(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1加圧ステップでは、前記第1電極板の前記第2面に押圧部材を当接させ、前記押圧部材を前記第1電極板と前記第1セパレータ領域との接触面に垂直な方向に変位させることにより、前記第1電極板を前記第1セパレータ領域に向かって加圧する、
請求項1〜7のいずれか一項に記載の電池の製造方法。
前記第1加熱ステップでは、前記第2ステップにおいて前記第1電極板が搬送される前に、前記第1電極板を保管する保管部が備える熱源を用いて前記第1電極板を加熱する、
請求項1〜2のいずれか一項に記載の電池の製造方法。
前記第1加圧ステップでは、前記第1電極板の前記第2面に当接させた押圧部材を、前記第1電極板と前記第1セパレータ領域との接触面に垂直な方向に変位させることにより、前記第1電極板を前記第1セパレータ領域に向かって加圧し、
前記第2加圧ステップでは、前記第2電極板の前記第4面に当接させた押圧部材を、前記第2電極板と前記第2セパレータ領域との接触面に垂直な方向に変位させることにより、前記第1電極板を前記第1セパレータ領域に向かって加圧する、
請求項11に記載の電池の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
複数の電極板およびセパレータが積層された電極体を作製する際、既に積層された複数の電極板およびセパレータの積層ずれを抑えながら、電極板およびセパレータを積層することは、困難が伴う。例えば、特許文献1に記載された電池では、セパレータの折り返し部分に設けたストッパーにより、正極板および負極板が正確に位置決めされることが記載されているが、ストッパーは正極板または負極板の一方向の移動を規定するものでしかなく、他の三方向への積層ずれを抑制することはできないと考えられる。特許文献2に記載された電池の製造方法では、帯状のセパレータをつづら折りする際の谷折りを確保するために使用するつづら折りクランプが、つづら折りおよび電極板の積層の際に押さえ部材として機能することが記載されているが、当該つづら折りクランプが押さえていないときは積層ずれを抑制できず、また、当該つづら折りクランプがその押さえを解く際に積層ずれを起こしてしまうことも考えられる。
【0011】
本発明者らは、本開示に係る電池の製造方法が、電極板およびセパレータ領域の積層を行いながら、積層された電極板およびセパレータ領域の積層ずれを抑制する手段を講じることにより、電池の製造段階における電極体の積層ずれを抑制し得ることを見出した。
【0012】
以下、本開示の実施形態の一例について詳細に説明する。なお、本開示に係る電池の製造方法は以下で説明する実施形態に限定されない。実施形態の説明で参照する図面は模式的に記載されたものであるから、図面に描画された構成要素の寸法比率などは以下の説明を参酌して判断されるべきである。
【0013】
[電池]
図1は、本実施形態の一例である電池3の模式図である。
図1に例示するように、電池3は、外装体4と、外装体4内に収容された発電要素とを備える。電池3の好適な一例は、非水電解質二次電池であるリチウムイオン二次電池である。発電要素は、例えば、電極体20と、非水電解質(図示しない)とで構成される。
【0014】
なお、
図1〜
図5では、z軸を電極体20の積層方向に規定し、x軸を外装体4の正極端子7および負極端子9が設けられている辺に沿った方向に規定し、y軸をx軸およびz軸のそれぞれと直交する方向に規定している。
【0015】
外装体4は、例えば、
図1に示すような有底角筒状の形状を有し、外装体4の開口は封口板5によって封口されている。電極体20は絶縁シート17に覆われた状態で、外装体4に挿入されている。発電要素を収容する外装体は、
図1に示す有底角筒状の外装体4に限定されるものではなく、ラミネートフィルム等で構成されていてもよい。
【0016】
本実施形態に係る電池3の製造方法の一例を、具体的に記載する。
図1に示すように、封口板5は正極端子取り付け孔5aおよび負極端子取り付け孔5bを有する。正極端子取り付け孔5aの周囲であって電池内部側に絶縁部材10および正極集電体6を配置する。また、正極端子取り付け孔5aの周囲であって電池外部側に絶縁部材11を配置する。そして、絶縁部材11、絶縁部材10および正極集電体6のそれぞれに設けられた貫通孔に、電池外部側から正極端子7を挿入し、正極端子7の先端を正極集電体6にかしめ固定する。なお、正極端子7のかしめ部を正極集電体6に溶接することが好ましい。
【0017】
負極端子取り付け孔5bの周囲であって電池内部側に絶縁部材12および負極集電体8を配置する。また、負極端子取り付け孔5bの周囲であって電池外部側に絶縁部材13を配置する。そして、絶縁部材13、絶縁部材12および負極集電体8のそれぞれに設けられた貫通孔に、電池外部側から負極端子9を挿入し、負極端子9の先端を負極集電体8にかしめ固定する。なお、負極端子9のかしめ部を負極集電体8に溶接することが好ましい。
