特許第6961322号(P6961322)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6961322
(24)【登録日】2021年10月15日
(45)【発行日】2021年11月5日
(54)【発明の名称】バックアップボード、及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B26F 1/16 20060101AFI20211025BHJP
   B23B 41/00 20060101ALI20211025BHJP
   B24B 41/06 20120101ALI20211025BHJP
   D21H 19/10 20060101ALI20211025BHJP
【FI】
   B26F1/16
   B23B41/00 D
   B24B41/06 Z
   D21H19/10 ZZAB
【請求項の数】12
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2021-539040(P2021-539040)
(86)(22)【出願日】2021年2月25日
(86)【国際出願番号】JP2021007023
【審査請求日】2021年7月2日
(31)【優先権主張番号】特願2020-33488(P2020-33488)
(32)【優先日】2020年2月28日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000183484
【氏名又は名称】日本製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162396
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 泰之
(74)【代理人】
【識別番号】100194803
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 理弘
(72)【発明者】
【氏名】星野 明夫
(72)【発明者】
【氏名】角田 浩佑
(72)【発明者】
【氏名】吉田 義雄
【審査官】 豊島 唯
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−4430(JP,A)
【文献】 特開2009−158724(JP,A)
【文献】 韓国登録特許第10−1021489(KR,B1)
【文献】 米国特許第5716168(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26F 1/16
B23B 41/00
B24B 41/06
D21H 19/10
H05K 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2枚以上の紙基材と、前記紙基材を接着する水溶性接着剤からなる接着剤層とを有し、JIS K6253に準拠してタイプDのデュロメーターで測定した硬度が75以上であり、
少なくとも一面に、水溶性樹脂からなる塗工層を有することを特徴とするバックアップボード。
【請求項2】
前記紙基材のうち少なくとも最表面に位置する2枚の紙基材における填料の含有率が1.0重量%以下であることを特徴とする請求項に記載のバックアップボード。
【請求項3】
前記紙基材のうち少なくとも最表面に位置する2枚の紙基材を構成するパルプにおける古紙パルプの含有率が1.0重量%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のバックアップボード。
【請求項4】
前記紙基材の全てが、パルプの離解ろ水度(カナダ式標準ろ水度:CSF)が480ml以下であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のバックアップボード。
【請求項5】
下記式(1)で表される混合離解ろ水度(カナダ式標準ろ水度:CSF)が、480ml以下であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のバックアップボード
式(1)
混合離解ろ水度=f1×(g1/G)+f2×(g2/G)+・・・
+fn×(gn/G)
(ただし、nは、紙基材の枚数を表し、
f1、f2、・・・fnは、それぞれ紙基材1〜nの離解ろ水度、
g1、g2、・・・gnは、それぞれ紙基材1〜nの坪量、
Gは、紙基材1〜nの坪量の和(G=g1+g2+・・・+gn)を表す。)。
【請求項6】
前記紙基材の全てが、パルプの離解ろ水度(カナダ式標準ろ水度:CSF)が600ml以下であり、かつ少なくとも1枚の紙基材のパルプの離解ろ水度が480ml以下であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のバックアップボード。
【請求項7】
前記紙基材が3枚以上であり、離解ろ水度が480ml以下である紙基材を半数以上含むことを特徴とする請求項に記載のバックアップボード。
【請求項8】
前記紙基材が3枚以上であり、紙基材の坪量の総和に対する、パルプの離解ろ水度が480ml以下である紙基材の坪量の合計値の割合が、50重量%以上であることを特徴とする請求項に記載のバックアップボード。
