内容物100を吐出させた後、外容器21の押圧を解除する。外容器21の押圧を解除することで、外容器21の形状が復元し、外容器21及び内容器22の間の空間が負圧となる。このため、図3に示すように、リップ82は、自身の復元力でもとの形状に復元し、内筒62の内周面に当接する。また、外容器21の吸気弁33から外容器21及び内容器22の間の空間に空気が吸い込まれる。結果、内容器22の形状、換言すると内容器22の容積が略同一の容積に維持された状態、厳密には内容器22の若干の復元により内容器22の容積が若干増加した状態で、大気圧と外容器21及び内容器22の間の空間の圧力が略同一となる。
【0038】
ここで、内容器22の若干の復元は、内容器22自体の復元力や、外容器21の復元時において、復元時の外容器21の復元スピードに対して、吸気弁33から外容器21と内容器22との間の空間への吸気が追いつかない現象により生じる。
【0039】
この内容器22の若干の復元により、内容器22が大気圧よりも負圧になることで、図4の一点鎖線の矢印で示すように、移動体81は、基部51の底壁64側に移動する。移動体81は、最大で底壁64と当接するまで移動する。このとき、弁室54内のノズル部72側の圧力が内容器22内の圧力よりも高いことから、リップ82は内筒62の内周面に当接する方向に押圧されて、内筒62と当接した状態が維持される。この移動体81の移動により、弁室54のノズル部72側の容積が増加する。このため、図4に実線の矢印で示すように、移動体81の移動が終了するまで、ノズル部72内の内容物100は弁室54内に吸引され、ノズル部72の先端よりも内容器22側に、残存した内容物100の液面が下がる。
【0040】
このように構成された吐出容器1によれば、内容物100の吐出後に外容器21が復元することに伴って内容器22の形状が若干復元することで、内容器22が負圧となり、逆止弁53が移動する。逆止弁53の底壁64側への移動によって弁室54のノズル部72側の容積が増加することから、ノズル部72に残存する内容物100は弁室54のノズル部72側の容積の増加分だけ、弁室に戻されて液面が下がる。ノズル部72の先端から内容物100の液面がさがることで、ノズル部72の先端に内容物100が残存することがないことから、次回使用時に、ノズル部72が下方に向かうように吐出容器1を傾斜させても、ノズル部72から内容物が垂れることを防止できる。即ち、吐出容器1は、使用時の液だれを防止できる。
【0041】
また、ノズル部72は、天壁部71の両主面方向に突出する構成であることから、図4に示すように、内容物100の流路の一部は、重力方向で上方に延びる。このため、吐出容器1を傾けたときに、弁室54内の内容物100の移動が当該流路により阻害されることから、ノズル部72が下方に向かうように吐出容器1を傾斜させても、ノズル部72から内容物が垂れることを極力防止できる。
【0042】
また、吐出容器1は、内容器22が逆止弁53によって気密に密封されることから、内容物100の吐出時や保管時に、当該流通口64bから内容器22側に空気が侵入することを防止できる。
【0043】
上述したように本発明の第1の実施形態に係るキャップ11を用いた吐出容器1によれば、使用時の液だれやキャップ内の汚れを防止することができる。また、内容物100の吐出時や保管時に、内容器22側に空気が浸入すること防止することできる。このため、例えば、内容物100が醤油や食用油の場合には、内容物100の酸化を防止することが可能となる。
【0044】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係る吐出容器1Aの構成を、図5を用いて説明する。
図5は、本発明の第2の実施形態に係る吐出容器1Aの構成を示す断面図である。なお、第2の実施形態に係る吐出容器1Aの構成のうち、上述した第1の実施形態に係る吐出容器1の構成と同等の構成には、同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0045】
図5に示すように、吐出容器1Aは、容器本体10と、キャップ11Aと、を備えている。吐出容器1Aは、容器本体10内に液状の内容物100を収容するとともに、容器本体10に押圧力を印加して変形させることで、内容物100を適量吐出可能に構成されている。
