特許第6961223号(P6961223)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6961223
(24)【登録日】2021年10月15日
(45)【発行日】2021年11月5日
(54)【発明の名称】身体冷暖房装置
(51)【国際特許分類】
   A61F 7/00 20060101AFI20211025BHJP
   A61F 7/03 20060101ALI20211025BHJP
   A61F 7/10 20060101ALI20211025BHJP
   F25B 21/02 20060101ALI20211025BHJP
【FI】
   A61F7/00 310J
   A61F7/08 333
   A61F7/10 332
   A61F7/10 351
   F25B21/02 S
   F25B21/02 T
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-241577(P2017-241577)
(22)【出願日】2017年12月18日
(65)【公開番号】特開2019-107202(P2019-107202A)
(43)【公開日】2019年7月4日
【審査請求日】2020年8月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000130732
【氏名又は名称】株式会社サンエス
(74)【代理人】
【識別番号】100095337
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100174425
【弁理士】
【氏名又は名称】水崎 慎
(74)【代理人】
【識別番号】100203932
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 克宗
(72)【発明者】
【氏名】橘高 薫
【審査官】 段 吉享
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−137115(JP,A)
【文献】 特開2002−076525(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 7/00
A61F 7/03
A61F 7/10
F25B 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
首の周りに装着され、首の外周部分に当接する伝熱体と、
この伝熱体の外側に装着された伝熱板と、
この伝熱板に熱結合させたペルチェ素子と、を備え、
前記伝熱板の外周面には、前記ペルチェ素子への通電を行うフレキシブル基板を配置し、このフレキシブル基板は、
合成樹脂製の第1のシートと、
この第1のシートの外周側に配置した導電パターンと、
この導電パターンの外周側を覆った合成樹脂製の第2のシートとにより構成され
前記伝熱板および前記フレキシブル基板は、首の周りに装着すべく首の上下方向に直交する横方向に長い形状とし、横長の前記フレキシブル基板は、首の上下方向において、前記導電パターンが配置された導電パターン配置領域と、この導電パターン配置領域の上下の少なくとも一方側に配置した導電パターン非配置領域とを有し、
前記導電パターン非配置領域の外周側には、前記伝熱体、前記伝熱板および前記フレキシブル基板を首側に押圧するバネ体を配置した身体冷暖房装置。
【請求項2】
前記第1のシートは、前記伝熱板の外周面に、接着剤を介して密着した請求項1に記載の身体冷暖房装置。
【請求項3】
前記フレキシブル基板の外周側には、横長の断熱体を配置し、この断熱体には、前記バネ体の拘束部を配置した請求項1または2に記載の身体冷暖房装置。
【請求項4】
前記フレキシブル基板の平面積は、前記伝熱板の平面積の半分以上とした請求項1から3のいずれか一つに記載の身体冷暖房装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、首の外周に装着し、身体に対する冷房運転と、暖房運転の少なくとも一方を行う身体冷暖房装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