【請求項9】
バックアップボードの製造方法であって、
2枚以上の紙基材と、前記紙基材を接着する水溶性接着剤からなる接着剤層とを有し、JIS K6253に準拠してタイプDのデュロメーターで測定した硬度が75以上であり、
前記紙基材の全てが、パルプのろ水度(カナダ式標準ろ水度:CSF)が480ml以下であり、
紙基材同士を水溶性接着剤で貼り合わせ、15kg/cm以上の圧力でプレス処理を行わないことを特徴とするバックアップボードの製造方法。
【請求項10】
バックアップボードの製造方法であって、
2枚以上の紙基材と、前記紙基材を接着する水溶性接着剤からなる接着剤層とを有し、JIS K6253に準拠してタイプDのデュロメーターで測定した硬度が75以上であり、
前記紙基材の全てがパルプのろ水度(カナダ式標準ろ水度:CSF)が600ml以下であり、かつ少なくとも1枚の紙基材がパルプのろ水度が480ml以下であり、
紙基材同士を水溶性接着剤で貼り合わせ、15kg/cm2以上の圧力でプレス処理を行わないことを特徴とするバックアップボードの製造方法。
【請求項11】
前記紙基材が3枚以上であり、その半数以上の紙基材がパルプのろ水度が480ml以下であることを特徴とする請求項10に記載のバックアップボードの製造方法。
【請求項12】
前記紙基材が3枚以上であり、かつ紙基材の坪量の総和に対する、パルプの離解ろ水度が480ml以下である紙基材の坪量の合計値の割合が50重量%以上であることを特徴とする請求項10に記載のバックアップボードの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穴あけ、フライス削り、研削等の機械加工の際に被加工物の下側に敷かれるバックアップボードと、その製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
穴あけ、フライス削り、研削等の機械加工の際に、被加工物を貫通した工具によるステージの破損防止や、加工精度を高めるために、被加工物の下側にバックアップボードが敷かれる場合がある。例えば、プリント配線板の製造工程の一つであるドリル加工は、一般的に、ドリル侵入側から、エントリーボード、プリント配線板となる複数枚の基板、バックアップボードの順で積層した状態で行われ、基板の下側に敷かれたバックアップボードにより、基板を貫通したドリル刃によるステージの破損を防ぎ、また、基板の穴あけ部におけるバリの発生を少なくすることができる。
【0003】
バックアップボードとして、フェノール樹脂を含浸した紙を複数枚重ねて加熱加圧一体化したベーク板や、中密度ファイバーボード(MDF)や高密度ファイバーボード(HDF)等のファイバーボード、アルミ金属板等が用いられている。ベーク板は数十年の利用実績があり、最も一般的に利用されているが、高価であり、また、使用後にはリサイクルすることができず産業廃棄物として処理するため環境負荷が大きいという問題がある。ファイバーボードは、屑が発生しやすい、焦げて煙が出る、硬い異物の混入により工具が破損する恐れがある等の問題が有り、また、ベーク板と同じくリサイクルすることができず産業廃棄物として処理する必要がある。アルミ金属板は、リサイクル可能であるが、重量が大きく取り扱い性が劣ると共に、高価であり、工具が摩耗しやすいという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、リサイクル可能で安価なバックアップボードを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の課題を解決するための手段は、以下の通りである。
1.2枚以上の紙基材と、前記紙基材を接着する水溶性接着剤からなる接着剤層とを有し、JIS K6253に準拠してタイプDのデュロメーターで測定した硬度が75以上であることを特徴とするバックアップボード。
2.少なくとも一面に、水溶性樹脂からなる塗工層を有することを特徴とする1.に記載のバックアップボード。
3.前記紙基材のうち少なくとも最表面に位置する2枚の紙基材における填料の含有率が1.0重量%以下であることを特徴とする1.または2.に記載のバックアップボード。
4.前記紙基材のうち少なくとも最表面に位置する2枚の紙基材を構成するパルプにおける古紙パルプの含有率が1.0重量%以下であることを特徴とする1.〜3.のいずれかに記載のバックアップボード。
5.前記紙基材の全てが、パルプの離解ろ水度(カナダ式標準ろ水度:CSF)が480ml以下であることを特徴とする1.〜4.のいずれかに記載のバックアップボード。
6.下記式(1)で表される混合離解ろ水度(カナダ式標準ろ水度:CSF)が、480ml以下であることを特徴とする1.〜4.のいずれかに記載のバックアップボード
式(1)
混合離解ろ水度=f1×(g1/G)+f2×(g2/G)+・・・
+fn×(gn/G)
(ただし、nは、紙基材の枚数を表し、
f1、f2、・・・fnは、それぞれ紙基材1〜nの離解ろ水度、
g1、g2、・・・gnは、それぞれ紙基材1〜nの坪量、
Gは、紙基材1〜nの坪量の和(G=g1+g2+・・・+gn)を表す。)。
