特許第6961346号(P6961346)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6961346
(24)【登録日】2021年10月15日
(45)【発行日】2021年11月5日
(54)【発明の名称】電子素子のための材料
(51)【国際特許分類】
   C07D 403/10 20060101AFI20211025BHJP
   C07D 251/16 20060101ALI20211025BHJP
   C07D 307/91 20060101ALI20211025BHJP
   C07D 405/04 20060101ALI20211025BHJP
   C07D 405/14 20060101ALI20211025BHJP
   C07D 409/10 20060101ALI20211025BHJP
   C07D 409/14 20060101ALI20211025BHJP
   C07D 417/14 20060101ALI20211025BHJP
   C07D 471/04 20060101ALI20211025BHJP
   C07D 471/14 20060101ALI20211025BHJP
   C07D 487/04 20060101ALI20211025BHJP
   C07D 491/048 20060101ALI20211025BHJP
   C07D 491/107 20060101ALI20211025BHJP
   C07D 495/14 20060101ALI20211025BHJP
   C07F 7/08 20060101ALI20211025BHJP
   C07F 7/10 20060101ALI20211025BHJP
   C09K 11/06 20060101ALI20211025BHJP
   H05B 33/10 20060101ALI20211025BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20211025BHJP
【FI】
   C07D403/10
   C07D251/16 CCSP
   C07D307/91
   C07D405/04
   C07D405/14
   C07D409/10
   C07D409/14
   C07D417/14
   C07D471/04 104Z
   C07D471/14 102
   C07D487/04 137
   C07D491/048
   C07D491/107
   C07D495/14 A
   C07F7/08 S
   C07F7/10 T
   C09K11/06 690
   H05B33/10
   H05B33/14 B
   H05B33/22 B
【請求項の数】15
【全頁数】111
(21)【出願番号】特願2016-530367(P2016-530367)
(86)(22)【出願日】2014年7月7日
(65)【公表番号】特表2016-534096(P2016-534096A)
(43)【公表日】2016年11月4日
(86)【国際出願番号】EP2014001862
(87)【国際公開番号】WO2015014435
(87)【国際公開日】20150205
【審査請求日】2017年7月5日
【審判番号】不服2019-10258(P2019-10258/J1)
【審判請求日】2019年8月2日
(31)【優先権主張番号】13003800.3
(32)【優先日】2013年7月30日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】13005827.4
(32)【優先日】2013年12月13日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】597035528
【氏名又は名称】メルク パテント ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】パルハム、アミア・ホサイン
(72)【発明者】
【氏名】マルティノバ、イリナ
(72)【発明者】
【氏名】ヤトシュ、アンヤ
(72)【発明者】
【氏名】エベルレ、トマス
(72)【発明者】
【氏名】クロエベル、ヨナス・バレンティン
(72)【発明者】
【氏名】プフルム、クリストフ
【合議体】
【審判長】 村上 騎見高
【審判官】 冨永 保
【審判官】 関 美祝
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/085339(WO,A2)
【文献】 韓国公開特許第10−2012−0129733(KR,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2013−0007390(KR,A)
【文献】 国際公開第2010/150593(WO,A1)
【文献】 特開2012−49518(JP,A)
【文献】 特開2013−45923(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/004639(WO,A1)
【文献】 特表2013−521238(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/107163(WO,A1)
【文献】 特表2015−536567(JP,A)
【文献】 特表2016−534095(JP,A)
【文献】 特開2020−2141(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D,C07F,H05B,C09K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(3)の化合物:
【化1】
式中、使用される記号と添え字は、以下のとおりである;
Xは、CRであり;
AおよびA'は、同一であるか異なり、6個の環原子を有する芳香族環構造であり;
ETGは、電子不足複素環式芳香族基の群からの有機電子輸送基(ETG)であり、ETGは、トリアジニル基、ピリミジル基、ピラジニル基、イミダゾリル基およびベンズイミダゾリル基から選ばれ、ここで、ETG基は、1以上の独立したR基により置換されてよく;
Zは、単結合であり;ETG基は、A環の炭素原子に直接結合し;
Vは、NArまたはOであり;
Wは、単結合、C=O、C(RまたはOであり、単結合の場合には、AおよびA'環の炭素原子は、単結合により互いに直接結合し;
mは、0もしくは1の何れかであり;
nは、0もしくは1の何れかであり;
ここで、m=nであり;
Arは、1以上のR基により置換されてよい1以上のR基によりそれぞれ置換されてよい6〜30個の環原子を有する芳香族環もしくは芳香族環構造であり;
は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、N(R、CN、NO、Si(R、B(OR、1以上のR基により置換されてよい1〜40個の炭素原子を有する直鎖アルキル基、1以上のR基により置換されてよい3〜40個の炭素原子を有する分岐あるいは環式アルキル基または各場合に、1以上のR基により置換されてよい5〜60個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であり;
は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、N(R、CN、NO、Si(R、B(OR、1以上のR基により置換されてよい1〜40個の炭素原子を有する直鎖アルキル基、1以上のR基により置換されてよい3〜40個の炭素原子を有する分岐あるいは環式アルキル基または各場合に、1以上のR基により置換されてよい5〜60個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であり;
は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、1〜20個の炭素原子を有する脂肪族ヒドロカルビル基、芳香族ヒドロカルビル基または複素環式芳香族環構造であり;
は、出現毎に同一であるか異なり、各場合に1以上のR基により置換されてよい6〜60個の芳香族環原子を有する芳香族環もしくは芳香族環構造、1以上のR基により置換されてよい10〜40個の芳香族環原子を有するアリールアミノ基であり;2個以上の隣接するR基は、一緒に単環式あるいは多環式の脂肪族もしくは芳香族環構造を形成してもよい。
【請求項2】
以下の一般式(4)または(8)の内の一つの化合物であることを特徴とする、請求項1記載の化合物。
【化2】
【請求項3】
一般式(4)であることを特徴とする、請求項1または2記載の化合物。
【化3】
【請求項4】
一般式(18)であることを特徴とする、請求項1〜3何れか1項記載の化合物:
【化4】
式中、X'がC(R)である。
【請求項5】
ETGが式(E−11)〜(E−15)および(E−17)〜(E−18)の基から選ばれることを特徴とする、請求項1〜4何れか1項記載の化合物:
【化5】
式中、Rは、請求項1の定義のとおりである。
【請求項6】
請求項1〜5何れか1項記載の少なくとも一つの化合物と、蛍光エミッター、燐光エミッター、ホスト材料、マトリックス材料、電子輸送材料、電子注入材料、正孔伝導材料、正孔注入材料、電子ブロック材料および正孔ブロック材料より成る群から選ばれる少なくとも一つの追加的な化合物を含む組成物。
【請求項7】
追加的な化合物が、ホスト材料またはマトリックス材料であることを特徴とする、請求項6記載の組成物。
【請求項8】
追加的な化合物が、2.5eV以上のバンドギャップを有することを特徴とする、請求項6または7記載の組成物。
【請求項9】
請求項1〜5何れか1項記載の少なくとも一つの化合物または請求項6〜8何れか1項記載の少なくとも一つの組成物と少なくとも一つの溶媒とを含む調合物。
【請求項10】
請求項1〜5何れか1項記載の少なくとも一つの化合物または請求項6〜8何れか1項記載の少なくとも一つの組成物を含む電子素子。
【請求項11】
有機集積回路(O-IC)、有機電界効果トランジスタ(O-FET)、有機薄膜トランジスタ(O-TFT)、有機エレクトロルミッセンス素子、有機太陽電池(O-SC)、有機光学検査素子、有機光受容体から選ばれることを特徴とする、請求項10記載の電子素子。
【請求項12】
有機エレクトロルミッセンス素子であることを特徴とする、請求項11記載の電子素子。
【請求項13】
少なくとも一つの有機層が、気相堆積により、または溶液から適用されることを特徴とする、請求項10〜12何れか1項記載の電子素子の製造方法。
【請求項14】
光治療のための医療用途での使用のための請求項12記載の電子素子。
【請求項15】
請求項10〜12何れか1項記載の電子素子の表示装置での照明目的のための使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子伝導および正孔伝導基の特定の配列を有する環状化合物、その電子素子での使用とその製造法と電子素子に関する。
【0002】
有機半導体が機能性材料として使用される有機エレクトロルミネセンス素子(たとえば、OLED−有機発光ダイオードまたはOLEC−有機発光電子化学電池)の構造は、たとえば、US 4539507、US 5151629、EP0676461およびWO98/27136に記載されている。ここで使用される発光材料は、蛍光発光と同様に、燐光発光を示す有機金属錯体とますますなっている(M. A. Baldo et al., Appl. Phys. Lett. 1999, 75, 4-6)。量子力学的理由により、4倍までのエネルギー効率とパワー効率が、燐光発光エミッターとして有機金属化合物を使用して可能である。一般的に、一重項発光を示すOLEDの場合と三重項発光を示すOLEDの場合の両方において、特に、効率、駆動電圧および寿命に関して、改善に対する必要性が未だ存在する。これは、特により短い波長範囲で、すなわち、緑色および特に青色で発光するOLEDに、特にあてはまる。
【0003】