首の外周に装着し、身体に対する冷房運転と、暖房運転の少なくとも一方を行う身体冷暖房装置は、首の周りに装着され、首の外周部分に当接する例えば導電性ゴムよりなる伝熱体と、この伝熱体の外側に装着された伝熱板と、この伝熱板に熱結合させたペルチェ素子とを備えた構成となっていた(これに類似する先行文献としては、例えば下記特許文献1が存在する)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−82427号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以上のような構成で、ペルチェ素子にリード線を介して通電すると、このペルチェ素子への通電方向により、ペルチェ素子の一面が冷却、または加熱されるので、その熱(低温、または高温)を伝熱板で横方向に広げながら伝熱体に伝え、これにより伝熱体が接する首の部分を冷却、または加熱するようにしている。
【0005】
しかしながら、ペルチェ素子から伝熱板に伝達された熱は内側(首側)の伝熱体方向だけでなく、外周方向(首とは反対側)にも放熱されてしまい、その結果として、冷房、または暖房効果を、さらに効果的に行えないという課題があった。
【0006】
そこで、本発明は、冷房、または暖房効果を高めることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そして、この目的を達成するために本発明は、伝熱板の外周面に、ペルチェ素子への通電を行うフレキシブル基板を配置し、このフレキシブル基板は、合成樹脂製の第1のシートと、この第1のシートの外周側に配置した導電パターンと、この導電パターンの外周側を覆った合成樹脂製の第2のシートとにより構成したものである。
【0008】
身体冷暖房装置は、首の周りに装着され、首の外周部分に当接する伝熱体と、この伝熱体の外側に装着された伝熱板と、この伝熱板に熱結合させたペルチェ素子と、を備え、前記伝熱板の外周面には、前記ペルチェ素子への通電を行うフレキシブル基板を配置し、このフレキシブル基板は、合成樹脂製の第1のシートと、この第1のシートの外周側に配置した導電パターンと、この導電パターンの外周側を覆った合成樹脂製の第2のシートとにより構成されている。
【0009】
身体冷暖房装置によれば、前記第1のシートは、前記伝熱板の外周面に、接着剤を介して密着している。
【0010】
身体冷暖房装置によれば、前記伝熱板および前記フレキシブル基板は、首の周りに装着すべく首の上下方向に直交する横方向に長い形状とし、横長の前記フレキシブル基板は、首の上下方向において、導電パターンが配置された導電パターン配置領域と、この導電パターン配置領域の上下の少なくとも一方側に配置した導電パターン非配置領域とを有し、前記導電パターン非配置領域の外周側には、前記伝熱体、前記伝熱板および前記フレキシブル基板を首側に押圧するバネ体を配置している。
【0011】
身体冷暖房装置によれば、前記フレキシブル基板の外周側には、横長の断熱体を配置し、この断熱体には、前記バネ体の拘束部を配置している。
【0012】
身体冷暖房装置によれば、前記フレキシブル基板の平面積は、前記伝熱板の平面積の半分以上としている。
【発明の効果】
【0013】
以上の本発明は、伝熱板の外周面に、ペルチェ素子への通電を行うフレキシブル基板を配置し、このフレキシブル基板は、合成樹脂製の第1のシートと、この第1のシートの外周側に配置した導電パターンと、この導電パターンの外周側を覆った合成樹脂製の第2のシートとにより構成したものであるので、冷房、または暖房効果を高めることができる。
【0014】
すなわち、伝熱板の外周面に、ペルチェ素子への通電を行うフレキシブル基板を配置し、このフレキシブル基板は、合成樹脂製の第1のシートと、この第1のシートの外周側に配置した導電パターンと、この導電パターンの外周側を覆った合成樹脂製の第2のシートとにより構成すると、このフレキシブル基板が、伝熱板の外周面方向への熱の放散に対する熱放散抑制効果(断熱効果)を発揮し、その結果として、伝熱板から伝熱体への熱の伝達効率が高まり、これにより、冷房、または暖房効果を高めることができるのである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態にかかる身体冷暖房装置の使用例を示す斜視図
図2】同身体冷暖房装置の主要部を示す平面図
図3】同身体冷暖房装置の主要部を示す平面展開図
図4】同身体冷暖房装置の主要部を示す分解平面展開図
図5図3のA―A線断面図
図6図3のB―B線断面図
図7図3のC―C線断面図
図8】同身体冷暖房装置の主要部を示す分解斜視図
図9】本発明の他の実施形態にかかる身体冷暖房装置の主要部を示す平面図
図10】同身体冷暖房装置の主要部を示す平面展開図
図11】同身体冷暖房装置の主要部を示す分解平面展開図
図12図10のD―D線断面図
図13】本発明のさらに他の実施形態にかかる身体冷暖房装置の主要部を示す分解斜視図
【発明を実施するための形態】
【0016】
(実施の形態1)
以下本発明の一実施形態を、添付図面を用いて説明する。
【0017】