7.前記紙基材の全てが、パルプの離解ろ水度(カナダ式標準ろ水度:CSF)が600ml以下であり、かつ少なくとも1枚の紙基材のパルプの離解ろ水度が480ml以下であることを特徴とする1.〜4.のいずれかに記載のバックアップボード。
8.前記紙基材が3枚以上であり、離解ろ水度が480ml以下である紙基材を半数以上含むことを特徴とする7.に記載のバックアップボード。
9.前記紙基材が3枚以上であり、紙基材の坪量の総和に対する、パルプの離解ろ水度が480ml以下である紙基材の坪量の合計値の割合が、50重量%以上であることを特徴とする7.に記載のバックアップボード。
10.バックアップボードの製造方法であって、
2枚以上の紙基材と、前記紙基材を接着する水溶性接着剤からなる接着剤層とを有し、JIS K6253に準拠してタイプDのデュロメーターで測定した硬度が75以上であり、
前記紙基材の全てが、パルプのろ水度(カナダ式標準ろ水度:CSF)が480ml以下であり、
紙基材同士を水溶性接着剤で貼り合わせ、15kg/cm以上の圧力でプレス処理を行わないことを特徴とするバックアップボードの製造方法。
11.バックアップボードの製造方法であって、
2枚以上の紙基材と、前記紙基材を接着する水溶性接着剤からなる接着剤層とを有し、JIS K6253に準拠してタイプDのデュロメーターで測定した硬度が75以上であり、
前記紙基材の全てがパルプのろ水度(カナダ式標準ろ水度:CSF)が600ml以下であり、かつ少なくとも1枚の紙基材がパルプのろ水度が480ml以下であり、
紙基材同士を水溶性接着剤で貼り合わせ、15kg/cm以上の圧力でプレス処理を行わないことを特徴とするバックアップボードの製造方法。
12.前記紙基材が3枚以上であり、その半数以上の紙基材がパルプのろ水度が480ml以下であることを特徴とする11.に記載のバックアップボードの製造方法。
13.前記紙基材が3枚以上であり、かつ紙基材の坪量の総和に対する、パルプの離解ろ水度が480ml以下である紙基材の坪量の合計値の割合が50重量%以上であることを特徴とする11.に記載のバックアップボードの製造方法。
14.バックアップボードの製造方法であって、
2枚以上の紙基材と、前記紙基材を接着する水溶性接着剤からなる接着剤層とを有し、JIS K6253に準拠してタイプDのデュロメーターで測定した硬度が75以上であり、
紙基材同士を、水溶性接着剤で貼り合わせ、15kg/cm以上の圧力でプレス処理を行うことを特徴とするバックアップボードの製造方法。
【発明の効果】
【0006】
本発明のバックアップボードは、十分な硬度を有しており、従来利用されているベーク板、ファイバーボード、アルミ金属板等の代替として使用することができる。本発明のバックアップボードは、従来のベーク板等と比較して安価である。本発明のバックアップボードは、離解処理することができるため、古紙としてリサイクルすることができ、廃棄にかかるコストを低減することができ、かつ、環境への負荷を減らすことができる。
少なくとも一面に、水溶性樹脂からなる塗工層を有する本発明のバックアップボードは、粘着テープを剥がす際の紙剥けが起こりにくい。填料の含有率が少ない本発明のバックアップボードは、工具の摩耗を抑えることができ、古紙パルプの含有率が少ない本発明のバックアップボードは、硬い異物の混入による工具の破損、摩耗を防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の詳細を説明する。
本発明のバックアップボードは、2枚以上の紙基材と、この紙基材を接着する水溶性接着剤からなる接着剤層とを有し、JIS K6253に準拠してタイプDのデュロメーターで測定した硬度が75以上であることを特徴とする。
本発明のバックアップボードは、穴あけ加工、フライス削り、研削等の機械加工用であるが、特に穴あけ加工用として好適である。
【0008】
<紙基材>
本発明において、紙基材とはパルプ、填料、各種助剤等からなるシートである。
パルプとしては、針葉樹の晒クラフトパルプ(NBKP)、針葉樹の未晒クラフトパルプ(NUKP)、広葉樹の晒クラフトパルプ(LBKP)、広葉樹の未晒クラフトパルプ(LUKP)、サルファイトパルプ(SP)等の木材の化学パルプ、グランドパルプ(GP)、リファイナグランドパルプ(RGP)、ストーングランドパルプ(SGP)、ケミグランドパルプ(CGP)、セミケミカルパルプ(SCP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)等の木材の機械パルプ、ケナフ、バガス、竹、麻、ワラなどから得られた非木材パルプ、古紙を原料とし、脱墨工程にてこれらの古紙に含まれるインキを除去した古紙パルプなど、公知のパルプを適宜配合して用いることが可能である。
【0009】
紙基材に異物が混入すると、ドリル等の工具の破損、摩耗の原因となるため、パルプとしては、異物混入が発生し難いLBKP、NBKP等の化学パルプを使用することが好ましい。また、異物が混入するおそれがあるため、本発明のバックアップボードを構成する2枚以上の紙基材のうち、少なくとも最表面に位置する2枚の紙基材を構成するパルプにおける古紙パルプの含有率は1.0重量%以下であることが好ましく、0.5重量%以下であることがより好ましく、含有(配合)しないことが最も好ましい。
【0010】