有機エレクトロルミッセンス素子の特性は、使用されるエミッターによってのみ決定されるのではない。ここで、ホストおよびマトリックス材料、正孔ブロック材料、電子輸送材料、正孔輸送材料および電子もしくは励起子ブロック材料等の使用されるその他の材料が、また、特に重要である。これら材料に対する改善は、したがって、エレクトロルミッセンス素子に顕著な改善をもたらし得る。
【0004】
先行技術によれば、ケトン(たとえば、2004/093207もしくはWO 2010/006680による)もしくはホスフィンオキシド(たとえば、WO 2005/003253による)が燐光エミッターのために使用されるマトリックス材料に含まれる。先行技術によるさらなるマトリックス材料は、トリアジンである(たとえば、WO 2008/056746、EP 0906947、EP 0908787、EP 0906948)。
【0005】
先行技術によれば、蛍光OLEDのために、特に、縮合芳香族、特に、アントラセン誘導体、特に、たとえば、9,10-ビス(2-ナフチル)アントラセン(US 5935721)が、青色エレクトロルミッセンス素子のためのホスト材料として使用される。WO 03/095445およびCN 1362464は、OLEDでの使用のための9,10-ビス(1-ナフチル)アントラセン誘導体を開示する。さらなるアントラセン誘導体は、WO 01/076323に、WO 01/021729に、WO 2004/013073に、WO 2004/018588に、WO 2003/087023に、もしくはWO 2004/018587に開示されている。アリール置換ピレンおよびクリセン系ホスト材料は、WO 2004/016575に開示されている。ベンズアントラセン誘導体系ホスト材料は、WO 2008/145239に開示されている。入手可能な改善されたホスト材料を有することが、高付加価値用途に望ましい。
【0006】
先行技術は、たとえば、WO 2005/039246、US 2005/0069729、JP 2004/288381、EP 1205527もしくはWO 2008/086851で知られる一以上のカルバゾール基を含む化合物の電子素子での使用を開示している。
【0007】
先行技術は、さらに、たとえば、WO 2010/136109およびWO 2011/000455で知られる一以上のインデノカルバゾール基を含む化合物の電子素子での使用を開示している。
【0008】
先行技術は、さらに、たとえば、WO 2010/015306、WO 2007/063754およびWO 2008/056746で知られる一以上の電子不足複素環式芳香族6員環を含む化合物の電子素子での使用を開示している。
【0009】
WO 2009/069442は、電子不足複素環式芳香族(たとえば、ピリジン、ピリミジンもしくはトリアジン)による高レベルの置換を有するカルバゾール、ジベンゾフランもしくはジベンゾチオフェン等の3環系を開示する。3環系は、正孔伝導基、すなわち、電子リッチ基により置換されていない。
【0010】
JP 2009-21336は、マトリックス材料として、置換カルバゾールを開示し、ここで、カルバゾールは、電子伝導基と正孔伝導基により置換されている。しかしながら、化合物は、対面置換を有していない。
【0011】
WO 2011/057706は、マトリックス材料として、置換カルバゾールを開示し、ここで、カルバゾールは、電子伝導基と正孔伝導基により置換されている。しかしながら、開示されたカルバゾールの大部分は、対面置換を全く有していない。開示された個々の対面置換においては、しかしながら、正孔もしくは電子伝導基は、3環系に直接結合する。
【0012】
しかしながら、これらの材料の場合に、他の材料と同様に、特に、素子の効率と寿命に関して、改善の必要性が未だ存在する。
【0013】
したがって、本発明の目的は、蛍光もしくは燐光OLEDにおいて、たとえば、ホストおよび/またはマトリックス材料として、または正孔輸送/電子ブロック材料もしくは励起子ブロック材料として、または電子輸送もしくは正孔ブロック材料としての使用に適し、OLEDで使用されると、良好な素子特性をもたらす化合物を提供することおよび対応する電子素子を提供することである。
【0014】
驚くべきことに、以下に詳細に説明される特定の化合物が、これらの目的を達成し、特に、寿命、効率と駆動電圧に関する有機エレクトロルミネッセンス素子の良好な特性をもたらすことが見出された。したがって、このような化合物と対応する好ましい化合物とを含む電子素子、特に、有機エレクトロルミッセンス素子が、本発明により提供される。驚くべき効果が、以下に挙げられた式の化合物において、電子伝導基と正孔伝導基の特定の配列(「対面」すなわち、基の相互に反対の配列)により達成される。理論に束縛されるものではないが、そこに分子のある種の短距離秩序が存在する、比較的良好に画定された(高度に秩序ある)分子の平行整列(対面配列)の故に、迅速な電荷輸送が可能となる。基間の短距離の故の分子間相互作用、たとえば、直接的π-π相互作用が、迅速な電荷移送の原因の一つであり得る。
【0015】
本発明の化合物は、また、高いガラス転移温度(T)を有し、電子素子製造時の化合物の処理の点で有利である。化合物の高いガラス転移温度は、また、薄い無定形の有機層での化合物の使用を許容する。
【0016】
さらに、本発明の化合物は、励起状態での電価キャリアーの安定化を可能とし、燐光素子の重要な前提である、十分に高い三重項エネルギーを有する。さらに、本発明の化合物は、先行技術からの化合物と比べて、OLEDでの改善された特性を有する。
【0017】
したがって、本発明は、一般式(1)の化合物を提供し、
【0018】
【化1】
【0019】
式中、使用される記号と添え字は、以下のとおりである;
AおよびA'は、同一であるか異なり、互いに独立であってよい1以上のR基により置換されてよい5もしくは6個の環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であり;
ETGは、電子不足複素環式芳香族基の群から選ばれる有機電子輸送基(ETG)であり、ETGは、好ましくは、5〜60個の芳香族環原子を有するヘテロアリール基であり、Nが、非常に好ましいヘテロ原子であり、もっとも好ましいETGは、トリアジン、ピリミジン、ピラジン、イミダゾール、ベンズイミダゾールおよびピリジンの基から選ばれ、ETG基は、1以上の独立したR基により置換されてよく;
Zは、単結合または2価基であり;Zが単結合の場合には、ETG基は、A環の炭素原子に直接結合し;
Vは、単結合、C=O、C(R、NAr、O、S、Si(R、BR、PR、P(=O)R、SOもしくはSOであり、ここで、単結合の場合には、AおよびA'環の炭素原子は、単結合により互いに直接結合し、好ましくは、単結合、C(R、NAr、OおよびSであり、特に好ましくは、単結合、C(R、OおよびSであり、非常に特に好ましくは、OおよびSであり、特別に好ましくは、Oであり;
Wは、単結合、C=O、C(R、NR、O、S、Si(R、BR、PR、P(=O)R、SOもしくはSOであり、ここで、単結合の場合には、AおよびA'環の炭素原子は、単結合により互いに直接結合し、好ましくは、単結合、C(R、NR、OおよびSであり、特に好ましくは、単結合、C(R、OおよびSであり、非常に特に好ましくは、OおよびSであり、特別に好ましくは、Oであり;
Wが単結合でない場合には、Vは単結合であり、Vが単結合でない場合には、Wは単結合であることが、さらに好ましく;
WがOまたはSである場合には、Vは単結合であり、VがOまたはSである場合には、Wは単結合であることが、さらに非常に特に好ましく;
WがOである場合には、Vは単結合であり、VがOである場合には、Wは単結合であることが、さらに非常に特に好ましく;
mは、0もしくは1の何れかであり;
nは、0もしくは1の何れかであり;
ここで、m=nであり;
Arは、1以上のR基により置換されてよい1以上のR基によりそれぞれ置換されてよい6〜30個の環原子を有する芳香族環もしくは環構造であり、ここで、2以上のR基は一緒に環を形成してよく;
は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、Cl、Br、I、N(R、CN、NO、Si(R、B(OR、C(=O)R、P(=O)(R、S(=O)R、S(=O)、OSO、1〜40個の炭素原子を有する直鎖アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基、2〜40個の炭素原子を有する直鎖アルケニルもしくはアルキニル基、3〜40個の炭素原子を有する分岐あるいは環式アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルアルコキシもしくはチオアルコキシ基(夫々、1以上のR基により置換されてよく、1以上の隣接しないCH基は、RC=CR、C≡C、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO、NR、O、SもしくはCONRで置き代えられてよく、ここで、1以上の水素原子は、D、F、Cl、Br、I、CNもしくはNOで置き代えられてよい。)、各場合に、1以上のR基により置換されてよい5〜60個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造、1以上のR基により置換されてよい5〜60個の芳香族環原子を有するアリールオキシ、アリールアルコキシもしくはヘテロアリールオキシ基、1以上のR基により置換されてよい10〜40個の芳香族環原子を有するジアリールアミノ基、ジヘテロアリールアミノ基もしくはアリールヘテロアリールアミノ基または2個以上のこれらの基の組み合わせ、または架橋可能Q基であり;
は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、Cl、Br、I、N(R、CN、NO、Si(R、B(OR、C(=O)R、P(=O)(R、S(=O)R、S(=O)、OSO、1〜40個の炭素原子を有する直鎖アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基、2〜40個の炭素原子を有する直鎖アルケニルもしくはアルキニル基、3〜40個の炭素原子を有する分岐あるいは環式アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルアルコキシもしくはチオアルコキシ基(夫々、1以上のR基により置換されてよく、1以上の隣接しないCH基は、RC=CR、C≡C、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO、NR、O、SもしくはCONRで置き代えられてよく、ここで、1以上の水素原子は、D、F、Cl、Br、I、CNもしくはNOで置き代えられてよい。)、各場合に、1以上のR基により置換されてよい5〜60個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造、1以上のR基により置換されてよい5〜60個の芳香族環原子を有するアリールオキシ、アリールアルコキシもしくはヘテロアリールオキシ基、1以上のR基により置換されてよい10〜40個の芳香族環原子を有するジアリールアミノ基、ジヘテロアリールアミノ基もしくはアリールヘテロアリールアミノ基または2個以上のこれらの基の組み合わせであり;同時に、2個以上の隣接するR基は、一緒に、単環式あるいは多環式の脂肪族もしくは芳香族環構造を形成してよく;
は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、1〜20個の炭素原子を有する脂肪族、芳香族および/または複素環式芳香族ヒドロカルビル基であって、ここで、1以上の水素原子は、Fで置き代えられてよく、同時に、2個以上のR置換基は、一緒に単環式あるいは多環式の脂肪族もしくは芳香族環構造を形成してもよく;
pは、1〜7、好ましくは、1〜4、非常に好ましくは、1〜3、特に好ましくは、1〜2、非常に特に好ましくは、丁度2の、特別に好ましくは、丁度1の整数であり;