【0046】
キャップ11Aは、キャップ本体41Aと、キャップ本体41Aとヒンジ42を介して連結された蓋体43と、を備えている。キャップ11Aは、キャップ本体41Aの一部、ヒンジ42及び蓋体43が射出成形により一体に構成される。
【0047】
キャップ本体41Aは、口部32と固定される基部51Aと、基部51Aに設けられる吐出ノズル52Aと、基部51A及び吐出ノズル52Aの間に設けられた逆止弁53Aと、を備えている。また、キャップ本体41Aは、基部51Aと吐出ノズル52Aとの間に、逆止弁53Aを収容可能、且つ、逆止弁53Aを移動可能とする弁室54を有する。
【0048】
基部51Aは、ヒンジ42及び蓋体43と一体に成形される。基部51A、ヒンジ42及び蓋体43は、例えば、ポリプロピレンにより構成される。基部51Aは、外筒61と、内筒62と、壁部63と、底壁64と、案内部65と、案内部65の先端の内周面に設けられた径方向に突出する係合部66と、を備えている。係合部66は、基部51Aの軸心に向かって環状に突出する突起である。
【0049】
吐出ノズル52Aは、天壁部71と、天壁部71の蓋体43と対向する主面の開口する中心に設けられた筒状のノズル部72Aと、筒部73と、を備えている。吐出ノズル52Aは、例えば、ポリエチレンにより構成される。
【0050】
ノズル部72Aは、先端の開口がキャップ11の内容物100の吐出口を構成する。
【0051】
逆止弁53Aは、有底筒状に構成された移動体81Aと、移動体81の開口する一方の端部側の外周面に設けられた環状のリップ82と、移動体81Aの他方の端部の内容器22と対向する端面に設けられた複数の突起部84と、を備えている。逆止弁53Aは、例えばポリエチレンにより構成される。逆止弁53Aは、弁室54をノズル部72A側及び底壁64側に区分けし、軸方向に移動することで、弁室54のノズル部72A側及び底壁64側の容積を増減させる。
【0052】
移動体81Aは、筒状の胴部81aと、胴部81aの一端に一体に設けられた底部81bと、を有する。胴部81aの内径は、案内部65の外径よりも大径に構成される。底部81bは、胴部81aの吐出ノズル52側の端部に設けられる。即ち、移動体81Aは、胴部81a及び底部81bにより、案内部65の先端の開口を覆う。
【0053】
突起部84は、底部81bの内容器22側の主面に複数が、円状に間欠的に配置される。突起部84は、その先端に、案内部65の先端の内周面に設けられた係合部66と係合する被係合部84aを有する。
【0054】
このように構成された吐出容器1Aは、上述した吐出容器1と同様に、内容器22内の圧力が大気圧よりも高くなり、且つ、逆止弁53Aが初動する圧力が移動体81Aに加えられると、移動体81Aが内容物100に押圧されて、被係合部84aが係合部66と当接するまで移動し、内容物100が吐出ノズル52から吐出される。
【0055】
また、内容物100の吐出後、内容器22の若干の復元により、内容器22が大気圧よりも負圧になることで、移動体81Aが基部51Aの底壁64側に移動する。このとき移動体81Aは、最大で底壁64と当接するまで移動する。弁室54内のノズル部72A側の圧力が内容器22内の圧力よりも高くなり、リップ82が内筒62の内周面に当接する方向に押圧されて、内筒62と当接した状態が維持される。この移動体81の移動により、弁室54の容積が増加する。このため、移動体81の移動が終了するまで、ノズル部72A内の内容物100は弁室54内に吸引され、ノズル部72Aの先端よりも内容器22側に、残存した内容物100の液面が下がる。結果、吐出容器1Aは、上述した吐出容器1と同様に、次回使用時に内容物100の液だれを防止するとともに、キャップ内の汚れを防止し、内容物100の酸化を低減することができる。
【0056】
