【文献】
松岡正邦監,結晶多形の基礎と応用,株式会社シーエムシー出版,2010年10月22日,普及版第1刷,第105〜117頁、第181〜191頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
形態Aが、Cu Kα線照射を用いて4.1±0.2、7.8±0.2、9.4±0.2、10.1±0.2、12.1±0.2、15.5±0.2、16.2±0.2、18.8±0.2、19.9±0.2、21.1±0.2、23.0±0.2、25.1±0.2および27.4±0.2°2θにおいてX線粉末回折ピークを有することにより特徴付けられる、請求項1記載の多型。
形態Aが、Cu Kα線照射を用いて3.8±0.2、7.6±0.2、9.1±0.2、9.9±0.2、15.1±0.2、16.0±0.2、16.1±0.2、18.5±0.2、22.8±0.2、22.9±0.2および23.2±0.2°2θにおいてX線粉末回折ピークを有することにより特徴付けられる、請求項1記載の多型。
形態Bが、Cu Kα線照射を用いて6.2±0.2、6.6±0.2、11.3±0.2、14.3±0.2、15.3±0.2、22.8±0.2および26.9±0.2°2θにおいてX線粉末回折ピークを有することにより特徴付けられる、請求項1記載の多型。
形態Bが、Cu Kα線照射を用いて6.0±0.2、6.4±0.2、11.1±0.2、14.6±0.2、15.1±0.2、17.3±0.2、22.5±0.2、22.7±0.2、23.7±0.2および27.0±0.2°2θにおいてX線粉末回折ピークを有することにより特徴付けられる、請求項1記載の多型。
形態Cが、Cu Kα線照射を用いて6.2±0.2、8.9±0.2、9.8±0.2、10.1±0.2、13.7±0.2、17.6±0.2、18.4±0.2、19.3±0.2、19.7±0.2、20.3±0.2、22.8±0.2および26.8±0.2°2θにおいてX線粉末回折ピークを有することにより特徴付けられる、請求項1記載の多型。
形態Cが、Cu Kα線照射を用いて12.5±0.2、16.6±0.2、17.5±0.2、18.2±0.2、19.0±0.2、19.6±0.2、20.1±0.2、21.7±0.2、22.6±0.2、23.0±0.2、23.6±0.2、24.0±0.2、26.6±0.2および27.2±0.2°2θにおいてX線粉末回折ピークを有することにより特徴付けられる、請求項1記載の多型。
形態Dが、Cu Kα線照射を用いて5.4±0.2、5.9±0.2、11.5±0.2、14.5±0.2、17.9±0.2、20.3±0.2、23.0±0.2、23.6±0.2、24.0±0.2、26.2±0.2、27.8±0.2および28.9±0.2°2θにおいてX線粉末回折ピークを有することにより特徴付けられる、請求項1記載の多型。
形態Eが、Cu Kα線照射を用いて8.9±0.2、11.3±0.2、13.7±0.2、16.5±0.2、19.3±0.2、20.6±0.2、20.9±0.2、21.9±0.2、23.0±0.2、23.8±0.2および26.2±0.2°2θにおいてX線粉末回折ピークを有することにより特徴付けられる、請求項1記載の多型。
形態Fが、Cu Kα線照射を用いて4.8±0.2、7.2±0.2、15.6±0.2、16.7±0.2、17.0±0.2、19.5±0.2、20.3±0.2、21.7±0.2、24.0±0.2および24.4±0.2°2θにおいてX線粉末回折ピークを有することにより特徴付けられる、請求項1記載の多型。
形態Gが、Cu Kα線照射を用いて5.8±0.2、10.8±0.2、14.9±0.2、16.3±0.2、17.7±0.2、22.1±0.2、23.1±0.2、23.7±0.2、24.5±0.2および26.5±0.2°2θにおいてX線粉末回折ピークを有することにより特徴付けられる、請求項1記載の多型。
形態Hが、Cu Kα線照射を用いて6.1±0.2、10.1±0.2、10.9±0.2、12.4±0.2、15.7±0.2、15.9±0.2、16.4±0.2、20.4±0.2、20.8±0.2および22.8±0.2°2θにおいてX線粉末回折ピークを有することにより特徴付けられる、請求項1記載の多型。
形態Iが、Cu Kα線照射を用いて5.2±0.2、6.2±0.2、10.5±0.2、11.1±0.2、13.6±0.2、20.2±0.2、22.0±0.2、22.3±0.2、23.0±0.2および23.8±0.2°2θにおいてX線粉末回折ピークを有することにより特徴付けられる、請求項1記載の多型。
形態Jが、Cu Kα線照射を用いて14.6±0.2、17.0±0.2、19.7±0.2、20.4±0.2、21.9±0.2、22.8±0.2、24.8±0.2、25.3±0.2、26.7±0.2および27.7±0.2°2θにおいてX線粉末回折ピークを有することにより特徴付けられる、請求項1記載の多型。
形態Kが、Cu Kα線照射を用いて4.1±0.2、9.2±0.2、10.0±0.2、15.7±0.2、17.5±0.2、19.3±0.2、20.0±0.2、21.5±0.2、23.2±0.2および23.8±0.2°2θにおいてX線粉末回折ピークを有することにより特徴付けられる、請求項1記載の多型。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図3】化合物A遊離塩基の形態1、2および3のXRPD
【
図4】化合物A遊離塩基の形態1のXRPD。(A) 40℃および75% RHでの1週間の貯蔵前後の化合物A遊離塩基の形態1のXRPD比較; (B) 25℃および96% RHでの1週間の貯蔵前後の化合物A遊離塩基の形態1のXRPD比較; (C) GVS前後の化合物A遊離塩基の形態1のXRPD比較
【
図7A】化合物A遊離塩基の
1H NMR。形態1 DCM溶媒和物
【
図7C】化合物A遊離塩基の
1H NMR。形態1 MEK溶媒和物
【
図8】化合物A遊離塩基の形態1のDSCおよびTGA温度自記記録
【
図9】化合物A遊離塩基の半THF溶媒和物の構造表示
【
図10】化合物A遊離塩基の半THF溶媒和物の結晶像
【
図11】化合物A遊離塩基の半THF溶媒和物の水素結合二量体
【
図12】化合物A遊離塩基の半THF溶媒和物の二量体の水素結合鎖
【
図13】b-結晶軸の下に見た単位格子内の化合物A遊離塩基の半THF溶媒和物の充填
【
図14】化合物A遊離塩基の半THF溶媒和物の模擬XRPD
【
図17】化合物A モノHCl塩(A)およびビスHCl塩(B)の多型のXRPD
【
図20】乾燥前(A)および乾燥後(B)の化合物A HCl塩の
1H NMR
【
図21】化合物A HCl塩のDSCおよびTGA温度自記記録
【
図22】貯蔵後の化合物AトリスHCl塩のXRPD
【
図25A】化合物Aメタンスルホン酸塩のXRPD。40℃および75% RHでの貯蔵前および貯蔵後(上の3つの曲線は貯蔵後XRPDを示している; 中央の3つの曲線は貯蔵前XRPDを示している; および下の曲線は化合物A遊離塩基のXRPDを示している)
【
図25B】化合物Aメタンスルホン酸塩のXRPD。GVS前およびGVS後(下の曲線はGVS前 XRPDを示している)
【
図25C】化合物Aメタンスルホン酸塩のXRPD。40℃および75% RHでの貯蔵前および貯蔵後(下の曲線は貯蔵前XRPDを示している)
【
図26】化合物Aメタンスルホン酸塩のGVS。(A) 動力学的プロット、(B) 等温線プロット
【
図28】化合物Aメタンスルホン酸塩の
1H NMR
【
図29】化合物Aメタンスルホン酸塩のDSCおよびTGA温度自記記録
【
図30】凍結乾燥された化合物Aビスメタンスルホン酸塩のXRPD
【
図31】凍結乾燥された化合物Aビスメタンスルホン酸塩の
1H NMR
【
図32】化合物Aメタンスルホン酸塩の形態AのXRPD
【
図33】化合物Aメタンスルホン酸塩の形態Aの
1H NMR
【
図34】化合物Aメタンスルホン酸塩の形態AのDSC
【
図35】化合物Aメタンスルホン酸塩の形態AのTGA
【
図36】化合物Aメタンスルホン酸塩の形態AのIR
【
図37】化合物Aメタンスルホン酸塩の形態BのXRPD
【
図38】化合物Aメタンスルホン酸塩の形態Bの
1H NMR
【
図39】化合物Aメタンスルホン酸塩の形態BのDSC
【
図40】化合物Aメタンスルホン酸塩の形態BのTGA
【
図41】化合物Aメタンスルホン酸塩の形態BのIR
【
図42】化合物Aメタンスルホン酸塩の形態CのXRPD
【
図43】化合物Aメタンスルホン酸塩の形態Cの
1H NMR
【
図44】化合物Aメタンスルホン酸塩の形態CのDSC
【
図45】化合物Aメタンスルホン酸塩の形態CのTGA
【
図46】化合物Aメタンスルホン酸塩の形態CのIR
【
図47A】化合物Aメタンスルホン酸塩の形態AのDSC
【
図47B】化合物Aメタンスルホン酸塩の形態BのDSC
【
図47C】化合物Aメタンスルホン酸塩の形態Aおよび形態BのDSCの重ね合わせ
【
図48】加熱前後の化合物Aメタンスルホン酸塩の形態BのXRPD
【
図62】化合物A L-アスコルビン酸塩のXRPD
【
図65】40℃および75% RHで貯蔵前および貯蔵後の化合物A HCl塩のXRPD (4対の曲線が示されており、各曲線対の下側の曲線が貯蔵前XRPDを示す)
【
図66】40℃および75% RHで貯蔵前および貯蔵後の化合物A硫酸塩のXRPD (下側の曲線が貯蔵前XRPDを示す)
【
図67】40℃および75% RHで貯蔵前および貯蔵後の化合物Aメタンスルホン酸塩のXRPD (4対の曲線が示されており、各曲線対の下側の曲線が貯蔵前XRPDを示す)
【
図68】40℃および75% RHで貯蔵前および貯蔵後の化合物Aマレイン酸塩のXRPD (3対の曲線が示されており、各曲線対の下側の曲線が貯蔵前XRPDを示す)
【
図69】40℃および75% RHで貯蔵前および貯蔵後の化合物Aリン酸塩のXRPD (5対の曲線が示されており、各曲線対の下側の曲線が貯蔵前XRPDを示す)
【
図70】40℃および75% RHで貯蔵前および貯蔵後の化合物A L-酒石酸塩のXRPD (下側の曲線が貯蔵前XRPDを示す)
【
図71】40℃および75% RHで貯蔵前および貯蔵後の化合物A粘液酸塩のXRPD (2対の曲線が示されており、各曲線対の下側の曲線が貯蔵前XRPDを示す)
【
図72】40℃および75% RHで貯蔵前および貯蔵後の化合物Aクエン酸塩のXRPD (下側の曲線が貯蔵前XRPDを示す)
【
図73】40℃および75% RHで貯蔵前および貯蔵後の化合物A D-グルクロン酸塩のXRPD (下側の曲線が貯蔵前XRPDを示す)
【
図74】40℃および75% RHで貯蔵前および貯蔵後の化合物A馬尿酸塩のXRPD (2対の曲線が示されており、各曲線対の下側の曲線が貯蔵前XRPDを示す)
【
図75】40℃および75% RHで貯蔵前および貯蔵後の化合物A D-グルコン酸塩のXRPD (下側の曲線が貯蔵前XRPDを示す)
【
図76】40℃および75% RHで貯蔵前および貯蔵後の化合物A L-乳酸塩のXRPD (3対の曲線が示されており、各曲線対の下側の曲線が貯蔵前XRPDを示す)
【
図77】40℃および75% RHで貯蔵前および貯蔵後の化合物A L-アスコルビン酸塩のXRPD (下側の曲線が貯蔵前XRPDを示す)
【
図78】40℃および75% RHで貯蔵前および貯蔵後の化合物Aコハク酸塩のXRPD (下側の曲線が貯蔵前XRPDを示す)
【
図79】40℃および75% RHで貯蔵前および貯蔵後の化合物A酢酸塩のXRPD (3対の曲線が示されており、各曲線対の下側の曲線が貯蔵前XRPDを示す)
【
図80】THF (A)、酢酸エチル(B)およびエタノール(C)由来の化合物AモノHCl塩、ならびにエタノール由来の化合物AビスHCl塩(D)の
1H NMR
【
図81】エタノール由来の化合物Aビス硫酸塩の
1H NMR
【
図82】THF (A)、酢酸エチル(B)およびエタノール(C)由来の化合物Aモノメタンスルホン酸塩、ならびにTHF由来の化合物Aビスメタンスルホン酸塩(D)の
1H NMR
【
図83-1】酢酸エチル(A)およびエタノール(B)由来の化合物Aモノマレイン酸塩、ならびにTHF由来の化合物Aビスマレイン酸塩(C)の
1H NMR
【
図84】THF (A)、酢酸エチル(B)およびエタノール(C)由来の化合物Aモノリン酸塩、ならびに酢酸エチル(D)およびエタノール(E)由来の化合物Aビスリン酸塩の
1H NMR
【
図85】THF由来の化合物Aモノ酒石酸塩の
1H NMR
【
図86】酢酸エチル(A)およびエタノール(B)由来の化合物Aモノ粘液酸塩の
1H NMR
【
図87】エタノール由来の化合物Aモノクエン酸塩の
1H NMR
【
図88】THF由来の化合物A D-グルクロン酸塩の
1H NMR
【
図89】酢酸エチル(A)およびエタノール(B)由来の化合物Aモノ馬尿酸塩の
1H NMR
【
図90】THF由来の化合物A D-グルコン酸塩の
1H NMR
【
図91】THF由来の化合物A L-アスコルビン酸塩の
1H NMR
【
図92】エタノール由来の化合物Aコハク酸塩の
1H NMR
【
図93】THF (A)、酢酸エチル(B)およびエタノール(C)由来の化合物Aモノ-L乳酸塩の
1H NMR
【
図94】THF (A)、酢酸エチル(B)およびエタノール(C)由来の化合物Aモノ酢酸塩の
1H NMR
【
図95】40℃および75% RHで貯蔵前および貯蔵後の(A) 化合物A硫酸塩、および(B) 化合物A硫酸塩のXRPD (上の3つの曲線は貯蔵後XRPDを示している; 中央の3つの曲線は貯蔵前XRPDを示している; および下の曲線は化合物A遊離塩基のXRPDを示している)
【
図96】形態A化合物Aビスメシル酸塩−XRPD分析: 水和スクリーン(Hydration Screen)およびスケールアップ(Scale-Up)
【
図97】形態A化合物Aビスメシル酸塩−PLM分析
【
図98】形態A化合物Aビスメシル酸塩−TG/DTA分析
【
図99】形態A化合物Aビスメシル酸塩−DSC分析
【
図100】形態A化合物Aビスメシル酸塩−XRPD分析: 150℃まで加熱した後の形態Aと比較した形態A
【
図101】形態A化合物Aビスメシル酸塩−DVS分析
【
図102】形態A化合物Aビスメシル酸塩−XRPD分析: DVS後分析
【
図103】形態A化合物Aビスメシル酸塩−XRPD分析: 脱イオン水中のスラリー
【
図104】形態A化合物Aビスメシル酸塩−HPLC純度分析
【
図105】形態A化合物Aビスメシル酸塩−HPLC純度: 40℃および75% RHでの安定性研究
【
図106】形態A化合物Aビスメシル酸塩−HPLC純度: 周囲温度での安定性研究
【
図107】形態A化合物Aビスメシル酸塩−HPLC純度: 80℃での安定性研究
【
図108】形態A化合物Aビスメシル酸塩−XRPD分析: 40℃および75% RH、周囲温度、ならびに80℃での安定性試験
【
図109】形態A化合物Aビスメシル酸塩−
1H NMR分光法
【
図110】形態A化合物Aビスメシル酸塩−XRPD
【
図111】形態A化合物Aビスメシル酸塩−XRPD−ピークを表示した
【
図112】形態A化合物Aビスメシル酸塩−XRPD−ピークリスト
【
図113】形態B化合物Aビスメシル酸塩−XRPD分析: 水和スクリーンおよびスケールアップ
【
図114】形態B化合物Aビスメシル酸塩−PLM分析
【
図115】形態B化合物Aビスメシル酸塩−TG/DTA分析: 2〜3日間風乾後
【
図116】形態B化合物Aビスメシル酸塩−TG/DTA分析: 1日間真空下で乾燥後
【
図117】形態B化合物Aビスメシル酸塩−TG/DTA分析: さらなる日の間50℃で乾燥後
【
図118】形態B化合物Aビスメシル酸塩−DSC分析
【
図119】形態B化合物Aビスメシル酸塩−XRPD分析: 形態Aを形態Bと比較し、250℃まで加熱した後の形態Bと比較した
【
図120】形態B化合物Aビスメシル酸塩−DVS分析
【
図121】形態B化合物Aビスメシル酸塩−XRPD分析: DVS後分析
【
図122】形態B化合物Aビスメシル酸塩−XRPD分析: 脱イオン水中のスラリー
【
図123】形態B化合物Aビスメシル酸塩−HPLC純度分析
【
図124】形態B化合物Aビスメシル酸塩−HPLC純度: 40℃および75% RHでの安定性研究
【
図125】形態B化合物Aビスメシル酸塩−HPLC純度: 周囲温度での安定性研究
【
図126】形態B化合物Aビスメシル酸塩−HPLC純度: 80℃での安定性研究
【
図127】形態B化合物Aビスメシル酸塩−XRPD分析: 安定性試験 - 40℃および75% RH、周囲温度、ならびに80℃での形態Bと比較した形態B、IおよびJ
【
図128】形態B化合物Aビスメシル酸塩−
1H NMR分光法
【
図129】形態B化合物Aビスメシル酸塩−XRPD
【
図130】形態B化合物Aビスメシル酸塩−XRPD−ピークを表示した
【
図131】形態B化合物Aビスメシル酸塩−XRPD−ピークリスト
【
図132】形態C化合物Aビスメシル酸塩−XRPD分析
【
図133】形態C化合物Aビスメシル酸塩−PLM分析
【
図134】形態C化合物Aビスメシル酸塩−TG/DTA分析
【
図135】形態C化合物Aビスメシル酸塩−DSC分析
【
図136】形態C化合物Aビスメシル酸塩−DVS分析
【
図137】形態C化合物Aビスメシル酸塩−XRPD分析: DVS後分析
【
図138】形態C化合物Aビスメシル酸塩−XRPD分析: 脱イオン水中のスラリー
【
図139】形態C化合物Aビスメシル酸塩−HPLC純度分析
【
図140】形態C化合物Aビスメシル酸塩−HPLC純度: 40℃および75% RHでの安定性研究
【
図141】形態C化合物Aビスメシル酸塩−HPLC純度: 周囲温度での安定性研究
【
図142】形態C化合物Aビスメシル酸塩−HPLC純度: 80℃での安定性研究
【
図143】形態C化合物Aビスメシル酸塩−XRPD分析: 安定性試験 - 40℃および75% RH、周囲温度、ならびに80℃での安定性試験
【
図144】形態C化合物Aビスメシル酸塩−
1H NMR分光法
【
図145】形態C化合物Aビスメシル酸塩−XRPD
【
図146】形態C化合物Aビスメシル酸塩−XRPD−ピークを表示した
【
図147】形態C化合物Aビスメシル酸塩−XRPD−ピークリスト
【
図148】-18℃での衝突(crash)冷却実験−さまざまな溶媒中における化合物Aビスメシル酸塩の固体状態のXRPD分析
【
図149】-18℃での急速冷却実験−さまざまな溶媒中における化合物Aビスメシル酸塩の固体状態のXRPD分析
【
図150】-18℃での急速冷却実験−化合物Aビスメシル酸塩の固体状態のPLM分析−アセトン:水(90:10)
【
図151】-18℃での急速冷却実験−化合物Aビスメシル酸塩の固体状態のPLM分析−アセトン:水(50:50)、1,4-ジオキサン:水(80:20)およびエタノール
【
図152】-18℃での急速冷却実験−化合物Aビスメシル酸塩の固体状態のPLM分析−エタノール:水(50:50)、メタノールおよびメタノール:水(98:2)
【
図153】-18℃での急速冷却実験−化合物Aビスメシル酸塩の固体状態のPLM分析−1-プロパノール:水(90:10)、1-プロパノール:水(50:50)および2-プロパノール:水(90:10)
【
図154】-18℃での急速冷却実験−化合物Aビスメシル酸塩の固体状態のPLM分析−テトラヒドロフラン:水(70:30)
【
図155】緩徐冷却実験(0.3℃/分で60℃から5℃まで)−さまざまな溶媒中における化合物Aビスメシル酸塩の固体状態のXRPD分析
【
図156】緩徐冷却実験(0.3℃/分で60℃から5℃まで)−さまざまな溶媒中における化合物Aビスメシル酸塩の固体状態のXRPD分析
【
図157】緩徐冷却実験(0.3℃/分で60℃から5℃まで)−化合物Aビスメシル酸塩の固体状態のPLM分析−アセトン:水(90:10)、1,4-ジオキサン:水(80:20)、およびエタノール:水(90:10)
【
図158】緩徐冷却実験(0.3℃/分で60℃から5℃まで)−化合物Aビスメシル酸塩の固体状態のPLM分析−エタノール:水(50:50)、メタノールおよびメタノール:水(98:2)
【
図159】緩徐冷却実験(0.3℃/分で60℃から5℃まで)−化合物Aビスメシル酸塩の固体状態のPLM分析−メタノール:水(80:20)、1-プロパノールおよび1-プロパノール:水(90:10)
【
図160】緩徐冷却実験(0.3℃/分で60℃から5℃まで)−化合物Aビスメシル酸塩の固体状態のPLM分析−1-プロパノール:水(50:50)、2-プロパノール:水(50:50)およびテトラヒドロフラン:水(70:30)
【
図161】さまざまな溶媒中における周囲温度での抗溶媒(アセトン)添加実験−化合物Aビスメシル酸塩の固体状態のXRPD分析
【
図162】さまざまな溶媒中における周囲温度での抗溶媒(アセトン)添加実験−化合物Aビスメシル酸塩の固体状態のXRPD分析
【
図163】さまざまな溶媒中における周囲温度での抗溶媒(アセトン)添加実験−化合物Aビスメシル酸塩の固体状態のPLM分析−アセトン:水(90:10)、アセトン:水(50:50)およびアセトニトリル:水(90:10)
【
図164】さまざまな溶媒中における周囲温度での抗溶媒(アセトン)添加実験−化合物Aビスメシル酸塩の固体状態のPLM分析−アセトニトリル:水(50:50)、ジメチルスルホキシドおよび1,4-ジオキサン:水(80:20)
【
図165】さまざまな溶媒中における周囲温度での抗溶媒(アセトン)添加実験−化合物Aビスメシル酸塩の固体状態のPLM分析−エタノール:水(90:10)、エタノール:水(50:50)およびメタノール
【
図166】さまざまな溶媒中における周囲温度での抗溶媒(アセトン)添加実験−化合物Aビスメシル酸塩の固体状態のPLM分析−メタノール:水(98:2)、メタノール:水(80:20)および1-プロパノール:水(90:10)
【
図167】さまざまな溶媒中における周囲温度での抗溶媒(アセトン)添加実験−化合物Aビスメシル酸塩の固体状態のPLM分析−1-プロパノール:水(50:50)、2-プロパノール:水(90:10)および2-プロパノール:水(50:50)
【
図168】さまざまな溶媒中における周囲温度での抗溶媒(アセトン)添加実験−化合物Aビスメシル酸塩の固体状態のPLM分析−テトラヒドロフラン:水(70:30)および水
【
図169】さまざまな溶媒からの蒸発実験−化合物Aビスメシル酸塩の固体状態のXRPD分析
【
図170】さまざまな溶媒からの蒸発実験−化合物Aビスメシル酸塩の固体状態のXRPD分析
【
図171】さまざまな溶媒からの蒸発実験−化合物Aビスメシル酸塩の固体状態のPLM分析−アセトン:水(95:5)、アセトン:水(90:10)およびアセトン:水(50:50)
【
図172】さまざまな溶媒からの蒸発実験−化合物Aビスメシル酸塩の固体状態のPLM分析−アセトニトリル:水(90:10)、アセトニトリル:水(50:50)、1,4-ジオキサン:水(80:20)
【
図173】さまざまな溶媒からの蒸発実験−化合物Aビスメシル酸塩の固体状態のPLM分析−エタノール、エタノール:水(50:50)およびメタノール
【
図174】さまざまな溶媒からの蒸発実験−化合物Aビスメシル酸塩の固体状態のPLM分析−メタノール:水(98:2)、メタノール:水(80:20)および1-プロパノール:水(90:10)
【
図175】さまざまな溶媒からの蒸発実験−化合物Aビスメシル酸塩の固体状態のPLM分析−1-プロパノール:水(50:50)、2-プロパノール:水(98:2)および2-プロパノール:水(90:10)
【
図176】さまざまな溶媒からの蒸発実験−化合物Aビスメシル酸塩の固体状態のPLM分析−2-プロパノール:水(50:50)、テトラヒドロフラン:水(95:5)およびテトラヒドロフラン:水(70:30)
【
図177】さまざまな溶媒からの蒸発実験−化合物Aビスメシル酸塩の固体状態のPLM分析−水
【
図178】水和スクリーン実験−アセトンおよびアセトニトリル中10℃での化合物Aビスメシル酸塩の固体状態の低濃度スラリーのXRPD分析
【
図179】水和スクリーン実験−2-プロパノール中10℃での化合物Aビスメシル酸塩の固体状態の低濃度スラリーのXRPD分析
【
図180】水和スクリーン実験−アセトンおよびアセトニトリル中10℃での化合物Aビスメシル酸塩の固体状態の高濃度スラリーのXRPD分析
【