は、出現毎に同一であるか異なり、1以上のR基により置換されてよい6〜60個の芳香族環原子を有する芳香族環もしくは環構造、1以上のR基により置換されてよい10〜40個の芳香族環原子を有するアリールアミノ基または2個以上のこれらの組み合わせであり;この場合に、2個以上の隣接するR基は、一緒に単環式あるいは多環式の脂肪族もしくは芳香族環構造を形成してもよい。
【0020】
したがって、たとえば、一般式(1)の化合物に対して、m=n=1で、V=W=単結合の場合には、一般式は、以下のとおりである。
【0021】
【化2】
【0022】
さらに、たとえば、一般式(1)の化合物に対して、m=n=1で、V=Oで、W=単結合の場合には、一般式は、以下のとおりである。
【0023】
【化3】
【0024】
さらに、たとえば、一般式(1)の化合物に対して、m=n=0の場合には、一般式は、以下のとおりである。
【0025】
【化4】
【0026】
好ましい1態様では、化合物は、一般式(2)の化合物から選ばれ、
【0027】
【化5】
【0028】
式中、追加的に使用される記号は、以下のとおりである:
Xは、出現毎に同一であるか異なり、NまたはCRであり;
Qは、出現毎に同一であるか異なり、X=X、S、OまたはNR、好ましくは、X=X、SおよびO、非常に好ましくは、X=XおよびS、最も好ましくは、X=Xである。
【0029】
非常に好ましい化合物は、したがって、一般式(3)〜(11)であり、
【0030】
【化6-1】
【0031】
【化6-2】
【0032】
【化6-3】
【0033】
一般式(3)〜(8)の化合物が、非常に特に好ましく、一般式(4)の化合物が、特別に好ましい。
【0034】
式(1)〜(9)中のXがCRであるときが、さらに特に非常に好ましい。
【0035】
好ましい1態様では、本発明は、式(4)の化合物、好ましくは、XがCRであり、mが1である式(4)の化合物、非常に好ましくは、XがCRであり、mが1であり、VがOである式(4)の化合物に関し、ここで、上記定義と好ましい態様は、その他の記号と添え字に適用される。
【0036】
さらに好ましい1態様では、本発明は、Xが、CRであり、m=1で、VがN-Arである式(4)の化合物であり、ここで、上記定義と好ましい態様は、その他の記号と添え字に適用される。
【0037】
さらに好ましい1態様では、本発明は、一般式(12)の化合物に関し、
【0038】
【化7】
【0039】
式中、Vは、OもしくはSであり、ここで、挙げられた定義と好ましい態様が、使用される記号と添え字に適用される。一般式(12)の化合物中のVがOであると、非常に好ましい。
【0040】
さらに好ましい1態様では、本発明は、一般式(13)の化合物に関し、
【0041】
【化8】
【0042】
式中、Vは、OまたはSであり、ここで、挙げられた定義と好ましい態様が、使用される記号と添え字に適用され、ここで、芳香族環AおよびA'は、各々1個を超えないR置換基を有し、すなわち、sは、0または1であり、tは、0または1であり、ここで、s+tは、0、1または2であってよい。式(13)の化合物中のVがOであると、非常に好ましい。s+t=0であることが、さらにより好ましい。
【0043】
本発明の好ましい1態様では、3級アミンの2つのR基は、互いに環を形成しない。
【0044】
基が環を形成しないならば、Rは、好ましくは、出現毎に同一であるか異なり、各場合に1以上のR基により置換されてよい6〜60個の芳香族環原子を有する芳香族環構造、1以上のR基により置換されてよい10〜40個の芳香族環原子を有するアリールアミノ基または2個以上のこれらの基の組み合わせである。
【0045】
基が環を形成しないならば、Rは、非常に好ましくは、出現毎に同一であるか異なり、各場合に1以上のR基により置換されてよい6〜60個の芳香族環原子を有する芳香族環構造である。
【0046】
基が環を形成しないならば、Rは、最も好ましくは、フェニル、ビフェニル、テルフェニル、クアテルフェニル、カルバゾール、ジベンゾフラニル、特に好ましくは、フェニル、ビフェニル、テルフェニル、クアテルフェニルであり、ここで、各基は、1以上のR基により置換されてよいが、最も好ましくは、非置換である。
【0047】
本発明のさらに好ましい1態様では、一般式(1)の化合物中の3級アミンは、芳香族もしくは非芳香族であってよいヘテロ環構造の部分であり、これは、2つのR基は、一以上の環を形成し、ここで、窒素原子が環原子の構成成分であることを意味する。
【0048】
本発明は、また、一般式(14)の化合物に関し、使用される記号は、ここで特定されるとおりに定義され、記号に対して本発明において他で特定される好ましい態様は、式(14)の化合物に対して、好ましい態様を構成する。X'は、NおよびC(Rであり、ここで、4つを超えないX'は、Nであり、好ましくは、2つを超えないX'は、Nであり、非常に好ましくは、1つを超えないX'は、Nであり、最も好ましくは、全てのX'は、C(Rである。
【0049】
【化9】
【0050】
さらに好ましい化合物は、一般式(15)であり、
【0051】
【化10】
【0052】
式中、xとyは、0〜4の整数である。x+y=0、1、2、3もしくは4の場合が、好ましく、x+y=0、1、2もしくは3の場合が、非常に好ましく、x+y=0、1もしくは2の場合が、特に好ましく、x+y=0の場合が、特に好ましい。
【0053】
別の非常に好ましい1態様は、一般式(16)の化合物であり、ここで、Bは、1以上の同一か異なるR基により置換されてよい5〜60個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造である。ここで、Bは、隣接するカルバゾールと、およびまた隣接するインドールと縮合環構造を形成し、ここで、環は任意の可能な向きを仮定してよい。
【0054】
【化11】
【0055】
ここで、Bは、2つの同一か異なるR基により置換されたフェニル環であることが特に好ましい。したがって、カルバゾール、インドールおよびフェニル環は、インドロカルバゾールを形成する。
【0056】
追加的に非常に好ましい化合物は、一般式(17)であり、ここで、Bは、1以上の同一か異なるR基により置換されてよい5〜60個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造である。ここで、Bは、隣接するカルバゾールと、およびまた隣接するインダンと縮合環構造を形成し、ここで、環は任意の可能な向きを仮定してよい。
【0057】
【化12】
【0058】
ここで、Bは、2つの同一か異なるR基により置換されたフェニル環であることが、特に好ましい。したがって、カルバゾール、インダンおよびフェニル環は、インデノカルバゾールを形成する。
【0059】
特別に好ましい化合物は、一般式(18)である。
【0060】
【化13】
【0061】
Zは、好ましくは、単結合または5〜60個の環原子を有する2価の芳香族もしくは複素環式芳香族環あるいは環構造、好ましくは、6〜60個の環原子を有する芳香族環もしくは環構造であり、環もしくは環構造が、AおよびA'を含む環構造とも、ETGともブリッジしない場合が好ましく、Zがピリジレン、ピリミジレン、フェニレン、ビフェニレンもしくはフルオレン、スピロ、テルフェニレン、チオフェンもしくはフラン基のときが好ましく、好ましくは、特に、フェニレン、ビフェニレンもしくはテルフェニレン基であり、非常に特には、フェニレン基である。
【0062】
二個以上の基が、一緒に環を形成してもよいという表現は、本出願の文脈では、特に、二個の基が化学結合により互いに結合することを意味すると理解されるべきである。これは、以下のスキームにより図解される。
【0063】
【化14】
【0064】
しかしながら、さらに、上記言及した表現は、二個の基の一つが水素である場合には、第二の基は、水素原子が結合した位置で結合して環を形成することを意味すると理解されるべきである。これは、以下のスキームにより図解される。
【0065】
【化15】
【0066】
縮合アリール基は、互いに縮合した2個以上の芳香族環を含むアリール基を意味すると理解され、それらは、一以上の芳香族端部を共有することを意味する。対応する定義が、ヘテロアリール基にあてはまる。縮合アリール基の例は、その環原子の数にかかわらず、ナフチル、アントラセニル、ピレニル、フェナントレニルおよびペリレニルである。縮合ヘテロアリール基の例は、キノリニル、インドリル、カルバゾリルおよびアクリジニルである。
【0067】
本出願の文脈での化学基の一般的定義は以下のとおりである。
【0068】
アリール基は、本発明の文脈では、6〜60個の芳香族環原子を含有し、ヘテロアリール基は、本発明の文脈では、5〜60個の芳香族環原子を含み、その中の少なくとも1つはヘテロ原子である。ヘテロ原子は、好ましくはN、OおよびSから選択される。これが基本的な定義である。他の説明が、たとえば、芳香族環原子もしくはヘテロ原子の数に関して本発明の説明で述べられる場合には、これが、適用可能である。
【0069】
アリール基またはヘテロアリール基は、簡単な芳香族環、すなわち、ベンゼン、または簡単な複素環式芳香族環、たとえば、ピリジン、ピリミジン、チオフェン等、または縮合(縮合環化)芳香族もしくは複素環式芳香族多環、たとえば、ナフタレン、フェナントレン、キノリンもしくはカルバゾール等のいずれかの意味であると理解される。縮合(縮合環化)芳香族もしくは複素環式芳香族多環は、本発明の文脈では、互いに縮合した2個以上の簡単な芳香族もしくは複素環式芳香族環から成る。
【0070】
本発明の文脈で、電子不足ヘテロアリール基は、少なくとも2つのヘテロ原子を含む5員ヘテロアリール基、たとえば、イミダゾール、オキサゾール、オキサジアゾール等、少なくとも1つのヘテロ原子を含む6員ヘテロアリール基、たとえば、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン等と定義される。さらなる6員アリールもしくは6員ヘテロアリール基がこれらの基に縮合することの可能であり、たとえば、ベンズイミダゾール、キノリンもしくはフェナンスロリンがその場合である。
【0071】
アリールもしくはヘテロアリール基は、各々上記言及した基により置換されていてもよく、任意の所望の位置を介して、芳香族または複素環式芳香族系に連結していてもよいが、特に、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ピレン、ジヒドロピレン、クリセン、ペリレン、フルオランテン、ベンズアントラセン、ベンズフェナントレン、テトラセン、ペンタセン、ベンゾピレン、フラン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ジベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、イソベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、ピロール、インドール、イソインドール、カルバゾール、ピリジン、キノリン、イソキノリン、アクリジン、フェナントリジン、ベンゾ-5,6-キノリン、ベンゾ-6,7-キノリン、ベンゾ-7,8-キノリン、フェノチアジン、フェノキサジン、ピラゾール、インダゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、ナフトイミダゾール、フェナンスロイミダゾール、ピリドイミダゾール、ピラジンイミダゾール、キノキサリンイミダゾール、オキサゾール、ベンズオキサゾール、ナフトオキサゾール、アントロオキサゾール、フェナンスロオキサゾール、イソオキサゾール、1,2-チアゾール、1,3-チアゾール、ベンゾチアゾール、ピリダジン、ベンゾピリダジン、ピリミジン、ベンゾピリミジン、キノキサリン、ピラジン、フェナジン、ナフチリジン、アザカルバゾール、ベンゾカルボリン、フェナンスロリン、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、ベンゾトリアゾール、1,2,3-オキサジアゾール、1,2,4-オキサジアゾール、1,2,5-オキサジアゾール、1,3,4-オキサジアゾール、1,2,3-チアジアゾール、1,2,4-チアジアゾール、1,2,5-チアジアゾール、1,3,4-チアジアゾール、1,3,5-トリアジン、1,2,4-トリアジン、1,2,3-トリアジン、テトラゾール、1,2,4,5-テトラジン、1,2,3,4-テトラジン、1,2,3,5-テトラジン、プリン、プテリジン、インドリジンおよびベンゾチアジアゾールから誘導される基を意味すると理解される。
