(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6961211
(24)【登録日】2021年10月15日
(45)【発行日】2021年11月5日
(54)【発明の名称】流体加熱器
(51)【国際特許分類】
F24H 1/16 20060101AFI20211025BHJP
F24H 9/02 20060101ALI20211025BHJP
F24H 9/18 20060101ALI20211025BHJP
【FI】
F24H1/16 A
F24H9/02 301Z
F24H9/18 303
【請求項の数】2
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2017-140971(P2017-140971)
(22)【出願日】2017年7月20日
(65)【公開番号】特開2019-20082(P2019-20082A)
(43)【公開日】2019年2月7日
【審査請求日】2020年7月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】390018315
【氏名又は名称】メトロ電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 恭一
(72)【発明者】
【氏名】川合 誠治
(72)【発明者】
【氏名】吉原 寛美
【審査官】
古川 峻弘
(56)【参考文献】
【文献】
特開2014−169842(JP,A)
【文献】
特開2007−017098(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 1/16,9/02,9/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直線形状の発熱体と、その発熱体による熱と熱交換する流体を供給する配管とを含んでなる流体加熱器であって、
前記配管は、前記発熱体の周囲を螺旋状に巻回して形成されて、一端側から他端側に前記流体が供給されると共に、前記配管における少なくとも前記発熱体に対向する内周部分には、赤外線を吸収する耐熱塗料が塗布され、
前記発熱体及び前記配管は、前記配管の前記一端側に接続される入側ポートと、前記他端側に接続される出側ポートとを外部に露出させた、前記発熱体の長手方向に延びる直方体形状で二重構造のハウジング内に収容され、
前記ハウジングは、長手方向両端部に、発熱体の端部を支持する支持パネルと支持パネルの外側で発熱体の端部を覆う保温カバーとにより形成される閉鎖空間を有していることを特徴とする流体加熱器。
【請求項2】
前記発熱体は、ヒータであり、前記配管は、隣接する周回部分が互いに密着状態となるよう前記ヒータに沿って巻回されていることを特徴とする請求項1に記載の流体加熱器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体を加熱する流体加熱器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より一般的に流体を加熱する流体加熱器としては、電熱線を二重管で覆い、これらの間に流体を供給して加熱する構造のものが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−245499号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような構造の流体加熱器では、電熱線の発熱量を上げても外部に放熱してしまい、流体を高温まで加熱することが困難であった。
【0005】
そこで、本発明の目的は、上記従来の流体加熱器の問題を解消し、流体を高温に加熱する流体加熱器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のうち、請求項1に記載された発明は、
直線形状の発熱体と、その発熱体による熱と熱交換する流体を供給する配管とを含んでなる流体加熱器であって、
前記配管は、前記発熱体の周囲を螺旋状に巻回して形成されて、一端側から他端側に前記流体が供給されると共に、前記配管における少なくとも前記発熱体に対向する内周部分には、
赤外線を吸収する耐熱塗料が塗布され
、
前記発熱体及び前記配管は、前記配管の前記一端側に接続される入側ポートと、前記他端側に接続される出側ポートとを外部に露出させた、前記発熱体の長手方向に延びる直方体形状で二重構造のハウジング内に収容され、
前記ハウジングは、長手方向両端部に、カバーと保温カバーとにより形成される所定大の空間が設けられていることを特徴とするものである。
【0007】
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載の発明に加え、前記発熱体は、ヒータであり、前記配管は、隣接する周回部分が互いに密着状態となるよう前記ヒータに沿って巻回されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載された発明は、赤外線を吸収して高温に加熱された耐熱塗料の熱が無駄
なく用いられ、流体を高温に加熱することが可能である。
更に外部への放熱を防ぐことが可能である。
請求項2に記載された発明は、外部への放熱を防ぎ、加熱効率をより一層高めることが