なお、本発明は、上述の実施形態に係る吐出容器1、1Aに限定されない。例えば、図6に示す第3の実施形態に係る吐出容器1Bのように、ノズル部72Aを有する吐出ノズル52Bとし、さらに、逆止弁53を小さくするために、基部51の底壁64であって、内筒62及び案内部65の間に、弁室54を構成する筒状の内壁部67を設ける構成としてもよい。このような構成とすることで、弁室54の容積を低減することができるため、弁室54に残存する内容物100を極力低減することができる。なお、内壁部67は、弁室54を構成するために、先端が、吐出ノズル52Bの天壁部71と密着することが好ましい。なお天壁部71は、天壁部71に内壁部67と密着するための環状の突起部71aを有することがより好ましい。
【0057】
また、本発明は、図7に示す第4の実施形態に係る吐出容器1Cのような構成とすることもできる。図7は、本発明の第4の実施形態に係る吐出容器1Cの構成を示す断面図である。なお、第4の実施形態に係る吐出容器1Cの構成のうち、上述した第1の実施形態に係る吐出容器1の構成と同等の構成には、同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0058】
図7に示すように、吐出容器1Cは、容器本体10と、キャップ11Cと、を備えている。吐出容器1Cは、容器本体10内に液状の内容物100を収容するとともに、容器本体10に押圧力を印加して変形させることで、内容物100を適量吐出可能に構成されている。
【0059】
キャップ11Cは、キャップ本体41Cと、キャップ本体41Cとヒンジ42を介して連結された蓋体43と、を備えている。キャップ11Cは、キャップ本体41Cの一部、ヒンジ42及び蓋体43が射出成形により一体に構成される。
【0060】
基部51Cは、ヒンジ42及び蓋体43と一体に成形される。基部51Cは、筒状の外筒61と、外筒61の内径よりも外径が小径に構成された内筒62と、外筒61及び内筒62の一方の端部を連続する環状に形成された板状の壁部63と、内筒62の他方の端部に設けられた板状の底壁64Cと、底壁64Cの吐出ノズル52側の主面に設けられ、内筒62の軸方向に沿って立設する筒状の案内部65と、を備えている。
【0061】
底壁64Cは、板状に構成される。底壁64Cは、移動体81の底部81bと対向する。また、底壁64Cは、周方向に複数の流通口64bを有する。
【0062】
このように構成された吐出容器1Cは、上述した吐出容器1と同様に、内容器22内の圧力が大気圧よりも高くなり、且つ、逆止弁53が初動する圧力が移動体81に加えられると、移動体81が内容物100に押圧されて、突起部83が天壁部71と当接するまで移動する。また、リップ82が内容物100に押圧されて、内筒62の内周面から離間する。これにより、内容器22内の内容物100は、流通口64bから天壁部71、胴部81a及び突起部83の間を通ってノズル部72へ移動し、ノズル部72から吐出される。
また、吐出容器1Cは、上述の構成を備えていることにより、吐出容器1と同様に次回使用時の液だれを防止するとともに、キャップ内の汚れを防止し、内容物100の酸化を低減することができる。
【0063】
また、本発明は、図8に示す第5の実施形態に係る吐出容器1Dのような構成とすることもできる。図8は、本発明の第5の実施形態に係る吐出容器1Dの構成を示す断面図である。なお、第5の実施形態に係る吐出容器1Dの構成のうち、上述した第1の実施形態に係る吐出容器1の構成と同等の構成には、同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0064】
図8に示すように、吐出容器1Dは、容器本体10と、キャップ11Dと、を備えている。吐出容器1Dは、容器本体10内に液状の内容物100を収容するとともに、容器本体10に押圧力を印加して変形させることで、内容物100を適量吐出可能に構成されている。
【0065】
キャップ11Dは、キャップ本体41Dと、キャップ本体41Dとヒンジ42を介して連結された蓋体43と、を備えている。キャップ11Dは、キャップ本体41Dの一部、ヒンジ42及び蓋体43が射出成形により一体に構成される。
【0066】
基部51Dは、ヒンジ42及び蓋体43と一体に成形される。基部51Dは、筒状の外筒61と、外筒61の内径よりも外径が小径に構成された内筒62と、外筒61及び内筒62の一方の端部を連続する環状に形成された板状の壁部63と、内筒62の他方の端部に設けられた板状の底壁64Dと、底壁64Dの吐出ノズル52D側の主面に設けられ、内筒62の軸方向に沿って立設する筒状の案内部65と、を備えている。