使用するパルプのろ水度(カナダ式標準ろ水度(以下、CSFとも言う))は、600ml以下であることが好ましく、540ml以下であることがより好ましく、480ml以下であることがさらに好ましい。
また、下記<バックアップボードの製造方法>で詳述するが、特にバックアップボード製造時にプレス処理を行わない場合、使用するパルプのろ水度は480ml以下であることが好ましく、440ml以下であることがより好ましく、400ml以下であることがさらに好ましい。
なお、紙基材が複数種のパルプを使用する場合、叩解は複数種のパルプを別々に叩解してもよいし、混合して叩解してもよい。別々に叩解する場合、それぞれのパルプのろ水度は、特に制限されるものではないが、各パルプを混合した後のパルプスラリーのろ水度が、上記条件を満足するように調整する。
【0011】
填料としては、タルク、カオリン、焼成カオリン、クレー、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、ホワイトカーボン、ゼオライト、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化珪素、非晶質シリカ、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、硫酸バリウム、硫酸カルシウムなどの無機填料、尿素−ホルマリン樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノール樹脂、微小中空粒子等の有機填料等の公知の填料を使用することができる。
なお、本発明のバックアップボードにおいて、紙基材は填料を使用しなくてもよく、ドリル等の工具の摩耗を防ぐために、本発明のバックアップボードを構成する2枚以上の紙基材のうち、少なくとも最表面に位置する2枚の紙基材における填料の含有率は1.0重量%以下であることが好ましく、0.5重量%以下であることがより好ましく、含有(配合)しないことが最も好ましい。
【0012】
各種助剤としては、ロジン、アルキルケテンダイマー(AKD)、アルケニルコハク酸無水物(ASA)等の各種の内添サイズ剤、ノニオン性、カチオン性、両性の各種歩留まり向上剤、濾水度向上剤、紙力向上剤、各種澱粉類、ポリアクリルアミド、尿素樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミン樹脂、ポリエチレンイミン、植物ガム、ポリビニルアルコール、ラテックス、ポリエチレンオキサイド、親水性架橋ポリマー粒子分散物及びこれらの誘導体あるいは変性物等、硫酸バンド、塩化アルミニウム、アルミン酸ソーダ、塩基性塩化アルミニウム、塩基性ポリ水酸化アルミニウム等の塩基性アルミニウム化合物、水に易分解性のアルミナゾル等の水溶性アルミニウム化合物、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄等の多価金属化合物、シリカゾル、消泡剤、着色染料、蛍光増白剤、pH調整剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤等が例示可能であり、必要に応じて適宜選択して使用可能である。
【0013】
本発明のバックアップボードは、2枚以上の紙基材を有するが、各紙基材の原料、坪量、密度、厚さ等は、同一であってもよく、異なっていてもよい。
本発明のバックアップボードにおいて、使用する紙基材の少なくとも1枚が、パルプの離解ろ水度(カナダ式標準ろ水度)が480ml以下であることが好ましく、440ml以下であることがより好ましく、400ml以下であることがさらに好ましい。パルプの離解ろ水度が低い紙基材は、強固な水素結合が形成されて硬いため、結果として、バックアップボードの硬度向上に繋がる。なお、離解ろ水度とは、JIS P8220−1に規定された方法で紙基材を離解して、JIS P8121に準拠して測定したカナダ式標準ろ水度である。本発明のバックアップボードにおいて、使用する紙基材の半数以上が上記離解ろ水度を満足することがより好ましく、紙基材の全てが上記離解ろ水度を満足することがさらに好ましい。
【0014】
全ての紙基材のパルプの離解ろ水度が480ml以下でない場合、下記式(1)で表される混合離解ろ水度は、480ml以下であることが好ましく、440ml以下であることがより好ましく、400ml以下であることがさらに好ましい。
式(1)
混合離解ろ水度=f1×(g1/G)+f2×(g2/G)+・・・
+fn×(gn/G)
(ただし、nは、紙基材の枚数を表し、
f1、f2、・・・fnは、それぞれ紙基材1〜nの離解ろ水度、
g1、g2、・・・gnは、それぞれ紙基材1〜nの坪量、
Gは、紙基材1〜nの坪量の和(G=g1+g2+・・・+gn)を表す。)
【0015】
全ての紙基材のパルプの離解ろ水度が480ml以下でない場合、パルプの離解ろ水度が480mlを超える紙基材の離解ろ水度は、600ml以下であることが好ましく、560ml以下であることがより好ましく、520ml以下であることがさらに好ましい。
【0016】