可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】流体加熱器を展開した状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の流体加熱器の一実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。
【0012】
図1は、流体加熱器を示す説明図である。
図2は、流体加熱器を展開した状態を示す説明図である。
図3は、
図1のA−A線断面を示す説明図である。
【0013】
図1に示すように、流体加熱器1は、入側ポート2から装置内に供給された流体を加熱して出側ポート3より排出する構造で、
図2に示すヒータ5をハウジング10で覆ったものである。
このヒータ5は、
図3に示すように帯状のカーボン5aをガラス管5bで覆った周知の構造で、このヒータ5が、本発明の発熱体である。このヒータ5の周囲に、外周表面に耐熱塗料8が塗布された配管7が、一端から他端に亘って軸方向へ螺旋状に、周回部分7a,7a・・が密着するように隙間なく巻回されて、配管7の一端が入側ポート2に、他端が出側ポート3に接続されている。なお、耐熱塗料8は、約800℃の高温に耐えられる特性を備えている。
【0014】
次に、ハウジング10は、以下に示す金属製の板材を折り曲げて形成し、これらを組み合わせて構成したものである。
支持パネル11は、外周が外側に折り曲げ形成されたもので、ヒータ5の先端を挿入して保持する保持孔12が中心に穿設されている。支持パネル13も同様に、外周が外側に折り曲げ形成されたもので、ヒータ5の後端を挿入して保持する保持孔14が中心に穿設されている。ヒータ5の胴体部分は、コ字状に折り曲げ形成されたカバー15,16で覆われている。
更に、支持パネル11の外側を、外周が内側に折り曲げ形成された保温カバー17で覆い、支持パネル13の外側を、外周が内側に折り曲げ形成された保温カバー18で覆っている。カバー15,16の外側を、コ字状に折り曲げ形成された外部パネル19,20で上下から覆う二重構造になっている。外部パネル19には、入側ポート2と出側ポート3に当接する位置に逃がし孔が設けられている。
これらを組み合わせて構成されるハウジング10は、各パネルやカバー周縁に設けられた孔同士に図示しないボルトを挿入し、ナットを反対側から螺合することで固定し、一体となっている。
【0015】
このようにして構成される流体加熱器1による流体の加熱は、以下のようにして行われる。
流体加熱器1では、ヒータ5を加熱した状態において、
図1のA−A線断面である
図3に示すように、入側ポート2に水等の流体を供給すると、ヒータ5の一方の端部から他方の端部に亘って巻回される配管7内を流れることとなる。
ここで、配管7の表面には耐熱塗料8が塗布されており、この耐熱塗料8は黒色で赤外線の吸収率が高く、耐熱温度も高いことから、ヒータ5から照射される赤外線を吸収して高温まで加熱されることとなる。そして、熱が耐熱塗料8から配管7へと伝熱し、更に配管7内を流れる流体へと伝熱して流体が加熱されることにより、流体が出側ポート3より排出される際には、約400〜500℃まで加熱されて、熱風や加熱水蒸気として利用することが可能になる。
【0016】
上記の如く構成される流体加熱器1は、配管7は、ヒータ5の周囲を螺旋状に巻回して形成されて、一端側から他端側に流体が供給されると共に、配管7における少なくともヒータ5に対向する内周部分には、耐熱塗料8が塗布されていることにより、赤外線を吸収して高温に加熱された耐熱塗料8の熱が無駄なく用いられ、流体を高温に加熱することが可能である。
【0017】
また、発熱体は、直線状に延びるヒータ5であり、配管7は、隣接する周回部分7a,7aが互いに密着状態となるようヒータ5に沿って巻回されていることにより、外部への放熱を防ぎ、加熱効率をより一層高めることが可能である。
【0018】
ヒータ5及び配管7は、配管7の一端側に接続される入側ポート2と、他端側に接続される出側ポート3とを外部に露出させた二重構造のハウジング10内に収容されることにより、更に外部への放熱を防ぐことが可能である。
【0019】
なお、本発明にかかる流体加熱器は、上記した実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、配管や支持パネル、カバーの形状や大きさ等を適宜変更することができる。
【0020】
例えば、配管7の直径や巻き数は、ヒータ5の全長や外径、形状等に応じて適宜変更することができる。
【0021】
また、流体加熱器1は、金型加熱やアルミ製品等の熱処理工程で適用することが可能であり、応用すれば食品用としても使用することが可能である。
【0022】
他にも、発熱体であるヒータ5の種類は、必ずしもカーボンヒータである必要はなく、加熱温度や加熱対象に応じてニクロム線やシーズヒータ等であっても良い。更に、ヒータ5は直線状のみに限定されず、湾曲した形状や曲げた形状であっても良く、適宜変更可能である。
【0023】
また、配管7に塗布される耐熱塗料8は、配管7の外周全体である必要はなく、ヒータ5側の内周部分のみが塗布されていても良い。耐熱塗料の他にも、予め酸化膜を形成し、赤外線の吸収効率を改善しても良く、適宜変更可能である。
【0024】
他にも、流体加熱器1に供給される流体としては、水や溶剤等のような液状のものだけでなく、空気やボイラーで燃焼した蒸気等の気体も含まれ、加熱可能なものであれば良い。
【符号の説明】
【0025】
1・・流体加熱器、2・・入側ポート、3・・出側ポート、5・・ヒータ、7・・配管、7a・・周回部分、8・・耐熱塗料、10・・ハウジング。