(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、実施形態の医用画像処理装置について説明する。
【0011】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態の医用画像処理装置100の構成を示した構成図である。
【0012】
図1に示すように、医用画像処理装置100は、処理回路10、記憶回路20、ディスプレイ30、入力回路40、ネットワークインターフェース50、及び内部バス60を備えて構成されている。
【0013】
処理回路10は、例えば、プログラムをメモリ(記憶回路20)から読み出し、実行することにより、各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサとして構成される。換言すると、処理回路10(プロセッサ)は、各プログラムを読み出して、画像受付機能11、第1の設定機能12、第2の設定機能13及び解析機能14を実現する。
【0014】
ここで、画像受付機能11とは、例えば、医用画像の入力を受け付ける機能のことである。なお、医用画像の一例には、被検体の体内を示す体内画像が含まれる。
【0015】
なお、医用画像は、ボリュームデータを画像データとする3次元画像であってもよく、また2次元画像であっても良い。さらに、医用画像は、3次元画像において時間的な変化に基づく動態を示す4次元画像であってもよい。
【0016】
また、第1の設定機能12とは、医用画像において関心領域(ROI:Region Of Interest)を設定する機能のことである。
【0017】
また、第2の設定機能13とは、関心領域ROIの範囲内に、その関心領域ROIよりも縮小した縮小領域を設定する機能のことである。
【0018】
また、解析機能14とは、縮小領域において特徴量を算出する機能のことである。解析機能14は、例えば、特徴量の算出として、性状解析を実行することができる。なお、性状解析とは、本実施形態では、画像の性質と状態を解析することを意味し、例えば、テクスチャ解析、ヒストグラム解析、スペクトル解析をはじめ、平均値、分散、標準偏差等の算術処理なども含まれる。また、粒子解析や、トポロジー解析、3次元解析、または4次元解析など、さらに高度な画像解析処理なども性状解析に含まれる。
【0019】
なお、第1の設定機能12、第2の設定機能13および解析機能14は、特許請求の範囲における第1の設定部、第2の設定部および解析部の具体例である。また、第1の設定機能12と第2の設定機能13は、医用画像が、例えば、3次元画像であっても4次元画像であっても、画像の種類によらず関心領域ROIと縮小領域を設定することができる。
【0020】
メモリを構成する記憶回路20は、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)等を含む記憶装置である。記憶回路20は、IPL(Initial Program Loading)、BIOS(Basic Input/Output System)及びデータを記憶したり、処理回路10のワークメモリや医用画像を示す画像データの一時的な記憶に用いられたりする。HDDは、医用画像処理装置100にインストールされたプログラム(アプリケーションプログラムの他、OS(Operating System)等も含まれる)や、データを記憶する記憶装置である。また、HDDは、術者等の操作者に対するディスプレイ30への情報の表示にグラフィックを多用し、基礎的な操作を入力回路40によって行なうことができるGUI(Graphical User Interface)を、OSに提供させることもできる。
【0021】
ディスプレイ30は、図示しない画像合成回路、VRAM(Video Random Access Memory)、及びディスプレイを含んでいる。画像合成回路は、画像データに種々のパラメータの文字データを合成した合成データを生成する。VRAMは、合成データをディスプレイに展開する。ディスプレイ30は、液晶ディスプレイやCRT(Cathode Ray Tube)などによって構成され、画像データや合成データの画像を表示する。
【0022】
入力回路40は、医師や検査技師等の操作者によって操作が可能なポインティングデバイス(マウス)やキーボードなどの入力デバイスからの信号を入力する回路であり、ここでは、入力デバイス自体も入力回路24に含まれるものとする。この場合、操作に従った入力信号が、入力回路40から処理回路10に送られる。
【0023】
ネットワークインターフェース50は、所定の通信規格に応じた通信制御を行ない、例えば、電話回線を通じて、外部のネットワークに接続する機能を有している。これにより、ネットワークインターフェース50は、医用画像処理装置100を、外部のモダリティや医用画像格納装置と接続するネットワーク網に接続させることができる。
