特許第6961245号(P6961245)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6961245
(24)【登録日】2021年10月15日
(45)【発行日】2021年11月5日
(54)【発明の名称】ヒューム回収機
(51)【国際特許分類】
   B23K 9/32 20060101AFI20211025BHJP
   B01D 46/24 20060101ALI20211025BHJP
【FI】
   B23K9/32 J
   B01D46/24 C
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2019-106630(P2019-106630)
(22)【出願日】2019年6月7日
(65)【公開番号】特開2020-199511(P2020-199511A)
(43)【公開日】2020年12月17日
【審査請求日】2020年7月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000127123
【氏名又は名称】株式会社アンレット
(74)【代理人】
【識別番号】100090239
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 始
(74)【代理人】
【識別番号】100100859
【弁理士】
【氏名又は名称】有賀 昌也
(72)【発明者】
【氏名】竹田 昌史
(72)【発明者】
【氏名】加藤 利明
(72)【発明者】
【氏名】岡野 英幸
【審査官】 山下 浩平
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭59−027814(JP,U)
【文献】 特開2008−086955(JP,A)
【文献】 特開2009−106945(JP,A)
【文献】 実開昭62−025074(JP,U)
【文献】 特開平11−019775(JP,A)
【文献】 特開平08−057235(JP,A)
【文献】 特開2015−033661(JP,A)
【文献】 特表2002−537969(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 9/00、9/007 − 9/013、9/04、9/14 − 10/02
B01D 46/24
B23K 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送風機と、筒状フィルタを内蔵したスクリーンタンクと吸引ホースを備え、送風機の運転により、溶接作業時に発生するヒューム粉塵を空気とともに吸引ホースを通してスクリーンタンク内に吸引して筒状フィルタで捕集するヒューム回収機であって、
前記筒状フィルタを縦に設置するとともに、
筒状フィルタの内部空間をその上部容積が漸減するように形成し、
筒状フィルタの内部空間内にその下端側からパルスジェットエアを噴射するパルスジェットバルブを設けたことを特徴とするヒューム回収機。
【請求項2】
円錐形のコーンガイドを先細りの先端が下を向くように筒状フィルタの内部空間内に設けて内部空間の上部容積を漸減させたことを特徴とする請求項1に記載のヒューム回収機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアーク溶接作業時に発生するヒューム粉塵を回収するヒューム回収機に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒューム回収機の一形式として、特許第3316476号には、送風機と、筒状フィルタを内蔵したスクリーンタンクと、吸引ホースを備え、送風機の運転により吸引ホースを通して、溶接作業時に発生するヒューム粉塵を空気とともにスクリーンタンク内に吸引して筒状フィルタで捕集するヒューム回収機が開示されている。
【0003】
このヒューム回収機では、送風機を逆転運転して外気を筒状フィルタの内部に吹き付けることにより、筒状フィルタに付着しているヒューム粉塵を吹き飛ばしてフィルタの目詰まりを解消するとともに、スクリーンタンクの下方に設置された回収容器に落下させて回収している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3316476号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、フィルタに強く付着したヒューム粉塵は、送風機の逆転運転で外気を筒状フィルタに吹き付けても吹き飛ばされ難い。そのため上記した従来のヒューム回収機では、スクリーンタンクからフィルタを取り出して洗浄する作業が度々必要となる。
【0006】
上記のヒューム回収機では、送風機を逆転運転して筒状フィルタからヒューム粉塵を吹き飛ばしている間は、溶接作業を中断しなければならない。
【0007】
また、この種のヒューム回収機では、溶接作業場に吸引フードを設置し、吸引フードとスクリーンタンクを吸引ホースで接続し、吸引フードからヒューム粉塵を含む空気をスクリーンタンク内に吸引しているが、吸引フードを通してヒューム粉塵を吸引するヒューム回収機の多くは送風機としてターボブロワが用いられる。