図181】水和スクリーン実験−2-プロパノール中10℃での化合物Aビスメシル酸塩の固体状態の高濃度スラリーのXRPD分析
【
図182】水和スクリーン実験−アセトンおよびアセトニトリル中25℃での化合物Aビスメシル酸塩の固体状態の低濃度スラリーのXRPD分析
【
図183】水和スクリーン実験−2-プロパノール中25℃での化合物Aビスメシル酸塩の固体状態の低濃度スラリーのXRPD分析
【
図184】水和スクリーン実験−アセトンおよびアセトニトリル中25℃での化合物Aビスメシル酸塩の固体状態の高濃度スラリーのXRPD分析
【
図185】水和スクリーン実験−2-プロパノール中25℃での化合物Aビスメシル酸塩の固体状態の高濃度スラリーのXRPD分析
【
図186】水和スクリーン実験−アセトンおよびアセトニトリル中50℃での化合物Aビスメシル酸塩の固体状態の低濃度スラリーのXRPD分析
【
図187】水和スクリーン実験−2-プロパノール中50℃での化合物Aビスメシル酸塩の固体状態の低濃度スラリーのXRPD分析
【
図188】水和スクリーン実験−アセトンおよびアセトニトリル中50℃での化合物Aビスメシル酸塩の固体状態の高濃度スラリーのXRPD分析
【
図189】水和スクリーン実験−2-プロパノール中50℃での化合物Aビスメシル酸塩の固体状態の高濃度スラリーのXRPD分析
【
図190】形態D化合物Aビスメシル酸塩−XRPD分析: 水和スクリーンおよびスケールアップ
【
図191】形態D化合物Aビスメシル酸塩−PLM分析
【
図192】形態D化合物Aビスメシル酸塩−約3日間周囲温度にて風乾後のTG/DTA分析
【
図193】形態D化合物Aビスメシル酸塩−1日間周囲温度にて真空下で乾燥後のTG/DTA分析
【
図194】形態D化合物Aビスメシル酸塩−DSC分析
【
図195】形態D化合物Aビスメシル酸塩−XRPD分析: 150℃まで加熱した後の形態A、形態D、形態I、形態D、および260℃まで加熱した後の形態D
【
図196】形態D化合物Aビスメシル酸塩−DVS分析
【
図197】形態D化合物Aビスメシル酸塩−XRPD分析: DVS後分析
【
図198】形態D化合物Aビスメシル酸塩−XRPD分析: 脱イオン水中のスラリー
【
図199】形態D化合物Aビスメシル酸塩−HPLC純度分析
【
図200】形態D化合物Aビスメシル酸塩−HPLC純度: 40℃および75% RHでの安定性研究
【
図201】形態D化合物Aビスメシル酸塩−HPLC純度: 周囲温度での安定性研究
【
図202】形態D化合物Aビスメシル酸塩−HPLC純度: 80℃での安定性研究
【
図203】形態D化合物Aビスメシル酸塩−XRPD分析: 40℃および75% RH、周囲温度、ならびに80℃での安定性試験
【
図204】形態D化合物Aビスメシル酸塩−
1H NMR分光法
【
図205】形態E化合物Aビスメシル酸塩−XRPD分析: 水和スクリーンおよびスケールアップ
【
図206】形態E化合物Aビスメシル酸塩−PLM分析
【
図207】形態E化合物Aビスメシル酸塩−約3日間周囲温度にて風乾後のTG/DTA分析
【
図208】形態E化合物Aビスメシル酸塩−さらに約1日間周囲温度にて真空下で乾燥後のTG/DTA分析
【
図209】形態E化合物Aビスメシル酸塩−加熱実験(150℃)後のTG/DTA分析
【
図210】形態E化合物Aビスメシル酸塩−DSC分析
【
図211】形態E化合物Aビスメシル酸塩−XRPD分析: 形態A、形態E、150℃まで加熱した後の形態E、および260℃まで加熱した後の形態E
【
図212】形態E化合物Aビスメシル酸塩−DVS分析
【
図213】形態E化合物Aビスメシル酸塩−XRPD分析: DVS後分析
【
図214】形態E化合物Aビスメシル酸塩−XRPD分析: 脱イオン水中のスラリー
【
図215】形態E化合物Aビスメシル酸塩−HPLC純度分析
【
図216】形態E化合物Aビスメシル酸塩−HPLC純度: 40℃および75% RHでの安定性研究
【
図217】形態E化合物Aビスメシル酸塩−HPLC純度: 周囲温度での安定性研究
【
図218】形態E化合物Aビスメシル酸塩−HPLC純度: 80℃での安定性研究
【
図219】形態E化合物Aビスメシル酸塩−XRPD分析: 40℃および75% RH、周囲温度、ならびに80℃での安定性試験
【
図220】形態E化合物Aビスメシル酸塩−
1H NMR分光法
【
図221】形態F化合物Aビスメシル酸塩−TG/DTA分析
【
図222】形態G化合物Aビスメシル酸塩−TG/DTA分析
【
図223】形態H化合物Aビスメシル酸塩−TG/DTA分析
【
図224】形態I化合物Aビスメシル酸塩−XRPD分析: 水和スクリーンおよびスケールアップ
【
図225】形態I化合物Aビスメシル酸塩−PLM分析
【
図226】形態I化合物Aビスメシル酸塩−TG/DTA分析
【
図227】形態I化合物Aビスメシル酸塩−DSC分析
【
図228】形態I化合物Aビスメシル酸塩−DVS分析
【
図229】形態I化合物Aビスメシル酸塩−XRPD分析: DVS後分析
【
図230】形態I化合物Aビスメシル酸塩−XRPD分析: 脱イオン水中のスラリー
【
図231】形態I化合物Aビスメシル酸塩−HPLC純度分析
【
図232】形態I化合物Aビスメシル酸塩−HPLC純度: 40℃および75% RHでの安定性研究
【
図233】形態I化合物Aビスメシル酸塩−HPLC純度: 周囲温度での安定性研究
【
図234】形態I化合物Aビスメシル酸塩−HPLC純度: 80℃での安定性研究
【
図235】形態I化合物Aビスメシル酸塩−XRPD分析: 40℃および75% RH、周囲温度、ならびに80℃での安定性試験
【
図236】形態I化合物Aビスメシル酸塩−
1H NMR分光法
【
図237】形態J化合物Aビスメシル酸塩−XRPD分析
【
図238】形態J化合物Aビスメシル酸塩−TG/DTA分析
【
図239】形態D化合物Aビスメシル酸塩−XRPD
【
図240】形態D化合物Aビスメシル酸塩−XRPD−ピークを表示した
【
図241】形態D化合物Aビスメシル酸塩−XRPD−ピークリスト
【
図242】形態E化合物Aビスメシル酸塩−XRPD
【
図243】形態E化合物Aビスメシル酸塩−XRPD−ピークを表示した
【
図244】形態E化合物Aビスメシル酸塩−XRPD−ピークリスト
【
図245】形態F化合物Aビスメシル酸塩−XRPD
【
図246】形態F化合物Aビスメシル酸塩−XRPD−ピークを表示した
【
図247】形態F化合物Aビスメシル酸塩−XRPD−ピークリスト
【
図248】形態G化合物Aビスメシル酸塩−XRPD
【
図249】形態G化合物Aビスメシル酸塩−XRPD−ピークを表示した
【
図250】形態G化合物Aビスメシル酸塩−XRPD−ピークリスト
【
図251】形態H化合物Aビスメシル酸塩−XRPD
【
図252】形態H化合物Aビスメシル酸塩−XRPD−ピークを表示した
【
図253】形態H化合物Aビスメシル酸塩−XRPD−ピークリスト
【
図254】形態I化合物Aビスメシル酸塩−XRPD
【
図255】形態I化合物Aビスメシル酸塩−XRPD−ピークを表示した
【
図256】形態I化合物Aビスメシル酸塩−XRPD−ピークリスト
【
図257】形態J化合物Aビスメシル酸塩−XRPD
【
図258】形態J化合物Aビスメシル酸塩−XRPD−ピークを表示した
【
図259】形態J化合物Aビスメシル酸塩−XRPD−ピークリスト
【
図260】形態K化合物Aビスメシル酸塩−XRPD
【
図261】形態K化合物Aビスメシル酸塩−XRPD−ピークを表示した
【
図262】形態K化合物Aビスメシル酸塩−XRPD−ピークリスト
【
図263】多型スクリーン、水和スクリーンおよびスケールアップ評価の間に同定された化合物Aビスメシル酸塩の全ての多型形態のXRPD比較
【発明を実施するための形態】
【0044】
詳細な説明
化合物A遊離塩基の多型
化合物Aを溶解させ、次いで下記の溶媒またはその混合物から結晶化させて、本出願の多型形態を得ることができる。いくつかの態様において、化合物A遊離塩基の多型は、化合物A遊離塩基を溶媒または溶媒の混合物に溶解させて溶液を形成させ、化合物A遊離塩基を該溶液から単離することによって調製される。本出願の特定の態様において、溶媒またはその混合物を蒸発させて、化合物A遊離塩基の多型を生成させる。化合物A遊離塩基の多型を調製するのに適した溶媒は、DCM、THF、ジオキサン、酢酸エチル、エタノール、IPAc、IPA、MEK、アセトン、アセトニトリル、ニトロメタン、水、およびその混合物を含むが、これらに限定されることはない。特定の態様において、化合物A遊離塩基の多型を調製するのに適した溶媒は、DCM、IPA、MEK、アセトン、THF、IPAc、アセトニトリル、ジオキサン、酢酸エチル、およびエタノールである。例えば、化合物A遊離塩基を溶解させ、次いでDCM、IPA、MEK、アセトン、THF、IPAc、またはアセトニトリルから結晶化させる。溶媒は無水であってよく、またはさまざまな量の水(例えば、0.1〜0.5%、0.5〜1%、1〜5%、5〜10%、10〜20%、20〜30%、30〜40%、40〜50%、50〜60%、60〜70%、70〜80%および80〜90%)を含有してもよい。
【0045】
1つの態様において、化合物A遊離塩基の多型を調製するための方法は、化合物Aの溶解(dissolvation)中に溶液を加温する段階をさらに含む。例えば、溶液は20〜30℃、30〜40℃、40〜50℃、50〜60℃、60〜70℃、70〜80℃、80〜90℃、90〜100℃、100〜150℃もしくは150〜200℃、または200℃超まで加温することができる。1つの態様において、本方法は、化合物Aの溶解(dissolvation)中に溶液を撹拌する段階をさらに含む。例えば、溶液は少なくとも5分、10分、15分、20分、30分、60分、2時間、4時間、8時間、12時間、24時間、36時間または48時間撹拌することができる。1つの態様において、本方法は、溶液を冷却して該溶液からの化合物Aの単離を容易にする段階をさらに含む。例えば、溶液は100〜90℃、90〜80℃、80〜70℃、70〜60℃、60〜50℃、50〜40℃、40〜30℃、30〜20℃、20〜10℃もしくは10〜0℃、または0℃未満まで冷却することができる。1つの態様において、本方法は、溶液を蒸発させて該溶液からの化合物A遊離塩基の単離を容易にする段階をさらに含む。1つの態様において、本方法は、化合物Aシード多型を溶液に添加した後に化合物A遊離塩基を該溶液から単離する段階をさらに含む。1つの態様において、単離は化合物A遊離塩基を溶液からろ過する段階を含む。1つの態様において、単離は化合物A遊離塩基を乾燥させる段階をさらに含む。例えば、乾燥させる段階は、任意の適切な条件(例えば、適切な温度(例えば、0℃未満、0〜10℃、10〜20℃、20〜30℃、30〜40℃、40〜50℃、50〜60℃、60〜70℃、70〜80℃、80〜90℃、90〜100℃、100〜150℃もしくは150〜200℃、または200℃超)で行うことができる。
【0046】
1つの態様において、化合物A遊離塩基の多型は形態1である。いくつかの態様において、形態1はCu Kα線照射を用いておよそ22.0および25.0°2θにおいてX線粉末回折ピークを有する。いくつかの態様において、形態1はCu Kα線照射を用いておよそ8.3、17.1、22.0および25.0°2θにおいてX線粉末回折ピークを有する。いくつかの態様において、形態1はCu Kα線照射を用いておよそ8.3、9.5、12.9、14.1、15.2、16.6、17.1、19.2、19.4、19.6、21.2、22.0および25.0°2θにおいてX線粉末回折ピークを有する。1つの態様において、形態1は、
図2に示されたものと実質的に類似のX線粉末回折パターンを有する。
【0047】
1つの態様において、形態1は溶媒和物であることができる。いくつかの態様において、形態1はジクロロメタン(DCM)またはメチルエチルケトン(MEK)溶媒和物であることができる。さらなる態様において、形態1はDCM半溶媒和物またはMEK半溶媒和物であることができる。
【0048】
1つの態様において、形態1はIPA、MEKまたはアセトンから単離することができる。
【0049】
いくつかの態様において、形態1は150℃、140℃、130℃、120℃、100℃、90℃、80℃、70℃、60℃、50℃、40℃もしくは30℃の温度でまたは150℃、140℃、130℃、120℃、100℃、90℃、80℃、70℃、60℃、50℃、40℃もしくは30℃未満の温度で安定である。例えば、形態1は25℃で安定である。いくつかの態様において、形態1は50% RH、60% RH、70% RH、80% RHもしくは90% RHでまたは50% RH、60% RH、70% RH、80% RHもしくは90% RH超で安定である。例えば、形態1は0〜96% RHの範囲内で安定である。例えば、形態1は96% RHで安定である。
【0050】
1つの態様において、形態1は他の多型形態に変換することができる。例えば、形態1は、加熱されると、形態2に変換しうる。
【0051】
別の態様において、化合物A遊離塩基の多型は形態2である。いくつかの態様において、形態2はCu Kα線照射を用いておよそ18.4および19.3°2θにおいてX線粉末回折ピークを有する。いくつかの態様において、形態2はCu Kα線照射を用いておよそ15.8、18.4、19.3および20.1°2θにおいてX線粉末回折ピークを有する。いくつかの態様において、形態2はCu Kα線照射を用いておよそ8.3、8.8、11.6、13.3、15.8、18.4、19.3、20.1、20.9、21.4、23.2、25.9および26.6°2θにおいてX線粉末回折ピークを有する。1つの態様において、形態2は、
図3に示されたものと実質的に類似のX線粉末回折パターンを有する。
【0052】
いくつかの態様において、形態2は非溶媒和である。
【0053】
1つの態様において、形態2はIPAcまたはアセトニトリルから単離することができる。
【0054】
いくつかの態様において、形態2は250℃、240℃、230℃、220℃、210℃、200℃、190℃、180℃、170℃、160℃、150℃、140℃、130℃、120℃、100℃、90℃、80℃、70℃、60℃、50℃、40℃もしくは30℃の温度でまたは250℃、240℃、230℃、220℃、210℃、200℃、190℃、180℃、170℃、160℃、150℃、140℃、130℃、120℃、100℃、90℃、80℃、70℃、60℃、50℃、40℃もしくは30℃未満の温度で安定である。いくつかの態様において、形態2は50% RH、60% RH、70% RH、80% RHもしくは90% RHでまたは50% RH、60% RH、70% RH、80% RHもしくは90% RH超で安定である。例えば、形態2は0〜96% RHの範囲内で安定である。例えば、形態2は96% RHで安定である。
【0055】
1つの態様において、形態2は他の多型形態に変換することができる。例えば、形態2は、融解され、次いで冷却されると、形態3に変換しうる。
【0056】
別の態様において、化合物A遊離塩基の多型は形態3である。いくつかの態様において、形態3はCu Kα線照射を用いておよそ15.1および23.4°2θにおいてX線粉末回折ピークを有する。いくつかの態様において、形態3はCu Kα線照射を用いておよそ15.1、18.8、21.0および23.4°2θにおいてX線粉末回折ピークを有する。いくつかの態様において、形態3はCu Kα線照射を用いておよそ6.4、7.6、8.4、11.7、15.1、16.7、18.8、21.0および23.4°2θにおいてX線粉末回折ピークを有する。1つの態様において、形態3は、
図3に示されたものと実質的に類似のX線粉末回折パターンを有する。
【0057】
いくつかの態様において、形態3は非溶媒和である。
【0058】
いくつかの態様において、形態3は250℃、240℃、230℃、220℃、210℃、200℃、190℃、180℃、170℃、160℃、150℃、140℃、130℃、120℃、100℃、90℃、80℃、70℃、60℃、50℃、40℃もしくは30℃の温度でまたは250℃、240℃、230℃、220℃、210℃、200℃、190℃、180℃、170℃、160℃、150℃、140℃、130℃、120℃、100℃、90℃、80℃、70℃、60℃、50℃、40℃もしくは30℃未満の温度で安定である。いくつかの態様において、形態3は50% RH、60% RH、70% RH、80% RHもしくは90% RHでまたは50% RH、60% RH、70% RH、80% RHもしくは90% RH超で安定である。例えば、形態3は0〜96% RHの範囲内で安定である。例えば、形態3は96% RHで安定である。
【0059】
別の態様において、化合物A遊離塩基の多型は形態4である。いくつかの態様において、形態4はCu Kα線照射を用いておよそ17および23°2θにおいてX線粉末回折ピークを有する。いくつかの態様において、形態4はCu Kα線照射を用いておよそ15、17、23および26°2θにおいてX線粉末回折ピークを有する。いくつかの態様において、形態4はCu Kα線照射を用いておよそ8、14、15、17、22、23および26°2θにおいてX線粉末回折ピークを有する。1つの態様において、形態4は、
図14に示されたものと実質的に類似のX線粉末回折パターンを有する。
【0060】
1つの態様において、形態4は溶媒和物であることができる。いくつかの態様において、形態4はテトラヒドロフラン(THF)溶媒和物である。さらなる態様において、形態4はTHF半溶媒和物である。
【0061】
1つの態様において、形態4はTHFから単離することができる。例えば、形態4は、5%の水を含有するTHFから単離することができる。
【0062】
いくつかの態様において、形態4は250℃、240℃、230℃、220℃、210℃、200℃、190℃、180℃、170℃、160℃、150℃、140℃、130℃、120℃、100℃、90℃、80℃、70℃、60℃、50℃、40℃もしくは30℃の温度でまたは250℃、240℃、230℃、220℃、210℃、200℃、190℃、180℃、170℃、160℃、150℃、140℃、130℃、120℃、100℃、90℃、80℃、70℃、60℃、50℃、40℃もしくは30℃未満の温度で安定である。いくつかの態様において、形態4は50% RH、60% RH、70% RH、80% RHもしくは90% RHでまたは50% RH、60% RH、70% RH、80% RHもしくは90% RH超で安定である。例えば、形態4は0〜96% RHの範囲内で安定である。例えば、形態4は96% RHで安定である。
【0063】
化合物Aの塩
化合物A遊離塩基は3つのpKa値: 7.84、4.69および2.82を有する。化合物Aはモノ塩、ビス塩およびトリス塩を形成することができる。化合物Aと塩を形成する酸は、HCl、H
2SO
4、メタンスルホン酸、マレイン酸、リン酸、L-グルタミン酸、L-酒石酸、ガラクタル酸、クエン酸、D-グルクロン酸、馬尿酸、D-グルコン酸、L-乳酸、L-アスコルビン酸、コハク酸および酢酸を含むが、これらに限定されることはない。これらの酸は化合物A遊離塩基とモノ塩、ビス塩およびトリス塩を形成する。
【0064】
化合物Aの塩は適切な溶媒またはその混合物中で調製することができる。溶媒はTHF、ジオキサン、酢酸エチル、エタノール、酢酸イソプロピル(IPAc)、イソプロパノール(IPA)、MEK、アセトン、アセトニトリルおよびニトロメタンを含むが、これらに限定されることはない。適切な溶媒の選択において考慮すべき要因は、化合物A遊離塩基の溶解性、溶媒中での塩の安定性、塩の溶解性、および形成されるべき塩のタイプ(すなわち、モノ塩、ビス塩またはトリス塩)を含むが、これらに限定されることはない。
【0065】
化合物Aの塩は、適切な溶媒またはその混合物中で化合物A遊離塩基を酸と混合することによって形成させることができる。例えば、混合物を加熱して、化合物A遊離塩基の溶解または化合物A遊離塩基と酸との間の反応を容易にしてもよい。例えば、混合物を冷却して、望ましくない副反応を減少させても、または塩分解を低下させてもよい。反応に用いられる酸の量は、形成されるべき塩のタイプ(すなわち、モノ塩、ビス塩またはトリス塩)によって判定される。反応時間を調節して、反応を完了させてもよい。例えば、反応タイプは5分、10分、20分、30分、45分、60分、2時間、3時間、4時間、6時間、8時間、10時間、12時間、18時間、24時間、36時間、48時間、60時間または72時間であることができる。反応混合物を冷却して、塩の沈殿および単離を容易にしてもよい。
【0066】
化合物Aの塩は、単純ろ過または当技術分野において公知の他の精製法(例えば、HPLC)によって精製されうる。
【0067】
化合物Aの塩は、水溶性でありうる。例えば、化合物Aの塩の溶解性は、0.01〜0.05 mg/ml、0.05〜0.1 mg/ml、0.1〜0.5 mg/ml、0.5〜1.0 mg/ml、1〜5 mg/ml、5〜10 mg/ml、10〜20 mg/ml、20〜30 mg/ml、30〜40 mg/ml、40〜50 mg/ml、50〜75 mg/mlもしくは75〜100 mg/ml、または100 mg/ml超の範囲内でありうる。
【0068】
化合物Aの塩は非晶質または結晶質でありうる。化合物Aの塩は複数の多型を形成しうる。化合物Aの非晶質塩は多型に変換しうる。例えば、加熱によってまたは高湿度条件(例えば、50%超のRH)の下で、化合物Aの非晶質塩は結晶形態に変換しうる。非晶質塩はまた、対イオンを失い(例えば、トリス塩がビス塩および/またはモノ塩に変化し)、結晶形態に変換しうる。化合物Aの塩の多型は別の多型に変換しうる。
【0069】
化合物Aの塩の多型
化合物Aの塩の多型は、化合物A遊離塩基を酸または酸の溶液と混合することによって形成させることができる。いくつかの態様において、化合物Aの塩の多型は、化合物A遊離塩基を第1の溶媒に溶解させて第1の溶液を形成させる段階;酸を該第1の溶液と混合する段階によって、調製することができる。1つの態様において、酸を第1の溶液と混合する前に酸を第2の溶媒に溶解させて第2の溶液を形成させる。例えば、酸は、HCl、H
2SO
4、メタンスルホン酸、マレイン酸、リン酸、L-グルタミン酸、L-酒石酸、ガラクタル酸、クエン酸、D-グルクロン酸、馬尿酸、D-グルコン酸、L-乳酸、L-アスコルビン酸、コハク酸および酢酸を含むが、これらに限定されることはない。例えば、酸はHClまたはメタンスルホン酸である。
【0070】
1つの態様において、第1および第2の溶媒は同じものであり;別の態様において、第1および第2の溶媒は異なる。例えば、第1の溶媒は、THF、ジオキサン、酢酸エチル、エタノール、IPAc、IPA、MEK、アセトン、アセトニトリル、ニトロメタンおよびメタノールから選択される。溶媒は無水であってよく、またはさまざまな量の水(例えば、0.1〜0.5%、0.5〜1%、1〜5%、5〜10%、10〜20%、20〜30%、30〜40%、40〜50%、50〜60%、60〜70%、70〜80%および80〜90%)を含有してもよい。例えば、第1の溶媒はTHF、酢酸エチル、エタノールまたはメタノールである。例えば、第1の溶媒は、水(例えば、0.1〜0.5%、0.5〜1%、1〜5%、5〜10%、10〜20%)を含有するメタノールである。例えば、第2の溶媒は、THF、ジオキサン、酢酸エチル、エタノール、IPAc、IPA、MEK、アセトン、アセトニトリル、ニトロメタンおよびメタノールから選択される。例えば、第2の溶媒はTHF、酢酸エチル、エタノールまたはメタノールである。溶媒は無水であってよく、またはさまざまな量の水(例えば、0.1〜0.5%、0.5〜1%、1〜5%、5〜10%、10〜20%、20〜30%、30〜40%、40〜50%、50〜60%、60〜70%、70〜80%および80〜90%)を含有してもよい。例えば、第1の溶媒および第2の溶媒は、同じものであり、それぞれTHF、酢酸エチル、エタノールまたはメタノールである。
【0071】
1つの態様において、本方法は、第1の溶液を加温する段階をさらに含む。例えば、第1の溶液は20〜30℃、30〜40℃、40〜50℃、50〜60℃、60〜70℃、70〜80℃、80〜90℃、90〜100℃、100〜150℃もしくは150〜200℃、または200℃超まで加温することができる。
【0072】