【0024】
内部バス60は、医用画像処理装置100において、各構成要素をそれぞれ相互に接続する機能を有している。
【0025】
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA)などの回路を意味する。
図1では、プロセッサ(処理回路10)が1つの場合を例示しているが、プロセッサの数は2つ以上であってもよい。
【0026】
プロセッサは、メモリに保存された、もしくはプロセッサの回路内に直接組み込まれたプログラムを読み出し、実行することで各機能を実現する。プロセッサが複数設けられた場合、プログラムを記憶するメモリは、プロセッサごとに個別に設けられるものであっても構わないし、或いは、
図1の記憶回路20が各プロセッサの機能に対応するプログラムを記憶するものであっても構わない。
【0027】
ここで、従来の課題を明確にするために、従来の医用画像処理装置を用いた場合の関心領域ROIの問題点について、説明する。
【0028】
従来の医用画像処理装置においては、関心領域ROIは、対象領域のボリューム(体積)やシェイプ(形状)を測定すること等を目的として、対象領域と同じ領域に関心領域が付与されるようになっていた。ここで、対象領域とは、観察或いは診断の対象となる体内組織の領域を意味している。
【0029】
しかしながら、関心領域ROIの付与は、現実的には、人手による操作のために誤差が生じたり、医用画像処理装置における解析誤差などにより、対象領域に全く同じ関心領域ROIを設定することは困難であった。そのため、関心領域ROIは、対象領域に対して、大きくなってしまったり、または小さくなってしまうことがある。この場合、その誤差によってはテクスチャ解析に影響を与えることがあり、特に、関心領域ROIが対象領域よりも大きくなった場合には、問題となる。
【0030】
図2は、各対象範囲ZA1、ZA2、ZA3、ZA4のそれぞれに、対応する関心領域ROI−A1、ROI−A2、ROI−A3及びROI−A4を設定した場合の説明図である。なお、
図2では、テクスチャ解析を行いたい対象範囲の領域を斜線のハッチングで示している。
【0031】
図2に示すように、
図2(a)では、関心領域ROI−A1は、対象範囲ZA1を丸ごと含むように、関心領域が設定されている。
図2(b)では、関心領域ROI−A2は、対象範囲ZA2を概ね含むように、関心領域が設定されている。
図2(c)では、関心領域ROI−A3は、対象範囲ZA3に似た形状により、関心領域が設定されている。また、
図2(d)でも、関心領域ROI−A4は、対象範囲ZA4に似た形状により、関心領域が設定されている。
【0032】
ここで、
図2(a)から
図2(d)の全ての関心領域ROI−A1、ROI−A2、ROI−A3、ROI−A4は、例えば、ボリュームやシェイプなどの形状を測定するための領域としては、有効な領域と判断されていた。
【0033】
なぜなら、形状を測定する場合においては、多少の誤差は許容されることも多く、また、誤差が大きい場合には、人手による視認を行うことで、解析結果の有効性が確認できるからである。
【0034】
しかしながら、これらの関心領域ROI−A1、ROI−A2、ROI−A3、ROI−A4にテクスチャ解析を適用しようとした場合、テクスチャ解析を実行したい部分以外の部分が、テクスチャ解析を実行する部分の一部に含まれているため、画像表面の質感を表すテクスチャにおいては、必ずしも有効な領域の設定とはなっていなかった。
【0035】
例えば、
図2(a)の場合では、対象範囲ZA1と関心領域ROI−A1との間の領域、即ち、
図2(a)において、ROI−A1内の白い部分の領域の存在により、関心領域ROI−A1内の解析精度が低下する。また、
図2(b)の場合も同様に、対象範囲ZA2と関心領域ROI−A2との間の領域の存在により、関心領域ROI−A2内の解析精度が低下する。また、
図2(c)の場合、関心領域ROI−A3は、対象範囲ZA3以外の範囲を一部に含むため、関心領域ROI−A3内の解析精度が低下する。
図2(d)の場合も同様に、関心領域ROI−A4は、対象範囲ZA4以外の範囲を一部に含むため、関心領域ROI−A4内の解析精度が低下する。
【0036】
テクスチャ解析のような性状解析は、形状を測定する場合と比べ、誤差が小さい場合であっても、設定される関心領域ROIによっては解析結果に与える影響が大きく、また、誤差が大きい場合でも、人手による視認では解析結果の有効性の確認が困難となることもあるからである。
【0037】
