特許第6961296号(P6961296)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6961296
(24)【登録日】2021年10月15日
(45)【発行日】2021年11月5日
(54)【発明の名称】セメント組成物
(51)【国際特許分類】
   C04B 7/24 20060101AFI20211025BHJP
【FI】
   C04B7/24
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-127561(P2017-127561)
(22)【出願日】2017年6月29日
(65)【公開番号】特開2019-11214(P2019-11214A)
(43)【公開日】2019年1月24日
【審査請求日】2020年5月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000240
【氏名又は名称】太平洋セメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103539
【弁理士】
【氏名又は名称】衡田 直行
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100162145
【弁理士】
【氏名又は名称】村地 俊弥
(72)【発明者】
【氏名】安藝 朋子
(72)【発明者】
【氏名】星野 清一
(72)【発明者】
【氏名】久保田 修
(72)【発明者】
【氏名】平尾 宙
【審査官】 永田 史泰
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−121064(JP,A)
【文献】 特開2016−160125(JP,A)
【文献】 矢島典明,「最近のフライアッシュ事情について」,コンクリート工学,日本,公益社団法人 日本コンクリート工学会,2014年05月,第52巻、第5号,第393〜398ページ
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B7/00−32/02
C04B40/00−40/06
C04B103/00−111/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セメント添加材とセメントからなるセメント組成物であって、
上記セメント添加材は、「JIS A 6201:2015(コンクリート用フライアッシュ)」のフライアッシュII種又はIII種の規定に適合するフライアッシュ100質量部、および、ブレーン比表面積が3,000〜10,000cm/gである石炭ガス化スラグ粉砕物5〜150質量部を含むセメント添加材であって、上記石炭ガス化スラグ粉砕物中、CaOの含有率が11.0〜23.0質量%であるセメント添加材であり、
上記セメントは、普通ポルトランドセメント又は早強ポルトランドセメントであることを特徴とするセメント組成物
【請求項2】
上記石炭ガス化スラグ粉砕物中、SiOの含有率が43.0〜55.0質量%であり、Alの含有率が15.0〜25.0質量%である請求項1に記載のセメント組成物
【請求項3】
上記石炭ガス化スラグ粉砕物中、Feの含有率が3.0〜15.0質量%であり、MgOの含有率が0.5〜5.0質量%である請求項1又は2に記載のセメント組成物
【請求項4】
上記セメント組成物中、上記セメント添加材の含有率が5〜40質量%である請求項1〜3のいずれか1項に記載のセメント組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セメント添加材及びセメント組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、モルタルやコンクリートにおいて、セメントの一部を石炭火力発電等によって発生するフライアッシュに置き換えたセメントが使われている。セメントの一部をフライアッシュに置き換えることによって、作業性や流動性の向上、発熱量の抑制、及び、廃棄物であるフライアッシュの有効利用等の利点がある。
一方、次世代の石炭火力発電方式として検討及び実証が進められている石炭ガス化複合発電は、従来の石炭火力発電方式と比較して石炭の使用量が少なく、発電効率に優れ、石炭の利用炭種を拡大でき、環境負荷の低減を図ることができる等の利点を有することから、早期実用化が期待されている。