全ての紙基材のパルプの離解ろ水度が480ml以下でない場合、この離解ろ水度が480mlを超える紙基材の枚数は、2枚以下であることが好ましく、1枚であることがより好ましい。特に3枚以上の紙基材を貼り合わせる場合において、パルプの離解ろ水度が480ml以下である紙基材を半数以上含むことが好ましく、65%以上含むことがより好ましく、80%以上含むことがさらに好ましい。
【0017】
紙基材は、少なくとも1枚の坪量が、150g/m以上であることが好ましく、200g/m以上であることがより好ましく、250g/m以上であることがさらに好ましい。全ての紙基材の坪量が150g/m未満では、本発明のバックアップボードを形成するために必要な紙基材の枚数が増加してしまう。紙基材の坪量の上限は、ロール状に巻回すことができるものであれば特に制限されないが、650g/m以下であることが好ましく、600g/m以下であることがより好ましく、550g/m以下であることがさらに好ましい。また、本発明において、使用する紙基材の半数以上が上記坪量を満足することがより好ましく、紙基材の全てが上記坪量を満たすことがさらに好ましい。
さらに、3枚以上の紙基材を貼り合わせる場合、使用する紙基材の坪量の総和に対する、離解ろ水度が480ml以下である紙基材の坪量の合計値の割合が、50重量%以上であることが好ましく、65重量%以上であることがより好ましく、80重量%以上であることがさらに好ましい。
【0018】
紙基材は、少なくとも1枚の密度が、0.7g/cm以上であることが好ましく、0.75g/cm以上であることがより好ましく、0.8g/cm以上であることがさらに好ましい。また、その密度は、1.2g/cm以下であることが好ましく、1.15g/cm以下であることがより好ましく、1.1g/cm以下であることがさらに好ましい。
紙基材の少なくとも1枚の密度が上記した範囲内であると、所定の硬度を満足したバックアップボードが得られやすい。また、本発明において、使用する2枚以上の紙基材の半数以上が上記密度を満足することがより好ましく、紙基材の全てが上記密度を満足することがさらに好ましい。
【0019】
紙基材の抄紙方法、抄紙機の型式は特に限定されるものではなく、長網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機、円網抄紙機、ギャップフォーマー、ハイブリッドフォーマー(オントップフォーマー)等、及びこれらを組み合わせた多層抄き抄紙機等の公知の製造(抄紙)方法、抄紙機が選択可能である。これらの中では、単層抄きの抄紙機を用いることが好ましい。多層抄き抄紙機を用いた多層抄きの紙基材は、紙層間強度が弱くなる場合がある。また、バックアップボードは、工作機械のステージ、被処理物、エントリーボード等と粘着テープで貼り合わせて使用されることがあるが、多層抄きの紙基材は、粘着テープを剥がす際に抄き合わせ部分から剥がれが生じる場合がある。
また、抄紙時のpHは酸性領域(酸性抄紙)、疑似中性領域(疑似中性抄紙)、中性領域(中性抄紙)、アルカリ性領域(アルカリ性抄紙)のいずれでもよく、酸性領域で抄紙した後、紙基材の表面にアルカリ性薬剤を塗布してもよい。さらに、ワイヤーパート後の搾水、乾燥、サイズプレス、カレンダー等は、製紙分野において公知の方法で行うことができる。
【0020】
紙基材は、カレンダー処理、またはスーパーカレンダー処理が施されることが好ましい。カレンダー処理、またはスーパーカレンダー処理により、紙基材が強く押し潰されて硬度が向上するため、バックアップボードをより高硬度とすることが容易となる。
【0021】
<水溶性接着剤>
紙基材を接着する水溶性接着剤は、特に制限されず、完全ケン化ポリビニルアルコール、部分ケン化ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、ジアセトン変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、アマイド変性ポリビニルアルコール、スルホン酸変性ポリビニルアルコール、ブチラール変性ポリビニルアルコール、オレフィン変性ポリビニルアルコール、ニトリル変性ポリビニルアルコール、ピロリドン変性ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、カチオン変性ポリビニルアルコール、末端アルキル変性ポリビニルアルコールなどのポリビニルアルコール類、澱粉、酵素変性澱粉、熱化学変性澱粉、酸化澱粉、エステル化澱粉、エーテル化澱粉(例えば、ヒドロキシエチル化澱粉など)、カチオン化澱粉などの澱粉類、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アセチルセルロースなどのセルロースエーテル及びその誘導体等を用いることができる。また、ヒートシール等の熱処理が可能な熱溶融性の水溶性接着剤を用いることもできる。本発明のバックアップボードは、紙基材を接着する接着剤として水溶性接着剤を使用しているため、離解処理が容易であり、古紙としてリサイクルすることができる。
【0022】
<塗工層>
本発明のバックアップボードは、少なくとも1面に水溶性樹脂からなる塗工層を有することができる。前述したとおり、バックアップボードは、工作機械のステージ、被処理物、エントリーボード等と粘着テープで貼り合わせて使用される場合があるが、バックアップボードの表面に水溶性樹脂からなる塗工層を設けることにより、粘着テープを剥がす際に紙基材表面の紙剥けを防止することができる。紙剥け防止の観点から、塗工層の塗工量は固形分で1.0g/m以上であることが好ましい。