このように、従来の医用画像処理装置では、ボリュームやシェイプを測定する関心領域ROIの場合には有効であっても、テクスチャ解析を行う場合において、テクスチャ解析の対象範囲以外の領域や範囲を一部にでも含んでしまうと、その対象範囲以外のテクスチャ特徴量を含んでしまうため、その対象範囲の解析精度が低下し、適切なテクスチャ解析を実行することができなかった。
【0038】
そこで、本実施形態の医用画像処理装置100では、関心領域ROIの示す範囲内に、その関心領域ROIよりも縮小した縮小領域を設定し、その縮小領域に対してテクスチャ解析を実行するようになっている。
【0039】
次に、第1の実施形態の医用画像処理装置100が、医用画像における関心領域ROIの示す範囲内に、その関心領域ROIよりも縮小した縮小領域を設定して性状解析を実行する縮小領域設定処理について、図面を用いて説明する。なお、実施形態では、性状解析の一例としてテクスチャ解析を用いて説明するが、これに限定されるものではない。
【0040】
(縮小領域設定処理)
図3は、第1の実施形態の医用画像処理装置100が、関心領域ROIの示す範囲内に、その関心領域ROIよりも縮小した縮小領域を設定する縮小領域設定処理を示したフローチャートである。
【0041】
まず、医師は、医用画像処理装置100の入力回路40を操作して、テクスチャ解析を実行する医用画像を選択する。医用画像処理装置100の処理回路10は、例えば、医用画像であって被検体の体内画像の入力を受け付ける(ステップS001)。なお、被検体の体内画像は、記憶回路20に格納されている被検体の体内画像であってもよく、また、ネットワークインターフェース50を介して、外部の医用画像診断装置や医用画像管理装置から取得した体内画像であってもよい。以下、入力を受け付けた体内画像を、対象画像ともいう。
【0042】
処理回路10は、対象画像において、関心領域ROIを設定する(ステップS003)。例えば、処理回路10は、被検体としての患者Pの対象画像を構成する画像データに、関心領域ROIを付与する。
【0043】
図4は、第1の実施形態の医用画像処理装置100が、患者Pの対象画像Xにおいて、対象範囲Zに関心領域ROIを付与した場合の説明図である。
【0044】
図4に示すように、処理回路10は、患者Pの対象画像Xにおいて、対象範囲Zに関心領域ROIを付与している。関心領域ROIは、対象画像Xの付帯情報として得ることができ、もし、付帯情報として付与されていない場合でも、対象範囲Zに対して、自動的に付与したり、または、医師等の操作者がマウス等の入力デバイスを使用して手動で付与することもできる。
【0045】
例えば、自動的とは、形態画像や機能画像から自動的に対象範囲Zを抽出し、その抽出した対象範囲Zに基づいて装置が自動的に関心領域ROIを付与する。この場合、対象範囲Zの形状や画素値の分布等に依存して、
図2に例示したように、関心領域ROIと対象範囲Zとは、必ずしも完全には一致しない。
【0046】
一方、手動とは、医師が対象画像Xを目視しながら、対象範囲Zの輪郭を設定することにより、関心領域ROIを付与する。この場合にも、関心領域ROIの設定は、手動操作に依存するため、関心領域ROIと対象範囲Zとは、必ずしも完全には一致しない。
【0047】
なお、対象画像Xが、DICOM(Digital Imaging and Communication in Medicine)規格に準拠している場合には、対象画像Xに関心領域ROIを付帯させることができる。
【0048】
次に、医用画像処理装置100の処理回路10は、関心領域ROIの示す範囲内に、その関心領域ROIよりも縮小した縮小領域を設定する(ステップS005)。
【0049】
図5は、第1の実施形態の医用画像処理装置100が、患者Pの対象画像Xにおいて、関心領域ROIよりもさらに縮小した縮小領域DE−ROIを対象範囲Zに付与することを示した説明図である。
【0050】
図5に示すように、処理回路10は、例えば、関心領域ROIよりも縮小した縮小領域DE−ROIを対象範囲Zに付与している。縮小領域DE−ROIは、関心領域ROIを基準にして、対象範囲Zの内側に収まるように、関心領域ROIが縮小されて設定されている。
【0051】
この場合、処理回路10は、例えば、患者Pの関心領域ROIと縮小領域との間に所定のマージンMRGを設定してもよい。所定のマージンMRGは、固定値または可変値によって設定することができる。
【0052】
このマージンMRGを固定値で定める場合は、例えば、一律に2mmと設定することで実現できる。また、処理回路10は、関心領域ROIの部位に基づいて、縮小領域DE−ROIを設定することもできる。例えば、肺癌の関心領域ROIの場合には、マージンMRGを固定値の2mmに設定し、また、肝臓癌の関心領域ROIの場合には、マージンMRGを固定値の3mmに設定し、縮小領域DE−ROIを付与することもできる。