1つの態様において、混合する段階は、酸または第2の溶液を第1の溶液に添加する段階を含み;別の態様において、混合する段階は、第1の溶液を酸または第2の溶液に添加する段階を含む。1つの態様において、混合する段階は、第3の溶液を形成させる。1つの態様において、混合する段階は、第1のスラリーを形成させる。1つの態様において、本方法は第3の溶液または第1のスラリーを加温する段階をさらに含む。例えば、第3の溶液または第1のスラリーは、20〜30℃、30〜40℃、40〜50℃、50〜60℃、60〜70℃、70〜80℃、80〜90℃、90〜100℃、100〜150℃もしくは150〜200℃、または200℃超まで加温することができる。1つの態様において、本方法は第3の溶液または第1のスラリーを撹拌する段階をさらに含む。例えば、撹拌する段階は少なくとも5分、10分、15分、20分、30分、60分、2時間、4時間、8時間、12時間、24時間、36時間または48時間続く。1つの態様において、本方法は第3の溶液または第1のスラリーを冷却する段階をさらに含む。例えば、第3の溶液または第1のスラリーは、100〜90℃、90〜80℃、80〜70℃、70〜60℃、60〜50℃、50〜40℃、40〜30℃、30〜20℃、20〜10℃もしくは10〜0℃、または0℃未満まで冷却することができる。1つの態様において、本方法は冷却する段階の後に、第3の溶液または第1のスラリーを撹拌する段階をさらに含む。例えば、撹拌する段階は少なくとも5分、10分、15分、20分、30分、60分、2時間、4時間、8時間、12時間、24時間、36時間または48時間続く。
【0073】
1つの態様において、本方法は第3の溶液を蒸発させる段階をさらに含む。
【0074】
1つの態様において、本方法は、シード多型を第3の溶液に添加して第2のスラリーを形成させる段階をさらに含む。1つの態様において、本方法は第2のスラリーを撹拌する段階をさらに含む。例えば、撹拌する段階は少なくとも5分、10分、15分、20分、30分、60分、2時間、4時間、8時間、12時間、24時間、36時間または48時間続く。1つの態様において、本方法は第2のスラリーを冷却する段階をさらに含む。例えば、第2のスラリーは、100〜90℃、90〜80℃、80〜70℃、70〜60℃、60〜50℃、50〜40℃、40〜30℃、30〜20℃、20〜10℃もしくは10〜0℃、または0℃未満まで冷却することができる。1つの態様において、本方法は冷却する段階の後に、第2のスラリーを撹拌する段階をさらに含む。例えば、撹拌する段階は少なくとも5分、10分、15分、20分、30分、60分、2時間、4時間、8時間、12時間、24時間、36時間または48時間続く。
【0075】
1つの態様において、本方法は第3の溶液、第1のスラリーまたは第2のスラリーをろ過する段階をさらに含む。ろ過する段階は任意の条件で行うことができる。例えば、乾燥させる段階は、周囲温度または他の適切な温度(例えば、適切な温度(例えば、0℃未満、0〜10℃、10〜20℃、20〜30℃、30〜40℃、40〜50℃、50〜60℃、60〜70℃、70〜80℃、80〜90℃、90〜100℃、100〜150℃もしくは150〜200℃、または200℃超)で行うことができる。1つの態様において、本方法は第3の溶液、第1のスラリーまたは第2のスラリーを乾燥させる段階をさらに含む。乾燥させる段階は、任意の適切な条件(例えば、適切な温度(例えば、0℃未満、0〜10℃、10〜20℃、20〜30℃、30〜40℃、40〜50℃、50〜60℃、60〜70℃、70〜80℃、80〜90℃、90〜100℃、100〜150℃もしくは150〜200℃、または200℃超)、適切な持続時間(例えば、5分、10分、20分、30分、60分、2時間、4時間、8時間、12時間および24時間未満)、ならびに圧力(例えば、大気圧および真空下))で行うことができる。
【0076】
別の態様において、化合物Aの塩の多型は、化合物A遊離塩基を第1の溶液に溶解させて化合物Aのスラリーを形成させる段階;酸を該化合物Aのスラリーに添加する段階によって、調製することができる。1つの態様において、酸を化合物Aのスラリーに添加する前に酸を第2の溶媒に溶解させて第2の溶液を形成させる。例えば、酸は、HCl、H
2SO
4、メタンスルホン酸、マレイン酸、リン酸、L-グルタミン酸、L-酒石酸、ガラクタル酸、クエン酸、D-グルクロン酸、馬尿酸、D-グルコン酸、L-乳酸、L-アスコルビン酸、コハク酸および酢酸を含むが、これらに限定されることはない。例えば、酸はHClまたはメタンスルホン酸である。
【0077】
1つの態様において、第1および第2の溶媒は同じものであり;別の態様において、第1および第2の溶媒は異なる。例えば、第1の溶媒は、THF、ジオキサン、酢酸エチル、エタノール、IPAc、IPA、MEK、アセトン、アセトニトリル、ニトロメタンおよびメタノールから選択される。溶媒は無水であってよく、またはさまざまな量の水(例えば、0.1〜0.5%、0.5〜1%、1〜5%、5〜10%、10〜20%、20〜30%、30〜40%、40〜50%、50〜60%、60〜70%、70〜80%および80〜90%)を含有してもよい。例えば、第1の溶媒はTHF、酢酸エチル、エタノールまたはメタノールである。例えば、第1の溶媒は、水(例えば、0.1〜0.5%、0.5〜1%、1〜5%、5〜10%、10〜20%)を含有するメタノールである。例えば、第2の溶媒は、THF、ジオキサン、酢酸エチル、エタノール、IPAc、IPA、MEK、アセトン、アセトニトリル、ニトロメタンおよびメタノールから選択される。例えば、第2の溶媒はTHF、酢酸エチル、エタノールまたはメタノールである。溶媒は無水であってよく、またはさまざまな量の水(例えば、0.1〜0.5%、0.5〜1%、1〜5%、5〜10%、10〜20%、20〜30%、30〜40%、40〜50%、50〜60%、60〜70%、70〜80%および80〜90%)を含有してもよい。例えば、第1の溶媒および第2の溶媒は、同じものであり、それぞれTHF、酢酸エチル、エタノールまたはメタノールである。
【0078】
1つの態様において、本方法は、化合物Aのスラリーを加温する段階をさらに含む。例えば、化合物Aのスラリーは20〜30℃、30〜40℃、40〜50℃、50〜60℃、60〜70℃、70〜80℃、80〜90℃、90〜100℃、100〜150℃もしくは150〜200℃、または200℃超まで加温することができる。例えば、化合物Aのスラリーは55℃まで加温することができる。
【0079】
1つの態様において、酸または第2の溶液を化合物Aのスラリーに添加する段階は、第3の溶液を形成させる。1つの態様において、酸または第2の溶液を化合物Aのスラリーに添加する段階は、第1のスラリーを形成させる。1つの態様において、本方法は第3の溶液または第1のスラリーを加温する段階をさらに含む。例えば、第3の溶液または第1のスラリーは、20〜30℃、30〜40℃、40〜50℃、50〜60℃、60〜70℃、70〜80℃、80〜90℃、90〜100℃、100〜150℃もしくは150〜200℃、または200℃超まで加温することができる。1つの態様において、本方法は第3の溶液または第1のスラリーを撹拌する段階をさらに含む。例えば、撹拌する段階は少なくとも5分、10分、15分、20分、30分、60分、2時間、4時間、8時間、12時間、24時間、36時間または48時間続く。1つの態様において、本方法は第3の溶液または第1のスラリーを冷却する段階をさらに含む。例えば、第3の溶液または第1のスラリーは、100〜90℃、90〜80℃、80〜70℃、70〜60℃、60〜50℃、50〜40℃、40〜30℃、30〜20℃、20〜10℃もしくは10〜0℃、または0℃未満まで冷却することができる。1つの態様において、本方法は冷却する段階の後に、第3の溶液または第1のスラリーを撹拌する段階をさらに含む。例えば、撹拌する段階は少なくとも5分、10分、15分、20分、30分、60分、2時間、4時間、8時間、12時間、24時間、36時間または48時間続く。
【0080】
1つの態様において、本方法は第3の溶液を蒸発させる段階をさらに含む。
【0081】
1つの態様において、本方法は、第3の溶媒を第3の溶液に添加して第2のスラリーを形成させる段階をさらに含む。例えば、第3の溶媒は、スラリーの形成を誘導する任意の溶媒であることができる。例えば、第3の溶媒は、THF、ジオキサン、酢酸エチル、エタノール、IPAc、IPA、MEK、アセトン、アセトニトリル、ニトロメタンおよびメタノールから選択される。第3の溶媒は無水であってよく、またはさまざまな量の水(例えば、0.1〜0.5%、0.5〜1%、1〜5%、5〜10%、10〜20%、20〜30%、30〜40%、40〜50%、50〜60%、60〜70%、70〜80%および80〜90%)を含有してもよい。例えば、第3の溶媒はIPAcである。
【0082】
1つの態様において、本方法は、シード多型を第3の溶液に添加して第3のスラリーを形成させる段階をさらに含む。1つの態様において、本方法は第2のスラリーまたは第3のスラリーを撹拌する段階をさらに含む。例えば、撹拌する段階は少なくとも5分、10分、15分、20分、30分、60分、2時間、4時間、8時間、12時間、24時間、36時間または48時間続く。1つの態様において、本方法は第2のスラリーまたは第3のスラリーを冷却する段階をさらに含む。例えば、第2のスラリーまたは第3のスラリーは、100〜90℃、90〜80℃、80〜70℃、70〜60℃、60〜50℃、50〜40℃、40〜30℃、30〜20℃、20〜10℃もしくは10〜0℃、または0℃未満まで冷却することができる。1つの態様において、本方法は冷却する段階の後に、第2のスラリーまたは第3のスラリーを撹拌する段階をさらに含む。例えば、撹拌する段階は少なくとも5分、10分、15分、20分、30分、60分、2時間、4時間、8時間、12時間、24時間、36時間または48時間続く。
【0083】
1つの態様において、本方法は第3の溶液、第1のスラリー、第2のスラリーまたは第3のスラリーをろ過する段階をさらに含む。ろ過する段階は任意の条件で行うことができる。例えば、乾燥させる段階は、周囲温度でまたは他の適切な温度(例えば、適切な温度(例えば、0℃未満、0〜10℃、10〜20℃、20〜30℃、30〜40℃、40〜50℃、50〜60℃、60〜70℃、70〜80℃、80〜90℃、90〜100℃、100〜150℃もしくは150〜200℃、または200℃超)で行うことができる。1つの態様において、本方法は第3の溶液、第1のスラリー、第2のスラリーまたは第3のスラリーを乾燥させる段階をさらに含む。乾燥させる段階は、任意の適切な条件(例えば、適切な温度(例えば、0℃未満、0〜10℃、10〜20℃、20〜30℃、30〜40℃、40〜50℃、50〜60℃、60〜70℃、70〜80℃、80〜90℃、90〜100℃、100〜150℃もしくは150〜200℃、または200℃超)、適切な持続時間(例えば、5分、10分、20分、30分、60分、2時間、4時間、8時間、12時間および24時間未満)、ならびに圧力(例えば、大気圧および真空下))で行うことができる。
【0084】
本出願は同様に、少なくとも部分的に、化合物Aメシル酸塩の多型に関する。1つの態様において、化合物Aメシル酸塩の多型は形態Aである。いくつかの態様において、形態AはCu Kα線照射を用いておよそ9.4および23.0°2θにおいてX線粉末回折ピークを有する。いくつかの態様において、形態AはCu Kα線照射を用いておよそ9.4、15.5、18.8および23.0°2θにおいてX線粉末回折ピークを有する。いくつかの態様において、形態AはCu Kα線照射を用いておよそ4.1、7.8、9.4、10.1、12.1、15.5、16.2、18.8、19.9、21.1、23.0、25.1および27.4°2θにおいてX線粉末回折ピークを有する。1つの態様において、形態Aは、
図32に示されたものと実質的に類似のX線粉末回折パターンを有する。
【0085】
1つの態様において、形態Aは化合物Aビスメシル酸塩である。
【0086】
いくつかの態様において、形態Aは350℃、325℃、300℃、275℃、250℃、200℃、150℃、100℃もしくは50℃の温度でまたは350℃、325℃、300℃、275℃、250℃、200℃、150℃、100℃もしくは50℃未満の温度で安定である。いくつかの態様において、形態Aは325℃でまたは325℃未満で安定である。いくつかの態様において、形態Aは50% RH、60% RH、70% RH、80% RHもしくは90% RHでまたは50% RH、60% RH、70% RH、80% RHもしくは90% RH超で安定である。例えば、形態Aは0〜96% RHの範囲内で安定である。
【0087】
いくつかの態様において、形態Aは鋭い吸熱を示し、305.9℃での開始温度および307.6℃での融解を伴う(
図34)。いくつかの態様において、形態Aは融解まで有意な重量損失を示さない(
図35)。
【0088】
1つの態様において、形態Aは、化合物A遊離塩基をTHFに溶解させる段階;メタンスルホン酸のTHF溶液を化合物A遊離塩基の溶液に添加して、スラリーを形成させる段階;および、該スラリーをろ過および乾燥させる段階により、生成させることができる。
【0089】
別の態様において、形態Aは、乾燥メタノールを化合物Aビスメシル酸塩の非晶質形態に添加してスラリーを調製することにより生成させることができる。スラリーを約22℃で約2日間撹拌させた後に、サンプルをろ過し、周囲温度で乾燥させた。
【0090】
1つの態様において、化合物Aメシル酸塩の多型は形態Bである。いくつかの態様において、形態BはCu Kα線照射を用いておよそ6.2および14.3°2θにおいてX線粉末回折ピークを有する。いくつかの態様において、形態BはCu Kα線照射を用いておよそ6.2、6.6、14.3および15.3°2θにおいてX線粉末回折ピークを有する。いくつかの態様において、形態BはCu Kα線照射を用いておよそ6.2、6.6、11.3、14.3、15.3、22.8および26.9°2θにおいてX線粉末回折ピークを有する。1つの態様において、形態Bは、
図37に示されたものと実質的に類似のX線粉末回折パターンを有する。
【0091】
1つの態様において、形態Bは化合物Aビスメシル酸塩である。
【0092】
いくつかの態様において、形態Bは210℃、205℃、200℃、150℃、100℃もしくは50℃の温度でまたは210℃、205℃、200℃、150℃、100℃もしくは50℃未満の温度で安定である。いくつかの態様において、形態Bは205℃でまたは205℃未満で安定である。いくつかの態様において、形態Bは50% RH、60% RH、70% RH、80% RHもしくは90% RHでまたは50% RH、60% RH、70% RH、80% RHもしくは90% RH超で安定である。例えば、形態Bは0〜96% RHの範囲内で安定である。
【0093】
いくつかの態様において、形態Bは幅広い吸熱を示し、182.6℃での開始温度および194.1℃での融解を伴う(
図39)。いくつかの態様において、形態Bは199.3℃の開始温度で発熱を示し、204.5℃においてピークを有する(
図39)。いくつかの態様において、形態Bは299.9℃の開始温度で第2の吸熱および302.3℃で第2の融解を示す(
図39)。いくつかの態様において、形態Bは複数の温度で重量損失を示す(
図40)。
【0094】
1つの態様において、形態Bは、化合物A遊離塩基を水メタノールに溶解させて第1のスラリーを形成させる段階;メタンスルホン酸を該第1のスラリーに添加して溶液を形成させる段階;IPAcを該溶液に添加して第2のスラリーを形成させる段階;および、該第2のスラリーをろ過および乾燥させる段階により、生成させることができる。例えば、メタンスルホン酸は純メタンスルホン酸である。例えば、水メタノールは2%の水を含有してもよい。
【0095】
別の態様において、形態Bは、0.35の水分活性を有する2-プロパノールを、化合物Aビスメシル酸塩の非晶質形態に添加してスラリーを調製することにより生成させることができる。スラリーを約22℃で約3日間撹拌させた後に、特徴付けに先立ってサンプルをろ過し、周囲温度で乾燥させた。
【0096】
1つの態様において、化合物Aメシル酸塩の多型は形態Cである。いくつかの態様において、形態CはCu Kα線照射を用いておよそ20.3および22.8°2θにおいてX線粉末回折ピークを有する。いくつかの態様において、形態CはCu Kα線照射を用いておよそ17.6、18.4、19.3、19.7、20.3および22.8°2θにおいてX線粉末回折ピークを有する。いくつかの態様において、形態CはCu Kα線照射を用いておよそ6.2、8.9、9.8、10.1、13.7、17.6、18.4、19.3、19.7、20.3、22.8および26.8°2θにおいてX線粉末回折ピークを有する。1つの態様において、形態Cは、
図42に示されたものと実質的に類似のX線粉末回折パターンを有する。
【0097】
1つの態様において、形態Cは化合物Aビスメシル酸塩である。
【0098】
いくつかの態様において、形態Cは400℃、375℃、350℃、325℃、300℃、275℃、250℃、200℃、150℃、100℃もしくは50℃の温度でまたは400℃、375℃、350℃、325℃、300℃、275℃、250℃、200℃、150℃、100℃もしくは50℃未満の温度で安定である。いくつかの態様において、形態Cは310℃でまたは310℃未満で安定である。いくつかの態様において、形態Cは50% RH、60% RH、70% RH、80% RHもしくは90% RHでまたは50% RH、60% RH、70% RH、80% RHもしくは90% RH超で安定である。例えば、形態Cは0〜96% RHの範囲内で安定である。
【0099】
いくつかの態様において、形態Cは鋭い吸熱を示し、286.1℃での開始温度および288.5℃での融解を伴う(
図44)。いくつかの態様において、形態Cは融解まで有意な重量損失を示さない(
図45)。
【0100】
1つの態様において、形態Cは、化合物A遊離塩基を水メタノールに溶解させて溶液を形成させる段階;メタンスルホン酸を該溶液に添加する段階;化合物Aメシル酸塩シード結晶(例えば、シード形態C結晶)を該溶液に添加してスラリーを形成させる段階;ならびに、該スラリーをろ過および乾燥させる段階により、生成させることができる。例えば、メタンスルホン酸は純メタンスルホン酸である。例えば、水メタノールは2%の水を含有してもよい。
【0101】
別の態様において、形態Cは、2%の水メタノールを形態Aに添加してスラリーを形成させる段階、スラリーを撹拌させる段階、ならびにスラリーをろ過および乾燥させる段階により、生成させることができる。
【0102】
当技術分野において周知であるように、機器および実験条件の変動のため、本出願の多型の特徴付けから(例えば、TGA、DSC、XRPD、PLMによって)得られた結果は、測定ごとにわずかな差異を有しうる。例えば、多型のX線粉末回折ピークは、測定ごとに変化しうる。つまり、測定ごとに、X線粉末回折ピークは、わずかに異なる数値を有しうる。しかしながら、多型のX線粉末回折パターン(例えば、ピークの位置、強度および形状)は、実質的に類似している(例えば、パターンの少なくとも80%、85%、90%または95%がお互いに一致する)。
【0103】
1つの態様において、形態AはCu Kα線照射を用いておよそ9.1および22.8°2θにおいてX線粉末回折ピークを有する。いくつかの態様において、形態AはCu Kα線照射を用いておよそ9.1、15.1、16.0、18.5、22.8および22.9°2θにおいてX線粉末回折ピークを有する。いくつかの態様において、形態AはCu Kα線照射を用いておよそ3.8、7.6、9.1、9.9、15.1、16.0、16.1、18.5、22.8、22.9および23.2°2θにおいてX線粉末回折ピークを有する。1つの態様において、形態Aは、
図110に示されたものと実質的に類似のX線粉末回折パターンを有する。1つの態様において、形態Aは、
図112に示されるようなX線粉末回折ピークを有する。
【0104】
1つの態様において、形態BはCu Kα線照射を用いておよそ6.0および14.6°2θにおいてX線粉末回折ピークを有する。いくつかの態様において、形態BはCu Kα線照射を用いておよそ6.0、6.4、11.1、14.6、15.1および23.7°2θにおいてX線粉末回折ピークを有する。いくつかの態様において、形態BはCu Kα線照射を用いておよそ6.0、6.4、11.1、14.6、15.1、17.3、22.5、22.7、23.7および27.0°2θにおいてX線粉末回折ピークを有する。1つの態様において、形態Bは、
図129に示されたものと実質的に類似のX線粉末回折パターンを有する。1つの態様において、形態Bは、
図131に示されるようなX線粉末回折ピークを有する。
【0105】
1つの態様において、形態CはCu Kα線照射を用いておよそ20.1および22.6°2θにおいてX線粉末回折ピークを有する。いくつかの態様において、形態CはCu Kα線照射を用いておよそ17.5、18.2、19.0、19.6、20.1および22.6°2θにおいてX線粉末回折ピークを有する。いくつかの態様において、形態CはCu Kα線照射を用いておよそ12.5、16.6、17.5、18.2、19.0、19.6、20.1、21.7、22.6、23.0、23.6、24.0、26.6および27.2°2θにおいてX線粉末回折ピークを有する。1つの態様において、形態Cは、
図145に示されたものと実質的に類似のX線粉末回折パターンを有する。1つの態様において、形態Cは、
図147に示されるようなX線粉末回折ピークを有する。
【0106】
1つの態様において、化合物Aメシル酸塩の多型は形態Dである。いくつかの態様において、形態DはCu Kα線照射を用いておよそ14.5および23.0°2θにおいてX線粉末回折ピークを有する。いくつかの態様において、形態DはCu Kα線照射を用いておよそ5.9、11.5、14.5、20.3および23.0°2θにおいてX線粉末回折ピークを有する。いくつかの態様において、形態DはCu Kα線照射を用いておよそ5.4、5.9、11.5、14.5、17.9、20.3、23.0、23.6、24.0、26.2、27.8および28.9°2θにおいてX線粉末回折ピークを有する。1つの態様において、形態Dは、
図241に示されるようなX線粉末回折ピークを有する。1つの態様において、形態Dは、
図239に示されたものと実質的に類似のX線粉末回折パターンを有する。
【0107】
1つの態様において、形態Dは化合物Aビスメシル酸塩である。
【0108】
1つの態様において、形態Dは、
図191に示されるようなPLM分析によって判定された場合、平坦なロッド/プレート状の形態を有し複屈折性である。
【0109】
1つの態様において、形態Dは開始約50.3℃(ピーク103.2℃)において最初の幅広い吸熱を有する。1つの態様において、形態Dは約229℃〜235℃に小さな吸熱/発熱事象を有する。1つの態様において、形態Dは開始約300.9℃(ピーク304.1℃)において最後の吸熱を有する(
図194)。
【0110】
1つの態様において、形態Dはカール・フィッシャー滴定によって測定された場合に、約3.8%の水分含量を有する。
【0111】
1つの態様において、形態Dは99.9%のHPLC純度を有する(
図199)。
【0112】
1つの態様において、形態Dは
図204における
1H NMRスペクトルにより特徴付けられる。
【0113】
1つの態様において、形態Dは、0.6の水分活性を有する2-プロパノールを、化合物Aビスメシル酸塩の非晶質形態に添加してスラリーを形成させる段階、約22℃でスラリーを撹拌させる段階、ならびにスラリーをろ過および乾燥させる段階により生成させることができる。
【0114】
1つの態様において、化合物Aメシル酸塩の多型は形態Eである。いくつかの態様において、形態EはCu Kα線照射を用いておよそ20.9および21.9°2θにおいてX線粉末回折ピークを有する。いくつかの態様において、形態EはCu Kα線照射を用いておよそ13.7、20.6、20.9、21.9および23.0°2θにおいてX線粉末回折ピークを有する。いくつかの態様において、形態EはCu Kα線照射を用いておよそ8.9、11.3、13.7、16.5、19.3、20.6、20.9、21.9、23.0、23.8および26.2°2θにおいてX線粉末回折ピークを有する。1つの態様において、形態Eは、