しかし、ターボブロワはその特性上、フィルタの圧損により吸引量が初期の1/3〜1/4に低下するので、度々ターボブロワを停止して、フィルタを取り出しての清掃、若しくは、使い捨て式の新しいフィルタへの交換等を行っており、その都度、溶接作業を中断しなければならない。
【0008】
本発明は、上記の問題点に鑑み、溶接作業を中断してフィルタを洗浄する作業を可及的に少なくできるヒューム回収機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明は、送風機と、筒状フィルタを内蔵したスクリーンタンクと吸引ホースを備え、送風機の運転により、溶接作業時に発生するヒューム粉塵を空気とともに吸引ホースを通してスクリーンタンク内に吸引して筒状フィルタで捕集するヒューム回収機であって、
前記筒状フィルタを縦に設置するとともに、
筒状フィルタの内部空間をその上部容積が漸減するように形成し、
筒状フィルタの内部空間内にその下端側からパルスジェットエアを噴射するパルスジェットバルブを設けたことを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のヒューム回収機において、
円錐形のコーンガイドを先細りの先端が下を向くように筒状フィルタの内部空間内に設けて内部空間の上部容積を漸減させたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1及び2に記載の発明によれば、パルスジェットバルブを備えたので、筒状フィルタの内部空間にパルスジェットエアを噴射することにより、筒状フィルタに付着したヒューム粉塵を吹き飛ばして筒状フィルタを洗浄できる。
とりわけ、筒状フィルタの内部空間の上部容積が漸減しているので、内部空間内に下端側から噴射されるパルスジェットエアを内部空間の上部まで届かせることができる。そのため、筒状フィルタに付着したヒューム粉塵を効果的に吹き飛ばすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施例に係るヒューム回収機を示す一部破断した正面図である。
図2】同ヒューム回収機のスクリーンタンクとパルスジェットエア発生装置を示す平面図である。
図3】同ヒューム回収機のスクリーンタンクを示す一部破断した正面図である。
図4図3の4−4線から切断した断面図である。
【実施例】
【0013】
以下に本発明を図面に基づき説明する。図1及び図2には本発明の一実施例に係るヒューム回収機10が示されている。当該ヒューム回収機10はスクリーンタンク11と、アーク溶接作業時に発生するヒューム粉塵を空気とともにスクリーンタンク11内に吸引するルーツブロワ12と、ルーツブロワ12を駆動するモータ13及びパルスジェットエア発生装置14を備え、これらがキャスタ15を有する台車16に設置されている。
【0014】
スクリーンタンク11には2本の筒状フィルタ17,18が内蔵されている。図3に示すように、スクリーンタンク11の側面上部には吸引される空気中に混入したスパッタを分離するスパッタトラップを兼ねた吸気導入室19が設けられている。この吸気導入室19にはヒューム粉塵を空気と共に吸引するとき吸気口20を開放する逆止弁21が設けられている。吸気口20には吸入空気量を調整する手動調整弁22と吸引ホース23が取り付けられている。この吸引ホース23の先端には溶接トーチ24に着脱可能な吸引ノズル25が取り付けられている。スクリーンタンク11の上面開口には蓋26が被せられ、ネジ27で固定されている。スクリーンタンク11の下部にはヒューム粉塵を溜める引き出し状の回収容器28が取り付けられている。
【0015】
図4に示すように、スクリーンタンク11内には吸込管29が配管されている。この吸込管29の吸込み側29aは筒状フィルタ17をスクリーンタンク11内に縦置きで取り付けるための取付座30が設けられている。スクリーンタンク11の側面下部には取付座30を取り付けたり、点検するための開口部が形成され、開口部が点検板11bで覆蓋されている。取付座30には第1通孔30aと第2通孔30bが設けられ、第1通孔30aが吸込管29に連通している。また、第2通孔30bはパルスジェットエアを噴射する連結ホース32が接続されている。
【0016】
筒状フィルタ17,18は目開き0.1〜0.5μmの襞状不織布を内部空間17a,18aが形成されるように円筒形に成形したもので、下端部を取付座30に載置し、上端部からフィルタカバー33を被せ、第1通孔30a及び第2通孔30bが筒状フィルタ17,18の内部空間17a,18aに臨むように、取付座30に立設した長ボルト34にフィルタカバー33とともに蝶ネジ35で固定されている。この長ボルト34の中間部には両ナット36で円錐形状のコーンガイド37が取り付けられている。コーンガイド37は筒状フィルタ17,18の内部空間17a,18aに先細りの先端部が下を向くように長ボルト34に取り付けられ、筒状フィルタ17,18の内部空間17a,18aの上部容積がこのコーンガイド37によって漸減している。
【0017】