【0053】
また、このマージンMRGを可変値で定める場合には、関心領域ROIの部位や形状に基づいて、関心領域ROIに対する所定の比率で縮小領域DE−ROIを設定することができる。例えば、縮小領域DE−ROIは、関心領域ROIの最も長い直径の「1/4の長さ」をマージンMRGとすることができる。
【0054】
また、処理回路10は、患者Pの骨格の分類に基づいて、縮小領域DE−ROIを設定するようにしてもよい。例えば、処理回路10は、患者Pがアジア太平洋系の人種の場合には、ヒスパニック系の人種に比べ、体軸方向に対してマージンMRGを少なめに設定する一方、体軸方向に直交する方向に対してマージンMRGを多めに設定するようにしてもよい。なお、患者Pの骨格の分類は例示であり、これに限定されるものではない。
【0055】
図6は、第1の実施形態の医用画像処理装置100が、患者Pの肺の画像において縮小領域DE−ROIを付与した場合の説明図である。
【0056】
図6に示すように、縮小領域DE−ROIは、医用画像処理装置100のディスプレイ30に表示されており、関心領域ROIの内側であって対象範囲Z内の内側に付与されている。また、問題領域TA1、TA2は、例えば、対象範囲Zにおいて悪影響を与える領域を示しており、CT値が相対的に高い値の領域であることを示している。
【0057】
処理回路10は、例えば、CT値が不均一であって、悪影響を与える問題領域TA1、TA2を回避して、縮小領域DE−ROIを付与することができるので、縮小領域DE−ROIにテクスチャ解析を実行しても、解析精度の低下を回避することができる。また、縮小領域DE−ROIは、問題領域TA1、TA2を回避して縮小領域が付与されているため、テクスチャ解析を実行して不均一性を算出する場合であっても、解析精度に影響が生じない。
【0058】
次に、処理回路10は、縮小領域DE−ROIにおいて特徴量を算出する。例えば、処理回路10は、特徴量の算出として性状解析であるテクスチャ解析を実行し、テクスチャ解析情報を算出する(ステップS007)。
【0059】
テクスチャ解析において、テクスチャの繰り返しパターンを特徴として数量化する方法には、例えば、2次元フーリエ変換を用いて周波数特性を数値化する方法や、画素値の同時生起行列(Gray Level Co-occurrence Matrix:GLCM)を用いた統計量を算出する方法等がある。ここでは、一例として、同時生起行列を用いたテクスチャ解析の実行方法について説明する。
【0060】
例えば、ある画像Aにおいて、濃度iの点から一定の変位δ(r,θ)だけ離れた点の濃度がjである確率Pδ(i,j)(i, j =0, 1, …n-1)を要素とする同時生起行列を算出し、その行列から特徴量を計算する。
【0061】
例えば、処理回路10は、テクスチャの特徴量を計算することにより、コントラスト、相関、エネルギー、画素値の一様性およびエントロピーなどを算出することができ、テクスチャ解析情報を示す指標として、テクスチャ解析結果を出力する。
【0062】
コントラストは、グレーレベルの同時生起行列の局所変動を測定した指標であり、相関は、指定された画素対の同時生起確率を測定した指標である。また、エネルギーは、同時生起行列の要素の二乗和を測定したものであって角2次モーメントとしての指標であり、画素値の一様性は、同時生起行列の要素の分布が同時生起行列の対角線に対してどの程度接近しているかを測定した指標である。
【0063】
例えば、処理回路10は、テクスチャ特徴としてコントラストを、次式(1)によって算出することができる。
【0065】
また、例えば、処理回路10は、テクスチャ特徴として相関を、次式(2)によって算出することができる。
【0067】
また、例えば、処理回路10は、テクスチャ特徴としてエネルギーを、次式(3)によって算出することができる。
【0069】
また、例えば、処理回路10は、テクスチャ特徴として画素値の一様性を、次式(4)によって算出することができる。
【0071】
また、例えば、処理回路10は、テクスチャ特徴としてエントロピーを、次式(5)によって算出することができる。
【0073】
このように、処理回路10は、特徴量を計算して、テクスチャ解析情報を算出すると、指標としてテクスチャ解析結果をディスプレイ30に表示させる(ステップS009)。
【0074】
図7は、処理回路10が、ディスプレイ30にテクスチャ解析結果を表示させたときの表示画面例である。
【0075】