図1において、1は身体を示し、この身体1の首2の外周には、身体冷暖房装置が取り付けられている。この身体冷暖房装置によれば、首2の周りに装着され、首2の外周部分に当接する伝熱体3が首2に配置されている。この伝熱体3は、例えば熱伝導性のゴムによって形成され、身体1の首2の外周に当接するように略U字形状をしている。つまり、伝熱体3の開口部4を外側に広げた状態で、この開口部4から首2の外周へと装着するようになっている。また、この伝熱体3にはペルチェ素子5から冷却熱、暖房熱が伝達され、これによって、首2を冷却、または加熱し、身体の冷房、または暖房を行うようになっている。
【0018】
また、ペルチェ素子5は、ホース6を介して循環する冷媒によって冷却され、これにより、ペルチェ素子5が安定的に、身体1の冷房、または暖房を継続できるようにしている。なお、ホース6を介して循環する冷媒の放熱は、腰ベルト7に装着された熱交換器8によって行われるようになっている。また、腰ベルト7には、熱交換器8のファン9や、冷媒循環ポンプ(図示せず)、およびペルチェ素子5への通電を行う電池10が装着されている。
【0019】
以上の構成は上記先行文献と略同じようになっており、以下、本実施形態の特徴部分について説明する。
【0020】
伝熱体3は上述のごとく熱伝導性のゴムによって形成され、図2に示すごとく、身体1の首2の外周の半分以上の部分に当接するように略U字形状をしている。この伝熱体3の外周側には、図3図4に示すように、グラファイトシート11、伝熱板12が配置され、伝熱板12の長手方向両側で、伝熱板12の外周面には2個のペルチェ素子5が、熱伝導可能に機械的に固定されている。
【0021】
なお、図3図4は、各構造物の理解をし易くするために、伝熱体3の外周側のグラファイトシート11、伝熱板12などを平面的に示しているが、各部材が組み付けられて完成した身体冷暖房装置の形状としては、これらの図3図4に示すものはすべて、図2のように、略U字状に曲げられた形状となる。
【0022】
伝熱体3、グラファイトシート11、伝熱板12は、図3図4に示すように横長の形状をしており、伝熱板12の外周面には、前記長手方向両側に配置したペルチェ素子5への通電を行うフレキシブル基板13を配置している。このフレキシブル基板13は、合成樹脂製の横長の第1のシートであるシート14と、このシート14の外周側に配置した蛇行状態の導電パターン15と、この導電パターン15の外周側を覆った合成樹脂製の横長の第2のシートであるシート16とにより構成されており、このフレキシブル基板13のシート14は、伝熱板12の外周面に、接着剤(図示せず)を介して密着、固定している。そして、このフレキシブル基板13の導電パターン15を介してペルチェ素子5に、電池10から通電し、その電流方向により、伝熱板12を冷却、または加熱するようになっている。
【0023】
なお、前記伝熱板12、およびフレキシブル基板13は、首の周りに装着すべく横方向に長い形状とし、前記横長のフレキシブル基板13は、この横方向に直行する首の上下方向において、導電パターン15が配置された導電パターン配置領域17と、この導電パターン配置領域17の上下の少なくとも一方側に配置した導電パターン非配置領域18とを有している。
【0024】
そして、前記導電パターン非配置領域18の外周側には、前記伝熱体3、グラファイトシート11、伝熱板12およびフレキシブル基板13を首2側に押圧するU字状のバネ体19を配置している。この点を、さらに詳細に説明すると、上述のように伝熱体3、グラファイトシート11、伝熱板12などは、最終形状として、図2に示すように、首2の周りに装着すべく略U字状に曲げられた形状となるため、この形状を実現して伝熱体3を首2側に押圧すべくU字状金属製のバネ体19を配置している。
【0025】
このバネ体19は、図5図7に示すように、フレキシブル基板13の、さらに外周側に配置した横長形状の断熱体20の溝21(拘束部の一例)内に装着されている。
【0026】
断熱体20自体は電気的な絶縁物でもあるが、長期の使用により、万が一、溝21の底面を貫通し、フレキシブル基板13側にU字状金属製のバネ体19が表出したとしても、このバネ体19を、フレキシブル基板13の導電パターン非配置領域18に対向した部分に配置しているので、導電パターン15に対してU字状金属製のバネ体19が電気的に接触することを防止する構成としている。
【0027】
なお、図4図7において断熱体20の外周方向に配置しているのは、横長形状の蓋体22であり、この蓋体22と伝熱体3間に、グラファイトシート11、伝熱板12、フレキシブル基板13、ペルチェ素子5、断熱体20およびバネ体19を収納し、これらを、図1図2に示すように、全体として略U字形状にしている。
【0028】