【0023】
塗工層が含む水溶性樹脂は、特に制限されず、前述したポリビニルアルコール類、澱粉類、セルロースエーテル及びその誘導体等を用いることができる。また、ヒートシール等の熱処理が可能な熱溶融性の水溶性樹脂を用いることもできる。塗工層に水溶性樹脂を使用している本発明のバックアップボードは、離解処理が容易であり、古紙としてリサイクルすることができる。
この塗工層は、界面活性剤、防腐剤、消泡剤、染料等の添加剤を含むことができるが、ドリル等の工具の摩耗を抑えるために、無機顔料を含まないことが好ましい。
【0024】
<バックアップボード>
本発明のバックアップボードは、JIS K6253に準拠してタイプDのデュロメーターで測定した硬度が75以上と十分な硬度を備えており、加工時の撓み、凹みが小さいため、加工精度を高く維持することができ、例えば、穴あけ加工によるバリの発生を少なくすることができる。本発明のバックアップボードにおいて、この硬度は、77以上であることが好ましく、79以上であることがより好ましい。
【0025】
バックアップボードの厚さは、工作機械の種類や加工寸法等に応じて設定することができるが、例えば、プリント配線板のドリル加工に用いる場合、バックアップボードの厚さは1.0mm以上であることが好ましく、1.2mm以上であることがより好ましく、1.4mm以上であることがさらに好ましい。バックアップボードを構成する紙基材の厚さと枚数は、求めるバックアップボードの厚さに応じて選択することができる。
【0026】
バックアップボードの密度は、0.9g/cm以上であることが好ましく、1.0g/cm以上であることがより好ましく、1.05g/cm以上であることがさらに好ましい。バックアップボードの密度が0.9g/cm以上であることにより、加工時のバックアップボードの変形が小さくなり、加工精度を高く維持することができる。
【0027】
本発明のバックアップボードは、紙基材と水溶性接着剤からなる接着剤層、任意で水溶性樹脂からなる塗工層を有するため、水中で離解してスラリー化する、離解処理が容易である。そのため、本発明のバックアップボードは、古紙としてリサイクルすることができ、環境への負荷が小さく、また、処理コストを小さくすることができる。
【0028】
<バックアップボードの製造方法>
本発明のバックアップボードにおいて、紙基材を水溶性接着剤で貼り合わせる方法は特に制限されず、常法に従って、紙基材同士を水溶性接着剤で貼り合わせることにより行うことができる。接着剤の硬化前、または硬化後に、プレス処理を行うことができる。なお、本明細書において、プレス処理とは15kg/cm以上の圧力を加えるものを意味し、例えば、紙基材と接着剤とを密着させる目的等で15kg/cm未満の圧力を加えるものは、プレス処理に含まれない。
【0029】
プレス処理を行わない場合、紙基材を構成するパルプのろ水度は低いことが好ましい。具体的には、紙基材の全てが、パルプのろ水度(カナダ式標準ろ水度)が600ml以下であり、かつ少なくとも1枚の紙基材のパルプのろ水度が480ml以下であることが好ましい。
パルプのろ水度が480ml以下である紙基材は、そのろ水度が440ml以下であることがより好ましく、400ml以下であることがさらに好ましい。また、パルプのろ水度が480mlを超える紙基材は、そのろ水度が560ml以下であることがより好ましく、520ml以下であることがさらに好ましい。ろ水度が低いパルプは、より強固に水素結合を形成するため、硬い紙基材が得られ、プレス処理を行わずとも、硬いバックアップボードを得ることが容易となる。
本発明のバックアップボードにおいて、使用する2枚以上の紙基材の半数以上がパルプのろ水度が480ml以下であることがより好ましく、全ての紙基材がパルプのろ水度が480ml以下であることがさらに好ましい。
【0030】
全ての紙基材がパルプのろ水度が480ml以下でない場合、パルプのろ水度が480mlを超える紙基材の枚数は、2枚以下であることが好ましく、1枚であることがより好ましい。
特に3枚以上の紙基材を貼り合わせる場合において、パルプのろ水度が480ml以下である紙基材を半数以上含むことが好ましく、65%以上含むことがより好ましく、80%以上含むことがさらに好ましい。また、3枚以上の紙基材を貼り合わせる場合において、使用する紙基材の坪量の総和に対する、パルプのろ水度が480ml以下である紙基材の坪量の合計値の割合が、50重量%以上であることが好ましく、65重量%以上であることがより好ましく、80重量%以上であることがさらに好ましい。
【0031】
プレス処理を行う場合、プレス圧は上記したとおり15kg/cm以上とする。プレス圧は、40kg/cm以上であることが好ましく、60kg/cm以上であることがより好ましい。プレス処理を行うことにより、バックアップボードをより高密度、高硬度とすることが容易となる。これは、パルプが潰れるとともに、パルプ間の隙間に水溶性接着剤が浸透するためであると推測される。