図7に示すように、例えば、テクスチャ解析結果では、部位の欄と、解析の欄が設けられている。部位の欄には、テクスチャ解析箇所として、原発巣と咽頭が表示されている。解析の欄には、テクスチャ解析の一例として、画素値の一様性、コントラスト及びエントロピーの解析結果が表示されている。
【0076】
なお、本実施形態では、一例としてテクスチャ解析結果をディスプレイ30に表示させているが、これに限定されるものではない。すなわち、本実施形態では、処理回路10は、テクスチャの特徴量を計算して出力できれば良く、算出したテクスチャの特徴量を表示させる必要はない。
図7に示すテクスチャ解析結果は、算出したテクスチャの特徴量を、仮にディスプレイ30に表示させた場合における具体例である。
【0077】
例えば、画素値の一様性に関しては、原発巣では、「0.85」を示し、咽頭では、「0.15」を示している。また、例えば、コントラストに関しては、原発巣では、「0.24」を示し、咽頭では、「0.03」を示している。また、例えば、エントロピーに関しては、原発巣では、「1.8」を示し、咽頭では、「2.6」を示している。
【0078】
なお、画素値の一様性、コントラスト、エントロピーは、テクスチャ解析の種類や分類の一例を示したものであり、これらに限定されるものではない。
【0079】
処理回路10は、テクスチャの特徴量を計算し、テクスチャ解析情報を示す指標としてテクスチャ解析結果を出力すると(ステップS009)、縮小領域設定処理を終了する。
【0080】
以上説明したように、第1の実施形態の医用画像処理装置100は、対象画像Xにおいて関心領域ROIを設定し、その関心領域ROIの示す範囲内に、その関心領域ROIよりも縮小した縮小領域DE−ROIを設定する。医用画像処理装置100は、縮小領域DE−ROIにおいて特徴量を算出するテクスチャ解析を実行し、そのテクスチャ解析結果を出力する。
【0081】
第1の実施形態によれば、医用画像処理装置100は、関心領域ROIよりも縮小した縮小領域DE−ROIを設定して、その縮小領域DE−ROIにおいてテクスチャ解析を実行することができるので、関心領域ROIの付与精度に依らず、テクスチャ解析の精度および頑強性を向上させることができる。
【0082】
また、医用画像処理装置100は、縮小領域DE−ROIにおいて高精度にテクスチャ解析を実行することができるので、対象画像Xにおける縮小領域DE−ROIの状態から、高精度に進行度合いを分類することもできる。
【0083】
例えば、肺のCT画像において、びまん性疾患の状態を正常を含む7つの陰影パターンに分類し、テクスチャ解析による解析結果によって、びまん性陰影を認める疾患の分類を行うことができる。
【0084】
例えば、テクスチャ解析結果により、特発性肺線維症(Idiopathic Pulmonary Fibrosis:IPF)、非特異性間質性肺炎(NonSpecific Interstitial Pneumonia:NSIP)、特発性器質化肺炎(Cryptogenic Organizing Pneumonia:COP)、急性間質性肺炎(Acute Interstitial Pneumonia:AIP)、剥離性間質性肺炎(Desquamative Interstitial Pneumonia:DIP)、呼吸細気管支炎を伴う間質性肺炎(Respiratory Bronchiolitis-associated Interstitial Lung Disease:RB−ILD)およびリンパ球性間質性肺炎(Lymphocytic Interstitial Pneumonia:LIP)の7つに分類することができる。
【0085】
なお、びまん性陰影の分類は、正常以外の陰影パターンについては、病変に分類された病変単位の一例と、捉えることができる。また、医用画像処理装置100は、解析結果によって陰影パターンに分類するだけでなく、病変単位でそれぞれ個別に関心領域ROIを設定し、テクスチャ解析を実行するようにしてもよい。
【0086】
また、医用画像処理装置100は、肺のCT画像以外でも、関心領域ROIを設定し、その関心領域ROIの示す範囲内に、その関心領域ROIよりも縮小した縮小領域DE−ROIを設定することができる。
【0087】
図8は、左脳の表面を脳機能領域に区分けして、その脳機能領域単位でテクスチャ解析を実行する例を示した説明図である。
【0088】
図8に示すように、脳は機能によって組織構造が異なっており、例えば、組織構造が均一である領域をひとまとまりの単位として、大脳皮質組織を52の領域(単位)に分類できることが知られている。
図8では、一例として、52の脳機能領域のうち、主要な5つの領域が示されている。
【0089】