従来の石炭火力発電では、大量の石炭灰が発生するのに対して、石炭ガス化複合発電では、ガス化炉に投入された石炭中の灰成分が溶融してなるガラス状のスラグ(以下、「石炭ガス化スラグ」ともいう。)が大量に発生する。発生した石炭ガス化スラグは、セメント骨材やアスファルト舗装等に有効利用することができるものの、その発生量が大量であることから、更なる有効利用の方策が望まれている。
石炭ガス化スラグを用いたセメント組成物として、特許文献1には、ポゾランを30〜70重量%含有することを特徴とする水和反応遅延型セメント組成物において、上記ポゾランとして、石炭ガス化スラグ及び/又はフライアッシュを用いることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−139860号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
セメントの一部をフライアッシュに置き換えると、強度発現性(特に、材齢28〜91日における強度発現性)が低下するという問題がある。
本発明の目的は、「日本工業規格(以下、「JIS」と称す。) A 6201:2015(コンクリート用フライアッシュ)」のフライアッシュII種又はIII種の規定に適合するフライアッシュを含むにもかかわらず、該フライアッシュを含むセメント組成物の強度(例えば、モルタルの圧縮強さ)発現性の低下を抑制しうるセメント添加材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、フライアッシュ(II種又はIII種)100質量部、および、ブレーン比表面積及びCaOの含有率が特定の数値範囲内である石炭ガス化スラグ粉砕物5〜150質量部を含むセメント添加材によれば、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[5]を提供するものである。
[1] 「JIS A 6201:2015(コンクリート用フライアッシュ)」のフライアッシュII種又はIII種の規定に適合するフライアッシュ100質量部、および、ブレーン比表面積が3,000〜10,000cm/gである石炭ガス化スラグ粉砕物5〜150質量部を含むセメント添加材であって、上記石炭ガス化スラグ粉砕物中、CaOの含有率が11.0〜23.0質量%であることを特徴とするセメント添加材。
[2] 上記石炭ガス化スラグ粉砕物中、SiOの含有率が43.0〜55.0質量%であり、Alの含有率が15.0〜25.0質量%である前記[1]に記載のセメント添加材。
[3] 上記石炭ガス化スラグ粉砕物中、Feの含有率が3.0〜15.0質量%であり、MgOの含有率が0.5〜5.0質量%である前記[1]又は[2]に記載のセメント添加材。
[4] 前記[1]〜[3]のいずれかに記載のセメント添加材と、セメントからなるセメント組成物。
[5] 上記セメント組成物中、上記セメント添加材の含有率が5〜40質量%である前記[4]に記載のセメント組成物。
【発明の効果】
【0006】
本発明のセメント添加材によれば、「JIS A 6201:2015(コンクリート用フライアッシュ)」のフライアッシュII種又はIII種の規定に適合するフライアッシュを含むにもかかわらず、該フライアッシュを含むセメント組成物の強度発現性の低下を抑制することができる。また、石炭ガス化複合発電で大量に発生することから、新たな用途の開拓が望まれている石炭ガス化スラグを有効利用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明のセメント添加材は、「JIS A 6201:2015(コンクリート用フライアッシュ)」のフライアッシュII種又はIII種の規定に適合するフライアッシュ100質量部、および、ブレーン比表面積が3,000〜10,000cm/gである石炭ガス化スラグ粉砕物5〜150質量部を含むセメント添加材であって、上記石炭ガス化スラグ粉砕物中、CaOの含有率が11.0〜23.0質量%であるものである。
上記フライアッシュの中でも、入手の容易性や、本発明のセメント添加材を含むセメント組成物の強度発現性向上の観点から、「JIS A 6201:2015(コンクリート用フライアッシュ)」のフライアッシュII種に適合するフライアッシュが好ましい。