図244に示されるようなX線粉末回折ピークを有する。1つの態様において、形態Eは、
図242に示されたものと実質的に類似のX線粉末回折パターンを有する。
【0115】
1つの態様において、形態Eは化合物Aビスメシル酸塩である。
【0116】
1つの態様において、形態Eは、
図206に示されるようなPLM分析によって判定された場合、長いロッド状の形態を有し複屈折性である。
【0117】
1つの態様において、形態Eは開始約45.9℃(ピーク86.5℃)において幅広い吸熱を有する。1つの態様において、形態Eは約189℃〜215℃に吸熱/発熱事象を有する。1つの態様において、形態Eは開始約299.1℃(ピーク303.7℃)において最後の吸熱事象を有する(
図210)。
【0118】
1つの態様において、形態Eはカール・フィッシャー滴定によって測定された場合に、約6.2%の水分含量を有する。
【0119】
1つの態様において、形態Eは99.8%のHPLC純度を有する(
図215)。
【0120】
1つの態様において、形態Eは
図220における
1H NMRスペクトルにより特徴付けられる。
【0121】
1つの態様において、形態Eは、0.89の水分活性を有するアセトンを、化合物Aビスメシル酸塩の非晶質形態に添加してスラリーを形成させる段階、約22℃でスラリーを撹拌させる段階、ならびにスラリーをろ過および乾燥させる段階により、生成させることができる。
【0122】
1つの態様において、化合物Aメシル酸塩の多型は形態Fである。いくつかの態様において、形態FはCu Kα線照射を用いておよそ16.7および17.0°2θにおいてX線粉末回折ピークを有する。いくつかの態様において、形態FはCu Kα線照射を用いておよそ16.7、17.0、19.5、20.3および24.4°2θにおいてX線粉末回折ピークを有する。いくつかの態様において、形態FはCu Kα線照射を用いておよそ4.8、7.2、15.6、16.7、17.0、19.5、20.3、21.7、24.0および24.4°2θにおいてX線粉末回折ピークを有する。1つの態様において、形態Fは、
図247に示されるようなX線粉末回折ピークを有する。1つの態様において、形態Fは、
図245に示されたものと実質的に類似のX線粉末回折パターンを有する。
【0123】
1つの態様において、形態Fは化合物Aビスメシル酸塩である。
【0124】
1つの態様において、化合物Aメシル酸塩の多型は形態Gである。いくつかの態様において、形態GはCu Kα線照射を用いておよそ5.8および22.1°2θにおいてX線粉末回折ピークを有する。いくつかの態様において、形態GはCu Kα線照射を用いておよそ5.8、14.9、16.3、22.1および23.7°2θにおいてX線粉末回折ピークを有する。いくつかの態様において、形態GはCu Kα線照射を用いておよそ5.8、10.8、14.9、16.3、17.7、22.1、23.1、23.7、24.5および26.5°2θにおいてX線粉末回折ピークを有する。1つの態様において、形態Gは、
図250に示されるようなX線粉末回折ピークを有する。1つの態様において、形態Gは、
図248に示されたものと実質的に類似のX線粉末回折パターンを有する。
【0125】
1つの態様において、形態Gは化合物Aビスメシル酸塩である。
【0126】
1つの態様において、化合物Aメシル酸塩の多型は形態Hである。いくつかの態様において、形態HはCu Kα線照射を用いておよそ10.9および22.8°2θにおいてX線粉末回折ピークを有する。いくつかの態様において、形態HはCu Kα線照射を用いておよそ6.1、10.9、12.4、15.9および22.8°2θにおいてX線粉末回折ピークを有する。いくつかの態様において、形態HはCu Kα線照射を用いておよそ6.1、10.1、10.9、12.4、15.7、15.9、16.4、20.4、20.8および22.8°2θにおいてX線粉末回折ピークを有する。1つの態様において、形態Hは、
図253に示されるようなX線粉末回折ピークを有する。1つの態様において、形態Hは、
図251に示されたものと実質的に類似のX線粉末回折パターンを有する。
【0127】
1つの態様において、形態Hは化合物Aビスメシル酸塩である。
【0128】
1つの態様において、化合物Aメシル酸塩の多型は形態Iである。いくつかの態様において、形態IはCu Kα線照射を用いておよそ5.2および10.5°2θにおいてX線粉末回折ピークを有する。いくつかの態様において、形態IはCu Kα線照射を用いておよそ5.2、6.2、10.5、20.2および23.0°2θにおいてX線粉末回折ピークを有する。いくつかの態様において、形態IはCu Kα線照射を用いておよそ5.2、6.2、10.5、11.1、13.6、20.2、22.0、22.3、23.0および23.8°2θにおいてX線粉末回折ピークを有する。1つの態様において、形態Iは、
図256に示されるようなX線粉末回折ピークを有する。1つの態様において、形態Iは、
図254に示されたものと実質的に類似のX線粉末回折パターンを有する。
【0129】
1つの態様において、形態Iは化合物Aビスメシル酸塩である。
【0130】
1つの態様において、形態Iは、
図225に示されるようなPLM分析によって判定された場合、ロッド状の形態を有し複屈折性である。
【0131】
1つの態様において、形態Iは開始約231.9℃(ピーク235.7℃)において小さな吸熱事象を有する。1つの態様において、形態Iは開始約303.7℃(ピーク306.3℃)において最後の吸熱を有する(
図227)。
【0132】
1つの態様において、形態Iはカール・フィッシャー滴定によって測定された場合に、約0.8%の水分含量を有する。
【0133】
1つの態様において、形態Iは99.6%のHPLC純度を有する(
図231)。
【0134】
1つの態様において、形態Iは
図236における
1H NMRスペクトルにより特徴付けられる。
【0135】
1つの態様において、形態Iは、化合物Aビスメシル酸塩の形態Aを乾燥メタノールに溶解させることにより生成させることができる。1つの態様において、溶液は真空下、約50℃で蒸発される。
【0136】
1つの態様において、化合物Aメシル酸塩の多型は形態Jである。いくつかの態様において、形態JはCu Kα線照射を用いておよそ17.0および22.8°2θにおいてX線粉末回折ピークを有する。いくつかの態様において、形態JはCu Kα線照射を用いておよそ14.6、17.0、21.9、22.8および24.8°2θにおいてX線粉末回折ピークを有する。いくつかの態様において、形態JはCu Kα線照射を用いておよそ14.6、17.0、19.7、20.4、21.9、22.8、24.8、25.3、26.7および27.7°2θにおいてX線粉末回折ピークを有する。1つの態様において、形態Jは、
図259に示されるようなX線粉末回折ピークを有する。1つの態様において、形態Jは、
図257に示されたものと実質的に類似のX線粉末回折パターンを有する。
【0137】
1つの態様において、形態Jは化合物Aビスメシル酸塩である。
【0138】
1つの態様において、化合物Aメシル酸塩の多型は形態Kである。いくつかの態様において、形態KはCu Kα線照射を用いておよそ9.2および10.0°2θにおいてX線粉末回折ピークを有する。いくつかの態様において、形態KはCu Kα線照射を用いておよそ9.2、10.0、15.7、20.0および23.8°2θにおいてX線粉末回折ピークを有する。いくつかの態様において、形態KはCu Kα線照射を用いておよそ4.1、9.2、10.0、15.7、17.5、19.3、20.0、21.5、23.2および23.8°2θにおいてX線粉末回折ピークを有する。1つの態様において、形態Kは、
図262に示されるようなX線粉末回折ピークを有する。1つの態様において、形態Kは、
図260に示されたものと実質的に類似のX線粉末回折パターンを有する。
【0139】
1つの態様において、形態Kは化合物Aビスメシル酸塩である。
【0140】
本出願の化合物の全ての形態(例えばその遊離塩基および塩、ならびに非晶質形態、結晶形態、多型および中間型)は、混合物形態および純粋または実質的に純粋な形態のどちらも、ラセミ混合物および個々の異性体の混合物を含めて、企図される。ラセミ形は、例えば、ジアステレオ異性誘導体の分離もしくは結晶化、またはキラルカラムクロマトグラフィーによるもしくは超臨界流体クロマトグラフィーによる分離のような、物理的方法によって分割することができる。個々の光学異性体はラセミ体から、例えば、光学的に活性な酸または塩基との塩形成、引き続く結晶化のような、従来の方法によって得ることができる。さらに、結晶多型が存在しうるが、しかしこれは限定するものではなく、任意の単結晶の形態もしくは結晶形態の混合物、または無水結晶形態もしくは溶媒和(例えば、DCM溶媒和、MEK溶媒和、THF溶媒和および水和)結晶形態でありうる。
【0141】
「結晶性多型」、「結晶多型」、「結晶形態」、「多型」または「多型形態」という用語は、化合物(例えば、その遊離塩基、塩または溶媒和物)が異なる結晶充填配置で結晶化でき、これらの全てが同じ元素組成を有する、結晶構造を意味する。異なる結晶形態は通常、異なるX線回折パターン、赤外線スペクトル、融点、密度、結晶の形状、光学的および電気的特性、安定性ならびに溶解性を有する。結晶化溶媒、結晶化の速度、保存温度および他の要因が、1つの結晶形態を優勢にしうる。化合物の結晶多型は、異なる条件下での結晶化により調製することができる。
【0142】
さらに、本出願の化合物(例えばその遊離塩基および塩、ならびに非晶質形態、結晶形態、多型および中間型)は、水和もしくは非水和(無水)形態で、または他の溶媒分子を有する溶媒和物としてもしくは非溶媒和物形態で存在することができる。水和物の非限定的な例としては、一水和物、二水和物などが挙げられる。溶媒和物の非限定的な例としては、DCM溶媒和物、MEK溶媒和物、THF溶媒和物などが挙げられる。
【0143】
本出願の化合物のいくつか(例えばその遊離塩基および塩、ならびに非晶質形態、結晶形態、多型および中間型)は、いくつかの互変異性形態で存在することができ、そのような互変異性形態は本出願の範囲内に含まれる。「互変異性体」とは、その構造の原子の配置が顕著に異なるが、容易かつ迅速な平衡で存在する化合物をいう。互変異性体は、溶液中で互変異性体のセットの混合物として存在しうる。固体形態では、通常、1つの互変異性体が優勢である。本出願の化合物は、異なる互変異性体として描かれうることが理解されるべきである。また、化合物が互変異性形態を有する場合、全ての互変異性形態が本出願の範囲内であることが意図され、これらの化合物の命名はいずれの互変異性形態も排除しないと理解されるべきである。1つの互変異性体が記述されることがあるかもしれないが、本出願は本発明の化合物の全ての互変異性体を含む。
【0144】
本明細書において用いられる場合、「塩」という用語は、薬学的に許容される塩であり、塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩、アルキルスルホン酸塩、アリールスルホン酸塩、酢酸塩、安息香酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、メシル酸塩、アミノ酸塩(例えば、L-グルタミン酸塩)、ガラクタル酸(粘液酸)塩、クエン酸塩、グルクロン酸塩、馬尿酸塩、グルコン酸塩およびアスコルビン酸塩を含む酸付加塩;Na
+、K
+、Li
+のようなアルカリ金属陽イオン、Mg
2+またはCa
2+のようなアルカリ土類金属塩;ならびに有機アミン塩を含むことができる。
【0145】
本明細書において用いられる場合、「多型」、「多型形態」、「結晶性多型」、「結晶多型」および「結晶形態」という用語ならびに関連した用語は本明細書において、同じ分子の結晶形態をいい、異なる多型は、例えば、融解温度、融解熱、溶解性、溶解速度および/または結晶格子中の分子の整列または立体配座の結果としての振動スペクトルのような異なる物理的特性を有しうる。多型によって示される物理的特性の差異は、保存安定性、圧縮性および密度(処方および製品の製造において重要)、ならびに溶解速度(生物学的利用能において重要な要因)のような薬学的パラメータに影響を与える。安定性の差異もまた、化学反応性の変化(例えば、1つの投与量形態が1つの多型から構成される場合に別の多型から構成される場合よりも急速に退色するような、示差的酸化)、または機械的特性の変化(例えば、動力学的に有利な多型が熱力学的にさらに安定な多型へと変換すると、貯蔵時に錠剤が粉砕する)、またはその両方の変化(例えば、1つの多型の錠剤は高湿度での分解に対してさらに感受性が高い)に起因しうる。溶解性/溶解の差の結果として、極端な例では、一部の多型遷移によって効力の欠如が起こり、または他の極端な例では毒性が起こりうる。加えて、結晶の物理的特性は、加工の際に重要である可能性があり、例えば、1つの多型は、溶媒和物を形成する可能性がより高く、または不純物を除去するろ過および洗浄が困難である可能性がある(例えば、粒子の形状およびサイズの分布は多型によって異なる可能性がある)。
【0146】
分子の多型は、当技術分野において公知であるように、いくつかの方法によって得ることができる。そのような方法は、融解再結晶、融解冷却、溶媒再結晶、脱溶媒、急速蒸発、急速冷却、徐冷、蒸気拡散、および昇華を含むが、これらに限定されることはない。
【0147】
多型を特徴付けるための技法は、示差走査熱量計(DSC)、X線粉末回折測定(XRPD)、単結晶X線回折測定、振動分光法(例えばIRおよびラマン分光法)、TGA、DTA、DVS、固体NMR、ホットステージ光学顕微鏡、走査型電子顕微鏡(SEM)、電子結晶学、ならびに定量分析、粒子径分析(PSA)、表面積分析、溶解性試験および溶解試験を含むが、これらに限定されることはない。
【0148】
本明細書において用いられる場合、「非晶質形態」という用語は、物質の非結晶固体状形態をいう。
【0149】
本明細書において用いられる場合、「中間型(mesomorph)」、「中間型形態(mesomorphous form)」または「中間型形態(mesomorphic form)」という用語および関連した用語は本明細書において、液体状態と固体状態との間の状態で存在する物質(例えば、液晶)をいう。中間型形態では、物質の同一分子が組織的に配向されることもあり(例えば、結晶性)、その物質が液体のように流れることもある。異なるタイプの中間型は異なる特性(例えば、光学特性(例えば、複屈折性))を示し、偏光によって識別されうる。中間型は異なるXRPDピークによって同定されることもあり、または同定されないこともある。
【0150】
本明細書において用いられる場合、「溶媒和物」という用語は、化学量論量または非化学量論量のいずれかの溶媒を含む、溶媒付加形態を意味する。いくつかの化合物は、一定モル比の溶媒分子を結晶性固相に捕捉し、これによって溶媒和物を形成する傾向を有する。溶媒が水である場合、形成される溶媒和物は水和物であり、溶媒がアルコールである場合、形成される溶媒和物はアルコール和物である。水和物は1モルまたはそれ以上のモルの水と、物質のうちの1つとの組み合わせにより形成され、ここでこの水はそのH
2Oとしての分子状態を保持し、このような組み合わせは1つまたは複数の水和物を形成しうる。例えば、溶媒和物はジクロロメタン(DCM)溶媒和物、メチルエチルケトン(MEK溶媒和物)またはテトラヒドロフラン(THF)溶媒和物でありうる。
【0151】
本明細書において用いられる場合、「非溶媒和」または「脱溶媒和」という用語は、溶媒を含有しない物質の固体状形態(例えば、結晶形態、非晶質形態および中間型)をいう。
【0152】
本明細書において用いられる場合、「純粋」という用語は、約90〜100%、好ましくは95〜100%、より好ましくは98〜100% (重量/重量)、または99〜100% (重量/重量)純粋な化合物を意味し;例えば約10%未満、約5%未満、約2%未満、または約1%未満の不純物が存在することを意味する。そのような不純物は、例えば、分解産物、酸化産物、溶媒、および/または他の望ましくない不純物を含む。
【0153】
本明細書において用いられる場合、化合物は、相当量の分解産物が一定期間(例えば、1週間、2週間、3週間および4週間)にわたり一定条件の湿度(例えば、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%および95% RH)、光暴露および温度(例えば、0℃よりも高い、例えば、20℃、25℃、30℃、35℃、40℃、45℃、50℃、55℃、60℃、65℃および70℃)の下で観察されない場合に「安定」である。化合物はある条件で、分解不純物が現れるか、または既存の不純物の面積割合(例えば、HPLCによって特徴付けられるAUC)が増え始める場合に、安定であると見なされない。時間に応じた分解成長の量は、化合物の安定性を判定する際に重要である。
【0154】
本明細書において用いられる場合、「混合する」という用語は、「組み合わせる」、「ブレンドする」、「撹拌する」、「振盪する」、「旋回させる」または「かき混ぜる」ことを意味する。「撹拌する」という用語は、「混合する」、「振盪する」、「かき混ぜる」または「旋回させる」ことを意味する。「かき混ぜる」という用語は、「混合する」、「振盪する」、「撹拌する」または「旋回させる」ことを意味する。
【0155】
明示的に別段の指示がない限り、「およそ」および「約」という用語は、同義語である。1つの態様において、「およそ」および「約」とは、列挙された量、値または持続時間±20%、±15%、±10%、±8%,±6%、±5%、±4%,±2%、±1%または±0.5%をいう。別の態様において、「およそ」および「約」とは、列挙された量、値または持続時間±10%、±8%、±6%、±5%、±4%または±2%をいう。別の態様において、「およそ」および「約」とは、列挙された量、値または持続時間±5%をいう。
【0156】
「およそ」および「約」という用語がXRPDピークを列挙する際に用いられる場合、これらの用語は列挙されたX線粉末回折ピーク±0.3°2θ、±0.2°2θまたは±0.1°2θをいう。別の態様において、「およそ」および「約」という用語は、列挙されたX線粉末回折ピーク±0.2°2θをいう。別の態様において、「およそ」および「約」という用語は、列挙されたX線粉末回折ピーク±0.1°2θをいう。
【0157】
「およそ」および「約」という用語が温度または温度範囲を列挙する際に用いられる場合、これらの用語は、列挙された温度または温度範囲±5℃、±2℃または±1℃をいう。別の態様において、「およそ」および「約」という用語は、列挙された温度または温度範囲±2℃をいう。
【0158】
本出願の化合物(例えばその遊離塩基および塩、ならびに非晶質形態、結晶形態、多型および中間型)はまた、プロドラッグ、例えば、薬学的に許容されるプロドラッグとして調製することができる。「プロ-ドラッグ」および「プロドラッグ」という用語は、本明細書において互換的に用いられ、インビボで活性な親薬物を放出する任意の化合物をいう。プロドラッグは、薬剤の多数の所望の性質(例えば、溶解性、生物学的利用能、製造など)を増強することが公知であるので、本出願の化合物は、プロドラッグの形態で送達することができる。したがって、本出願は、本願請求に係る化合物のプロドラッグ、それらを送達する方法、およびそれらを含有する組成物を網羅することが意図される。「プロドラッグ」という用語は、アミノ酸部分または他の水溶性化部分のような、1つまたは複数のプロ部分に共有結合的に連結された、本出願の化合物を含む。本出願の化合物は、加水分解的、酸化的、および/または酵素的な放出機構によってプロ部分から放出されうる。1つの態様において、本出願のプロドラッグ組成物は、増大した水溶性、改善された安定性、および改善された薬物動態プロファイルの付加利益を示す。プロ部分は、所望のプロドラッグ特徴を得るように選択されうる。例えば、プロ部分、例えば、アミノ酸部分または他の水溶性化部分、例えばホスフェートは、溶解性、安定性、生物学的利用能、および/またはインビボ送達もしくは取込みに基づいて選択されうる。「プロドラッグ」という用語はまた、そのようなプロドラッグが対象に投与される場合に、本出願の活性親薬物をインビボで放出する、任意の共有結合された担体を含むことが意図される。本出願におけるプロドラッグは、その化合物に存在する官能基を、慣用的な操作でまたはインビボでのいずれかで、修飾が切断されて親化合物になるような様式で修飾することによって調製される。プロドラッグは、ヒドロキシル基、アミノ基、スルフヒドリル基、カルボキシル基またはカルボニル基がインビボで切断されて、それぞれ、遊離ヒドロキシル基、遊離アミノ基、遊離スルフヒドリル基、遊離カルボキシル基または遊離カルボニル基を形成しうる任意の基に結合された、本出願の化合物を含む。
【0159】
プロドラッグの例としては、式Iの化合物の、ヒドロキシル官能基のエステル(例えば、アセテート、ジアルキルアミノアセテート、ホルメート、ホスフェート、スルフェートおよび安息香酸誘導体)ならびにカルバメート(例えば、N,N-ジメチルアミノカルボニル)、カルボキシル官能基のエステル基(例えば、エチルエステル、モルホリノエタノールエステル)、アミノ官能基のN-アシル誘導体(例えば、N-アセチル) N-マンニッヒ塩基、シッフ塩基およびエナミノン、ケトン官能基およびアルデヒド官能基のオキシム、アセタール、ケタールおよびエノールエステルなどが挙げられるが、これらに限定されることはなく、Bundegaard, H. 「Design of Prodrugs」 p1-92, Elesevier, New York-Oxford (1985)を参照されたい。
【0160】
化合物Aの合成
有機分子の標準的な合成方法および調製の手順、ならびに保護基の使用を含めて、官能基の変換および操作は、関連する科学文献から、または当技術分野における標準的な参考書から得ることができる。いずれかの1つまたはいくつかの供給源に限定されないが、有機合成の、広く認められている参考書は、Smith, M. B.; March, J. March's Advanced Organic Chemistry: Reactions, Mechanisms, and Structure, 5
th ed.; John Wiley & Sons: New York, 2001; およびGreene, T.W.; Wuts, P.G. M. Protective Groups in Organic Synthesis, 3
rd; John Wiley & Sons: New York, 1999を含む。
【0161】
化合物Aを調製するための方法は、米国特許出願公開第20110172203号に記述されており、その内容全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0162】
処置の方法
本出願は、細胞増殖性障害の処置を必要とする対象において、本出願の化合物(例えばその遊離塩基および塩、ならびに非晶質形態、結晶形態、多型および中間型)、または薬学的に許容されるそのプロドラッグもしくは代謝産物の治療有効量を、そのような処置を必要とする対象に投与することによる、細胞増殖性障害の処置のための方法を提供する。細胞増殖性障害は、がんまたは前がん状態であることができる。本出願は、細胞増殖性障害の処置に有用な医薬の調製のための、本出願の化合物、または薬学的に許容されるそのプロドラッグもしくは代謝産物の使用をさらに提供する。
【0163】
本出願は同様に、細胞増殖性障害に対する保護を必要とする対象において、本出願の化合物、または薬学的に許容されるそのプロドラッグもしくは代謝産物の治療有効量を、そのような処置を必要とする対象に投与することによる、細胞増殖性障害に対して保護する方法を提供する。細胞増殖性障害は、がんまたは前がん状態であることができる。本出願は同様に、細胞増殖性障害の予防に有用な医薬の調製のための、本出願の化合物、または薬学的に許容されるそのプロドラッグもしくは代謝産物の使用を提供する。
【0164】