図8は、ペルチェ素子5の冷却構造を示している。つまり、ペルチェ素子5をケース23で覆い、このケース23内に、ホース6を介して冷媒を循環させ、これによってペルチェ素子5を冷却し、安定的に加熱動作、あるいは冷却動作が行われるようにしている。また、この図8のケース23には、ペルチェ素子5の丸形状の通電端子24が貫通する丸型トンネル25と、ホース6を結合するための丸型貫通孔26が形成されている。
【0029】
以上の構成において、ペルチェ素子5に通電すると、このペルチェ素子5への通電方向により、ペルチェ素子5の伝熱板12側を加熱、あるいは冷却することができる。そして、伝熱板12の熱(加熱、あるいは冷却)は、その長手方向に熱伝導し、次には、グラファイトシート11を介して伝熱体3に伝達し、その結果として、首2部分を加熱、あるいは冷却し、それにより暖房動作、あるいは冷房動作を行うことができる。
【0030】
このような構成において、本実施形態では、伝熱板12の外周面に、ペルチェ素子5への通電を行うフレキシブル基板13を配置し、このフレキシブル基板13は、合成樹脂製のシート14と、このシート14の外周側に配置した導電パターン15と、この導電パターン15の外周側を覆った合成樹脂製のシート16とにより構成したものであり、伝熱板12の外周面の面積の半分以上は、フレキシブル基板13によって覆われた状態としているので、冷房、または暖房効果を高めることができる。
【0031】
すなわち、伝熱板12の外周面に、ペルチェ素子5への通電を行うフレキシブル基板13を配置し、このフレキシブル基板13は、合成樹脂製のシート14と、このシート14の外周側に配置した導電パターン15と、この導電パターン15の外周側を覆った合成樹脂製のシート16とにより構成すると、このフレキシブル基板15が、伝熱板12の外周面方向への熱の放散に対する熱放散抑制効果を発揮し、その結果として、伝熱板12からグラファイトシート11を介して伝熱体3への熱の伝達効率が高まり、これにより、冷房、または暖房効果を高めることができるのである。
【0032】
つまり、外周方向には、フレキシブル基板13を構成する合成樹脂製のシート14、16が面状として存在しており、しかも、合成樹脂製のシート14、16は非熱伝導性であるので、伝熱板12の熱が、外周方向に放散されることが少なくなり、その反面として、伝熱板12の熱は、グラファイトシート11を介して伝熱体3へ伝わりやすくなり、その結果として、冷房、または暖房効果を高めることができるのである。
【0033】
(実施の形態2)
図9図13は、本発明の他の実施形態を示し、この実施形態では、ペルチェ素子5を伝熱板12の長手方向の両側と中央部とで合計3個配置したものである。また、フレキシブル基板15の導電パターン15も、これら3個のペルチェ素子5への電気的接続を行うようにしている。
【0034】
なお、この実施形態においても、ペルチェ素子5をケース23で覆い、このケース23内に、ホース6を介して冷媒を循環させ、これによってペルチェ素子5を冷却し、安定的に加熱動作、あるいは冷却動作が行われるようにしている。ただし、この実施形態では図13に示すように、ケース23には、ペルチェ素子5の扁平の通電端子27が貫通する扁平トンネル28と、ホース6を結合するための丸型貫通孔26が形成されている。
【0035】
この実施形態では、ペルチェ素子5を3個用いたので、首2の周りをさらに効果的に加熱、あるいは冷却し、効果的な暖房、あるいは冷房が行えるので、図11に示すように、グラファイトシートはなくてもよい。
【0036】
以上、本発明の実施形態を詳述したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。そして本発明は、特許請求の範囲に記載された事項を逸脱することがなければ、種々の設計変更を行うことが可能である。本発明は、例えば、高温季における野外活動実行時、または低温季における野外活動実行時おいて、適切な冷房運転、または暖房運転を行うことができる。
【符号の説明】
【0037】
1 身体
2 首
3 伝熱体
4 開口部
5 ペルチェ素子
6 ホース
7 腰ベルト7
8 熱交換器
9 ファン
10 電池
11 グラファイトシート
12 伝熱板
13 フレキシブル基板
14 シート(第1のシート)
15 導電パターン
16 シート(第2のシート)
17 導電パターン配置領域
18 導電パターン非配置領域
19 バネ体
20 断熱体
21 溝
22 蓋体
23 ケース
24 通電端子
25 丸型トンネル
26 丸型貫通孔
27 通電端子
28 扁平トンネル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13