図8には、例えば、運動性言語野BA(Broca’s area)、一次運動野MC(Primary motor cortex)、一次体性感覚野SC(Primary somatosensory cortex)、感覚性言語野WA(Wernicke’s area)、一次聴覚野AC(Primary auditory cortex)が記載されている。脳は、各機能によって、それぞれ領域特有の組織構造を有しているため、その領域ごとに縮小領域DE−ROIを設定し、テクスチャ解析を実行することができる。
【0090】
これにより、医用画像処理装置100は、脳機能領域単位でテクスチャ解析を実行することができ、脳機能単位で機能障害を分類することができる。
【0091】
また、医用画像処理装置100は、脳機能領域単位以外にも、例えば、結節単位、臓器単位などで関心領域ROIを設定し、その関心領域ROIの示す範囲内に縮小領域DE−ROIを設定して、テクスチャ解析を実行することができる。
【0092】
ここで、結節単位とは、主として癌を対象とし、例えば、癌単位で、癌自体に関心領域ROIを設定することを意味するものである。医用画像処理装置100は、癌の画像についてテクスチャ解析を実行することにより、例えば、癌の進行状況の指標を算出することができる。
【0093】
また、臓器単位とは、1つの臓器そのものを丸ごと関心領域ROIとして設定することを意味するものである。例えば、臓器単位として、唾液腺、前立腺、甲状腺、リンパ腺等の特定の臓器が該当する。
【0094】
(変形例1)
第1の実施形態では、医用画像処理装置100の処理回路10は、ステップS005において、縮小領域DE−ROIを設定する際、マージンMRGを設定し、縮小領域DE−ROIを設定するようになっていたが、本実施形態はこれに限定されるものではない。
【0095】
例えば、処理回路10は、形態的フィルタリングを行って縮小領域DE−ROIを設定するようにしてもよい。例えば、形態フィルタリングとして、モルフォロジー演算の収縮処理やモルフォロジーフィルタなどを適用することができ、処理回路10は、適宜、関心領域ROIの形態情報を加味した縮小領域DE−ROIを付与することができる。また、モルフォロジー演算の収縮処理の一例としては、収縮演算(erosion)が挙げられる。
【0096】
(変形例2)
第1の実施形態では、医用画像処理装置100の処理回路10は、ステップS005において、関心領域ROIの示す範囲内に、その関心領域ROIよりも縮小した縮小領域をマージンMRGにより設定するようになっていたが、本実施形態はこれに限定されるものではない。
【0097】
例えば、処理回路10は、関心領域ROIにおいて重心を算出し、その重心に基づいて、縮小領域を設定するようにしてもよい。
【0098】
図9は、処理回路10が、関心領域ROIの重心に基づいて、縮小領域DE1−ROIを設定することを示した説明図である。
【0099】
図9に示すように、例えば、処理回路10は、対象画像Xの対象範囲Zにおいて、関心領域ROIの重心Gを算出する。そして、処理回路10は、算出した関心領域ROIの重心Gに基づいて、縮小領域DE1−ROIを付与している。
【0100】
なお、処理回路10は、例えば、関心領域ROIの形状から幾何学的に重心Gを算出してもよく、また、画素値の濃度により重み付けを行って、関心領域ROIの重心Gを算出するようにしてもよい。また、縮小領域DE1−ROIは、関心領域ROIの重心Gから固定値または可変値で付与してもよく、特に限定されるものではない。例えば、処理回路10が、固定値または可変値によって縮小領域DE1−ROIを付与する場合、マージンMRGを設定する場合と同様に、患者Pの部位や患者Pの骨格に基づいて、重心Gを基準に設定することができる。
【0101】
(変形例3)
第1の実施形態では、医用画像処理装置100の処理回路10は、ステップS005において、関心領域ROIの示す範囲内に、その関心領域ROIよりも縮小した縮小領域をマージンMRGにより設定するようになっていたが、本実施形態はこれに限定されるものではない。
【0102】
例えば、処理回路10は、関心領域ROIにおいて格子を配置し、その配置された格子の形状に基づいて、縮小領域を設定するようにしてもよい。
【0103】
図10は、処理回路10が、関心領域ROIにおいて格子を配置し、その配置された格子の形状に基づいて、対象範囲Zにおいて縮小領域DE2−ROIを設定することを示した説明図である。
【0104】
図10に示すように、例えば、処理回路10は、対象画像Xの対象範囲Zにおいて格子を配置している。そして、処理回路10は、その配置された格子の形状に基づいて、対象範囲Zにおいて、縮小領域DE2−ROIを付与している。
【0105】