フライアッシュの強熱減量は、本発明のセメント添加材を含むセメント組成物の空気連行性の向上や、意匠性の低下(モルタル等の表面の黒色化)防止の観点からは、好ましくは4.5質量%以下、より好ましくは4.0質量%以下、特に好ましくは3.5質量%以下である。また、フライアッシュの強熱減量は、本発明のセメント添加材を含むセメント組成物の流動性の向上の観点からは、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上、特に好ましくは0.5質量%以上である。
フライアッシュのブレーン比表面積は、本発明のセメント添加材を含むセメント組成物の流動性や強度発現性をより向上させる観点から、好ましくは2,700〜5,000cm/g、より好ましくは2,900〜4,500cm/g、特に好ましくは3,000〜4,000cm/gである。
【0008】
石炭ガス化スラグは、通常、粒径が0.5〜10mmの粒状物である。
本発明で用いられる石炭ガス化スラグ粉砕物は、石炭ガス化スラグを粉砕してなるものである。石炭ガス化スラグ粉砕物のブレーン比表面積は、3,000〜10,000cm/g、好ましくは3,200〜8,000cm/g、より好ましくは3,400〜7,000cm/g、さらに好ましくは3,500〜6,000cm/g、特に好ましくは3,600〜5,000cm/gである。該ブレーン比表面積が3,000cm/g未満であると、本発明のセメント添加材を含むセメント組成物の強度発現性が低下する。該ブレーン比表面積が10,000cm/gを超えると、石炭ガス化スラグの粉砕に手間がかかることから、コストが高くなる。
【0009】
石炭ガス化スラグ粉砕物中、CaOの含有率は、11.0〜23.0質量%、好ましくは13.0〜21.0質量%、より好ましくは14.0〜20.0質量%、特に好ましくは15.0〜19.0質量%である。該含有率が11.0質量%未満であると、本発明のセメント添加材を含むセメント組成物の強度発現性が、該含有率が11.0質量%以上である場合と比べて小さくなる。該含有率が23.0質量%を超える石炭ガス化スラグ粉砕物の入手は困難である。
石炭ガス化スラグ粉砕物中、SiOの含有率は、好ましくは43.0〜55.0質量%、より好ましくは44.5〜53.5質量%であり、特に好ましくは46.0〜51.0質量%である。該含有率が43.0質量%未満である石炭ガス化スラグ粉砕物の入手は困難である。該含有率が55.0質量%以下であれば、本発明のセメント添加材を含むセメント組成物の強度発現性が、該含有率が55.0質量%を超える場合と比べて大きくなる。
石炭ガス化スラグ粉砕物中、Alの含有率は、好ましくは15.0〜25.0質量%、より好ましくは16.0〜23.5質量%、特に好ましくは17.0〜22.0質量%である。該含有率が15.0質量%以上であれば、本発明のセメント添加材を含むセメント組成物の強度発現性が、該含有率が15.0質量%未満である場合と比べて大きくなる。該含有率が25.0質量%を超える石炭ガス化スラグ粉砕物の入手は困難である。
【0010】
石炭ガス化スラグ粉砕物中、Feの含有率は、好ましくは3.0〜15.0質量%、より好ましくは4.0〜13.0質量%、特に好ましくは5.0〜10.0質量%である。該含有率が3.0質量%以上であれば、本発明のセメント添加材を含むセメント組成物の強度発現性が、該含有率が3.0質量%未満である場合と比べて大きくなる。該含有率が15.0質量%を超える石炭ガス化スラグ粉砕物の入手は困難である。
石炭ガス化スラグ粉砕物中、MgOの含有率は、好ましくは0.5〜5.0質量%、より好ましくは0.8〜4.0質量%、特に好ましくは1.0〜3.0質量%である。該含有率が0.5質量%以上であれば、本発明のセメント添加材を含むセメント組成物の強度発現性が、該含有率が0.5質量%未満である場合と比べて大きくなる。該含有率が15.0質量%を超える石炭ガス化スラグ粉砕物の入手は困難である。
【0011】
上述したフライアッシュ100質量部に対する、石炭ガス化スラグ粉砕物の量は、5〜150質量部、好ましくは10〜120質量部、より好ましくは20〜100質量部、さらに好ましくは25〜80質量部、さらに好ましくは30〜70質量部、特に好ましくは40〜65質量部である。該量が5質量部未満であると、本発明のセメント添加材を含むセメント組成物の強度発現性が低下する。また、石炭ガス化スラグの有効利用を図るという本発明の目的を十分に達成することができなくなる。該量が150質量部を超えると、本発明のセメント添加材を含むセメント組成物の流動性及び強度発現性が低下する。
【0012】