【0072】
本発明で定義されるアリールオキシ基は、酸素原子を介して結合する上記定義のとおりのアリール基を意味すると理解される。同様の定義が、ヘテロアリールオキシ基にあてはまる。
【0073】
芳香族環構造は、本発明の文脈では、環構造中に6〜60個の炭素原子を含有する。複素環式芳香族環構造は、本発明の文脈では、5〜60個の芳香族環原子を含み、その中の少なくとも1つはヘテロ原子である。ヘテロ原子は、好ましくはN、Oおよび/またはSから選択される。芳香族または複素環式芳香族環構造は、本発明の文脈では、必ずしもアリールまたはヘテロアリール基だけを含有するとは限らない構造であって2以上のアリールまたはヘテロアリール基が、非芳香族単位(好ましくは、H以外の原子は10%未満)、たとえば、sp混成の炭素、シリコン、窒素もしくは酸素原子、sp混成の炭素もしくは窒素原子、sp混成の炭素原子などによって連結されていてもよい構造を意味すると理解される。したがって、たとえば9,9’−スピロビフルオレン、9,9−ジアリールフルオレン、トリアリールアミン、ジアリールエーテル、スチルベン等の構造は、2つ以上のアリール基が、たとえば、直鎖あるいは環状アルキル、アルケニルもしくはアルキニル基により、もしくはシリル基により連結される構造であるから、同様に、本発明の文脈での芳香族環構造とみなされる。さらに、たとえば、ビフェニル、テルフェニルもしくはジフェニルトリアジン等の二個以上のアリールもしくはヘテロアリール基が、単結合を介して互いに結合する構造も、本発明の文脈での芳香族もしくは複素環式芳香族環構造とみなされる。
【0074】
5〜60個の芳香族環原子を有する芳香族または複素環式芳香族環構造は、各場合に、上記した基により置換されていてもよく、任意の所望の位置で、芳香族または複素環式芳香族構造に連結していてもよいが、特に、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ベンズアントラセン、フェナントレン、ベンズフェナントレン、ピレン、クリセン、ペリレン、フルオランテン、ナフタセン、ペンタセン、ベンゾピレン、ビフェニル、ビフェニレン、テルフェニル、テルフェニレン、クアテルフェニル、フルオレン、スピロビフルオレン、ジヒドロフェナントレン、ジヒドロピレン、テトラヒドロピレン、cis-またはtrans-インデノフルオレン、、トルキセン、イソトルキセン、スピロトルキセン、スピロイソトルキセン、フラン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ジベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、イソベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、ピロール、インドール、イソインドール、カルバゾール、インドロカルバゾール、インデノカルバゾール、ピリジン、キノリン、イソキノリン、アクリジン、フェナントリジン、ベンゾ-5,6-キノリン、ベンゾ-6,7-キノリン、ベンゾ-7,8-キノリン、フェノチアジン、フェノキサジン、ピラゾール、インダゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、ナフトイミダゾール、フェナントロイミダゾール、ピリドイミダゾール、ピラジンイミダゾール、キノキサリンイミダゾール、オキサゾール、ベンゾオキサゾール、ナフトオキサゾール、アントロオキサゾール、フェナンスロオキサゾール、イソオキサゾール、1,2-チアゾール、1,3-チアゾール、ベンゾチアゾール、ピリダジン、ベンゾピリダジン、ピリミジン、ベンゾピリミジン、キノキサリン、1,5-ジアザアントラセン、2,7-ジアザピレン、2,3-ジアザピレン、1,6-ジアザピレン、1,8-ジアザピレン、4,5-ジアザピレン、4,5,9,10-テトラアザペリレン、ピラジン、フェナジン、フェノキサジン、フェノチアジン、フルオルビン、ナフチリジン、アザカルバゾール、ベンゾカルボリン、フェナントロリン、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、ベンゾトリアゾール、1,2,3-オキサジアゾール、1,2,4-オキサジアゾール、1,2,5-オキサジアゾール、1,3,4-オキサジアゾール、1,2,3-チアジアゾール、1,2,4-チアジアゾール、1,2,5-チアジアゾール、1,3,4-チアジアゾール、1,3,5-トリアジン、1,2,4-トリアジン、1,2,3-トリアジン、テトラゾール、1,2,4,5-テトラジン、1,2,3,4-テトラジン、1,2,3,5-テトラジン、プリン、プテリジン、インドリジンおよびベンゾチアジアゾールまたはこれら構造の組み合わせから得られる基を意味すると理解される。
【0075】
本発明の文脈では、1〜40個の炭素原子を有する直鎖アルキル基または3〜40個の炭素原子を有する分岐あるいは環状アルキル基または2〜40個の炭素原子を有するアルケニルもしくはアルキニル基は、ここで、加えて、個々の水素原子もしくはCH基は、基の定義の元で上記言及した基により置換されていてよく、好ましくは、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、s-ブチル、t-ブチル、2-メチルブチル、n-ペンチル、s-ペンチル、シクロペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、シクロヘキシル、ネオヘキシル、n-ヘプチル、シクロヘプチル、n-オクチル、シクロオクチル、2-エチルヘキシル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、シクロペンテニル、ヘキセニル、シクロヘキセニル、ヘプテニル、シクロヘプテニル、オクテニル、シクロオクテニル、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニルまたはオクチニル基を意味すると理解される。1〜40個のC原子を有するアルコキシもしくはチオアルキル基は、好ましくは、メトキシ、トリフルオロメトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、i-プロポキシ、n-ブトキシ、i-ブトキシ、s-ブトキシ、t-ブトキシ、n-ペントキシ、s-ペントキシ、2-メチルブトキシ、n-ヘキソキシ、シクロヘキシルオキシ、n-ヘプトキシ、シクロヘプチルオキシ、n-オクチルオキシ、シクロオクチルオキシ、2-エチルヘキシルオキシ、ペンタフルオロエトキシ、2,2,2-トリフルオロエトキシ、メチルチオ、エチルチオ、n-プロピルチオ、i-プロピルチオ、n-ブチルチオ、i-ブチルチオ、s-ブチルチオ、t-ブチルチオ、n-ペンチルチオ、s-ペンチルチオ、n-ヘキシルチオ、シクロヘキシルチオ、n-ヘプチチオル、シクロヘプチルチオ、n-オクチルチオ、シクロオクチルチオ、2-エチルヘキシルチオ、トリフルオロメチルチオ、ペンタフルオロエチルチオ、2,2,2-トリフルオロエチルチオ、エテニルチオ、プロペニルチオ、ブテニルチオル、ペンテニルチオ、シクロペンテニルチオ、ヘキセニルチオ、シクロヘキセニルチオ、ヘプテニルチオ、シクロヘプテニルチオ、オクテニルチオ、シクロオクテニルチオ、エチニルチオ、プロピニルチオ、ブチニルチオ、ペンチニルチオ、ヘキシニルチオ、ヘプチニルチオまたはオクチニルチオを意味すると理解される。
【0076】
ETG基は、好ましくは、1以上のR基により置換されてよい電子不足複素環式芳香族基である。さらにより好ましくは、少なくとも1つ、好ましくは、2つ、非常に好ましくは、少なくとも3つが窒素原子である6個の芳香族環原子を有する複素環式芳香族基または、少なくとも2つがヘテロ原子であり、好ましくは、それらの少なくとも1つがRにより置換されてよい窒素原子である5個の芳香族環原子を有する芳香族環原子を有する複素環式芳香族基であり、ここで、さらなるアリールもしくはヘテロアリール基が、これらの基の各々に縮合してもよい。
【0077】
好ましい電子不足複素環式芳香族基は、以下の基から選ばれ、
【0078】
【化16】
【0079】
式中、破線の結合は付属位置の印であり、Rは上記定義されるとおりであり、および
Q'は、出現毎に同一であるか異なり、CRまたはNであり;および
Q"は、NR、OまたはSであり;
ここで、少なくとも一つのQ'は、Nでありおよび/または少なくとも一つのQ"は、NRである。
【0080】
電子不足複素環式芳香族基の好ましい例は、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、1,2,4-トリアジン、1,3,5-トリアジン、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、ピラゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、オキサゾールもしくはベンズオキサゾールであり、それぞれ、Rで置換されてよい。さらにより好ましくは、電子輸送基は、一以上のRの基で置換されたピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジンおよび1,3,5-トリアジンである。
【0081】
非常に好ましい電子不足複素環式芳香族基は、以下の基から選ばれる。
【0082】
【化17】
【0083】
ETG中のR置換基は、好ましくは、Hおよび各場合に一以上のR基で置換されてよい5〜60個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造から選ばれ、さらにより好ましい基は、式(E−11)、(E−17)および(E−18)であり、最も好ましい基は、式(E−11)である。
【0084】
非常に特に好ましいETGの例は、一以上の独立したR基で置換されてよい以下の基であり、ここで、破線の結合は、ArとAr基への結合位置を示す。
【0085】
【化18-1】
【0086】
【化18-2】
【0087】
電子輸送基は、好ましくは、−1.3eV未満の、非常に好ましくは、−2.5eV未満の、最も好ましくは、−2.7eV未満の、LUMO(最低非占分子軌道)を有する。
【0088】
材料の分子軌道、特に、最高分子占有軌道(HOMO)と最低非占分子軌道(LUMO)およびそのエネルギー準位並びに最低三重項状態Tのエネルギーと最低励起一重項状態Sのエネルギーは、量子化学計算によって決定される。金属を含まない有機物質の計算のために、最初に、幾何学的な最適化が、「基底状態/準実験的/デフォルトスピン/AM1/電荷0/一重項スピン」法により実行される。続いて幾何学的な最適化を基準にしてエネルギー計算を実施する。これは、「6−31G(d)」ベースセット(電荷0、一重項スピン)を用いる「TD−SCF/DFT/デフォルトスピン/B3PW91」法を使用してなされる。金属含有化合物に対しては、ジオメトリーは、「基底状態/ハートリー-フォック/デフォルトスピン/LanL2MB/電荷0/一重項スピン」法を介して最適化される。エネルギー計算は、「LanL2DZ」ベースセットが金属原子のために使用され、「6−31G(d)」ベースセットがリガンドのために使用されるという相違の他は、上記記載のとおりの有機物質と同じように実行される。HOMOエネルギー準位HEhまたはLUMOエネルギー準位LEhは、ハートリー単位でのエネルギー計算から得られる。これは、サイクリックボルタンメトリ測定を参照して較正されたHOMOおよびLUMOの電子ボルトでのエネルギー準位を決定するために使用され、以下のとおりである:
HOMO(eV)=((HEh*27.212)−0.9899)/1.1206
LUMO(eV)=((LEh*27.212)−2.0041)/1.385
これらの値は、本願の文脈で、材料のHOMOおよびLUMOエネルギー準位としてみなすべきである。
【0089】
最低三重項状態Tを、上記量子化学計算から明らかな、最低エネルギーを有する三重項状態のエネルギーとして定義する。
【0090】
最低励起一重項状態Sを、上記量子化学計算から明らかな、最低エネルギーを有する励起一重項状態のエネルギーとして定義する。
【0091】
ここに記載された方法は、使用されるソフトウエアパッケージとは独立しており、常に同じ結果が得られる。この目的のためによく利用されるプログラムの例は、「Gaussian09W (Gaussian Inc.)とQ-Chem 4.1 (Q-Chem, Inc.)」である。
【0092】
さらに好ましくは、電子輸送基は、その電子移動度μが、10−6cm/(Vs)以上、非常に好ましくは、10−5cm/(Vs)以上、より最も好ましくは、10−4cm/(Vs)以上であることを特徴とする。
【0093】
式(1)の化合物において、LUMOは、好ましくは、電子輸送基に局在化される。LUMOは、電子輸送基上で80%以上局在化されると非常に好ましく、さらにより好ましくは、LUMOはカルバゾール基上で全く局在化されない。本発明の化合物のHOMOとLUMOの絶対等級が、全く重複しないことが、特に好ましい。当業者は、軌道の絶対等級の重複を測定することに全く困難性を有さない。この目的のために、ここで特定された計算法が使用され、90%の確率密度を有する軌道が仮定される。
【0094】
Arは、非常に好ましくは、一以上のR基で置換されてよい一以上のR基で各々置換されてよい5〜30個の環原子を有する芳香族環もしくは環構造であり、さらにより好ましくは、Arは、置換されていない。
【0095】
非常に特に好ましい芳香族基は、フェニル、ビフェニル、テルフェニルおよびクアテルフェニルである。
【0096】
好ましい1態様では、本発明は、上記一般式の化合物に関し、以下の化合物は、除外される。
【0097】
【化19】
【0098】
本発明の化合物は、スキーム1〜5により調製されてよい。対応する一官能化オルト化合物をアリールアミンもしくはカルバゾールとのブッフバルトカップリングにより調製することができる。一リチウム化とBBrとの反応と引き続くスズキカップリングにより、対応する目標化合物を入手可能に製造することができる(スキーム1)。
【0099】
【化20】
【0100】
スキーム2
ジベンゾフランに適用され、スキーム1は、以下のとおり適用される。対応する一官能化オルトジベンゾフランをアリールアミン(変形1)もしくはカルバゾール(変形2)とのブッフバルトカップリングにより調製することができる。一リチウム化とBBrとの反応と引き続くスズキカップリングにより、対応する目標化合物を入手可能に製造することができる。
【0101】
【化21】
【0102】
【化22】
【0103】
式中、不定位置のRとR基は、上記定義のとおりであり、各環上に繰り返して出現してもよい。
【0104】
スキーム3
本発明の化合物を製造するさらなる手段は、二ハロゲン化物を1当量のアミン(ブッフバルト)と反応させ、引き続きボロン酸(スズキ)と反応させるものである。
【0105】
【化23】
【0106】
式中、Yは、ハロゲン化物、特に、IもしくはBrである。
【0107】
スキーム4
9H-キサンテンに対するスキーム3の適用の図解が、以下に示される。
【0108】
【化24】
【0109】
反応スキームは、アミンとカルバゾール両者に適用することができる。当業者は、ジベンゾフランもしくは9H-キサンテンだけでなく、さらなる構造に特定の反応を適用することに何の困難性も有さない。
【0110】
多くのハロゲン化物、2ハロゲン化物およびボロン酸が市販されている。さらに、それらは化学者に極めてなじみのある方法により極めて容易に製造することができる。
【0111】
スキーム5は、ジベンゾフランを使用する例により、これを示す。
【0112】
スキーム5
【0113】
【化25】
【0114】
ここで、ヨウ素以外のハロゲン化物、特に、臭素化物が、また、こうして製造されてよい。
【0115】
以下の概観は、ここで説明されたプロセスの一つにより調製することができる化合物の例を含む。
【0116】
【化26-1】
【0117】
【化26-2】
【0118】
【化26-3】
【0119】
【化26-4】
【0120】
【化26-5】
【0121】
【化26-6】
【0122】
【化26-7】
【0123】
【化26-8】
【0124】
【化26-9】
【0125】
【化26-10】
【0126】
【化26-11】
【0127】
【化26-12】
【0128】
【化26-13】
【0129】
【化26-14】
【0130】
【化26-15】
【0131】
【化26-16】
【0132】
【化26-17】
【0133】
【化26-18】
【0134】
本発明は、さらに、式(1)の化合物の電子素子での、好ましくは、電子輸送層および/または発光層での使用を提供する。
【0135】
本発明の電子素子は、好ましくは、有機集積回路(O-IC)、有機電界効果トランジスタ(O-FET)、有機薄膜トランジスタ(O-TFT)、有機発光トランジスタ(OLET)、有機太陽電池(O-SC)、有機光学検査素子、有機光受容器、有機電場消光素子(OFQD)、有機発光電子化学電池(OLEC、LEC、LEEC)、有機レーザーダイオード(O-laser)および有機発光ダイオード(OLED)より成る群から選ばれる。特に好ましくは、有機エレクトロルミッセンス素子、非常に特に好ましくは、OLECおよびOLED、特に好ましくは、OLEDである。
【0136】
式(1)の化合物を含む有機層は、好ましくは、電子輸送機能を有する層を含む。好ましくは、電子注入層、電子輸送層、正孔ブロック層または発光層である。
【0137】
さらに非常に特に好ましい1態様では、式(1)の化合物は、発光層中で、特に、マトリックス材料として使用される。
【0138】
本出願による正孔輸送層は、アノードと発光層との間の正孔輸送機能を有する層である。
【0139】
本出願による電子輸送層は、カソードと発光層との間の電子輸送機能を有する層である。
【0140】
正孔注入層と正孔ブロック層は、本出願の文脈では、正孔輸送層の特別な態様であると理解される。正孔注入層は、アノードと発光層との間の複数の正孔輸送層の場合には、アノードに直接隣接する正孔輸送層であるか、またはアノードの単一被覆によってのみそこから分離される。電子ブロック層は、アノードと発光層との間の複数の正孔輸送層の場合には、アノード側の発光層に直接隣接する正孔輸送層である。
【0141】
既に上記言及したとおり、式(1)の化合物は、好ましい1態様では、有機電子素子、特に、有機エレクトロルミッセンス素子、たとえば、OLEDもしくはOLECの発光層でマトリックス材料として使用される。この場合、式(1)のマトリックス材料は、一以上のドーパント、好ましくは、燐光ドーパントと組み合わせて電子素子中に存在する。
【0142】
用語「燐光ドーパント」は、典型的には、発光が、スピン禁制遷移、たとえば、励起三重項状態または比較的高いスピン量子数を有する状態、たとえば、五重項状態からの遷移により生じる化合物を包含する。
【0143】
適切な燐光発光ドーパントは、特に、適切な励起により、好ましくは、可視域で発光する化合物であり、また、20より大きい原子番号、好ましくは、38〜84の原子番号、より好ましくは、56〜80の原子番号を有する少なくとも一つの原子を含む。使用される燐光発光ドーパントは、好ましくは、銅、モリブデン、タングステン、レニウム、ルテニウム、オスミウム、ロジウム、イリジウム、パラジウム、白金、銀、金またはユウロピウムを含む化合物、特に、イリジウム、白金または銅を含む化合物である。
【0144】
本出願の文脈で、すべてのルミネッセントイリジウム、白金または銅錯体が、燐光化合物とみなされる。燐光ドーパントの例は、以下のセクションで示される。
【0145】
マトリックス材料とドーパントとを含む系中のドーパントは、混合物中でより少ない割合を有する成分を意味すると理解される。対応して、マトリックス材料とドーパントとを含む系中のマトリックス材料は、混合物中でより多い割合を有する成分を意味すると理解される。
【0146】
発光層中のマトリックス材料の割合は、この場合、蛍光発光層に対しては、50.0〜99.9体積%、好ましくは、80.0〜99.5体積%、より好ましくは、92.0〜99.5体積%であり、燐光発光層に対しては、85.0〜97.0体積%である。
【0147】
対応して、ドーパントの割合は、蛍光発光層に対しては、0.1〜50.0体積%、好ましくは、0.5〜20.0体積%、より好ましくは、0.5〜8.0体積%であり、燐光発光層に対しては、3.0〜15.0体積%である。
【0148】
有機エレクトロルミネッセンス素子の発光層は、また、複数のマトリックス材料(混合マトリックス系)および/または複数のドーパントを含んでもよい。この場合にも、ドーパントは、一般的には、系中でのより少ない割合を有する材料であり、マトリックス材料は、系中でのより多い割合を有する材料である。しかしながら、個々の場合では、系中の単一のマトリックス材料の割合は、単一のドーパントの割合よりも少なくてよい。
【0149】
本発明のさらに好ましい態様では、式(1)の化合物は、混合マトリックス系の成分として使用される。混合マトリックス系は、好ましくは、二または三種の異なるマトリックス材料、より好ましくは、二種の異なるマトリックス材料を含む。好ましくは、この場合に、二種の材料の一つは、正孔輸送特性を有する材料であり、他方は電子輸送特性を有する材料である。しかしながら、混合マトリックス成分の所望の電子輸送および正孔輸送特性は、単一の混合マトリックス成分中で主としてまたは完全に結合されてもよく、その場合、さらなる混合マトリックス成分が他の機能を果たす。ここで、二種の異なるマトリックス材料は、1:50〜1:1、好ましくは、1:20〜1:1、より好ましくは、1:10〜1:1、最も好ましくは、1:4〜1:1の比で存在してよい。好ましくは、燐光有機エレクトロルミッセンス素子中で混合マトリックス系を使用することが好ましい。混合マトリックス系に関するより正確な情報源の一つは、出願WO 2010/108579である。
【0150】
本発明の化合物と組み合わせて混合マトリックス系のマトリックス成分として使用することができる特に適するマトリックス材料は、どの型のドーパントが混合マトリックス系に使用されるかに応じて、以下に示される燐光ドーパントのための好ましいマトリックス材料または蛍光ドーパントのための好ましいマトリックス材料から選ばれる。
【0151】
したがって、本発明は、また、少なくとも一つの式(1)の化合物と少なくとも一つのさらなるマトリックス材料とを含む組成物に関する。
【0152】
本発明は、また、少なくとも一つの式(1)の化合物と少なくとも一つの広バンドギャップ材料とを含む組成物に関し、広バンドギャップ材料は、US 7,294,849の開示の意味での材料を意味すると理解される。これらの系は、エレクトロルミッセンス素子で有利な性能データを特に呈する。
【0153】
本発明は、さらに、少なくとも一つの式(1)の化合物と、蛍光エミッター、燐光エミッター、ホスト材料、マトリックス材料、電子輸送材料、電子注入材料、正孔伝導材料、正孔注入材料、電子ブロック材料および正孔ブロック材料より成る群から選ばれる少なくとも一つのさらなる有機半導体材料とを含む組成物に関する。
【0154】
混合マトリックス系での使用のための好ましい燐光ドーパントは、以下に特定される好ましい燐光ドーパントである。
【0155】