本明細書において用いられる場合、「それを必要とする対象」とは、細胞増殖性障害を有する対象、または細胞増殖性障害を発達させる危険性が集団全体に対して増大している対象である。それを必要とする対象は、前がん状態を有しうる。好ましくは、それを必要とする対象は、がんを有する。「対象」は、哺乳動物を含む。哺乳動物は、例えば、任意の哺乳動物、例えば、ヒト、霊長類、鳥類、マウス、ラット、家禽、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ヤギ、ラクダ、ヒツジまたはブタであることができる。好ましくは、哺乳動物はヒトである。
【0165】
本明細書において用いられる場合、「細胞増殖性障害」という用語は、細胞の未調節もしくは異常な増殖、またはこの両方が、がん性であってもがん性でなくてもよい望ましくない状態または疾患をもたらしうる状態をいう。本出願の例示的な細胞増殖性障害は、細胞分裂が調節されない種々の状態を包含する。例示的な細胞増殖性障害としては、新生物、良性腫瘍、悪性腫瘍、前がん状態、インサイチュ腫瘍、被包性腫瘍、転移性腫瘍、液体腫瘍、固形腫瘍、免疫学的腫瘍、血液学的腫瘍、がん、がん腫、白血病、リンパ腫、肉腫、および急速に分裂する細胞が挙げられるが、これらに限定されることはない。「急速に分裂する細胞」という用語は、本明細書において用いられる場合、同じ組織内の隣接または近接する細胞の間で予測または観察されるものを超える速度、またはより大きい速度で分裂する、任意の細胞と定義される。細胞増殖性障害は、前がんまたは前がん状態を含む。細胞増殖性障害は、がんを含む。好ましくは、本明細書において提供される方法は、がんの症状を処置または軽減するために用いられる。「がん」という用語は、固形腫瘍、ならびに血液学的腫瘍および/または悪性疾患を含む。「前がん細胞(precancer cell)」または「前がん細胞(precancerous cell)」とは、前がんまたは前がん状態である細胞増殖性障害を示す細胞である。「がん細胞(cancer cell)」または「がん細胞(cancerous cell)」とは、がんである細胞増殖性障害を示す細胞である。再現性のある任意の測定手段を用いて、がん細胞または前がん細胞を同定しうる。がん細胞または前がん細胞は、組織サンプル(例えば、生検サンプル)の組織学的型決定または悪性度分類によって同定することができる。がん細胞または前がん細胞は、適切な分子マーカーの使用によって同定することができる。
【0166】
例示的な非がん性状態または障害としては、慢性関節リウマチ; 炎症; 自己免疫疾患; リンパ増殖状態; 先端巨大症; リウマチ様脊椎炎; 変形性関節症; 痛風、他の関節炎状態; 敗血症; 敗血症性ショック; 内毒素ショック; グラム陰性敗血症; トキシックショック症候群; 喘息; 成人呼吸促進症候群; 慢性閉塞性肺疾患; 慢性肺炎症; 炎症性腸疾患; クローン病; 乾癬; 湿疹; 潰瘍性大腸炎; 膵臓線維症; 肝臓線維症; 急性および慢性の直腸疾患; 過敏性腸症候群; ピレシス(pyresis); 再狭窄; 大脳マラリア; 脳卒中および虚血性損傷; 神経性外傷; アルツハイマー病; ハンティングトン病; パーキンソン病; 急性および慢性の疼痛; アレルギー性鼻炎; アレルギー性結膜炎; 慢性心不全; 急性冠状脈症候群; 悪質液; マラリア; らい病; リーシュマニア病; ライム病; ライター症候群; 急性滑膜炎; 筋肉の退化、滑液包炎; 腱炎; 腱滑膜炎; ヘルニア様、破裂、または脱出した椎間円板症候群; 大理石骨病; 血栓症; 再狭窄; 珪肺症; 肺筋肉異常増殖; 骨吸収疾患、例えば骨粗鬆症; 対宿主性移植片反応; 多発性硬化症; 狼瘡; 線維筋痛症; AIDSおよび他のウイルス性疾患、例えば帯状疱疹、単純疱疹IまたはII、インフルエンザウイルスおよびサイトメガロウイルス; ならびに真性糖尿病が挙げられるが、これらに限定されることはない。
【0167】
例示的ながんとしては、副腎皮質がん腫、AIDS関連がん、AIDS関連リンパ腫、肛門がん、肛門直腸がん、肛門管のがん、虫垂がん、小児期の小脳がん、小児期の大脳神経膠星状細胞腫、基底細胞がん、皮膚がん(非黒色腫)、胆管がん、肝臓外総胆管がん、肝臓内総胆管がん、膀胱がん(bladder cancer)、膀胱がん(urinary bladder cancer)、骨および関節のがん、骨肉腫および悪性線維性組織球腫、脳がん(brain cancer)、脳腫瘍、脳幹神経膠腫、小脳神経膠星状細胞腫、神経膠星状細胞腫、小脳神経膠星状細胞腫/悪性神経膠腫、脳室上衣細胞腫、髄芽細胞腫、テント上方未分化神経外胚葉性腫瘍、視路および視床下部性神経膠腫、乳がん、気管支腺腫/カルチノイド、類がん腫、胃腸、神経系がん、神経系リンパ腫、中枢神経系がん、中枢神経系リンパ腫、子宮頸がん、小児期のがん、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性骨髄増殖性障害、結腸がん、結腸直腸がん、皮膚T細胞リンパ腫、リンパ様新生物、菌状息肉腫、セザリー(Seziary)症候群、子宮内膜がん、食道がん、頭蓋外生殖細胞腫瘍、肝臓外生殖細胞腫瘍、肝臓外総胆管がん、眼のがん、眼内黒色腫、網膜芽細胞腫、胆嚢がん、胃(gastric(stomach))がん、胃腸類がん腫、胃腸間質腫瘍(GIST)、生殖細胞腫瘍、卵巣生殖細胞腫瘍、妊娠性絨毛腫瘍神経膠腫、頭部および頚部のがん、肝細胞(肝臓)がん、ホジキンリンパ腫、下咽頭がん、眼内黒色腫、眼のがん、ランゲルハンス島細胞腫瘍(内分泌膵臓)、カポージ肉腫、腎臓がん、直腸がん、腎臓がん、咽頭がん、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、ヘアリーセル白血病、唇および口腔のがん、肝臓がん、肺がん、非小細胞肺がん、小細胞肺がん、AIDS関連リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、原発性中枢神経系リンパ腫、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、髄芽細胞腫、黒色腫、眼内(眼)黒色腫、メルケル細胞がん腫、悪性中皮腫、中皮腫、転移性扁平(squamous)頚部がん、口腔がん、舌のがん、多発性内分泌腫瘍症候群、菌状息肉腫、骨髄異形成症候群、骨髄異形成/骨髄増殖性疾患、慢性骨髄性白血病、急性骨髄性白血病、多発性骨髄腫、慢性骨髄増殖性障害、鼻咽頭がん、神経芽細胞腫、口のがん、口腔がん、口腔咽頭がん、卵巣がん、卵巣上皮がん、境界悪性卵巣腫瘍、膵臓がん、島細胞膵臓がん、副鼻腔および鼻腔のがん、副甲状腺がん、陰茎がん、咽頭がん、褐色細胞腫、松果体芽細胞腫およびテント上方未分化神経外胚葉性腫瘍、下垂体腫瘍、形質細胞新生物/多発性骨髄腫、胸膜肺芽細胞腫、前立腺がん、直腸がん、腎盤および尿管、移行細胞がん、網膜芽細胞腫、横文筋肉腫、唾液腺がん、ユーイングファミリーの肉腫腫瘍、カポージ肉腫、軟組織肉腫、子宮がん、子宮肉腫、皮膚がん(非黒色腫)、皮膚がん(黒色腫)、メルケル細胞皮膚がん腫、小腸がん、軟組織肉腫、扁平上皮がん、胃がん、テント上方未分化神経外胚葉性腫瘍、精巣がん、咽喉がん、胸腺腫、胸腺腫および胸腺がん腫、甲状腺がん、腎盤および尿管ならびに他の泌尿器の移行細胞がん、妊娠性絨毛腫瘍、尿道がん、子宮内膜子宮がん、子宮肉腫、子宮体がん、膣がん、外陰部がん、ならびにウィルムス腫瘍が挙げられるが、これらに限定されることはない。
【0168】
本明細書において用いられる場合、「処置」または「処置する」とは、疾患、状態、または障害と闘う目的での、患者の管理および医療を記述しており、疾患、状態もしくは障害の症状もしくは合併症を軽減するため、または疾患、状態もしくは障害を排除するための、本出願の化合物、または薬学的に許容されるそのプロドラッグもしくは代謝産物の投与を含む。
【0169】
本出願の化合物、または薬学的に許容されるそのプロドラッグもしくは代謝産物はまた、疾患、状態または障害を予防するために用いることができる。本明細書において用いられる場合、「予防」または「予防する」とは、疾患、状態または障害の症状または合併症の発生を低減または排除することを記述する。
【0170】
本明細書において用いられる場合、「軽減する」という用語は、障害の兆候または症状の重症度が減らされるプロセスを記述することが意図される。重要なことには、兆候または症状は、排除されることなく軽減されうる。好ましい態様において、本出願の薬学的組成物の投与は、兆候または症状の排除をもたらすが、しかし排除は必要とされない。有効な投与量は兆候または症状の重症度を減らすものと予想される。例えば、複数の場所で起こりうる、がんのような障害の兆候または症状は、がんの重症度が複数の場所の少なくとも1つのなかで減少されるなら、軽減される。
【0171】
がんの処置は、腫瘍のサイズの低減をもたらすことができる。腫瘍のサイズの低減はまた、「腫瘍退縮」ともいわれうる。がんの処置は、腫瘍体積の低減をもたらすことができる。がんの処置は、腫瘍の数の減少をもたらす。がんの処置は、原発腫瘍部位から離れた他の組織または器官における、転移性病巣の数の減少をもたらすことができる。がんの処置は、担体のみを受けた集団と比べて処置対象の集団の平均生存時間の増大をもたらすことができる。がんの処置は、未処置対象の集団と比べて処置対象の集団の平均生存時間の増大をもたらすことができる。がんの処置は、本出願の化合物、または薬学的に許容されるその塩、プロドラッグ、代謝産物、類似体もしくは誘導体ではない薬物での単剤療法を受けた集団と比べて処置対象の集団の平均生存時間の増大をもたらすことができる。がんの処置は、担体のみを受けた集団と比べて処置対象の集団の死亡率の低下をもたらすことができる。がんの処置は、未処置集団と比べて処置対象の集団の死亡率の低下をもたらすことができる。がんの処置は、本出願の化合物、または薬学的に許容されるその塩、プロドラッグ、代謝産物、類似体もしくは誘導体ではない薬物での単剤療法を受けた集団と比べて処置対象の集団の死亡率の低下をもたらすことができる。がんの処置は、腫瘍増殖率の低下をもたらすことができる。がんの処置は、腫瘍再増殖の低下をもたらすことができる。細胞増殖性障害の処置または予防は、細胞増殖の比率の低下をもたらすことができる。細胞増殖性障害の処置または予防は、増殖細胞の割合の低減をもたらすことができる。細胞増殖性障害の処置または予防は、細胞増殖の領域または区域のサイズの低下をもたらすことができる。細胞増殖性障害の処置または予防は、異常な外観または形態を有する細胞の数または割合の低下をもたらすことができる。
【0172】
本明細書において用いられる場合、「単剤療法」とは、単一の活性化合物または治療化合物を、その必要がある対象に投与することをいう。好ましくは、単剤療法は、治療有効量の活性化合物の投与を伴う。例えば、がんの単剤療法は、本出願の化合物、または薬学的に許容されるそのプロドラッグ、代謝産物、類似体もしくは誘導体のうちの1つを、がんの処置を必要とする対象に対して用いる。単剤療法は、複数の活性化合物の組み合わせが、好ましくはこの組み合わせの各成分が治療有効量で存在する状態で、投与される併用療法と対照を成しうる。1つの局面において、本出願の化合物、または薬学的に許容されるそのプロドラッグもしくは代謝産物を用いる単剤療法は、所望の生物学的効果の誘導において併用療法よりも有効である。
【0173】
本明細書において用いられる場合、「併用療法」または「共治療(co-therapy)」は、複数の治療剤の共作用から得られる有利な効果を提供することを意図して、特定の処置計画の一部として、本出願の化合物、または薬学的に許容されるそのプロドラッグ、代謝産物、類似体もしくは誘導体、および少なくとも第2の薬剤の投与を含む。組み合わせの有利な効果としては、治療剤の組み合わせから生じる薬物動態学的または薬力学的な共作用が挙げられるが、これらに限定されることはない。これらの治療剤を組み合わせて投与することは、典型的には、規定された期間(通常、選択された組み合わせに依って数分間、数時間、数日間または数週間)にわたり行われる。「併用療法」は、本出願の組み合わせを付随的に任意にもたらす別の単剤療法の一部としての、これらの治療剤のうちの2つまたはそれ以上の投与を包含することを意図されうるが、一般には意図されない。
【0174】
「併用療法」は、各治療剤が異なる時点で投与される、これらの治療剤の連続的な様式での投与、およびこれらの治療剤、または治療剤のうちの少なくとも2つの、実質的に同時の様式での投与を包含することが意図される。実質的に同時の投与は、例えば、一定比の各治療剤を有する1つのカプセル、またはこれらの治療剤の各々について1つずつのカプセルを複数、対象に投与することにより達成することができる。各治療剤の連続的または実質的に同時の投与は、経口経路、静脈内経路、筋肉内経路、および粘膜組織を通しての直接の吸収を含むが、これらに限定されない、任意の適切な経路によって行うことができる。これらの治療剤は、同じ経路によって投与されても異なる投与によって投与されてもよい。例えば、選択される組み合わせの第1の治療剤は、静脈内注射によって投与されうるが、一方でこの組み合わせの他の治療剤は、経口投与されうる。あるいは、例えば、全ての治療剤が経口投与されうるか、または全ての治療剤が静脈内注射により投与されうる。治療剤が投与される順序は、厳密に重大ではない。
【0175】
「併用療法」はまた、上記のような治療剤の、他の生物学的に活性な成分および非薬物療法(例えば、外科手術または放射線処置)とさらに組み合わせての投与を包含する。この併用療法が非薬物処置をさらに含む場合、この非薬物処置は、この治療剤と非薬物処置との組み合わせの共作用からの有利な効果が達成される限り、任意の適切な時点で行われうる。例えば、適切な症例において、この有利な効果は、この非薬物処置が一時的に、おそらく、数日間または数週間でさえ、治療剤の投与から除かれる場合に、依然として達成される。
【0176】
本出願の化合物、または薬学的に許容されるそのプロドラッグ、代謝産物、類似体もしくは誘導体は、第2の化学療法剤と組み合わせて投与されうる。第2の化学療法剤(抗新生物剤または抗増殖剤ともいわれる)は、アルキル化剤; 抗生物質; 抗代謝剤; 解毒剤; インターフェロン; ポリクローナルもしくはモノクローナル抗体; EGFR阻害剤; HER2阻害剤; ヒストンデアセチラーゼ阻害剤; ホルモン; 有糸分裂阻害剤; MTOR阻害剤; 多種キナーゼ阻害剤; セリン/スレオニンキナーゼ阻害剤; チロシンキナーゼ阻害剤; VEGF/VEGFR阻害剤; タキサンもしくはタキサン誘導体、アロマターゼ阻害剤、アントラサイクリン、微小管標的薬物、トポイソメラーゼ毒薬物、分子標的もしくは酵素の阻害剤(例えば、キナーゼ阻害剤)、シチジン類似体薬物または任意の化学療法剤、抗新生物剤もしくは抗増殖剤であることができる。
【0177】
薬学的組成物
本出願は同様に、化合物Aの塩、化合物A遊離塩基のもしくは化合物Aの塩の固体状形態、化合物A遊離塩基のもしくは化合物Aの塩の非晶質形態、化合物A遊離塩基のもしくは化合物Aの塩の結晶形態、化合物A遊離塩基のもしくは化合物Aの塩の多型、および/または化合物A遊離塩基のもしくは化合物Aの塩の中間型を含む薬学的組成物を提供する。
【0178】
「薬学的組成物」とは、本出願の遊離塩基、塩および/またはその固体状形態を含有する、対象への投与に適した形態の処方物である。1つの態様において、薬学的組成物は、バルク形態または単位投与量形態である。単位投与量形態は、例えば、カプセル、IVバッグ、錠剤、エアロゾル吸入器またはバイアルの単一ポンプを含む、種々の形態のいずれかである。単位用量の組成物中の活性成分(例えば、本開示の遊離塩基、塩、およびその固体状形態の処方物)の量は、有効量であり、関与する特定の処置によって変化する。当業者は、患者の年齢および状態に依って、投与量に対する慣用的な変更を行うことが時に必要であることを理解するであろう。投与量はまた、投与経路に依るであろう。経口、肺、直腸、非経口、経皮、皮下、静脈内、筋肉内、腹腔内、吸入、頬、舌下、胸膜腔内、鞘内、鼻腔内などを含めて、種々の経路が企図される。本出願の化合物の局所投与または経皮投与のための剤形は、粉末、スプレイ、軟膏剤、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、溶液、パッチおよび吸入剤を含む。1つの態様において、活性成分は、滅菌条件下で薬学的に許容される担体と混合され、必要とされる任意の防腐剤、緩衝液または噴射剤と混合される。
【0179】
本明細書において用いられる場合、「薬学的に許容される」という語句は、合理的な医療判断の範囲内で、過剰な毒性、刺激、アレルギー応答、または他の問題もしくは合併症を伴わずに、合理的な利益/危険比に合う、ヒトおよび動物の組織と接触させて用いるのに適した、化合物、材料、組成物、担体、および/または剤形をいう。
【0180】
「薬学的に許容される賦形剤」とは、一般的に安全であり、非毒性であり、生物学的にも他の点でも望ましくないことがない、薬学的組成物を調製する際に有用な賦形剤を意味し、獣医学用途およびヒト医薬用途のために許容される賦形剤を含む。「薬学的に許容される賦形剤」とは、本明細書および特許請求の範囲において用いられる場合、1つのこのような賦形剤と、2つ以上のこのような賦形剤との両方を含む。
【0181】
本出願の薬学的組成物は、その意図した投与経路に合うように処方される。投与経路の例としては非経口、例えば、静脈内、皮内、皮下、経口(例えば、吸入)、経皮(局所)および経粘膜の投与が挙げられる。非経口、皮内または皮下の用途に用いられる溶液または懸濁物は、以下の成分を含有することができる: 注射用水、生理食塩水溶液、不揮発性油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の合成溶媒のような滅菌希釈剤; ベンジルアルコールまたはメチルパラベンのような抗菌剤; アスコルビン酸または重亜硫酸ナトリウムのような酸化防止剤; エチレンジアミン四酢酸のようなキレート剤; 酢酸塩、クエン酸塩またはリン酸塩のような緩衝液、および塩化ナトリウムまたはデキストロースのような、張度の調整用の薬剤。pHは、塩酸または水酸化ナトリウムのような、酸または塩基を用いて調整することができる。非経口調製物は、ガラスまたはプラスチックから作製された、アンプル、使い捨て注射器または多用量バイアルに収容することができる。
【0182】
本出願の薬学的組成物は、化学療法処置のために現在用いられている周知の方法の多くで、対象に投与することができる。例えば、がんの処置の場合、本出願の化合物は、腫瘍に直接注入され、血流もしくは体腔に注射され、または経口摂取され、またはパッチを用い皮膚を通して貼付されうる。選択される用量は、有効な処置を構築するために十分であるべきだが、しかし許容されない副作用を引き起こすほど高くすべきではない。疾患状態(例えば、がん、前がんなど)の状態および患者の健康状態は、好ましくは、処置後の合理的な期間中およびその期間にわたって、綿密に監視されるべきである。
【0183】
「治療有効量」という用語は、本明細書において用いられる場合、同定された疾患もしくは状態を処置、軽減もしくは予防するための、または検出可能な治療効果もしくは阻害効果を示すための医薬品(pharmaceutical agent)の量をいう。効果は、当技術分野において公知の任意のアッセイ法により検出することができる。対象に的確な有効量は、対象の体重、サイズおよび健康状態; 状態の性質および程度; ならびに投与のために選択された治療用物質または治療用物質の組み合わせに依るであろう。所与の状況に対する治療有効量は、臨床医の技能および判断の範囲内である日常の実験によって判定することができる。好ましい局面において、処置される疾患または状態は、がんである。別の局面において、処置される疾患または状態は、細胞増殖性障害である。
【0184】
任意の化合物について、治療有効量は、最初に例えば新生物細胞の、細胞培養アッセイ法または動物モデル、通常はラット、マウス、ウサギ、イヌもしくはブタのいずれかにおいて推定することができる。動物モデルはまた、適切な濃度範囲および投与経路を判定するために用いられうる。次いで、そのような情報を用いて、ヒトでの投与に有用な用量および経路を判定することができる。治療/予防の効力および毒性は、細胞培養物または実験動物における標準的な薬学的手順、例えば、ED
50 (集団の50%において治療的に有効な用量)およびLD
50 (集団の50%に対して致命的な用量)によって判定されうる。毒性と治療効果との用量比が治療指数であり、これは比LD
50/ED
50として表すことができる。大きな治療指数を示す薬学的組成物が好ましい。投与量はこの範囲内で、利用される剤形、患者の感受性、および投与経路に依って変化しうる。
【0185】
投与量および投与は、十分なレベルの活性成分を提供するように、または所望の効果を維持するように調節される。考慮されうる要因には、疾患状態の重症度、対象の一般的健康状態、対象の年齢、体重および性別、食事、投与の回数および頻度、薬物の組み合わせ、反応感受性、ならびに治療に対する寛容/応答が含まれる。長時間作用性の薬学的組成物は、特定の処方物の半減期およびクリアランス速度に依って、3〜4日ごとに、毎週、または2週間ごとに1回投与されうる。
【0186】
本出願の遊離塩基、塩および/またはその固体状形態を含有する薬学的組成物は、一般的に公知である様式で、例えば、従来の混合、溶解、顆粒化、糖剤作製、湿式粉砕、乳化、カプセル化、捕捉、または凍結乾燥のプロセスによって製造されうる。薬学的組成物は、薬学的に使用できる調製物への活性成分の加工処理を容易にする賦形剤および/または補助成分を含む1つまたは複数の薬学的に許容される担体を用い従来の様式で処方されうる。もちろん、適切な処方物は、選択される投与経路に依存する。
【0187】
注射可能な用途に適した薬学的組成物は、滅菌水溶液(水溶性の場合)または滅菌分散液および注射可能な滅菌溶液または滅菌分散液の即時調製用の滅菌粉末を含む。静脈内投与の場合、適当な担体としては、生理食塩水、静菌水、Cremophor EL (商標) (BASF, Parsippany, N.J.)またはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)が挙げられる。いかなる場合でも、この組成物は無菌でなければならず、容易に注射できる程度に流動性とするべきである。これは製造および保存の条件下で安定でなければならず、これは細菌および真菌などの微生物の汚染作用に対して保護されなければならない。この担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコールなど)、およびその適当な混合物を含む溶媒または分散媒とすることができる。その適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングの使用により、分散液の場合には必要とされる粒径の維持によりおよび界面活性剤の使用により維持することができる。微生物の作用からの保護はさまざまな抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールなどにより達成することができる。多くの場合、等張剤、例えば、糖類、マンニトール、ソルビトールなどの多価アルコール、塩化ナトリウムを組成物の中に含めることが好ましいであろう。注射可能な組成物の持続的吸収は、吸収を遅延させる作用物質、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを組成物の中に含めることにより実現することができる。
【0188】
注射可能な滅菌溶液は、必要とされる量の活性成分を適切な溶媒中に、必要に応じて、上記に列挙した成分の一つまたは組み合わせとともに組み入れ、続けてろ過滅菌を行うことによって調製することができる。一般に、分散液は活性成分を、基本的な分散媒および上記に列挙したものから必要とされるその他の成分を含む滅菌媒体の中に組み入れることによって調製される。注射可能な滅菌溶液の調製用の滅菌粉末の場合、調製の方法は、活性成分に加えて所望とされる付加的な任意の成分の粉末を予め滅菌ろ過したその溶液からもたらす真空乾燥法および凍結乾燥法である。
【0189】