【0018】
電極体20の積層された正極タブ部1を正極集電体6に溶接接続し、電極体20の積層された負極タブ部2を負極集電体8に溶接接続する。なお、溶接接続としては、抵抗溶接、レーザ溶接、超音波溶接等を用いることができる。
【0019】
絶縁シート17で覆われた電極体20を有底角筒状の外装体4に挿入する。その後、外装体4と封口板5の間を溶接接続し、外装体4の開口を封口する。その後、封口板5に設けられた電解液注液孔15より電解質および溶媒を含む非水電解液を注入する。その後、電解液注液孔15を封止栓16により封止する。
【0020】
封口板5には、電池内部の圧力が所定値以上となったときに破断し、電池内部のガスを外部へ排出するガス排出弁14が設けられている。なお、正極板30と正極端子7の間の導電経路又は負極板40と負極端子9の間の導電経路に、電流遮断機構を設けることができる。電流遮断機構は、電池内部の圧力が所定値以上となったときに作動し、導電経路を切断するものが好ましい。なお、電流遮断機構の作動圧は、ガス排出弁の作動圧よりも低く設定する。
【0021】
図2は、正極板30、負極板40、および正極板30と負極板40との間に配置されているセパレータ領域60を含む電極体20の一例の模式図である。
図3に示す電極体20におけるセパレータ領域60は、セパレータ領域60どうしが互いに分離して独立しているいわゆる枚葉型のセパレータである。
【0022】
電極体20における正極板30および負極板40の枚数は特に限定されない。電極体20は、例えば、
図2および
図3に示すように、複数の正極板30および複数の負極板40が、正極板30と負極板40との間のそれぞれにセパレータ領域60を介して積層されてなる、複層型の電極体20であってもよいし、単一の正極板30および単一の負極板40がセパレータ領域60を介して積層されてなる、単層型の電極体20であってもよい。
【0023】
電極体20において、正極板30は、正極芯体の両面に正極活物質層(図示しない)が形成された方形状の領域を有し、正極板30には、方形状領域における一辺の一方端部に正極リード32が設けられている。正極板30を複数枚用いる場合、正極リード32が複数枚積層されて、正極タブ部1となる。正極リード32と正極活物質層が形成された方形状領域とが接する部分である根元部分には、絶縁層又は正極芯体より電気抵抗が高い保護層を設けてもよい。
【0024】
電極体20において、負極板40は、負極芯体の両面に負極活物質層が形成された方形状の領域を有し、負極板40には、方形状領域における一辺の、正極リード32が設けられている端部とは異なる端部に負極リード42が設けられている。負極板40を複数枚用いる場合、負極リード42が複数枚積層されて、負極タブ部2となる。
【0025】
図3は、電極体20の他の例の模式図である。
図3に示す電極体20において、正極板30と負極板40との間に配置されている複数のセパレータ領域60は、1枚の帯状セパレータ70を構成している。この場合、複数のセパレータ領域60を含む帯状セパレータ70は、正極板30または負極板40の大きさに合わせて折り畳まれ、その折り返される領域以外の領域においてセパレータ領域60を形成し、その折り返された領域を挟む2つのセパレータ領域60が正極板30または負極板40を挟むように構成されてなる、いわゆるつづら折り型のセパレータである。
【0026】
[電極体の製造方法]
電極体20は、電極板50ならびにセパレータ領域60を、各電極板50の間にセパレータ領域60が介するようにして積層することによって、作製される。なお、本明細書において「電極板」と記載した場合、正極板30および負極板40のいずれか一方であることを意味し、且つ、正極板30および負極板40、または、後述する第1電極板51および第2電極板52を区別する必要が無い場合であることを意味する。その場合であっても、当然、電極体20を作製する際は正極板30および負極板40がセパレータ領域60を介して交互に積層される。
【0027】
図5に、電極体20の作製における従来の電極板50およびセパレータ領域60の積層方法の一例を示す。
図5に示す通り、例えば、セパレータ領域60を積載テーブル80に載置し(
図5の(a))、載置したセパレータ領域60に電極板50を積層し(
図5の(b))、電極板50に新たなセパレータ領域60を積層し(
図5の(c))、積層されたセパレータ領域60に、既に積層された電極板50とは反対の極性を有する電極板50を積層する(
図5の(d))ことにより、複数の電極板50およびセパレータ領域60が積層された電極体20の作製が行われる。電極板50を更に積層する場合は、同様の電極板50およびセパレータ領域60の積層工程が繰り返される。