燐光ドーパントの例は、出願WO 2000/70655、WO 2001/41512、WO 2002/02714、WO 2002/15645、EP 1191613、EP 1191612、EP 1191614、WO 2005/033244、WO 2005/019373およびUS2005/0258742により明らかにされている。一般的には、燐光発光OLEDのために先行技術にしたがって使用され、有機エレクトロルミネッセンス素子分野の当業者に知られるようなすべての燐光発光錯体が適切である。
【0156】
燐光ドーパントの明確な例が、以下の表により示される。
【0157】
【化27-1】
【0158】
【化27-2】
【0159】
【化27-3】
【0160】
【化27-4】
【0161】
【化27-5】
【0162】
【化27-6】
【0163】
【化27-7】
【0164】
【化27-8】
【0165】
【化27-9】
【0166】
【化27-10】
【0167】
好ましい蛍光ドーパントは、アリールアミンのクラスから選ばれる。本発明の文脈でのアリールアミンもしくは芳香族アミンは、窒素に直接結合した3個の置換あるいは非置換芳香族もしくは複素環式芳香族環構造を含む化合物を意味すると理解される。これら芳香族もしくは複素環式芳香族環構造の少なくとも1個は、好ましくは、縮合環構造であり、より好ましくは、少なくとも14個の芳香族環原子を有する。これらの好ましい例は、芳香族アントラセンアミン、芳香族アントラセンジアミン、芳香族ピレンアミン、芳香族ピレンジアミン、芳香族クリセンアミンもしくは芳香族クリセンジアミンである。芳香族アントラセンアミンは、一個のジアリールアミノ基が、アントラセン基に直接、好ましくは、9-位で結合する化合物を意味すると理解される。芳香族アントラセンジアミンは、二個のジアリールアミノ基が、アントラセン基に直接、好ましくは、9.10-位で結合する化合物を意味すると理解される。芳香族ピレンアミン、ピレンジアミン、クリセンアミンおよびクリセンジアミンは、同様に定義され、ここで、ジアリールアミノ基は、好ましくは、ピレンに、1位もしくは1.6-位で結合する。さらに好ましいドーパントは、たとえば、WO 2006/10849もしくはWO 2006/122630によるインデノフルオレンアミンあるいはインデノフルオレンジアミン、たとえば、WO 2008/006449によるベンゾインデノフルオレンアミンあるいはベンゾインデノフルオレンジアミン、および、たとえば、WO 2007/140847によるジベンゾインデノフルオレンアミンあるいはジベンゾインデノフルオレンジアミンおよび、WO 2010/ 012328に開示された縮合アリール基を含むインデノフルオレン誘導体である。
【0168】
好ましくは、蛍光ドーパントのための有用なマトリックス材料は、式(1)の化合物と同様に、種々のクラスの物質からの材料である。好ましいマトリックス材料は、オリゴアリーレン(たとえば、EP 676461による2,2’,7,7’-テトラフェニルスピロビフルオレンもしくはジナフチルアントラセン)、特に、縮合芳香族基を含むオリゴアリーレン、オリゴアリーレンビニレン(たとえば、DPVBiもしくはEP 676461によるスピロ-DPVBi)、ポリポダル金属錯体(たとえば、WO 2004/081017による)、正孔伝導化合物(たとえば、WO 2004/058911による)、電子伝導化合物、特に、ケトン、ホスフィンオキシド、スルホキシド等(たとえば、WO 2005/084081およびWO 2005/084082による)、アトロプ異性体(たとえば、WO 2006/048268による)、ボロン酸誘導体(たとえば、WO 2006/177052による)またはベンズアントラセン(たとえば、WO2008/145239による)のクラスから選択される。特に好ましいマトリックス材料は、ナフタレン、アントラセン、ベンゾアントラセンおよび/またはピレンを含むオリゴアリーレンもしくはこれら化合物のアトロプ異性体、オリゴアリーレンビニレン、ケトン、ホスフィンオキシドおよびスルホキシドのクラスから選択される。非常に特に好ましいマトリックス材料は、アントラセン、ベンゾアントラセン、ベンゾフェナントレンおよび/またはピレンを含むオリゴアリーレンもしくはこれら化合物のアトロプ異性体のクラスから選択される。本発明の文脈でのオリゴアリーレンは、少なくとも三個のアリールもしくはアリーレン基が互いに結合した化合物を意味すると理解される。
【0169】
燐光ドーパントのための好ましいマトリックス材料は、式(1)の化合物と同様に、芳香族アミン、特に、US2005/0069729によるトリアリールアミン、カルバゾール誘導体(CBP、N,N-ビスカルバゾリルビフェニル)または、WO 2005/039246、US 2005/0069729、JP 2004/288381、EP1205527もしくはWO2008/086851による化合物、たとえば、WO 2011/088877およびWO 2011/128017による架橋カルバゾール誘導体、たとえば、WO2010/136109およびWO2011/000455によるインデノカルバゾール誘導体、たとえば、EP 1617710、EP 1617711、EP 1731584、JP 2005/347160によるアザカルバゾール誘導体、たとえば、WO 2007/063754もしくはWO 2008/056746によるインドロカルバゾール誘導体、たとえば、WO 2004/093207もしくはWO 2010/006680によるケトン、たとえば、WO 2005/003253によるホスフィンオキシド、スルホキシドおよびスルホン、オリゴアリーレン、たとえば、WO 2007/137725によるバイポーラーマトリックス材料、たとえば、WO 2005/111172によるシラン、たとえば、WO2006/117052によるアザボロールもしくはボロン酸エステル、たとえば、WO2010/15306、WO2007/063754もしくはWO2008/056746によるトリアジン誘導体、たとえば、EP652273もしくはWO2009/062578による亜鉛錯体、アルミニウム錯体、たとえば、BAlq、たとえば、WO2010/054729よるジアザシロール誘導体もしくはテトラアザシロール誘導体、たとえば、WO2010/054730によるジアザホスホール誘導体およびアルミニウム錯体、たとえば、BAlqである。
【0170】
カソード、アノードおよび式(1)の化合物を含む層とは別に、電子素子は、さらなる層を含んでよい。これらは、たとえば、各場合に、1以上の正孔注入層、正孔輸送層、正孔ブロック層、発光層、電子輸送層、電子注入層、電子ブロック層、励起子ブロック層、中間層、電荷生成層(IDMC 2003, Taiwan; Session 21 OLED (5), T. Matsumoto, T. Nakada, J.Endo, K. Mori, N. Kawamura, A. Yokoi, J.Kido, Multiphoton Organic EL Device Having Charge Generation Layer)および/または有機あるいは無機p/n接合を含んでもよい。しかしながら、これら層の夫々は、必ずしも存在する必要はないことが指摘されねばならない。
【0171】
有機エレクトロルミッセンス素子での層配列は、好ましくは、以下のとおりである:
アノード−正孔注入層−正孔輸送層−発光層−電子輸送層−電子注入層−カソード。
【0172】
同時に、前記層の全てが必ずしも存在する必要がないことおよび/またはさらなる層が追加的に存在してもよいことをここで、再度指摘する必要がある。
【0173】
本発明の有機エレクトロルミッセンス素子は、2以上の発光層を含んでもよい。この場合に、これらの発光層は、より好ましくは、380nm〜750nm間に全体で幾つかの最大発光波長を有し、全体として、白色発光が生じるものであり、換言すれば、蛍光もしくは燐光を発し、青色もしくは黄色、オレンジ色もしくは赤色発光し得る種々の発光化合物を、発光層に使用することができる。特に好ましいものは、3層構造であり、すなわち、3個の発光層を有する構造であり、その3層は青色、緑色およびオレンジ色もしくは赤色発光を呈する(基本構造については、たとえば、WO 2005/011013参照。)。白色光の生成のためには、広波長範囲で発光する個々に使用されるエミッター化合物が、色発光する複数のエミッター化合物よりむしろ、適当である可能性があることに注意する必要がある。
【0174】
本発明の有機エレクトロルミネセンス素子の正孔注入もしくは正孔輸送層中で、または電子ブロック層中でまたは電子輸送層中で使用することができる適切な電荷輸送材料は、たとえば、Y. Shirota et al., Chem. Rev. 2007, 107(4), 953-1010に開示された化合物または先行技術によりこれらの層に使用される他の材料である。
【0175】
電子輸送層のために使用される材料は、電子輸送層中で電子輸送材料として先行技術により使用されるとおりのすべての材料である。特に適切なものは、アルミニウム錯体、たとえば、Alq、ジルコニウム錯体、たとえば、Zrq、ベンズイミダゾール誘導体、トリアジン誘導体、ピリミジン誘導体、ピリジン誘導体、ピラジン誘導体、キノキサリン誘導体、キノリン誘導体、オキサジアゾール誘導体、芳香族ケトン、ラクタム、ボラーン、ジアザホスホール誘導体およびホスフィンオキシド誘導体である。されに、適切な材料は、JP2000/053957、WO2003/060956、WO 2004/028217、WO 2004/080975およびWO 2010/072300に開示されたとおりの上記言及した化合物の誘導体である。
【0176】
正孔輸送、正孔注入もしくは電子ブロック層中で使用することができる好ましい正孔輸送材料は、インデノフルオレンアミン誘導体(たとえば、WO 2006/122630もしくはWO2006/100896)による)、EP1661888に開示されたアミン誘導体、ヘキサアザトリフェニレン誘導体(たとえば、WO 01/049806による)、縮合芳香族系を有するアミン誘導体(たとえば、US5,061,569による)、WO95/09147に開示されたアミン誘導体、モノベンゾインデノフルオレンアミン(たとえば、WO2008/006449による)、ジベンゾインデノフルオレンアミン(たとえば、WO 2007/140847による)、スピロビフルオレンアミン(たとえば、WO2012/034627もしくは未公開EP12000929.5による)、フルオレンアミン(たとえば、未公開出願EP12005369.9、EP12005370.7およびEP12005371.5による)、スピロジベンゾピランアミン(たとえば、公開出願EP 11009127.9による)およびジヒドロアクリジン誘導体(たとえば、公開出願EP 11007067.9による)である。
【0177】
電子素子の好ましいカソードは、低い仕事関数を有する金属、種々の金属を含む金属合金もしくは多層構造、たとえば、アルカリ土類金属、アルカリ金属、主族金属あるいはランタノイド金属(たとえば、Ca、Ba、Mg、Al、In、Mg、Yb、Sm等)を含む。追加的に適切なのは、アルカリ金属あるいはアルカリ土類金属と銀を含む合金、たとえば、マグネシウムと銀とを含む合金である。多層構造の場合、前記金属に加えて、たとえば、AgあるいはAlのような比較的高い仕事関数を有するさらなる金属を使用することもでき、その場合、たとえば、Ca/Ag、Mg/AgもしくはBa/Agのような金属の組み合わせが一般的に使用される。高い誘電定数を有する材料の薄い中間層を金属カソードと有機半導体との間に挿入することも好ましい可能性がある。この目的のために有益な材料の例は、アルカリ金属フッ化物もしくはアルカリ土類金属フッ化物だけでなく対応する酸化物もしくは炭酸塩である(たとえば、LiF、LiO、BaF、MgO、NaF、CsF、CsCO等)。さらに、リチウムキノリナート(LiQ)をこの目的のために使用することができる。この層の層厚は、好ましくは、0.5〜5nmである。
【0178】