経口用組成物は一般に、不活性希釈剤または食用の薬学的に許容される担体を含む。それらはゼラチンカプセルの中に封入され、または錠剤に圧縮されることができる。治療的な経口投与を目的に、活性成分を賦形剤とともに組み入れて、錠剤、トローチ、またはカプセルの形態で使用することができる。経口用組成物はうがい薬として用いるために液体担体を使用して調製することもでき、この場合、液体担体中の化合物は経口的に適用され、かつうがいされ(swished)、かつ喀出されまたは嚥下される。薬学的に適合する結合剤および/または補助物質を、組成物の一部として含めることができる。この錠剤、丸剤、カプセル、トローチなどは、以下の成分のいずれかまたは似通った性質の化合物を含むことができる: 微結晶性セルロース、トラガカントゴムもしくはゼラチンのような結合剤; でんぷんもしくはラクトースのような賦形剤、アルギン酸、Primogel、もしくはとうもろこしでんぷんのような崩壊剤; ステアリン酸マグネシウムもしくはSterotesのような滑沢剤; コロイド状二酸化ケイ素のような流動促進剤; スクロースもしくはサッカリンのような甘味剤; またはペパーミント、サリチル酸メチル、もしくはオレンジ風味のような香料添加剤。
【0190】
吸入による投与の場合、活性成分は、適した噴射剤、例えば、二酸化炭素のようなガスを含有する加圧容器もしくは分注機、または噴霧器からエアロゾルスプレイの形態で送達される。
【0191】
全身投与を経粘膜的なまたは経皮的な手段によるものとすることもできる。経粘膜投与または経皮投与の場合、浸透される障壁に適した浸透剤が処方物の中に用いられる。そのような浸透剤は一般に当技術分野において公知であり、例えば、経粘膜投与の場合、界面活性剤、胆汁塩、およびフシジン酸誘導体を含む。経粘膜投与は鼻腔用スプレイまたは坐剤の使用により達成することができる。経皮投与の場合、活性成分は当技術分野において一般に公知であるように軟膏剤、膏薬、ゲル、またはクリームの中に処方される。
【0192】
活性成分はインプラントおよびマイクロカプセル化した送達系を含めて、制御放出処方物のような、体内からの迅速除去から化合物を防御できる薬学的に許容される担体とともに調製することができる。エチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、およびポリ乳酸のような、生体分解・生体適合性高分子を用いることができる。そのような処方物の調製方法は当業者には明らかであろう。その材料はAlza社およびNova Pharmaceuticals社から商業的に入手することもできる。リポソーム懸濁液(ウイルス抗原に対するモノクローナル抗体によって感染細胞を標的とするリポソームを含めて)を薬学的に許容される担体として用いることもできる。これらは当業者に公知の方法により、例えば、米国特許第4,522,811号に記述されているように、調製することができる。
【0193】
投与の容易さおよび投与量の均一性のために、経口用組成物または非経口用組成物を投与量単位形態で処方することが特に有利である。投与量単位形態とは、本明細書において用いられる場合、処置される対象のために単一投与量として適した、物理的に不連続な単位をいい、各単位は、所望の治療効果を生じると計算された所定量の活性成分を、必要とされる薬学的担体に関連して含有する。本出願の投与量単位形態の仕様は、活性成分の独特の特徴および達成されたい特定の治療効果により決定され、それらに直接依存する。
【0194】
治療用途において、本出願により用いられる薬学的組成物の投与量は、選択された投与量に影響を与える他の要因のなかでも特に、薬剤、レシピエント患者の年齢、体重、および臨床状態、ならびにその治療を施す医師または開業医の経験および判断に依って変化する。一般に、用量は、腫瘍の増殖の緩徐化、および好ましくは退縮をもたらすのに、また好ましくは、がんの完全な退縮を引き起こすのに十分とすべきである。投与量は約0.01 mg/kg/日〜約5000 mg/kg/日に及ぶことができる。好ましい局面において、投与量は約1 mg/kg/日〜約1000 mg/kg/日に及ぶことができる。1つの局面において、用量は約0.1 mg/日〜約50 g/日;約0.1 mg/日〜約25 g/日;約0.1 mg/日〜約10 g/日;約0.1 mg〜約3 g/日;または約0.1 mg〜約1 g/日の範囲内であり、単一用量、分割用量、または連続用量である(この用量は、kg単位の患者体重、m
2単位の体表面積、および年単位の年齢について調整されうる)。医薬品の有効量は、医師または他の権限のある観察者が気付くような、客観的に同定可能な改善をもたらす量である。例えば、患者における腫瘍の退縮は、腫瘍の直径に関連して測定されうる。腫瘍の直径の減少は退縮を示す。退縮は、処置を止めた後に腫瘍が再発しないことでも示される。本明細書において用いられる場合、「投与量有効様式」という用語は、対象または細胞において所望の生物学的効果を生じるための活性成分の量をいう。
【0195】
薬学的組成物は、投与のための使用説明書とともに容器、パックまたは分注機に含めることができる。
【0196】
本出願の化合物は、さらに塩を形成することが可能である。これらの形態の全てもまた、請求される本願の範囲内であると企図される。
【0197】
本明細書において用いられる場合、「薬学的に許容される塩」とは、親化合物がその酸性塩または塩基性塩を作出することにより修飾されている、本出願の化合物の誘導体をいう。薬学的に許容される塩の例としては、アミン、アルカリのような塩基性残基の鉱酸塩もしくは有機酸塩、またはカルボン酸のような酸性残基の有機塩などが挙げられるが、これらに限定されることはない。薬学的に許容される塩は、例えば非毒性の無機酸または有機酸から形成された、親化合物の従来の非毒性の塩または第四級アンモニウム塩を含む。例えば、そのような従来の非毒性塩は、2-アセトキシ安息香酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、酢酸、アスコルビン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、重炭酸、炭酸、クエン酸、エデト酸、エタンジスルホン酸、1,2-エタンスルホン酸、フマル酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルタミン酸、グリコール酸、グリコリアルサニリン(glycollyarsanilic)酸、ヘキシルレゾルシン酸、ヒドラバミン(hydrabamic)酸、臭化水素酸、塩酸、ヨウ化水素酸、ヒドロキシマレイン酸、ヒドロキシナフトエ酸、イセチオン酸、乳酸、ラクトビオン酸、ラウリル硫酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ナプシル(napsylic)酸、硝酸、シュウ酸、パモ酸、パントテン酸、フェニル酢酸、リン酸、ポリガラクツロン酸、プロピオン酸、サリチル酸、ステアリン酸、スバセチン(subacetic)酸、コハク酸、スルファミン酸、スルファニル酸、硫酸、タンニン酸、酒石酸、トルエンスルホン酸、および一般に存在するアミン酸、例えば、グリシン、アラニン、フェニルアラニン、アルギニンなどから選択される無機酸および有機酸から導出される塩を含むが、これらに限定されることはない。
【0198】
薬学的に許容される塩の他の例としては、ヘキサン酸、シクロペンタンプロピオン酸、ピルビン酸、マロン酸、3-(4-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、ケイ皮酸、4-クロロベンゼンスルホン酸、2-ナフタレンスルホン酸、4-トルエンスルホン酸、ショウノウスルホン酸、4-メチルビシクロ-[2.2.2]-オクタ-2-エン-1-カルボン酸、3-フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、第三級ブチル酢酸、ムコン酸などが挙げられる。本出願は同様に、親化合物に存在する酸性プロトンが金属イオン、例えば、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、もしくはアルミニウムイオンにより置き換えられる場合;またはエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、N-メチルグルカミンなどのような有機塩基と配位する場合のいずれかに形成される塩を包含する。
【0199】
薬学的に許容される塩に対する全ての言及は、同じ塩の、本明細書において定義される溶媒付加形態(溶媒和物)または結晶形態(多型)を含むことが理解されるべきである。
【0200】
本出願の化合物はまた、エステル、例えば、薬学的に許容されるエステルとして調製することができる。例えば、化合物中のカルボン酸官能基は、その対応するエステル、例えば、メチルエステル、エチルエステルまたは他のエステルに変換することができる。また、化合物中のアルコール基は、その対応するエステル、例えば、酢酸エステル、プロピオン酸エステルまたは他のエステルに変換することができる。
【0201】
本出願の化合物はまた、プロドラッグ、例えば、薬学的に許容されるプロドラッグとして調製することができる。「プロ-ドラッグ」および「プロドラッグ」という用語は、本明細書において互換的に用いられ、インビボで活性な親薬物を放出する任意の化合物をいう。プロドラッグは、薬剤の多数の所望の性質(例えば、溶解性、生物学的利用能、製造など)を増強することが公知であるので、本出願の化合物は、プロドラッグの形態で送達することができる。したがって、本出願は、本願請求に係る化合物のプロドラッグ、それらを送達する方法、およびそれらを含有する組成物を網羅することが意図される。「プロドラッグ」は、そのようなプロドラッグが対象に投与される場合に、本出願の活性親薬物をインビボで放出する、任意の共有結合された担体を含むことが意図される。本出願におけるプロドラッグは、その化合物に存在する官能基を、慣用的な操作でまたはインビボでのいずれかで、修飾が切断されて親化合物になるような様式で修飾することによって調製される。プロドラッグは、ヒドロキシ基、アミノ基、スルフヒドリル基、カルボキシ基またはカルボニル基がインビボで切断されて、それぞれ、遊離ヒドロキシル基、遊離アミノ基、遊離スルフヒドリル基、遊離カルボキシ基または遊離カルボニル基を形成しうる任意の基に結合された、本出願の化合物を含む。
【0202】
プロドラッグの例としては、本出願の化合物の、ヒドロキシ官能基のエステル(例えば、アセテート、ジアルキルアミノアセテート、ホルメート、ホスフェート、スルフェートおよび安息香酸誘導体)ならびにカルバメート(例えば、N,N-ジメチルアミノカルボニル)、カルボキシル官能基のエステル(例えば、エチルエステル、モルホリノエタノールエステル)、アミノ官能基のN-アシル誘導体(例えば、N-アセチル) N-マンニッヒ塩基、シッフ塩基およびエナミノン、ケトン官能基およびアルデヒド官能基のオキシム、アセタール、ケタールおよびエノールエステルなどが挙げられるが、これらに限定されることはなく、Bundegaard, H., Design of Prodrugs, p1-92, Elesevier, New York-Oxford (1985)を参照されたい。
【0203】
本出願の薬学的組成物は、経口、経鼻、経皮、肺、吸入、頬、舌下、腹腔内、皮下、筋肉内、静脈内、直腸、胸膜腔内、鞘内および非経口で投与される。1つの態様において、この化合物は、経口投与される。当業者は、特定の投与経路の利点を認識するであろう。
【0204】
化合物を利用する投与量計画は、患者のタイプ、種、年齢、体重、性別および医学的状態;処置される状態の重症度;投与経路;患者の腎機能および肝機能;ならびに採用される特定の化合物またはその塩を含む種々の要因によって選択される。通常の技能を有する医師または獣医師は、状態を予防するか、状態に対抗するか、または状態の進行を食い止めるために必要とされる、薬物の有効量を容易に判定および処方することができる。
【0205】
本出願の開示の化合物の処方および投与のための技法は、Remington: the Science and Practice of Pharmacy, 19
th edition, Mack Publishing Co., Easton, PA (1995)において見出すことができる。1つの態様において、本明細書において記述される化合物、および薬学的に許容されるその塩は、薬学的調製物中で、薬学的に許容される担体または希釈剤と組み合わせて用いられる。適当な薬学的に許容される担体は、不活性な固体の増量剤または希釈剤、および滅菌水溶液または有機溶液を含む。化合物は、そのような薬学的組成物中に、本明細書において記述される範囲の所望の投与量を提供するために十分な量で存在するであろう。
【0206】
本明細書において用いられる全ての百分率および比率は、他に示されない限り、重量による。本出願の他の特徴および利点は、さまざまな実施例から明らかである。提供される実施例は、本出願を実践する際に有用な、さまざまな成分および方法論を説明する。実施例は、請求される本願を限定しない。本開示に基づいて、当業者は、本出願を実践するのに有用な他の成分および方法論を同定および採用することができる。
【実施例】
【0207】
実施例1: X線粉末回折(XRPD)
1.1. Bruker AXS C2 GADDS
X線粉末回折パターンは、Cu Kα線照射(40 kV, 40 mA)、自動XYZステージ、自動サンプル配置のためのレーザービデオ顕微鏡およびHiStar 2次元領域検出器を用いBruker AXS C2 GADDS回折計にて収集した。X線光学系は、0.3 mmのピンホールコリメータに連結させた1つのGobel多層膜ミラーからなった。認証された標準NIST 1976コランダム(平板)を用いて毎週の性能検査を行った。
【0208】
光線の発散、すなわち、サンプルにおけるX線光線の有効サイズはおよそ4 mmであった。サンプル−検出器の距離20 cmでθ-θ連続スキャンモードを採用すると、これは3.2°〜29.7°の有効2θ範囲を与える。典型的には、サンプルはX線光線に120秒間暴露された。データ収集のために用いたソフトウェアは、GADDS for WNT 4.1.16であり、データはDiffrac Plus EVA v11.0.0.2またはv13.0.0.2を用いて分析および表示された。
【0209】
周囲条件
周囲条件で動くサンプルは、受け取った粉末のままで粉砕せずに平板の標本として調製した。サンプルおよそ1〜2 mgをスライドガラス上で軽く押圧して、平坦な表面を得た。
【0210】
非周囲条件
非周囲条件で動くサンプルは、熱伝導化合物とともにシリコンウエハに装着した。サンプルを次いで、10℃/分で適切な温度まで加熱し、その後、データ収集を始める前に1分間、等温保持した。
【0211】
1.2. Bruker AXS D8 Advance
X線粉末回折パターンをBruker D8回折計にて、Cu Kα線照射(40 kV, 40 mA)、θ-2θ角度計、ならびにV4の発散および受光スリット、GeモノクロメータおよびLynxeye検出器を用いて収集した。認証コランダム標準物質(NIST 1976)を用いて、機器の性能を確認した。データ収集のために用いたソフトウェアは、Diffrac Plus XRD Commander v2.5.0であったが、Diffrac Plus EVA v11.0.0.2またはv13.0.0.2を用いてデータを分析および提示した。サンプルを周囲条件の下で、受け取ったままの粉末を用い平板の標本として実行した。
【0212】
サンプルを、研磨したゼロバックグラウンド(510)のシリコンウエハに切り込んだ空洞に、軽く詰めた。このサンプルを分析中、その面内で回転させた。データ収集の詳細は、以下の通りである。
・角度範囲: 2〜42°2θ
・ステップサイズ: 0.05°2θ
・収集時間: 0.5秒/ステップ
【0213】
1.3. Bruker AXS D8 Advance
可変温度XRPD分析はBruker D8 ADVANCEにてキャピラリーモードで、Oxford Cryosystems Cryostreamを23、115、150および200℃で用いて実行した。サンプルを3.0〜50.0°2θでスキャンした。キャピラリーサンプルホルダ中で材料を調製した。サンプルを次いで、Bruker D8 ADVANCE回折計に装填し、以下の実験条件を用いて分析した。
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【0214】
1.4. Siemens D5000
XRPD分析をSiemens D5000にて実行し、サンプルを3.0〜30.0 (または受け取った材料の特徴付けの場合には50.0) °2θでスキャンした。サンプルホルダに挿入されたガラスディスク上で材料を穏やかに押圧した。サンプルをその後、反射モードで動作しているSiemens D5000回折計に装填し、以下の実験条件を用いて分析した。
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【0215】
実施例2:
1H NMR
オートサンプラを備え、DRX400コンソールにより制御されるBruker 400MHz機器にて、NMRスペクトルを収集した。自動化された実験は、標準的なBruker装填実験を用い、Topspin v1.3とともに実行するICON-NMR v4.0.4を用いて行った。非定型の分光法の場合、Topspinだけを用いることによってデータを取得した。別段の定めのない限り、DMSO-d
6中でサンプルを調製した。ACD SpecManager v12.00を用いて、オフライン分析を行った。
【0216】
1H-NMR分光実験はBruker AV400 (周波数: 400 MHz)にて実施した。実験は酸化ジュウテリウム中で実施し、各サンプルを約10 mMの濃度に調製した。
【0217】
実施例3: 示差走査熱量計(DSC)
3.1. Mettler DSC 823e
DSCデータは、34ポジションオートサンプラを備えたMettler DSC 823eにて収集した。認証済みのインジウムを用いエネルギーおよび温度について機器を較正した。典型的には、小さい穴があるアルミニウムパンの中で、各サンプル0.5〜3 mgを25℃から300℃まで10℃/分で加熱した。サンプルの全体で50 ml/分の窒素パージを維持した。機器制御およびデータ分析ソフトウェアはSTARe v9.20であった。
【0218】
3.1. Seiko DSC6200
材料およそ5 mgをアルミニウムDSCパンに秤量し、穿孔アルミニウム蓋で非気密的に密封した。次いでサンプルパンをSeiko DSC6200機器(冷却器を備えた)に装填し、25℃で保持した。安定な熱流応答が得られたら、サンプルおよび参照を10℃/分のスキャン速度で約360℃まで加熱し、得られた熱流応答をモニターした。
【0219】
実施例4: 熱重量分析(TGA)
TGAデータは、34ポジションオートサンプラを備えたMettler TGA/SDTA 851eにて収集した。認証済みのインジウムを用いて機器を温度較正した。典型的には、各サンプル5〜30 mgを、予め秤量されたアルミニウムるつぼに入れ、周囲温度から350℃まで10℃/分で加熱した。サンプルの全体で50 ml/分の窒素パージを維持した。機器制御およびデータ分析ソフトウェアはSTARe v9.20であった。
【0220】
材料およそ5 mgを開放型アルミニウムパンに秤量し、同時熱重量/示差熱分析計(TG/DTA)に装填し、室温で保持した。次いでサンプルを25℃から300℃まで10℃/分の速度で加熱し、その間にサンプル重量の変化を任意の示差熱事象(DTA)とともに記録した。100 cm
3/分の流速で、パージガスとして窒素を用いた。
【0221】
実施例5: 偏光顕微鏡法(PLM)
5.1. Leica LM/DM
画像捕捉用デジタルビデオカメラを備えたLeica LM/DM偏光顕微鏡にて、サンプルを研究した。少量の各サンプルをスライドガラス上に置き、個々の粒子を可能な限り分離して液浸油中で標本化し、そしてカバーガラスで覆った。サンプルを、適切な倍率およびλ着色フィルタにカップリングした部分偏光で観察した。
【0222】
5.1. Olympus BX50
Moticカメラおよび画像捕捉ソフトウェア(Motic Images Plus 2.0)を備えた、Olympus BX50偏光顕微鏡を用いて、複屈折性の存在を判定した。特に明記しない限り、20倍の対物レンズを用いて全ての画像を記録した。
【0223】
実施例6: HPLCによる化学的純度判定
純度分析は、ダイオードアレイ検出器を備えたAgilent HP 1100シリーズシステムにて、以下に詳述される方法を用いChemStationソフトウェアvB.02.01-SR1を使って実施した。
【0224】
(表1)化学的純度判定のためのHPLC法パラメータ
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【0225】
実施例7: 重量蒸気吸着(GVS)
7.1. SMS DVS Intrinsic
吸着等温線は、DVS Intrinsic Controlソフトウェアv1.0.0.30によって制御されるSMS DVS Intrinsic湿度吸着分析装置を用いて得られた。サンプル温度は、機器制御により25℃に維持された。湿度は、乾燥窒素および湿り窒素の流れを混合することにより制御され、全体の流速は200 ml/分であった。相対湿度は、サンプルの近くに位置付けられた、較正済みのRotronicプローブ(1.0〜100% RHのダイナミックレンジ)によって測定された。%RHの関数としてのサンプルの重量変化(質量緩和)は、微量天秤(正確さ±0.005 mg)によって定常的にモニターされた。
【0226】
典型的には、サンプル5〜20 mgを周囲条件下で、風袋測定したメッシュステンレス鋼バスケット中に配置した。サンプルは40% RHおよび25℃(典型的な室温条件)で装填および非装填された。湿度吸着等温線は、以下に概説されるように行われた(4スキャンが2完全サイクルを与えた)。標準等温線は、0〜90% RH範囲にわたり25℃、10% RH間隔で行われた。データ分析は、DVS Analysis Suite v6.0.0.7を用いMicrosoft Excelで行われた。
【0227】
(表2)SMS DVS Intrinsic実験のための方法パラメータ
[この文献は図面を表示できません]
サンプルは、等温線の完了後に回収され、XRPDによって再分析された。
【0228】
7.2. 動的蒸気吸着(DVS)
サンプルおよそ10 mgをメッシュ蒸気吸着バランスパンの中に入れ、Surface Measurement SystemsによるDVS-1動的蒸気吸着バランスに装填した。サンプルを無水サンプルの場合には10%の増分で0〜90%、90〜0%相対湿度(RH)および水和サンプルの場合には30〜90%、90〜0%、0〜90%、90〜0%の傾斜(ramping)プロファイルに供し、サンプルを各ステップで、安定な重量が得られる(99.5%のステップ完了)まで維持した。吸着/脱着サイクル中の重量変化をプロットし、サンプルの吸湿性を判定可能にした。
【0229】
実施例8: カール・フィッシャー滴定(KF)による水分判定
8.1. Mettler Toledo DL39電量計
Hydranal Coulomat AG試薬およびアルゴンパージを用いてMettler Toledo DL39電量計にて、各サンプルの水分含量を測定した。秤量した固体サンプルを溶媒に溶解し、滴定あたりサンプルおよそ10 mgに相当する容量を容器に導入した。二重判定を行った。
【0230】
8.2. Mettler Toledo C30コンパクト滴定装置(Compact Titrator)
最初に、メタノールのみを含有するブランクサンプルを、KF (Mettler Toledo C30 Compact Titrator)により分析して、サンプル分析前のブランク水分含量を判定した。固体材料およそ10〜15 mgをバイアルに正確に秤量した。次いで材料をメタノールに溶解し、添加した量を記録した。次いで、得られた溶液を手動でMettler Toledo C30コンパクト滴定装置の滴定セルに導入した。水分含量を百分率として計算し、データを印刷した。
【0231】
実施例9: 熱力学的水溶解性
9.1. 溶解性
水溶解性は、十分な化合物を水に懸濁させて、親遊離形態の化合物の最大終濃度10 mg/ml以上を得ることにより判定した。懸濁液を24時間25℃で平衡化し、その後、pHを測定した。懸濁液をその後、ガラス繊維Cフィルタを通じてろ過した。ろ液をその後、適切な倍率、例えば、101倍まで希釈した。定量はDMSO中およそ0.25 mg/mlの標準溶液を参照してHPLCによった。異なる容量の標準溶液、希釈および非希釈サンプル溶液を注入した。溶解性は、標準液の注入での主要なピークと同じ保持時間において見出されたピークの積算により決定されたピーク面積を用いて計算した。