【0028】
このような電極板50およびセパレータ領域60の積層を行う際に、既に積層された電極板50およびセパレータ領域60が積層ずれを起こす可能性がある。上記の通り、押さえ手段により積層した電極板50やセパレータ領域60を押さえつけることにより、積層ずれを抑制することが考えられる。しかしながら、電極板50およびセパレータ領域60の積層を続けるためには、押さえ手段を離さなければならない期間が必ず生じ、その押さえ手段が離れている間は、電極板50およびセパレータ領域60の積層ずれを制御することはできない。また、当該押さえ手段を電極板50またはセパレータ領域60から離す際に、両者の摩擦等によって積層ずれを起こすおそれも考えられる。
【0029】
図4に、本実施形態に係る電池3の製造方法における電極板50およびセパレータ領域60の積層方法の一例を示す。
図4に示す電極板50およびセパレータ領域60の積層方法では、少なくとも一方の表面に第1接着層611を有する第1セパレータ領域61を載置するステップ(第1ステップ)を行い(
図4の(a))、第1セパレータ領域61に、第1電極板51を、第1セパレータ領域61の第1接着層611と第1電極板51とが接するように積層するステップ(第2ステップ)を行い(
図4の(b))、第1電極板51に、第2セパレータ領域62を積層するステップ(第3ステップ)を行い(
図4の(d))、第2セパレータ領域62に、第1電極板51とは反対の極性を有する第2電極板52を積層するステップ(第4ステップ)を行う(
図4の(e))。
【0030】
ここで、第2セパレータ領域62を積層するステップよりも前に、第1電極板51の第1面と第1セパレータ領域61の第1接着層611とを接着させるステップ(接着ステップ)を行う(
図4の(c))。なお、
図4(c)においては、第1面と第1接着層611とを接着させるステップとして、第1電極板51を加熱するステップ(第1加熱ステップ)と、積層された第1電極板51を第1セパレータ領域61に向かって加圧するステップ(第1加圧ステップ)を行っている。
図4(c)における矢印は、第1電極板51を加圧するために用いられている、第1電極板51に当接する押圧部材82の、加圧の方向を示す。
【0031】
本実施形態に係る電池3の製造方法では、電極板50およびセパレータ領域60の積層工程において、セパレータ領域60と電極板50とを接着させ、セパレータ領域60と電極板50との仮止めを行う。このように、電極板50を積層した後、セパレータ領域60と電極板50とを仮止めすることにより、電極体20の作製段階における積層ずれを抑制することができると考えられる。
【0032】
以下、本実施形態に係る電池3の製造方法における各ステップを、より詳細に説明する。
【0033】
〔第1ステップ〕
まず、第1セパレータ領域61を載置する第1ステップ(載置ステップ)を行う。第1ステップにおいて載置される第1セパレータ領域61の少なくとも一方の表面には第1接着層611が設けられている。第1セパレータ領域61は、続く第2ステップにおいて積層される第1電極板51と第1接着層611とが接するように、載置される。本実施形態に係る製造方法において、セパレータ領域および電極板50の積層または載置は、例えば平坦な台などの支持部材からなる積載テーブル80において行われる。
【0034】
〔第2ステップ〕
次いで、第1電極板51を搬送し、載置した第1セパレータ領域61に第1電極板51を積層する第2ステップ(第1電極板積層ステップ)を行う。ここで、第1電極板51において、第1セパレータ領域61と接する面を第1面とし、第1面と反対側の面を第2面とする。第1セパレータ領域61に積層される第1電極板51は、正極板30および負極板40のいずれであってもよい。本実施形態では一例として、負極板を第1電極板とする。
【0035】
第2ステップにおいて、第1電極板51は、電極板50を保管する保管部から、公知の搬送機を用いて、積層が行われる積載テーブル80まで搬送される。例えば、第1電極板51と当接した状態、より具体的には、第1電極板51の第2面と当接した状態で、第1電極板51を支持する搬送機を用いて搬送することができる。そのような搬送機の例としては、吸引方式と静電方式とがある。吸引方式では、吸着パッドを用いた方法や板材に厚さ方向に無数の孔が形成されてこの板材を当接させて上記無数の孔から吸引を行いながら吸着させる方法等が挙げられる。特に板材を用いた方法は吸着時の吸着応力の偏在を抑えることが容易であるため、好ましい。後述するように、搬送機および保管部は、電極板50を加熱することができる熱源を備えていてもよい。
【0036】
〔接着ステップ〕