処理回路10は、例えば、正方形、長方形、または六角形などの形状により格子を形成して、その格子の選択することにより縮小領域DE2−ROIを設定する。この場合、固定された格子の数によって縮小領域DE2−ROIを設定してもよく、また、可変数によって決定される格子の形状により、縮小領域DE2−ROIを設定してもよい。
【0106】
すなわち、処理回路10は、対象範囲Zの中心にある10個の格子により縮小領域DE2−ROIを設定してもよく、また所定の大きさや所定の形状になるように縮小領域DE2−ROIを設定してもよい。
【0107】
(変形例4)
変形例4では、第1の実施形態に加え、医師などのユーザが、関心領域ROIに基づいて、表示画面を見ながら縮小領域DE−ROIを設定することができるようになっている。この場合、医用画像処理装置100は、ディスプレイ30に縮小領域DE−ROIを設定する設定用表示画面を表示し、ユーザが入力回路40を操作することにより、処理回路10は、縮小領域DE−ROIの設定を受け付ける。
【0108】
図11は、医用画像処理装置100が、縮小領域DE−ROIを設定する際の設定用表示画面の一例をディスプレイ30に示した説明図である。
【0109】
図11に示すように、ディスプレイ30は、縮小領域DE−ROIを設定する際の設定用表示画面を表示しており、例えば、第1の実施形態で説明したマージンMRGの設定や変形例1から変形例3で説明した縮小領域DE−ROIの設定が、選択可能に表示されている。
【0110】
ユーザは、ディスプレイ30上でマウスやキーボードなどの入力回路40を操作して、例えば、第1の実施形態として説明した縮小領域DE−ROIを、関心領域ROIに設定することができる。ディスプレイ30は、ユーザの操作により縮小領域DE−ROIの設定方法を選択させ、入力回路40を介して処理回路10に、縮小領域DE−ROIを設定する方法を提供することができる。
【0111】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、医用画像処理装置100の処理回路10は、ステップS005において、縮小領域DE−ROIを設定した後、ステップS007において、テクスチャ解析を実行するようになっていたが、これに限定されるものではない。
【0112】
例えば、処理回路10は、患者Pの関心領域ROIと縮小領域DE−ROIとの間に、所定の差分を示すマージンMRGを設定した後、関心領域ROIと縮小領域DE−ROIのマージンMRGが適切か否かを判定するようにしてもよい。この場合、処理回路10は、マージンMRGが適切でない場合は、縮小領域DE−ROIを再設定することができる。
【0113】
図12は、第2の実施形態の医用画像処理装置100が、ステップS005の処理の後、縮小領域DE−ROIの設定が適切か否かを判定する判定処理を追加したフローチャートを示したものである。
【0114】
図12に示すように、第2の実施形態のフローチャートが
図3に示した第1の実施形態のフローチャートと異なる点は、ステップS005の処理の後、ステップS101が追加されている点である。ステップS101以外は、
図3のフローチャートの処理と同様であるため、ステップS101のみ説明する。
【0115】
第2の実施形態では、処理回路10は、縮小領域DE−ROIを設定した後、縮小領域DE−ROIの設定が適切か否かを判定するようになっており(ステップS101)、例えば、関心領域ROIに設定されたマージンMRGが適切か否かを判定し、そのマージンMRGが不適切の場合は(ステップS101のNO)、縮小領域DE−ROIを再設定するようになっている。
【0116】
ここで、処理回路10が行うマージンMRGが適切か否かの判定の方法には、例えば、3つの方法が考えられる。なお、一例としてCT画像におけるCT値を用いて、マージンMRGが適切か否かを判定する方法について以下に説明するが、CT値に限定されるものではない。例えば、他のモダリティにおける撮像画像の画素値を用いて、縮小領域DE−ROIの設定が適切か否かを判定してもよい。
【0117】
まず、第1の方法は、処理回路10は、マージンMRGが適切か否かの判定について、縮小領域DE−ROIのCT値が所定の閾値を満たすか否かを判定し、所定の閾値を満たす場合は、マージンMRGを適切と判定する一方、縮小領域DE−ROIのCT値が所定の閾値を満たさない場合は、マージンMRGを不適切と判定し、縮小領域DE−ROIを再設定する。
【0118】
次に、第2の方法は、処理回路10は、マージンMRGが適切か否かの判定について、関心領域ROIのCT値から縮小領域DE−ROIのCT値へのCT値の変移が、所定の変移閾値を満たすか否かを判定し、所定の変移閾値を満たす場合は、マージンMRGを適切と判定する一方、CT値の変移が所定の変移閾値を満たさない場合は、マージンMRGを不適切と判定し、縮小領域DE−ROIを再設定する。なお、以下、このCT値の変移のことを変位CT値ともいう。
