(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6961276
(24)【登録日】2021年10月15日
(45)【発行日】2021年11月5日
(54)【発明の名称】美容機器
(51)【国際特許分類】
A61H 9/00 20060101AFI20211025BHJP
A61H 39/04 20060101ALI20211025BHJP
【FI】
A61H9/00
A61H39/04 W
【請求項の数】5
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2021-4732(P2021-4732)
(22)【出願日】2021年1月15日
【審査請求日】2021年1月18日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和2年6月1日 株式会社バーグCEO巖貴嘉が、鳥栖市内で、個人2名(岩崎弘典、上野翔太)に、巖貴嘉が発明した「美容機器」が記載された刊行物「HatchingBeautyリーフレット」を配布した。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520211638
【氏名又は名称】株式会社バーグ
(74)【代理人】
【識別番号】100197642
【弁理士】
【氏名又は名称】南瀬 透
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100182567
【弁理士】
【氏名又は名称】遠坂 啓太
(74)【代理人】
【識別番号】100219483
【弁理士】
【氏名又は名称】宇野 智也
(72)【発明者】
【氏名】巖 貴嘉
【審査官】
村上 勝見
(56)【参考文献】
【文献】
登録実用新案第3184792(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3111654(JP,U)
【文献】
特開2003−038382(JP,A)
【文献】
特開昭62−161367(JP,A)
【文献】
特開2010−051529(JP,A)
【文献】
特開2006−34540(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 9/00
A61H 39/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者が把持する把持部と、
前記把持部の一端に設けられ、コンプレッサーにより高圧で圧送されて皮膚の角質層を貫通し、当該皮膚に針治療のような刺激を与え得る気体または液体が噴射される直径が1.0mm以下の単一の噴射口を有する噴射部と、
前記噴射部に接続され、前記噴射口と使用者の皮膚との間に一定の空間を形成する空間形成部と、
前記空間形成部の側面に設けられ、前記噴射部により噴射された気体または液体の一部が漏れる開口部と、を含み、
前記把持部は、前記噴射部により噴射される液体が溜められるタンクを有する美容機器。
【請求項2】
前記開口部は、前記空間形成部の使用者の皮膚に接触する部分に設けられる請求項1に記載の美容機器。
【請求項3】
前記噴射部により噴射されて皮膚の角質層を貫通した液体が、当該皮膚の内側に浸透するものである請求項1または2に記載の美容機器。
【請求項4】
前記噴射口は、直径が0.5mm以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の美容機器。
【請求項5】
前記空間形成部は交換可能であり、前記噴射口と使用者の皮膚との間に生じる一定の空間がそれぞれ異なる複数の形状を有するものである請求項1〜4のいずれか1項に記載の美容機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚に空気を注入して、まるで鍼治療のように皮膚を刺激して血行促進を図り、また、皮膚に溶液を透過させる美容機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、美容や健康のために、皮膚を刺激して血行をよくすることが知られている。そして、このように美容や健康のために、皮膚を刺激して血行をよくする器具や方法が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、顔の皮膚に常に適度な刺激を与えることができ、更に、目元等の起伏が激しく且つ小面積の部分の皮膚にも容易に刺激を与える事ができると共に、顔等の皮膚に肌に刺激を加える際の手の動きを軽減する皮膚刺激具が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、皮膚にチップモジュールを接触させながらソリューションを噴射すると同時に、周辺の空気及び皮膚から抜け出る老廃物などの物質を吸入させ、痛み及び傷跡などを誘発するニードルを用いなくても、所定のソリューションを用いて皮膚に対する洗浄や皮膚改善などの効果が得られるようにする皮膚美容装置のハンドピースが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−254261号公報