本発明のセメント添加材は、上述したフライアッシュと石炭ガス化スラグ粉砕物を予め混合してなる混合物として使用してもよく、モルタル又はコンクリートを混練する際に、上述したフライアッシュと石炭ガス化スラグ粉砕物を別々にミキサに投入して使用してもよい。
フライアッシュと石炭ガス化スラグ粉砕物を混合するための混合手段としては、特に限定されるものではなく、例えば、パン型ミキサ、オムニミキサ、パドルミキサ等が挙げられる。
【0013】
本発明のセメント組成物は、上述したセメント添加材と、セメントからなるものである。
本明細書中、「セメント組成物」の語は、セメント添加材およびセメント以外の材料(骨材、水等)を含まないものとして用いている。
セメントとしては、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント等の各種ポルトランドセメントや、エコセメント等が挙げられる。中でも、セメント組成物の強度発現性がより向上する観点から、普通ポルトランドセメント又は早強ポルトランドセメントが好ましい。
セメント組成物中のセメント添加材の含有率は、好ましくは5〜40質量%、より好ましくは7〜35質量%、特に好ましくは10〜30質量%である。該含有率が5質量%以上であれば、フライアッシュ及び石炭ガス化スラグ粉砕物の有効利用をより促進することができる。該含有率が40質量%以下であれば、セメント組成物の強度発現性の低下を抑制することができる。
【0014】
本発明のセメント組成物は、上述したセメント添加材とセメントを予め混合してなる混合物として使用してもよく、モルタル又はコンクリートを混練する際に、上述したセメント添加材及びセメント等の各材料を別々にミキサに投入して使用してもよい。
セメント添加材とセメントを混合するための混合手段は、特に限定されるものではなく、例えば、パン型ミキサ、オムニミキサ、パドルミキサ等が挙げられる。
【実施例】
【0015】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[使用材料]
(1)セメント;普通ポルトランドセメント(太平洋セメント社製)
(2)フライアッシュA;「JIS A 6201:2015(コンクリート用フライアッシュ)」のフライアッシュII種の規定に適合するもの、ブレーン比表面積:3,300cm/g、強熱減量:3.6質量%、材齢28日における活性度指数:83、材齢91日における活性度指数:97
(3)フライアッシュB;「JIS A 6201:2015(コンクリート用フライアッシュ)」のフライアッシュII種の規定に適合するもの、ブレーン比表面積:3,670cm/g、強熱減量:1.0質量%、材齢28日における活性度指数:85、材齢91日における活性度指数:96
(4)石炭ガス化スラグ粉砕物A〜D;表1参照
(5)細骨材;「JIS R 5201:2015(セメントの物理試験方法)」に規定する標準砂
(6)水;水道水
【0016】
【表1】
【0017】
[実施例1〜4、比較例1〜3]
フライアッシュAと石炭ガス化スラグ粉砕物Aを、表2に示す配合で混合してセメント添加材を調製した。
普通ポルトランドセメントと、得られたセメント添加材を、普通ポルトランドセメント及びセメント添加材の合計100質量%中のセメント添加材の含有率が25質量%となるような配合で混合して、セメント組成物を調製した。
得られたセメント組成物について「JIS R 5201:2015(セメントの物理試験方法)」に準拠して、モルタルを調製し、このモルタルについて、フロー値、及び、材齢28日、56日、91日の各時点における圧縮強さを測定した。
結果を表2に示す。
[参考例1]
普通ポルトランドセメントについて、実施例1と同様にして、フロー値等を測定した。
結果を表2〜7に示す。
【0018】
【表2】
【0019】
[実施例5〜7、比較例4〜6]
フライアッシュAと石炭ガス化スラグ粉砕物Bを、表3に示す配合で混合してセメント添加材を調製する以外は、実施例1と同様にして、フロー値等を測定した。
結果を表3に示す。
【0020】
【表3】
【0021】
[実施例8〜9、比較例7〜9]
フライアッシュAと石炭ガス化スラグ粉砕物Cを、表4に示す配合で混合してセメント添加材を調製する以外は、実施例1と同様にして、フロー値等を測定した。
結果を表4に示す。
【0022】
【表4】
【0023】
[比較例10〜14]