【0232】
(表3)溶解性測定のためのHPLC法パラメータ
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分析は、ダイオードアレイ検出器を備えたAgilent HP 1100シリーズシステムにて、ChemStationソフトウェアvB.02.01-SR1を使って実施した。
【0233】
9.2. 高性能液体クロマトグラフィー−紫外検出(HPLC-UV)
純度および濃度分析は、以下の方法を用いて実行した。
[この文献は図面を表示できません]
【0234】
実施例10: イオンクロマトグラフィー(IC)
IC Netソフトウェアv2.3を用いMetrohm 761 Compact IC (陽イオンの場合) / Metrohm 861 Advanced Compact IC (陰イオンの場合)にてデータを収集した。正確に秤量したサンプルを、適切な溶解液中で原液として調製し、試験の前に適切に希釈した。定量化は、分析されているイオンの濃度既知の標準溶液との比較によって達成した。
【0235】
(表4)陰イオンクロマトグラフィーのためのIC法パラメータ
[この文献は図面を表示できません]
【0236】
実施例11: ホットステージ顕微鏡法
サンプルを、ホットステージ装置を用いて10倍の倍率レンズにより偏光顕微鏡法(PLM)で分析した。温度を25℃から325℃まで10℃/分で傾斜させた。
【0237】
実施例12: 化合物A遊離塩基の多型
複数の多型を化合物A遊離塩基について調製した。
形態1はイソプロパノール(IPA)、メチルエチルケトン(MEK)またはアセトンからの化合物A遊離塩基の単離によって形成された。形態1はロッド状の複屈折粒子を構成した(
図1)。それは、0.01当量のジオキサンが残存し、99.3%化学的に純粋(
図6)である。結晶化合物A遊離塩基は水に不溶であった。
【0238】
形態1は、0.4〜0.6当量のDCMを含有したジクロロメタン(DCM)溶媒和物(
図7A)、または0.4〜0.6当量のMEKを含有したMEK溶媒和物(
図7C)でありうる。形態1は、25℃および0〜96% RHの貯蔵条件下で安定であり(
図4BおよびC)、0〜90% RHで最小の水分取り込み(0.8%, w/w未満)を示した(
図5)。
【0239】
形態1は、およそ118℃の開始温度で幅広い吸熱を示し、およそ207℃で融解した(
図8)。形態1は温度範囲110〜150℃で8.8% (w/w)の重量を失ったが、これは0.49当量のDCMに相当する(
図8)。貯蔵時に形態1について最小の吸水性が観察された(
図5)。
【0240】
形態1はおよそ110℃でDCMを放出し、非溶媒和物形態2へ転換した(
図3)。形態1はまた、40℃および75% RH下で貯蔵された場合に形態2に転換した(
図4A)。
【0241】
形態2はまた、酢酸イソプロピル(IPAc)またはアセトニトリルからの化合物A遊離塩基の単離によって形成された。形態2は有意な量の溶媒を含有していなかった(
図7B)。形態2はおよそ210℃で融解し、冷却されると、形態3に変換した(
図3)。
【0242】
形態4は、THF中5%のH
2Oの混合物を含有する遊離塩基溶液の緩徐蒸発によって成長された(
図10)。形態4はヘミTHF溶媒和物であり、軽度の無秩序性を呈する化合物A遊離塩基の独立分子および半分のTHF分子を含む非対称単位を有する。化合物A遊離塩基の無秩序性は、シクロブチル環上で置換されたアミン基に位置しており、細長い窒素楕円体として観察された。このタイプの無秩序性は、アミン基が芳香族環により抱合されていない場合に観察されうる。最終R
1 [I>2σ(I)] = 4.74%。ピリジニル環(C1〜C5)の6個の原子を通る計算された最小二乗平面は、平面性 -0.0463 (9)Åからの最大偏差を示すC5により0.0267の平面性からRMSDを与えた。9個の原子の縮合環(C6〜C11、N3、N4、N5)を通る計算された最小二乗平面は、平面性 0.016 (1)Åからの最大偏差を示すC7により0.0083の平面性からRMSDを与えた。この平面と前の平面との間の二面角は20.27 (5)°である。フェニル環(C12〜C17)の6個の原子を通る計算された最小二乗平面は、平面性 0.0025 (9)Åからの最大偏差を示すC16により0.0015の平面性からRMSDを与えた。この平面と前の平面との間の二面角は27.53 (2)°である。第2のフェニル環(C18〜C23)の6個の原子を通る計算された最小二乗平面は、平面性 -0.0187 (8)からの最大偏差を示すC23により0.0125の平面性からRMSDを与えた。この平面と前の平面との間の二面角は61.64 (4)°である。シクロブチル環(C24〜C27)は、典型的なひだ状(ちょう形)構造をとって、環ひずみを最小にする。
【0243】
形態4において、化合物A遊離塩基は、供与体として作用するピリジニル環上のアミン基の窒素N1および受容体として作用する対称関連分子上のピリジニル環の窒素N2とともに水素結合を介して二量体N1−H1AB---N2 [D...A = 3.051 (2)Å]を形成した(
図11)。化合物A遊離塩基の二量体単位は、シクロブチル環のアミン置換基N6と対称関連分子中の同じ基との間の水素結合によってともに連結され、化合物A二量体単位の鎖N6−H6B---N2 [D...A = 3.284 (4)Å]をもたらす(
図12)。ピリジニル環上のアミン基の窒素N1と9原子環系の窒素N4との間の構造N1−H1AA---N4 [D...A = 2.696 (2)Å]内にも内部水素結合が観察された(
図11)。単位格子内の化合物A遊離塩基ヘミTHF溶媒和物の充填の画像を
図13に示す。特異な構造的特徴は他になく、フーリエ示差マップ(Fourier difference map)に特徴はなく、それぞれ0.372および-0.285 eÅ -3の最大および最小電子密度を示す。この材料の参照パターンとして模擬XRPDパターンを作出した(
図14)。形態4の特徴を表5〜13に提供する。
【0244】
(表5)結晶データ
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【0245】
(表6)
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【0246】
(表7)原子座標および等価等方性原子置換パラメータ(Å
2)
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【0247】
(表8)選択結合長(Å)
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【0248】
(表9)選択結合角(°)
[この文献は図面を表示できません]
【0249】
(表10)選択結ねじれ角(°)
[この文献は図面を表示できません]
【0250】
(表11)異方性原子置換パラメータ(Å
2)
[この文献は図面を表示できません]
【0251】
(表12)水素原子座標および等方性原子置換パラメータ(Å
2)
[この文献は図面を表示できません]
【0252】
(表13)選択水素結合の情報(Åおよび°)
[この文献は図面を表示できません]
#1 -x+1/2, -y+3/2, -z+1 #2 -x+1, y, -z+1/2
【0253】
実施例13: 化合物A塩および多型の調製
化合物A遊離塩基およそ40〜45 mgを正確に秤量し、50容量の適切な溶媒を添加した。溶媒には、ジオキサン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル(IPAc)、イソプロパノール(IPA)、テトラヒドロフラン(THF)、メチルエチルケトン(MEK)、アセトン、エタノール、アセトニトリルおよびニトロメタンが含まれた。サンプルを1時間50℃まで加温し、さまざまな酸原液(例えば、HCl、硫酸、メタンスルホン酸、マレイン酸、リン酸、L-グルタミン酸、L-酒石酸、ガラクタル酸(粘液酸)、クエン酸、D-グルクロン酸、馬尿酸、D-グルコン酸、L-乳酸、L-アスコルビン酸、コハク酸、酢酸)を添加した。モノ塩の形成の場合、1.1当量の酸を添加し;ビス酸の形成の場合、2.1当量の酸を添加した。サンプルをさらに2〜3時間50℃に放置し、0.1℃/分で0℃まで冷却し、終夜0℃で放置した。
【0254】
実施例14: 化合物Aの塩の多型
実施例12にしたがって調製された化合物Aのさまざまな塩は、異なるXRPDパターンで多型を形成した(
図49〜64)。化合物Aの塩の多型は、貯蔵中に安定であった(
図65〜79)。
【0255】
実施例15: 化合物A HCl塩および多型の調製
化合物A遊離塩基およそ10 mgを正確に秤量し、50容量の適切な溶媒を添加した。溶媒には、ジオキサン、酢酸エチル、IPAc、IPA、THF、MEK、アセトン、エタノール、アセトニトリルおよびニトロメタンが含まれた。サンプルを1時間50℃まで加温し、さまざまなHCl酸原液(例えば、THF、酢酸エチルまたはエタノール中)を添加した。モノ塩の形成の場合、1.1当量の酸を添加し;ビス酸の形成の場合、2.1当量の酸を添加した。サンプルをさらに4時間50℃に放置し、0.1℃/分で0℃まで冷却し、終夜0℃で放置した。
【0256】
実施例16: 化合物A HCl塩および多型の調製
HCl (THF中1 M) (3.4 ml, 3.4 mmol, 3.3当量)を1分間にわたり50℃で化合物A遊離塩基(450.3 mg, 1.04 mmol, 1当量)およびエタノール(22.5 ml, 50相対容量)の撹拌懸濁液に添加した。混合物は酸およそ3 mlの添加によって溶液となり、全部の添加後に溶解したままであった。混合物を1時間50℃で撹拌し、その後、0.1℃/分で0℃まで冷却し、さらに5時間撹拌した。アリコットを採取し、固体を真空ろ過によって単離し、吸引下で乾燥させ、XRPDにより分析して所望の材料の形成を確認した。残存する混合物をさらに4時間0℃で撹拌した。固体を真空ろ過によって単離し、吸引下および30℃/5 mbarで乾燥させて、所望の材料を黄色の固体として得た。表14は、化合物A HCl塩の多型のうちの1つの分析を示す。
【0257】
(表14)
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【0258】
実施例17: 化合物A HCl塩の多型
化合物Aは、用いられた溶媒の全てでモノHCl塩を形成した。化合物AのモノHCl塩は、4つの異なる結晶XRPDパターンを示した(
図17A)。
【0259】
化合物Aはまた、用いられた溶媒の全てでビスHCl塩を形成した。化合物AのビスHCl塩は、4つの異なる結晶XRPDパターンを示した(
図17B)。
【0260】
化合物Aはまた、トリスHCl塩を形成した。XRPDは、トリスHClが非晶質であることを示した(
図16)。化合物AトリスHCl塩は、非常に水溶性であった。安定性研究から、貯蔵中、化合物AトリスHCl塩は、ビスHCl塩および/またはモノHCl塩に部分的に転換し、異なるXRPDパターンを示すことが明らかにされた(
図22)。
【0261】
実施例18: 化合物Aメシル酸塩および多型の調製
化合物A遊離塩基およそ10 mgを正確に秤量し、50容量の適切な溶媒を添加した。溶媒には、ジオキサン、酢酸エチル、IPAc、IPA、THF、MEK、アセトン、エタノール、アセトニトリルおよびニトロメタンが含まれた。サンプルを1時間50℃まで加温し、さまざまなメタンスルホン酸原液(例えば、THF、酢酸エチルまたはエタノール中)を添加した。モノ塩の形成の場合、1.1当量の酸を添加し;ビス酸の形成の場合、2.1当量の酸を添加した。サンプルをさらに4時間50℃に放置し、0.1℃/分で0℃まで冷却し、終夜0℃で放置した。
【0262】
化合物Aメシル酸塩の多型を、例えば、THF、酢酸エチルおよびエタノールを含む、さまざまな溶媒から単離した。化合物Aメシル酸塩の多型は、非常に水溶性であり、貯蔵中に安定である。化合物Aメシル酸塩の多型のXRPDの変化は、40℃および75% RH下での貯蔵前および貯蔵後に観察されなかった。どちらもメタンスルホン酸の喪失は観察されなかった。
【0263】
実施例19: 化合物Aメタンスルホン酸塩および多型の調製
メタンスルホン酸(THF中1 Mの溶液) (3.4 ml, 3.4 mmol, 3.3当量)を1分間にわたり50℃で化合物A遊離塩基(450.1 mg, 1.04 mmol, 1当量)のTHF (22.5 ml, 50相対容量)撹拌溶液に添加した。非常に濃厚な沈殿物が生じたので、撹拌速度を増加させて可動性の懸濁液を得た。混合物を1時間50℃で撹拌し、その後、0.1℃/分で0℃まで冷却し、さらに6時間撹拌した。アリコットを採取し、固体を真空ろ過によって単離し、吸引下で乾燥させ、XRPDにより分析して所望の材料の形成を確認した。残存する混合物をさらに1時間0℃で撹拌した。固体を真空ろ過によって単離し、吸引下で乾燥させて、所望の材料を黄色の固体として得た。表15は、化合物Aメシル酸塩の多型のうちの1つの分析を示す。
【0264】
(表15)
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【0265】
実施例20: 化合物Aビスメシル酸塩の多型
化合物Aビスメシル酸塩を凍結乾燥させて、非晶質塩を生成させた(
図30)。化合物Aビスメシル酸塩の成熟を、異なる条件下でさまざまな溶媒により行った。非晶質メシル酸塩250 mgを適切な溶媒5 mL中でスラリー化した。各温度で4時間保持しながら、温度を55℃〜0℃で循環させた。循環中、温度は次の設定温度まで1時間かけて調整された。温度循環を4回繰り返した。循環が完了したら、スラリーをろ過し、各単離固体をXRPDによって分析した。試験された23種の溶媒から、ろ過性の固体を得た。XRPDパターンを表16にまとめる。化合物Aビスメシル酸塩の異なる2種の多型が同定された。
【0266】
(表16)
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【0267】
実施例21: 化合物Aビスメシル酸塩の多型
形態A
50℃の化合物A遊離塩基(41.06 g, 94.93 mmol, 1.0当量)のTHF (2.0 L, 50容量)溶液を3分かけて1 Mのメタンスルホン酸(208 mL, 208 mmol, 2.2当量)のTHF溶液で処理した。得られた濃厚なスラリーをさらに1時間50℃で撹拌した後に、20℃に冷却し、17時間20℃で撹拌した。得られたスラリーを次いで、ろ過し、固体をTHF (2×300 mL)で洗浄し、真空下22時間50℃および48時間20℃で乾燥させた。これにより化合物Aビスメシル酸塩を、淡黄色の結晶性固体(58.1 g, 98%の単離収率)として得た。あるいは、形態Aを約22℃で約48時間乾燥メタノール中でさらにスラリー化して、結晶化度を改善させてもよい。
【0268】
化合物Aビスメシル酸塩の形態Aに対するXRPD、
1H NMR、DSC、TGAおよびIRデータを、
図32〜36として提供する。形態Aに対するXRPDパターン(
図32)は、4.1、7.8、9.4、10.1、12.1、15.5、16.2、18.8、19.9、21.1、23.0、25.1および27.4°2θにおいて観察された単一のピークによって識別される。形態A塩の
1H NMRは、1.87当量に相当する2.41 ppmのメシル酸塩対イオンの存在を示す。イオンクロマトグラフィーにより、1.94当量(非晶質に基づく)に相当する30.1% (wt)のメタンスルホン酸が測定された。残存THFも
1H NMRにおいて観察されたが、これはTHFの2918 ppmに測定されたGCによるOVIの分析に相当する。DSC (
図34)は鋭い吸熱を示し、305.9℃での開始温度および307.6℃での融解を伴う。DSC実験において観察された融解事象までTGAにおいて有意な重量損失の事象は観察されなかった(
図35)。形態Aを代表するIRスペクトルを、
図36として示す。
【0269】
形態Aのさらなる特徴付けを以下に記述する。
・PLM分析により、形態Aが針状形態を有し複屈折性であることが示唆された。
・TGAにより、おそらく未結合の溶媒/水のため、約60℃未満で約1.47%の重量損失が示された。約300℃超で分解の前にはさらなる重量損失は観察されなかった。DTAにより開始約92.2℃(ピーク96.1℃)において小さな吸熱、および開始約302.6℃(ピーク312.8℃)において最後の鋭い吸熱が示唆された。
・DSC分析により開始約107.1℃(ピーク115.4℃)において小さな吸熱事象、および開始約305.1℃(ピーク308.2℃)において最後の吸熱が示された。
・形態Aのサンプルを約150℃まで加熱し、加熱後XRPD分析を行い、形態Aと一致するディフラクトグラムを得た。約150℃まで加熱した後にさらなるTG/DTA分析を行い、その後、サンプルを周囲温度まで冷却させた。この分析は初期TG/DTAと一致しており、この場合もやはり約92.2℃での吸熱を示した。これらの加熱実験により、約92.2℃での吸熱事象は、形態Aがこの温度超ではさらに高い融解形態に変換する固体・固体転移、すなわち、形態Aと高温形態との間の互変転移の関係に相当する可能性が高いことが示唆された。
・この転移のさらなる確認は、可変温度XRPD分析(VT-XRPD)によって探索し、ここでは形態Aのサンプルをキャピラリー中に配し、XRPD分析を23、115、150および200℃で行った。23℃で、ディフラクトグラムは形態Aと一致していた。150および200℃で、形態Aと異なる回折パターンが観察され、異なる多型形態への変換を示唆していた。この異なる形態を形態Kと指定した。115℃ (転移温度)で、形態Aおよび形態Kの混合物が観察された。VT-XRPD分析により、約107.1℃(ピーク115.4℃)での固体・固体転移およびおそらくこの2形態の間での互変転移の関係が確認された。
・約1.1%の水分含量がカール・フィッシャー滴定によって測定された。
・99.8%のHPLC純度が観察された。
・HPLC濃度分析により約383.4 mg/mLの水溶解性が示唆された。約24時間、脱イオン水中で形態Aをスラリー化した後のXRPD分析により、形態Aが形態Eに変換することが示唆された。 ・DVS分析は最大70% RHまで約2.4%の水の取込みを示し、中等度の吸湿性を示唆していた。有意なヒステリシスは観察されなかった。DVS分析後に行われたXRPD分析によって形態Aと一致するディフラクトグラムが得られたが、結晶化度のいくらかの損失が観察された。
・40℃/75% RH、80℃でおよび周囲温度での安定性試験の後に多型形態の変化は観察されなかった。HPLC分析により、40℃/75% RHの場合に約99.8%、80℃の場合に約99.8%および周囲温度で約99.7%の純度が示唆された。
【0270】
形態B
55℃の2% H
2O/MeOH (50 mL, 10容量)中の化合物A遊離塩基(5.0 g, 11.56 mmol, 1.0当量)のスラリーを純メタンスルホン酸(1.51 mL, 23.35 mmol, 2.02当量)で処理した。得られた溶液を55℃で5分間撹拌した。80分間にわたるi-PrOAc (95 mL)の添加によって濃厚なスラリーの形成を引き起こし、これを20℃まで冷却し、18時間撹拌した。スラリーをろ過し、ウェットケーキをi-PrOAc (50 mL)で洗浄した後にろ過ケーキを真空下55℃で22時間乾燥させた。得られた固体は白色の固体(7.07 g, 収率98%)であった。形態Bは非晶質化合物Aビスメシル酸塩を2-プロパノール中A
w = 0.35で約72時間約22℃でスラリー化することによりスケールアップされうる。
【0271】
化合物Aビスメシル酸塩の形態Bに対するXRPD、
1H NMR、DSC、TGAおよびIRデータを、
図37〜41として提供する。形態Bに対するXRPDパターン(
図37)は、6.2および6.6°2θにおいて観察された二重項ピークによって識別される。形態B塩の
1H NMR (
図38)は、1.91当量に相当する2.39 ppmのメシル酸塩対イオンの存在を示す。イオンクロマトグラフィーにより、1.92当量のメシル酸塩(非晶質に基づく)に相当する29.9%のメタンスルホン酸が測定された。残存i-PrOAcが
1H NMRにより観察され、これはi-PrOAcの32,783 ppmを測定したGCによるOVIの分析に相当する。DSC (
図39)は幅広い吸熱を示し、182.6℃の開始温度および194.1℃での融解を伴う。吸熱のすぐ後に199.3℃の開始温度で、204.5℃においてピークを有する発熱が続く。第2の吸熱が観察され、299.9℃の開始温度および302.3℃での第2の融解を伴っていた。TGAにおいて3つの別々の重量損失の事象が観察された(
図40)。1つの事象はDSCにおいて観察された融解/再結晶化事象に先行し(150℃未満)、1つは融解/再結晶化事象と一致し(およそ250℃)、第3のものは第2の吸熱事象の間に起こる(およそ300℃)。形態Bに対する代表的なIRスペクトルを、
図41として示す。
【0272】
形態Bのさらなる特徴付けを以下に記述する。
・PLM分析により、形態Bが小さなロッド/針状結晶を有し複屈折性であることが示唆された。
・2〜3日間周囲温度で風乾させた後に、TGAから約50℃未満で1.90%の重量損失と、それに続き約50〜130℃で4.26%の重量損失が示され、約130〜190℃で2.35%のさらなる重量損失が伴われた。DTAトレースにより、開始約189.8℃(ピーク195.6℃)において最初の吸熱事象、それに続きピーク205.7℃において発熱事象が示された。次いで鋭い吸熱が開始約303.6℃(ピーク306.8℃)において観察された。真空下でさらに1日間周囲温度で乾燥させた後に、TGAから約60℃未満で2.37%の重量損失と、それに続き約60℃〜140℃で2.61%の重量損失が示され、約140℃〜200℃で2.43%のさらなる重量損失が伴われた。DTAトレースにより、開始約187.3℃(ピーク193.6℃)において最初の吸熱事象、それに続きピーク205.7℃において発熱事象が示された。次いで鋭い吸熱が開始約300.0℃(ピーク304.9℃)において観察された。さらに1日間50℃で乾燥させた後に、TGAから約60℃未満で0.81%の重量損失と、それに続き約60℃〜140℃で1.54%の重量損失が示され、約140℃〜200℃で2.39%のさらなる重量損失が伴われた。DTAトレースにより、開始約189.3℃(ピーク195.0℃)において最初の吸熱事象、それに続きピーク205.8℃において発熱事象が示された。次いで鋭い吸熱が開始約302.1℃(ピーク305.9℃)において観察された。
・(脱水/脱溶媒和の後に)約190℃〜210℃で起きる温度転移を評価するため、形態Bのサンプルを約250℃まで加熱し、得られた固体に対して加熱後XRPD分析を行った。得られたディフラクトグラムは、形態Aと一致していた。
・DSC分析によりピーク約108.6℃において幅広い吸熱が示された。さらなる吸熱が開始約172.6℃(ピーク186.4℃)において観察され、それに続いてピーク201.4℃において発熱が観察された。最後の吸熱は開始約298.1℃(ピーク302.2℃)において観察された。
・約2.3%の水分含量がカール・フィッシャー滴定によって測定された。
・99.7%のHPLC純度が観察された。 ・HPLC濃度分析により約359 mg/mLの水溶解性が示唆された。約24時間、脱イオン水中で形態Bをスラリー化した後のXRPD分析により、形態Bが形態Eに変換することが示唆された。
・DVS分析により、形態B中に存在する溶媒の一部が最初の吸着サイクル中にサンプルから押し出された可能性のあることが示唆された。脱着サイクルにより90%から0% RHに至るまでの漸進的喪失が示唆された。DVS分析後に行われたXRPD分析によって、形態Bおよびこれまでに同定されたその他全ての形態とは異なるディフラクトグラムが得られた。この形態を形態Jと指定した。
・安定性研究中に、形態Bは、周囲温度では多型形態という点で変わらないままであったが、しかし40℃/75% RHで形態Jおよび80℃で形態Iに変換した。HPLC分析により、40℃/75% RHで約99.8%、80℃で約99.8%および周囲温度で約99.7%の純度が示唆された。
【0273】
形態C
55℃の2% H