【0119】
最後に、第3の方法は、処理回路10は、マージンMRGが適切か否かの判定について、縮小領域DE−ROIに局所的にテクスチャ解析を実行し、その特徴量を示す解析結果が所定の指標値を満たす場合は、マージンMRGを適切と判定する一方、解析結果が所定の指標値を満たさない場合には、マージンMRGを不適切と判定し、縮小領域DE−ROIを再設定する。
【0120】
図13は、第2の実施形態の医用画像処理装置100の処理回路10が、縮小領域DE−ROIが付与されたマージンMRGの適否を判定する判定基準を図示した説明図である。
【0121】
図13に示すように、
図13(a)では、第1の方法に対する判定基準を示しており、
図13(b)では、第2の方法に対する判定基準を示しており、
図13(c)では、第3の方法に対する判定基準を示している。
【0122】
図13(a)に示した第1の方法の判定基準では、例えば、所定の閾値として、700以下のCT値を適切と設定したとする(
図13(a)のP値)。もし、マージンMRGによって設定された縮小領域DE−ROI内のCT値が700を超える場合には、そのマージンMRGは所定の閾値を満たさないため、処理回路10は、そのマージンMRGを不適切と判定し、縮小領域DE−ROIを再設定する。
【0123】
処理回路10は、関心領域ROIからの距離が、一度設定された縮小領域DE−ROIがさらに縮小する方向に所定のマージンとなるマージンMRGを再度設定して、縮小領域DE−ROIを再設定することにより、その縮小領域DE−ROI内のCT値が700以下になるように、縮小領域DE−ROIの再設定を行う。
【0124】
図13(b)に示した第2の方法の判定基準では、例えば、所定の変移閾値として、200以上の変移CT値を適切と設定したとする(
図13(b)のQ値)。もし、マージンMRGによって設定された縮小領域DE−ROI内のCT値と関心領域ROIのCT値との変位CT値が200未満の場合は、そのマージンMRGは所定の変移閾値を満たさないため、処理回路10は、マージンMRGを不適切と判定し、縮小領域DE−ROIを再設定する。
【0125】
処理回路10は、関心領域ROIからの距離が、一度設定された縮小領域DE−ROIがさらに縮小する方向に所定のマージンとなるマージンMRGを再度設定して、縮小領域DE−ROIを再設定することにより、そのマージンMRGによって設定された縮小領域DE−ROI内のCT値と関心領域ROIのCT値との変位CT値が200以上となるように、縮小領域DE−ROIの再設定を行う。
【0126】
図13(c)に示した第3の方法の判定基準では、例えば、所定のテクスチャ解析結果の指標値として、「0.4」から「0.6」の値を適切と設定したとする(
図13(c)のR−S間の範囲)。次に、マージンMRGによって設定された縮小領域DE−ROI内で局所的にテクスチャ解析を実行する。そして、テクスチャ解析結果がR−S間に収まらない場合には、解析結果に極端な差が生じており、そのマージンMRGは所定の指標値を満たさないため、処理回路10は、そのマージンMRGを不適切と判定し、縮小領域DE−ROIを再設定する。
【0127】
処理回路10は、関心領域ROIからの距離が、一度設定された縮小領域DE−ROIがさらに縮小する方向に所定のマージンとなるマージンMRGを再度設定して、縮小領域DE−ROIを再設定することにより、その縮小領域DE−ROI内で局所的にテクスチャ解析を実行し、テクスチャ解析結果がR−S間に収まるように、縮小領域DE−ROIの再設定を行う。なお、処理回路10は、局所的に複数個所のテクスチャ解析を計算し、その解析結果の変移に基づいて、マージンMRGが適切か否かを判定するようにしてもよい。
【0128】
この場合、局所的なテクスチャ解析結果が、複数個所において極端な差が出ないことを確認し、それぞれのマージンMRGが適切か否かを判定する。
【0129】
また、第2の実施形態で示した縮小領域DE−ROIの再設定は、例えば、縮小領域DE−ROIの範囲が大きいため、より縮小した縮小領域を設定することに限定されるものではなく、例えば、縮小領域DE−ROIの範囲が小さいため、その縮小領域DE−ROIよりも大きい縮小領域を設定する場合も適用することができる。
【0130】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、医用画像処理装置100は、関心領域の付与精度に依らず、性状解析の精度および頑強性を向上させることができる。
【0131】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。