第3ステップよりも前に、第1電極板51の第1面と第1セパレータ領域61の第1接着層611とを接着させるステップ(接着ステップ)を行う。ここで「電極板の表面と接着層とを接着させる」とは、例えば、電極板の表面と接着層との界面の少なくとも一部の領域において、熱、圧力等の付与によって、当該領域の接着層に含まれる成分が電極板の表面と機械的、物理的または化学的に接合することをいう。
【0037】
接着ステップを行うことによって、第1電極板51と第1セパレータ領域61とが接着され、第1電極板51と第1セパレータ領域61とが仮止めされる。第1電極板51と第1セパレータ領域61とが「仮止めされる」とは、第1電極板51と第1セパレータ領域61の第1接着層611との間の機械的、物理的または化学的な接合により、第1電極板51と第1セパレータ領域61との接触面に平行な方向における相対的な変位が制限されている状態を言う。第1電極板51と第1セパレータ領域61との接着は、第1電極板51および第1セパレータ領域61の相対的な変位を制限するものであればよく、第1接着層611に含まれる接着成分の反応が完了して接着が完全になされることまでは必須ではない。
【0038】
本実施形態に係る電池3の製造方法では、第1電極板51の第1面と第1セパレータ領域61の第1接着層611とを接着させるステップが、後述する加熱ステップおよび加圧ステップの少なくとも一方を有することが好ましく、加熱ステップおよび加圧ステップの両者を有することがより好ましい。接着ステップとして加熱ステップおよび加圧ステップを行うことによって、第1電極板51と第1セパレータ領域61との仮止めがより強固になるためである。
【0039】
〔加熱ステップ〕
第1電極板51を加熱する第1加熱ステップ(単に「加熱ステップ」ともいう)を行う。加熱ステップは、第1電極板51に第2セパレータ領域62を積層する第3ステップよりも前に行われ、且つ、加熱された第1電極板51と接触させることにより、第1セパレータ領域61の第1接着層611に十分な熱を供給できるものである限り、特に限定されない。加熱ステップは、第2ステップより前に行うことができ、また、第2ステップと同時またはそれ以降に行うこともできる。予め加熱された第1電極板51を第1セパレータ領域61に積層することによって、或いは、第1電極板51が第1セパレータ領域61に積層された状態にあるときに第1電極板51を加熱することによって、第1セパレータ領域61の表面に設けられた第1接着層611に熱が供給され、第1電極板51と第1セパレータ領域61との接着に用いられる。
【0040】
加熱ステップを第2ステップより前に行う場合の加熱方法としては、例えば、第1電極板51を搬送および/または保管する間に加熱する方法が挙げられる。第1電極板51を支持しながら第1電極板51を搬送する搬送機は、第1電極板51を加熱する熱源を備えることにより、第1電極板51を搬送しながら加熱することができる。また、第1電極板51を保管する保管部が熱源を備えることにより、当該保管部は、第1電極板51を保管し、搬送されるまでの間、第1電極板51を加熱することができる。第1電極板51を搬送および/または保管する間に第1電極板51を加熱する場合、第2ステップと同時またはそれ以降に行う場合に比して、第1電極板51に十分な熱を付与するための時間を短縮することができる。
【0041】
第1電極板51の加熱に用いられる熱源としては、電極板50を加熱することができる公知の熱源であればよく、例えば、カートリッジヒータ、ラバーヒータ等の接触式の熱源、および、炉、ヒーター、電磁波(例えば赤外線等)照射手段等の非接触式の熱源が挙げられる。搬送機または押圧部材82は、接触式の熱源を備えることにより、第1電極板51を搬送している間、または、押圧部材82を第1電極板51に当接させている間に、第1電極板51を加熱することができる。非接触式の熱源は、保管部が備える熱源として使用できるほか、第1電極板51の搬送機による搬送経路に設けられることにより、第1電極板51が搬送されている間に第1電極板51を加熱することができる。
【0042】
加熱ステップによって加熱される第1電極板51の領域は、第1セパレータ領域61の第1接着層611に十分な熱を供給できるものである限り、第1電極板51の少なくとも一部であればよく、また、第1電極板51を全体的に(例えば炉等によって)加熱してもよい。後述するように、電極体20を作製後、各セパレータ領域60の接着層が完全に接着するように、電極体20へ加熱および加圧等を行うことにより、各接着層が電極板50と均一に接着された状態とすることができる。
【0043】
〔加圧ステップ〕
第1電極板51を第1セパレータ領域61に向かって加圧する第1加圧ステップ(単に「加圧ステップ」ともいう)を行う。加圧ステップは、第2ステップよりも後であって、第3ステップよりも前に行われる。加圧ステップを行うことにより、第1セパレータ領域61の第1電極板51と接する表面にある第1接着層611が、圧力を受けて、第1電極板51と第1セパレータ領域61とを接着させる。加圧ステップにおいて第1セパレータ領域61に向かって加える圧力は、第1電極板51と第1接着層611との接着に寄与する圧力であれば特に限定はされず、例えば0.5MPa以上20MPa以下である。