好ましいアノードは、高い仕事関数を有する材料である。アノードは、好ましくは、真空に対して4.5eVより高い仕事関数を有する。この目的に適切なものは、第1に、たとえば、Ag、PtもしくはAuのような高い還元電位を有する金属である。第2に、金属/金属酸化物電極(たとえば、Al/Ni/NiO、Al/PtO)も好ましい可能性がある。いくつかの用途のためには、少なくとも一つの電極は、有機材料の照射(有機太陽電池)もしくは発光(OLED、O−LASER)の何れかを可能とするために、透明または部分的に透明でなければならない。ここで、好ましいアノード材料は、伝導性混合金属酸化物である。特に好ましいものは、インジウム錫酸化物(ITO)もしくはインジウム亜鉛酸化物(IZO)である。さらに好ましいものは、伝導性のドープされた有機材料、特に、伝導性のドープされたポリマーである。さらに、アノードは、2以上の層、たとえば、ITOの内部層と金属酸化物、好ましくは、タングステン酸化物、モリブデン酸化物またはバナジウムの外部層から成ってもよい。
【0179】
製造中に、電子素子は(用途に応じて)適切に構造化され、接点を供され、本発明による素子の寿命が水および/または空気の存在で短くなることから、最後に封止される。
【0180】
好ましい1態様では、本発明の電子素子は、1以上の層が、昇華プロセスにより適用されることを特徴とする。この場合に、材料は、10−5mbar未満、好ましくは、10−6mbar未満の初期圧力で、真空昇華ユニット中で真空気相堆積される。この場合、しかしながら、初期圧力は、さらにより低くても、たとえば、10−7mbar未満でも可能である。
【0181】
同様に好ましい有機エレクトロルミネッセンス素子は、1以上の層が、OVPD(有機気相堆積)プロセスもしくはキャリアガス昇華により適用されることを特徴とする。この場合に、材料は、10−5mbar〜1barの圧力で適用される。このプロセスの特別な場合は、OVJP(有機気相ジェット印刷)プロセスであり、材料はノズルにより直接適用され、そしてそれにより構造化される(たとえば、M. S. Arnold et al., Appl. Phys. Lett. 2008, 92, 053301)。
【0182】
追加的に好ましい有機エレクトロルミネッセンス素子は、1以上の層が、溶液から、たとえば、スピンコーティングにより、もしくは、たとえばスクリーン印刷、フレキソ印刷、ノズル印刷あるいはオフセット印刷、より好ましくは、LITI(光誘起熱画像化、熱転写印刷)、あるいはインクジェット印刷のような任意の所望の印刷プロセスにより製造されることを特徴とする。この目的のために、可溶性の式(1)の化合物が必要である。高い溶解性は、化合物の適切な置換により成し遂げることができる。
【0183】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、一以上の層を溶液からまた一以上の層を昇華プロセスにより適用することにより製造することが、さらに、好ましい。
【0184】
したがって、本発明は、少なくとも一つの有機層が気相堆積により、または溶液から適用されることを特徴とする本発明の電子素子の製造方法に関する。
【0185】
本発明によると、一以上の式(I)の化合物を含む電子素子は、照明用途の光源として、医療および/または美容用途(たとえば、光治療)の光源として、特に、表示装置において使用することができる。
【0186】
本発明は、また、少なくとも一つの式(I)の化合物もしくは少なくとも一つの上記言及した組成物と少なくとも一つの溶媒を含む調合物に関する。
【0187】
適切で好ましい溶媒は、たとえば、トルエン、アニソール、o-、m-もしくはp-キシレン、メチルベンゾエート、メシチレン、テトラリン、ベラトール、THF、メチル-THF、THP、クロロベンゼン、ジオキサン、フェノキシトルエン、特に、3-フェノキシトルエン、(-)-フェンコンヌ、1,2,3,5-テトラメチルベンゼン、1,2,4,5-テトラメチルベンゼン、1-メチルナフタレン、2-メチルベンゾチアゾール、2-フェノキシエタノール、2-ピロリジノン、3-メチルアニソール、4-メチルアニソール、3,4-ジメチルアニソール、3,5-ジメチルアニソール、アセトフェノン、α-テルピネオール、ベンゾチアゾール、ブチルベンゾエート、クメン、シクロヘキサノール、シクロヘキサノン、シクロヘキシルベンゼン、デカリン、ドデシルベンゼン、エチルベンゾエート、インダン、メチルベンゾエート、NMP、p-シメン、フェネトール、1,4-ジイソプロピルベンゼン、ジベンジルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエ−テル、トリプロピレングリコールジメチルエ−テル、テトラエチレングリコールジメチルエ−テル、2-イソプロピルナフタレン、ペンチルベンゼン、ヘキシルベンゼン、ヘプチルベンゼン、オクチルベンゼン、1,1-ビス(3,4-ジメチルフェニル)エタンもしくはこれら溶媒の混合物である。
【0188】
式(1)の化合物を含む素子を、非常に多用途で使用することができる。たとえば式(1)の1以上の化合物を含むエレクトロルミネッセンス素子を、テレビジョン、モバイル電話機、コンピュータ、カメラ用の表示装置で使用することができる。代替として、素子を照明用途にも使用してもよい。さらに、たとえばOLEDまたはOLECにおいて、式(1)の少なくとも1つの化合物を含むエレクトロルミネッセンス素子を、医学あるいは美容における光線療法に利用できる。したがって、多数の病気(乾癬、アトピー性皮膚炎、炎症、にきび、皮膚癌等)、あるいは皮膚の皺、皮膚の発赤、皮膚の老化の予防または低減の処置をすることができる。さらに、飲料、食物または食品を新鮮に保つため、あるいは装置(例えば医療機器)を滅菌するために、発光素子を利用することができる。
【0189】
したがって、本発明は、医学での光線療法に用いるための、少なくとも1つの式(1)の化合物を含む、電子素子、好ましくは、有機エレクトロルミネッセンス素子、非常に好ましくは、OLEDまたはOLEC、最も好ましくは、OLEDにも関する。
【0190】
したがって、本発明は、さらに好ましくは、皮膚疾患の光線療法に用いるための、少なくとも1つの式(1)の化合物を含む、電子素子、好ましくは、有機エレクトロルミネッセンス素子、非常に好ましくは、OLEDまたはOLEC、最も好ましくは、OLEDにも関する。
【0191】
したがって、本発明は、さらに、乾癬、アトピー性皮膚炎、炎症、にきび、皮膚癌の光線療法に用いるための、少なくとも1つの式(1)の化合物を含む、電子素子、好ましくは、有機エレクトロルミネッセンス素子、非常に好ましくは、OLEDまたはOLEC、最も好ましくは、OLEDにも関する。
【0192】
本発明は、さらに、好ましくは、ニキビ、皮膚の老化およびセルライトの処置のための美容用の、少なくとも1つの式(1)の化合物を含む、電子素子、好ましくは、有機エレクトロルミネッセンス素子、非常に好ましくは、OLEDまたはOLEC、最も好ましくは、OLEDにも関する。
【0193】
本発明の化合物と本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、先行技術より優れた以下の驚異的な利点により、先行技術とは異なる。
【0194】
1.本発明の化合物は、発光層での使用のための極めて良好な安定性を有し、先行技術からの化合物を超える改善された性能を示す。
【0195】
2.本発明の化合物は、比較的低い昇華温度、高い温度安定性を有し、それゆえ分解することなく、残留物もなく昇華することができる。さらに、それらは、高い酸化安定性と高いガラス転移温度を有し、このことはたとえば溶液からのまたは気相からの加工能性と、電子素子での使用との両者について好都合である。
【0196】
3.電子素子における本発明の化合物の使用、特に電子輸送または電子注入材料として、さらにマトリックス材料として用いられると、より高い効率、より低い駆動電圧と長い寿命をもたらす。
【0197】
本発明で説明された態様の変形が、本発明の範囲に入ることが指摘されねばならない。本発明で開示された各特長は、明確に除外されなければ、同じか、等価か、類似する目的に役立つ代替的特徴により置き代えられてよい。したがって、特に断らなければ、本発明で開示された各特長は、一般的な一連の例としてか、等価か類似する特長とみなされなければならない。
【0198】
本発明のすべての特長は、ある特徴および/または工程が相互に排除しないならば、とにかく互いに組み合わせることができる。これは、特に、本発明の好ましい特徴にあてはまる。同様に、非本質的な組み合わせの特徴は、(組み合わせではなく)別に、使用されてよい。
【0199】
多くの特徴、特に、本発明の好ましい態様の特徴は、それ自身で発明性があり、本発明の態様の単なる部分としてだけではないとみなされねばならない。現在クレームされた発明に加えてまたその代替として、独立した保護が、これらの特徴のために与えられてよい。
【0200】
本発明で開示された技術的機能に関する教示を抽出し、他の例と組み合わせることができる。
【0201】
本発明を、以下の例によってより詳細に説明するが、それにより本発明が制限されるものではない。
【0202】
例:
以下の合成を、別段の指定がない限り、無水溶媒中で保護ガス雰囲気下で実施する。溶媒及び試薬を、たとえば、Sigma-ALDRICHまたはABCRから購入することができる。文献から公知の化合物に対して示されている角括弧中の数字は、CAS番号である。
【0203】
例1
(6-ブロモジベンゾフラン-4-イル)トリメチルシランの合成
【0204】
【化28】
【0205】
52g(159ミリモル)の4,6-ジブロモジベンゾフランを、300mLのTHFと1100mLのジエチルエーテルとの中に懸濁させ、−70℃まで冷却する。この懸濁液に、78g(175ミリモル)のフェニルリチウム(ジブチルエーテル中1.9モル/L)をゆっくりと滴下する。その後、20g(191ミリモル)のクロロトリメチルシランを滴下し、その混合物を室温まで温める。水をこの混合物に添加し、有機相を除去し、シリカゲルを通して濾過し、200mLの水で三度洗浄し、次いで濃縮乾固させる。残留物をトルエンから再結晶化させる。収率は49.7g(121ミリモル)であり、理論値の97%に対応する。
【0206】
同じような方法で、以下の化合物を得ることができる:
【0207】
【化29】
【0208】
例2
(6-ブロモジベンゾフラン-4-イル)トリメチルシランの合成
【0209】
【化30】
【0210】
600mLのDMF中の、50g(156ミリモル)の(6-ブロモジベンゾフラン-4-イル)トリメチルシランと、31g(187ミリモル)のカルバゾールとの脱気溶液を1時間、Nで飽和させる。その後、この溶液に、最初に3.5g(15.6ミリモル)の1,3-ジ(2-ピリジル)-1,3-プロパンジオンと、次いで3g(15ミリモル)の銅と、次いで、固体状態の43g(313ミリモル)のKCOとを、添加する。反応混合物を還流下で1時間加熱する。室温まで冷却後、500mLの水を慎重に添加する。水相を50mLのトルエンで三度洗浄し、MgSOで脱水し、溶媒を減圧下で除去する。その後、粗生成物を、ヘプタン/酢酸エチル(20:1)と共に、シリカゲルを使用して、クロマトグラフィーによって精製する。収率は38g(94ミリモル)であり、理論値の60%に対応する。
【0211】
同じような方法で、以下の化合物を得ることができる:
【0212】
【化31-1】
【0213】
【化31-2】
【0214】
【化31-3】
【0215】
【化31-4】
【0216】
【化31-5】
【0217】
例3
ビス(ビフェニル-4-イル)ジベンゾフラン-4-イルアミンの合成
【0218】
【化32】
【0219】