2O/MeOH (480 mL, 12容量)中の化合物A遊離塩基(40.0 g, 92.48 mmol, 1.0当量)のスラリーを純メタンスルホン酸(12.1 mL, 185.9 mmol, 2.01当量)で処理し、得られた溶液に化合物Aビスメシル酸塩の形態Cを播種した。得られた希薄スラリーを30分かけて50℃まで冷却し、1時間保持した後に、45分かけて40℃まで混合物を冷却した。スラリーを40℃で1時間撹拌し、熱源を取り除いてスラリーを周囲温度まで徐冷した。20℃で19時間撹拌した後に、スラリーをろ過した。固体を真空下60℃で24時間乾燥させて、オフホワイト色の固体(41.52 g, 収率72%)を得た。形態Cは化合物Aビスメシル酸塩を水メタノール(2%の水)中60℃でスラリー化することによりスケールアップされうる。
【0274】
化合物Aビスメシル酸塩の形態Cに対するXRPD、
1H NMR、DSC、TGAデータを、
図42〜46として提供する。形態Cに対するXRPDパターン(
図42)は、6.2°2θに観察された単一の浅いピークと、それに続き8.9°、9.8°および10.1°2θから始まるさらなるピークによって識別される。形態Cの
1H NMR分析(
図43)は、1.92当量に相当する2.41 ppmのメシル酸塩対イオンの存在を示す。イオンクロマトグラフィーにより、1.99当量のメシル酸塩(非晶質に基づく)に相当する30.7%のメタンスルホン酸が測定された。少量の残存MeOHが
1H NMRスペクトルにおいて観察され、これは552 ppm MeOHを測定したGCによるOVIの分析に相当する。DSC (
図44)は鋭い吸熱を示し、286.1℃の開始温度および288.5℃での融解を伴う。サンプルの分解と一致して、DSC実験において観察された融解事象までTGA (
図45)において有意な重量損失の事象は観察されなかった。形態CのIRスペクトルを
図46として提供する。
【0275】
形態A (
図47A)および形態B (
図47B)のDSCを測定し、重ね合わせて示した(
図47C)。形態Bにおいて190℃前後で起こる幅広い吸熱が観察され、その後に形態の潜在的変化を示す195℃での鋭い発熱が続いた。第2の吸熱が297℃で起こり、これは形態Aにおいて観察された吸熱と類似している。
【0276】
形態Bのサンプルを235℃まで加熱し、15分間保持した後に、また周囲温度へ冷却した。加熱後の固体のXRPDによる分析から、形態Bがもはや存在せず(
図48)、得られたパターンが形態AのXRPDと一致していることが示された。
【0277】
形態Cのさらなる特徴付けを以下に記述する。
・PLM分析により、形態Cが小さな塊状形態を有し複屈折性であることが示唆された。
・TG/DTAは開始約292.5℃(ピーク294.1℃)において鋭い吸熱を示し、TGAトレースにおける0.9%の重量損失と一致していた。
・DSC分析により開始約291.8℃(ピーク294.6℃)において単一の吸熱事象が示された。 ・約0.3%の水分含量がカール・フィッシャー滴定によって測定された。
・99.7%のHPLC純度が観察された。 ・HPLC濃度分析により約367 mg/mLの水溶解性が示唆された。約24時間、脱イオン水中でスラリー化した後の材料に対するXRPD分析により、形態Cが形態Eに変換したことが示唆された。
・DVS分析は最大90% RHまで約0.54%の水の全取込みを示唆し、材料が非吸湿性であることを示していた。DVS分析後に行われたXRPD分析によって形態Cと一致するディフラクトグラムが示唆された。 ・40℃/75% RH、80℃でおよび周囲条件(ambient)での安定性試験の後に多型形態の変化は観察されなかった。HPLC分析により、40℃/75% RHの場合に約99.9%、80℃の場合に約99.9%および周囲温度で約99.9%の純度が示唆された。
1H NMRスペクトルは、受け取った材料と一致することが観察された。
【0278】
実施例22: 溶媒溶解性
化合物Aビスメシル酸塩の非晶質形態を溶解性スクリーンのための投入材料として用いた。後の実験中にスラリーを作出するための近似値を提供するために溶媒添加法によって、溶解性値を推定した。非晶質材料およそ15 mgを24本のバイアル中に量り分けた。各溶媒を適切なバイアルに10 μlの10アリコット、20 μlの5アリコット、100 μlの3アリコットおよび500 μlの1アリコットとして、または材料が溶解するまで添加した。添加の合間に、サンプルを40℃まで加熱した。溶媒1000 μlを既に含有していたが、それでもなお観察可能な固体材料を有していたバイアルに、溶媒1000 μlのさらなるアリコットを添加した。溶媒2000 μlが固体の溶解なしに添加されたなら、溶解性はこの点に満たないと計算された。
【0279】
溶解性スクリーンのために選択された溶媒系を表177-1に示す。
【0280】
(表17−1)溶解性スクリーニングのために選択された溶媒系
[この文献は図面を表示できません]
【0281】
化合物Aビスメシル酸塩の溶解性を下記表17-2に示す。
【0282】
(表17−2)
[この文献は図面を表示できません]
【0283】
実施例23: 主要多型スクリーン−多型スクリーニングのために選択された溶媒系
表18-1に載せた溶媒系を多型スクリーニングのために選択した。
【0284】
(表18−1)多型スクリーニングのために選択された溶媒系
[この文献は図面を表示できません]
【0285】
緩徐冷却実験
非晶質化合物Aおよそ150 mgを29本のバイアルの各々に秤量し、適切な容量の溶媒を添加してスラリーを調製し、これを、熱力学的に平衡化された系を得るために約48時間60℃で撹拌した。次いでスラリーをろ過し、その溶液を3つの部分に分けた。1つの部分を撹拌しながら0.3℃/分の速度で約60℃から5℃まで緩徐冷却に供した。次いで任意の固体材料を回収し、PLMおよびXRPDによって分析した。
図155〜160。
【0286】
急速冷却実験
緩徐冷却実験において記述されているように調製された、飽和溶液を用い、29種の選択溶媒系の各々において、約2℃および約-18℃の環境中に最低72時間、溶液を置くことにより、急速冷却実験を実施した。次いで任意の固体材料を回収し、PLMおよびXRPDによって分析した。
図148〜154。
【0287】
抗溶媒添加実験
抗溶媒添加実験を、29種の選択溶媒系の各々において、飽和され、ろ過された非晶質化合物Aビスメシル酸塩の溶液に抗溶媒(アセトン)を添加することにより周囲温度(約22℃)で行った。抗溶媒の添加は、さらなる沈殿が存在しなくなるまで、またはそれ以上の抗溶媒をバイアルに添加できなくなるまで継続された。任意の固体材料を回収し、PLMおよびXRPDによって分析した。
図161〜168。
【0288】
蒸発実験
緩徐冷却実験において記述されているように調製された、飽和溶液を用い、29種の溶媒系の各々において、周囲条件(約22℃)で溶液を蒸発させることにより蒸発実験を行った。次いで、溶媒を蒸発乾固させた後に、任意の固体材料を回収し、PLMおよびXRPDによって分析した。
図169〜177。
【0289】
多型スクリーニングの結果を表18-2に示す。
【0290】
(表18−2)
[この文献は図面を表示できません]
【0291】
表18-2において、以下が示された:
形態Aが冷却および蒸発実験からメタノールおよびメタノール/水溶媒系において観察された。
形態Bがさまざまな実験からエタノール、エタノール/水、メタノール、メタノール/水、1-プロパノール、1-プロパノール/水、2-プロパノール/水およびアセトニトリル/水溶媒系において観察された。
形態Dがさまざまな実験から、アセトン/水、アセトニトリル/水、1,4-ジオキサン/水、エタノール/水、メタノール/水、1-プロパノール、1-プロパノール/水、2-プロパノール/水、テトラヒドロフラン/水および水において観察された。
形態Gが、アセトンを抗溶媒として利用して、抗溶媒添加からDMSOにおいて観察された。
非晶質材料がいくつかの蒸発実験から観察された。
【0292】
実施例24: 水和スクリーニング
表19に載せた溶媒を化学的多様性に基づき水和スクリーニングのために選択した。
【0293】
(表19)水和スクリーニングのために選択された溶媒
[この文献は図面を表示できません]
【0294】
表20に示した水分活性は、各溶媒中10℃、25℃および50℃での水和スクリーニングについて計算された。温度は、予想された結晶化温度範囲を網羅するように選択された。別々の高い(150 mg/mLを標的とした)および低い(75 mg/mLを標的とした)スラリー濃度実験を行った。
【0295】
(表20)10℃、25℃および50℃で溶媒ごとに計算された水分活性
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【0296】
水和スクリーニング手順
非晶質化合物Aビスメシル酸塩の材料およそ75〜150 mg (溶解性に依存)を108本のバイアルの各々に秤量し、10℃、25℃および50℃で異なる6種の水分活性を有する、各溶媒:水系中でスラリー化した。
図178〜189。
【0297】
水分活性0.1〜0.6の溶媒最大1 mLを75 mgに添加して、第一に低スラリー濃度実験を行った。水分活性0.7〜0.9の場合、溶媒最大100 μLを75 mgに添加した。およそ同量の溶媒を150 mgに添加して、第二に高スラリー濃度実験を行った。
【0298】
スラリーを約48時間、その割り振り温度で撹拌し、その後、得られた固体材料の形態を同定するためのXRPDによる分析の前に周囲条件下で単離および乾燥させた。材料はより高い水分活性の溶媒系にいっそう可溶であり;それゆえ、さらなる固体を必要なら、添加してスラリーを形成させた。
【0299】
実施例25: 形態Aの代替的調製
乾燥メタノールおよそ13.3 mLを化合物Aビスメシル酸塩の非晶質形態1 gに添加して、スラリーを調製した。スラリーを約22℃で約2日間撹拌した後に、サンプルをろ過し、特徴付けの前に周囲温度で乾燥させた。
【0300】
実施例26: 形態Bの代替的調製
水分活性0.35を有する2-プロパノールおよそ13.3 mLを化合物Aビスメシル酸塩の非晶質形態1 gに添加して、スラリーを調製した。スラリーを約22℃で約3日間撹拌した後に、サンプルをろ過し、特徴付けの前に周囲温度で乾燥させた。
【0301】
実施例27: 形態Cの代替的調製
2%の水メタノールおよそ5 mLを化合物Aビスメシル酸塩の形態A 1 gに添加して、スラリーを調製し、これを約60℃で約3日間撹拌した。次いでサンプルをろ過し、特徴付けの前に周囲温度で乾燥させた。
【0302】
実施例28: 形態Dの調製
水分活性0.6を有する2-プロパノールおよそ13.3 mLを化合物Aビスメシル酸塩の非晶質形態1 gに添加して、スラリーを調製した。スラリーを約22℃で約3日間撹拌した。次いでサンプルをろ過し、特徴付けの前に周囲温度で乾燥させた。
【0303】
実施例29: 形態Eの調製
水分活性0.89を有する2-プロパノールおよそ1.2 mLを化合物Aビスメシル酸塩の非晶質形態1 gに添加して、スラリーを調製した。スラリーを約22℃で約3日間撹拌した後に、サンプルをろ過し、特徴付けの前に周囲温度で乾燥させた。
【0304】
実施例30: 形態Iの調製
化合物Aビスメシル酸塩の、受け取った材料形態Aおよそ5 gを乾燥メタノール50 mLに溶解した。次いで溶液を真空下、オーブン中で約50℃にて蒸発させ、固体を得た。
【0305】
実施例31: 安定性試験
形態A、形態B、形態C、形態D、形態Eおよび形態Iを1週間、40℃/75% RH、周辺光(約22℃)および高温(80℃)の環境に暴露して、安定性を判定した。得られた固体を、XRPDにより分析していずれかの形態変化が起きたかどうかを確定し、HPLCにより分析して純度を判定した。
【0306】
実施例32: 水溶解性研究
形態A、形態B、形態C、形態D、形態Eおよび形態Iのスラリーを脱イオン水中で作出し、周囲温度(約22℃)で約24時間振盪した。次に得られた溶液をHPLCによって分析し、水溶解性を判定した。残存する固体をXRPDにより分析して、スラリー化の間にいずれかの形態変化が起きたかどうかを判定した。
【0307】
実施例33: 形態Dの特徴付け
約22℃で約72時間、A
w = 0.60を有する2-プロパノール中で非晶質化合物Aビスメシル酸塩材料をスラリー化することにより、形態Dをスケールアップした(
図190)。
【0308】
PLM分析により、材料が、平坦なロッド/プレート状の形態を有し複屈折性であることが示唆された(
図191)。
【0309】
約3日間、周囲温度で風乾させた後に、TG/DTAは開始約50.3℃(ピーク71.3℃)において最初の吸熱を示し、TGトレースにおける7.10%の重量損失と一致していた。さらに1.24%の漸進的な重量損失が約75℃〜220℃で観察された。DTAトレースによりまた、約222℃〜235℃に小さな吸熱/発熱事象、約281.4℃において小さな吸熱および開始約307.3℃(ピーク310.7℃)において最後の鋭い吸熱が示された(
図192)。真空下でさらに1日間周囲温度で乾燥させた後に、TG/DTAは開始約45.1℃(ピーク63.7℃)において最初の吸熱を示し、TGトレースにおける4.09%の重量損失と一致していた。さらに0.81%の漸進的な重量損失が約75℃〜180℃で観察された。DTAトレースによりまた、約221℃〜235℃に小さな吸熱/発熱事象および開始約306.0℃(ピーク309.8℃)において最後の鋭い吸熱が示された(
図193)。
【0310】
脱水後、および約229℃〜235℃で起きる温度転移後に得られた形態を評価するため、形態Dのサンプルを1つの実験では約150℃およびもう1つの実験では260℃まで加熱した。得られた固体に対して行った加熱後XRPD分析により、それぞれ150℃および260℃の実験について形態Iおよび形態Aと一致するディフラクトグラムが得られた(
図195)。
【0311】
DSC分析により、開始約71.9℃(ピーク103.2℃)において最初の幅広い吸熱が示された。小さな吸熱/発熱事象が約229℃〜235℃で観察された。最後の吸熱が開始約300.9℃(ピーク304.1℃)において観察された(
図194)。
【0312】
約3.8%の水分含量がカール・フィッシャー滴定によって測定された。
【0313】
99.9%のHPLC純度が観察された(
図199)。
【0314】
HPLC濃度分析により約352 mg/mLの水溶解性が示唆された。約24時間、脱イオン水中でスラリー化した後の材料に対するXRPD分析により、形態Dが形態Eに変換したことが示唆された(
図198)。
【0315】
DVS分析により、0% RHでの脱水後、第2の吸着サイクルは約12%の水の取込みにより30%〜50% RHで再水和を示すものと思われた。脱着等温線により、材料が水和された場合、相対湿度が40% RH未満に低下するにつれて、水が徐々に失われ、ゆえに脱水が観察されたことが示唆された(
図196)。DVS分析後に行われたXRPD分析によって、形態Iと一致するディフラクトグラムが得られた(
図197)。
【0316】
安定性研究中に、形態Dは、周囲温度で多型形態という点で変わらないままであったが、しかし40℃/75% RHで形態Jおよび80℃で形態Iに変換した(
図203)。HPLC分析により、40℃/75% RHで約99.9%(
図200)、80℃で約99.9%(
図202)および周囲温度で約99.9%(
図201)の純度が示唆された。
【0317】
1H NMRスペクトルは、少量の2-プロパノールが存在し、受け取った材料と一致することが観察された。API:2-プロパノールの比率は約1:0.25である(
図204)。
【0318】
特徴付けから、形態Dはそれゆえ、潜在的な混合水和物・溶媒和物であることが観察された。
【0319】
実施例34: 形態Eの特徴付け
約22℃で約72時間、A
w = 0.89を有するアセトン中で非晶質化合物Aビスメシル酸塩材料をスラリー化することにより、形態Eをスケールアップした(
図205)。
【0320】
PLM分析により、材料が、長いロッド状の形態を有し複屈折性であることが示唆された(
図206)。
【0321】
約3日間、周囲温度で風乾させた後に、TG/DTAは開始約45.9℃(ピーク71.9℃)において最初の吸熱を示し、TGトレースにおける7.7%の重量損失と一致していた。DTAトレースによりまた、約192℃〜220℃に吸熱/発熱事象、および開始約299.5℃ (ピーク305.4℃)において最後の鋭い吸熱が示された(
図207)。真空下でさらに1日間周囲温度で乾燥させた後に、TG/DTAは開始約39.8℃(ピーク59.8℃)において最初の吸熱を示し、TGトレースにおける4.8%の重量損失と一致していた。DTAトレースによりまた、約192℃〜220℃に吸熱/発熱事象および開始約301.4℃(ピーク305.0℃)において最後の鋭い吸熱が示された(
図208)。
【0322】
形態Eの脱水後に得られた形態を評価するため、サンプルを1つの実験では150℃およびもう1つの実験では260℃まで加熱した。加熱後XRPD分析により、形態Eは150℃の加熱実験で変わらないままであったが、しかし260℃で形態Aに変換することが示された(
図211)。結果として、150℃まで加熱し、冷却して周囲温度まで戻したサンプルに対して再びTG/DTAを行った(
図209)。TG/DTA分析により、熱事象が真空乾燥前の最初の形態Eサンプルと一致することが示された。これにより、脱水後に材料が周囲条件への暴露によって水を取り戻し/再水和したことが示唆された。
【0323】
DSC分析により開始約58.1℃(ピーク86.5℃)において幅広い吸熱が示された。約189℃〜215℃に吸熱/発熱事象が観察された。最後の吸熱事象は開始約299.1℃(ピーク303.7℃)において存在していた(
図210)。
【0324】
KF分析により約6.2%の水分含量が示唆された。
【0325】
99.8%のHPLC純度が観察された(
図215)。
【0326】
HPLC濃度分析により約347 mg/mLの水溶解性が示唆された。
【0327】
約24時間、脱イオン水中でスラリー化した後の材料に対するXRPD分析により、形態Eが変わらないままであることが示唆された(
図214)。
【0328】
DVS分析中、第1の吸着サイクルにより形態E水和物が非吸湿性であることが示唆された。脱着サイクル中に、脱水は10% RH未満で起きた。第2の吸着サイクル中に、(1モル当量の水に相当している)約2.78%の水分取り込みが20% RH未満で観察された(
図212および213)。その後、さらに5.5%の水が20%〜40% RHで迅速に取り込まれ、さらなる水和を示唆している可能性が高かった。
【0329】
安定性研究中に、形態Eは、40℃/75% RHおよび周囲条件(ambient)では多型形態という点で変わらないままであった。80℃貯蔵後、おそらく貯蔵中の脱水のため、XRPD分析により形態Eと比べていくらかの差異が観察された(
図219)。HPLC分析により、40℃/75% RHで約99.8%(
図216)、80℃で約99.8%(
図218)および周囲温度で約99.7%(
図217)の純度が示唆された。
【0330】
1H NMRスペクトルは、受け取った材料と一致することが観察された(
図220)。
【0331】
特徴付けから、形態Eはそれゆえ、水和物であることが観察された。
【0332】
実施例35: 形態Fの特徴付け
形態Fは、25℃で0.76の水分活性を有するアセトニトリル中での水和スクリーニングの間に観察された。水和スクリーン由来の形態FサンプルをTG/DTAにより分析した: 水和スクリーン由来の形態FのTG/DTAにより約25〜120℃で6.53%の最初の重量損失が示された。複数の吸熱および発熱事象がDTAにおいて観察される(
図221)。
【0333】
限られた特徴付けから、形態Fは潜在的な溶媒和物/水和物である可能性が高い。
【0334】
実施例36: 形態Gの特徴付け
形態Gは多型スクリーニング中に抗溶媒(アセトン)添加からDMSOにおいて観察された。多型スクリーン由来の形態GサンプルをTG/DTAにより分析した: 多型スクリーン由来の形態GのTG/DTAにより約25〜200℃で10.66%の重量損失が示された。非常に小さな吸熱事象が150〜180℃でDTAにおいて観察された(
図222)。
【0335】
データから、形態GはDMSO溶媒和物である可能性が高い。
【0336】
実施例37: 形態Hの特徴付け
形態Hは、50℃で0.21の水分活性を有するアセトニトリル中での水和スクリーニングの間に観察された。水和スクリーン由来の形態HサンプルをTG/DTAにより分析した: 水和スクリーン由来の形態HのTG/DTAにより約25〜60℃で約3.58%の最初の重量損失が示された。約0.95%のさらなる重量損失が60〜240℃で観察された。DTAトレースにより約45.8℃において最初の吸熱、約202℃において発熱および開始約306.6℃(ピーク309.8℃)において最後の吸熱が示された(
図223)。
【0337】
限られた特徴付けから、形態Hは溶媒和物/水和物である可能性が高い。
【0338】
実施例38: 形態Iの特徴付け
形態Iは真空下、約50℃での化合物Aビスメシル酸塩の形態Aのメタノール溶液の蒸発によってスケールアップされた(
図224)。
【0339】
PLM分析により、材料が、ロッド状の形態を有し複屈折性であることが示唆された(
図225)。
【0340】
TG/DTAは、約96.3℃および約239.4℃で、2つの非常に小さな吸熱事象を示した。最後の吸熱が次いで、開始約307.1℃(ピーク310.1℃)において観察された。おそらく未結合の溶媒/水のため、わずかな0.4%の重量損失が約60℃未満で観察された(
図226)。
【0341】
DSC分析により、開始約231.9℃(ピーク235.7℃)において小さな吸熱事象、それに続き開始約303.7℃(ピーク306.3℃)において最後の吸熱が示された(
図227)。
【0342】
約0.8%の水分含量がカール・フィッシャー滴定によって測定された。
【0343】
99.6%のHPLC純度が観察された(
図231)。
【0344】
HPLC濃度分析により約368 mg/mLの水溶解性が示唆された。約24時間、脱イオン水中でスラリー化した後の材料に対するXRPD分析により、形態Iが形態Eに変換したことが示唆された(
図230)。
【0345】
DVS分析により、吸着サイクルは40%〜50% RHで約10%の水の取込みにより40% RH超で水和を示すものと思われた。脱着サイクルにより50% RH未満で水の漸進的喪失/脱水が示唆された(
図228〜229)。
【0346】
安定性研究中に、形態Iは、周囲条件(ambient)および80℃の貯蔵では多型形態という点で変わらないままであったが、しかし40℃/75% RH貯蔵の場合には形態Jへの変換が観察された(
図235)。HPLC分析により、40℃/75% RHで約99.8%(
図232)、80℃で約99.9%(
図234)および周囲温度で約99.6%(
図233)の純度が示唆された。
【0347】
1H NMRスペクトルは、受け取った材料と一致することが観察された(
図236)。
【0348】
特徴付けから、形態Iはそれゆえ、無水であることが観察された。
【0349】
実施例39: 形態Jの特徴付け
さらなる多型形態が形態BのDVS分析後に観察された。この形態を形態Jと指定した(
図237)。
【0350】
TGAにより約90℃未満で約2.76%の重量損失が示された。DTAトレースにより、ピーク約76.3℃において最初の吸熱事象およびピーク約227.3℃において小さな吸熱事象と、それに続きピーク約233.3℃において発熱事象が示された。次いで鋭い吸熱が開始約306.5℃(ピーク309.6℃)において観察された(
図238)。
【0351】
限られた特徴付けから、形態Jは水和物である可能性が高い。
【0352】
実施例40: 特徴付けられた各形態の要約
成功裏に調製された形態の特徴付けの要約を下記表21に提示する。
【0353】
(表21)多型の特徴付けの要約
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【0354】
さまざまな形態の特徴付けによって結果的に、形態BのDVS分析後にさらなる形態が同定されることになり、これを形態Jと指定した。形態Aの可変温度XRPD分析はまた、約107℃超の温度で異なる形態を示唆し、これを形態Kと指定した。