【0044】
加圧ステップにおける「第1電極板51を第1セパレータ領域61に向かって加圧する」とは、第1電極板51の少なくとも一部に力を付与して、第1電極板51と第1セパレータ領域61との接触面に垂直な成分、即ち、第1電極板51および第1セパレータ領域61の積層方向に沿った成分の圧力を生じさせることをいう。加圧ステップにおいて、第1電極板51は、第1セパレータ領域61に向かって変位してもよく、また、当該接触面に垂直な成分の圧力が生じている限り、第1セパレータ領域61に向かう変位が実際には起きていなくてもよい。
【0045】
加圧ステップにおいて、第1電極板51を第1セパレータ領域61に向かって加圧する方法としては、例えば、第1電極板51の第2面に押圧部材82を当接させ、押圧部材82を第1電極板51と第1セパレータ領域61との接触面に垂直な方向に変位させる方法が挙げられる。このとき、押圧部材82のみを変位させてもよく、また、第1ステップにおいて第1セパレータ領域61を載置した支持部材を同時に押圧部材82に向かって変位させて、第1電極板51を第1セパレータ領域61に向かって加圧してもよい。
【0046】
加圧ステップにおいて、第1電極板51を第1セパレータ領域61に向かって加圧する他の方法としては、例えば、搬送機を用いて第1セパレータ領域61に第1電極板51を積層した後、そのまま搬送機を第1セパレータ領域61に向かって押しつけることにより、第1電極板51と第1セパレータ領域61とを加圧する方法等が挙げられる。
【0047】
押圧部材82の具体例としては、例えば、後述する保持ステップにおいて用いる保持部材、第1セパレータ領域61への第1電極板51の積層に用いられる搬送機を押圧部材82として用いてもよく、また、保持部材および搬送機とは別に、これらと独立した押圧機構を備える部材を、押圧部材82として用いてもよい。押圧部材82として保持部材および搬送機とは別の部材を用いる場合は、保持部材以上の応力で第1電極板51を第1セパレータ領域61に向かって加圧できることが好ましい。
【0048】
〔保持ステップ〕
第2ステップの後、加圧ステップを行う前に、第1電極板51の第2面に保持部材を当接させる保持ステップ(第1電極板保持ステップ)を行うことができる。保持ステップを行うことにより、第1電極板51と第1セパレータ領域61とが仮止めされるまでの間の積層ずれを抑制することができる。第2ステップにおいて、第1電極板51の第2面と当接した状態で第1電極板51を支持する搬送機を用いて第1電極板51を搬送する場合、第1電極板51の第2面において保持部材を当接させる箇所は、当該搬送機が当接していない箇所であることが好ましい。これにより、積載テーブル80で搬送機が第1電極板51と当接した状態から保持部材を当接させることができるとともに、第2ステップ後に搬送機が第1電極板51から離れる際、保持部材が搬送機の移動を妨げ難くなる。
【0049】
第1電極板51を加圧する加圧ステップを、保持部材を押圧部材82として用いることにより、行うことができる。保持部材を押圧部材82として用いて加圧ステップを行うことにより、積層に用いられる製造装置を簡略化することができる。また、第1セパレータ領域61と第1電極板51とが当接した時点から第1電極板51の上に第2セパレータ領域62が積層される時点までの間に最も長く第1電極板51と当接することができる。そのため、第1電極板51を介して第1セパレータ領域61へ圧力を容易に伝えて接着させることができる。
【0050】
第1電極板51を加熱する加熱ステップを、上記の熱源を備える保持部材を第1電極板51の第2面に当接させることにより、行うことができる。熱源を備える保持部材を第1電極板51に当接させて加熱ステップを行うことにより、積層に用いられる製造装置を簡略化させることができる。また、第1セパレータ領域61と第1電極板51とが当接した時点から第1電極板51の上に第2セパレータ領域62が積層される時点までの間に最も長く第1電極板51と当接することができる。そのため、第1電極板51を介して第1セパレータ領域61へ熱を容易に伝えて接着させることができる。また、保持部材に熱源が備わっている場合でも、保管部などにおいて予め第1電極板51を加熱しておいてもよい。
【0051】
保持部材は、加熱ステップおよび加圧ステップが完了して第1セパレータ領域61と第1電極板51とが仮止めされた後で、第1電極板51の表面に当接した状態から移動して離れる。そのため、保持部材が第1電極板51から離れる際の積層ずれを格段に抑えることができる。
【0052】