【特許文献2】特表2019−515760号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、引用文献1,2に開示されている発明は、あくまで皮膚の表面を刺激するものである。そのため、鍼治療のような、もっと皮膚に刺激を与える治療を実現できるものではない。しかし、近年はサービスの多様化により、街の美容院のような場所でも、鍼治療のようなサービスの提供が求められている。つまり、誰でも簡単に、鍼治療のような美容サービスの提供を実現することができる機器が求められている。よって、本発明は、誰でも簡単に、鍼治療のような美容サービスの提供を実現することができる美容機器の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の美容機器は、使用者が把持する把持部と、把持部の一端に設けられ、コンプレッサーにより圧送された気体または液体が噴射される微細な噴射口を有する噴射部と、噴射部に接続され、噴射口と使用者の皮膚との間に一定の空間を形成する空間形成部と、空間形成部の側面に設けられ、噴射部により噴射された気体または液体の一部が漏れる開口部と、を含む。これにより、噴射口から皮膚に強い刺激を与え得る気体または液体が噴出されるとともに、噴射口と使用者の皮膚との間には、常に一定の距離が生じる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の美容機器によれば、上述した構成により、噴射口から使用者の皮膚に強い刺激を与え得る気体または液体が噴出されるとともに、噴射口と皮膚との間には常に一定の距離が生じるため、使用者の皮膚に鍼治療のような刺激を与えることができつつ、噴射口と皮膚との距離が近過ぎて皮膚を傷めることを防ぎ、誰が使用しても安全にかつ十分な効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施の形態に係る美容機器の側面図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係る美容機器の平面図である。
【
図3】本発明の実施の形態に係る美容機器の使用例を示す説明図である。
【
図4】本発明の実施の形態に係る美容機器の分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を変更しない限り、以下の内容に限定されない。
【0011】
[美容機器]
図1は、本発明の実施の形態に係る美容機器の側面図である。また、
図2は、本発明の実施の形態に係る美容機器の平面図である。美容機器1は、使用者が把持する把持部10と、コンプレッサー(図示せず)により圧送された気体または液体が噴射される微細な噴射口111を有する噴射部11と、使用者の皮膚との間に一定の空間を形成する空間形成部20とを含む。コンプレッサーは、外部または内部(例えば、美容機器1内)に設けられる。
【0012】
また、
図4は、本発明の実施の形態に係る美容機器の分解図である。
図1,4等に示すように、空間形成部20は、噴射部11に装着して、噴射口111と使用者の皮膚との間に一定の空間を確保する。
【0013】
噴射部11は、コンプレッサーにより圧送された気体や液体が通過するゴム管(図示せず)を内部に含む。また、噴射口111は、直径が1.0mm以下であり、さらには直径が0.5mm以下であることが好ましい。
【0014】
空間形成部20は、その一旦が使用者の皮膚に接触すると、噴射口111と当該使用者の皮膚との間に一定の空間が生じるような形状となっている。なお、空間形成部20には、噴射部11により噴射された気体または液体の一部が漏れる開口部201が設けられている。
【0015】
また、美容機器1は、注入口12と、操作部13と、噴射ボタン14とを含む。例えば、噴射部11の噴射口111から噴射される液体は、注入口12から注入され、把持部10内のタンク(図示せず)に溜められる。そして、コンプレッサーにより、タンク内の液体に圧力がかかり、噴射部11内のゴム管を通過し、噴射口111から噴射される。
【0016】
操作部13は、使用者が美容機器1の操作を行う際に操作するボタンや、美容機器1の状態が表示される表示画面を含むものである。ボタンは例えば、美容機器1をON/OFFする電源ボタンや、噴射口111から噴射される気体や液体の強さを切り替えるモードボタンなどである。表示画面は例えば、このような美容機器1の稼働状態(ON/OFF)や、モード状態などを表示する画面である。
【0017】
噴射ボタン14は、美容機器1、噴射部11またはコンプレッサーなどへ噴射指示を与えるボタンである。例えば、使用者が噴射ボタン14を押下している間、コンプレッサーへ噴射指示が通知され、噴射口111から気体や液体が噴射され続ける。噴射ボタン14の押下を止めると、噴射も止まる。
【0018】
また、美容機器1はケーブルCを含む。ケーブルCは、コンプレッサーと美容機器1とを結ぶケーブル、電源ケーブル、またはこれらをまとめたケーブルである。これにより、ケーブルCの接続先のコンプレッサーから、圧縮された空気が美容機器1に対して送られる。また、ケーブルCの接続先の電源から、美容機器1に対して電力が供給される。
【0019】
[使用例]
図3は、本発明の実施の形態に係る美容機器の使用例を示す説明図である。
図3に示す例では、使用者は、自身の手の甲の皮膚Hに対して美容機器1を使用している。また、以下、当該手の甲の皮膚Hに対して空気を噴射させる例を示す。
【0020】
使用者は、操作部13より美容機器1の電源をONにし、空間形成部20を自分の皮膚Hに接触させる(当てる)。そして、噴射ボタン14を押下することで、コンプレッサーが作動し、噴射部11から噴射口111を通じて圧送された、非常に強い勢いの空気が噴射される。ここで、店員と客との関係のように、美容機器1を操作する者と、美容機器1により美容サービスの提供を受ける者は別々でもよい。
【0021】
また、噴射口111は微細な孔であるため、噴射口111により噴射された非常に強い勢いの空気は、皮膚Hの一点に集中して当たる。そのため、その空気が当たった場所は、まるで鍼を打たれたような刺激が与えられる。具体的には、噴射された空気は、皮膚の角質層を貫通し、表皮、真皮まで到達する。
【0022】