【0067】
底壁64Dは、板状に構成される。底壁64Dは、移動体81の底部81bと対向する。また、底壁64Dは、周方向に複数の流通口64bを有する。
【0068】
吐出ノズル52Dは、中心が開口する天壁部71と、筒状のノズル部72と、筒部73と、筒部73及びノズル部72の間で天壁部71の他方の主面から底壁64Dに向かって延設される筒状の突起部74と、を備えている。
【0069】
突起部74は、案内部65よりも外側、且つ、筒部73よりも内側に間隔を空けて、弁室54内に配置される。突起部74は、逆止弁53Dの軸方向の移動を規制可能に構成される。なお、本実施形態においては、突起部74が吐出ノズル52Dに設けられる構成を示しているがこれに限られない。例えば、突起部74は、移動体81Dから天壁部71に向かって延設されていてもよい。
【0070】
逆止弁53Dは、環状に構成された移動体81Dと、移動体81Dの外周側に設けられ、内筒62の内周面に当接する第1リップ82Daと、移動体81Dの内周側に設けられ、案内部65の外周面に当接する第2リップ82Dbと、を備えている。
【0071】
移動体81Dは、内容器22内の圧力が大気圧よりも高くなり、且つ、逆止弁53Dが初動する圧力が加えられると、案内部65及び内筒62に沿って吐出ノズル52Dに向かって軸方向に移動し、弁室54のノズル部72側の圧力が内容器22内の圧力よりも高くなると、案内部65及び内筒62に沿って基部51の底壁64Dに向かって軸方向に移動する。
【0072】
第1リップ82Daは、移動体81Dよりも肉薄に構成され、圧力が印加されたときに、変形する厚さに構成される。第1リップ82Daは、内筒62と当接することで、弁室54と、底壁64Dの流通口64bと連続する内容器22と、を遮断するとともに密封する。第1リップ82Daは、内容器22内の圧力が大気圧よりも高く、且つ、逆止弁53Dが初動する圧力が加えられると、内筒62から離間する方向に移動し、内容器22及び弁室54を連続させる。即ち、第1リップ82Daは、弁であり、開閉することで、弁室54を介した内容器22及びノズル部72間の内容物100の流路を連続及び遮断する。
【0073】
第2リップ82Dbは、移動体81Dよりも肉薄に構成され、圧力が印加されたときに、変形する厚さに構成される。第2リップ82Dbは、案内部65と当接することで、弁室54と、底壁64Dの流通口64bと連続する内容器22と、を遮断するとともに密封する。第2リップ82Dbは、内容器22内の圧力が大気圧よりも高く、且つ、逆止弁53Dが初動する圧力が加えられると、案内部65から離間する方向に移動し、内容器22及び弁室54を連続させる。即ち、第2リップ82Dbは、弁であり、開閉することで、弁室54を介した内容器22及びノズル部72間の内容物100の流路を連続及び遮断する。
【0074】
このように構成された吐出容器1Dによれば、上述した吐出容器1と同様に、内容器22内の圧力が大気圧よりも高く、且つ、逆止弁53Dが初動する圧力が加えられると、移動体81Dが内容物100に押圧されて、移動体81Dが突起部74と当接するまで移動する。また、第1リップ82Da及び第2リップ82Dbが内容物100に押圧されて、内筒62及び案内部65の内周面からそれぞれ離間する。これにより、内容器22内の内容物100は、流通口64bから天壁部71、案内部65及び突起部74の間を通ってノズル部72へ移動し、吐出ノズル52Dから吐出される。
また、吐出容器1Dは、上述の構成を備えていることにより、吐出容器1と同様に次回使用時の液だれを防止するとともに、キャップ内の汚れを防止し、内容物100の酸化を低減することがすることができる。
【0075】
また、本発明は、図9に示す第6の実施形態に係る吐出容器1Eのような構成とすることもできる。図9は、本発明の第6の実施形態に係る吐出容器1Eの構成を示す断面図である。なお、第6の実施形態に係る吐出容器1Eの構成のうち、上述した第1の実施形態に係る吐出容器1の構成と同等の構成には、同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0076】