また、接着ステップにおいて、第1電極板51を加熱する際、第1電極板51と第1セパレータ領域61を接着させたときに、第1セパレータ領域61の温度より第1電極板51の温度が高くなるように加熱することが好ましい。第1セパレータ領域61の温度が第1電極板51の温度より高くなると、第1セパレータ領域61における積載テーブル80と対向する面に接着層が形成されている場合、積載テーブル80と第1セパレータ領域61とが接着する可能性が高まるためである。
【0053】
〔第3ステップ〕
加熱ステップおよび加圧ステップを行った後、第1電極板51に第2セパレータ領域62を積層する第3ステップ(第2セパレータ領域積層ステップ)を行う。第3ステップに続けて後述する第4ステップを行う場合、第2セパレータ領域62の第1電極板51と接しない側の表面には、第2接着層622が設けられる。第2セパレータ領域62は、第1電極板51と接する側の表面に第3接着層623を有していてもよい。
【0054】
〔その他〕
第2セパレータ領域62が、第1ステップにおいて載置する第1セパレータ領域61に対して独立した、いわゆる枚葉型のセパレータである場合、第2セパレータ領域62は公知の搬送機によって積載テーブル80に搬送される。
【0055】
第2セパレータ領域62が、第1ステップにおいて載置する第1セパレータ領域61とともに、1枚の帯状セパレータ70の一部を構成する場合、第3ステップでは、第1セパレータ領域61に隣接する領域で帯状セパレータ70を折り返すことにより、第2セパレータ領域62が第1電極板51に積層される。言い換えれば、帯状セパレータ70を用いて電極体20を作製する場合、第3ステップにおいて、帯状セパレータ70の第1セパレータ領域61に隣接する領域で帯状セパレータ70が折り返され、その折り返された帯状セパレータ70のうち、第1電極板51と接する部分を含む領域が、第2セパレータ領域62となる。
【0056】
第1セパレータ領域61および第2セパレータ領域62が帯状セパレータ70の一部を構成する場合、帯状セパレータ70において、第1セパレータ領域61における第1接着層611が設けられた表面と、第2セパレータ領域62における第2接着層622が設けられた表面とは互いに異なる。帯状セパレータ70は、両方の表面に接着層を有することが好ましく、この場合、一方の表面が第1接着層611を有し、他方の表面が第2接着層622を有する。
【0057】
第1セパレータ領域61および第2セパレータ領域62が帯状セパレータ70の一部を構成する場合、保持ステップに用いる保持部材を、第1電極板51の第2セパレータ領域62側の表面における帯状セパレータ70の折り返しが行われる側の端部に当接させて、帯状セパレータ70を折り返してもよい。この場合、保持部材が、帯状セパレータ70を折り返す際の折り返し点となる第1電極板51を保持することにより、第3ステップにおける積層ずれを抑制することができる。
【0058】
第3ステップを行った後、更に追加の電極板50を積層する場合は、上述した第2ステップ、加熱ステップ、加圧ステップおよび第3ステップに従って、これらのステップを繰り返し行えばよく、必要に応じて、保持ステップを行えばよい。
【0059】
例えば、第3ステップで積層された第2セパレータ領域62に、第1電極板51とは反対の極性を有する第2電極板52を積層する第4ステップ(第2電極板積層ステップ)は、第2ステップに準じて行うことができる。ここで、第2電極板52において、第2セパレータ領域62の表面に設けられた第2接着層622と接する面を第3面とし、第3面と反対側の面を第4面とする。第4ステップを行うとともに、第2電極板52の第3面と第2接着層622とを接着させる第2接着ステップを行うことができ、第2接着ステップは、上記加熱ステップに準じて行われる第2電極板52を加熱する第2加熱ステップと、上記加圧ステップに準じて行われる第2電極板52を加圧する第2加圧ステップとを有することが好ましい。これにより、第2電極板52と第2セパレータ領域62とを仮止めすることができる。
【0060】
第2セパレータ領域62の第1電極板51に接する表面に第3接着層623を設ける場合、第2電極板52と第2セパレータ領域62との仮止めと同時に、第1電極板51と第2セパレータ領域62との仮止めを行うことも可能である。第1加熱ステップにより第1電極板51が加熱されているため、セパレータ領域積層ステップにより第2セパレータ領域62が第1電極板51に積層されると、第3接着層623は第1電極板51から熱を受け取ることができる。また、第4ステップを経て、第2加圧ステップにより第2電極板52を第2セパレータ領域62に向かって加圧するによって、第3接着層623が圧力を受けとることができる。これにより、隣接する第1電極板51と第2セパレータ領域62とを接着することができる。
【0061】