プレス処理を行う場合、紙基材自体の硬さに関わらずバックアップボードに十分な硬度を発現することができるため、紙基材のパルプのろ水度は600ml以下程度であればよく、560ml以下であることがより好ましく、520ml以下であることがさらに好ましい。プレス処理を行う場合、バックアップボードの密度は、0.9g/cm以上であることが好ましく、1.0g/cm以上であることがより好ましく、1.05g/cm以上であることがさらに好ましい。
プレス処理は、加熱しながら行うことが好ましい。プレス処理時の加熱により、水溶性接着剤を乾燥させることができ、また、熱溶融性の水溶性接着剤の場合は、接着剤を溶融させて強固に接着させることができる。
バックアップボードの少なくとも1面に水溶性樹脂からなる塗工層を設ける方法は特に限定されるものではなく、従来公知の方法を採用することができる。
【実施例】
【0032】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は下記実施例のみに限定されるものではない。
【0033】
表1に、使用した紙基材を示す。使用した紙基材は、いずれも古紙パルプ、填料を含まない。なお、紙基材1’、2’、4’は、それぞれ紙基材1、2、4を線圧100kgf/cmで4回カレンダー処理したものである。
【0034】
【表1】
【0035】
得られたバックアップボードは、以下の評価方法により評価した。結果を表2〜4に示す。
<評価方法>
・坪量
JIS P8124に準拠して測定した。
・厚さ
JIS P8118に準拠して測定した。
・密度
JIS P8124及びJIS P8118に準拠して坪量と厚さから求めた。
【0036】
・硬度
作製したバックアップボードについて、23℃50%RH環境下で24時間以上調湿した後、タイプDのデュロメーター(西東京精密株式会社製、品番:WR−105D)を用いJIS K6253に準拠して任意の10箇所で測定を実施し、その平均値を求めた。
【0037】
・加工精度
ガラスエポキシ銅張積層板(パナソニック株式会社製、品番:R1705、規格:FR−4、厚さ1.6mm、両面35μm銅張)に、作製したバックアップボード1枚を密着させて粘着テープで固定し、ドリル刃φ1.0mm(鉄鋼用)をセットした小型卓上ボール盤(株式会社パオック製、品番:MDP−100)を用いて、ドリル刃の回転数5000rpmで連続して10個の穴あけ加工を行った。穴あけ加工は、ドリル刃の先端がガラスエポキシ銅張積層板に接触してから2.5mm沈み込むまで行った。
穴あけ加工後に、粘着テープを剥がしてガラスエポキシ銅張積層板からバックアップボードを取り外し、ビデオマイクロスコープ(株式会社キーエンス製、品番:VHX-6000)を用いて、ガラスエポキシ銅張積層板のバックアップボードと密着させた側の開口部周縁のバリの高さを測定し、以下の基準で判定した。
OK:50μm以上の高さのバリが発生した開口部の個数が3個以下
NG:50μm以上の高さのバリが発生した開口部の個数が4個以上
【0038】
「実施例1」
紙基材1’を5枚用意し、そのうちの2枚に、水溶性樹脂(三菱ケミカル株式会社製、商品名:ゴーセノールGL−05)を、片面あたりの塗工量が固形分で1.0g/mとなるように両面塗工し、風乾で乾燥させた。
ついで、水溶性樹脂を塗工した2枚の紙基材1’がそれぞれ最表面に位置するようにして5枚の紙基材1’を重ね合わせ、水溶性接着剤(株式会社クラレ製、商品名:クラレポバール28−98、接着剤層一層あたりの固形分重量2.5g/m)を使用して貼り合わせ、プレス処理は行わず、風乾で乾燥させてバックアップボードを得た。
【0039】
「比較例1」
紙基材2を4枚用意し、そのうちの2枚に、水溶性樹脂(三菱ケミカル株式会社製、商品名:ゴーセノールGL−05)を、片面あたりの塗工量が固形分で1.0g/mとなるように両面塗工し、風乾で乾燥させた。
ついで、水溶性樹脂を塗工した2枚の紙基材2がそれぞれ最表面に位置するようにして4枚の紙基材2を重ね合わせ、水溶性接着剤(株式会社クラレ製、商品名:クラレポバール28−98、接着剤層一層あたりの固形分重量2.5g/m)を使用して貼り合わせ、プレス処理は行わず、風乾で乾燥させてバックアップボードを得た。
【0040】
「実施例8」
紙基材1’を6枚とした以外は、実施例1と同様にして、バックアップボードを得た。
【0041】
「実施例9」
紙基材5を6枚用意し、そのうちの2枚に、水溶性樹脂(三菱ケミカル株式会社製、商品名:ゴーセノールGL−05)を、片面あたりの塗工量が固形分で1.0g/mとなるように両面塗工し、風乾で乾燥させた。
ついで、水溶性樹脂を塗工した2枚の紙基材5がそれぞれ最表面に位置するようにして6枚の紙基材5を重ね合わせ、水溶性接着剤(株式会社クラレ製、商品名:クラレポバール28−98、接着剤層一層あたりの固形分重量2.5g/m)を使用して貼り合わせ、プレス処理は行わず、風乾で乾燥させてバックアップボードを得た。
【0042】
「比較例4」
紙基材2’を5枚用意し、そのうちの2枚に、水溶性樹脂(三菱ケミカル株式会社製、商品名:ゴーセノールGL−05)を、片面あたりの塗工量が固形分で1.0g/mとなるように両面塗工し、風乾で乾燥させた。