図9に示すように、吐出容器1Eは、容器本体10と、キャップ11Eと、を備えている。吐出容器1Eは、容器本体10内に液状の内容物100を収容するとともに、容器本体10に押圧力を印加して変形させることで、内容物100を適量吐出可能に構成されている。
【0077】
キャップ11Eは、キャップ本体41Eと、キャップ本体41Eとヒンジ42を介して連結された蓋体43と、を備えている。キャップ11Eは、キャップ本体41Eの一部、ヒンジ42及び蓋体43が射出成形により一体に構成される。
【0078】
キャップ本体41Eは、口部32と固定される吐出ノズル52Eと、吐出ノズル52Eに設けられる基部51Eと、吐出ノズル52E及び基部51Eの間に設けられた逆止弁53と、を備えている。また、キャップ本体41Eは、吐出ノズル52Eと基部51Eの間に、逆止弁53を収容可能、且つ、逆止弁53を移動可能とする弁室54を有する。
【0079】
吐出ノズル52Eは、ヒンジ42及び蓋体43と一体に成形される。吐出ノズル52E、ヒンジ42及び蓋体43は、例えば、ポリプロピレンにより構成される。吐出ノズル52Eは、筒状の外筒61と、中心が開口する天壁部71Eと、天壁部71Eの両主面の開口する中心に設けられた筒状のノズル部72と、外筒61の内径よりも外径が小径に構成され、天壁部71Eの他方の主面に設けられた筒部73Eと、外筒61と筒部73Eの間に環状突起63aと、を備えている。筒部73Eは、内周面に環状の凹部62aを有する。
【0080】
基部51Eは、外筒61の内径よりも外径が小径に構成された内筒62Eと、内筒62Eの他方の端部に設けられた環状に形成された板状の底壁64Eと、底壁64Eの内周縁から軸方向に立設する筒状の案内部65と、を備えている。基部51Eは、例えば、ポリプロピレンにより構成される。基部51Eは、内筒62Eの外周面に凹部62aと係合する環状の凸部73aを有する。内筒62Eの内周面は、逆止弁53の弁座を構成する。
【0081】
底壁64Eは、環状に構成される。底壁64Eは、径方向の中央に設けられた開口部64aと、周方向に複数設けられた流通口64bと、を有する。
【0082】
逆止弁53は、有底筒状に構成された移動体81と、移動体81の閉塞する一方の端部側の外周面に設けられた環状のリップ82と、移動体81の開口する他方の端部の端面に設けられた複数の突起部83と、を備えている。
【0083】
このように構成された吐出容器1Eは、上述した吐出容器1と同様に、内容器22内の圧力が大気圧よりも高くなり、且つ、逆止弁53が初動する圧力が移動体81に加えられると、移動体81が内容物100に押圧されて、突起部83が天壁部71Eと当接するまで移動する。また、リップ82が内容物100に押圧されて、内筒62Eの内周面から離間する。これにより、内容器22内の内容物100は、開口部64aから天壁部71E、胴部81a及び突起部83の間を通ってノズル部72へ移動し、ノズル部72から吐出される。また、吐出容器1Eは、上述の構成を備えていることにより、吐出容器1と同様に次回使用時の液だれを防止することができる。
【0084】
また、このように構成された吐出容器1Eは、キャップ本体41Eから基部51E及び移動体81を着脱可能に構成されている。このため、吐出ノズル52E、蓋体43及びヒンジ42の構造については、液だれ防止機能の無いキャップと部品を共有して用いることができる。このため、製造コストを低減することができる。
【0085】
なお、上述した例では、容器本体10は、外容器21及び内容器22を有する二重容器を用いて説明したが、これに限定されない。容器本体10は、例えば、復元力が小さい樹脂材料で構成されたチューブ容器等であってもよい。即ち、容器本体10は、容器本体10の押圧による弾性変形に伴って、容器本体10内の空気が圧縮され、容器本体10内の圧力の増加により移動体81を天壁部71へ向かって移動可能、且つ、容器本体10の押圧を解除することによる容器形状の復元に伴い、容器本体10内を負圧することで移動体81を底壁64側に移動可能な復元力を有する容器であればよい。
【0086】
即ち、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明と同等の記載を付記する。