700mLのトルエン中の、43.92g(176ミリモル)の4-ブロモジベンゾフランと、47.41g(148ミリモル)のビス(ビフェニル-4-イル)アミンとの脱気溶液を30分間、Nで飽和させる。その後、この溶液には、最初に、トルエン中、2.51mL(10.3ミリモル)の1M P(tBu)の溶液と、次いで、1.66g(7.3ミリモル)の酢酸パラジウム(II)と、次いで、固体状態の21.24g(222ミリモル)のNaOtBuとを、添加する。反応混合物を還流下で6時間加熱する。室温まで冷却後、500mlの水を慎重に添加する。水相を70mLのトルエンで三度洗浄し、MgSOで脱水し、溶媒を減圧下で除去する。その後、粗生成物を、ヘプタン/酢酸エチル(20:1)と共に、シリカゲルを使用して、クロマトグラフィーによって精製する。収率は70.91g(142.8ミリモル)であり、理論値の94%に対応する。
【0220】
同じような方法で、以下の化合物を得ることができる:
【0221】
【化33-1】
【0222】
【化33-2】
【0223】
例4
9-(6-トリメチルシラニルジベンゾフラン-4-イル)-9H-カルバゾールの合成
【0224】
【化34】
【0225】
27g(67ミリモル)の9-ジベンゾフラン-4-イル-9H-カルバゾールと、9.3g(80ミリモル)のTMEDAとを、700mLのジエチルエーテル中に懸濁させる。この懸濁液に、32gのtert-ブチルリチウム(ペンタン中、1.7モル/L)をゆっくりと添加する。
【0226】
その後、混合物を0℃に冷却し、10.9g(101ミリモル)のクロロトリメチルシランを滴下し、この混合物を室温まで温める。水をこの混合物に添加し、有機相を除去し、シリカゲルを通して濾過し、200mLの水で三度洗浄し、次いで、濃縮乾固させる。残留物をトルエンから再結晶化させる。収率は19g(41ミリモル)であり、理論値の60%に対応する。
【0227】
同じような方法で、以下の化合物を得ることができる:
【0228】
【化35-1】
【0229】
【化35-2】
【0230】
例5
ジベンゾフラン-4-イル-9H-カルバゾール-9-ボロン酸の合成
【0231】
【化36】
【0232】
保護ガス下で、7.8g(31ミリモル)の三臭化臭素を、100mLのジクロロメタン中の10g(26ミリモル)の9-(6-トリメチルシラニルジベンゾフラン-4-イル)-9H-カルバゾールの溶液へ滴下し、その混合物を室温で10時間、撹拌する。その後、少量の水を徐々にその混合物に添加し、沈殿した残留物を濾過し、ヘプタンで洗浄する。収率は9.3g(25ミリモル)であり、理論値の94%に対応する。
【0233】
同じような方法で、以下の化合物を得ることができる:
【0234】
【化37-1】
【0235】
【化37-2】
【0236】
【化37-3】
【0237】
【化37-4】
【0238】
【化37-5】
【0239】
【化37-6】
【0240】
【化37-7】
【0241】
例6
9-{6-[3-(4,6-ジフェニル-[1,3,5]トリアジン-2-イル)フェニル]-ジベンゾフラン-4-イル}-9H-カルバゾールの合成
【0242】
【化38】
【0243】
26g(70ミリモル)の6-カルバゾール-9-イル-ジベンゾフラン-4-ボロン酸と、27g(70ミリモル)の2-(3-ブロモフェニル)-4,6-ジフェニル-[1,3,5]トリアジンと、78.9mL(158ミリモル)のNaCO(2M溶液)とを、120mLのエタノールと、100mLの水との中に懸濁させる。1.3g(1.1ミリモル)のPd(PPhをこの懸濁液に添加し、反応混合物を還流下で16時間加熱する。冷却後、ジクロロメタンをこの混合物に添加し、有機相を除去し、シリカゲルを通して濾過する。収率は39g(61ミリモル)であり、理論値の88%に対応する。残留物をトルエンから再結晶化させ、最後に高真空下(p=5×10−5ミリバール)で昇華させる。純度は99.9%である。
【0244】
同じような方法で、以下の化合物を得ることができる:
【0245】
【化39-1】
【0246】
【化39-2】
【0247】
【化39-3】
【0248】
【化39-4】
【0249】
【化39-5】
【0250】
【化39-6】
【0251】
【化39-7】
【0252】
【化39-8】
【0253】
【化39-9】
【0254】
【化39-10】
【0255】
例7
2-(6-ブロモジベンゾフラン-4-イル)-4,6-ジフェニル-[1,3,5]トリアジンの合成
【0256】
【化40】
【0257】
14.6g(45ミリモル)の4.6-ジブロモベンゾフランと、8.5g(31.6ミリモル)のB-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)ボロン酸と、31mL(63ミリモル)のNaCO(2M溶液)とを、120mLのトルエンと、120mLのエタノールとの中に懸濁させる。0.73g(0.63ミリモル)のPd(PPhをこの懸濁液に添加し、反応混合物を還流下で16時間加熱する。冷却後、有機相を除去し、シリカゲルを通して濾過し、200mLの水で三度洗浄し、次いで、濃縮乾固させる。残留物をトルエンから再結晶化させる。収率は10.3g(32ミリモル)であり、理論値の77%に対応する。
【0258】
同じような方法で、以下の化合物を得ることができる:
【0259】
【化41-1】
【0260】
【化41-2】
【0261】
【化41-3】
【0262】
例8
ビス(ビフェニル-4-イル)[6-(4,6-ジフェニル-[1,3,5]トリアジン-2-イル)-ジベンゾフラン-4-イル]アミンの合成
【0263】
【化42】
【0264】
700mLのトルエン中の、84g(176ミリモル)の2-(6-ブロモジベンゾフラン-4-イル)-4,6-ジフェニル-[1,3,5]トリアジンと、47.41g(148ミリモル)のビス(ビフェニル-4-イル)アミンとの脱気溶液を30分間、Nで飽和させる。その後、この混合物に、最初に、トルエン中の2.51mL(10.3ミリモル)の1M P(tBu)溶液と、次いで1.66g(7.3ミリモル)の酢酸パラジウム(II)と、次いで、固体状態の21.24g(222ミリモル)のNaOtBuとを、添加する。反応混合物を還流下で6時間加熱する。室温まで冷却後、500mlの水を慎重に添加する。水相を70mLのトルエンで三度洗浄し、MgSOで脱水し、溶媒を減圧下で除去する。その後、粗生成物を、ヘプタン/酢酸エチル(20:1)と共に、シリカゲルを使用して、クロマトグラフィーによって精製する。収率は115g(160ミリモル)であり、理論値の91%に対応する。
【0265】
同じような方法で、以下の化合物を得ることができる:
【0266】
【化43-1】
【0267】
【化43-2】
【0268】
【化43-3】
【0269】
例9
ビフェニル-4-イル-[5-(4,6-ジフェニル-[1,3,5]トリアジン-2-イル]-9-フェニル-9H-カルバゾール-4-イル]-{4-[(E)-((Z)-1プロペニル)-ブタ-1,3-ジエニル]-フェニル}アミンの合成
【0270】
【化44】
【0271】
50g(70ミリモル)のビス(ビフェニル-4-イル)[5-(4,6-ジフェニル-[1,3,5]トリアジン-2-イル)-9H-カルバゾール-4-イル]アミンと、16.4g(105.87ミリモル)のブロモベンゼンとをトルエン中に溶解させ、保護ガスの導入により脱気させる。これに続いて、4.94mL(4.94ミリモル、トルエン中1M溶液)のトリ-tert-ブチルホスフィンと、633.8mg(2.82ミリモル)のPd(OAc)と、10.2g(105.87ミリモル)のNaOtBuとを添加する。固形物を前もって脱気しておき、反応混合物を事後脱気し、次いで還流下で3時間、撹拌する。温い反応溶液をAlox B(活性レベル1)を通して濾過し、水で洗浄し、乾燥させ、濃縮させる。収率は42g(52ミリモル)であり、理論値の76%に対応する。残留物をトルエンから再結晶化させ、最後に高真空下(p=5×10−5ミリバール)で昇華させる。純度は99.9%である。
【0272】
同じような方法で、以下の化合物を得ることができる:
【0273】
【化45】
【0274】
例10
比較化合物の合成
以下の化合物をWO 2011/057706 A2にしたがって調製することができる:
【0275】
【化46】
【0276】
9-[6-(4,6-ジフェニル-[1,3,5]トリアジン-2-イル]-ジベンゾフラン-3-イル]-9H-カルバゾールの合成
【0277】
【化47】
【0278】
a)例3と同じようにして、以下の化合物を得ることができる:
【0279】
【化48】
【0280】
b)例4と同じようにして、以下の化合物を得ることができる:
【0281】
【化49】
【0282】
c)例5と同じようにして、以下の化合物を得ることができる:
【0283】
【化50】
【0284】
d)例6と同じようにして、以下の化合物を得ることができる:
【0285】
【化51】
【0286】
例15
OLEDの製造および特性決定
以下の例C1〜I18(表1と2)では、種々のOLEDのデータが提示されている。
【0287】
例C1−I18の前処理:厚さ50nmの構造化されたITO(インジウム錫酸化物)で被覆されたガラスプラークが、改善された加工のために、20nmのPEDOT:PSS(ポリ(3, 4-エチレンジオキシチオフェン)ポリ(スチレン・スルホン酸)で水溶液からのスピン、Heraeus Precious Metals GmbH独国からCLEVIOS(登録商標)P VP AI 4083として購入)で被覆される。これらの被覆されたガラスプラークは、OLEDが適用される基板を形成する。
【0288】
OLEDは、基本的に、次の層構造を有する:基板/正孔輸送層(HTL)/随意に、中間層(IL)/電子ブロック層(EBL)/発光層(EML)/随意に、正孔ブロック層(HBL)/電子輸送層(ETL)/随意に、電子注入層(EIL)および最後にカソード。カソードは、100nm厚のアルミニウム層により形成される。OLEDの正確な構造を、表1に見ることができる。OLEDの製造のために必要な材料を、表3に示す。
【0289】
すべての材料は、真空室において、熱気相堆積により適用される。この場合、発光層は、常に、少なくとも一種のマトリックス材料(ホスト材料)と、共蒸発により特定の体積割合で一種または複数種のマトリックス材料に添加される発光ドーパント(エミッター)とから成る。ここでは、IC1:IC3:TEG1(55%:35%:10%)等の形で与えられている詳細は、材料IC1が55体積%の割合で層中に存在し、IC3が35体積%の割合で層中に存在し、TEG1が10体積%の割合で層中に存在することを意味する。同じように、電子輸送層も、二種の材料の混合物から成ってもよい。
【0290】
OLEDは、標準方法により特性決定される。この目的のために、エレクトロルミネセンススペクトル、ランベルト発光特性を仮定して、電流-電圧-輝度特性線(IUL特性線)から計算した、輝度の関数としての電流効率(cd/Aで測定)、パワー効率(Im/Wで測定)、外部量子効率(EQE、パーセントで測定)が測定される。エレクトロルミネセンススペクトルは、輝度1000cd/mで測定され、CIE1931xおよびy色座標はそこから計算される。表2でのパラメータU1000は、輝度1000cd/mに対して必要とされる電圧を示す。CE1000とPE1000は、1000cd/mで達成される電流およびパワー効率をそれぞれ示す。最後に、EQE1000は、駆動輝度1000cd/mでの外部量子効率を示す。
【0291】
種々のOLEDについてのデータを、表2に列挙する。例C1とC2は先行技術による比較例であり、例I1−I18は、本発明のOLEDのデータを示している。
【0292】
いくつかの例を、本発明のOLEDの優位性を証明するために、以下により詳細に説明する。
【0293】
燐光OLEDの発光層における本発明の混合物の使用
燐光OLEDでマトリックス材料として使用するとき、本発明の材料は、先行技術と比べて、外部量子効率の著しい改善を与える。緑色発光ドーパントTEG1と組み合わせて本発明の化合物6zzdを使用することにより、先行技術PA1と比べて、約20%までの外部量子効率の上昇を実現することが可能である(例C1−I1)。
【0294】
【表1】
【0295】
【表2】
【0296】
【表3-1】
【0297】
【表3-2】
【0298】
【表3-3】
【0299】
【表3-4】