空気ではなく液体(溶液)を皮膚に注入させる場合も同様で、噴射された液体は、皮膚の角質層を貫通し、表皮、真皮まで到達する。ここで、その液体が当たった場所が皮膚の毛穴や汗腺だった場合、付属器官経路により液体が吸収される。液体が当たった場所が皮膚の毛穴や汗腺でなくても、細胞間隙経路(細胞と細胞の間を通過する)や、細胞実質透過経路(細胞内を通過する)により、液体が吸収される。つまり、毛穴のないところに穴を開け得るという効果を奏することができる。
【0023】
このように、噴射口111から噴射された空気は、使用者の皮膚に対して、鍼治療のような刺激を与えることができる。また、噴射口111から液体が噴射される場合は、皮膚の内側まで十分に液体を浸透させることができる。
【0024】
なお、噴射口111の直径を1.0mmや0.5mmなどのように変えることで、噴射口111により噴射される気体または液体の強さを調整することができる。このような噴射される気体や液体の強さは、噴射口111と接続され、噴射される気体や液体が通過するゴム管の直径サイズを変えることでも調整することができる。
【0025】
これにより、例えば、噴射口111の直径が0.5mmの場合は非常に強い気体や液体が噴射されるため熟練者用など、使用者(作業に不慣れな者〜熟練者)や、使用用途(強い刺激を求めているか否か)、使用箇所(手や顔、または顔であってもどの部分か)に応じて、噴射される気体や液体の強さを適宜調整することができる。
【0026】
また、上述したコンプレッサーが気体や液体に加える圧力も、高圧〜中圧〜低圧と適宜調整することができる。例えば、操作部13の、噴射される気体や液体の強さを切り替えるモードボタンにより、コンプレッサーが気体や液体に加える圧力を適宜切り替えることができる。よって、この高圧コンプレッサーの圧力と、噴射口111の直径とを組み合わせて、噴射される気体や液体の強さを自由に調整することができる。
【0027】
美容機器1を使用する際、使用者の皮膚に接触された空間形成部20は、噴射口111と当該使用者の皮膚との間に一定の空間が生じるような形状となっているため、使用者は、噴射口111と皮膚との距離を考えずに、美容機器1を使用することができる。つまり、空間形成部20を皮膚に接触させれば、噴射口111と皮膚との間には適切な距離が生じるため、作業に不慣れな者(例えば、美容院に入りたての新人)でも、熟練者と同じ効果を奏することができる。
【0028】
特に、噴射口111から噴射される気体や液体は、上述したように、皮膚の真皮まで到達するものである。そのため、噴射口111と皮膚との距離が近過ぎると、皮膚を傷めてしまう恐れがある。そこで、噴射口111と皮膚との間に適切な距離を生じさせることができる空間形成部20を用いることで、誰が美容機器1を使用した場合でも、皮膚を傷めるおそれはなくなる。
【0029】
また、空間形成部20には、噴射部11により噴射された気体や液体の一部が漏れる開口部201が設けられているため、上述したような非常に勢いの強い気体や液体であっても、その気体や液体の一部が漏れることにより、使用者の皮膚を傷めることを防ぐことができる。
【0030】
さらに、開口部201は、空間形成部20の使用者の皮膚に接触する部分に設けられることが望ましい(
図1,3参照)。使用者の皮膚に当たった気体や液体が、そのまま使用者の皮膚に沿って外部へ漏れやすくなり、細かい気体や液体の勢いの調整が容易に可能となるためである。
【0031】
なお空間形成部20は交換可能であり、噴射口111と使用者の皮膚との間に生じる一定の空間が、それぞれ異なる複数の形状を有する。つまり空間形成部20は交換可能なアタッチメントであり、噴射口111と使用者の皮膚との間に生じる距離がそれぞれ異なる複数の種類が存在する。
【0032】
そのため、空間形成部20は使用者の皮膚の強さ/弱さに応じて適宜交換可能である。具体的には、空間形成部20は
図4に示すように、噴射部11に、キャップのように被せることで容易に装着することができる。ここで、噴射部11の一部と、空間形成部20の一部とが係合することで、工具を用いなくとも空間形成部20を容易に装着することができる。同時に、空間形成部20を容易に取り外すこともできる。
【0033】
よって、例えば、使用者の皮膚が弱い場合、噴射口111と当該使用者の皮膚との間に生じる距離が長い空間形成部20を使用することで、皮膚に当たる気体や液体の強さを調整する(弱くする)ことができる。また、容易に交換可能であるため、衛生的にも優れている。
【0034】
以上の説明は、本発明の実施の形態についての一例であるため、本発明の要旨を変更しない限り、適宜変更可能である。例えば、操作部13や噴射ボタン14の配置や構成などは、使用者が使いやすいように適宜変更可能である。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は、誰でも簡単に、鍼治療のような美容サービスの提供を実現することができる美容機器であり、街の美容院のような場所でも、本発明を用いて鍼治療のような美容サービスを提供することができるため、産業上有用である。
【符号の説明】
【0036】
1 美容機器
10 把持部
11 噴射部
111 噴射口
12 注入口
13 操作部
14 噴射ボタン
20 空間形成部
201 開口部
C ケーブル
【要約】
【課題】誰でも簡単に、鍼治療のような美容サービスの提供を実現することができる美容機器の提供。
【解決手段】美容機器1は、使用者が把持する把持部10と、把持部10の一端に設けられ、コンプレッサーにより圧送された気体または液体が噴射される微細な噴射口111を有する噴射部11と、噴射部11に接続され、噴射口111と使用者の皮膚との間に一定の空間を形成する空間形成部20と、空間形成部20の側面に設けられ、噴射部11により噴射された気体または液体の一部が漏れる開口部201とを含む。
【選択図】
図1