[1] 内容物を収容し、且つ、押圧力により変形する容器本体の口部に設けられるキャップであって、
筒状の内筒、及び、前記内筒の一端に設けられ、流通口を有する底壁を含む基部と、
前記基部を覆うとともに、前記内容物を吐出するノズル部を有し、前記基部との間に弁室を構成する吐出ノズルと、
前記弁室内に設けられ、前記弁室内を前記ノズル部側及び前記底壁側に区分けし、前記容器本体内の圧力が前記弁室の前記ノズル部側の圧力よりも高くなると、前記ノズル部側へ移動し、前記弁室の前記底壁側の容積を増加させるとともに、前記流通口を介する前記容器本体及び前記弁室の間の流路を連続し、前記弁室の前記ノズル部側の圧力が前記容器本体内の圧力よりも高くなると、前記流路を遮断するとともに、前記底壁側へ移動し、前記弁室の前記ノズル部側の容積を増加させる、前記弁室内に設けられる逆止弁と、
を備えるキャップ。
[2] 前記底壁は、開口部、及び、前記開口部に設けられた前記ノズル部側の主面に立設する筒状の案内部を有する[1]に記載のキャップ。
[3] 前記逆止弁は、前記案内部を覆う、一端が閉塞する筒状の移動体、及び、前記筒状の移動体の前記底壁と対向する端部の外周面に設けられ、前記内筒の内周面と当接するリップを含む、前記弁室に配置される[2]に記載のキャップ。
[4] 前記逆止弁は、環状の移動体、前記環状の移動体の前記底壁と対向する端部の外周面に設けられ、前記内筒の内周面と当接する第1リップ、及び、前記環状の移動体の前記底壁と対向する端部の内周面に設けられ、前記案内部の外周面と当接する第2リップを含む、前記弁室に配置される[2]に記載のキャップ。
[5] 前記吐出ノズルは、前記内筒及び前記底壁を覆う天壁部、並びに、前記天壁部の両主面から伸びる筒状の前記ノズル部を有する、[1]に記載のキャップ。
[6] 前記移動体の前記吐出ノズルと対向する端面に設けられ、前記逆止弁の移動時に前記吐出ノズルと接触する複数の突起部を有する、[3]に記載のキャップ。
[7] 前記案内部は、先端の内周面に係合部を有し、
前記移動体は、前記案内部の外径よりも大径の内径を有する筒状の胴部、前記胴部の前記吐出ノズル側の一端に一体に設けられた底部、及び、前記底部の前記容器本体側の主面に設けられ、前記係合部と軸方向で係合する被係合部を有する複数の突起部を含む[3]に記載のキャップ。
[8] [1]乃至[7]のいずれか一項に記載のキャップと、
前記キャップが固定される前記口部を有する外容器及び前記外容器内に設けられ、前記外容器の変形に伴って変形する内容器を有する前記容器本体と、
を備えることを特徴とする吐出容器。
【符号の説明】
【0087】
1…吐出容器、1A…吐出容器、1B…吐出容器、1C…吐出容器、1D…吐出容器、1E…吐出容器、10…容器本体、11…キャップ、11A…キャップ、11C…キャップ、11D…キャップ、11E…キャップ、21…外容器、22…内容器、31…胴部、32…口部、32a…第1突起部、32b…第2突起部、33…吸気弁、41…キャップ本体、41A…キャップ本体、41C…キャップ本体、41D…キャップ本体、41E…キャップ本体、42…ヒンジ、43…蓋体、43a…被係合部、43b…密封リング、51…基部、51A…基部、51C…基部、51D…基部、51E…基部、52…吐出ノズル、52A…吐出ノズル、52B…吐出ノズル、52D…吐出ノズル、52E…吐出ノズル、53…逆止弁、53A…逆止弁、53D…逆止弁、54…弁室、61…外筒、61a…突起、62…内筒、62a…凹部、62E…内筒、63…壁部、63a…環状突起、63b…係合部、64…底壁、64a…開口部、64b…流通口、64C…底壁、64D…底壁、64E…底壁、65…案内部、66…係合部、67…内壁部、71…天壁部、71a…突起部、71E…天壁部、72…ノズル部、72A…ノズル部、73…筒部、73a…凸部、73E…筒部、74…突起部、81…移動体、81a…胴部、81A…移動体、81b…底部、81c…窪み、81D…移動体、82…リップ、82Da…第1リップ、82Db…第2リップ、83…突起部、84…突起部、84a…被係合部、100…内容物。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9