電極板50およびセパレータ領域60が積層された電極体20は、電極板50およびセパレータ領域60の積層工程が完了した後、電極体20の全体を加熱するとともに、積層方向に加圧することにより、各接着層の隣接する電極板50との接着が完全になされる。これにより、電池3の製造段階のみならず、製造された電池3の出荷および使用における電極板50とセパレータ領域60との積層ずれをより一層抑制することができる。積層ずれの更なる抑制のために、作製された電極体20を、例えば、絶縁テープ、被覆材等の公知の手段により拘束してもよい。
【0062】
図4では、一対の押圧部材82を第1電極板51に当接させて第1セパレータ領域61と第1電極板51とを接着させる方法を説明したが、本開示の電池3の製造方法はこの方法に限定されない。例えば、押圧部材82を電極板50の一端のみで当接させてもよい。この方法により、特にセパレータ領域60が帯状のいわゆるつづら折り型セパレータである場合、押圧部材82(例えば保持部材等)を、セパレータ領域60を折り返すための起点とすることができる。このように、帯状のセパレータ領域60を折り返す側の端部のみに押圧部材82を当接させる方法では、第2電極板52を積層した後、第1電極板51における押圧部材82が当接した一端とは反対側の端部において、押圧部材82を当接させて加圧することになる。この方法では、第1電極板51と第2電極板52とでは仮止めによる接着箇所が互いに逆の端部に形成されている。
【0063】
セパレータ領域60が枚葉型であっても、この方法を用いて電極板50およびセパレータ領域60を積層することは可能である。この場合、第1電極板51の加圧に用いた押圧部材82を第1電極板51に当接させたままにしておき、第2セパレータ領域62および第2電極板52を積層し、別の押圧部材82を用いて第2電極板52を加圧した後、押圧部材82を第1電極板51から脱離させようとしても、第1電極板51と当接する押圧部材82が第1電極板51に当接している箇所と、第2電極板52と当接する押圧部材82が第2電極板52に当接している箇所が非対向であるため、第1電極板51と当接する押圧部材82を容易に脱離させることができる。
【0064】
以下に、電池3の各構成部材について詳述する。
【0065】
[セパレータ領域]
セパレータ領域60は、
図2および
図4に示すように、各電極板50に挟まれるセパレータ領域60が互いに分離して独立しているいわゆる枚葉型のセパレータであってもよく、また、
図3に示すように、複数のセパレータ領域60が帯状セパレータ70の一部を構成していてもよい。電極体20は、セパレータ領域60として枚葉型のセパレータおよび帯状セパレータ70の両者を有するものであってもよい。
【0066】
電極体20において、複数のセパレータ領域60が帯状セパレータ70の一部を構成している場合、その帯状セパレータ70の折り返しは、電極板50およびセパレータ領域60の積層後に正極端子7および負極端子9が設けられる辺を避けて行われる。例えば、
図3に示す通り、長尺方向がx軸に沿うように帯状セパレータ70を配置し、正極板30および負極板40のy軸に沿った辺において帯状セパレータ70を折り返すことにより、正極板30および負極板40にセパレータ領域60が積層される。
【0067】
セパレータ領域60は、基材層と少なくとも1つの接着層とを備える。接着層は、セパレータ領域60の表面の少なくとも一方に設けられるが、セパレータ領域60の両表面に設けられていることが好ましい。接着層は、例えば、加圧ステップにおいて押圧部材82が当接する位置に対応する領域にのみに設けられていてもよいが、電極板50とセパレータ領域60との距離が接触面内で異なることによる電池性能への影響を少なくするために、セパレータ領域60の表面に略均一に設けられていることが好ましい。
【0068】
基材層には、例えば、イオン透過性および絶縁性を有する多孔性シートが用いられる。多孔性シートの具体例としては、微多孔薄膜、織布、不織布等が挙げられる。基材層の材質としては、特に制限されるものではなく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂が挙げられる。基材層は、樹脂以外の材料(例えばセルロース等)を含んでいてもよい。基材層は、積層体であってもよく、例えば、ポリエチレン層およびポリプロピレン層を含む積層体であってもよい。接着層に含まれる材料としては、例えばポリフッ化ビニリデン、アクリル系の架橋性ポリマー等が挙げられる。
【0069】
セパレータ領域60の厚さは、特に限定されず、例えば5μm以上50μm以下である。基材層の厚さおよび接着層の厚さは、特に限定されないが、例えば、基材層を1μm以上30μm以下、接着層を0.01μm以上10μm以下とすることが好ましい。
【0070】
[正極板]