ついで、水溶性樹脂を塗工した2枚の紙基材2’がそれぞれ最表面に位置するようにして5枚の紙基材2’を重ね合わせ、水溶性接着剤(株式会社クラレ製、商品名:クラレポバール28−98、接着剤層一層あたりの固形分重量2.5g/m)を使用して貼り合わせ、プレス処理は行わず、風乾で乾燥させてバックアップボードを得た。
【0043】
「比較例5」
紙基材4’を6枚用意し、そのうちの2枚に、水溶性樹脂(三菱ケミカル株式会社製、商品名:ゴーセノールGL−05)を、片面あたりの塗工量が固形分で1.0g/mとなるように両面塗工し、風乾で乾燥させた。
ついで、水溶性樹脂を塗工した2枚の紙基材4がそれぞれ最表面に位置するようにして6枚の紙基材4を重ね合わせ、水溶性接着剤(株式会社クラレ製、商品名:クラレポバール28−98、接着剤層一層あたりの固形分重量2.5g/m)を使用して貼り合わせ、プレス処理は行わず、風乾で乾燥させてバックアップボードを得た。
【0044】
【表2】
【0045】
「実施例2」
紙基材3を8枚用意し、そのうちの2枚に、水溶性樹脂(三菱ケミカル株式会社製、商品名:ゴーセノールGL−05)を、片面あたりの塗工量が固形分で1.0g/mとなるように両面塗工し、風乾で乾燥させた。
ついで、水溶性樹脂を塗工した2枚の紙基材3がそれぞれ最表面に位置するようにして8枚の紙基材3を重ね合わせ、水溶性接着剤(三和澱粉工業株式会社製、商品名:コーティングスターチPLV−500、接着剤層一層あたりの固形分重量10.0g/m)を使用して貼り合わせ、熱プレス機で95℃、プレス圧力20kg/cmで3分間プレス後に一旦開放して蒸気を抜き、その後1分間のプレス(95℃、プレス圧力20kg/cm)と開放を繰り返すことにより乾燥させて、バックアップボードを得た。
【0046】
「比較例2」
紙基材3を7枚用意し、そのうちの2枚に、水溶性樹脂(三菱ケミカル株式会社製、商品名:ゴーセノールGL−05)を、片面あたりの塗工量が固形分で1.0g/mとなるように両面塗工し、風乾で乾燥させた。
ついで、水溶性樹脂を塗工した2枚の紙基材3がそれぞれ最表面に位置するようにして7枚の紙基材3を重ね合わせ、水溶性接着剤(三和澱粉工業株式会社製、商品名:コーティングスターチPLV−500、接着剤層一層あたりの固形分重量10.0g/m)を使用して貼り合わせ、プレス処理は行わず、95℃の送風乾燥機内で乾燥させて、バックアップボードを得た。
【0047】
【表3】
【0048】
「実施例3」
紙基材1を5枚用意し、それぞれに熱溶融性の水溶性接着剤(株式会社クラレ製、品番:モビフレックスC17)を、片面あたりの塗工量が固形分で2.5g/mとなるように両面塗工し、風乾で乾燥させた。
ついで、熱溶融性の水溶性接着剤を両面塗工した5枚の紙基材1を重ね合わせ、熱プレス機で130℃、プレス圧力20kg/cmで3分間プレスして接着させ、バックアップボードを得た。
「実施例4」
プレス圧力を100kg/cmとした以外は実施例3と同様にして、バックアップボードを得た。
「実施例5」
紙基材1に替えて紙基材2を使用し、プレス圧力を90kg/cmとした以外は実施例3と同様にして、バックアップボードを得た。
【0049】
「実施例6」
紙基材1に替えて紙基材1’を使用し、プレス圧力を100kg/cmとした以外は実施例3と同様にして、バックアップボードを得た。
「実施例7」
紙基材1に替えて紙基材2’を使用し、プレス圧力を100kg/cmとした以外は実施例3と同様にして、バックアップボードを得た。
【0050】
「比較例3」
紙基材1に替えて紙基材2を使用し、プレス圧力を20kg/cmとした以外は実施例3と同様にして、バックアップボードを得た。
【0051】
「実施例10」
紙基材4を6枚用意し、それぞれに熱溶融性の水溶性接着剤(株式会社クラレ製、品番:モビフレックスC17)を、片面あたりの塗工量が固形分で2.5g/mとなるように両面塗工し、風乾で乾燥させた。
ついで、熱溶融性の水溶性接着剤を両面塗工した6枚の紙基材4を重ね合わせ、熱プレス機で130℃、プレス圧力20kg/cmで3分間プレスして接着させ、バックアップボードを得た。
【0052】
「実施例11」
紙基材2’を5枚用意し、それぞれに熱溶融性の水溶性接着剤(株式会社クラレ製、品番:モビフレックスC17)を、片面あたりの塗工量が固形分で2.5g/mとなるように両面塗工し、風乾で乾燥させた。
ついで、熱溶融性の水溶性接着剤を両面塗工した5枚の紙基材2’を重ね合わせ、熱プレス機で130℃、プレス圧力20kg/cmで3分間プレスして接着させ、バックアップボードを得た。
【0053】
「実施例12」
紙基材2を5枚用意し、それぞれに熱溶融性の水溶性接着剤(株式会社クラレ製、品番:モビフレックスC17)を、片面あたりの塗工量が固形分で2.5g/mとなるように両面塗工し、風乾で乾燥させた。
ついで、熱溶融性の水溶性接着剤を両面塗工した5枚の紙基材2を重ね合わせ、熱プレス機で130℃、プレス圧力100kg/cmで3分間プレスして接着させ、バックアップボードを得た。
【0054】
【表4】
【要約】
本発明は、サイクル可能で安価なバックアップボードを提供することを課題とする。 解決手段として、2枚以上の紙基材と、前記紙基材を接着する水溶性接着剤からなる接着剤層とを有し、JIS K6253に準拠してタイプDのデュロメーターで測定した硬度が75以上であるバックアップボードを提供する。