ルーツブロワ12には振動の少ない3葉式が用いられている。このルーツブロワ12の吸引口12aと吸込管29が接続ホース38を介して接続されている。吸込管29と接続ホース38の接続部の近辺には真空スイッチ39が取り付けられている。ヒューム粉塵が筒状フィルタ17,18に多量に付着すると筒状フィルタ17,18の圧損が増加し、ルーツブロワ12の動力も増加するので、フィルタ圧損が一定値以上(本実施例では−30kPaG以上)になると真空スイッチ39が作動してルーツブロワ12を停止させる保護回路(図示せず)が設けられている。また、ルーツブロワ12の吐出口12bには排気サイレンサ40が接続されている。
【0018】
図2に示すように、パルスジェットエア発生装置14は、2個の圧縮空気タンク41、42を備えている。二つの圧縮空気タンク41、42は供給ホース43で接続され、供給ホース43を介して工場等に設置された圧縮機から圧縮空気が各圧縮空気タンク41、42に供給される。また、各圧縮空気タンク41、42はパルスジェットバルブ44,45を備えるとともに、一方の圧縮空気タンク41は連結ホース46を介して筒状フィルタ17の第2通孔30bに接続され、他方の圧縮空気タンク42は連結ホース47を介して他方の筒状フィルタ18の第2通孔30bに接続されている。各パルスジェットバルブ44,45は制御パネル48(図1参照)のフィルタ洗浄ボタンを操作すると所定の手順で作動する。
【0019】
本実施例に係るヒューム回収機10の構成は以上の通りであって、以下にその作動を説明する。駆動モータ13でルーツブロワ12を駆動すると、溶接トーチ24による溶接作業で発生するヒューム粉塵とともに空気が吸引ノズル25から吸引ホース23を通ってスクリーンタンク11内に吸引された後、筒状フィルタ17,18の内部空間17a,18aから吸込管29と接続ホース38を通ってルーツブロワ12に吸引されルーツブロワ12の吐出口12bからサイレンサ40を経て大気中に放出される。そして、空気が筒状フィルタ17,18を通過するときにヒューム粉塵が筒状フィルタ17,18で捕集される。
【0020】
筒状フィルタ17,18の洗浄は制御パネル48(図1参照)のフィルタ洗浄ボタンを操作して行う。筒状フィルタ17,18の洗浄はルーツブロワ12の停止時だけでなく、運転中も可能である。ルーツブロワ12の運転中、フィルタ洗浄ボタンを操作すると、一方のパルスジェットバルブ44が所定のパルス作動時間及びパルス作動回数噴射後に作動を停止し、続いて他方のパルスジェットバルブ45が同様に作動する。そして、パルスジェットバルブ44の作動により、圧縮空気タンク41の圧縮空気が連結ホース46を通り第2通孔30bからパルスジェットエアとなって筒状フィルタ17の内部空間17a内に噴出するので、筒状フィルタ17に付着しているヒューム塵埃が筒状フィルタ17から吹きとばされ、回収容器28に落下する。一方のパルスジェットバルブ44の作動中は他方のパルスジェットバルブ45が非作動のためルーツブロワ12の運転中、筒状フィルタ18にはヒューム粉塵が捕集される。
【0021】
本実施例に係るヒューム回収機10によれば、溶接トーチ24に着脱可能な吸引ノズル25を装着し、吸引ホース23に取付けたので、ヒューム粉塵の発生源となる溶接トーチ24から直接吸引ノズル25を通してヒューム粉塵を筒状フィルタ17,18内に吸引して捕集できる。そのため、送風機として、吸引フードを使用するヒューム回収機のように風量の大きいターボブロワを備える必要がなく、フィルタの圧損による吸引量の低下が初期の1/10程度と低いルーツブロワ12を用いるができるので、消費電力を節約でき、また長期の連続運転が可能となる。
【0022】
パルスジェットバルブ44,45を備えたので、筒状フィルタ17,18の内部空間にパルスジェットエアを噴射することにより、筒状フィルタ17,18に付着したヒューム粉塵を吹き飛ばして筒状フィルタ17,18を洗浄できる。
とりわけ、筒状フィルタ17,18を2本設けるとともに、各筒状フィルタ17,18の内部空間17a,18aにパルスジェットエアを噴射するパルスジェットバルブ44,45を備えたので、一方の筒状フィルタ17内にパルスジェットエアを噴射して洗浄しながら、パルスジェットエアが噴射されていない他方の筒状フィルタ18でヒューム粉塵を捕集できる。そのため、筒状フィルタ17,18の洗浄中も溶接作業を中断しなくてもよい。
【0023】
筒状フィルタ17,18の内部空間の上部容積を、コーンガイド37を設けることで漸減させたので、内部空間17a,18a内に下端側から噴射されるパルスジェットエアを内部空間17a,18aの上部まで届かせることができる。そのため、筒状フィルタ17,18に付着したヒューム粉塵を効果的に吹き飛ばすことができる。
【0024】
なお、圧縮空気タンク41、42に供給される空気の圧力は400〜500kPaGが望ましい。パルスジェットバルブ44、45の作動時間は0〜0.5秒、および作動回数は0〜30回の間で設定可能である。通常設定として作動時間は0.3秒、作動回数は10回で設定している。
【符号の説明】
【0025】
10…ヒューム回収機
11…スクリーンタンク
12…ルーツブロワ
13…モータ
14…パルスジェットエア発生装置
17,18…筒状フィルタ
17a,18a…内部空間
23…吸引ホース
24…溶接トーチ
25…吸引ノズル
44,45…パルスジェットバルブ
37…コーンガイド
図1
図2
図3
図4