フライアッシュAと石炭ガス化スラグ粉砕物Dを、表5に示す配合で混合してセメント添加材を調製する以外は、実施例1と同様にして、フロー値等を測定した。
結果を表5に示す。
【0024】
【表5】
【0025】
[実施例10〜11]
フライアッシュAと石灰ガス化スラグ粉砕物Aを混合して、予めセメント添加材を調製し、次いで、セメント添加材と普通ポルトランドセメント等を混合してモルタルを調製することに代えて、フライアッシュAと石灰ガス化スラグ粉砕物Aと普通ポルトランドセメント等を、モルタルの混練時に、別々にミキサに投入し、モルタルを調製する以外は、実施例2〜3と同様にして、フロー値等を測定した。
結果を表6に示す。
【0026】
【表6】
【0027】
[実施例12〜17、比較例15〜17]
表7に示す種類及び配合のフライアッシュ及び石灰ガス化スラグ微粉末を用いる以外は実施例1と同様にして、セメント組成物のフロー値等を測定した。
結果を表7に示す。
【0028】
【表7】
【0029】
表2から、比較例1(普通ポルトランドセメントとフライアッシュAからなるセメント組成物)と参考例1(普通ポルトランドセメントのみからなるセメント組成物)を比較すると、比較例1の各材齢におけるモルタルの圧縮強さは、各々、参考例1の各材齢におけるモルタルの圧縮強さよりも小さいことがわかる。
また、表7から、比較例15(普通ポルトランドセメントとフライアッシュBからなるセメント組成物)と参考例1を比較すると、比較例15の各材齢におけるモルタルの圧縮強さは、各々、参考例1の各材齢におけるモルタルの圧縮強さよりも小さいことがわかる。
これらのことから、セメントの一部をフライアッシュに置き換えた場合、セメント組成物の強度発現性(特に、材齢28日及び材齢56日におけるモルタルの圧縮強さ)が低下することがわかる。
【0030】
表2から、実施例1〜4(普通ポルトランドセメントとフライアッシュA(100質量部)と石炭ガス化スラグ粉砕物A(14.3〜100質量部)からなるセメント組成物)の各材齢におけるモルタルの圧縮強さは、比較例1(普通ポルトランドセメントとフライアッシュAからなるセメント組成物)、比較例2(普通ポルトランドセメントとフライアッシュA(100質量部)と石炭ガス化スラグ粉砕物A(300質量部)からなるセメント組成物)、及び比較例3(普通ポルトランドセメントと石炭ガス化スラグ粉砕物Aからなるセメント組成物)の各材齢におけるモルタルの圧縮強さよりも大きいことがわかる。
同様の傾向は、実施例5〜7の各材齢におけるモルタル圧縮強さと比較例4〜6の各材齢におけるモルタル圧縮強さを比較した場合(表3参照)や、実施例8〜9の材齢56日および材齢91日におけるモルタル圧縮強さと比較例7〜9の材齢56日および材齢91日におけるモルタル圧縮強さを比較した場合(表4参照)や、実施例12〜14および実施例15〜17(普通ポルトランドセメントとフライアッシュB(100質量部)と石炭ガス化スラグ粉砕物C(33.3〜100質量部)からなるセメント組成物)の各材齢におけるモルタル圧縮強さと比較例15〜17の各材齢におけるモルタル圧縮強さを比較した場合(表7参照)においても見られる。
【0031】
表5から、比較例11〜14(普通ポルトランドセメントとフライアッシュAとブレーン比表面積が2,500cm/gの石炭ガス化スラグ粉砕物Dからなるセメント組成物)の材齢28日および材齢91日におけるモルタル圧縮強さは、比較例10(普通ポルトランドセメントとフライアッシュAからなるセメント組成物)と参考例1の材齢28日および材齢91日におけるモルタル圧縮強さよりも小さいことがわかる。
表2、6から、実施例2〜3(予め混合したセメント添加材と普通ポルトランドセメントを混合してなるセメント組成物を用いた場合)と、実施例10〜11(モルタルを混練する際に各材料を別々にミキサに投入した場合)を比較すると、フロー値及び圧縮強さは同程度であることがわかる。
これらのことから、本発明のセメント添加材によれば、「JIS A 6201:2015(コンクリート用フライアッシュ)」のフライアッシュII種の規定に適合するフライアッシュを含むにもかかわらず、該フライアッシュを含むセメント組成物の強度発現性の低下を抑制しうることがわかる。
また、表2〜6から、実施例1〜11(普通ポルトランドセメントとフライアッシュAと石炭ガス化スラグ粉砕物A〜Cからなるセメント組成物)のフロー値は、参考例1(普通ポルトランドセメントのみからなるセメント組成物)のフロー値よりも大きいことがわかる。