正極板30は、例えば正極集電体6と、正極集電体6に形成された正極合材層とで構成される。正極集電体6には、アルミニウムなどの正極の電位範囲で安定な金属の箔、当該金属を表層に配置したフィルム等を用いることができる。正極合材層は、正極活物質を含み、導電材および結着材を更に含むことが好ましい。正極合材層は、正極集電体6の両面に形成されていることが好ましい。正極活物質としては、例えば、リチウム含有複合酸化物が用いられる。好適なリチウム含有複合酸化物の一例としては、ニッケル−コバルト−マンガン系、ニッケル−コバルト−アルミニウム系等のリチウム含有複合酸化物等が挙げられる。
【0071】
正極板30に形成される正極合材層は、例えば、矩形形状を有する。正極リード32は、正極合材層が形成された領域の一辺における一方側の端部から突出した形状を有する。正極リード32は、正極集電体6の表面が露出した部分であり、これにより正極端子7と電気的に接続される。正極リード32と正極合材層が形成された領域とが接する根元部分には、絶縁層又は正極芯体より電気抵抗が高い保護層を設けることが好ましい。
【0072】
正極板30の厚みは、特に限定されず、例えば20μm以上300μm以下である。正極板30は、例えば、長尺状の正極集電体6に正極活物質、導電材、結着材等を含む正極合材スラリーを塗布し、塗膜を圧延して正極合材層を集電体の両面に形成した後、これを各々の正極板30および正極リード32の寸法に切断することにより製造できる。なお、正極合材スラリーは正極集電体6において正極リード32となる部分には塗布されない。
【0073】
[負極板]
負極板40は、例えば負極集電体8と、当該負極集電体8の表面に形成された負極合材層とで構成される。負極集電体8には、銅などの負極の電位範囲で安定な金属の箔、当該金属を表層に配置したフィルム等を用いることができる。負極合材層は、負極活物質とともに、結着材を含むことが好ましい。負極合材層は、負極集電体8の両面に形成されていることが好ましい。
【0074】
負極活物質としては、リチウムイオンを可逆的に吸蔵、放出できるものであれば特に限定されず、例えば、天然黒鉛および人造黒鉛等の炭素材料、SiおよびSn等のリチウムと合金化する金属、並びに、これらの金属の合金および複合酸化物等を用いることができる。
【0075】
負極板40は、正極板30と同様の形状を有する。電池3がリチウムイオン電池である場合、正負極間におけるリチウムイオンの円滑な移動を確保するため、負極板40の寸法は正極板30の寸法よりも大きいことが好ましい。負極板40に形成される負極合材層は、例えば、矩形形状を有する。負極リード42は、負極合材層が形成された領域の一辺における端部であって、正極リード32とは異なる側の端部から突出した形状を有する。負極リード42は、負極集電体8の表面が露出した部分であり、これにより負極端子9と電気的に接続される。
【0076】
負極板40の厚みは、特に限定されず、例えば20μm以上300μm以下である。負極板40は、長尺状の負極集電体8に負極活物質、結着材等を含む負極合材スラリーを塗布し、塗膜を圧延して負極合材層を集電体の両面に形成した後、これを各々の負極板40および負極リード42の寸法に切断することにより製造できる。なお、負極合材スラリーは負極集電体8において負極リード42となる部分には塗布されない。
【0077】
[非水電解質]
非水電解質は、非水溶媒と、非水溶媒に溶解した電解質塩とを含む。非水電解質は、液体電解質(電解液)に限定されず、ゲル状ポリマー等を用いた固体電解質であってもよい。
【0078】
非水溶媒としては、例えば、非水溶媒として一般的に用いられているエチレンカーボネート(EC)等の環状炭酸エステル、ジメチルカーボネート(DMC)およびジエチルカーボネート(DEC)等の鎖状エステル、γ−ブチロラクトン(GBL)等のカルボン酸エステル類、クラウンエーテル等の環状エーテル類、鎖状エーテル類、ニトリル類、アミド類、および、上記非水溶媒の水素原子をフッ素原子などのハロゲン原子で置換したハロゲン置換体、並びにこれらの混合溶媒等を用いることができる。
【0079】
電解質塩としては、例えば、従来の非水電解質二次電池において支持塩として使用されている一般的なリチウム塩を用いることができる。リチウム塩の具体例としては、LiPF
6、LiBF
4、LiAsF
6、LiClO
4、LiCF
3SO
3、LiN(FSO
2)
2、LiN(C
1F
2l+1SO
2)(C
mF
2m+1SO
2)(l、mは1以上の整数)、LiC(C
PF
2p+1SO
2)(C
qF
2q+1SO
2)(C
rF
2r+1SO
2)(p、q、rは1以上の整数)、Li[B(C
2O
4)
2](ビス(オキサレート)ホウ酸リチウム(LiBOB))、Li[B(C
2O
4)F
2]、Li[P(C
2O
4)F
4]、および、Li[P(C
2O
4)
2F
2]等が挙げられる。